以下、本発明について詳細に説明する。
前述のように、トナーは一連の画像形成を行う過程で、種々の部材と摺擦されることから。トナーと部材との摺擦はトナーを均一に摩擦帯電させる観点から重要であると考えられる。また、補給構成を有する画像形成装置にて画像形成を行う場合、耐久劣化トナーと新規補給トナーの混合というようにトナー同士の摺擦も重要になってくる。トナーを均一に帯電させるのも、或いは劣化させるのもこれら摺擦に起因することから、本発明者らはこれらが作用する接触面、つまりはトナーの表面に着目して鋭意検討を行った。具体的にはトナーの表面に多数存在する流動性向上剤等の所謂、外添剤に着目して鋭意検討を行った。更には、補給構成を有する画像形成装置にて画像形成を行う場合の画像弊害の要因と考えられる耐久劣化トナーと新規補給トナーの混合についても鋭意検討を行い、トナー粒子に特定の外添剤を含有させ更には特定の凝集度を示すトナーとすることで前記課題を改善できるトナー及び画像形成方法、現像装置が得られることが分かった。
具体的には、静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、トナー担持体上に当接されたトナー層規制部材で該トナー担持体上のトナーを規制する工程、該トナー担持体上のトナーにより該静電潜像を現像する現像工程、トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材へ転写する転写工程を有する画像形成方法において、
該画像形成方法が、非磁性一成分トナー(X)が充填された現像容器に、交換自在な補給トナー容器から非磁性一成分トナー(Y)を補給する補給工程を有し、
該トナー(Y)の凝集度をαとし、該トナー(Y)と該トナー(Y)を振動篩により開口径53μmのメッシュで6回篩ったトナーとの混合物の凝集度をβとしたとき、下記(1)及び(2)式を満たし、
30%≦α≦50% (1)式
0.85≦α/β≦1.00 (2)式
かつ、該トナー(X)及び(Y)は少なくともトナー粒子と体積基準におけるメジアン径(D50)が0.15μm乃至1.00μmである脂肪酸金属塩を含有することを特徴とする画像形成方法である。
また、トナーを担持し現像を行うためのトナー担持体と、該トナー担持体表面に当接されトナー層厚を規制するためのトナー層規制部材と、該トナー担持体にトナーを供給するためのトナー供給部材と、該トナー供給部材の回転中心軸よりも上方に設けられ該トナー供給部材の長手方向にトナーを搬送するトナー搬送手段と、該トナー担持体に供給するためのトナーを収納する収納容器と、該トナー担持体と該トナー層規制部材と該トナー供給部材と該トナー搬送手段と該収納容器とから構成された現像室にトナーを供給する撹拌室とからなり、該現像室が該撹拌室からのトナーの入口と該撹拌室へのトナーの出口を持つ現像装置において、
前記現像室の長手方向に垂直な断面において、トナー搬送領域を除く前記収納容器によって囲まれた領域の該トナー供給部材回転中心軸より鉛直上方に囲まれた断面積の、該トナー搬送手段によって生じるトナーの搬送方向上流側の断面積S1と搬送方向下流側の断面積S2の関係が、S1<S2を満たし、
該現像装置が、非磁性一成分トナー(X)が充填された現像容器と該現像容器に非磁性一成分トナー(Y)を補給する交換自在な補給トナー容器を有し、
該トナー(Y)の凝集度をαとし、該トナー(Y)と該トナー(Y)を開口径53μmのメッシュで6回篩ったトナーとの混合物の凝集度をβとしたとき、下記(1)及び(2)式を満たし、
30%≦α≦50% (1)式
0.85≦α/β≦1.00 (2)式
かつ、該トナーは少なくともトナー粒子と体積基準におけるメジアン径(D50)が0.15μm乃至1.00μmである脂肪酸金属塩を含有することを特徴とする現像装置である。
更に、トナーを担持し現像を行うためのトナー担持体と、該トナー担持体表面に当接されトナー層厚を規制するためのトナー層規制部材と、該トナー担持体にトナーを供給するためのトナー供給部材と、該トナー供給部材の回転中心軸よりも上方に設けられ該トナー供給部材の長手方向にトナーを搬送するトナー搬送手段と、該トナー担持体に供給するためのトナーを収納する収納容器と、該トナー担持体と該トナー層規制部材と該トナー供給部材と該トナー搬送手段と該収納容器とから構成された現像室にトナーを供給する撹拌室とからなり、該現像室が該撹拌室からのトナーの入口と該撹拌室へのトナーの出口を持つ現像装置に用いられるトナーであって、
前記現像室の長手方向に垂直な断面において、トナー搬送領域を除く前記収納容器によって囲まれた領域の該トナー供給部材回転中心軸より鉛直上方に囲まれた断面積の、該トナー搬送手段によって生じるトナーの搬送方向上流側の断面積S1と搬送方向下流側の断面積S2の関係が、S1<S2を満たし、
該現像装置が、非磁性一成分トナー(X)が充填された現像容器と該現像容器に非磁性一成分トナー(Y)を補給する交換自在な補給トナー容器を有し、
該トナー(Y)の凝集度をαとし、該トナー(Y)と該トナー(Y)を開口径53μmのメッシュで6回篩ったトナーとの混合物の凝集度をβとしたとき、下記(1)及び(2)式を満たし、
30%≦α≦50% (1)式
0.85≦α/β≦1.00 (2)式
かつ、該トナーは少なくともトナー粒子と体積基準におけるメジアン径(D50)が0.15μm乃至1.00μmである脂肪酸金属塩を含有することを特徴とするトナーである。
上述のようなトナー及び画像形成方法、現像装置とすることにより本発明の効果が得られることについての詳細な理由は明確ではないが、本発明者らは次のように考えている。
つまり、補給構成を有する現像装置においては、耐久トナーと新規補給トナーの混合は必須の要件となり、前述した通りに両者を混合した際にその混合物の凝集度が増加することにより種々の画像弊害を生じる。また、前述の通り耐久トナーとはカートリッジ内で現像に寄与せず、各種部材による物理的ストレスを受けた残存トナーである。そこで、本発明にある開口径53μmのメッシュで6回篩ったトナーとは意図的に物理的なストレスが与えられたトナーでありカートリッジ内の耐久トナーをイメージしている。つまり、凝集度比α/βとは耐久トナーと新規補給トナーの混合による凝集度変化に相当しており、該値を0.85乃至1.00とすることは混合による凝集度の増加が抑制されていることとなり、これにより種々の画像弊害が発生しなくなると考えている。
しかし、本発明の効果を発現させる為には上記凝集度比(α/β)を満たすだけでは不十分であり、トナーは少なくともトナー粒子と体積基準におけるメジアン径(D50)が0.15μm乃至1.00μmである脂肪酸金属塩を含有することが必須要件となる。脂肪酸金属塩は所謂、金属石鹸として知られ、トナー中に含有させることで、クリーニング助剤や静電潜像担持体へのフィルミング防止作用があることが知られている。本発明においては、従来の脂肪酸金属塩と比較してより微細な脂肪酸金属塩であることから、該粒子をトナーに含有させる事で、トナー表面により均一に存在させることで従来では発現し得なかった本発明の効果を発現する。つまり、耐久トナーと新規補給トナーの混合がその微細脂肪酸金属塩の滑剤効果により、物理的により速やかに進行する。更には該トナー同士の過剰な摩擦を抑制させることで過剰な摩擦帯電に起因したトナー同士の静電的な凝集作用を抑制しているものと考えている。そして、これにより混合による凝集度の増加が少なくなるものと考えている。更には本発明の脂肪酸金属塩を含有させる事で、各種部材との物理的なストレスも緩和されるものと考えている。これにより、耐久トナーの劣化が抑制され、凝集度の変化も更に抑制されるといった相乗効果も発現する。
ここで、α/βが0.85未満では、耐久トナーと補給トナーの混合による凝集度の増加が大きいこととなり、特に高温高湿環境下、補給工程を顕著に行った際に濃度ムラやカブリ、トナーのボタ落ちが顕著となる。また、本発明の脂肪酸金属塩を含有していない場合はその効果が発現せずに濃度ムラやカブリ、トナーのボタ落ちの発生が抑制されないばかりか、低温低湿環境下におけるカブリも顕著に発生する。更に、脂肪酸金属塩が含有されていても、体積基準におけるメジアン径(D50)が0.15μm未満では滑剤としての作用が低下し高温高湿環境下における濃度ムラやカブリ、トナーのボタ落ちが発生し、低温低湿環境下におけるカブリの発生も顕著となる。逆に、1.00μmを超える場合は、脂肪酸金属塩がトナー粒子表面において偏って存在し易くなるため、耐久トナーと新規補給トナーの混合時にトナーの凝集度が増加してしまい濃度ムラやカブリ、トナーのボタ落ちが発生する。メジアン径(D50)のより好ましい範囲としては、0.15μm乃至0.75μmであり、その範囲であると本発明の効果が安定して得られ。更に好ましい範囲としては、0.30μm乃至0.60μmであり、該範囲ではより安定して本発明の効果が得られる。
更に、本発明のトナーの凝集度αが30%未満では、トナーの摩擦帯電がしづらくなり濃度の低下やカブリの発生が抑制できない。
また、凝集度αが60%を超える場合では、現像部におけるトナーの搬送性が低下して画像濃度の低下或いはベタ画像を出力した際の濃度追従性が悪化する。
以下に、本発明のトナーの更に好ましい形態について述べる。
本発明のトナーはトナーに含有される脂肪酸金属塩の下記(3)式で定義されるスパン値Bが1.75以下であることが好ましい。
スパン値B=(D95s−D5s)/D50s (3)式
D5s:脂肪酸金属塩の体積基準における5%積算径
D50s:脂肪酸金属塩の体積基準におけるメジアン径(D50)
D95s:脂肪酸金属塩の体積基準における95%積算径
このように、本発明の脂肪酸金属塩をある程度粒度分布のそろったものとすることで、トナー中に更に均一に存在させることが可能となり、本発明の作用効果をより安定して発現させ易い。ここで、スパン値Bが1.75を超えるとトナー中に存在する脂肪酸金属塩の粒径のバラツキにより帯電性が不安定となるばかりか、濃度ムラやカブリ、更にはトナーのボタ落ちが発生する可能性がある。スパン値Bは1.50以下がより好ましく、1.50以下であれば本発明の作用効果が安定して得られる。
また、該トナー層規制部材が該トナー担持体との当接部にポリアミドまたはポリエステルのいずれかのエラストマー層を有することが好ましい。
本発明によるポリアミドまたはポリエステルのいずれのエラストマー層を有する電荷付与層を持つ弾性ブレードは、ポリアミドまたはポリエステルのエラストマーがトナーに対し適度な摩擦電荷を与える特性を有しているため、トナーのチャージアップを防止して、高い画像濃度を実現することができる。また、ポリアミドまたはポリエステルのエラストマーは、弾性を有しているため、トナー担持体と該トナー層規制部材との圧接力が場所的にバラつくことがなく、トナー担持体上に、トナーを均一の厚さで、且つ、均一の摩擦帯電量で保持させることができる。更には、本発明のトナーは微小な脂肪酸金属塩が含有されることにより、トナーが凝集することなく各粒子がほぐれていることから、このエラストマーによる均一摩擦帯電性を相乗的に高める事ができ、その結果濃度ムラや補給カブリといった画像不良のない良好な画像を形成することができやすい。
また、該エラストマー層のショアーD硬度をγ°、該トナーの微小圧縮試験における、25℃での負荷速度9.8×10-5N/secで2.9×10-4Nの荷重をトナーにかけてから除荷するまでの変位曲線において、除荷して戻る変位と最大変位の比(復元率)をZ(25)としたとき、
25°≦γ≦75°
0.4≦γ/Z(25)≦2.0
であることが好ましい。
該エラストマー層のショアーD硬度は、トナー融着性の観点から、25度以上75度以下が好ましい。即ち、この範囲未満ではトナーを充分に且つ均一に摩擦帯電させる事が困難になりやすく、その結果、濃度ムラや補給カブリといった画像不良が発生する事がある。また、この範囲を超える場合には、該エラストマー自体の硬度が高いためにトナーの劣化を促進させ、特に高温高湿環境下における長期使用時においてトナーの潰れや破壊片に基づくトナー融着が原因となりトナーの帯電不良を発生させる事がある。このブレード部材のショアーD硬度は、該エラストマー中の成分の配合比によって調節でき、必要に応じた現像プロセスに対応したエラストマー層のショアーD硬度を達成することができる。
更に、該エラストマー層のショアーD硬度γ°と該トナーの微小圧縮試験における、25℃での負荷速度9.8×10-5N/secで2.9×10-4Nの荷重における復元率(Z(25))の関係が0.4≦γ/Z(25)≦2.0であることが本発明のトナーの効果を発現させる上で好ましい形態である。本関係式は即ち本発明のトナーと、それを摩擦帯電させる該エラストマー層との硬さの関係を表したものである。ここで、γ/Z(25)が0.4未満では、トナーが該エラストマー層に対して過剰に硬い傾向であるということを意味し、トナーを充分に且均一に摩擦帯電させる事が困難になりやすい。また、2.0を超える場合は、該エラストマー層がトナーに対して過剰に硬い傾向であるということになり、該トナー層規制部材のトナーへの圧接力が場所的にバラつく可能性があり、更には特に高温高湿環境下における長期使用時においてトナーが劣化しやすくなる。
本発明に用いられるトナー層規制部材の詳細な説明は後述する。
また、本発明に好適に用いられる脂肪酸金属塩としては、炭素数12以上の高級脂肪酸の亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、リチウムから選ばれる金属の塩が好ましく、より好ましくは亜鉛またはカルシウムの塩である。金属種が亜鉛またはカルシウムであると本発明の効果がより得られ易い。また炭素数12以上の脂肪酸を用いると遊離脂肪酸の発生を抑えやすい。遊離脂肪酸は0.20%以下が好ましく、0.20%より大きいとカブリが発生し易くなる。
脂肪酸金属塩の一例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛が例示される。
脂肪酸金属の添加量としては、トナー粒子100質量部に対し0.02質量部以上0.50質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.05質量部以上0.30質量部以下である。0.02質量部より少ないと本発明の効果が得られ難い、また、0.05質量部より多いと画像濃度の安定性が得られにくくなる。
また、本発明のトナーはシリカとハイドロタルサイトを含有することをが好ましい。
本発明のトナーにシリカが含有されると、例えば補給口から現像部へのトナーの搬送性が上がるだけでなく、耐久トナーと新規補給トナーの混合性が良好となるため好ましい。また、適度にハイドロタルサイトが含有されることによりトナーの搬送中においてもトナーは適度に帯電が促進される。これにより、トナー同士の適度な静電反発が発生し、該工程におけるトナーの凝集が抑制されトナーの搬送性が良化するため好ましい。
更に、トナー中の該シリカの含有量をAと該ハイドロタルサイトの含有量をBとした時に5.0≦A/B≦30.0であることが好ましい。上記のシリカとハイドロタルサイトの効果を発現させる為には、両者の配合比が重要となる。A/Bが5.0未満の場合にはハイドロタルサイトに対するシリカの含有量が少なく充分なトナーの搬送性が得られないことがあるばかりか、ハイドロタルサイトによる摩擦帯電が過剰となりトナーの凝集が生じてしまう可能性がある。また、A/Bが30.0を超える場合には、シリカに対するハイドロタルサイトの含有量が少なく、ハイドロタルサイトによる適度な帯電に起因した適度な静電反発が得られないことがあり、トナーの搬送性が悪化することがある。
また、本発明のトナーの平均円形度は0.970乃至0.995であることが好ましい。トナーの平均円形度が0.970未満である場合、トナーの帯電性が不均一となりやすいだけでなく、トナーの流動性が悪化傾向になることから耐久トナーと新規補給トナーの混合性も低下する。更には、添加された脂肪酸金属塩もトナー表面に不均一に存在する可能性があり、濃度ムラやカブリ、トナーのボタ落ちが発生しやすくなる。
また本発明のトナーは、下記構造式(1)あるいは(2)に示されるエーテル結合を有する化合物が含有されていることが好ましい。
〔式中、R
1乃至R
11は、炭素数1乃至6までのアルキル基であり、互いに同じであっても、異なっていても良い。〕
上記エーテル化合物は、結着樹脂との相溶性に優れているために、トナーに含有させた場合には、均一に近い状態で分散されて存在すると考えられる。また、酸素原子は電気陰性度が高い元素であるため、トナー中に発生した負電荷を非局在化させる。上記エーテル化合物はこの2つの特徴を有するため、上記エーテル化合物の存在は、トナーの負電荷を安定化させる。そのため、上記エーテル化合物を含有させる効果は、本発明のトナーが負摩擦帯電性トナーである場合に特に顕著となる。また、正摩擦帯電性の場合にもチャージアップを抑制する効果を有する。
また、上記エーテル化合物は三級炭素を有しておりバルキーな構造である。三級炭素を中心とする官能基は立体障害として機能するため、水の影響を受けにくく電荷のリークが抑制される。しかし、酸素原子に結合している炭素が回転運動することにより、立体障害となりうる官能基も動くことができ、摩擦帯電のリークに関与する水分子が小さな分子であるため、完全な立体障害とはならない。その結果、三級炭素を中心とする官能基は、適度な立体障害としての機能を果たす。
したがって、本発明のトナーに上記エーテル化合物を組み合わせることによって、本発明の脂肪酸金属塩を含有することによるトナーの流動性といったマクロ的な挙動とエーテル化合物を含有することによるトナー一粒子内の均一帯電性といったミクロ的な現象とが相乗的に作用する。そして、補給構成を有する現像装置内で耐久トナーと新規補給トナーが良好に混合され補給時における濃度ムラやカブリの発生が抑制されやすくなる。
上記R1乃至R11が炭素数1乃至6の場合には、適度な立体障害としての効果が得られることや、適度な疎水性と親水性のバランスが得られることや、結着樹脂との溶解性が得られることで、トナーの帯電均一性が向上しやすい。上記炭素数が1乃至4の場合には、上記効果はより向上する。
また、上記エーテル化合物は、上記のような効果を十分に発現するためには、5乃至1,000ppmの範囲でトナーに含有されている必要がある。より好ましくは10乃至800ppmである。さらに好ましくは10乃至500ppmである。上記エーテル化合物は、上記構造の化合物が1種以上含有されていることが好ましく、別の構造のエーテル化合物が含まれていても構わない。その際の含有量は、含有されているエーテル化合物量の総和とする。
上記エーテル化合物のトナー中の含有量が5乃至1000ppmの場合には、良好な摩擦帯電量が得られやすく、均一なトナーの帯電が得られやすい。
該エーテル化合物の構造の一例として、以下のような構造が挙げられる。
また、本発明のトナーの流動性をより良好な状態とするためには、トナー粒径を一定の範囲に制御することが好ましい。具体的には、本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は5乃至8μmであることが好ましい。該重量平均粒径(D4)が5m未満であると、トナーのパッキングが生じやすくなることからその流動性が低下する。一方、トナーの重量平均粒径(D4)が8μmを超える場合には、トナー中の空隙が増加する傾向にあることから、過剰な流動性となりやすい。そして、これらのことはトナーの均一帯電性が悪化する原因となりやすいことから、このようなトナーは補給時における濃度ムラやカブリが発生しやすい傾向にある。
更にトナーの個数基準の粒度分布における4.00μm以下の粒子個数%が3以上30%以下の範囲内であれば、本発明のトナーの流動性を更に良好な状態とすることができる。これは、比較的帯電性の高く、かつパッキングしやすい小粒径トナーの比率を少なくすることで、新旧トナーの帯電量差を少なくし、その流動性低下が抑制されることに加えて、本発明の小粒径で適度にシャープな粒度分布を有する脂肪酸金属塩とのマッチングが促進される為である。つまり、トナー粒子と本発明の脂肪酸金属塩の外添工程における混合状態が均一になりやすいため、その均一化処理が効果的に進むためと発明者らは考えている。なお、トナーの重量平均粒径(D4)及び個数基準の粒度分布における4.00μm以下の粒子個数%は、中心粒径の制御および分級などの手段により調整することが可能である。
以下に、本発明で用いられる材料について説明する。
本発明で用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニール;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は混合して使用される。
スチレン共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドジテル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテルが挙げられる。これらビニル単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
本発明のトナーを重合方法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、前記した単官能性重合性単量体を単独で或いは2種以上組み合わせて、又は前記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
本発明に用いられるワックスは、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム如きの石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体等。誘導体としては酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物などが挙げられる。さらには、以下のものが挙げられる。高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸の如きの脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス等。この中で特に、離型性に優れるという観点からエステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。更に好ましくは、トータルの炭素数が同一の化合物が50乃至95質量%ワックスに含有されているものが、ワックス純度が高く現像性の観点で、本発明の効果を発現し易い。
本発明のトナーはそのトナー粒子が水系媒体中で得られることが好ましい。水系媒体中でトナー粒子を製造する方法としては、以下の方法が挙げられる。トナー必須成分から構成される乳化液を水系媒体中で凝集させる乳化凝集法;有機溶媒中にトナー必須成分を溶解させた後、水系媒体中で造粒後有機溶媒を揮発させる懸濁造粒法;トナー必須成分を溶解させた重合性単量体を直接水系媒体中で造粒後重合する懸濁重合法や乳化重合法;その後シード重合を利用しトナーに外層を設ける方法;界面重縮合や液中乾燥に代表されるマイクロカプセル法。
これらの中で、本発明の作用効果を発揮しやすいものとして、特に懸濁重合法が好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体にワックス及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて重合性単量体組成物とする。その後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する水系媒体中に適当な撹拌器を用いて分散し、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。上記トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により流動性向上剤を混合し表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。
この懸濁重合法でトナーを製造する場合には、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となる。また外添剤への依存度が少ない高い転写性を維持するトナーが得られやすい。
懸濁重合法によるトナーを製造する際の重合性単量体としては上記単官能性重合性単量体、多官能性重合性単量体が挙げられる。
本発明に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5乃至30時間のものである。また重合性単量体100質量部に対し0.5乃至20質量部の添加量で重合反応を行うと、通常、分子量1万乃至10万の間に極大を有する重合体が得られ、適当な強度と溶融特性を有するトナーを得ることができる。
重合開始剤としては、以下の、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル如きのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド如きの過酸化物系重合開始剤等が例示できる。
特に好ましくは、重合反応中の分解時に上述したようなエーテル化合物を生成するような重合開始剤である。
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
本発明に用いられる黒色着色剤としては、カーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い各色に調色されたものが利用される。特に染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
本発明に用いられるイエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214等が例示できる。
本発明に用いられるマゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19等が例示できる。
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1乃至20質量部添加して用いられる。
本発明のトナーには、帯電特性を安定化するために帯電制御剤を配合しても良い。帯電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる帯電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法にて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない帯電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、負帯電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。正帯電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
これらの帯電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005乃至1.0質量部、より好ましくは0.01乃至0.3質量部である。
上記水系媒体には、分散安定剤を添加する。分散安定剤として使用する無機化合物としては以下の、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が例示できる。
有機化合物としては以下の、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン等が例示できる。これらの分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部を使用することが好ましい。
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成させて用いても良い。
例えばリン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するとよい。
更に本発明のトナーにおいて、トナー粒子の流動性を向上させる目的で、流動性向上剤をトナー粒子に添加しても良い。流動性向上剤としては、以下の、フッ化ビニリデン微粉未、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛の如き脂肪酸金属塩;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末の如き金属酸化物または、上記金属酸化物を疎水化処理した粉末;及び湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如きシリカ微粉末または、それらシリカにシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した表面処理シリカ微粉末等が例示できる。
流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.01乃至5質量部を使用することが好ましい。
以下に本発明の物性値の測定方法について説明する。
<トナーの凝集度αとβの測定>
トナーの凝集度αは、以下のようにして測定した。
測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き25μm(635メッシュ)の篩、38μm(390メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、23℃、60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)予め15℃、10%RH環境下において24時間放置したトナー5gを精秤し、最上段の目開き75μm(200メッシュ)の篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
また、凝集度βは、測定サンプルとして以下の通りのものを使用する以外は同様の方法で測定した。
(A)23℃、60%RH環境下で、上記凝集度α測定時と同じ装置の振動台上に、目開き53μm(300メッシュ)の篩をセットし、予め23℃、60%RH環境下で24時間放置したトナー15gを該篩上にのせる。
(B)デジタル表示式振動計の変位の値を1.0mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を調整後、篩を1分間振動させ、篩を通過したトナーを採取し、篩上に残ったトナーをエアーブローにより除去する。
(C)採取した篩通過トナーをで再び(A)と(B)を行い、トータルで6回篩を通過させて得られたトナーサンプルを15℃、10%RH環境下に24時間放置する。
(D)上記6回篩通過トナー4.0gと、予め15℃、10%RH環境下において24時間放置しておいた未篩トナー1.0gを15℃、10%RH環境下、50mlのポリ瓶に入れて混合(振とう器;model YS−LD((株)ヤヨイ製)にて150rpm×3分)したサンプルを測定サンプルとする。
<脂肪酸金属塩のメジアン径(D50)とスパン値Bの測定>
本発明で用いられる脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径(D50)の測定は、JIS Z8825−1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows(登録商標) WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、ファイル「110A000I」(相対屈折率1.10)を選択する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行なった後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行なう。
(7)ガラス製の100ml平底ビーカーに約60mlのイオン交換水を入れる。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)前記(9)のビーカー内の水溶液に超音波を照射した状態で、約1mgの脂肪酸金属塩を少量ずつ前記ビーカー内の水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、この際に脂肪酸金属塩が固まりとなって液面に浮く場合があるが、その場合はビーカーを揺り動かすことで固まりを水中に沈めてから60秒間の超音波分散を行なう。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した脂肪酸金属塩が分散した水溶液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、メジアン径(D50)、5%積算径および95%積算径を算出しスパン値Bを求める。
<エラストマー層のショアーD硬度の測定>
エラストマー層の硬度は、JIS K 6253(1993年)に基づき測定した。
<復元率(Z(25))の測定>
次に図1を参照しながら微小圧縮試験の測定方法について説明する。
図1は本発明の微小圧縮試験でトナーを測定した際のプロファイル(変位曲線)であり、横軸はトナーが変形した変位量、縦軸はトナーにかけている荷重量を表している。
本発明における微小圧縮試験は、(株)エリオニクス製 超微小硬度計ENT1100を用いた。使用圧子は20μm×20μm四方の平圧子を用いて測定した。1−1は試験を始める前の最初の状態であり、最大荷重2.94×10-4Nに対し、9.8×10-5N/secのスピードで荷重を掛ける。最大荷重に到達直後は1−2の状態であり、このときの変位量をX2(μm)とする。1−2の状態で0.1secの間その荷重で放置する。放置終了直後の状態が1−3を示しており、このときの最大変位量をX3(μm)とし、さらに最大荷重を経て9.8×10-5N/secのスピードで除荷し、荷重が0になったときが1−4の状態である。このときの変位量をX4(μm)とする。
復元率Z(25)は100×(X3−X4)/X3として求めた。
実際の測定はセラミックセル上にトナーを塗布し、トナーがセル上に分散するように微小なエアーを吹き付ける。そのセルを装置にセットして測定する。
また測定の際にはセルを温度制御が可能な状態にし、このセルの温度を測定温度とした。すなわちZ(25)はセルの温度を25℃として測定した。本発明における微小圧縮試験においては、セルの上にトナーを分散させた後、セルを本体に設置する。その後、セルが測定温度に到達してから10分以上放置した後、測定を開始する。
測定は装置付帯の顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)にトナーが1粒で存在しているもの選択する。変位量の誤差を極力無くすため、トナーの個数平均粒径(D1)の±0.2μmのものを選択して測定する。なお、測定用画面から任意のトナーを選択するが、測定画面上でのトナー粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定する。そこから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]の値がD1の±0.2μmとなるトナーを選択して測定した。
測定データに関しては任意の粒子100個を選んで測定し、測定結果として得られたZ(25)について、最大値、最小値からそれぞれ10個を除いた残り80個をデータとして使用した。そして、その80個の相加平均値としてZ(25)を求めた。
また、トナーの個数平均径(D1)の測定方法は後述する。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<個数基準の粒度分布における4.00μm以下の粒子個数%の算出方法>
トナー中の個数基準の粒度分布における4.00μm以下の粒子個数%は、前記のMultisizer 3の測定を行なった後、データを解析することにより算出する。
トナー中の4.00μm以下の粒子の個数%は、以下の手順で算出する。まず、前記専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「<」にチェックし、その下の粒径入力部に「4」を入力する。「分析/個数統計値(算術平均)」画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.00μm以下の粒子の個数%である。
<トナーの平均円形度の測定>
本発明のトナーの平均円形度とは、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い、下記の条件で算出されたものである。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
画像処理部で画像信号は、A/D変換され、画像データとして取り込まれ、記憶した画像データに対して、粒子の有無を判別するための画像処理が行われる。
次に、粒子像の輪郭を的確に抽出するための前処理として輪郭強調処理が行われる。
次に、画像データをある適当なスレッシュホールドレベルで2値化する。
画像データをある適当なスレッシュホールドレベルで2値化すると各粒子画像は図6に示すような2値化画像となる。次に、2値化された各粒子画像に対してエッジ点(輪郭を表す輪郭画素)かどうかを判定するとともに、着目しているエッジ点に対して隣合うエッジ点がどの方向にあるかの情報、すなわちチェインコードを生成する。
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円形当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度(C)は、円形当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
C=2×(πS)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。
各粒子の円形度を算出後、円形度0.2乃至1.0の範囲を800分割し、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行う。
具体的な測定方法としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを容器中に用意し、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料0.02gを加え、均一に分散させる。分散手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子としてφ5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40度以上にならないように適宜冷却する。
円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとすると、次式から算出される。
トナーの円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナーを1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、平均円形度を求めた。
次に、本発明に用いられるトナー層規制部材について説明する。
本発明にかかるトナー層規制ブレードは、少なくともブレード部材およびブレード部材の支持部材が同一周縁形状に積層形成された構成を有する。ブレード部材は、ポリエステル系高分子を含むブレード部材用組成物を用いて形成される。具体的には、面転写シートを射出成形用の金型内に送り込み、キャビティの内面に接するように配置して型閉めした後、金型キャビティにブレード部材用組成物を射出し、面転写シートと一体化密着させて固化させることで、ブレード部材を形成することができる。このブレード部材においては、面転写シートを剥がした面を電荷制御面としたものであり、該ブレード部材の該電荷制御面と対向する面が、該支持部材に接着されていることを特徴とするトナー層規制ブレードである。
面転写シートにトナー層規制ブレード部材用組成物が積層され、面転写シート面の性状がブレード部材にレプリカされて電荷制御面表面が形成される。このため、本発明にかかるブレード部材は、従来の金型等で形成されたブレード部材とは、転写面のあり方が異なっている。面転写シートである樹脂フィルムのレプリカ面となる電荷制御面は、比較的容易に必要な表面状態(十点平均表面粗さRzが、好ましくは3.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.3μm以下)を得ることが可能である。また、得られる製品の品質も金型を用いる場合と比べてばらつきが少なく、安定している。
なお、電荷制御面の微細構造においては、滑らかであることが重要であり、マクロには比較的粗い数値として測定されても、ミクロに滑らかであればよい。すなわち、粗さが2乃至4μmであっても、その微細構造が、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.4μm以下、更に好ましくは0.3μm以下であれば、比較的振幅の大きな粗さプロフィールで、十分な効果が期待される。
また、本発明にかかるトナー層規制ブレードは、現像装置の所定位置への装着直前まで面転写シートを剥離せずに運用可能で、そのままトナー層規制ブレードの部品(商品)として利用できる。すなわち、面転写シートは、トナー層規制ブレードのブレード部材の保護シートとしての役割も果たしており、輸送時、取り扱い時におけるブレード表面へのスクラッチ、欠け等に対して有効である。以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明により提供されるトナー層規制ブレードは、例えば図10に示した従来の現像装置に適用可能なものであり、その形状は図9中のトナー層規制ブレードと概略同じである。また、支持部材全面にブレード部材が積層されていてもよい。特に、金型内に支持部材も送り込む場合は、通常、支持部材全面にブレード部材が積層されたものが得られる。
以下、本発明のトナー層規制ブレードの製造方法を、図11を用い、各工程にしたがって説明する。まず、射出成形用の金型内にブレード部材の電荷制御面を形成するための面転写シート(501)を挿入し、ブレード部材を成形するための空隙(507)(キャビティ)の内面に接するように配置する。面転写シートを配置する位置は、固定型(505)側であっても可動型(504)側であってもよい。また、面転写シート(501)の電荷制御面に転写される側の面は、保護フィルム(502)により、金型に配置される直前まで保護されていることが好ましい。また、本発明においては、図12に示すように、支持部材(503)も予め金型に送り込み、ブレード部材を成形するための空隙(507)内の面転写シートと対向する面に接するように配置して型閉めしてもよい。支持部材(503)は予め接着層を付与した金属薄板シートであり、接着層は保護フィルム(502a)により金型に配置される直前まで保護されていることが好ましい。
図13は、型締めされた金型の様子を示しており、ブレード部材が成形される空隙(507)の内面に面転写シート(501)および支持部材(503)が配置されている。この状態でブレード部材用組成物は、紙面の手前側からゲート(506)より射出成形される。そして、図14に示すように、面転写シート(501)、ブレード部材(508)および支持部材(503)が積層された成形品を得ることができる。なお、ブレード部材(508)と支持部材(503)との間には、接着層が形成されている。
ブレード部材用組成物は、通常、キャビティに連絡する射出口(ゲート)から射出されるが、射出口はブレード形状長手方向となるキャビティの長手方向端部に連絡する開口に設けてもよい。また、射出口は、金型の固定側に設けることが、製造の安定化のためには好ましい。
このようにして形成されるブレード部材は、所望のブレード形状、あるいは、そのブレード形状に追加工可能な前駆形状に成形される。前駆形状とは、その後、設計上の寸法に切り出すために、少し大きめに形成したものである。
面転写シートおよび支持部材は、長尺のものを用いて連続的に射出成形用の金型内に送り込んでもよく、また、個別に所望するブレード形状に切断した面転写シートおよび支持部材を金型キャビティ内にセットしてもよい。
型形状をあわせた面転写シートおよび支持部材の切断は、射出成形用の金型の型閉めの際に、キャビティ形成面を覆う面転写シートおよび支持部材を所定位置で切断するなどして長尺状のフィルムシートから切り離してもよい。あるいは、打ち抜きで切断してもよい。切り離しや切断は、金型に別途設けた切断手段、例えばカッター刃やヒートカッターなどが利用できる。あるいは、金型の雄型と雌型との型閉め時の型締め力により切断を行ってもよい。
通常、可動側から切断するケースが主体となるが、切り終わりが可動金型側(面転写シート側)であっても、固定金型側(支持部材シート側)であってもよい。また、インサート用の両部材シート(面転写シートおよび支持部材)は、投入直前まで保護フィルムでカバーされた製造工程とすれば、ブレード構成部材表面の保護が可能になり、良品率向上に寄与する。
次に、本発明で用いる面転写シートについて説明する。面転写シートとしては樹脂フィルムを用いる。面転写シートは、インサート部材として使用するため、高融点、あるいは、熱変形温度の高いものが好ましい。具体的には、熱硬化性樹脂フィルム、または、その融点が該ブレード部材の射出成形温度以上である熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。ただし、融点が射出成形温度未満の樹脂フィルムであっても、樹脂フィルムが変形しにくいように金型の樹脂が接する面を低温化できれば、面転写シートとして使用することができる。また、射出から成形、型から出すまでの時間を短くすることができ、その間に使用する面転写シートが問題となるほどに変形しなければ、融点がブレード部材の成形温度未満の可塑性樹脂フィルムも面転写シートとして使用することができる。例えば、面転写シートを肉厚で利用したときには、ブレード部材の成形製造時間内での面転写シートの変形は問題にならない場合がある。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、共重合系としては、例えば、エポキシ/アミノ系樹脂、エポキシ/フェノール系樹脂、エポキシエステル/アミノ系樹脂、アクリル/アミノ系樹脂、ポリエステル/アミノ系樹脂、アルキッド/アミノ系樹脂、自己硬化型アクリル樹脂等が挙げられ、架橋剤硬化型および自己硬化型のいずれのタイプの熱硬化性樹脂も使用できる。
また、反応形式で分けた場合、縮合型の熱硬化性樹脂プレポリマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂プレポリマー、レゾール型フェノール樹脂プレポリマー、ノボラック型アルキルフェノール樹脂プレポリマー、レゾール型アルキルフェノール樹脂プレポリマー、これらのキシレン/ホルムアルデヒド縮合物またはトルエン/ホルムアルデヒド縮合物による変性樹脂プレポリマー類等がある。
また、重付加型の熱硬化性樹脂プレポリマーとしては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、脂環式ジアルコールのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAビス(α−メチルグリシジルエーテル)、脂環式ジアルコールのビス(α−メチルグリシジルエーテル)等の固体状または液状のエポキシ樹脂プレポリマー等がある。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、ブレード部材の組成、射出成形温度によって用いるものが異なるが、例えば以下のようなものがある。
熱可塑性樹脂としては、液晶性ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリスチレンや、ハイインパクトポリスチレン、ミデイアムインパクトポリスチレンのようなゴム補強スチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)、アクリロニトリル−ブチルアクリレートラバー−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピルラバー−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS)、ABS樹脂(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アルファメチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、エチレン塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチレン塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBTP、PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール(POM)樹脂、その他のエンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリング樹脂、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PSU)等が挙げられる。
また、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、エチルセルロース(EC)等のセルロース誘導体、液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の液晶系ポリマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー(SBC)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、熱可塑性塩化ビニルエラストマー(TPVC)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPAE)等の熱可塑性エラストマーが挙げられるが、前記したように、インサート部材としての高温耐性をもつもの、または、高温耐性を持つように変性させたものが好ましい。
面転写シートとしては、これらの熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を適宜用いることができるが、中でも、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、これらの共重合体、または、これらのポリマーアロイのいずれか1種以上を含むフィルム、さらには、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、これらの共重合体、または、これらのポリマーアロイのいずれか1種以上を含むフィルムを用いることが好ましい。
また、面転写シートとして使用される樹脂フィルムは、ブレード部材の電荷制御面がそのレプリカ面になるので、その表面が平滑であることが好ましい。具体的には、その十点平均粗さRzが0.3μm以下であることが好ましい。さらには、面転写シートは、インサートシートとして金型内で用いられるので、所定の高温度(ブレード部材の射出成形温度)に耐え、平滑な面性状を維持するものであることが好ましい。用いる面転写シートの膜厚は適宜決めればよいが、通常、50乃至200μmとする。
本発明で用いる面転写シートは、その表面、具体的には、ブレード部材の電荷制御面を形成するのに用いられる面を被覆する保護フィルム(502)と積層フィルム化したものとすることが好ましく、面転写シートを金型内に送り込む直前に、保護フィルムである積層薄膜フィルムを剥離し、金型キャビティ内にセットする方法が好ましい。
面転写シートの当面側(ブレード部材用組成物が堆積される面)は、電荷制御面の形成に樹脂フィルムの面のレプリカを利用するものであるので、より平滑であることが好ましく、金型キャビティ内に送り込む直前まで保護されていることが好ましい。
保護フィルム(502)としては、特に限定されないが、例えば、厚さ50乃至200μmのポリエチレンフィルム、厚さ30乃至80μmのアクリルフィルム、厚さ12乃至25μmのフッ素フィルム、厚さ10乃至50μmのエチレンビニルアルコールフィルム、厚さ10乃至50μmのポリカーボネートフィルム、厚さ50乃至100μmの未延伸ポリエステルフィルム、厚さ12乃至100μmの未延伸ポリプロピレンフィルム、厚さ20乃至100μmの未延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、厚さ10乃至100μmのセルロースアセテートフィルム、厚さ10乃至100μmのポリスチレンフィルム、厚さ10乃至100μmのポリ塩化ビニルフィルムなどがある。
保護フィルム(502)と面転写シートの積層は、インフレーション法によるものでもTダイ押し出し方式によるものでも、所望の積層フィルムが得られる方法であればいずれで行ってもよい。また、表面被覆用の保護フィルム(502)と面転写シート(501)とを貼り合わせてもよく、例えば、低粘着の接着剤層として天然ゴム系、合成ゴム系、シリコーン系、アクリル系などのホットメルト樹脂からなる粘着剤をリバースコート、ロールコート、グラビア印刷などの方法で延伸フィルム上に形成し、両者を貼り合わせる。この低粘着の接着剤によって、表面被覆用の保護フィルムと面転写シート用フィルムとは粘着されているが、その接着力は比較的弱く、両者を容易に剥離することができる。
また、粘着力を低下させるために、接着剤の表面にフッ素系微粒子等の非粘着性の微粒子を少量分散塗布してもよい。
前述の通り、本発明においては、支持部材も予め金型に送り込み、キャビティ内の面転写シートと対向する面に接するように配置して型閉めした後、金型キャビティにブレード部材用組成物を射出してブレード部材を形成してもよい。この場合、金型に装着する前の支持部材である金属薄板と保護フィルムとの間に接着剤を塗布しておき、保護フィルムを剥離するときに金属薄板に接着層が付与された状態となるような構成にしておくことが好ましい。高温のブレード部材用組成物を射出したときに、その熱で金属薄板上の接着剤は形成されるブレード部材と溶融接着する。この場合には、金属薄板とブレード部材との接着を別途に行う必要がなく、一定の工程で接着が行われるので、均一な接着が各形成されたブレードに施され、より安定した品質が得られる。
また、接着剤を予め施しておかない場合でも、金属とブレード部材の材質の関係によっては必要な接着力が得られる場合もある。例えば、ブレード部材の樹脂中のイオウ分と支持部材の金属中の銅や亜鉛等との結合が生じる場合には、接着力が発生する(「ゴムと金属との接着」、ゴム協会誌、第73巻、第4号、2000年刊)。
トナー層規制ブレードの支持部材4aとしては、金属製または樹脂平板、ステンレススチール板、りん青銅版、アルミ板等を用いることができるが、金属薄板シートを用いることが好ましい。支持部材の大きさ、形状は適宜決めればよい。支持部材とブレード部材を接着する接着剤層としては、特に限定されないが、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等があり、流動性をもった状態のタイプで分類すれば、エマルジョン接着剤、溶剤可溶型接着剤、ホットメルト接着剤等が挙げられる。接着剤塗布量は適宜決めればよいが、通常、50乃至150g/m2とし、また、接着剤層の厚みは適宜決めればよいが、通常、20乃至100μmとする。本発明で用いる支持部材は、この接着剤層を保護するために、接着剤層を被覆する保護フィルムと積層フィルム化したものとすることが好ましく、支持部材を金型内に送り込む直前に、保護フィルムである積層薄膜フィルムを剥離し、金型キャビティ内にセットする方法が好ましい。保護フィルムとしては、特に限定されず、前述の面転写シートの保護フィルムと同じものが挙げられる。
次に、ブレード部材について説明する。ブレード部材はポリアミドまたはポリエステルのエラストマーが好ましい。
ポリアミドエラストマーとして好適なエラストマーとしては、ポリアミドとポリエーテルとのブロックコポリマーであるポリエーテルブロックアミドである。ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマーは、ポリアミド成分により摩擦帯電能力を示し、ポリエーテル成分により弾性を示すため、現像剤量規制弾性ブレードとして用いる場合、摩擦帯電性を向上させるためのコーティングや、添加剤の添加が不要であり、生産性の優れた現像剤量規制ブレードを得ることが可能である。更には支持層を伴って構成すれば、永久変形(へたり)による現像剤担持体と現像剤量規制ブレードとの当接圧の低下による画像不良を防止することができる。
ポリアミドとポリエーテルとのブロックコポリマーのポリアミドとしては、ポリアミド6,6・6,6・10,6・12,11,12,12・12及びそれらのポリアミドの異種モノマー間の重縮合から得られるポリアミドなどであり、好ましくは、ポリアミドの末端アミノ基を二塩基酸等によりカルボキシル化されたものが用いられる。
二塩基酸としては、ショウ酸,コハク酸,アジピン酸,スベリン酸,セバシン酸,ドデカン二酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸;マレイン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸;フタル酸,テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;及びこれらの二塩基酸とエチレングリコール,ブタンジオール,ヘキサンジオール,オクタンジオール,デカンジオール等のジオールから合成されるポリジカルボン酸等が用いられる。
また、ポリエーテル成分は、単独重合または共重合したポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオールや両末端がアミノ化されたポリエーテルジアミンなどがあり、これらポリエーテルとカルボキシル化ポリアミドより、エステル結合(ポリエーテルポリエステルポリアミド)あるいはアミド結合(ポリエーテルポリアミド)を持つポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマーが形成される。
トナーの充分な摩擦帯電性とショアーD硬度を所望の値として良好な弾性を実現させる観点から、ポリアミド成分は20質量%乃至80質量%が好適である。
また、ポリエステルエラストマーとして好適なエラストマーは、芳香族、例えば、ベンゼン環等に隣接したエステル基を有するハードセグメント成分と、ポリエーテルからなるソフトセグメント成分とのブロック共重合体のポリエステルエラストマー、特に熱可塑性ポリエステルエラストマーがより好ましい。
ポリエステルエラストマーのハードセグメント成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、p−フェニレンジカルボン酸等が好ましく、ソフトセグメント成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が好ましい。このポリエステルエラストマーのショアーD硬度は、上記ハードセグメント成分とソフトセグメント成分の配合比によって調節でき、必要に応じた現像プロセスに対応したポリエステルエラストマーのショアーD硬度を達成することができる。
なお、ブレード部材形成用の材料(樹脂組成物)には、所定のブレード部材としての物性を有するブレード部材を形成できるものであればよく、必要に応じて樹脂成分以外の各種添加剤を含有することができる。
ブレード部材もプロセス条件に規制される要素が多いが、所定の帯電性能を有するように、上記主材料に加え、導電材料を適量添加する等によってその性能を調整することが好ましい。導電材料としては、公知のものが使用でき、例えば、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粒子;ニッケル、銀、アルミニウム、銅などの金属微粒子;酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカなどを主成分とし、これに原子価の異なる不純物イオンをドーピングした導電性金属酸化物微粒子;炭素繊維などの導電性繊維;ステンレス繊維などの金属繊維;炭素ウイスカーやチタン酸カリウムウイスカーの表面を金属酸化物や炭素などにより導電化処理した導電性チタン酸カリウムウイスカーなどの導電性ウイスカー;ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性重合体微粒子などが挙げられる。その配合量は必要に応じて適宜決めればよい。ただし、ブレード部材の表面がより平滑になるように、微少な導電材料、表面粗さに影響が少ない形状の導電材料が好ましく、その配合量も少ない方が好ましい。
用いるブレード部材の厚みは、ブレードとしての十分な機能を実現する為に、1μm以上が好ましく、10μm以上が好ましく、50μm以上とする場合もあれば、100μm以上とする場合もある。一方、適度な当接を実現し、現像剤粒子を均一に帯電し、摩耗を抑制するために、300μm以下が好ましく、100μm以下が好ましく、50μm以下とする場合もある。また、同様の観点から、支持部材の厚さは、50μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましく、90μm以上がさらに好ましく、100μm以上が最も好ましく、一方150μm以下が好ましい。更に、同様の観点から、トナー層規制ブレードの厚さ(積層構造における総厚)は、上記のようにブレード部材の厚さと、上記のような支持部材の厚さとの和であることが好ましく、例えば51μm以上450μm以下が好ましい。本発明にかかるトナー層規制ブレードは、元来、その端部での現像剤粒子の漏れだしを有効に防ぐ為に、より薄い厚さを有することが好ましい。
このようにして射出成形して得られたブレード部材は面転写シートを片面に有し、支持部材も金型キャビティ内に配置した場合は面転写シートと対向する面に支持部材も有する。支持部材を有さず、面転写シートのみを有するブレード部材は、次に、ブレード部材の支持部材と貼り合わせる。具体的には、ブレード部材の面転写シートに対向する面と、ブレード部材の支持部材とを接着剤層を介して貼り合わせる。
トナー層規制ブレードの支持部材4aとしては、前述の通り、金属製もしくは樹脂平板、ステンレススチール板、りん青銅版、アルミ板等を用いることができる。
支持部材の大きさ、形状は適宜決めればよい。図15には、本発明にかかるトナー層規制ブレードの一例を、平面図として図15(a)に、断面図として図15(b)に示した。トナー層規制ブレードの全面においてブレード部材30及び支持部材31が積層され貼合わされており、ブレード部材30及び支持部材31の平面形状はトナー層規制ブレードの平面形状と同一である。言い換えれば、支持部材及びブレード部材の周縁形状がともにブレードの周縁形状をなし、すなわちこれらの周縁形状は、ブレードと同一となっており、支持部材の周縁(側面)とブレード部材の周縁(側面)の位置が一致してこれらの端面の両方によりブレード全体の周縁端面が形状されている。なお、本発明の目的効果を達成できる範囲内であれば、支持部材とブレード部材の側面が正確に一致してブレード側面を構成している必要はなく、少なくともブレード部材の背面全面に支持部材が貼着されていればよい。
支持部材とブレード部材との貼り合わせは、ホットメルトタイプの接着剤等の接着剤によって接着してもよく、あるいは、接着テープを用いて接合してもよい。接合方法は、使用するプロセス条件等によって適宜決定すればよい。ここで用いる接着剤としては、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等があり、流動性をもった状態のタイプで分類すれば、エマルジョン接着剤、溶剤可溶型接着剤、ホットメルト接着剤等がある。
そして、この支持部材、ブレード部材および面転写シートの積層体をプレス等により所定のブレード形状に切断する。射出成形する際のキャビティの大きさ、形状、また、ブレード部材と支持部材とを接着する際の両者の大きさ、形状は、ブレードとしての所定サイズとすることも可能であるが、成形過程での端部破損、傷つき等を考慮すると、大きめに成形し、所定の形状に切断することが好ましい。ただし、成形工程で、傷つき等の問題が生じない場合には、このように大きめに成形せずに、ブレード形状となるキャビティを用いて所定のサイズに成形し、接着してもよい。最後に、ブレード部材から面転写シートを剥がし、現れるブレード部材の表面を電荷制御面とする。
画像ムラ・スジなどの画像不良の発生を十分に抑制できるので、電荷制御面の十点平均粗さRzが0.3μm以下であることが好ましく、金型内に面転写シートを予め配置しておく本発明の方法によれば、かかる表面粗さの電荷制御面を安定かつ効果的に形成できる。
次に本発明の画像形成方法について図2を用いて説明する。
本発明は、交換自在なトナーカートリッジから現像カートリッジへ印字率やトナー座面を確認しながら逐次トナーを補給する機構を有する接触一成分現像である画像形成方法である。
図2は、本発明の画像形成方法が行われる画像形成装置の一実施例の概略構成を示す。本発明において、単色の画像形成を行う画像形成装置にて具現化されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の画像形成方法が行われる画像形成装置は、その概略中心部に、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム110を、矢印方向に回転可能に支持している。画像形成動作が開始すると、感光ドラム110の表面を帯電手段210が一様に帯電させる。その後、この感光ドラム110表面に、露光手段としてのレーザー照射ユニット310が画像情報に対応した露光を行い、感光ドラム110上に静電潜像が形成する。本発明によると、感光ドラム110の摩擦帯電電荷は負極性であり、レーザー照射ユニット310からの露光によってこの負極性の摩擦帯電電荷が減衰した部分が画像部を形成する。
静電潜像はその後、感光ドラム110の回転に伴って、現像装置410が供給する現像剤であるトナーにより可視化されて、感光ドラム110上に所謂トナー像が形成される。本実施例では現像は反転現像にて行い、摩擦帯電電荷と同極性(負極性)のトナーが、感光ドラム110上の負極性帯電が減衰した画像部に付着する。また、現像装置410へは、現像剤収容手段としてのトナーホッパー510からトナーが逐次補給される。
一方、不図示のカセットに収容された記録材Pは、給紙ローラ910によって感光ドラム1と転写手段としての転写ローラ610とが当接する転写領域へと、感光ドラム110上のトナー像が転写領域に至るのに同期して搬送されてくる。
こうして、感光ドラム110上のトナー像と記録材Pとが転写領域に至ると、転写ローラ610によって転写領域に形成される転写電界の作用で、トナー像が記録材P上に転写される。その後、未定着トナー像を担持した記録材Pは定着装置810の備える定着手段(ヒートローラ)810aによる加熱、及び加圧手段810bによる加圧を受けて、未定着トナー像は記録材P上に定着され、画像が形成する。
また、トナー像の転写を終了した感光ドラム110は、ブレード状のクリーニング手段を備えるクリーニング装置710によって感光ドラム110表面に残留する転写残トナーの除去を受けて、続く画像形成動作に備える。
次に、本発明の画像形成装置に備えられる現像装置410、トナーホッパー510について更に説明する。図3は、本発明に従う現像装置410、トナーホッパー510の概略構成とその近傍を示す。
本発明によると、現像装置410は、トナー担持体としての現像ローラ411を感光ドラム110に当接させ、トナーを感光ドラム110と「接触」させた状態で現像を行う接触現像方式を採用している。
現像装置410において、現像容器416は、感光ドラム110と対向する側の一部が開口しており、この開口部から一部露出するようにトナー担持体としての現像ローラ411が矢印方向に回転可能に現像容器416に支持されている。現像ローラ411は弾性体を含み所定の当接圧にて感光ドラム110に当接している。また、現像容器416の開口部には、現像ローラ411の下部からのトナーの飛散を防止するために、吹き出し防止シート417が設けられている。
現像ローラ411は、カーボンの如き導電剤を分散させたシリコーン、ウレタンの如き低硬度のゴム材或は発泡体、及びその組み合わせにより構成された半導電性弾性体ローラである。
現像容器416の開口部と反対側の上部に現像剤撹拌手段としての撹拌部材414が矢印方向に回転可能に設けられ、現像容器416内のトナーとトナーホッパー510から補給されるトナーを撹拌する撹拌領域Rを形成している。
撹拌領域Rを挟んだ現像容器416及びその外側には、撹拌領域Rのトナー面の高さを検知する為の、発光部415a、透過窓415b、受光部415cからなる光学方式を用いたトナー面検知手段415が配置されている。撹拌部材414の回転に伴ってトナーの剤面が変化するときの光の透過時間の割合を測定し、撹拌領域Rにおけるトナーの面の高さ情報を得ている。
撹拌領域Rの下方には、現像剤供給及び回収手段としての供給ローラ413が現像ローラ411に当接して配置される。供給ローラ413は弾性発泡体からなる弾性ローラであり、現像ローラ411に対し当接点において逆方向に回転している。
撹拌領域Rにおいて撹拌部材414により十分に撹拌され、その後、主に重力による移動により供給ローラ413近傍に供給されたトナーは、供給ローラ413により搬送され、現像ローラ411に供給される。
現像容器416には、現像ローラ411に加圧するようにトナー層厚規制部材としてのブレード412が設けられている。ブレード412は板バネ状の金属薄板412bに現像ローラ411当接面側表面に絶縁層412aを設けた弾性規制部材である。現像ローラ411上に供給されたトナーは、このブレード412によって層厚を規制され、且つ、塗布されて現像ローラ411上にトナーの薄層が形成する。更に、このときの現像ローラ411及びブレード412それぞれの表面との摩擦によって、トナーには現像に供するのに十分な摩擦電荷が付与される。
その後、現像ローラ411上のトナーの薄層は、現像ローラ411の回転に伴って、感光ドラム110と現像ローラ411とが当接する現像領域(現像ニップ)へと搬送され、トナーは感光ドラム110に接触した状態で現像に供される。即ち、感光ドラム110と現像ローラ411との間に現像電界が形成されるように、電源(図示せず)が接続されている。この現像電界の作用により現像ローラ411上のトナーは感光ドラム110上の静電潜像に転移し、感光ドラム110上には、トナー像が形成して静電潜像が可視化する。
また、現像ローラ411上に塗布され、現像ニップへと担持搬送されたが、現像には寄与せず、現像ローラ411上に更に担持されたままのトナーは、供給ローラ413による摺擦で現像ローラ411上から剥ぎ取られる。そして、その一部は新たに供給ローラ413上に供給されたトナーと共に再び供給ローラ413によって現像ローラ411上へと供給され、残りは現像容器416内へと戻される。尚、本発明では、供給ローラ403はトナー供給及び回収手段として2つの機能を兼ねているが、本発明はこれに限定されるものではなく、トナー供給手段とトナー回収手段とを別個に設けることも可能である。
また、現像装置410は画像形成装置に対し着脱可能に構成されており、所定寿命(本実施例ではA4サイズ換算にて6万枚に設定されている)により、交換される構成となっている。
各構成要素の配置において、前記撹拌部材414は、その可動範囲の鉛直方向下端γを、供給ローラ413の鉛直方向上端α、または後述する規制手段としてのブレード412の現像ローラ411との接点βのいずれか高い方(本実施例ではブレード412の現像ローラ411との接点βである)よりも上方に配置している。また、画像形成装置は、トナー面検知手段415からのトナー面の高さ情報を得ることにより、後述する制御手順により前記撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向下端γから現像容器416の上面の容器壁の高さδ未満の範囲内の図中γ’からδ’の一定範囲にトナー面が保たれるように、トナーホッパー510からの補給を制御している。
トナーホッパー510内には、トナーホッパー510内のトナーを解す為の撹拌部材514と、トナーホッパー510から現像装置410にトナーを補給するための補給ローラ513が配置されており、現像装置からの補給指令により、所定駆動時間当たり一定量のトナーを現像装置410に補給できるように構成されている。
次に、トナー量の検出及びトナーの補給動作について説明する。
前記のように、本実施例において、現像装置410の現像容器416内には撹拌部材414が矢印方向に回転可能に設けられ、現像容器416内のトナーとトナーホッパー510から補給されるトナーを撹拌する撹拌領域Rを形成している。
また、撹拌領域Rを挟んだ現像容器416及びその外側には、撹拌領域Rのトナー面の高さを検知する為の光学方式のトナー面検知手段415が配置されており、撹拌部材414の回転に伴ってトナーの剤面が変化するときの光の透過時間の割合を測定し、撹拌領域Rにおけるトナー面の高さ情報を得ている。
画像形成装置は、トナー面検知手段415からのトナー面の高さ情報を受けて、トナー面のレベルが図中γ’まで減少した際に、トナー補給指令を発しトナーホッパー510の補給ローラ513の駆動を開始する。このトナー補給指令により、補給ローラ513は所定駆動時間当たり一定量のトナーを現像装置410に補給する。また、この補給動作を継続し、トナー面検知手段415がトナー面のレベルが図中δ’まで上昇した事を検知すると、画像形成装置はトナー補給指令を停止し、補給ローラ513によるトナーの補給を停止する。
これにより現像装置内のトナー面の高さは、前記撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向下端γから現像容器416の上面の容器壁の高さδ未満の範囲内の図中γ’からδ’の一定範囲に保たれるように制御される。
本実施例ではγ’は撹拌部材414の可動範囲の中心より高い位置、δ’は撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向上端以下に設定されている。
補給ローラ513は前記撹拌部材414の形成する撹拌領域Rの鉛直上方に配置されており、補給されたトナーが撹拌領域Rを確実に通過するように構成されている。
この様な構成より、前記したように現像装置内の撹拌領域Rにおいてトナー面が撹拌部材414による現像装置内トナーと補給トナーの混合撹拌が十分に行われる様に制御されており、また、トナーは前記混合撹拌が十分なされた後に、撹拌領域Rと供給ローラ413、ブレード412の位置関係から画像形成によるトナー消費と主に重力による移動により供給ローラ413近傍にゆっくりと供給される。これにより、供給されたトナーが現像装置内のトナーと十分に混合されない状態で現像ローラに供給されてしまうことがなく、そのために発生していた濃度ムラ、カブリ、トナーボタ落ちの発生を防止することが可能である。また、トナー面の高さは現像容器416の上面の容器壁に当たらない様に制御される為、補給過剰により現像容器416内にトナーが満タン状態となりトナー圧力が上がることも無く、それによるトナー劣化の促進、トナー漏れ、トナーコートムラ起因の濃度ムラ、駆動トルクアップ等の問題の発生も防止することが出来る。
本発明の効果を有する各構成要素の位置関係に関しては、関係式
「供給ローラ413の鉛直方向上端α<ブレード412の現像ローラ411との接点β<撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向下端γ」
の他に、図4に示すように、供給ローラ413の鉛直方向上端αと、ブレード412の現像ローラ411との接点β、の鉛直方向の位置関係が逆の場合、撹拌部材404の可動範囲の鉛直方向下端γを、高いほうである供給ローラ413の鉛直方向上端αに対して更に上方に設定してもよい。
この場合、関係式は、
「ブレード412の現像ローラ411との接点β<供給ローラ413の鉛直方向上端α<撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向下端γ」
となる。
また図4のように、撹拌部材414の配置された撹拌領域Rと、現像ローラ411と供給ローラ413を含む現像室とが、現像室−撹拌領域開口418により分けられているような場合、現像室−撹拌領域開口418に対して、撹拌領域Rを上方に配置し、さたに前記条件を満たすように設定するのもその一つである。
また、図5に示すように、撹拌部材414の配置された撹拌領域Rと、現像ローラ411と供給ローラ413を含む現像室とが、現像室−撹拌領域開口418により分けられているような場合、現像室−撹拌領域開口418に対して、撹拌領域Rを上方に配置し、現像室−撹拌領域開口418の鉛直方向上端κを、供給ローラ413の鉛直方向上端α、またはブレード412の現像ローラ411との接点βのいずれか低い方よりも下方に配置し、撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向下端γを、現像室−撹拌領域開口418の鉛直方向上端κよりも上方に配置する。これにより、補給されたトナーは現像装置内のトナーと十分に混合された上で、現像室にトナー消費と重力による移動によりゆっくりと供給され現像に使用されるため、本発明の効果を更に得ることが出来る。
この場合、関係式は、
「現像室−撹拌領域開口418の鉛直方向上端κ<ブレード412の現像ローラ411との接点β<供給ローラ413の鉛直方向上端α、且つ現像室−撹拌領域開口418の鉛直方向上端κ<撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向下端γ」
または、
「現像室−撹拌領域開口418の鉛直方向上端κ<供給ローラ413の鉛直方向上端α<ブレード412の現像ローラ411との接点β、且つ、現像室−撹拌領域開口418の鉛直方向上端κ<撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向下端γ」
となる。
本発明では、トナーの剤面高さが制御される所定範囲γ’〜δ’を、撹拌部材の可動中心以上、撹拌部材の可動範囲の鉛直方向上端以下に設定しているが、「撹拌部材の可動範囲内にトナーが必ず存在する且つトナーが現像装置容器上面に接しない」範囲である「撹拌手段の可動範囲の鉛直方向下端より上方、且つ現像装置の上面の容器壁の高さ未満」内であれば、撹拌部材の形状、回転数、外径により撹拌効果が十分にある範囲と、検知手段のトナー面の検知精度の兼ね合いにより適宜設定すればよい。回転する撹拌手段を用いる場合などでは、「撹拌手段の可動範囲における鉛直方向高さの下1/3以上、撹拌手段の可動範囲の鉛直方向上端以下とする」、さらに好ましくは本発明のように「撹拌手段の可動中心以上、撹拌手段の可動範囲の鉛直方向上端以下とする」ことで撹拌手段の撹拌効果を有効に活用することが出来る。
本発明では、現像剤量検知手段415は、光学方式のものが採用されているが、例えば図5の圧電振動子センサ415dでも良いし、本発明の範囲に一定高さのトナー面が存在するか否かの識別が可能な検知手段、例えば歪みゲージ、加圧導電性シートを用いた任意の検出素子、静電アンテナ方式の検知手段で代替することが可能である。
補給ローラの撹拌領域Rに対する位置も、本発明のように撹拌領域の鉛直上方だけでなく、現像容器壁等により補給されたトナーが撹拌領域Rに導かれ、確実に撹拌領域を通過する構成であれば斜め上方等にずらして配置することも可能である。
しかしながら、本発明のトナー量を最低限保つ様に逐次トナー補給方式を用いた場合においても、耐久末期における補給トナーと現像に関わらなかったトナーとの混合により画像弊害が発生する場合があった。これは公称寿命を超えてから発生する場合が主であるが、本画像弊害を皆無にする為にはトナー側からアプローチを行う必要がある。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。以下にトナー粒子の製造方法について記載する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<脂肪酸金属塩1の製造>
撹拌装置付きの受け容器を用意し、撹拌機を350rpmで回転させた。この受け容器に0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液500質量部と投入し、液温を85℃に調整した。次に、この受け容器に0.2質量%硫酸亜鉛水溶液525質量部を、15分かけて滴下した。全量仕込み終了後、反応時の温度状態で10分間熟成し、反応を終結した。
次に、このようにして得られた脂肪酸金属塩スラリーを濾過洗浄した。得られた洗浄後の脂肪酸金属塩ケーキを粗砕後、連続瞬間気流乾燥機を用いて105℃で乾燥した。その後、ナノグラインディングミル〔NJ−300〕(サンレックス社製)にて風量6.0m3/min、処理速度80kg/hの条件で粉砕した後、リスラリーして湿式遠心分級機を用いて微粒子、粗粒子の除去を行った後、連続瞬間気流乾燥機を用いて80℃で乾燥して脂肪酸金属塩1を得た。得られた脂肪酸金属塩1の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.45μm、スパン値Bは0.92であった。脂肪酸金属塩1の物性を表1、粒度分布を図16に示す。
<脂肪酸金属塩2の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.25質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液に、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.15質量%硫酸亜鉛水溶液に変更すること以外は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩2を得た。得られた脂肪酸金属塩2の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.33μm、スパン値Bは0.81であった。脂肪酸金属塩2の物性を表1、粒度分布を図17に示す。
<脂肪酸金属塩3の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.0質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.7塩化カルシウム水溶液に変更した。また、5分間の熟成で反応を終結させた。粉砕の条件を風量5.0m3/minに変更し粉砕後は風力式の分級機で微粗粉を取り除き、脂肪酸金属塩3を得た。得られた脂肪酸金属塩3の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.58μm、スパン値Bは1.69であった。脂肪酸金属塩3の物性を表1に示す。
<脂肪酸金属塩4の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を2.0質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を1.0質量%塩化カルシウム水溶液に変更した。また、5分間の熟成で反応を終結させた。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩4を得た。得られた脂肪酸金属塩4の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.60μm、スパン値Bは1.51であった。脂肪酸金属塩4の物性を表1に示す。
<脂肪酸金属塩5の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.25質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液に、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.15質量%硫酸亜鉛水溶液に、また、粉砕の条件を風量10.0m3/min、にし、粉砕工程を3回行うように変更した。得られた脂肪酸金属塩5の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.18μm、スパン値Bは1.34であった。脂肪酸金属塩5の物性を表1に示す。
<脂肪酸金属塩6の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.7質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.3質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、粉砕の条件を風量4.0m3/min、処理速度50Kg/hとした。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩6を得た。得られた脂肪酸金属塩6の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.64μm、スパン値Bは0.98であった。脂肪酸金属塩6の物性を表1に示す。
<脂肪酸金属塩7の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.0質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.4質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、15分間の熟成で反応を終結させた。また、粉砕の条件を風量4.0m3/min、にした。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩7を得た。得られた脂肪酸金属塩7の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.72μm、スパン値Bは1.26であった。脂肪酸金属塩7の物性を表1に示す。
<脂肪酸金属塩8の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.0質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.4質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、粉砕工程を行った後の分級工程は行わず脂肪酸金属塩8を得た。得られた脂肪酸金属塩8の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.63μm、スパン値Bは1.79であった。脂肪酸金属塩8の物性を表1に示す。
<脂肪酸金属塩9の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.3質量%塩化リチウム水溶液に変更した。それ以外は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩9を得た。得られた脂肪酸金属塩9の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.33μm、スパン値Bは0.85であった。脂肪酸金属塩9の物性を表1に示す。
<脂肪酸金属塩10の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.05質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、また0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.02質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、粉砕の条件を風量10.0m3/minにし、3回粉砕工程を施した。その後、分級工程は行わず、メッシュ通しにより粗粒を除去し、脂肪酸金属塩10を得た。得られた脂肪酸金属塩10の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.12μm、スパン値Bは1.70であった。脂肪酸金属塩10の物性を表1に示す。
<脂肪酸金属塩11>
市販されているステアリン酸亜鉛(商品名;MZ2 日本油脂製)を脂肪酸金属塩11とする。体積基準におけるメジアン径(D50)は1.29μm、スパン値Bは1.61であった。脂肪酸金属塩11の物性を表1に示す。粒度分布を図18に示す。
(スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体の製造例)
還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管,滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール250部、2−ブタノン150部及び2−プロパノール100部、モノマーとしてスチレン92.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル5部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸2.5部を添加して撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤であるt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.30部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を50分かけて滴下して5時間撹拌を継続し、更にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.15部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、更に5時間撹拌して重合を終了した。
重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕した。得られた重合体をスルホン酸基含有重合体とする。該重合体の重量平均分子量(Mw)は35000であった。
(トナー製造例1)
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム3.3部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
一方、
スチレン 65部
n−ブチルアクリレート 35部
飽和ポリエステル樹脂 7.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=5000、Mw/Mn=2.4)
スルホン酸基含有重合体 2部
サリチル酸アルミニウム化合物 1部
(ボントロンE−88、オリエント化学社製)
C.I.ピグメントブルー15:3 7部
ジ−t−ブチルエーテル 0.02部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃、Mw=1200)14部を添加混合溶解した。これに重合開始剤2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(10時間半減期温度 51℃)10部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、65℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、−5℃/minの冷却速度で懸濁液を冷却した。
室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子1を得た。
次に、上記粒子を40℃にて12時間乾燥後、風力分級を行って粒径と粒度分布を調整してトナー粒子(1)を得た。
このトナー粒子100部と、外添剤としてシリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体1.5部、及びハイドロタルサイト(協和化学社製、DHT−4A)0.1部、更に脂肪酸金属塩1をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合してトナー1を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例2)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1の添加量を0.05部に変更した以外は同様にしてトナー2を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例3)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩2に変更した以外は同様にしてトナー3を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例4)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩3に変更した以外は同様にしてトナー4を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例5)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩4に変更した以外は同様にしてトナー5を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例6)
トナー製造例1において重合開始剤2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(10時間半減期温度 51℃)の添加量を15部に変更する以外は同様にしてトナー6を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例7)
トナー製造例1において重合開始剤2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(10時間半減期温度 51℃)の添加量を8部に変更する以外は同様にしてトナー7を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例8)
トナー製造例1において重合開始剤2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(10時間半減期温度 51℃)の添加量を16.5部に変更する以外は同様にしてトナー8を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例9)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩5に変更した以外は同様にしてトナー9を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例10)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩6に変更した以外は同様にしてトナー10を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例11)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩7に変更した以外は同様にしてトナー11を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例12)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩8に変更した以外は同様にしてトナー12を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例13)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩9に変更した以外は同様にしてトナー13を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例14)
トナーの製造例1のハイドロタルサイトを添加しなかった以外は同様にしてトナー14を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例15)
トナーの製造例1の疎水性シリカ微粉体の添加量を1.6部、ハイドロタルサイトの添加量0.2部に変更した以外は同様にしてトナー15を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例16)
トナーの製造例1の疎水性シリカ微粉体の添加量を1.96部、ハイドロタルサイトの添加量0.07部に変更した以外は同様にしてトナー16を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例17)
トナーの製造例1の疎水性シリカ微粉体の添加量を1.2部、ハイドロタルサイトの添加量0.4部に変更した以外は同様にしてトナー17を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例18)
トナーの製造例1の疎水性シリカ微粉体の添加量を1.6部、ハイドロタルサイトの添加量0.5部に変更した以外は同様にしてトナー18を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例19)
65℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム1.0部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
一方、
スチレン 80部
n−ブチルアクリレート 20部
飽和ポリエステル樹脂 7.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=5000、Mw/Mn=2.4)
スルホン酸基含有重合体 2部
サリチル酸アルミニウム化合物 1部
(ボントロンE−88、オリエント化学社製)
C.I.ピグメントブルー15:3 7部
ジ−t−ブチルエーテル 0.02部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を65℃に加温し、そこにステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃、Mw=1200)9部を添加混合溶解した。これに重合開始剤2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(10時間半減期温度 51℃)4部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、65℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、65℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、−5℃/minの冷却速度で懸濁液を冷却した。
室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子19を得た。
次に、上記粒子を40℃にて12時間乾燥後、該乾燥物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して粒径と粒度分布を調整しトナー粒子19を得た。
このトナー粒子100部と、外添剤としてシリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体1.5部、及びハイドロタルサイト(協和化学社製、DHT−4A)0.1部、更に脂肪酸金属塩1をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合してトナー19を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例20)
トナーの製造例1のジ−t−ブチルエーテルを添加しなかった以外は同様にしてトナー20を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例21)
トナーの製造例1において、リン酸三カルシウムの添加量を4.0部とし、疎水性シリカ微粉体(シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nm)の添加量を1.8部に変更し、更には脂肪酸金属塩1の添加量を0.12部に変更た以外は同様にしてトナー21を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例22)
トナーの製造例1において、リン酸三カルシウムの添加量を2.5部とし、疎水性シリカ微粉体(シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nm)の添加量を1.3部に変更し、更には脂肪酸金属塩1の添加量を0.8部に変更した以外は同様にしてトナー22を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例23)
トナーの製造例1において、リン酸三カルシウムの添加量を4.2部とし、疎水性シリカ微粉体(シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nm)の添加量を1.9部に変更した以外は同様にしてトナー23を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例24)
トナーの製造例1において、リン酸三カルシウムの添加量を2.4部とし、疎水性シリカ微粉体(シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nm)の添加量を1.2部に変更した以外は同様にしてトナー24を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造25)
・溶液重合法により製造したスチレン・アクリル酸ブチル共重合体(ガラス転移温度:65℃、重量平均分子量:12,500、Mw/Mn:2.4) 100部
・懸濁重合法により製造したスチレン・アクリル酸共重合体(ガラス転移温度:59℃、 重量平均分子量:573,000、Mw/Mn:2.0) 100部
・サリチル酸アルミニウム化合物
(ボントロンE−88;オリエント化学社製) 4部
・スルホン酸基含有重合体 3部
・C.I.ピグメントブルー15:3 8部
・ジ−t−ブチルエーテル 0.06部
・スチレン−メタクリル酸−メチルメタクリレート 5部
(スチレン/メタクリル酸/メチルメタクリレート=95.85/1.65/2.50、Mp=15000、Mw=7900、Tg=89℃、酸価=10.9mgKOH/g、Mw/Mn=2.17)
・ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃、Mw=1200) 4部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕後、風力分級して粒径と粒度分布を調整し着色粒子を得た。次いで該着色粒子を窒素雰囲気下、スプレードライヤーを用いて70℃で1時間加熱球形化処理を行い、その後、冷却してトナー粒子25を得た。
このトナー粒子100部と、外添剤としてシリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体1.5部、及びハイドロタルサイト(協和化学社製、DHT−4A)0.1部、更に脂肪酸金属塩1をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合してトナー25を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例26)
トナーの製造例1のC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー17に変更する以外は同様にしてトナー26を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例27)
トナーの製造例1のC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントレッド122に変更する以外は同様にしてトナー27を得た。結果を表2に示す。
(トナー製造例28)
トナーの製造例1のC.I.ピグメントブルー15:3をカーボンブラック(DBP吸油量:42cm3/100g、比表面積:60m2/g)に変更する以外は同様にしてトナー28を得た。結果を表2に示す。
(比較トナー製造例1)
トナーの製造例1において、リン酸三カルシウムの添加量を2.5部とした。また、外添剤としてシリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体の添加量を2.0部に変更したこと以外は同様にして比較トナー1を得た。結果を表2に示す。
(比較トナー製造例2)
トナーの製造例1において、リン酸三カルシウムの添加量を4.0部とした。また、外添剤としてシリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体の添加量を1.1部に変更し、更に一次粒径が250nmのルチル型酸化チタン微粉体0.05部を追加したこと以外は同様にして比較トナー2を得た。結果を表2に示す。
(比較トナー製造例3)
トナーの製造例1において、リン酸三カルシウムの添加量を4.0部とし、また脂肪酸金属塩1の添加量を0.01部に変更し、更に外添剤としてサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE−88;オリエント化学社製)0.1部を追加した以外は同様にして比較トナー3を得た。結果を表2に示す。
(比較トナー製造例4)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩10に変更した以外は同様にして比較トナー4を得た。結果を表2に示す。
(比較トナー製造例5)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩11に変更した以外は同様にして比較トナー5を得た。結果を表2に示す。
(比較トナー製造例6)
トナーの製造例1の脂肪酸金属塩1を添加しなかった以外は同様にして比較トナー6を得た。結果を表2に示す。
<トナー層規制部材の製造例1>
面転写シートには、押し出し成形で作製したポリエチレンテレフタレートのフィルム(東洋紡社製、商品名:E5000、厚さ100μm、十点平均表面粗さRz=0.2μm)と、その表面被覆用保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(宇部興産(株)社製、商品名:UBEポリプロJ309GL、厚さ80μm)とを軽粘着剤により積層したものを用いた。まず、この面転写シートを表面被覆用保護フィルムを剥離しながら射出成形用の金型内に送り込み、キャビティの内面に接するように配置して型閉めした。そして、金型が締め付けられた後の面転写シートと金型との間に設けられた隙間(金型キャビティ)に、金型温度40℃で、ブレード部材用組成物としてポリエステルエラストマー(東レ・デュポン社製、商品名:ハイトレル3046、ショアーD硬度が25度)を固化後厚みが、200μmとなるように、約250℃に溶融射出し、面転写シートと一体化密着させて固化してブレード部材を形成した。
次いで、得られたブレード部材の面転写シートに対向する面に、支持部材としてバネ弾性を持つりん青銅板(板厚0.12mm、幅22mm、長さ200mm)を接着剤(東洋モートン社製、商品名:アドコートAD−76P1)を用いて貼り合わせ、所望のブレード形状に切断した。ブレード部材は、幅5mm、長さ200mm、厚さ0.2mmの板状成形物とした。最後に、ブレード部材から面転写シートを剥がし、現れたブレード部材の面を電荷制御面としてトナー層規制部材1を作製した。
<トナー層規制部材の製造例2>
トナー層規制部材の製造例1において、ポリエステルエラストマーを東レ・デュポン社製、商品名:ハイトレル5557(ショアーD硬度が55度)に変更した以外は同様にしてトナー層規制部材2を作製した。
<トナー層規制部材の製造例3>
トナー層規制部材の製造例1において、ポリエステルエラストマーを東レ・デュポン社製、商品名:ハイトレル2751(ショアーD硬度が75度)に変更した以外は同様にしてトナー層規制部材3を作製した。
<トナー層規制部材の製造例4>
トナー層規制部材の製造例1において、ポリエステルエラストマーを東洋紡社製、商品名:ペルプレンE−450B(ショアーD硬度が78度)に変更した以外は同様にしてトナー層規制部材4を作製した。
<トナー層規制部材の製造例5>
トナー層規制部材の製造例1において、ポリエステルエラストマーをショアーD硬度が50度のポリアミドエラストマー(12−ナイロンをドデカン二酸によりカルボキシル化したものとポリテトラメチレングリコールを縮重合したもの)に変更し、溶融温度と金型温度を各々200℃と30℃に変更した以外は同様にしてトナー層規制部材5を作製した。
<トナー層規制部材の製造例6>
トナー層規制部材の製造例1において、ポリエステルエラストマーをショアーD硬度が20度のポリアミドエラストマー(12−ナイロンをドデカン二酸によりカルボキシル化したものとポリテトラメチレングリコールを縮重合したもの)に変更し、溶融温度と金型温度を各々200℃と30℃に変更した以外は同様にしてトナー層規制部材6を作製した。
<トナー層規制部材の製造例7>
トナー層規制部材の製造例1において、ポリエステルエラストマーをポリウレタン−ポリエーテルブロック共重合エラストマー(DIC バイエルポリマー社製、商品名;T−8195N、ショアーD硬度が55度)に変更した以外は同様にしてトナー層規制部材7を作製した。
<実施例1>
トナー1を非磁性一成分系現像剤とし、当該現像剤を高温高湿度条件下(温度30℃,湿度80%RH)および常温常湿度環境下(温度23℃,湿度50%RH)更には低温低湿度条件下(温度15℃、湿度10%RH)において画像評価を行った。画像評価を行った画像形成装置について、以下に説明する。
画像形成装置はHP Color LaserJet CP6015dn(ヒューレットパッカード製)を用い、下記(a)乃至(e)の条件を変更或いは改造して使用した。
(a)画像形成装置のプロセススピードを200mm/secに変更し、これに対する、現像ローラの周速は280mm/secに変更した。
(b)プロセスカートリッジの寿命を検知しないように改造した。
(c)カートリッジ有無の検知をしないように改造し、単色でも耐久評価及び画像評価が行えるようにした。
(d)本実施例の現像室3は、図7−Iに示すように搬送方向上流側の現像室の断面と搬送方向下流側の現像室の断面を同形状とし、現像室内のトナーが充填される容積が同じになるようにした。
図7−Iの黒塗り部で示すように、供給ローラ(供給部材)の回転中心軸より鉛直上方の領域でスクリューの搬送領域を除く現像容器12によって囲まれた断面積をSと定義する。スクリューによる搬送領域とは、スクリュー形状の最上点と最下点に囲まれた領域である。図7−Iのa乃至cに示すように搬送方向上流側開始点と搬送方向中央部及び搬送方向下流側最終点では該最近接距離が何れも7mmになるように調整した。図7−Iのaの斜線で示す搬送方向上流側断面積S1は、図7−Iのcの斜線で示す搬送方向下流側の断面積S3と等しくS1=S2=S3である。
(e)トナー層規制部材としてトナー層規制部材2を使用した。
以上の条件で、高温高湿環境(30℃,80%RH)および常温常湿環境下(23℃、50%RH)、低温低湿環境下(15℃、10%RH)の環境下にて1%の印字比率の画像を60000枚までプリントアウトに際して、初期と40000枚耐久後、60000枚耐久後に下記に示す画像評価を行った。
(1)画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)の転写材を用いて、ベタ画像を出力し、その濃度を測定(右上、右下、中心、左上、左下の5点平均)することにより評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
S:画像濃度が1.50以上
A:画像濃度が1.45以上1.50未満
B:画像濃度が1.30以上1.45未満
C:画像濃度が1.15以上1.30未満
D:画像濃度が1.15未満
(評価上、Sが最もよく、次いでA、B、C、Dの順番で悪化していく。)
(2)濃度均一性
上記画像濃度において、5点の測定点の最大値と最小値の差を以下の基準で評価した。
S:0.02未満
A:0.02以上0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.20未満
D:0.20以上
(評価上、Sが最も良く、A,B,C,Dの順番で悪化していく。)
(3)補給時の濃度均一性
濃度均一性の測定を高印字画像(印字率50%)を70枚出力してから行う以外は上記(2)の濃度均一性と同様の手法で行った。
(4)カブリ
カブリの測定については、東京電色社製の反射濃度計、REFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して、標準紙及びプリントアウト画像の非画像部の反射率を測定した。測定で用いられるフィルターには、シアントナーで印字時はアンバーフィルターを用い、イエロートナーで印字時はブルーフィルターを用い、マゼンタトナーとブラックトナーで印字時はグリーンフィルターを用いた。測定結果から下記の式よりカブリを算出し、以下の基準で評価した。
カブリ(反射率:%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
S:カブリ(反射率)が0.5%未満
A:カブリ(反射率)が0.5%以上、1.0%未満
B:カブリ(反射率)が1.0%以上、1.5%未満
C:カブリ(反射率)が1.5%以上、2.0%未満
D:カブリ(反射率)が2.0以上
(評価上、Sが最もよく、A,B,C,Dの順番で悪くなっていく。)
(5)補給時カブリ
カブリの測定を高印字画像(印字率50%)を70枚出力してから行う以外は上記(3)のカブリ測定と同様の手法で行った。
(6)ボタ落ち
各サンプリング時にて、ベタ画像1枚・ハーフトーン画像1枚を出力し、ハーフトーン画像におけるトナーボタ落ち個数から以下の基準でボタレベルを判別した。下記判定基準においてAが良くCが悪い。
A:全くボタ落ちせず
B:極僅かにボタ落ち有り(ハーフトーン画像上1個)
C:ボタ落ち有り(ハーフトーン画像上に2〜3個)
D:酷いボタ落ち(ハーフトーン画像上4個以上)
上記条件でトナー1を評価したところ、濃度も高く且つその均一性も十分であり、またカブリや補給カブリ、トナーのボタ落ちも無く良好であった。詳細な結果を表3乃至表5に示す。
<実施例2乃至5、10、11>
実施例1と同条件で、トナー2乃至トナー5、7、8を評価した。詳細の結果を表3乃至表5に示す。
<実施例6>
実施例1において、トナー層規制部材をトナー層規制部材7に変更する以外は同様にして評価を行った。詳細の結果を表3乃至表5に示す。
<実施例7>
実施例1において、トナー層規制部材をトナー層規制部材1に変更し、評価するトナーをトナー6とする以外は同様にして評価を行った。詳細の結果を表3乃至表5に示す。
<実施例8>
実施例1において、トナー層規制部材をトナー層規制部材3に変更し、評価するトナーをトナー6とする以外は同様にして評価を行った。詳細の結果を表3乃至表5に示す。
<実施例9>
実施例1において、トナー層規制部材をトナー層規制部材5に変更し、評価するトナーをトナー6とする以外は同様にして評価を行った。詳細の結果を表3乃至表5に示す。
<実施例12>
実施例1において、トナー層規制部材をトナー層規制部材6に変更し、評価するトナーをトナー9とする以外は同様にして評価を行った。詳細の結果を表3乃至表5に示す。
<実施例13>
実施例1において、トナー層規制部材をトナー層規制部材4に変更し、評価するトナーをトナー10とする以外は同様にして評価を行った。詳細の結果を表3乃至表5に示す。
<実施例14乃至29>
実施例1と同条件で、トナー11乃至トナー28を評価した。詳細の結果を表3乃至表5に示す。
<比較例1乃至6>
実施例1と同条件で、比較トナー1乃至6を評価したところ、濃度の低下が見られ、また濃度均一性やカブリ、補給カブリ、トナーのボタ落ちのレベルも悪いものとなった。詳細な結果を表3乃至表5に示す。
<実施例30乃至32>
実施例1において用いる画像形成装置の構成を以下の通りとする以外は同様の方法により実施例30乃至32を行った。
図7に実施例30乃至32の概略構成とその近傍を示す。
本実施例の現像室3は、図7−IIに示すように搬送方向上流側の現像室の断面と搬送方向下流側の現像室の断面とが異なる形状になっており、現像室内のトナーが充填される容積が異なっている。
図7−IIの黒塗り部で示すように、供給ローラ(供給部材)の回転中心軸より鉛直上方の領域でスクリューの搬送領域を除く現像容器12によって囲まれた断面積をSと定義する。スクリューによる搬送領域とは、スクリュー形状の最上点と最下点に囲まれた領域である。尚、本実施例は実施例1乃至29の現像室に図8に示す形状の現像室埋めブロックを新設することで検討を行った。図7−IIのaに示すように搬送方向上流側開始点では供給ローラ2と現像容器12に新設した埋めブロックとの最近接距離を3mmとし、搬送方向下流に行くに従い該最近接距離が連続的に変化し、図7−IIのbに示すように搬送方向中央部では該最近接距離が5mm、図7−IIのcに示すように搬送方向下流側最終点では該最近接距離が7mmになるように連続的に変化している。図7−IIのaの斜線で示す搬送方向上流側断面積S1は、図7−IIのcの斜線で示す搬送方向下流側の断面積S3よりも小さくなっており、S1からS3へは連続的に変化している。
詳細な結果を表3乃至5に示す。
<実施例33乃至35>
実施例32と同条件で、トナー26乃至28を評価した。詳細な結果を表3乃至表5に示す。