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JP2010006935A - 被覆フィルムおよび蒸着フィルム - Google Patents

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JP2010006935A
JP2010006935A JP2008167165A JP2008167165A JP2010006935A JP 2010006935 A JP2010006935 A JP 2010006935A JP 2008167165 A JP2008167165 A JP 2008167165A JP 2008167165 A JP2008167165 A JP 2008167165A JP 2010006935 A JP2010006935 A JP 2010006935A
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Yumi Tsumagari
祐美 津曲
Mitsuru Kuwabara
満 桑原
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Abstract

【課題】 酸素、水蒸気バリア性、特に水蒸気バリア性に優れ、かつ耐水性に優れた蒸着用被覆フィルムを提供すること。
【解決手段】 高分子樹脂組成物からなる未延伸フィルムを一方向に延伸した後、ウレタン結合基及びウレア結合基と酸基を有するポリウレタン樹脂組成物の水分散被覆液を前記延伸フィルムに塗布した後、前記被覆液を塗布した延伸フィルムを先の延伸方向と直行方向に延伸する工程と熱処理工程を経て得られた被覆層を有し、被覆層の水の接触角が50°〜100°の範囲であり、三次元表面粗さSRaが0.040μm以下であることを特徴とする被覆フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食品や非食品及び、医薬品等の包装分野に用いられる被覆フィルムであり、特に蒸着用フィルム適したフィルに関するものである。
食品や非食品及び、医薬品等に用いられる包装材料は、1)蛋白質、油脂の酸化抑制2)味、鮮度の保持3)医薬品の効能維持のために、酸素、水蒸気などのガスを遮断する性質、すなわちガスバリア性を備えることが求められている。
そのため、従来からポリビニルアルコール(以下、PVAとする)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、或いはポリ塩化ビニリデン樹脂(以下、PVDCとする)など一般にガスバリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物を積層したフィルムが包装材料として使用されてきた。また、適当な高分子樹脂組成物のフィルムにアルミニウムなどの金属を蒸着したものやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したものも包装材料として一般的に使用され始めている。
ところが、上述のPVA,EVOH系の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア性積層フィルムは、温度依存性及び湿度依存性が大きいため、高温又は高湿下においてガスバリア性の低下が見られる。またPVDCは被膜中に塩素を多量に含むため、焼却処理やリサイクリングなど廃棄物処理の面で問題がある。
さらに、上述の金属を蒸着したフィルムやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したフィルムは、蒸着物と樹脂フィルムの機械的性質、化学的性質、熱的性質などの物性が非常に異なっていることから、ガスバリア層に用いられる無機物の薄膜が可携性に欠け、操みや折り曲げに弱い。また、基材との密着性が悪いため、取り扱いに注意を要し、特に印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、クラックを発生しガスバリア性が著しく低下する問題がある。さらに、真空プロセスを用いて形成するため装置が高価であったり、形成工程において局部的に高温となり、基材に損傷を生じたり、低分子量部或いは可塑剤などの添加剤の分解、脱ガスなどを起因として蒸着層中に欠陥、ピンホール等を発生することがある。すなわち、これまでの蒸着フィルムは高いガスバリア性を達成できないこと、コスト的に高価となるという問題を有している。
また、基材にi)ウレタン基およびウレア基の合計濃度が高く、かつ酸基を有するポリウレタン樹脂と、(ii)ポリアミン化合物とを含んでいるアニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂からなる被膜の上に無機蒸着層を形成してなるガスバリア材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、さらなるバリア性の向上が求められている。
特開2005−139435号公報
本発明は、酸素、水蒸気バリア性、特に水蒸気バリア性に優れ、かつ耐水性に優れた蒸着用被覆フィルムを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、発明者らが鋭意検討した結果、本願発明に至った。すなわち、本願発明は、高分子樹脂組成物からなる未延伸フィルムを一方向に延伸した後、ウレタン結合基及びウレア結合基と酸基を有するポリウレタン樹脂組成物の水分散被覆液を前記延伸フィルムに塗布した後、前記被覆液を塗布した延伸フィルムを先の延伸方向と直行方向に延伸する工程と熱処理工程を経て得られた被覆層を有し、かつ厚みが0.10〜0.50μmである被覆層を積層し、かつ被覆層の水の接触角が50°〜100°の範囲であり、三次元表面粗さSRaが0.040μm以下であることを特徴とする被覆フィルムである。
また、この場合において、前記熱処理工程の温度が205〜240℃の範囲であることが好適でる。
さらにまた、この場合において、前記被覆フィルムの被覆層上に無機薄膜層を蒸着したことが好適である。
さらにまた、この場合において、前記蒸着フィルムの酸素透過度が7ml/m・day・MPa以下、水蒸気透過度が1.0g/m・day以下の値であることが好適である。
また、本願発明の被覆フィルムの製造方法として、ポリエチレンテレフタレートからなる未延伸フィルムを一方向に延伸した後、ウレタン結合基、ウレア結合基、及び酸基を有するポリウレタン樹脂組成物の水分散被覆液を前記延伸フィルムに塗布した後、前記被覆液を塗布した延伸フィルムを先の延伸方向と直行方向に延伸し、次いで220〜240℃で熱処理することが好適である。
本発明により、酸素バリア性、水蒸気バリア性、特に水蒸気バリア性に優れ、かつ優れた耐水性を示し、蒸着用被覆フィルムとして使用できる。
以下、本発明のガスバリア性フィルムの実施の形態を説明する。
[基材層]
本発明で用いる基材層は、例えば、有機高分子を溶融押し出しして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンー2,6一ナフタレートなどで代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。
また本発明における基材層は、積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
またフィルムにはシリカなどの微粒子を添加することができる。基材層の製造方法については、共押出し法、キャスト法など、既存の方法を使用することができる。
[被覆層]
上述の基材層の少なくとも一方の面に、特定の被覆層が積層される。
特定の被覆層としては、膜強度と耐水性に優れ、かつ無機薄膜層との密着性に優れるポリウレタン樹脂が好ましい。
上述のような特性を併せ持つ被覆層に用いるポリウレタン樹脂は、ウレタン基およびウレア基の合計濃度が高く、かつ酸基を有するポリウレタン樹脂を必須成分とするものである。このようなポリウレタン樹脂は下記に示す各種の(A)ポリイソシアネート化合物、(B)ポリオール化合物、(C)ポリヒドロキシ酸、(D)鎖延長剤を使用して、反応させて得ることができる。
特に、膜強度を高め、耐水性を高めるためには、上記(C)ポリヒドロキシ酸により、ポリウレタン樹脂を水性あるいは水分散化したり、上記(C)ポリヒドロキシ酸や(D)鎖延長剤により、ポリウレタン樹脂を3次元化(架橋)することが有効である。
特に、上記(C)ポリヒドロキシ酸はフィルム上に被覆後に加熱することにより容易することやポリウレタン樹脂を水性あるいは水分散化するうえで有効である。
ポリウレタン樹脂のウレタン基およびウレア基(尿素基)の合計濃度は、ガスバリア性の観点から、15質量%〜60質量%、好ましくは25〜60質量%、さらに好ましくは35〜55質量%程度である。なお、ウレタン基濃度及びウレア基濃度とは、ウレタン基の分子量(59g/当量)又はウレア基の分子量(一級アミノ基(アミノ基):58g/当量、二級アミノ基(イミノ基):57g/当量)を、繰り返し構成単位構造の分子量で除した値を意味する。なお、混合物を用いる場合、ウレタン基およびウレア基の濃度は、反応成分の仕込みベース、すなわち、各成分の使用割合をベースとして算出できる。
ポリウレタン樹脂の酸基としては、カルボキシル基などが例示できる。酸基は、ポリウレタン樹脂の末端又は側鎖に位置していてもよい。この酸基は、通常、中和剤(塩基)により中和可能であり、塩基と塩を形成していてもよい。
ポリウレタン樹脂の酸価は、水溶性又は水分散性を付与できる範囲で選択でき、通常、5〜100mgKOH/g、好ましくは10〜70mgKOH/g(例えば、10〜60mgKOH/g)、さらに好ましくは15〜60mgKOH/g(例えば、16〜50mgKOH/g)程度である。
本発明のポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位は、ポリイソシアネート成分、ポリヒドロキシ酸成分、ポリオール成分や鎖伸長剤成分に由来して、炭化水素環(芳香族及び非芳香族炭化水素環)を含んでいる。ポリウレタン樹脂の繰り返し単位における炭化水素環単位の割合は、10〜70質量%、好ましくは15〜65質量%、さらに好ましくは20〜60質量%程度である。
ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、800〜1,000,000、好ましくは800〜200,000、さらに好ましくは800〜100,000程度の範囲から選択できる。
ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性を高めるため、結晶性であってもよい。また、ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、100〜200℃程度、好ましくは110〜180℃程度、さらに好ましくは120〜150℃程度である。
その他のウレタン樹脂の成分については、本願発明の目的を阻害しない範囲であれば、特に制限されるものではない。
(A)ポリイソシアネート化合物
ポリイソシアネート化合物には、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが含まれる。ポリイソシアネート化合物としては、通常、ジイソシアネート化合物が使用される。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4−ジフェニルシイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−、または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルシイソシアネートなどが例示できる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネートー1,4−ジエチルベンゼンなどが例示できる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアネートメチルー3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロシイソシアネート、IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’、2,4’−又は2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチルー2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルー2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(水添XDI)などを挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンダメチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカフェートなどを挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物(A)としては、炭化水素環を有する化合物を含むポリイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。このような化合物としては、例えば、芳香族、芳香脂肪族および脂環族ポリイソシアネート(特にジイソシアネート)などが挙げられる。
より具体的には、ジイソシアネート成分のうち芳香族ジイソシアネートとしては、TDI、MDI、NDIなどが好ましく、芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、XDI、TMXDIなどが好ましく、脂環族ジイソシアネートとしては、IPDI、水添XDI、水添MDIなどが好ましい。
フィルムへのコート特性の観点からは、芳香脂肪族ジイソシアネート(XDI、TMXDIなど)および脂環族ジイソシアネート(IPDI、水添XDI、水添MDIなど)が好ましく、特に、XDI、水添XDIなどが好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
特に、本発明に使用するキシリレン基含有ウレタン樹脂は、原料の一つであるポリイソシアネート化合物にキシリレンジイソシアネート(XDI)及び水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)を用いることで製造することが好ましい。これにより、酸素バリア性、水蒸気バリア性を向上させることができる。
キシリレンジイソシアネート(XDI)及び水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)に含まれるキシリレン基は、高いパッキング性を有する官能基であり、自己架橋が進行するとさらに最密な構造になるためバリア性向上に寄与すると推測される。
キシリレンジイソシアネートと水添キシリレンジイソシアネートを併用することで産酸価が大きくなり、自己架橋が進行しやすくなるという利点がある。
キシリレンジイソシアネート(XDI)と水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)の合計量の割合は、通常、ポリイソシアネート化合物(A)全体に対して10〜100質量%の範囲から選択でき、通常20〜100質量%が好ましく、さらに好ましくは25〜100質量%、特に好ましくは30〜100質量%である。
また、キシリレンジイソシアネート(XDI)と水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)の割合については、それらの合計に対して、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)が20質量%以上が好ましく、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは60%以上である。
(B)ポリオール化合物
ポリオール成分(特にジオール成分)としては、低分子量のグリコールからオリゴマーまで用いることはできるが、ガスバリア性の観点から、通常、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C−Cl0アルキレングリコール)、(ポリ)オキシC−Cアルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)などの低分子量グリコールが使用される。好ましいグリコール成分は、C−Cポリオール成分[例えば、C−Cアルキレングリコール(特に、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール)など]、ジ又はトリオキシC−Cアルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)であり、特に好ましいジオール成分はC−Cアルキレングリコール(特にC−Cアルキレングリコール)である。
これらのジオール成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。さらに必要に応じて、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールA、ビスビドロキシェチルテレフタレート、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,3−又は1,4−キシリレンジオールもしくはその混合物など)、脂環族ジオール(例えば、水添ビスフェノールA、水添キシリレンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン。ジメタノールなど)などの低分子量ジオール成分を併用してもよい。
さらに、必要により、3官能以上のポリオール成分、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどのポリオール成分を併用することもできる。
ポリオール成分は、少なくともC2−C8ポリオール成分を含むのが?????の点で好ましく、さらに、C2−C6アルキレングリコールを含むのが好ましく、特にC−Cアルキレングリコールを含むのが好ましい。
ポリオール成分全体に対するC−Cポリオール成分の割合は、50〜100質量%程度の範囲から選択でき、通常、70質量%以上、100質量%以下、好ましくは80質量%以上、100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上、100質量%以下である。
(B)ポリヒドロキシ酸
ポリヒドロキシカルボン酸(特にジヒドロキシカルボン酸)としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸などのジヒドロキシC−C10のアルカン−カルボン酸、ジオキシマレイン酸などのジヒドロキシC−C10のアルカン−ポリカルボン酸又はジヒドロキシC−C10のアルケン−ポリカルボン酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸などのジヒドロキシC−C10のアレーン−カルボン酸などが例示できる。これらのポリヒドロキシ酸は単独または2種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリヒドロキシ酸は、ポリヒドロキシアルカンカルボン酸、特にジヒドロキシアルカン酸、例えば、ジヒドロキシC−Cのアルカン−カルボン酸である。
なお、前記ポリヒドロキシ酸は、塩の形態で使用してもよい。ポリヒドロキシ酸の塩としては、例えば、アンモニウム塩、アミン塩(トリアルキルアミン塩など)、金属塩(ナトリウム塩など)などが例示できる。
(D)鎖伸長剤
鎖伸長剤には、ポリアミンが使用でき、通常、活性水素原子を有する窒素含有化合物、特に、ジアミンが使用される。
鎖伸長剤としてのジアミン成分としては、例えば、脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどのC2−10アルキレンジアミンなど)、芳香族アミン(例えば、m−又はp−フェニレンジアミン、1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物など)、脂環族アミン(例えば、水添キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなど)、ヒドロキシル基含有ジアミン(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、2−アミノエチルアミノプロパノール、3−アミノプロピルアミノエタノールなどのアミノC2−6アルキルアミノC2−3アルキルアルコールなど)、酸基含有ジアミン(例えば、3,4−ジアミノ安息香酸などのジアミノ芳香族カルボン酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸などのジアミノスルホン酸など)などが挙げられる。
これら鎖伸長剤のうち、ガスバリア性の観点から、通常、炭素数8以下(C−C)の鎖延長剤が、自己架橋を進行しやすくするという点で好ましく、さらにC−Cの低分子量の鎖伸長剤、例えば、ジアミン(例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC−Cのアルキレンジアミン、2−アミノエチルアミノエタノール、キシリレンジアミンなど)が好ましく、特にC−Cのものが好ましい。なお、鎖伸長剤は、必要に応じて3官能以上のポリアミン成分を併用することができる。
なお、必要であれば、ポリウレタン樹脂の調製において、イソシアネート基に対する反応性基を有する化合物、例えば、酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸など)とイソシアネート基に対する反応性基を有する化合物(ジオールなどのジヒドロキシ化合物、ジアミンなど)との反応により生成するカルボキシル基を有する化合物、又はこれらのカルボキシル基を有する化合物を共重合して得られるオリゴエステルポリオール;オキシスルホン酸(例えば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸など)、スルホカルボン酸(例えば、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸など)、アミノ基含有スルホン酸(例えば、スルファニル酸など)などのスルホン酸基を有する化合物、又はこれらのスルホン酸基を有する化合物を共重合して得られるオリゴエステルポリオール;イソシアネート基に対する反応性基を含むポリオキシC−Cアルキレン化合物(例えば、エチレンオキシド単位を30質量%以上含有し、数平均分子量300〜10,000程度の化合物など)又はこれらのポリオキシアルキレン化合物を共重合して得られるオリゴエステルエーテルポリオールなどを用いてもよい。
上述のポリウレタン樹脂は水に溶解した水溶液や、ポリウレタン樹脂が水に分散した水性ディスパージョンを調製するため、ポリウレタン樹脂の酸基は、中和剤又は塩基で中和されている。中和剤としては、慣用の塩基、例えば、有機塩基[例えば、第3級アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC−Cのアルキルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、モルホリンなどの複素環式アミンなど)]、無機塩基[アンモニア、アルカリ金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)]が挙げられる。これらの塩基は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
特にコート特性や無機蒸着後のバリア性の観点からは、揮発性塩基、例えば、トリエチルアミンなどのトリC−Cのアルキルアミン、ジメチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン、アンモニアが好ましい。中和剤として揮発性塩基(アンモニア及びアミン類から選択された塩基など)を用いると、ポリアミン化合物(ii)によりポリウレタン樹脂の架橋を促進でき、無機蒸着後のバリア性を向上するのに有用である。
なお、中和剤による中和度は、例えば、30〜100%、好ましくは50〜100%、特に75〜100%程度であってもよい。
水性ポリウレタン樹脂組成物は、通常、前記ポリウレタン樹脂、中和剤及び水性媒体とで構成されており、水性媒体としては、水、水溶性又は親水性溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;セロソルブ類;カルビトール類;アセトニトリルなどのニトリル類など)、又はこれらの混合溶媒が例示できる。水性媒体は、通常、水、又は水を主成分として含む水性溶媒である。
ポリウレタン樹脂は、水性媒体に溶解した水溶液、又は水性媒体に分散した水分散体のいずれの形態であってもよい。水性分散体において、分散粒子(ポリウレタン樹脂粒子)の粒子径は特に制限されず、例えば、平均粒子径20〜500nm、好ましくは25〜300nmさらに好ましくは30〜200nm程度であってもよい。
ポリウレタン樹脂又はその組成物の製造法は特に限定されず、ポリウレタン樹脂は、アセトン法、プレポリマー法など通常のポリウレタン樹脂の水性化技術を利用して調製できる。また、ウレタン化反応では必要に応じてアミン系触媒、錫系触媒、鉛系触媒などウレタン化触媒を使用してもよい。例えば、不活性溶媒(アセトンなどのケトン類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどのニトリル類など)中、ポリイソシアネート化合物(A)とポリヒドロキシ酸(B)と必要によりポリオール成分(C)及び/又は鎖伸長剤成分(D)とを反応させることによりポリウレタン樹脂を調製できる。より具体的には、不活性有機溶媒(特に、親水性又は水溶性有機溶媒)中、ポリイソシアネート化合物(A)とポリヒドロキシ酸(B)とポリオール成分(C)とを反応させ、末端イソシアネート基を有するプレポリマーを生成させ、中和剤で中和して水性媒体に溶解又は分散した後、鎖伸長剤成分(D)を添加して反応させ、有機溶媒を除去することにより水性ポリウレタン樹脂を調製できる。
なお、前記ポリイソシアネート化合物(A)とポリヒドロキシ酸(B)、ポリオール成分(C)および鎖伸長剤成分(D)の総量との割合は、ガスバリア性を損なわない範囲で選択でき、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基1モルに対して、各成分(B)、(C)及び(D)の活性水素原子の総量0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.3モル、さらに好ましくは0.8〜1.2モル程度である。また、化合物(B)、(C)および(D)のうち、ポリヒドロキシ酸(B)のヒドロキシル基とポリオール成分(C)のヒドロキシル基との割合(モル比)は、前者/後者=100/0〜5/95、好ましくは80/20〜5/95、さらに好ましくは60/40〜10/90程度である。ポリヒドロキシ酸(B)およびポリオール成分(C)の合計ヒドロキシル基と鎖伸長剤成分(D)の活性水素原子(特にアミノ基)との割合(モル比)は前者/後者=100/0〜10/90、好ましくは100/0〜25/75、さらに好ましくは95/5〜40/60程度である。
更に必要であれば、本被覆層中に、静電防止剤や滑り剤、アンチブロッキング剤などの公知の無機、有機の各種添加剤を加えることは本発明の日的を阻害しない限り任意である。
被覆層を基材上に形成する方法としては、通常前述した様に水系溶液を基材にコートする方法が採られる。コートの方法は使用するコート液のコート量と粘度により選択され、ファウンテンバーコーティング法などから採用すればよい。
好ましいコーティング方法を下記に挙げるが、これに限定するものではない。
コート液の溶媒としては、上記ポリウレタン樹脂の溶解性の点から、水100%または水/低級アルコール混合溶媒を用いることが好ましい。低級アルコールとは炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖の脂肪族基を有するアルコール性化合物であり、具体例で示せばメチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、n−またはiso−プロピルアルコールが挙げられる。特にイソプロピルアルコールが好ましい。本発明のコート液の全固形分濃度は2〜35質量%、通常5〜30質量%が好ましい。
水/低級アルコール混合溶媒を用いることで、ポリウレタン樹脂の分散性、コートの均一性、製造時の安全性が満足できる。
コート時の乾燥、熱処理の条件は被覆層の厚み、装置の条件にもよるが、フィルムの走行方向への延伸工程の後でコート液を塗布した後、直ちに直角方向の延伸工程に送入し、直角方向の延伸工程の予熱ゾーン、延伸ゾーンで乾燥させ、熱処理工程でさらに加熱することにより、メタキシリレン基及び水添キシリレン基含有ウレタン樹脂の面配向や結晶化と同時に自己架橋を進行させることが好ましい。
このため、通常予熱ゾーンの温度は50〜100℃、延伸ゾーンで105〜140℃、熱処理工程で205〜240℃の範囲で行う。
また、フィルムの走行方向への延伸工程の後でコート液を塗布した後の乾燥、熱処理の温度条件を高く設定することが、バリア性、特に水蒸気バリア性を向上させる点で効果がある。特に熱固定ゾーンの温度条件を高く設定することが好ましい。乾燥、熱処理の温度条件は、高分子樹脂組成物からなる基材上に、インラインコート法により形成するものなので、高分子樹脂組成物の基材温度条件の範囲内であることが必要で、高分子樹脂組成物からなる基材の強度低下などの弊害が大きい温度条件である場合、酸素バリア性、水蒸気バリア性が十分に発現しなくなってしまうので、高温にしすぎないように注意することが必要である。
基材フィルム用高分子樹脂組成物としてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を使用した具体的な例で説明すると、被覆層にメタキシリレン基及び水添キシリレン基含有ウレタン樹脂を用いた蒸着用被覆フィルムの製造においても、熱固定ゾーンの温度条件を高く設定することで、熱が十分にかかり被覆層のメタキシリレン基及び水添キシリレン基含有ウレタン樹脂の自己架橋が十分に進行し、表面の吸着水が少なくなり表面が疎水性になるため被覆層の水の接触角が50°〜100°の範囲となり、耐水性が向上し、酸素バリア性、水蒸気バリア性が向上する。好ましくは50°〜70°の範囲である。
しかし、熱固定ゾーンの温度条件が高すぎると、高分子樹脂組成物からなる基材の強度の低下が顕著になり基材に表面荒れが生じてしまい、被覆層も影響を受け表面荒れが発生する。そのため、被覆層の水の接触角が50°を下回り酸素バリア性、水蒸気バリア性が悪化する。
一方で、熱固定ゾーンの温度条件が低いと、熱が十分にかからず被覆層のメタキシリレン基及び水添キシリレン基含有ウレタン樹脂の自己架橋が十分に進行せずに反応不足であるため表面荒れが生じてしまう。また、熱が十分にかかっていないため、表面の吸着水が多いままで表面が親水性となり、被覆層の水の接触角が50°を下回り酸素バリア性、水蒸気バリア性が悪化する。
被覆層の水の接触角が100°を上回ると被覆層表面の疎水性が強くなりすぎてしまい、無機蒸着層との接着性が十分に得られない。
また、被覆層表面の三次元表面粗さSRaが0.040μm以下であることが必要で、0.040μmを越えると、表面の透明性が不良となり、被覆層の表面に荒れが生じ、蒸着後のバリア性に悪影響を及ぼしてしまう。好ましくは、0.035μm以下である。
被覆フィルムの取り扱い性の点では、0.010μm以上であることが好ましい。
したがって、熱固定ゾーンの温度範囲は205〜240℃にすることが好ましく、更に好ましくは、220〜238℃、特に好ましくは、231〜237℃である。
なお、必要であれば、被覆層を形成させる前に基材フィルムにコロナ放電処理、その他の表面活性化処理や公知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施してもよい。
被覆層の厚みは、ガスバリア性の発現、経済性の点から、0.10〜0.50μmであることが必要で、0.10〜0.30μmであることが特に好ましい。被覆層の厚みが0.10μmを下回ると、被覆層が薄すぎるため酸素バリア性、特に水蒸気バリア性が十分に発現しない。一方、被覆層の厚みが0.50μmを上回ると、熱が十分にかからず被覆層のメタキシリレン基及び水添キシリレン基含有ウレタン樹脂の自己架橋が十分に進行せずに反応不足や表面荒れが生じてしまう。また、ガスバリア性が低下するだけでなく、製造コストも高くなり経済性が悪くなってしまう。
[無機薄膜蒸着層]
以上の様な被覆層上に無機薄膜層が蒸着される。この無機薄膜層は、ガスバリア性を向上させるもので、無機薄膜の材料としては、Al,Si,Ti,Zn,Zr,Mg,Sn,Cu,Fe等の金属や、これら金属の酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられ、具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム、あるいはこれらの混合物が例示される。無機薄膜層は1層でもあるいは2層以上の積層体であってもよい。
上記無機薄膜層の膜厚は、好ましくは10〜5000Å、より好ましくは50〜2000Åである。膜厚が10Å未満の場合は十分なガスバリア性が得られない恐れがあり好ましくない。逆に5000Åを超える場合、それに相当する効果は奏されず、また耐屈曲性が低下し、さらに製造コストの点で不利となり好ましくない。
上記無機薄膜層の蒸着方法としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等が採用される。
真空蒸着法においては、蒸着材料としてアルミニウム、珪素、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛等の金属、また、SiOx(x=1.O〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア等の化合物およびそれらの混合物が用いられる。加熱方法としては、抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱等が採用される。また、反応ガスとして、酸素、窒素、水素、アルゴン、炭素ガス・水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着法を採用してもよい。さらに・基材にバイアスを印加したり、加熱・冷却する等の方法を採用してもよい。上記蒸着材料、反応ガス、バイアス印加、加熱・冷却はスパッタリング法、CVD法においても採用され得る。
本発明の被覆フィルム及び蒸着フィルムの厚みは、通常包装材料で使用されることが好ましく、5〜50μmであることが好ましい。望ましくは被覆フィルム及び蒸着フィルムの厚みは10〜30μmである。この様にして作製されたガスバリア性フィルムは、酸素バリア性、水蒸気バリア性に非常に優れる。酸素透過度については7ml/m・day・MPa以下、水蒸気透過度については、1.0g/m・day以下の値になる。
なお、本発明の蒸着用被覆フィルム及び蒸着フィルムは、通常包装材料として使用するため、無機薄膜層上にシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層が形成されることが多い。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE,LDPE,LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、PP樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーαオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂などを使用できる。
以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。実施例中に示した特性は以下の方法で測定した。
1)酸素透過度
作成したフィルムの酸素透過度につき、23℃、85%RHの条件で3時間調温・調湿後、酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製OX−TRAN100)を用いて測定した。
2)水蒸気透過度
作成したフィルムの水蒸気透過度につき、40℃、90%RHの条件で3時間調温・調湿後、米国、モコン(MOCON)社製の測定機(PARMATRAN−W)を用いて測定した。
3)接触角の測定
本発明の被覆フィルムの被覆層に接触角計(モデル:CAM200、販売会社:アルテックアルト株式会社、製造会社:フィランド国KSV Instruments社)で水を着滴し、その接触角を測定した。接触角は、水を着滴して5秒後の値を読み取った。解析ソフトは、FAMAS(協和界面科学株式会社)を使用した。測定の詳細条件は以下に示す。
温湿度:23℃、35%
測定方法:液適法(■/2法)
液滴の大きさ:7.0μL
針の太さ:22G、内径0.4mm
4)PETの極限粘度
JIS K 7367−5に記載の「プラスチック−毛細管型粘度計を用いたポリマー希釈溶液の粘度の求め方−」により、フェノール/1、1、2、2−テトラクロロエタン(60/40;質量部)の混合溶媒を用いて、30℃で測定した。
(実施例1)
[被覆液の製造]
MXDI(メタキシリレンジイソシアネート)45.59、水添XDI(1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)93.9g、エチレングリコール24.8g、ジメチロールプロピオン酸13.4g及び溶剤としてメチルエチルケトン80.2gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させた。次いで、このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を40℃でトリエチルアミン9.6gにて中和した。このポリウレタンプレポリマー溶液を624.8gの水にホモディスパーにより分散させ、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール21.1gで鎖伸長反応を行い、メチルエチルケトンを留去することにより、固形分25質量%、平均粒子径90nmの水分散型ポリウレタン樹脂Aを得た。この樹脂の酸価は26.9mgKOH/g、ウレタン基濃度及びウレア基濃度の合計は39.6質量%である。これを水で希釈し、固形分30質量%の被覆液とした。
[被覆フィルムの製造]
極限粘度0.62、微粉末シリカ700ppm含有したPETを予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。
一方、上記のメタキシリレン基及び水添キシリレン基含有ウレタン樹脂を含む被覆液については、液をフィルム表面へ吐出するファウンテンがつながった温調タンクに投入し、撹持しながら、25℃に制御した。30p孔のポリプロピレン製カプセルフィルターを通して異物を濾別したクリーンな液を、吐出量0.028m/分の条件で、得られた一軸延伸フィルムの片面に、ファウンテンを接面し、液をコートした。その後、14mm直径の平滑なバーを液面につけ、コート液をかきとり、延伸後の被覆層の厚みが0.20μmとなる様にコートを行った。コート速度(製膜速度)は150m/分である。次に、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を225℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度225℃で8秒行った。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
その後冷却し、両縁部を裁断除去することによって、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜してミルロールを作製した。得られたミルロールについて、幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、本発明の被覆フィルムを得た。
[蒸着フィルムの製造]
次にこの蒸着用フィルムロールを用いて、フィルムの被覆面側に、各種の金属あるいは金属酸化物を蒸着した。
蒸着源として、3〜5mmの大きさの粒子状のSiO(純度99.99%)とAl(純度99.9%)を用い、上記の如く得られた蒸着用フィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素との混合薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、AlとSiOのそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を1.2Aとし、AlとSiOとの組成比が45:55となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を30m/minとし、20nm犀の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10−2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
これらにつき、実施例冒頭で示した方法・条件で、酸素透過度、水蒸気透過度、水の接触角を測定した。表1に評価結果を示す。
(実施例2)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を205℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度205℃で8秒行ったが、この処理時間に限定するものではない。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例3)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を215℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度215℃で8秒行ったが、この処理時間に限定するものではない。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例4)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を235℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度235℃で8秒行ったが、この処理時間に限定するものではない。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例5)
実施例1の被覆層の厚みが0.10μmとなる様にコートを行った。
被覆層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例6)
実施例1の被覆層の厚みが0.50μmとなる様にコートを行った。
被覆層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例1)
被覆層なし以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例2)
被覆液に水溶性高分子のポリビニルアルコール(PVA)を用いコートした。
被覆液を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例3)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を200℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度200℃で8秒行った。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例4)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を243℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度240℃で8秒行った。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例5)
実施例1の被覆層の厚みが0.05μmとなる様にコートを行った。
被覆層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例6)
実施例1の被覆層の厚みが0.55μmとなる様にコートを行った。
被覆層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
Figure 2010006935
本発明により、酸素バリア性、水蒸気バリア性に非常に優れ、かつ耐水性に優れ、かつ焼却排ガス中にダイオキシン、塩化水素ガスを含まず、環境保全に対して有効な蒸着用フィルムを経済的に提供できる。本発明の被覆フィルムを使用した蒸着フィルムは食品や電子材料などの包装材料として広く利用することができ、産業界に寄与することが大である。

Claims (5)

  1. 高分子樹脂組成物からなる未延伸フィルムを一方向に延伸した後、ウレタン結合基、ウレア結合基、及び酸基を含有するポリウレタン樹脂組成物の水分散被覆液を前記延伸フィルムに塗布した後、前記被覆液を塗布した延伸フィルムを先の延伸方向と直行方向に延伸する工程と熱処理工程を経て得られる被覆フィルムであって、かつ被覆層の水の接触角が50°〜100°の範囲であり、三次元表面粗さSRaが0.040μm以下であることを特徴とする被覆フィルム。
  2. 請求項1記載の被覆フィルムであって、前記熱処理工程の温度が205〜240℃の範囲であることを特徴とする被覆フィルム。
  3. 請求項1記載の被覆フィルムの被覆層上に無機薄膜層を蒸着したことを特徴とする蒸着フィルム。
  4. 請求項3記載の蒸着フィルムであって、前記蒸着フィルムの酸素透過度が7ml/m・day・MPa以下、水蒸気透過度が1.0g/m・day以下の値であることを特徴とする蒸着フィルム。
  5. ポリエチレンテレフタレートからなる未延伸フィルムを一方向に延伸した後、ウレタン結合基、ウレア結合基、及び酸基を有するポリウレタン樹脂組成物の水分散被覆液を前記延伸フィルムに塗布した後、前記被覆液を塗布した延伸フィルムを先の延伸方向と直行方向に延伸し、次いで205〜240℃で熱処理することを特徴とする被覆フィルムの製造方法。
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