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JP2010006860A - インク組成物、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク組成物、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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JP2010006860A
JP2010006860A JP2008164499A JP2008164499A JP2010006860A JP 2010006860 A JP2010006860 A JP 2010006860A JP 2008164499 A JP2008164499 A JP 2008164499A JP 2008164499 A JP2008164499 A JP 2008164499A JP 2010006860 A JP2010006860 A JP 2010006860A
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ink
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JP2008164499A
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Suehiko Matsumura
季彦 松村
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Fujifilm Corp
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】非硬化成分の染み出し・ブロッキング・擦過の抑制に優れ、高感度で硬化し、吐出安定性に優れたインク組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(i)下記一般式(I)で示される化合物と、(ii)有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物から選択される少なくとも一種と、(iii)光重合開始剤と、(iv)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、を含有するインク組成物である。
Figure 2010006860

前記一般式(I)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、又はNRを表し、Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは0又は1の整数を表す。
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。R〜Rは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R及びRと、R及びRは、互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物、及びインクジェット記録方法に関する。
光重合技術は、種々の用途に適用される有用な技術である。光重合技術が用いられる用途としては、例えば、色素性又は非色素性塗料、ワニス、粉末コーティング、印刷インク、インクジェット記録用インク、UVインク等が挙げられる。
紫外線などの活性放射線の照射により硬化可能なインク組成物(放射線硬化型インク組成物)、例えば、インクジェット記録用インク組成物としては、高感度で硬化し、高画質の画像を形成しうるものが求められている。高感度化を達成することにより、活性放射線の照射により高い硬化性が付与されるため、消費電力の低減や活性放射線発生器への負荷軽減による高寿命化などの他、充分な硬化が達成されることにより、未硬化の低分子物質の揮発、形成された画像強度の低下などを抑制することができるなど、種々の利点をも有することになる。
紫外線光による硬化型インクジェット方式は、比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い被記録媒体への記録ができる点で、近年注目されつつある。また、インクジェット記録方式に用いられるインクとしては、保存により物性の変化あるいは沈澱物等を生じない事(溶液安定性)、ノズルの目詰まりを生じない事(吐出安定性)等の諸特性が必要である。
一般に、放射線硬化型の重合性化合物における、放射線に対する感度を高める方法として、種々の重合開始系を使用することが開示されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、6−methyl−thiochroman−4−oneやthiochroman−4−oneなどを含有する光重合性組成物が開示されている。
また、インクジェット記録用インクの重合性組成物としては、例えば、特許文献3及び特許文献4に記載されているα−アミノケトン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物を含有した重合性組成物が例示できる。
また、特許文献5及び特許文献6には、有機ホスフィン化合物または、亜リン酸エステル化合物を含む光硬化性組成物の光重合性組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された光重合性組成物の光感度は必ずしも高くなく、特に、一般的に用いられている露光光源に多く含まれている紫外光(250nm〜400nm)に対する感度は十分ではない。そのためインクジェット記録用インクや紫外線硬化型フレキソインクなどの重合性組成物としては適当ではない。なお、特許文献1に記載の手段では、芳香族カルボニル化合物の組合せ(例えば、6−methyl−thiochroman−4−oneとbenzil−dimethylketal)の組合せが光化学的に最適ではないため、十分な感度が得られないと考えられる。
また、特許文献2に記載の手段では、400nmより長波長の可視光線に対して高い感度が得られるが、紫外光に対しての感度は十分とはいい難い。
特許文献3又は特許文献4に記載されたインク組成物は、特許文献5又は特許文献6に記載された光重合性組成物は紫外光に対して高い感度を有するが、硬化膜の変色や硬化膜からの非硬化成分の染み出しに起因した様々な不良(臭気、ブロッキング)が問題となっている。
なお、ここでブロッキングとは、印刷面と基材面を重ね合わせて保管した後に、印刷面と基材面とが粘着または接着し、再び印刷面と基材面とを剥がした時に、印刷面の膜が破れたり、基材面に画像が転写することをいう。
米国特許第4134813号明細書 特許第3112771号公報 特開2002−241647号公報 特開2007−231082号公報 特開昭53−113881号公報 特開平6−16713号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、放射線の照射に対して高感度で硬化し、非硬化成分の染み出しが少なく、ブロッキングを防止することができ、耐擦過性に優れた硬化膜を形成することができ、且つ、インクジェット記録用として用いた場合においても、吐出時にノズルつまりを起こさないインク組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、光重合開始剤に対して高い増感効果を有する特定化合物を開始系に用いることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
<1> (i)下記一般式(I)で示される化合物と、(ii)有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも一種と、(iii)光重合開始剤と、(iv)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、を含有するインク組成物である。
Figure 2010006860
前記一般式(I)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、又はNRを表し、Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは0又は1の整数を表す。
、R、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。R、R、R、及び、Rは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R及びRと、R及びRは、互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
<2> さらに着色剤を含有する前記<1>に記載のインク組成物である。
<3> インクジェット記録用である前記<1>又は前記<2>に記載のインク組成物である。
<4> (a)被記録媒体上に、前記<3>に記載のインク組成物を吐出する工程、及び(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法である。
<5> 前記活性放射線が、発光ピーク波長が340nm以上400nm以下の範囲の紫外線である前記<4>に記載のインクジェット記録方法である。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
前記一般式(I)で表される化合物は増感色素として作用することから、本発明においては、光重合開始剤と、前記一般式(I)で表される特定の化合物(以下、「特定化合物」とも称する)と、有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物の少なくとも一方(以下「特定有機リン化合物」とも称する)とを併用した開始系を採用している。この特定化合物は三重項励起エネルギーが高く、エネルギー移動効率も高いことからこのような開始系を含有する本発明のインク組成物は、低出力の放射線照射でも高感度で硬化しうるものと考えられる。
また、特定化合物は、一般的に使用されるチオキサントン系化合物よりも溶解性が高く、結晶性が低いため、インク組成物の溶液としての安定性に優れ、且つ、これを含有するインク組成物をインクジェット記録用として用いた場合、優れた吐出安定性が得られるものと考えられる。
さらに、特定リン化合物は、有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物のいずれも3価のリンであることから、インク組成物中に溶存する酸素分子を捕捉し、酸素による重合阻害、インク組成物の変色を抑制できるものと考えられる。
以上のような特定化合物と特定リン化合物を組み合わせることで、放射線を効率的に吸収することができ、かつ酸素阻害による重合阻害を抑制することできるため、酸素重合阻害を受けやすい表面での重合度が増し、良好な膜物性が得られるものと考えられる。よってインク組成物を露光により硬化させた硬化膜から非硬化成分が染み出すこと、及びブロッキングの発生をそれぞれ抑制することができるものと考えられる。
本発明によれば、放射線の照射に対して高感度で硬化し、非硬化成分の染み出しが少なく、ブロッキングを防止することができ、耐擦過性に優れた硬化膜を形成することができ、且つ、インクジェット記録用として用いた場合においても、吐出時にノズルつまりを起こさないインク組成物及びその製造方法を提供することができる。
[インク組成物]
まず、本発明のインク組成物について詳述する。
本発明のインク組成物は、(i)一般式(I)で表される化合物と、(ii)有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも一種と、(iii)光重合開始剤と、(iv)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、を含有する。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用に好適に使用することができる。
以下、本発明のインク組成物に必須の成分について順次説明する。
<(i)特定化合物>
本発明のインク組成物は、特定化合物、すなわち、下記一般式(I)で表される化合物を含有する。
Figure 2010006860
前記一般式(I)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、又はNRを表し、Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは0又は1の整数を表す。
、R、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。R、R、R、及び、Rは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R及びRと、R及びRは、互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
本発明のインク組成物が含有する特定化合物は、重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させるための増感色素として作用する。以下、特定化合物を特定増感色素と称することもある。
一般に、増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸或いは塩基等の活性種の生成を促進させ、ここで発生した活性種が後述する重合性化合物の重合、硬化反応を生起、促進させるものである。
増感色素は、インク組成物に使用される重合開始剤に開始種を発生させる活性放射線の波長に応じた化合物を使用すればよいが、一般的なインク組成物の硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい増感色素の例としては、350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
前記特定化合物は、350nmから450nm域に吸収波長を有する。以下、特定化合物について説明する。
前記一般式(I)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、又はNRを表し、Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。Rで表されるアルキル基は例えばメチル、エチルが挙げられ、直鎖でも分岐でも環状でもよく、炭素数1〜8であることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖アルキルである。Rで表されるアシル基は、例えばアセチル、ベンゾイル、pメチルベンゾイルが挙げられ、炭素数2〜8であることが好ましい。
中でもXとしては、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、硫黄原子であることがより好ましい。
前記一般式(I)中、nは0又は1である。
ここで、前記一般式(I)におけるnが0の場合、R及びRと結合した炭素原子は存在せず、R及びRと結合した炭素原子と、Xと、が直接結合して、Xを含む5員のヘテロ環を構成することになる。
前記一般式(I)におけるnは、1であることが好ましい。
前記一般式(I)中、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子、または一価の置換基を表す。
、R、R、R、R、R、R及びRが1価の置換基を表す場合の、1価の置換基としては、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基などが挙げられ、なかでも、好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子である。
なお、一般式(I)におけるR、R、R、R、R、R、R及びRが1価の置換基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものがより好ましい。
同様に、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが好ましく挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
、R、R、及び、Rは、それぞれ隣接する2つが互いに連結、例えば、縮合、して環を形成していてもよい。
これらが環を形成する場合の環構造としては、5〜6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士がさらに組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。さらにこれらの環構造は、前記一般式(I)において、R〜Rが1価の置換基を表す場合に例示した置換基をさらに有していてもよい。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子を挙げることができる。
前記一般式(I)におけるnが1の場合、R及びRと、R及びRは、各々独立に、互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。脂肪族環の環員数は、3〜6員環が好ましく、さらに好ましくは5員環または6員環が好ましい。
より好適に用いることのできる特定化合物としては、下記一般式(I−A)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010006860
前記一般式(I−A)において、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。nは0又は1を表す。R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。R1A、R2A、R3A、及び、R4Aは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5AまたはR6Aと、R7AまたはR8Aは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
さらに好適に用いることのできる増感色素としては、下記一般式(I−B)で示される増感色素が挙げられる。
Figure 2010006860
前記一般式(I−B)において、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B及びR8Bはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。また、R1B、R2B、R3B、及び、R4Bは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5BまたはR6Bと、R7BまたはR8Bは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
さらに好適に用いることのできる増感色素としては、下記一般式(I−C)で示される増感色素が挙げられる。
Figure 2010006860
前記一般式(I−C)において、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
1C、R2C、R3C、及び、R4Cは、それぞれ隣接する2つが互いに縮合して5〜6員環の脂肪族環、芳香族環を形成していてもよく、これらの環は、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士がさらに組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。さらにこれらの環構造は、前記一般式(I)において、R、R、R、R、R、R、R及びRが1価の置換基を表す場合に例示した各置換基をさらに有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、酸素原子、及び硫黄原子を挙げることができる。R5CまたはR6Cと、R7CまたはR8Cは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
またR1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cの少なくとも一つはハロゲン原子であることが好ましい。好ましい置換位置としてはR1C、R2C、R3C、R4Cがあげられ、R2Cが最も好ましい。好ましいハロゲン原子の数としては好ましくは一つ、または二つ、さらに好ましくは一つである。
2Cは水素以外の置換基であることが好ましく、中でもアルキル基、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、が好ましく、特にアルキル基、ハロゲン原子が好ましく、光源とのマッチングがよく高感度である。
7C及びR8Cのいずれかは水素以外の置換基であるほうが好ましく、両方とも水素以外の置換基であることがさらに好ましい。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基があげられ、中でもアルキル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数が1〜4個のものがより好ましい。
アシルオキシ基としては炭素数2〜10個の脂肪族アシルオキシ基が好ましく、炭素数が2〜5個の脂肪族アシルオキシ基がより好ましい。
アルコキシカルボニル基としては炭素数2〜10個の脂肪族アルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数が2〜5個のアルコキシカルボニル基がより好ましい。
本発明に好適に用いることのできる、特定化合物の具体例〔例示化合物(I−1)〜(I−133)〕を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010006860
Figure 2010006860
Figure 2010006860
Figure 2010006860
Figure 2010006860
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Figure 2010006860
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上記の中でも、感度、原料の入手性、合成のし易さの観点から、I―1、I―2、I―4、I―5、I―15、I―14、I−17、I―19、が好ましく、I―4、I―14、I−17、I―19が好ましい。
なお、本発明に係る特定化合物は、例えば、特開2004−189695公報、「Tetrahedron」第49巻,p939(1993年)、「Journal of Organic Chemistry」 p893(1945年)、及び、「Journal of Organic Chemistry」 p4939(1965年)などに記載の公知の方法によって合成することができる。
本発明のインク組成物における特定化合物の含有量は、インク組成物に対して固形分で、0.05質量%〜30質量%程度が好ましく、0.1質量%〜20質量%であることがさらに好ましく、0.2質量%〜10質量%であることがより好ましい。
なお、この特定化合物は、可視光領域における吸収が殆どないため、効果を発現しうる量を添加してもインク組成物の色相に影響を与える懸念がないという利点をも有するものである。
特定化合物のインク組成物中の含有量について、後述する特定重合開始剤との関連において述べれば、特定重合開始剤:特定化合物の質量比で200:1〜1:200、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、20:1〜1:5の量で含まれることが好適である。
〔その他の増感色素〕
本発明においては、前記した特定化合物に加え、公知の増感色素を本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができる。その他の増感色素は、特定化合物に対して、特定化合物:他の増感色素の質量比で1:5〜100:1、好ましくは、1:1〜100:1、より好ましくは、2:1〜100:1の量で添加することが可能である。
併用しうる公知の増感色素の例としては、ベンゾフェノン、チオキサントン、またイソプロピルチオキサントン、アントラキノン及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン及び3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン及びエリスロシンなどが挙げられる。
特定化合物と併用可能な増感色素のより具体的な例は、下記のとおりである。
(1)チオキサントン
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジ−エチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−〔2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル〕チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
(2)ベンゾフェノン
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−〔2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチルベンゼンメタンアミニウムクロリド;
(3)3−アシルクマリン
3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(プロポキシ)クマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニルビス〔5,7−ジ(プロポキシ)クマリン〕、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ〔f〕クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン;
(4)3−(アロイルメチレン)チアゾリン
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレンベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
(5)アントラセン
9,10−ジメトキシ−アントラセン、9,10−ジエトキシ−アントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチル−アントラセン、
(6)他のカルボニル化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、9,10−ナフトラキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、α−(パラ−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、例えば、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン又は3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イルプロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド。
<(ii)特定有機リン化合物>
本発明のインク組成物は、(ii)有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物から選択される少なくとも一種を含有する。
前記したように、有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物から選択される少なくとも一種を、適宜「特定有機リン化合物」と称する。
−有機ホスフィン化合物−
本発明において、後述する光重合開始剤と併せて本発明のインク組成物に配合される有機ホスフィン化合物は、下記一般式(3)で表される第1ホスフィン、第2ホスフィンまたは第3ホスフィンであることが好ましい。
Figure 2010006860
前記一般式(3)中、R31及びR32は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基を表し、R33は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基を表す。
31〜R33で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール基は、それぞれ、さらに前記一般式(I)におけるR〜Rの説明において記載した1価の置換基を有していてもよい。
31〜R33で表されるアルキル基は、直鎖でも分岐でも環状でもよく、さらに前記一般式(I)におけるR〜Rの説明において記載した1価の置換基を有していてもよい。炭素数は、置換基の炭素数を含めて、1〜18であることが好ましく、炭素数1〜8であることがより好ましい。例えば、メチル、シクロヘキシル、ベンジル等が挙げられる。
31〜R33で表されるアルケニル基は、直鎖でも分岐でも環状でもよく、さらに前記一般式(I)におけるR〜Rの説明において記載した1価の置換基を有していてもよい。置換基の炭素数を含めて、1〜18であることが好ましく、炭素数1〜9であることがより好ましい。例えば、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられる。
31〜R33で表されるアルキニル基は、直鎖でも分岐でも環状でもよく、さらに前記一般式(I)におけるR〜Rの説明において記載した1価の置換基を有していてもよい。置換基の炭素数を含めて、1〜18であることが好ましく、炭素数1〜8であることがより好ましい。例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブテニル基、トリメチルシリルエチニル基等があげられる等が挙げられる。
31〜R33で表されるアリール基は、直鎖でも分岐でも環状でもよく、さらに前記一般式(I)におけるR〜Rの説明において記載した1価の置換基を有していてもよい。炭素数は、置換基の炭素数を含めて、1〜18であることが好ましく、炭素数1〜9であることがより好ましい。例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスホナトフェニル基等をあげることができるが、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、メシチル、クロロフェニル、メトキシフェニルが好ましい。
具体的には、第1ホスフィンとしては、前記一般式(3)におけるR31とR32が共に水素原子で表される化合物であり、例えば、フェニルホスフィン、オクチルホスフィン、ヘキサデシルホスフィン等が挙げられる。中でもフェニルホスフィンが好ましい。
第2ホスフィンとしては、前記一般式(3)におけるR31又はR32の一方のみが水素原子で表される化合物であり、例えば、ジフェニルホスフィン、ジオクチルホスフィン、ジ(2−クロロフェニル)ホスフィン、ジ(メトキシフェニル)ホスフィン、ジ(ペンタクロロフェニル)ホスフィン、ブチルフェニルホスフィン、ビス(フェニルホスフィノ)エタン等が挙げられる。中でもジフェニルホスフィンが好ましい。
第3ホスフィンとしては、前記一般式(3)におけるR31〜R33がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基で表される化合物であり、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(m−トリル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリ(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン等が挙げられる。中でもトリフェニルホスフィン、トリ(p−クロロフェニル)ホスフィン 、トリ(m−トリル)ホスフィンが好ましい。
中でも、本発明では、第2ホスフィンまたは第3ホスフィンを用いることが好ましく、第3ホスフィンを用いることが特に好ましく、トリアリールホスフィンが最も好ましい。
この理由は、第3ホスフィンは有機ホスフィン化合物のうち、それ自身が最も安定であり、かつインク組成物中に含有したとき、より大きな重合速度で重合を行なうことが可能となるからである。
−亜リン酸エステル化合物−
本発明において、亜リン酸エステル化合物は、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2010006860
一般式(4)中、R41〜R43は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基である。ここで、アルキル基とアリール基は、前記一般式(I)におけるR〜Rの説明において記載した1価の置換基を有していてもよい。ただし、R41〜R43が同時にすべて水素原子を表すことはない。
一般式(4)におけるR41〜R43がアルキル基のとき、アルキル基は、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数2〜4であることがより好ましい。
一般式(4)におけるR41〜R43がアリール基のとき、アリール基は、炭素数6〜12であることが好ましく、炭素数6〜8であることがより好ましい。
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、モノメチルホスファイト、モノエチルホスファイト、モノプロピルホスファイト、モノフェニルホスファイト、モノステアリルホスファイト、モノ(アクリロイルオキシエチル)ホスファイト、モノ(メタクリロイルオキシプロピル)ホスファイトなどの亜リン酸モノエステル類;ジメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジベンジルホスファイト、ビス(アクリロイルオキジプロビル)ホスファイト、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ホスファイトなどの亜リン酸ジエステル類;トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(メタクリロイルオキシエチル)ホスファイト、トリス(アクリロイルオキシプロビル)ホスファイトなどの亜リン酸トリエステル類が挙げられる。
前記一般式(4)におけるR41、R42、R43は、いずれもアルキル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数2〜4のアルキル基であることがより好ましい。
本発明において、特定有機リン化合物は、有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物の少なくとも一方を用いればよく、有機ホスフィン化合物と及び亜リン酸エステル化合物とを併用してもよい。また、有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物は、それぞれ単独種を用いても複数種を用いてもよい。
特定有機リン化合物の含有量は、本発明のインク組成物の全固形分質量に対して、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜4質量%であることがより好ましい。この範囲を外れて光重合開始剤の配合量が少ないと充分な重合速度が得られず、逆に光重合開始剤の配合量が多いとエチレン系不飽和化合物の重合度が不充分となり、かつ重合後に光重合開始剤が残留して硬化物の特性が低下するおそれがある。
<(iii)光重合開始剤>
本発明のインク組成物は、光重合開始剤を含有する。
本発明においては、公知の光重合開始剤を使用することができる。本発明における光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
−ラジカル重合開始剤−
本発明で使用され得る好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルフォスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
上述したラジカル重合開始剤の例としては、例えば、特開2006−085049号公報の明細書の段落番号[0135]〜[0208]に記載されたラジカル重合開始剤を挙げることができる。
上記のごとき、ラジカル重合開始剤は、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いる上記特定増感色素との関係で、好適に用いることのできるラジカル重合開始剤としては、炭素ハロゲン結合を有する化合物、ケトオキシムエステル化合物、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択されるものがあげられ、なかでも、α−アミノケトン類、又はアシルフォスフィンオキシド類が好ましい。本明細書では、α−アミノケトン類、又はアシルフォスフィンオキシド類に包含される重合開始剤を「特定重合開始剤」とも称する。
炭素ハロゲン結合を有する化合物としてはトリアジン系化合物が挙げられ、例えば特開平8−269049号公報、特表2005−503545明細書、非特許文献J.Am,Chem.Soc.1999,121,p6167〜6175等に記載の化合物を挙げることができる。
ケトオキシムエステル化合物としては、例えば、特願2007−23100号明細書、特表2006−516246号公報、特開2001−233842号公報、特開2004−534797号公報、特開2005−097141号公報、特開2006−342166号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
α−アミノケトン類に包含される化合物の例としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。また、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ、例えばイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379等の如き市販品としても入手可能であり、これらもα−アミノケトン類に包含される化合物であり、本発明に好適に使用しうる。
アシルフォスフィンオキシド系化合物としては、例えば、特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報等に記載の化合物を挙げることができる。アシルフォスフィンオキシド類に包含される化合物の例としては、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ、ダロキュアシリーズ、例えばイルガキュア819、イルガキュア1800、イルガキュア1870、ダロキュアTPO等の如き市販品としても入手可能であり、本発明に好適に使用しうる。
なお、本発明のインク組成物を白色インクや無色のクリアインクに用いる場合には、耐変色性に優れる光重合開始剤を用いることが好ましい。このような観点からは、α−アミノケトン類に包含される化合物としては、例えば、イルガキュア907が好ましく、アシルフォスフィンオキシド系化合物としては、例えば、イルガキュア819、ダロキュアTPO等が好ましい。
本発明のインク組成物における光重合開始剤の含有量は、固形分換算で、0.1質量%〜30質量%の範囲であることが好ましく、1.0質量%〜20質量%の範囲であることがより好ましく、3.0質量%〜15.0質量%の範囲であることが更に好ましい。
本発明のインク組成物における光重合開始剤の含有量は、後述する(iv)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜35質量部、より好ましくは0.1質量部〜30質量部、更に好ましくは0.5質量部〜20質量部の範囲で含有されるのが適当である。なお、ここで光重合開始剤の含有量とは、上述したラジカル重合開始剤及び併用しうる他の重合開始剤を含む光重合開始剤の総含有量を意味する。
<(iv)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物>
本発明のインク組成物には重合性化合物を含有する。本発明に好適に使用しうる重合性化合物とは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。
ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物が挙げられる。
感度、滲み、記録媒体との密着性をより改善するためには、ラジカル重合性化合物として、モノアクリレートと、分子量400以上、好ましくは500以上の多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを併用することが好ましい。特に、PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な被記録媒体への記録に使用するインク組成物においては、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレートと、多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用は、膜に可撓性を持たせて密着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。
さらに、単官能、二官能、三官能以上の多官能モノマーの少なくとも3種の重合性化合物を併用する態様が、安全性を維持しつつ、更に、感度、滲み、被記録媒体との密着性をより改善することができるという観点から好ましい。
モノアクリレートとしては、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミスチルアクリレート、イソステアリルアクリレートが感度も高く、低収縮性でカールの発生を防止できるとともに、滲み防止、印刷物の臭気、照射装置のコストダウンの点で好ましい。
モノアクリレートと併用しうるオリゴマーとしては、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
なお、メタクリレートは、皮膚低刺激性がアクリレートより良好である。
上記化合物の中でもアルコキシアクリレートを70質量%未満の量で使用し、残部をアクリレートとする場合、良好な感度、滲み特性、臭気特性を有するため好ましい。
本発明のインク組成物は、前記(i)〜(iv)の成分を必須成分として含有するが、目的に応じてインク組成物の添加剤として公知の他の成分を併用することができる。以下、これら任意成分について説明する。
<着色剤>
本発明のインク組成物を、平版印刷版の画像部形成などの用途に適用する場合には、特に着色画像を形成することは必須ではなく、このようなインクとしての用途においては、特に着色剤は必要ないが、インク組成物により形成された画像部の視認性を向上するため、或いは、インク組成物を用いて着色画像を形成しようとするときは、着色剤を含有することができる。
本発明に使用することのできる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ(1)顔料及び(2)油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
(1)顔料
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤あるいはマゼンタ顔料としては、例えば、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、等が挙げられる。
青又はシアン顔料としては、例えば、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、等が挙げられる。
緑顔料としては、例えば、Pigment Green 7、26、36、50、等が挙げられる。
黄顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、等が挙げられる。
黒顔料としては、例えば、Pigment Black 7、28、26、等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、Pigment White 6、18、21、等が挙げられる。
これらの顔料は、目的に応じて適宜選択して使用できる。
(2)油溶性染料
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
本発明に適用可能な油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
また、着色剤として油溶性染料を使用する場合には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤を併用することもできる。
(3)分散染料
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
本発明に使用することができる着色剤は、本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に添加された後、適度に当該インク内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
また、着色剤の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることであり、高分子分散剤としては、例えば、Zeneca社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。本発明において、これらの分散剤及び分散助剤は、着色剤100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
着色剤は、本発明のインク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤、又は本発明における特定の単官能(メタ)アクリル酸誘導体や、所望により併用される他の重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合に懸念される画像部の耐溶剤性の経時的な低下を避けるためにも、着色剤は、特定の単官能(メタ)アクリル酸誘導体を含む重合性化合物のいずれか1つ又はそれらの混合物に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
着色剤は、インク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、本発明のインク組成物中において、固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm〜0.5μm、より好ましくは0.01μm〜0.45μm、さらに好ましくは、0.015μm〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
本発明のインク組成物中における着色剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク物性、着色性を考慮すれば、一般的には、インク組成物全体の質量に対して、1質量%〜10質量%であることが好ましく、2質量%〜8質量%含有することがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のインク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤、等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。また、本発明のインク組成物をインクジェト記録用インク組成物として使用する場合には、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は、本発明のインク組成物全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明のインク組成物及びインクジェット記録用インク組成物が放射線硬化型インク組成物であることに鑑み、インク組成物着弾直後に速やかに反応しかつ硬化し得るよう、溶剤を含まないことが好ましい。しかし、インク組成物の硬化速度等に影響がない限り、所定の溶剤を含めることができる。本発明において、溶剤としては、有機溶剤、水が使用できる。特に、有機溶剤は、被記録媒体(紙などの支持体)との密着性を改良するために添加され得る。
有機溶剤の量は、本発明のインク組成物全体の質量に対し、例えば、0.1質量%〜5質量%、好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
この他に、必要に応じて公知の化合物を本発明のインク組成物に添加することができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調製するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワッス類等を適宜選択して添加することができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6頁に記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
−インク組成物の性質−
本発明のインク組成物は、上述のように、重合開始剤、及び特定の単官能(メタ)アクリル酸誘導体を含有することを要し、更に任意成分として、他の重合性化合物、着色剤等を含有するものである。
これらの成分は、インク組成物全体の質量に対して、着色剤が好ましくは1質量%〜10質量%、より好ましくは、2質量%〜8質量%、酸性基含有単官能(メタ)アクリル酸誘導体や塩基性基含有単官能(メタ)アクリル酸誘導体を含む全重合性化合物が、好ましくは5質量%〜97質量%、より好ましくは、30質量%〜95質量%である。重合開始剤が、特定の単官能(メタ)アクリル酸誘導体を含む全重合性化合物に対して、好ましくは0.01質量%〜35質量%、より好ましくは、0.1質量%〜30質量%の量、さらに好ましくは0.5質量%〜30質量%となるように含有することが適当である。
本発明のインク組成物はインクジェット記録用インクとして好適に使用することができる。インクジェット記録用インクとしての使用態様における好ましい物性について説明する。
インク組成物をインクジェット記録用インクとして使用する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40℃〜80℃、好ましくは25℃〜50℃)において、粘度が、好ましくは7mPa・s〜30mPa・sであり、より好ましくは7mPa・s〜25mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは35mPa・s〜500mPa・s、より好ましくは35mPa・s〜200mPa・sである。
本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m〜30mN/m、より好ましくは23mN/m〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
[インクジェット記録方法]
次に、本発明のインクジェット記録方法、及び当該方法に適用しうるインクジェット記録装置について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、被記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。
即ち、本発明のインクジェット記録方法は、(a)被記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、インク組成物を硬化する工程、を含む。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a)及び(b)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
本発明のインクジェット記録方法における(a)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。
−インクジェット記録装置−
本発明の記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜1600×1600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
次に、(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能により、特定の単官能(メタ)アクリル酸誘導体や所望により併用される他の重合性化合物の重合反応が、生起、促進されてインク組成物が硬化するためである。このとき、インク組成物において重合開始剤とともに増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、300nm〜450nmであることが好ましく、340nm〜400nmであることがより好ましい。
また、本発明では、重合開始系は、低出力の活性放射線であっても充分な感度を有するものである。従って、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mJ/cm〜2,000mJ/cmであり、さらに好ましくは、20mJ/cm〜1,000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜800mJ/cmである。
また、活性放射線は、露光面照度が、例えば、10mW/cm〜2,000mW/cm、好ましくは、20mW/cm〜1,000mW/cmで照射されることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更にLED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
また、LEDの被記録媒体上での最高照度は10mW/cm〜2,000mW/cmであることが好ましく、20mW/cm〜1,000mW/cmであることがより好ましく、特に好ましくは50mW/cm〜800mW/cmである。
本発明のインク組成物は、このような活性放射線に、例えば、0.01秒〜120秒、好ましくは、0.1秒〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01秒〜0.5秒、好ましくは、0.01秒〜0.3秒、より好ましくは、0.01秒〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明の記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明インク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化し、疎水性画像を被記録媒体表面上に形成する。
ここでインクの硬化に用いられる活性放射線源或いはその好ましい照射条件もまた、インクジェット記録方法において述べたのと同様である。
本発明のインク組成物は、活性放射線により高感度で硬化し、支持体との密着性や膜質に優れた疎水性領域を形成することができる。このため、着色画像の形成やマーキングなどに加え、例えば、平版印刷版の画像部の形成にも使用することができ、この用途に適用することで、高画質で耐刷性にも優れた平版印刷版を得ることも可能である。
本発明のインク組成物は、前記理由により、インクジェット記録用として優れているが、一般的に使用されるインク組成物としても有用であることはいうまでもない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。なお、以下の実施例は各色のUVインクジェット用インク組成物に係るものである。また、以下の説明においては、特に断りのない限り、なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(顔料分散物の作製)
下記表1に示す成分を混合し、1時間スターラーで撹拌した。撹拌後の混合物をビーズミル分散にて分散し、各色の顔料分散物を得た。分散条件は直径0.65mmのジルコニアビーズを70質量%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間は、2〜4時間で行った。
Figure 2010006860
前記表1に示される数値の単位はいずれも「質量部」である。
前記表1中の顔料、分散剤及び重合性化合物は、以下の通りである。
・シアン顔料A
PB15:3
〔IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製〕
・マゼンタ顔料A
PV19
〔CINQUASIA MAGENTA RT−355D;
チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製〕
・イエロー顔料A
PY155
〔NOVOPERM YELLOW 4Gー01;クラリアント社製〕
・カーボンブラック
SPECIAL BLACK 250〔デグサ社製〕
・二酸化チタン
CR60−2〔石原産業(株)製〕
・分散剤A
BYK−168〔ビックケミー社製〕
・分散剤B
ソルスパース36000〔ノベオン社製〕
・重合性化合物A
PEA〔フェノキシエチルアクリレート;第一工業製薬(株)製〕
<インク組成物の作製>
表2に示す成分(単位は質量部)を撹拌混合溶解し、インク組成物を得た。なお、これらのインク組成物の表面張力を、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定したところ、いずれのインク組成物の表面張力も、23〜25mN/mの範囲内であった。
Figure 2010006860
前記表2に示す各成分の量の単位は「質量部」である。
前記表2中、特定有機リン化合物、開始剤(光重合開始剤)、及び増感色素は、下記表3に示す成分であり、開始剤の量は、下記表3に示す開始剤の総量である。
前記表2中、各色の顔料分散物Aは、前記表1に示した成分を含有する前述の顔料分散物Aである。
また、表2に示した重合性化合物A〜C、界面活性剤A、禁止剤A(重合禁止剤)を以下に示す。
・重合性化合物A
PEA
〔フェノキシエチルアクリレート;第一工業製薬(株)製〕
・重合性化合物B
DPGDA
〔ジプロピレングリコールジアクリレート;ダイセル・サイテック(株)製〕
・重合性化合物C
A−TMPT
〔トリメチロールプロパントリアクリレート;新中村化学工業(株)製〕
・界面活性剤A
BYK―30〔(ビックケミー社製、界面活性剤)
・禁止剤A
FIRSTCURE ST−1〔Albemarle社製〕
<インクの評価>
得られたインク組成物をポリ塩化ビニル製のシート上に打滴し、紫外発光ダイオード(UV−LED)の光線下に特定の速度で通過させることにより照射を行って、インクを硬化させ、印刷物を得た。
本実施例では、インクの吐出は、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置により行い、硬化のための発光ダイオード(UV−LED)は、日亜化学製NCCU033を用いた。前記LEDは1チップから波長365nmの紫外光を出力するものであって、約500mAの電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、被記録媒体(以下、メディアとも言う。)表面で0.3W/cmのパワーが得られる。打滴後露光されるまでの時間、及び露光時間はメディアの搬送速度及びヘッドとLEDの搬送方向の距離により変更可能である。本実施例では着弾後、約0.5秒後に露光した。
メディアとの距離及び搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01〜15J/cmの間で調整した。
このとき、以下の評価を行った。
なお、各評価の評価結果は、下記表3に示す。
〔評価項目〕
<硬化性(タックフリー感度)の評価>
印刷後の表面のベトツキが無くなる露光エネルギーによって硬化性を定義した。
印刷後の表面のベトツキの有無は、印刷直後に普通紙(富士ゼロックス(株)製コピー
用紙C2)を押し付け、インク組成物の移りが起きる場合はベトツキ有り、移りが起きな
い場合はベトツキ無しと判断した。
露光エネルギーは、300mJ/cm、600mJ/cm、900mJ/cm、1,200mJ/cm、1,500mJ/cmと変化させ、下記基準に従い評価した。
−評価基準−
評価は以下の5段階で行った。
5: 300mJ/cmの露光でベトツキが無くなった
4: 600mJ/cmの露光でベトツキが無くなった
3: 900mJ/cmの露光でベトツキが無くなった
2:1,200mJ/cmの露光でベトツキが無くなった
1:1,500mJ/cmの露光でベトツキが無くなった
ここでは、タックフリー感度は低い方が硬化性の観点から好ましく、特に、600mJ/cm以下(評価5、評価4)であることが好ましい。
<耐ブロッキング性の評価>
印刷面と基材面を重ね合わせ、一定時間後に剥ぎ取った時に、印刷面の膜の破れや基材面への転写の有無を評価した。
なお、ブロッキング試験に用いた印刷物は、いずれも硬化性(タックフリー感度)試験において、30,00mJ/cmの露光エネルギーで露光したものを用いた。また、印
刷物の保管は、印刷面と基材面を重ね合わせた上に、重りによって均一な加重(1kg/cm)を印刷物全体にかけた状態を24時間(45℃恒温槽保管)で行った。24時間後、印刷面と基材面を剥ぎ取り、目視によって下記基準に従い評価した。
−評価基準−
評価は、以下の3段階で行った。
3:印刷面には膜の破れ等がなく、かつ、基材面にはインクの転写が無い
2:印刷面には膜の破れや膜の内部破壊が一部に見られるか、又は、基材面にインクの転写が一部に見られる(ここで一部とは全面積の50%未満をいう。)
1:印刷面には膜の破れや膜の内部破壊が全面に見られるか、又は、基材面にインクの転写が全面に見られる(ここで一部とは全面積の50%以上をいう。)
<吐出安定性の評価>
得られたインク組成物を室温で二週間保存後、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行い、常温で48時間連続印字したときの、ドット抜けおよびインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、下記基準により評価した。
−評価基準−
○:ドット抜けまたはインクの飛び散りが発生しないか、発生が5回以下
△:ドット抜けまたはインクの飛び散りが6〜20回発生
×:ドット抜けまたはインクの飛び散りが21回以上発生
<耐擦過性の評価>
画像が記録されたPETシート及びアート紙について、紫外線照射後30分経過した後の画像を消しゴムで10往復擦ったときの変化を観察し、下記評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
3:擦過による濃度低下は全くなかった。
2:擦過による濃度低下が僅かに認められた。
1:擦過により著しく濃度が低下した。
<耐変色性の評価>
変色が目立ちやすい白インクにおいて以下の評価を行った。
硬化性試験で印刷後の表面のベトツキが無くなった硬化膜と、露光前の膜との色の変化を下記評価基準にしたがって目視で評価した。
−評価基準−
○:ほとんど色の変化が見られなかった。
△:わずかに黄色着色が見られた。
×:明らかに黄色着が見られた。
評価に使用したインクジェット記録装置のインク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。解像度で射出できるよう駆動した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
Figure 2010006860
前記表3中、増感色素、開始剤(光重合開始剤)及び有機リン化合物の量の単位は「質量部」である。実施例4〜7、比較例4、及び比較例5では耐変色性の評価を行なっていないため、前記表3中、耐変色性の欄は「−」で示した。
また、I−14とI−17は特定化合物の増感色素であり、下記構造の化合物である。
Figure 2010006860
Figure 2010006860
前記表3からわかるように、特定化合物と特定有機リン化合物とを含有するインク組成物は、低出力の放射線照射でも硬化し、耐擦過性、耐ブロッキング性、吐出安定性に優れていた。また比較例1と実施例1を比較すると、露光後の変色も抑えられていることがわかる。また実施例1〜3、及び実施例8において印刷物に形成された画像は良好な白色を呈していることから、本発明のインク組成物により、感度と吐出安定性とに優れ、さらに色再現性にも優れた白色インクが得られることがわかる。
一方、特定増感色素または有機リン化合物を含有しないインク組成物(比較例1〜6)は、実施例に比べ評価が優れず、高感度の硬化、耐擦過性、耐ブロッキング性、及び吐出安定性を両立することができなかった。また、比較例6の白インクは露光後の変色は見られなかったが、比較増感色素である2,4−ジエチルチオキサントンに起因すると推定される黄着色のため、白色画像の色再現性が良好でなかった。

Claims (5)

  1. (i)下記一般式(I)で示される化合物と、(ii)有機ホスフィン化合物及び亜リン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも一種と、(iii)光重合開始剤と、(iv)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、を含有するインク組成物。
    Figure 2010006860

    〔前記一般式(I)において、Xは酸素原子、硫黄原子、又はNRを表し、Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは0又は1の整数を表す。
    、R、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。R、R、R、及び、Rは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R及びRと、R及びRは、互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
  2. さらに着色剤を含有する請求項1に記載のインク組成物。
  3. インクジェット記録用である請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
  4. (a)被記録媒体上に、請求項3に記載のインク組成物を吐出する工程、及び(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。
  5. 前記活性放射線が、発光ピーク波長が340nm以上400nm以下の範囲の紫外線である請求項4に記載のインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015010184A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 富士フイルム株式会社 インク組成物、インクセット、及び画像形成方法
WO2015020175A1 (ja) * 2013-08-09 2015-02-12 ブラザー工業株式会社 光硬化性樹脂組成物、容器、立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法
JP2015189930A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 ブラザー工業株式会社 光硬化性樹脂組成物、容器、立体造形物製造装置及び立体造形物の製造方法

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