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JP2009256727A - 溶鋼の精錬方法 - Google Patents

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JP2009256727A JP2008107044A JP2008107044A JP2009256727A JP 2009256727 A JP2009256727 A JP 2009256727A JP 2008107044 A JP2008107044 A JP 2008107044A JP 2008107044 A JP2008107044 A JP 2008107044A JP 2009256727 A JP2009256727 A JP 2009256727A
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Abstract

【課題】脱りん銑を転炉で蛍石を使用することなく脱炭吹錬する際に、スラグ中(%AlO)が3.5質量%以下であっても脱りん反応を促進させうる溶鋼の精錬方法を提供する。
【解決手段】精錬容器にて脱りんした溶銑を、別の精錬容器である上底吹き転炉へ装入して脱炭吹錬するに際し、CaO源、SiO源、AlO含有プリメルトフラックス及びTiO源を添加して、処理後スラグの組成を、(%AlO)=1.0〜3.5質量%、(%TiO)=0.2〜1.0質量%、下記式(1)による塩基度((CaO)/(SiO)、但し(CaO):スラグ中の全CaO含有量(質量%)、(SiO):スラグ中のSiO含有量(質量%))を3.0〜4.5とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、脱りん銑を転炉で脱炭吹錬する際に、スラグを適度にフォーミングさせて脱りん反応を促進する方法に関する。
炭素含有鉄を転炉で脱炭・脱りんする際には通常生石灰が使用されている。ところが、この生石灰は融点が2000℃以上であるため、最高温度を1700℃程度とする転炉での脱炭・脱りん吹錬では、生石灰を単独で溶融・滓化させるのは容易ではない。
そこで、従来は蛍石等のハロゲン化物を添加して生石灰の溶融・滓化を促進していたが、スラグの利材化という観点において、最近では、環境問題によりフッ素に関わる法規制が厳格化され、製鋼スラグ製品にもフッ素の溶出量及び濃度の規制が行われる状況にある。このため、スラグ中のフッ素濃度を極限まで低下させる必要があり、蛍石を使わない脱りん技術の開発が強く望まれている。
このような背景の下、例えば溶銑予備処理において生石灰の溶融・滓化を促進する剤としてAlを用いる方法が、特許文献1に開示されている。
特開平11−21608号公報
しかしながら、脱りん銑を転炉で脱炭吹錬する際にAl源を添加した場合の、脱りん挙動および耐火物溶損挙動を本発明者が調査したところ、脱りん反応を促進すべく添加されたスラグ中のAl含有量(質量%、以下「(%Al)」ともいう。)が3.5質量%超では、耐火物溶損量が急激に増加してしまうことが明らかになった。その一方で、スラグ中(%Al)が3.5質量%以下では、Al添加による脱燐反応促進効果は比較的小程度である。このように、本発明者の調査によって、生産性の向上(炉寿命の短縮要因の排除)と品質の向上(鋼のりん濃度の低減)とをさらに高次で両立するための手段が必要であることが明らかになった。
本発明は、この手段を提供することを目的とするものであり、具体的には、脱りん銑を転炉で蛍石を使用することなく脱炭吹錬する際に、スラグ中(%Al)が3.5質量%以下であっても脱りん反応を促進させうる溶鋼の精錬方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するべく提供される本発明は、次のとおりである。
(1)精錬容器にて脱りんした溶銑を、別の精錬容器である上底吹き転炉へ装入して脱炭吹錬するに際し、CaO源、SiO源、Al含有プリメルトフラックスおよびTiO源を添加して、処理後スラグの組成を、(%Al)=1.0〜3.5質量%、(%TiO)=0.2〜1.0質量%、下記式(1)による塩基度を3.0〜4.5とすることを特徴とする溶鋼の精錬方法:
塩基度=(CaO)/(SiO) (1)
但し、(CaO):スラグ中の全CaO含有量(質量%)
(SiO):スラグ中のSiO含有量(質量%)。
(2)前記Al含有プリメルトフラックスとして取鍋スラグを用いることを特徴とする上記(1)に記載の溶鋼の精錬方法
(3)前記Al含有プリメルトフラックスとして、AlおよびTiOを含有するプリメルトフラックスを用いることを特徴とする、上記(1)に記載の溶鋼の精錬方法。
本発明によれば、脱りん銑を上底吹き転炉で脱炭吹錬する方法において、耐火物溶損を抑制しつつ生石灰等のフラックスの滓化を促進して、処理後[P]を低減できる。
以下、本発明に係る溶鋼の精錬方法の最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る溶鋼の精錬方法は、脱りん銑を転炉(典型的には上底吹き転炉)で脱炭吹錬する際に、Al含有プリメルトフラックスを添加して生石灰の溶解・滓化が促進するが、耐火物溶損量が急激に増加しないように脱炭吹錬処理後のスラグ中(%Al)を3.5質量%以下にする。さらに、Ti鉱石等のTiO源を添加して、脱炭吹錬処理後のスラグ中のTiOの含有量(質量%、以下「(%TiO)」ともいう。)を制御するとともに、下記式(1)で示されるスラグの塩基度を制御する。
スラグの塩基度=(CaO)/(SiO) (1)
ここで、(CaO)は脱炭吹錬処理後のスラグ中の全CaO含有量(質量%)であり、(SiO)は脱炭吹錬処理後のスラグ中のSiO含有量(質量%)である。
1.Al
プリメルトフラックスとはフラックスを構成する各成分があらかじめ溶融・滓化さらたものであって、Al含有プリメルトフラックスとしてはCaOやAlを適量配合してカルシウムアルミネート化した合成フラックスなどのほか、取鍋スラグなどが例示される。このようなAl含有プリメルトフラックスは融点が1500℃程度と低いので、脱炭吹錬の早い時期から滓化する。このため、生石灰と接触したときに生石灰の滓化を促進することが可能となる。
ここで、取鍋スラグの組成としては、全CaO含有量が30〜60質量%、Al含有量が10〜40質量%、全鉄含有量が15質量%以下、およびSiO含有量が15質量%以下のものが望ましい。このような組成であれば、融点が低く、Al源としてはもちろんCaO源としても有用となる。
なお、同じAl源であっても、Al含有プリメルトフラックス以外のAl源としてAl耐火物の廃材(Al含有量:95質量%)を用いたところ、上記スラグ組成となるようにフラックスを配合しても、脱りん反応は促進されなかった。このことは、高融点の生石灰、高融点のAl源およびTiO源を、単に炉内へ添加しただけでは、脱炭吹錬の後半までフラックスはほとんど滓化しないため脱りん反応が促進されないことを示している。
脱炭吹錬処理後のスラグ中(%Al)の上限は上記のように耐火物溶損量の増加防止の観点から3.5質量%以下である。一方、スラグ中(%Al)の下限は1質量%以上であり、1質量%未満の場合にはTiO源を添加しても生石灰の溶解・滓化の促進が限定的となり、脱りん効率向上という効果が得られにくくなる。
Al含有プリメルトフラックス中のAl含有量は10〜70質量%が望ましい。10質量%未満ではプリメルトフラックス原単位が増加して、コスト的に不利となる。これに対し、70質量%を超えると、プリメルトフラックスの融点が高くなりすぎて、脱炭吹錬中に生石灰の滓化を促進する効果が小さくなってしまう。
また、Al含有プリメルトフラックス中のCaO含有量は、10〜70質量%が望ましい。Al含有量の高いフラックスにCaOを添加すると融点を著しく低下させることができるため、10質量%以上添加することが望ましい。しかしながら、CaOを70質量%以上添加すると逆にフラックスの融点が高くなりすぎるため好ましくない。
2.TiO
上記のようにAl源としてAl含有プリメルトフラックスは他のAl源に比べて脱りん反応を促進することができるが、上底吹き転炉では未滓化フラックスは浴面上の炉壁周囲付近に偏在しており、ある程度多量のAl含有プリメルトフラックスを炉内へ添加しなければ、生石灰等の未滓化フラックスと効率良く接触できないため、フラックスの滓化促進効果が小さくなってしまう。
この点に着目して本発明者が鋭意検討した結果、少量のAl含有プリメルトフラックスと共にTiO源を少量添加すると、脱炭吹錬初期から溶融スラグが形成され、しかもその溶融スラグが適度にフォーミングしてスラグ中の全鉄含有量(質量%、以下「(%T.Fe)」ともいう。)が高まり、その結果、脱りん反応が促進されるとの新たな知見が得られた。
フォーミングしたスラグは浴面上方の炉内を覆い、そのスラグは未滓化フラックス(生石灰等)と常に接触し、またフォーミングスラグと未滓化フラックスは十分に攪拌・混合される。
また、脱炭吹錬中に火点で生成されたFeOがフォーミングスラグ中へ取り込まれてスラグ中(%T.Fe)が増加する。このフォーミングスラグはフォーミングすることにより体積が増加しているため、スラグ単位体積当たりの溶銑−スラグ界面積が小さい。したがって、フォーミングスラグ中の鉄成分は溶銑中に溶解している炭素と接触する機会が少なくなり、スラグ中(%T.Fe)は高値で維持されやすい。その結果、スラグの酸素ポテンシャルが高くなって、脱りん反応が促進される。なお、本発明に係る製造方法により脱炭精錬がなされた後のスラグ中(%T.Fe)は、典型的には5〜20質量%である。
このように脱燐反応の促進に効果的なTiO源としては、イルメナイト鉱石やルチル鉱石が例示される。
本発明に係る溶鋼の精製方法では、脱炭吹錬処理後のスラグ中のTiO含有量「質量%、以下「(%TiO)」ともいう。」を0.2〜1質量%とする。この(%TiO)が0.2質量%未満の場合にはTiO源添加の効果が得られにくく、一方、この(%TiO)が1質量%超の場合には耐火物溶損量が急激に増加する傾向を示すようになる。
なお、AlおよびTiOを共に含有するプリメルトフラックスを用いる場合でも、上記の脱りん反応促進効果を得ることができる。
その場合には、プリメルトフラックス中の(%Al)は10〜70質量%、(%TiO)は0.5〜20質量%とすることが望ましい。
プリメルトフラックス中の(%TiO)が0.5質量%未満では、プリメルトフラックスの原単位が多くなりすぎてコストアップになる。一方、プリメルトフラックス中の(%TiO)が20質量%を超えると、スラグ中の(%Al)を調整する際に、スラグ中(%TiO)を適正な範囲に制御し難くなる。
3.塩基度等
本発明に係る溶鋼の精錬方法では、上記式(1)で表される脱炭精錬処理後スラグの塩基度(以下「実塩基度」ともいう。)を3.0〜4.5とする。この範囲とすることで、脱りん反応の促進効果が安定的に実現される。実塩基度が3.0よりも低い場合にはスラグの脱りん能が低いためにりん濃度を充分に低下させることが困難となる。一方、塩基度が4.5を超える場合には、スラグの融点が高くなるためスラグが滓化しにくく、やはり脱りん反応は進行しにくくなる。脱りん反応効果を特に安定的に得るためには、実塩基度を3.0〜4.0とすることが好ましい。
スラグのCaO源としては、生石灰、石灰石、消石灰、ドロマイトなどが例示され、SiO源としては、珪石、橄欖岩などが例示される。なお、スラグは上記の成分以外にMgOを含んでもよく、そのMgO源としては、ドロマイト、天然マグネシア、橄欖岩などが例示される。
4.溶銑組成、吹錬条件等
本発明に係る溶鋼の精製方法では、脱炭吹錬処理後のスラグ中の(%Al)、(%TiO)、および塩基度を所定の範囲にすることができれば、脱炭吹錬処理に供される溶銑の化学組成は特に限定されない。しかしながら、脱炭吹錬処理前の溶銑のりん濃度が過剰に高い場合には、本発明に係る脱炭吹錬処理でも充分に燐濃度を低下させることができないときもあるため、脱炭吹錬処理に供される溶銑は予備処理として脱りん処理がなされ、溶銑内のりん含有量(質量%、以下「[P]」という。)が0.05質量%であることが好ましく、0.03質量%以下であれば特に好ましい。この脱りん処理が行われる精錬容器は特に限定されず、トーピードカーおよび溶銑鍋が例示される。
脱炭吹錬処理に供される溶銑のその他の元素の典型的な含有量を示せば、次のとおりである:
[C]≦4.0質量%以下、
[Si]≦0.10質量%、
[Mn]≦0.30質量%、
[S]≦0.03質量%、
[Ti]≦0.01質量%。
ここで、[元素]は、[P]と同様に、当該元素の溶鋼中含有量(質量%)を意味する。
脱炭吹錬処理の処理条件は、溶銑の化学組成と同様に、処理後のスラグが適切に制御されていれば、特に制限されない。
典型的には、上底吹き転炉を用い、上吹きランスからは酸素を含むガスを、底吹き羽口からは攪拌目的でArなどの不活性ガスを供給し、処理後の溶鋼温度が1600〜1700℃になるようにしつつ10〜15分程度の脱炭吹錬処理を行う。
脱炭吹錬処理において添加されるCaO源、SiO源、Al含有プリメルトフラックスおよびTiO源は、塊状として酸素吹付け前または酸素吹付け中の溶銑に投入する。
脱炭吹錬処理後の溶鋼の組成も特に制限されない。炭素含有量を約0.3質量以下として低炭素鋼を得てもよいし、約0.3〜0.7質量%として中炭素鋼を得てもよい。あるいは、炭素含有量を0.05質量%未満として極低炭素鋼を得てもよい。
以下に、本発明に係る溶鋼の精錬方法における溶銑および溶鋼ならびに脱炭脱燐吹錬後のスラグの組成ならびに吹錬条件(吹錬前後の温度)についてまとめたものを表1として示す。
Figure 2009256727
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
試験転炉(マグネシア−カーボン煉瓦を使用)へ以下の化学組成を有する脱りん銑2tonを装入した:
[C]:3.4〜4.0質量%、
[Si]≦0.05質量%、
[Mn]:0.18〜0.22質量%、
[P]:0.02〜0.03質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]≦0.01質量%。
続いて、生石灰13〜20kg/t、珪石3.0〜5.5kg/t、MgO粒2kg/t、取鍋スラグ(組成:CaO=40質量%、SiO=10質量%、Al=20質量%、T.Fe=5質量%)0.8〜6.5kg/t、Ti鉱石(組成:TiO=40質量%、T.Fe=32質量%)を0.1〜1.1kg/t添加した。
その後、上吹きランスから酸素ガスを2.7Nm/min/tで上吹きし、底吹き羽口からArガスを0.2Nm/min/tで吹き込んだ。
吹錬終了時の溶鋼温度は約1650℃であり、その組成(質量%)は、りん以外については次のとおりであった:
[C]:0.05〜0.10質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.10〜0.17質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
吹錬中の耐火物溶損量は、吹錬中にスラグへ溶出したMgOの質量(以下「MgO溶出量」という。)を、スラグ中MgO含有量(質量%、以下「(%MgO)」という。)から算出し、処理後スラグ組成が実塩基度3.8、(%Al)=2.4、(%TiO)=0.5の場合(表1中のNo.7)のMgO溶出量で規格化した指数(以下「耐火物溶損指数」という。)で表す。
耐火物溶損指数は1.5以下を目標とした。
処理後[P]は0.010質量%以下を目標とした。
結果を表2に示す。
Figure 2009256727
ここで、表2における評価の欄の評価基準は次のとおりである:
○:処理後[P]≦0.010質量%、耐火物溶損指数≦1.5を両方満足した場合
×:処理後[P]≦0.010質量%、耐火物溶損指数≦1.5のどちらか一方でも満足しなかった場合
△:フラックス量を増やして実塩基度を高めても、処理後[P]がほとんど変化せず、コスト的に好ましくない場合。
(実施例2)
試験転炉(マグネシア−カーボン煉瓦を使用)へ以下の化学組成を有する脱りん銑2tonを装入した:
[C]:3.5質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.20質量%、
[P]:0.025質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
続いて、生石灰16.5kg/t、珪石4.1kg/t、プリメルトフラックス(組成:CaO=30質量%、SiO=7質量%、Al=18質量%、T.Fe=8質量%、TiO=3.4質量%)4.1kg/tを添加した。
その後、上吹きランスから酸素ガスを2.7Nm/min/tで上吹きし、底吹き羽口からArガスを0.2Nm/min/tで吹き込んだ。
吹錬終了時の溶鋼温度は約1650℃であり、その組成(質量%)は次のとおりであった:
[C]:0.08質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.15質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
処理後スラグ組成は、実塩基度=3.8、(%Al)=2.4質量%、(%TiO)=0.5%で、溶鋼中[P]=0.005質量%、耐火物溶損指数=1.0であった。
Al含有取鍋スラグとTi鉱石を添加した場合(表1中のNo.7)より、処理後[P]が下がった。
(比較例1)
試験転炉(マグネシア−カーボン煉瓦を使用)へ以下の化学組成を有する脱りん銑2tonを装入した:
[C]:3.7質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.21質量%、
[P]:0.025質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
続いて、生石灰18kg/t、珪石5.0kg/t、MgO粒2kg/t添加した。
その後、上吹きランスから酸素ガスを2.7Nm/min/tで上吹きし、底吹き羽口からArガスを0.2Nm/min/tで吹き込んだ。
吹錬終了時の溶鋼温度は約1645℃であり、その組成は次のとおりであった:
[C]:0.09質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.14質量%、
[P]:0.018質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
処理後スラグ組成は、実塩基度は3.0、(%Al)が0.5質量%、(%TiO)が0.1質量%であった。耐火物溶損指数は0.9であった。
(比較例2)
試験転炉(マグネシア−カーボン煉瓦を使用)へ以下の化学組成を有する脱りん銑2tonを装入した:
[C]:3.4質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.22質量%、
[P]:0.026質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
続いて、生石灰18kg/t、珪石5.0kg/t、MgO粒2kg/t、取鍋スラグ(組成:CaO=40質量%、SiO=10質量%、Al=20質量%、T.Fe=5質量%)3.0kg/tを添加した。
その後、上吹きランスから酸素ガスを2.7Nm/min/tで上吹きし、底吹き羽口からArガスを0.2Nm/min/tで吹き込んだ。
吹錬終了時の溶鋼温度は約1646℃であり、その組成は次のとおりであった:
[C]:0.06質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.12質量%、
[P]:0.011質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
処理後スラグ組成は、実塩基度は3.3、(%Al)が2質量%、(%TiO)が0.1質量%であった。耐火物溶損指数は0.9であった。
(比較例3)
試験転炉(マグネシア−カーボン煉瓦を使用)へ以下の化学組成を有する脱りん銑2tonを装入した:
[C]:3.5質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.21質量%、
[P]:0.025質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
続いて、生石灰16.5kg/t、珪石4.2kg/t、Al煉瓦廃材(組成:Al=100質量%)0.8kg/t、Ti鉱石(組成:TiO=40質量%、T.Fe=32質量%)を0.5kg/t添加した。
その後、上吹きランスから酸素ガスを2.7Nm/min/tで上吹きし、底吹き羽口からArガスを0.2Nm/min/tで吹き込んだ。
吹錬終了時の溶鋼温度は約1650℃であり、その組成は次のとおりであった:
[C]:0.10質量%、
[Si]:<0.01質量%、
[Mn]:0.23質量%、
[P]:0.012質量%、
[S]:0.005質量%、
[Ti]:<0.01質量%。
処理後スラグ組成は、実塩基度が3.7、(%Al)が2.0質量%、(%TiO)が0.6質量%で、溶鋼中、耐火物溶損指数は0.9であった。
Al含有取鍋スラグとTi鉱石を添加した場合(表1中のNo.7)と比べ、処理後[P]は下がらなかった。
以下に、上記の実施例による各結果について説明する。
(1)実施例1のNo.1〜6について
吹錬後のスラグ組成が実塩基度=3.0〜4.5、(%TiO)=0.2〜1.0質量%として、(%Al)を変化させたところ、Al源添加によりスラグ中(%Al)が1質量%以上になると、フラックスの溶解・滓化が促進されて脱りんに有効な溶融スラグ量が増えて、処理後の[P]が目標値まで低下した。
ところが、スラグ中(%Al)が3.5質量%を超えると耐火物溶損量が急激に増加してしまった。
脱炭吹錬後に、スラグ中(%Al)が3.5質量%を超えたスラグを目視観察したところ、スラグの流動性が著しく高まっていた。よって、この流動性の高いスラグによって耐火物が浸食されてしまったと考えられる。
(2)実施例1のNo.7〜10について
吹錬後のスラグ組成が実塩基度3.0〜4.5、(%Al)=1〜3.5質量%として、スラグ中(%TiO)を変化させて、脱りん挙動と耐火物溶損挙動を調査した。
スラグ中(%TiO)が0.2質量%以上の場合には、吹錬中にスラグがフォーミングして、処理後[P]が目標値まで低下した。
一方、スラグ中(%TiO)が1.0質量%を超える場合には、吹錬の早い段階からスラグが激しくフォーミングし始めるとともに、耐火物溶損量が急激に増加した。スラグ中(%TiO)が1.0質量%を超える場合には、吹錬の早い段階からスラグ中の(%T.Fe)が高まってスラグの流動性が高い状態が長く続いたため、耐火物溶損量が増加したと考えられる。
(3)実施例1のNo.11〜15について
吹錬後のスラグ組成が(%Al)=1〜3.5質量%、(%TiO)=0.2〜1.0質量%であっても、スラグの実塩基度が3.0未満の場合は、処理後[P]を目標値まで低減できなかった。
スラグの脱りん能は実塩基度が高いほど大きくなることが知られており、吹錬後のスラグ組成が(%Al)=1〜3.5質量%、(%TiO)=0.2〜1.0質量%では実塩基度を3.0以上にしなければ処理後[P]目標値まで低減できないことが明らかになった。
なお、フラックス添加量を増やして装入塩基度を高めて、実塩基度が4.5を超えて更に高まるようにしても処理後[P]はほとんど変化しなかった。
スラグの実塩基度が4.5を超えるような組成のスラグは、その融点が著しく高いため、吹錬の終盤になって始めてフラックスが滓化し、塩基度が4.5を超えるような状態となる。ところが、脱りん反応が進行するためにはスラグが滓化することが必要であるから、このような高融点のスラグでは、吹錬の終盤になって滓化して急激に実塩基度が上がっても、脱りん反応が進行する時間は短いため、処理後[P]はほとんど変化しかなったものと推測される。
このように、実塩基度が過剰に高い場合には処理後[P]がほとんど変化しないので、フラックス量を増加した分だけ経済的に不利である。
よって、実塩基度は3.0〜4.5とするのが望ましい。
(4)実施例2について
AlおよびTiOを含有するプリメルトフラックスを用いたことにより、Al含有プリメルトフラックスとして取鍋スラグを、TiO含有フラックスとしてTi鉱石を用いた場合に比べ、AlとTiOが溶融スラグ中に確実に共存することから、両者の相乗効果(適度にフォーミングして適度な(%T.Fe)を有したスラグを生成して、生石灰等のフラックスをスラグ中へ速やかに滓化させること)がより効率的に実現され、処理後[P]がより低下したものと推測される。
なお、AlおよびTiOを含有するプリメルトフラックスを用いた場合には、上記相乗効果が効率的に実現された、すなわちフラックスの滓化が促進されただけであり、吹錬中のスラグフォーミングが著しく激しくなる等の変化は見られなかった。そのため、AlおよびTiOを含有するプリメルトフラックスを用いても、耐火物の溶損量はほとんど変化しなかった。
(5)比較例1について
Al源を添加しない場合には吹錬中にスラグがフォーミングせず、このため、生石灰の滓化が進まず、処理後[P]が目標値まで低下しなかった。
(6)比較例2について
Al源のみを少量添加しても(スラグ中(%Al)≦3.5)、生石灰の滓化が進まず、処理後[P]が目標値まで低下しなかった。
(7)比較例3について
Al源としてAl耐火物の廃材を用いた場合は、吹錬中にスラグはあまりフォーミングせず、処理後[P]は目標に達しなかった。
これは、前述のように、高融点の生石灰と高融点のAl源およびTiO源を、単に炉内へ添加しただけでは、脱炭吹錬の終盤までフラックスはほとんど滓化しないため、脱りん反応が進まなかったことによると考えられる。

Claims (3)

  1. 精錬容器にて脱りんした溶銑を、別の精錬容器である上底吹き転炉へ装入して脱炭吹錬するに際し、CaO源、SiO源、Al含有プリメルトフラックスおよびTiO源を添加して、処理後スラグの組成を、(%Al)=1.0〜3.5質量%、(%TiO)=0.2〜1.0質量%、下記式(1)による塩基度を3.0〜4.5とすることを特徴とする溶鋼の精錬方法。
    塩基度=(CaO)/(SiO) (1)
    但し、(CaO):スラグ中の全CaO含有量(質量%)
    (SiO):スラグ中のSiO含有量(質量%)
  2. 前記Al含有プリメルトフラックスとして取鍋スラグを用いることを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の精錬方法
  3. 前記Al含有プリメルトフラックスとして、AlおよびTiOを含有するプリメルトフラックスを用いることを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼の精錬方法。
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