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JP2009234121A - グリコール系インク用インクジェット記録材料 - Google Patents

グリコール系インク用インクジェット記録材料 Download PDF

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JP2009234121A
JP2009234121A JP2008084831A JP2008084831A JP2009234121A JP 2009234121 A JP2009234121 A JP 2009234121A JP 2008084831 A JP2008084831 A JP 2008084831A JP 2008084831 A JP2008084831 A JP 2008084831A JP 2009234121 A JP2009234121 A JP 2009234121A
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Hajime Sugita
元 杉田
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

【課題】本発明の目的は、グリコール系インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合に、優れた発色性、インク乾燥性、擦過性を有するグリコール系インク用インクジェット記録材料を提供することにある。
【解決手段】支持体上に平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子、樹脂バインダー、およびアセチレングリコール型界面活性剤を少なくとも一種含有する多孔質のインク受容層を少なくとも一層有し、前記インク受容層上にアクリル系樹脂エマルジョンを含有する表面層を有することを特徴とするグリコール系インク用インクジェット記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリコール系インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合に、優れた発色性、インク乾燥性、擦過性を有するグリコール系インク用インクジェット記録材料に関する。
近年、インクジェット記録技術の急速な革新により、インクジェットプリンターで、銀塩写真で得られる画質を凌駕するほどの品質が得られるようになり、オフィスユース、ホームユースプリンターとして急速に普及している。また、屋内広告または屋外広告などサイン・ディスプレーの分野でも急速に普及している。
インクジェットプリンターに使用されるインクとしては、染料インクと顔料インクに大別される。染料インクを用いた場合、優れた発色性があるという反面、耐水性、耐候性が劣るという欠点がある。一方、顔料インクを用いた場合、優れた耐水性、耐候性がある反面、染料インクに比べ発色性が劣るという欠点があった。しかし、近年の顔料分散技術の向上により染料インクに匹敵する優れた発色性が実現できるようになった。そのため染料インクから顔料インクへと徐々に移行し始めている。
また、インクジェットプリンターに使用されている顔料インクには、水系顔料インクと溶剤系顔料インクに大別される。
水系顔料インクは顔料の分散媒として水を主体としている為、臭気が少ないが、顔料の濃度を高くできず、印字濃度、色の鮮鋭さの点で劣る欠点がある。
一方、溶剤系顔料インクは、従来、顔料をシクロヘキサノンまたはメチルエチルケトンを主体とする溶剤に分散させたインクであり、高濃度、色の鮮鋭さに優れ、またインク自体に優れた耐水性があるため広告、看板などの分野で普及している。その反面、溶剤系顔料インクは臭気がきつく取扱作業者の作業環境に与える影響が大きく、取扱者は有機溶剤取扱主任者であることが必要で、専用の排気設備も必要である。
これらの問題を解決するものとして、油性インクを使用したインクジェット方式が提案されている。油性インクとは、油溶性染料、有機顔料、無機顔料などをパラフィン類、エーテル類、アルコール類などの溶剤に溶解もしくは分散したインクである。しかし、油性インクを用いてインク受容層に画像を記録した場合、インク受容層中に残存する溶剤の乾燥性が悪く、長時間乾燥する必要があるため、作業効率を著しく低下させる問題を抱えている。
そこで顔料を、グリコールエーテルを主体とする溶剤に分散させたグリコール系インクが開発されている。具体的には、ポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどを主なる溶剤とし、インク100質量部に対し、グリコールエーテルを60質量部以上使用したものである。このインクは新しく開発された溶剤系顔料インクであり、臭気が少なく耐水性に優れるとともに、従来の溶剤インクの欠点を解消したものである。また、油性インクよりも記録後のインク受容層中に残存する溶剤の蒸発が早い利点がある。近年では、このグリコール系インクが普及しつつあるが、従来の溶剤系インクに比べると印字部を擦ると剥がれ易いという課題があった。そのため、グリコール系インクに適したインクジェット記録材料が必要とされていた。
インクジェット記録材料としては、一般にインク中の溶媒を吸収する樹脂を主たる構成成分とする膨潤タイプ、顔料粒子と樹脂を主たる構成成分とし、多孔質構造のインク受容層内の空隙によりインクを吸収する空隙タイプの2種類が一般的に使用されている。
空隙タイプのインク受容層を設けた記録材料としては、シリカ粒子と水溶性樹脂からなる多孔質構造のインク受容層を基材上に塗設したインクジェット用記録材料(例えば、特許文献1参照)、多孔質なインク受容層中にエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加したアセチレングリコール系化合物を含有するインクジェット記録材料(例えば特許文献2参照)、多孔質なインク受容層中にアセチレングリコール化合物またはその誘導体を含有するインクジェット記録材料(例えば、特許文献3参照)が開示されている。これらインクジェット記録材料は何れも優れたインク乾燥性を有するが、水性インク用に設計された記録材であり、溶剤インク、特にグリコール系インクを用いた場合は、印字後に十分な擦過性が得られず、印字部を誤って擦った場合には画像が欠落するという問題があった。また、粒子と非水溶性樹脂を主たる構成成分とする多孔質構造を有するインク受容層を設けたインクジェット用記録材料が開示されている(例えば、特許文献4〜8参照)。これらインクジェット用記録材料は、使用する樹脂成分が粒子に対して未だ過剰にあり、空隙率の高い多孔質構造を実現しておらず、乾燥時間に時間を要し作業効率を著しく低下させていた。さらに、水に不溶な有機粒子を含有する多孔性層を表面層として有するインクジェット記録材料(例えば特許文献9参照)や、支持体上に溶剤吸収性を有する光沢発現層を有し、光沢発現層にイソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマーが含まれているインクジェット記録材料(例えば特許文献10参照)が開示されているが、本発明の目的であるグリコール系インクを用いたインクジェット記録方式の課題解決を意図したものではない。
膨潤タイプのインク受容層を設けた記録材料としては、インク溶媒に膨潤または溶解可能な樹脂として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いるインクジェット記録材料(例えば、特許文献11参照)や、アクリル系樹脂を主成分とするインク受容層を有するインクジェット記録材料(例えば、特許文献12参照)が開示されている。印字後十分に乾燥させれば優れた擦過性を有するが、インク吸収性に劣るため乾燥に長時間を要し、大量に出力する場合重ねて保存できず作業効率を著しく低下させていた。
特開2000−238422号公報 特開2004−181760号公報 特開2003−326832号公報 特開2004−322552号公報 特開2004−330465号公報 特開2004−50509号公報 特開2000−335084号公報 特開2000−335082号公報 特開2003−200649号公報 特開平10−250218号公報 特開2004−106190号公報 特開2004−291561号公報
本発明の目的は、グリコール系インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合に、優れた発色性、インク乾燥性、擦過性を有したグリコール系インク用インクジェット記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)支持体上に平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子、樹脂バインダー、および下記一般式(1)または(2)で表されるアセチレングリコール型界面活性剤を少なくとも一種含有する多孔質のインク受容層を少なくとも一層有し、前記インク受容層上にアクリル系樹脂エマルジョンを含有する表面層を有することを特徴とするグリコール系インク用インクジェット記録材料。
Figure 2009234121
上記一般式(1)中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示す。
Figure 2009234121
上記一般式(2)中、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜25であり、m+nは2〜40である。
(2)上記インク受容層が含有する一般式(1)または(2)で表されるアセチレングリコール型界面活性剤の固形分量が前記無機微粒子100質量部に対し、0.1質量部から1.0質量部である請求項1に記載のグリコール系インク用インクジェット記録材料。
本発明によれば、グリコール系インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合に、優れた発色性、インク乾燥性、擦過性を有するグリコール系インク用インクジェット記録材料を提供することが可能となる。
本発明のグリコール系インク用インクジェット記録材料は、支持体上に平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子、樹脂バインダー、および下記一般式(1)または(2)で表されるアセチレングリコール型界面活性剤を少なくとも一種含有する多孔質のインク受容層を少なくとも一層有し、前記インク受容層上にアクリル系樹脂エマルジョンを含有する表面層を有する構成とすることで、グリコール系インクのインクジェットプリンターで印字した場合に、優れた発色性、インク乾燥性、擦過性を実現することができる。
本発明の効果を実現する為には、表面層はグリコール系インクに膨潤もしくは溶解或いはグリコール系インクを吸収可能な樹脂エマルジョンが必要であり、その様な観点からアクリル系樹脂エマルジョンを利用する。本発明で用いるアクリル系樹脂エマルジョンとしては、樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対してアクリル酸、メタクリル酸、およびこれらのエステルを重合成分として50質量部以上含むものである。例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの単独重合エマルジョン、共重合体エマルジョンが挙げられ、更にアクリル酸、メタクリル酸とアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルとの共重合体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルと酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、ウレタン等との共重合体エマルジョンが挙げられる。
上述したような本発明に用いられるアクリル系樹脂エマルジョンとしては、例えば大成ファインケミカル株式会社製のアクリットUW520、アクリットUW319SX、アクリットSE1645E、アクリットWEM031U、アクリットWEM290Aが、三井化学株式会社製のXMM−2029、XMM−2031が、中央理化工業株式会社製のリカボンドFK−850が、株式会社日本触媒製のアクリセットEX35、ST−200が、大同化成工業株式会社製のE7584H等が市販されているので、これらを入手し用いることができる。
また上記アクリル系樹脂エマルジョンと、他の樹脂エマルジョンも混合して表面層を設けても良い。そのような樹脂エマルジョンとしては、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、塩素化ポリオレフィン系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系共重合体(以下SBRと称す)ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体(以下NBRと称す)ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体(以下MBRと称す)ラテックス、カルボキシル化SBRラテックス、カルボキシル化NBRラテックス、カルボキシル化MBRラテックス、ウレタン樹脂エマルジョン等が挙げられる。本発明のアクリル系樹脂エマルジョンと混合使用する樹脂エマルジョンの混合比率としては、アクリル系樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して50質量部以下、好ましくは30質量部以下である。
本発明で使用されるアクリル系樹脂エマルジョンの平均粒子径としては、40nm以上150nm以下が好ましい。平均粒子径の測定は、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することが出来る。
本発明で使用される表面層を形成するアクリル系樹脂エマルジョンの固形分塗布量は50mg/m2以上200mg/m2以下が好ましい。上記範囲より少ないと発色性が低下し、印字部の擦過性が低下する傾向にあり、また、多すぎると表面層に浸透したインク溶剤が速やかに下層のインク吸収層に到達せずインク吸収性の低下を生じる傾向にある。
本発明で使用される表面層には塗布適性、色調あわせ等の要求特性に応じて、防腐剤、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などを添加することもできる。使用する場合には、表面層を形成する樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対し10質量部未満、より好ましくは5質量部未満である。
本発明の効果を実現する為にインク受容層で用いられる界面活性剤は、インク受容層塗設時に瞬時にインク受容層表面に分布させる必要がある。これは後述するようにインク受容層表面に微細な亀裂を生じさせるためであり、この亀裂の形成にあたって好適な界面活性剤は、下記一般式(1)または(2)で表されるアセチレングリコール型界面活性剤である。
Figure 2009234121
上記一般式(1)中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示す。
Figure 2009234121
上記一般式(2)中、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜25であり、m+nは2〜40である。
上述したような本発明に用いられるアセチレングリコール型界面活性剤としては、例えばエアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(例えば、サーフィノールA、サーフィノール104H、サーフィノール104E、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノールSE)、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(例えば、オルフィンSPC、オルフィンE1010、オルフィンE1004、オルフィンPD−201、オルフィンPD−202、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W)、川研ファインケミカル株式会社製のアセチレノールシリーズ(例えば、アセチレノールE00、アセチレノールE00P、アセチレノールE40、アセチレノールE100)等が市販されているので、入手して用いることが出来る。
本発明で使用される上記一般式(1)または(2)で表されるアセチレングリコール型界面活性剤はインク受容層中に使用される無機微粒子100質量部に対して0.1質量部以上1.0質量部以下が好ましい。上記範囲より少ないと、インク受容層表面に微細な亀裂が殆ど形成されず、擦過性が低下する場合がある。また、多すぎるとインク受容層表面から支持体表面まで亀裂が内部まで形成されてしまい、インク受容層が支持体から欠落してしまう場合がある。
インク受容層中に上記一般式(1)または(2)で表されるアセチレングリコール型界面活性剤を使用することによりインク受容層表面に微細な亀裂が発生する理由は以下のように推察する。すなわち、本発明に使用されるアセチレングリコール型界面活性剤は、他の界面活性剤に比べて、インク受容層塗布液を支持体上に塗布した直後に表面近傍に瞬時に単分子膜を形成することが可能な界面活性剤である。一定量以上のアセチレングリコール型界面活性剤を、インク受容層を設けるための塗布液中に含有させると、余剰のアセチレングリコール型界面活性剤分子が表面近傍で部分的に局在分布し、その後乾燥する際にその成膜性をわずかに阻害することで、微細な亀裂をインク受容層の表面近傍に発生させるものと推察する。一方、他の界面活性剤はこのような挙動は示さず、乾燥時の塗層内部から表面に渡って亀裂が生じたと推察される。このため、塗層強度が低下し、更に十分なインク乾燥性および擦過性が得られない。
本発明において支持体上に形成されるインク受容層中にアセチレングリコール型界面活性剤を含有し、該層上にアクリル系樹脂エマルジョンを含有する表面層を形成することにより、グリコール系インクを使用したインクジェットプリンターで印字した場合に優れた発色性、インク乾燥性、擦過性を発現する理由は以下のように推察する。
発色性については以下のように推察する。すなわち、本発明のグリコール系インク用インクジェット記録材料はグリコール系インクで印字した場合、表面層に着弾したインク液滴は、表面層中のアクリル系樹脂エマルジョンを膨潤もしくは溶解することによって、インクドット径が適度に広がり発色性を向上させる。表面層がない場合には、多孔質のインク受容層中にインク溶剤が急速に浸透するためインクドット径が適度に広がることなく、発色性が劣ってしまう。インク受容層がない場合には、インク溶剤を吸収することがないため、インクが表面層上で溢れ画像を形成しない。
インク乾燥性と擦過性については以下のように推察する。すなわち、本発明のグリコール系インク用インクジェット記録材料はグリコール系インクで印字した場合、表面層中のアクリル系樹脂エマルジョンが速やかに膨潤もしくは溶解すると同時に、インク受容層中に浸透し溶剤成分を速やかに吸収する。顔料成分はインク溶剤により溶解された表面層中に包埋され、一部はインク受容層表面に形成された微細な亀裂内部に浸透してインク溶剤の乾燥とともに均一に皮膜化され固定され、微細な亀裂が内部に浸透した顔料成分に対してアンカー効果を奏することで優れた擦過性を発現するものと推察される。表面層がない場合には、インクドット径が適度に広がらず優れた発色性が得られず、また顔料成分はアクリル系樹脂エマルジョンがないために包埋されることがなく、インク溶剤の乾燥とともに均一に皮膜化されることがない。よって、印字後の取り扱いによっては印字部が剥がれることが起きてしまう。
本発明において、インク受容層の上への表面層塗布液の塗布は、インク受容層を塗設するための塗布液を支持体上に塗布した後に乾燥することにより、該インク受容層中に充分な空隙を形成した後に、インク受容層の空隙容量以下の塗布量に調整した表面層の塗布液を塗布するのが好ましい。これにより、表面層塗布液がインク受容層中に急激に吸収され、この吸収時の吸引力により表面層塗布液中に分散している樹脂エマルジョンがインク受容層表面上に強く押し付けられ、インク受容層との間に結着力が生じる、いわゆる圧着と同様の事象が発現し表面層がインク受容層上に明確な界面を保持して固定される。
本発明でいうインク受容層の空隙容量とは、水銀ポロシメーター(測定器名称 Autopore II 9220 製造元 micromeritics instrument corporation)を用い測定・処理された、インク受容層部分における細孔半径3nmから400nmまでの累積細孔容積(mL/g)に、インク受容層の塗布固形分(g/m2)を乗ずる事で、単位面積(m2)当たりの数値として求める事が出来る。
また、表面層の塗布液にできるだけせん断力をかけて塗布をすると、表面層の樹脂エマルジョンが均一に配列し、厚みが均一に形成される。具体的には1000(1/S)以上のせん断力をかけて塗布をすることが好ましい。正確な塗布量を与え、表面層のインク受容層への圧着を阻害せず、せん断力を与える塗布方法として具体的には、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。しかし、表面層塗布液をインク受容層に形成された空隙容量以下で塗布するには、予め所定の塗布量となるように計量しておいた塗布液を塗布する方式が好ましく、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式等が挙げられる。特に、表面層塗布液へ与えるせん断力の大きさの観点からグラビアロール方式が好ましい。
グラビアロールを使用する塗布装置として、基材(本発明の場合にはインク受容層が塗布された支持体)の進行方向に対して、接触するグラビアロールの面の進行方向が同一であるグラビア塗布装置と、反対方向に向いているリバースグラビア塗布装置がある。本発明において、グラビア塗布装置を用いる場合には、基材速度よりグラビアロールの周速を低下させ、剪断速度を与えるように塗布することが望ましい。リバースグラビア塗布装置は、大きな剪断速度を与える事が出来るため好ましい。しかしながら、これらグラビア塗布装置を用いる場合において、グラビアロールの直径が大きい場合や、抱き角が大きい場合には、グラビアロールとインク受容層との接触時間が長くなるため、グラビアロールに接触している間に、表面層塗布液が吸収されてしまい、インク受容層表面に形成された表面層とグラビアロールとの物理的な接触が発生し、表面層が乱れ、均一な表面層が得られなくなる場合がある。そのため、塗布速度やグラビアロールの直径、線数、基材の接触角度などを最適化することが望ましい。
好ましくは、使用するロールの直径を細くし、接触時間を出来る限り短くすることである。グラビアロールの中でも、ロールの直径が100mm以下の斜線グラビアロール(斜線の溝を有するグラビアロール)をリバース回転で使用することが特に好ましい。ロール直径のより好ましい範囲は20〜80mm程度である。
本発明において、インク受容層の塗布方法、および後述するプライマー層を設ける場合の塗布方法は特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
本発明に用いられる支持体としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のフィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸水性支持体、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙等の吸水性支持体等が用いられる。非吸水性支持体の中ではポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましく、これらの支持体の厚みは、約50〜250μm程度のものが好ましく使用される。
支持体、特に非吸水性支持体であるフィルムや樹脂被覆紙を使用する場合には、インク受容層を設ける面上に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。支持体上に設けられるプライマー層はゼラチン、カゼイン等の天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする。係る合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.01〜2μmの範囲である。
本発明における支持体には筆記性、帯電防止性、搬送性、耐カール性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、顔料、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
本発明のインク受容層に用いられる平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、インク吸収性と生産性の点で非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物が好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明には、気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m2/g以上(好ましくは250〜500m2/g)のものを用いることである。なお、前記平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
前述の平均一次粒子径を有する気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることが出来るが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することが出来る。
本発明では、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは10〜300nm程度まで、更に好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。
本発明における平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法について説明する。まず、水を主体とする分散媒中にシリカ粒子とカチオン性化合物を混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば水分散媒中に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、シリカ予備分散液をより強い剪断力を持つ機械的手段にかけてシリカ粒子を粉砕し、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオン性ポリマーの質量平均分子量は2000〜10万程度が好ましく、特に2000〜3万程度が好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
上記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用が挙げられる。この併用の場合の比率は特に限定しない。
本発明のインク受容層において、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子の含有量は、インク受容層の全固形分に対して50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上がより好ましく、特に65〜90質量%の範囲が好ましい。このように無機微粒子の含有比率が高いインク受容層は、空隙率の高い多孔質なインク受容層となる。
本発明において、インク受容層を構成する無機微粒子とともに用いられるインク受容層を構成するバインダーとしては、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これら親水性バインダーは2種類以上併用することも可能である。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールや、カチオン変性ポリビニルアルコールである。
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
本発明は、インク受容層を構成する上記親水性バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いることもできる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号明細書記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号明細書記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号明細書、米国特許第2,983,611号明細書記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号明細書記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号明細書記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、インク受容層を構成する親水性のバインダーとしてケト基を有する樹脂バインダーを用いる事も出来る。ケト基を有する樹脂バインダーは、ケト基を有するモノマーと他のモノマーを共重合する方法等によって合成することができる。ケト基を有するモノマーの具体例としては、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクレート、4−ビニルアセトアセトアニリド、アセトアセチルアリルアミド等が挙げられる。また、ポリマー反応でケト基を導入してもよく、例えばヒドロキシ基やアミノ基とジケテンとの反応等によってアセトアセチル基を導入することができる。ケト基を有する樹脂バインダーの具体例としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性セルロース誘導体、アセトアセチル変性澱粉、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール、特開平10−157283号公報に記載の樹脂バインダー等が挙げられる。本発明では、特にケト基を有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。ケン化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。重合度としては500〜5000のものが好ましく、特に2000〜4500のものが更に好ましい。
ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコールは、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体をケン化する等公知の方法によって製造することができる。ジアセトンアクリルアミド単位の含有量としては、0.1〜15モル%の範囲が好ましく、更に0.5〜10モル%の範囲が好ましい。ケン化度としては85モル%以上、重合度としては500〜5000のものが好ましい。
本発明において、インク受容層に含有するケト基を有する樹脂バインダーは、その架橋剤で架橋されたものである。かかる架橋剤としては以下の化合物が挙げられる。
(1)ポリアミン類
脂肪族ポリアミン類;
・アルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、
・ポリアルキレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、イミノビス(プロピルアミン)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど)、
・これらのアルキルまたはヒドロキシアルキル置換体(例えば、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビス(プロピルアミン)など)
・脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン(例えば、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)
・芳香環含有脂肪族アミン類(例えば、キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)
C4〜C15の脂環式ポリアミン;
例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4′−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等。
C4〜C15の複素環式ポリアミン;
例えば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノピペラジン等。
C6〜C20の芳香族ポリアミン類;
・非置換芳香族ポリアミン(たとえば1,2−,1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4′−および4,4′−ジフェニルメタンジアミン、ポリフェニルポリメチレンポリアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4′,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど)
・核置換アルキル基(たとえばC1〜C4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン(例えば、2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′,5,5′−テトライソプロピルベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラブチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−2,2′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホンなど)
ポリアミドポリアミン;
例えば、ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類:(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量(例えば分子量200〜5000)ポリアミドポリアミンなど)
ポリエーテルポリアミン;
例えば、分子量100〜5000のポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など)。
(2)ジシアンジアミド誘導体;
ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物など。
(3)ヒドラジン化合物;
ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ヒドラジンの無機塩類(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、チオシアン酸、炭酸などの無機塩類)、ヒドラジンの有機塩類(例えば、ギ酸、シュウ酸などの有機塩類)。
(4)ポリヒドラジド化合物(ジヒドラジド、トリヒドラジド);
カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等。
(5)アルデヒド類;
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のモノアルデヒド、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、1,8−オクタンジアール、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、両末端アルデヒド化PVA等のジアルデヒド類、アリリデン酢酸ビニルジアセテート共重合体をケン化して得られる側鎖アルデヒド含有共重合体、ジアルデヒド澱粉、ポリアクロレイン等。
(6)メチロール化合物;
メチロールホスフィン、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、尿素樹脂初期重合物、メラミン樹脂初期重合物等。
(7)活性化ビニル化合物;
ジビニルスルホン系化合物、β−ヒドロキシエチルスルホン系化合物等。
(8)エポキシ化合物;
エピクロルヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジ又はトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、ポリエポキシ化合物等。
(9)イソシアネート系化合物;
トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス−4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらのケトオキシムブロック物又はフェノールブロック物、ポリイソシアネート等が挙げられる。
(10)フェノール系化合物;
フェノール系樹脂初期縮合物、レゾルシノール系樹脂等。
(11)多価金属塩;
・ジルコニウム塩(硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、フッ化ジルコニウム化合物等)
・チタン塩(四塩化チタン、乳酸チタン、テトライソプロピルチタネート等)
・アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等)
・カルシウム塩(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等)
・マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等)
・亜鉛塩(塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等)
上記した架橋剤の中でも、ポリヒドラジド化合物及び多価金属塩が好ましい。ポリヒドラジド化合物の中でも特にジヒドラジド化合物が好ましく、更にアジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジドが好ましい。多価金属塩としては、特にジルコニウム塩が好ましく、更に、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウムが好ましい。架橋剤の添加量は、ケト基を有する樹脂バインダーに対して1〜40質量%の範囲が適当であり、2〜30質量%の範囲が好ましく、特に3〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明では完全または部分ケン化のポリビニルアルコールや、カチオン変性ポリビニルアルコールと、ケト基を有する樹脂バインダーを併用することも可能であり、その場合には、硬膜剤あるいは架橋剤を併用することもできる。
本発明では、更に他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更に、樹脂バインダーとして各種ラテックスを併用してもよい。
インク受容層における樹脂バインダーの含有量は、前述した平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、特に10〜30質量%が好ましい。
インク受容層の乾燥塗布量は、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子に換算して10〜50g/m2の範囲が好ましく、12〜40g/m2の範囲がより好ましく、特に15〜35g/m2の範囲が好ましい。インク受容層には更に、カチオン性ポリマー、防腐剤、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などを添加することもできる。
本発明のインク受容層には、更に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えばスチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は、好ましくは親水性バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部及び%は、質量部及び質量%を示す。
《記録シート1の作製》
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアンスタンダードフリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、表面(インク受容層塗設面)とした。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成のプライマー層をゼラチンの付着量が60mg/m2となるように塗布乾燥した。
<プライマー層>
ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 8部
上記プライマー層の上に、下記組成のインク受容層塗布液1を、スライドビード塗布装置を用いて塗布し、35℃及び50℃の温風を順次吹き付けて乾燥した。インク受容層塗布液の塗布量は、シリカ固形分換算で21g/m2であった。乾燥終了後、水銀ポロシメーター(測定器名称 Autopore II 9220 製造者 micromeritics instrument corporation)を用いて空隙容量を測定したところ、25ml/m2であった。更に下記組成の表面層塗布液1を、斜線グラビアロールを用いた塗布装置にて塗布を行い、50℃の温風を吹き付けて乾燥し、記録シート1を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。表面層塗布液の塗布量は、樹脂エマルジョン固形分換算で100mg/m2とした。尚、表面層塗布液の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/m2に設定した。湿分塗布量は塗布中における単位時間当たりの塗液減少量から求めた。表面層塗液をインク受容層の上に塗布したところインク受容層の空隙に塗布液中の溶媒が瞬時に吸収され、均一な塗布面が得られた。
<シリカ分散液1の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m2/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液を製造した。平均二次粒子径は、堀場製作所製LA910を用いて測定すると130nmであった。
<インク受容層塗布液1>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 4部
アセチレングリコール型界面活性剤 0.5部
(日信化学工業株式会社製、オルフィンE−1010)
固形分濃度が12.85%になるように水で調整した。
<表面層塗布液1>
カチオン性アクリル樹脂エマルジョン(固形分濃度32%)
(アクリットUW520、大成ファインケミカル株式会社製、平均粒子径50nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート2の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を日信化学工業株式会社製オルフィンE−1004に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート3の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を日信化学工業株式会社製サーフィノール440に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート4の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を川研ファインケミカル株式会社製アセチレノールE40に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート5の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を日本サーファクタント株式会社製AM2150(ベタイン系界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルヒドロキシスルホプロピルアンモニウム)に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート6の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を花王株式会社製エマルゲン1108(ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート7の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を除いた以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート8の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を0.1部にした以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート9の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を1.0部にした以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート10の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を0.05部にした以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート11の作製》
上記インク受容層塗布液1のアセチレングリコール型界面活性剤を2.0部にした以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート12の作製》
上記記録シート1において表面層塗布液を塗設しない以外は記録シート1と同様にして記録シート12を作製した。
《記録シート13の作製》
上記記録シート1において表面層塗布液1の固形分濃度を0.9%とした以外は記録シート1と同様にして作製した。表面層塗布液の塗布量は、樹脂エマルジョン固形分換算で180mg/m2であった。
《記録シート14の作製》
上記記録シート1において表面層塗布液1の固形分濃度を0.3%とした以外は記録シート1と同様にして作製した。表面層塗布液の塗布量は、樹脂エマルジョン固形分換算で60mg/m2であった。
《記録シート15の作製》
記録シート1においてインク受容層塗布液1を、下記組成のインク受容層塗布液2に変更し、スライドビード塗布装置を用いて塗布し、50℃及び60℃の温風を順次吹き付けて乾燥した。インク受容層塗布液の塗布量は、アルミナ固形分換算で30g/m2であった。更に表面層塗布液1を、記録シート1と同様にして塗布乾燥し記録シート15を作製した。
<アルミナ水和物分散液1>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30%のアルミナ水和物分散液を作製した。平均二次粒子径は160nmであった。
<インク受容層塗布液2>
アルミナ水和物分散液1 (アルミナ水和物固形分として)100部
ポリビニルアルコール 12部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 0.5部
アセチレングリコール型界面活性剤 0.5部
(日信化学工業株式会社製、オルフィンE−1010)
固形分濃度が16.12%になるように水で調整した。
《記録シート16の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液2に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液2>
ポリエステル樹脂エマルジョン(固形分濃度30%)
(ユーダブルKZA3556、ユニチカ株式会社製、平均粒子径40nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート17の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液3に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液3>
ポリスチレン系樹脂エマルジョン(固形分濃度50%)
(Nipol 1577、日本ゼオン株式会社製、平均粒子径40nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート18の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液4に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液4>
スチレンブタジエン系樹脂エマルジョン(固形分濃度50%)
(Nipol LX433C、日本ゼオン株式会社製、平均粒子径100nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート19の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液5に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液5>
エステル・エーテル系樹脂エマルジョン(固形分濃度38%)
(スーパーフレックス150HS、第一工業株式会社製、平均粒子径110nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート20の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液6に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液6>
ポリスチレン系樹脂エマルジョン(固形分濃度50%)
(Nipol LX303A、日本ゼオン株式会社製、平均粒子径160nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート21の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液7に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液7>
エチレン−塩化ビニル樹脂エマルジョン(固形分濃度30%)
(スミエリート1210、住友化学株式会社製、平均粒子径200nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート22の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液8に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液8>
エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(固形分濃度30%)
(スミカフレックス500、住友化学株式会社製、平均粒子径300nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート23の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液9に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液9>
塩化ビニル系樹脂エマルジョン(固形分濃度50%)
(ビニブラン375、日信化学工業株式会社製、平均粒子径460nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
《記録シート24の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液10に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液10>
アニオン性アクリル樹脂エマルジョン(固形分濃度40.5%)
(アクリットSE1645E、大成ファインケミカル株式会社製、平均粒子径100nm)
水にて希釈し固形分濃度0.5%とした。
得られた各々の記録シートについて、下記の評価方法に準じた結果を表1に示す。
<塗層強度>
得られた記録材料の表面にセロハンテープを貼りその後剥がし、以下の基準で評価した。
○:塗層が全く剥離しない。
△:塗層がわずかに部分的な剥離が見られるが実用上問題がない。
×:塗層が剥離し実用上問題がある。
<インク乾燥性>
各記録材料にグリコール系インクを使用したインクジェットプリンター(ローランドディー.ジー.株式会社製SolJet PROII V)を用いてK、C、G、Y、R、M、Bのベタ印字を行い、一定時間経過後に紙を重ね、インクが転写するか否かを観察し、下記の基準で評価した。
○:3分以内で転写しなくなったもの。
△:5分以内で転写しなくなったもの。
×:5分以上経過しても転写したもの。
<発色性>
インクジェットプリンター(ローランドディー.ジー.株式会社製SolJet PROII V)を用いてC、G、Y、R、M、Bのベタ印字を行い、各々のJIS−Z8730で規定されるa*、b*のデータをa*−b*座標に記入し、各点を直線で結んで囲まれた面積で比較した。面積が広いほうが発色性は良好であり、記録シート12を×として以下の基準で評価した。
○:記録シート12より明らかに良好な発色性を有する。
△:記録シート12よりわずかに良好な発色性を有する。
×:記録シート12とほぼ同様な発色性を有する。
<耐擦過性>
記録シートにインクジェットプリンター(ローランドディー.ジー.株式会社製SolJet PROII V)を用いてKのベタ印字した部分と未印字部分が有るように印字し、印字後5分後に印字部上にPPC用紙を重ねて置き、更にプラスチック板(2cm×2cm、厚さ2mm)上に200gの重りを乗せ、静かに水平に引き、プラスチック板がPPC用紙を挟んで接触した印字部から非印字部でのインク尾引き、印字部のインク剥離について、以下の基準で評価した。
◎:インク尾引きが全く認められない。
○:インク尾引きがわずかに見られるが、インクの剥離は無く実用上問題はない。
△:インク尾引き、インクの剥離がともに見られ、実用上問題がある。
×:インク尾引き、インクの剥離が酷い。
Figure 2009234121
上記結果から明らかなように本発明の記録シート1〜4、8〜11、13〜15、および24は優れた発色性、インク乾燥性、擦過性を有することがわかる。
上記記録シート1および記録シート12について、実施例1に用いたインクジェットプリンターを、シクロヘキサノンを主溶剤とする溶剤インクを用いたインクジェットプリンター(武藤工業株式会社製ラミレスグランデ)に変更した以外は実施例1と同様にして評価した。この結果、記録シート1は記録シート12に対してインク乾燥性、発色性、擦過性において優位差が生じなかった。
上記記録シート1および記録シート12について、実施例1に用いたインクジェットプリンターを、油性顔料インクを用いたインクジェットプリンター(オリンパス光学工業製IJP−3600)に変更した以外は実施例1と同様にして評価した。この結果、記録シート1は記録シート12に対してインク乾燥性、発色性、擦過性において優位差が生じなかった。
以上のことから、本発明の記録シートはグリコール系インクで印字した場合に適した性能を持つことがわかる。

Claims (2)

  1. 支持体上に平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子、樹脂バインダー、および下記一般式(1)または(2)で表されるアセチレングリコール型界面活性剤を少なくとも一種含有する多孔質のインク受容層を少なくとも一層有し、前記インク受容層上にアクリル系樹脂エマルジョンを含有する表面層を有することを特徴とするグリコール系インク用インクジェット記録材料。
    Figure 2009234121
    (式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
    Figure 2009234121
    (式中、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜25であり、m+nは2〜40である。)
  2. 前記インク受容層が含有する一般式(1)または(2)で表されるアセチレングリコール型界面活性剤の固形分量が前記無機微粒子100質量部に対し、0.1質量部から1.0質量部である請求項1に記載のグリコール系インク用インクジェット記録材料。
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