JP2009298047A - 延伸光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】配向角が均質な二軸延伸光学フィルムの製造を、高効率で行なうことができる、延伸光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】未延伸フィルム105を、複数の把持子608を有する輪状のリンク装置の一対を備える延伸機に連続的に供給する工程(A)、フィルムの両端部を把持子で把持する工程(B)、リンク装置601Rを周回するよう駆動させ未延伸フィルムが延伸するよう把持子を移動させる工程(C)、フィルムを送出する工程(D)、送出されたフィルムの配向角を連続的に測定する工程(E)、及び測定された配向角に基づいて、その後送出されるフィルムの配向角の変化が減少するよう、工程(C)におけるリンク装置の駆動速度を独立に補正する工程(F)を含み、補正は、配向角の変動の発生に対応して、一対のリンク装置のいずれかの把持子の移動速度を遅延させる延伸光学フィルムの製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】未延伸フィルム105を、複数の把持子608を有する輪状のリンク装置の一対を備える延伸機に連続的に供給する工程(A)、フィルムの両端部を把持子で把持する工程(B)、リンク装置601Rを周回するよう駆動させ未延伸フィルムが延伸するよう把持子を移動させる工程(C)、フィルムを送出する工程(D)、送出されたフィルムの配向角を連続的に測定する工程(E)、及び測定された配向角に基づいて、その後送出されるフィルムの配向角の変化が減少するよう、工程(C)におけるリンク装置の駆動速度を独立に補正する工程(F)を含み、補正は、配向角の変動の発生に対応して、一対のリンク装置のいずれかの把持子の移動速度を遅延させる延伸光学フィルムの製造方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、延伸光学フィルムの製造方法に関し、特に、同時二軸延伸による延伸光学フィルムの製造方法に関する。
従来、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の材料からなる日用品等の雑貨用のフィルムを製造するために、前記材料のフィルムを二軸延伸し、延伸フィルムとする手法が広く用いられている。当該二軸延伸の方式としては、逐次二軸延伸及び同時二軸延伸が知られている。同時二軸延伸は、逐次二軸延伸より生産性が高い方式として採用されている。
同時二軸延伸機としては、リニアモーター方式、パンタグラフ方式及びモーター・チェーン駆動方式等の方式のものが知られている。この中でも、パンタグラフ方式の延伸機は、構造が簡易で且つ延伸機を含む製造ライン全体の立ち上げが迅速に行える等の利点がある。
パンタグラフ方式の同時二軸延伸機は、例えば、特許文献1(特公平4−62530号公報)に開示されるように、複数のリンクプレートをジグザグに連結したエンドレスのリンク装置、リンクプレートの一端に設けられた把持子、及びリンク装置をガイドするガイドレールを備える。当該延伸機において、ダイス等から連続的に供給される、延伸前の樹脂フィルムは、把持子によりその両端を把持される。延伸前の樹脂フィルムを把持子により把持したリンク装置は、ガイドレールにより、収縮していたジグザグが伸展し且つ樹脂フィルムを横方向(樹脂フィルムの面上における、樹脂フィルムが進行する方向と直角の方向)に延伸するようにガイドされる。即ち、把持子は、樹脂フィルムの進行方向に対して斜めに進行し、それにより、延伸前樹脂フィルムは縦方向(樹脂フィルムが進行する方向)及びそれに直角な横方向の両方に同時に延伸され、樹脂フィルムの同時二軸延伸が達成される。
その他の方式の同時二軸延伸機においても、複数の把持子を移動させることにより、連続的に供給される未延伸フィルムを、フィルムを横方向及び縦方向の両方に同時に延伸する点においては共通する。
前述の雑貨等に用いる延伸フィルムを製造する際には、例えば、縦横それぞれ7倍以上の高い延伸倍率でフィルムの延伸が行われている。近年需要が増している、光学的な用途に用いる二軸延伸フィルムの製造においても、このような同時二軸延伸を適用すれば、高性能な延伸光学フィルムを効率的に生産できることが期待される。
また、従来の逐次二軸延伸により延伸光学フィルムを製造した場合、一方向に延伸してから他方向に延伸するまでの間に樹脂が一旦冷却され、熱緩和が起き、得られる二軸延伸フィルムの均一性が阻害されることがあったが、同時二軸延伸によれば、そのような樹脂が一旦冷却される不都合を回避できることが期待される。
しかしながら、同時二軸延伸による延伸は、逐次二軸延伸に比べて、延伸のムラが発生しやすい。特に、同時二軸延伸において縦横同時に延伸を行う場合、幅方向及び流れ方向の延伸方向を正確に制御することが困難であるため、得られる延伸フィルムの配向角の均一さは、光学用途においては不十分な水準であった。
本発明の目的は、配向角が均質な二軸延伸光学フィルムの製造を、高効率で行なうことができる、延伸光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本願発明者は上記課題を解決するため検討した結果、リンク装置の駆動速度を、特定の態様で補正することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本願発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、下記〔1〕〜〔2〕が提供される:
すなわち本発明によれば、下記〔1〕〜〔2〕が提供される:
〔1〕 未延伸フィルムを、複数の把持子を有する輪状のリンク装置の一対を備える延伸機に連続的に供給する工程(A)、前記未延伸フィルムの両端部を前記把持子で把持する工程(B)、前記リンク装置を、周回するよう駆動させることにより、延伸ラインにおいて前記未延伸フィルムが縦及び横方向に延伸するよう把持子を移動させ、未延伸フィルムを延伸光学フィルムとする工程(C)、及び前記延伸機より前記延伸光学フィルムを連続的に送出する工程(D)を含む、延伸光学フィルムの製造方法であって、送出された前記延伸光学フィルムの配向角を連続的に測定する工程(E)、及び前記工程(E)において測定された前記延伸光学フィルムの配向角に基づいて、その後送出される延伸光学フィルムの配向角の変化が減少するよう、前記工程(C)における前記一対のリンク装置の駆動速度を独立に補正する工程(F)をさらに含み、前記補正は、前記リンク装置の周回のサイクルにおいて生じる配向角の変動の発生に対応して、一対のリンク装置のいずれかが有する把持子の移動速度を遅延させるよう行なうことを特徴とする、延伸光学フィルムの製造方法。
〔2〕 前記工程(E)において、前記配向角の測定を、フィルム幅方向上の複数の点において行なう、前記延伸光学フィルムの製造方法。
〔2〕 前記工程(E)において、前記配向角の測定を、フィルム幅方向上の複数の点において行なう、前記延伸光学フィルムの製造方法。
本発明の延伸光学フィルムの製造方法では、同時二軸延伸の利点である製造効率が高いという効果に加え、製造されるフィルムの配向角が均質であるという効果を有し、高品質な延伸光学フィルムを低コストで製造する方法として有用である。
本発明の延伸光学フィルムの製造方法は、未延伸フィルムを、複数の把持子を有する環状のリンク装置の一対を備える延伸機に連続的に供給する工程(A)、前記未延伸フィルムの両端部を前記把持子で把持する工程(B)、前記リンク装置を、周回するよう駆動させることにより、延伸ラインにおいて前記未延伸フィルムが縦及び横方向に延伸するよう把持子を移動させ、未延伸フィルムを延伸光学フィルムとする工程(C)、及び前記延伸機より前記延伸光学フィルムを連続的に送出する工程(D)を含む。このような延伸は、一般的に同時二軸延伸と呼ばれるものである。
同時二軸延伸においては、縦方向の延伸(即ちフィルムの搬送方向に沿った、フィルムの長さの拡張)と、横方向の延伸(即ちフィルムの搬送方向と直角な方向に沿った、フィルムの幅の拡張)とが、少なくともその一部において同時に行われ、好ましくは縦方向と横方向の延伸が、同時に開始され同時に終了する。
同時二軸延伸を行う延伸機は、複数の把持子を備える延伸機であれば特に限定されず、リニアモーター方式、パンタグラフ方式及びモーター・チェーン駆動方式等の方式のものを用いることができ、特にパンタグラフ方式の延伸機が、構造が簡易で且つ延伸機を含む製造ライン全体の立ち上げが迅速に行える等の利点のため好ましい。
以下において、本発明の製造方法の具体例を、同時二軸延伸を行う装置の具体例を参照して説明する。図1は、本発明の製造方法を実施するためのパンタグラフ方式の同時二軸延伸機の一例における、リンク装置による延伸の機構を概略的に示す上面図である。
図1において、未延伸フィルムは、矢印A5の方向に沿って上流(図1における左側)から連続的に供給され(工程(A))、延伸機内を通過する。リンク装置101は、ジグザグ状に連結された複数のリンクプレートから主に構成される。リンク装置101は、リンクプレート102aを含む複数のリンクプレートを輪状に連結させ、輪状の装置とするが、図1においてはその一部を省略して図示している。また、リンク装置101は通常、フィルムの流れ方向の左右両脇に一対設けられるが、図1においてはその一端側を省略して図示している。リンク装置101は、軸受けローラー103a及び103bがガイドレール104a〜104cにより形成される溝内を通り、出口スプロケット106L及び106R並びに入口スプロケット106bにより駆動されることにより、矢印A1に示される方向に周回する。
リンクプレート102aの端部には把持子110を備える。適切な任意の機構により、把持子110は領域D1において樹脂のフィルム105を把持する(工程(B))。また、ガイドレール104の幅の増減により、リンク装置101は領域D1で完全に収縮した状態となり、収縮時のリンクピッチ、即ち未延伸フィルムを把持する際のピッチは図1においてP1で示す長さとなる。
リンク装置101はその後、延伸開始部655に到達した後、伸展しながらオーブン内のフィルムの進行方向A5に対し末広がりに進行し、延伸終了部652に到達した時点で伸展した状態となり、リンクピッチはP2で示す長さとなる(工程(C))。この末広がりの進行により、熱可塑性樹脂フィルムは横方向に、(B2/B1)倍の延伸倍率で延伸され、且つ縦方向には(P2/P1)倍の延伸倍率で延伸される。(B2/B1)の値及び(P2/P1)の値はいずれも好ましくは1.1倍〜2倍に調整され、この倍率は固定又は可変とすることができる。(B2/B1)の値及び(P2/P1)の値は、駆動軸120により支持されるガイドレール保持部130の位置を調節することにより調節することができる。リンクプレート102が領域D2を出る前に把持子110は適切な任意の機構によりは延伸光学フィルム105を離し、その後リンクプレート102は領域D1に向かって戻される。延伸光学フィルム105は、流れ方向に沿って、下流へと送出される(工程(D))。
本発明の延伸光学フィルムの製造方法は、送出された前記延伸光学フィルムの配向角を連続的に測定する工程(E)、及び前記工程(E)において測定された前記延伸光学フィルムの配向角に基づいて、その後送出される延伸光学フィルムの配向角の変化が減少するよう、前記工程(C)における前記一対のリンク装置の駆動速度を独立に補正する工程(F)を含む。
かかる補正の態様の具体例を、図2を参照して説明する。図2は、図1に示す延伸機における、左右のリンク装置の把持子の位置関係をより具体的に示す上面図である。図示のため、図1におけるリンク装置101は、図2においては、把持子608を有する輪状のリンク装置601R及び601Lとしており、把持子以外の箇所については概略的に示している。
工程(D)が終了し下流へ送出された延伸光学フィルム105は、その後点661R及び661Lを通過し、そこで適切な装置により、その配向角が連続的に測定される(工程(E))。測定を行なう点は、フィルム幅方向上の複数の点とすることができる。図2に示す例においては、測定点661R及び661Lは、フィルム幅方向の一線上であって、フィルム幅方向の中心から左右に等距離離れた点に位置している。測定は、一定の時間間隔をおいて反復して行なうことにより、ライン上を移動するフィルムの配向角の変動を把握することができる。かかる時間の間隔は、任意の所望の値に設定することができ、また、細かい間隔で測定し、前後の複数点の平均をとって測定値とすることもできる。
リンク装置の駆動に際しては、リンク装置の駆動速度の補正を行う前の段階では、例えば左右の出口スプロケット106R及び106Lは等速で回転させ、リンク装置を等速で周回させることができるが、その場合でも、リンク装置の駆動速度の誤差が生じうる。そこで、基準として、一対のリンク装置601R及び601L上において一つずつの把持子を、原点として定め、リンク装置は、この一対の原点が常に同じ時間に領域D1に入るよう制御することができる。
例えば、領域D1より上流に、原点の通過を感知する原点センサーを置き、リンク装置の周回サイクル内であって原点が原点センサーを通過する直前の所定の期間(例えば一周が87秒である場合において、原点が原点センサーを通過する直前の3秒間、というように)、出口スプロケット106R及び106Lの角速度を独立に制御し、一対の原点が常に同じ時刻に原点センサーを通過するよう制御し、左右のリンク装置の周回の差異がサイクルを重ねるごとに累積することを避けることができる。このように制御することにより、延伸の不良や装置の破損を防ぐことができる。
このようにリンク装置を駆動し、配向角を測定した結果の概念的な例を、図3に示す。図3は、測定時間(横軸)と、測定された配向角とフィルム幅方向とがなす角θ(縦軸)の関係を示すグラフである。縦軸のθの符号が正になる方向は任意に定めることができるが、ここでは仮に、図2における把持子608R及び608Lのように、リンク装置601R側が先行して延伸方向がずれた結果生じた配向方向の変化を正とする。横軸の数字1〜3は、それぞれ、把持子原点が把持したフィルム位置が測定点を通過した時間に対応し、従って1〜2間及び2〜3間がリンク装置の周回の1サイクルに対応する。
図3に示す例では、グラフにおいて位置P2を頂点とした山として描かれる、把持子原点が通過した際の配向角よりも大きい配向角になっている箇所、及びグラフにおいて位置V1を底とした谷として描かれる、把持子原点が通過した際の配向角よりも小さい配向角になっている箇所が観察される。
このような測定結果が得られた後、リンク装置の駆動速度を独立に補正する(工程(F))ことにより、このような配向角の変化を減少させる。一般的には、このような配向角の変化を減少させるには、配向角の変動の発生に対応して、一対のリンク装置のいずれかが有する把持子の移動速度を減少させるか、他方の把持子の移動速度を増加させるか、またはその両方を行なうことが考えられるが、本発明においては、配向角の変動の発生に対応して、一対のリンク装置のいずれかが有する把持子の移動速度を遅延させる制御を行なう。
例えば、位置P2を頂点とした山を補正する場合、変動の発生する時点(P1〜P2)に対応して、スプロケット106Rの角速度を遅延させる制御を行なう。その時他方のスプロケット106Lの角速度は、変化させず一定とさせることができるが、必要に応じて追加的に角速度を増減させてもよい。そして、変動の頂点の位置を通過した後の時点(P2〜P3)において、必要に応じてスプロケット106Rの角速度を増加させることができる。
逆に、位置V1を底とした谷を補正する場合、変動の発生する時点(P3〜V1)に対応して、スプロケット106Lの角速度を遅延させる制御を行なう。その時他方のスプロケット106Rの角速度は、変化させず一定とさせることができるが、必要に応じて追加的に角速度を増減させてもよい。そして、変動の頂点の位置を通過した後の時点(V1〜V2)において、必要に応じてスプロケット106Lの角速度を増加させることができる。
このようなスプロケットの角速度の増減は、当該スプロケットの角速度を制御するシーケンサーのプログラムを適宜変更することにより行なうことができる。
このように、把持子の移動速度を遅延させる方向に補正することにより、配向角及びその他の特性(厚さ、面内方向のリターデーションRe、厚さ方向のリターデーションRth等)が均質な、良好な延伸光学フィルムを得ることができ、さらにその他の特性(厚さ、面内方向のリターデーションRe、厚さ方向のリターデーションRth等)も均質にすることができる。特定の理論には拘束されるものではないが、かかる良好な結果が得られることの理由としては、縦方向への延伸を行なっているところで、縦方向への延伸の張力が減少する方向に調整を行なうことにより、フィルムに不所望な負荷をかけずに調整を達成しうることが考えられる。
配向角の測定を、複数の点において行なっている場合は、当該点の数に対応して、図3の如きグラフが複数得られ、それらにおいては、誤差を有しながらも大まかな傾向としては一致した、配向角の変動が現れることになる。従って、リンク装置の駆動速度の補正にあたっては、それらの両方の配向角の変動が低減するよう、把持子の移動速度を遅延させることにより、より良好な補正を行うことができる。
図3に示す例では、把持子原点が把持したフィルム位置が測定点を通過した時点においては、配向角の変動が比較的少なく平坦なグラフが描かれているが、実際の操作においては、この時点において配向角の変動が大きく現れ、この時点において補正を行うことが求められる場合がある。その場合は、サイクル内で配向角の変動が比較的少ない別の時点を代替の原点として定めて、リンク装置を駆動することができる。このように補正を行うことにより、配向角の変動を良好に補正しながら、左右のリンク装置の周回の差異の発生の防止を円滑に行なうことができる。
上記補正を行ったあと、連続的な同時二軸延伸をさらに行い、配向角及びその他の特性が均質な、良好な延伸光学フィルムを得ることができるが、そこでさらに配向角を連続的に測定し、それをもとにさらにリンク装置の駆動速度を補正することで、さらに良好な延伸光学フィルムを得ることができる。
本発明の製造方法においては、延伸倍率は、所望の条件に応じて適宜調節することができるが、縦方向及び横方向それぞれ、好ましくは1.1〜2倍、より好ましくは1.2〜1.5倍である。縦横の延伸倍率は、同一である必要はなく、所望の特性に応じて適宜異なる倍率とすることができる。この範囲の延伸倍率とすることにより、光学フィルムに適した延伸フィルムを得ることができ、且つ延伸光学フィルムの厚さ及び配向を均一にすることができる。
本発明の製造方法の同時二軸延伸の工程において延伸される未延伸フィルムは、通常平板状の形状の熱可塑性樹脂フィルムで、その長さ方向に連続的に供給される。フィルムの幅は、特に限定されないが、450〜2000mm、好ましくは1000〜1500mmとすることができる。また、フィルムの厚さは、特に限定されないが、40〜400μm、好ましくは60〜300μmとすることができる。
上記の開示は、説明のため、本発明を、好ましい実施例を参照して記載したものであるが、本発明は、本願請求の範囲及びその均等の全範囲のみにより限定されるものであるため、上記実施の形態において、さらにさまざまな修正及び変更を行うことができる。
例えば、上記実施形態においては、配向角の変動の情報を、リンク装置の駆動速度の補正に用いているが、加えて、延伸終了後フィルムを離すまでの間における把持子の位置情報を計測し、それに基づいた、対になる把持子の位置のずれを併せて加味してリンク装置の駆動速度を補正することもできる。
例えば、上記実施形態においては、配向角の変動の情報を、リンク装置の駆動速度の補正に用いているが、加えて、延伸終了後フィルムを離すまでの間における把持子の位置情報を計測し、それに基づいた、対になる把持子の位置のずれを併せて加味してリンク装置の駆動速度を補正することもできる。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1−1:延伸機)
二軸延伸を実施するための延伸機として、図1〜2に概略的に示すパンタグラフ方式の延伸機を用意した。当該延伸機は、作業環境温度を一定に保つオーブン内に設置され、一対のループ状のリンク装置を備え、一対のリンク装置は左右対称であり、それぞれのリンク装置が311個の把持子を備え、対応する把持子にNo.1〜No.311の番号を振り、No.3を原点とした。
延伸機中のガイドレールを調整することにより、リンク収縮時(即ち未延伸フィルムを把持する際)のピッチP1を35mmとし、リンク伸展時のピッチP2を43mmとした。また、未延伸時の両端の把持子同士の距離は1482mm、延伸終了時の両端の把持子同士の距離は2193mmとした。縦延伸と横延伸の開始点及び終了点は同時とした。
(1−1:延伸機)
二軸延伸を実施するための延伸機として、図1〜2に概略的に示すパンタグラフ方式の延伸機を用意した。当該延伸機は、作業環境温度を一定に保つオーブン内に設置され、一対のループ状のリンク装置を備え、一対のリンク装置は左右対称であり、それぞれのリンク装置が311個の把持子を備え、対応する把持子にNo.1〜No.311の番号を振り、No.3を原点とした。
延伸機中のガイドレールを調整することにより、リンク収縮時(即ち未延伸フィルムを把持する際)のピッチP1を35mmとし、リンク伸展時のピッチP2を43mmとした。また、未延伸時の両端の把持子同士の距離は1482mm、延伸終了時の両端の把持子同士の距離は2193mmとした。縦延伸と横延伸の開始点及び終了点は同時とした。
(1−2:未延伸フィルムの製造及び供給)
ノルボルネン系樹脂(商品名「ZEONOR1420」、ガラス転移点=136℃、日本ゼオン株式会社製)のペレットを100℃で5時間乾燥させた。該ペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、Tダイから表面温度120℃のキャスティングドラム上にドラフト比(ダイ開度とフィルム厚みの比)5:1でシート状に押出して冷却し、厚み130μm、幅1500mmの未延伸フィルムを連続的に製造した。
ノルボルネン系樹脂(商品名「ZEONOR1420」、ガラス転移点=136℃、日本ゼオン株式会社製)のペレットを100℃で5時間乾燥させた。該ペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、Tダイから表面温度120℃のキャスティングドラム上にドラフト比(ダイ開度とフィルム厚みの比)5:1でシート状に押出して冷却し、厚み130μm、幅1500mmの未延伸フィルムを連続的に製造した。
(1−3:延伸機の駆動)
供給される未延伸フィルムを、これを延伸機に供給し、延伸機による同時二軸延伸を開始した。未延伸フィルム供給の入口速度は延伸開始時には低速とし、その後入口速度を15m/分まで徐々に上昇させた。リンク装置の1周に要する時間は87秒であった。原点把持子が原点センサーを通過する3秒前から、スプロケット106R及び106Lの速度を変動させ、一対の原点把持子が常に同じ時点で原点センサーを通過するようスプロケットを制御した。延伸後のフィルム幅は1490mmであった。
送出された延伸光学フィルムの配向角を、図2に示す点661R及び661Lの2箇所で、1秒おきに測定した。点661R及び点661Lは、フィルムの幅方向の一線上であって、フィルム幅方向の中心から700mmの位置とした。測定器として、オンライン位相差計(王子計測機器社製:KOBRA−WIST/2RT)を用いた。
点661L及び661Rのそれぞれにおける測定結果の標準偏差σはそれぞれ0.24及び0.23であった。点661L及び661Rのそれぞれにおける測定結果の10秒ごとの平均値をプロットした結果を図4及び図5に示す。これらのグラフにおいて示されている変動は概ね2サイクル分であり、1880〜1900秒付近及び1960〜1980秒付近に、配向角が大きくなる山の部分が反復して出現している。このような山が出現するところでスプロケット106Rの速度を減速し、ピークを過ぎてからもとの速度に戻るよう、スプロケット速度を制御するシーケンサーのプログラムを補正した。
供給される未延伸フィルムを、これを延伸機に供給し、延伸機による同時二軸延伸を開始した。未延伸フィルム供給の入口速度は延伸開始時には低速とし、その後入口速度を15m/分まで徐々に上昇させた。リンク装置の1周に要する時間は87秒であった。原点把持子が原点センサーを通過する3秒前から、スプロケット106R及び106Lの速度を変動させ、一対の原点把持子が常に同じ時点で原点センサーを通過するようスプロケットを制御した。延伸後のフィルム幅は1490mmであった。
送出された延伸光学フィルムの配向角を、図2に示す点661R及び661Lの2箇所で、1秒おきに測定した。点661R及び点661Lは、フィルムの幅方向の一線上であって、フィルム幅方向の中心から700mmの位置とした。測定器として、オンライン位相差計(王子計測機器社製:KOBRA−WIST/2RT)を用いた。
点661L及び661Rのそれぞれにおける測定結果の標準偏差σはそれぞれ0.24及び0.23であった。点661L及び661Rのそれぞれにおける測定結果の10秒ごとの平均値をプロットした結果を図4及び図5に示す。これらのグラフにおいて示されている変動は概ね2サイクル分であり、1880〜1900秒付近及び1960〜1980秒付近に、配向角が大きくなる山の部分が反復して出現している。このような山が出現するところでスプロケット106Rの速度を減速し、ピークを過ぎてからもとの速度に戻るよう、スプロケット速度を制御するシーケンサーのプログラムを補正した。
(1−4:補正後の延伸機の駆動)
プログラムを補正し、引き続き延伸機を駆動し、上記(1−3)と同様に、送出された延伸光学フィルムの配向角を測定した。点661L及び661Rのそれぞれにおける測定結果の標準偏差σはいずれも0.22であった。点661L及び661Rのそれぞれにおける測定結果の10秒ごとの平均値をプロットした結果を図6及び図7に示す。これらを図4及び図5と対比すると、配向角の変動の幅が、補正前に比べて減少していることが分かる。
プログラムを補正し、引き続き延伸機を駆動し、上記(1−3)と同様に、送出された延伸光学フィルムの配向角を測定した。点661L及び661Rのそれぞれにおける測定結果の標準偏差σはいずれも0.22であった。点661L及び661Rのそれぞれにおける測定結果の10秒ごとの平均値をプロットした結果を図6及び図7に示す。これらを図4及び図5と対比すると、配向角の変動の幅が、補正前に比べて減少していることが分かる。
101、601L、601R リンク装置
102a リンクプレート
103a、103b 軸受けローラー
104a〜104c ガイドレール
105 フィルム
106R、106L、106b スプロケット
110、608 把持子
120 駆動軸
130a〜130b 保持部
102a リンクプレート
103a、103b 軸受けローラー
104a〜104c ガイドレール
105 フィルム
106R、106L、106b スプロケット
110、608 把持子
120 駆動軸
130a〜130b 保持部
Claims (2)
- 未延伸フィルムを、複数の把持子を有する輪状のリンク装置の一対を備える延伸機に連続的に供給する工程(A)、
前記未延伸フィルムの両端部を前記把持子で把持する工程(B)、
前記リンク装置を、周回するよう駆動させることにより、延伸ラインにおいて前記未延伸フィルムが縦及び横方向に延伸するよう把持子を移動させ、未延伸フィルムを延伸光学フィルムとする工程(C)、及び
前記延伸機より前記延伸光学フィルムを連続的に送出する工程(D)
を含む、延伸光学フィルムの製造方法であって、
送出された前記延伸光学フィルムの配向角を連続的に測定する工程(E)、及び
前記工程(E)において測定された前記延伸光学フィルムの配向角に基づいて、その後送出される延伸光学フィルムの配向角の変化が減少するよう、前記工程(C)における前記一対のリンク装置の駆動速度を独立に補正する工程(F)をさらに含み、
前記補正は、前記リンク装置の周回のサイクルにおいて生じる配向角の変動の発生に対応して、一対のリンク装置のいずれかが有する把持子の移動速度を遅延させるよう行なうことを特徴とする、延伸光学フィルムの製造方法。 - 前記工程(E)において、前記配向角の測定を、フィルム幅方向上の複数の点において行なう、請求項1に記載の延伸光学フィルムの製造方法。
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