JP2009184371A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性を確保しつつ、ベルト耐久性を有効に向上させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤは、タイヤ周方向に延びる一層以上のベルト強化層3と、かかるベルト強化層3のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に対して傾斜して延びる二層以上のベルト層4とを具え、ベルト層4のうち、タイヤ径方向に隣接する少なくとも二層のベルト層4はコードが互いに交差する交差ベルト域を形成してなる。また、ベルト強化層3の幅w1は、タイヤ断面幅Wの60〜85%の範囲内にあり、交差ベルト域の幅w2は、タイヤ断面幅Wの65〜90%の範囲内にあり、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と、タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20mm以上離れた位置との間で、最内ベルト層を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にある。
【選択図】図2
【解決手段】タイヤは、タイヤ周方向に延びる一層以上のベルト強化層3と、かかるベルト強化層3のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に対して傾斜して延びる二層以上のベルト層4とを具え、ベルト層4のうち、タイヤ径方向に隣接する少なくとも二層のベルト層4はコードが互いに交差する交差ベルト域を形成してなる。また、ベルト強化層3の幅w1は、タイヤ断面幅Wの60〜85%の範囲内にあり、交差ベルト域の幅w2は、タイヤ断面幅Wの65〜90%の範囲内にあり、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と、タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20mm以上離れた位置との間で、最内ベルト層を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にある。
【選択図】図2
Description
この発明は、一対のビードコアに係留した、トロイド状のカーカスのクラウン部の外周上に、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上のベルト強化層と、かかるベルト強化層のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層とを具え、かかるベルト層のうち、タイヤ径方向に隣接する少なくとも二層のベルト層はコードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト域を形成してなる空気入りタイヤに関するものであり、かかる空気入りタイヤのタイヤ寿命の向上を図る。
ベルトの補強のためのベルト補強層を設けた空気入りタイヤとしては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この文献に記載のタイヤは、一対のビードコアにより係留されたトロイド状のカーカスをボディ補強とし、このカーカスのまわりにその中央円周を含む平面、つまり赤道面に対し10〜40°の傾斜角にて互いに赤道を挟み交差する多数のコード又はフィラメントを補強要素とする少なくとも2層の交差ベルトを有する。さらにこのタイヤは、交差ベルトの下に位置する、少なくとも一層よりなり、波形若しくはジグザグ形をなす多数のコード又はフィラメントの補強要素を全体として赤道に沿う配向としたストリップによるクラウン補強層をも有する。これによれば、交差ベルトのセパレーションの抑制に有効に寄与するクラウン部強化が、それ自体のセパレーションの懸念なく、タイヤ製造上の弊害を伴うことなしに実現される。
特開平2−208101
しかしながら、近年では、車両の高速化、低床化の要求の下で、空気入りタイヤの偏平率が低くなるにつれて、内圧充填時のトレッド部の径成長が次第に増大する傾向にあり、上述したような従来技術によっては、このような大きな径成長には十分に対応できないことから、径成長量の増加に起因する、ベルト層間の早期のセパレーション、ひいてはベルト耐久性の低下の問題が改めて顕在化するに至っている。
そこで、偏平率の低いタイヤでは、トレッドショルダ部付近での径成長量が特に多くなることから、周方向に延在する補強素子からなるベルト強化層を、そのトレッドショルダ部付近に至るまで広範囲に亘って配設することが提案されているが、ベルト強化層をむやみに広幅化したときは、そのベルト強化層と、それの半径方向に隣接して位置するベルト層との間の層間ゴムに、接地時に大きな周方向剪断力が作用する。なぜなら、タイヤが接地するとベルトは半径方向の内外に曲げられ、そのときのベルトの周方向伸びが、ベルト強化層とベルト層とで大きくことなるからである。従って、この剪断力が層間セパレーションを惹起することになる。
その一方で、タイヤ周方向に延在する補強素子からなるベルト強化層は、トレッド表面の摩耗に大きな影響をもつ、トレッド幅方向及び周方向の各方向の面内剪断入力に対する剛性である面内剪断入力の剛性をほとんど有しておらず、その面内剪断入力の剛性は、二層以上のベルト層のベルトコードの、タイヤ赤道面に対する傾斜角度及び、それぞれのベルトコードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト域の幅によって特性されることになり、この剪断剛性を高めることで、トレッド表面の摩耗量がそれの幅方向に均一化されることになる。従って、ベルト強化層及びベルト層を広幅化することは、ベルト耐久性の低下をもたらすことになる一方で、耐摩耗性に関しては、交差ベルト層を広幅化することが必要になるという相反した関係が存在する。
それゆえ、この発明は、トレッド表面の優れた耐摩耗性を確保しつつ、ベルト耐久性を有効に向上させることができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、この発明は、一対のビードコアに係留した、トロイド状のカーカスのクラウン部の外周上に、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上のベルト強化層と、かかるベルト強化層のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層とを具え、ベルト層のうち、タイヤ径方向に隣接する少なくとも二層のベルト層はコードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト域を形成してなる空気入りタイヤにおいて、ベルト強化層の幅は、タイヤ断面幅の60〜85%の範囲内にあり、交差ベルト域の幅は、タイヤ断面幅の65〜90%の範囲内にあり、ベルト強化層のうちタイヤ径方向で最も外側に位置するベルト強化層である最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端と、タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20mm以上離れた位置との間で、ベルト層のうちタイヤ径方向で最も内側に位置するベルト層である最内ベルト層を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にあることを特徴とする。かかる構成では、タイヤ断面幅に対するベルト強化層の幅及び交差ベルト域の幅を充分に確保して、トレッド部の剪断剛性を向上することで、タイヤの耐偏摩耗性を向上させている。また、最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端と最内ベルト層との間のタイヤ径方向距離を充分に確保して、ベルト層のタイヤ幅方向端及びベルト強化層のタイヤ幅方向端に集中するタイヤ周方向剪断歪を充分に低減することができるので、タイヤ周方向剪断歪に起因したベルト層とベルト強化層との間の層間ゴムの破壊を防止することができる。このとき、ベルト層がタイヤ径方向に外側過ぎる配置とはならず、かつ、ベルト強化層がタイヤ径方向に内側過ぎる配置とはならずに、最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端と最内ベルト層のタイヤ幅方向端との離間距離を充分に確保することができるので、トレッド部の摩耗が進行しても、ベルト層が早期に露出することなく、タイヤ寿命を延ばすことができ、かつ、内圧充填時にベルト強化層のタイヤ幅方向端における径成長量が増大することに起因した、ベルト強化層のタイヤ幅方向端とその近傍にあるゴムとのセパレーションを抑制することができる。更にまた、最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端と、そこからタイヤ幅方向内側に向かって20mmは離れた位置との間で、最外ベルト層と隣接するベルト層のコード中心間距離を5.0mm以下とすることによりゴム内での発熱量を抑制することができる。なお、ここでいう「ベルト強化層の幅」とは、ベルト強化層の両タイヤ幅方向端間をタイヤ幅方向に沿って計測した距離をいうものとする。
また、最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端と、タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20〜40mm離れた位置との間で、最内ベルト層を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にあることが好ましい。
更に、タイヤ赤道面における、ベルト層のうちタイヤ径方向で最も外側に位置するベルト層である最外ベルト層から、トレッド部踏面までのタイヤ径方向距離と、最外ベルト層のタイヤ幅方向端位置から、トレッド部踏面までのタイヤ径方向距離との差が1mm以下であることが好ましい。
更にまた、ベルト強化層の幅は、ベルト層の幅よりも小さいことが好ましい。ここでいう「ベルト層の幅」とは、ベルト層の両タイヤ幅方向端間をタイヤ幅方向に沿って計測した距離をいうものとする。
加えて、ベルト層を構成するコードのタイヤ周方向に対し傾斜している角度は、30〜70°の範囲内にあることが好ましい。
加えてまた、ベルト層の幅は、トレッド幅の90〜100%の範囲内にあることが好ましい。
更に、最内ベルト層と、最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端との間にエッジゴムを配設してなることが好ましい。
更にまた、エッジゴムは、カーカスの被覆ゴム若しくはベルト層と同一の材質のゴムからなることが好ましい。
この発明によれば、ベルト層及びベルト強化層の構成の適正化を図ることによりトレッド表面の優れた耐摩耗性を確保しつつ、ベルト耐久性を有効に向上させることができる空気入りタイヤの提供が可能となる。
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という。)の部分断面斜視図であり、図2は、図1に示すタイヤのトレッド半部の部分断面図である。図3はこの発明に従うその他のタイヤのトレッド半部の部分断面図である。
図1及び2に示す実施形態のタイヤは、一対のビードコア1に係留した、トロイド状のカーカス2のクラウン部の外周上に、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる二層のベルト強化層3と、かかるベルト強化層3のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に対して傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層のベルト層4とを具え、二層のベルト層4はコードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト域を形成しており、ベルト強化層3の幅w1は、タイヤ断面幅Wの60〜85%の範囲内にあり、交差ベルト域の幅w2は、タイヤ断面幅Wの65〜90%の範囲内にある。このようなタイヤでは、タイヤ断面幅Wに対する、ベルト強化層3の幅w1及び交差ベルト域の幅w2が充分に確保されているので、トレッド部5の剪断剛性がトレッド部5の広い範囲にわたり向上しており、この結果、タイヤの耐偏摩耗性が向上している。このとき、ベルト強化層3の幅w1が、タイヤ断面幅Wの60%未満の場合には、タイヤ断面幅Wに対する交差ベルト域の幅w2が充分に確保されていたとしても、ベルト強化層3が配設されている領域が不足して、トレッド部5の剪断剛性が充分に向上せずに、耐偏摩耗性が低下し、タイヤ寿命が短縮される可能性があり、一方、ベルト強化層3の幅w1が、タイヤ断面幅Wの85%を超える場合には、ベルト層とベルト強化層の側縁位置が近くなり、タイヤ幅方向における剛性段差が大きくなるため、ベルト層の側縁に故障が発生し易くなる可能性がある。また、交差ベルト域の幅w2がタイヤ断面幅Wの65%未満の場合には、タイヤ断面幅Wに対するベルト強化層の幅w1が充分に確保されていたとしても、交差ベルト域が配設されている範囲が不足して、トレッド部5の剪断剛性が充分に向上しないので、耐偏摩耗性が低下し、タイヤ寿命も短縮される可能性があり、一方、交差ベルト域の幅w2がタイヤ断面幅Wの90%を超える場合には、ベルト層の最大幅がトレッド幅を越えてしまい、タイヤ製造上の弊害を伴うことになる。
また、この発明のタイヤは、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と、かかるタイヤ幅方向端7からタイヤ幅方向内側に向かって20mm以上離れた位置との間で、最内ベルト層8を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にある。このように、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と最内ベルト層7のタイヤ幅方向端との間のタイヤ径方向距離を充分に確保することで、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と最内ベルト層7のタイヤ幅方向端に集中するタイヤ周方向剪断歪を、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と最内ベルト層7のタイヤ幅方向端とのゴム層が有効に低減することができるので、タイヤ周方向剪断歪に起因したベルト層とベルト強化層との間の層間ゴムの破壊を防止することができる。例えば、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と、かかるタイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20mm未満の位置との範囲内においてのみ、最内ベルト層7を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にある場合には、最外ベルト強化層6と最内ベルト層7とが離間している領域が不足して、最内ベルト層7と最外ベルト強化層6との間のゴム層がタイヤ周方向剪断歪を有効に低減できずに、ベルト層とベルト強化層との間の層間ゴムにセパレーションが発生してしまう可能がある。
また、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と、タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20mm以上離れた位置との間で、最内ベルト層7を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2mm未満の場合には、最外ベルト強化層6と最内ベルト層7のタイヤ径方向への離間距離を充分に確保することができないため、ゴム層によりタイヤ周方向剪断歪を有効に低減することができずに、かかるタイヤ周方向剪断歪によりベルト層4とベルト強化層との層間ゴムがセパレーションする可能性がある。一方、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と、タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20mm以上離れた位置との間で、最内ベルト層7を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が5mmを超える場合には、最外ベルト強化層6と最内ベルト層7のタイヤ径方向への離間距離が大きくとり過ぎることから、例えば、ベルト強化層3を過剰に径成長しないような適当な位置に配置した場合には、ベルト層4がタイヤ径方向に外側過ぎる配置となり、トレッド部5の摩耗が進行した際にベルト層4が早期に露出し、タイヤ寿命が短縮する可能性があり、一方、ベルト層4を早期に露出しないような適当な位置に配置した場合には、ベルト強化層3がタイヤ径方向に内側過ぎる配置となることから、内圧充填時にベルト強化層のタイヤ幅方向端における径成長量が過剰に増大し、ベルト強化層3のタイヤ幅方向端のゴムとセパレーションが発生する可能性があり、いずれの場合にもタイヤ寿命を充分に向上することができない。更にまた、最内ベルト層7を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が5mmを超えると、そのゴム内での発熱量が大きくなり、やはりセパレーションの原因となる可能性がある。
また、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端と、かかるタイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20〜40mm離れた位置との間で、最内ベルト層7を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にあることが好ましい。なぜなら、最内ベルト層7を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層6を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmとなるタイヤ幅方向の範囲が広ければ広いほど、タイヤ周方向剪断歪に起因したトレッド部5の破壊を抑制する効果は大きいが、その領域がタイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって40mmを超える場合には、ベルト強化層がタイヤ径方向に内側過ぎる配置となることから、内圧充填時の径成長量が過剰に増大し、ベルト耐久性が低下する可能性があるからである。
更に、タイヤ赤道面Eにおける、ベルト層4のうちタイヤ径方向で最も外側に位置するベルト層4である最外ベルト層8から、トレッド部踏面9までのタイヤ径方向距離と、最外ベルト層8のタイヤ幅方向端位置から、トレッド部踏面9までのタイヤ径方向距離との差が1mm以下であることが好ましい。かかる構成により、トレッド部5全域にわたりトレッドゴムのタイヤ径方向距離を略均一とすることができるので、タイヤ負荷転動時にトレッド部5が略均一に剪断変形して、トレッド部5の偏摩耗を一層抑制することができるからである。
更にまた、ベルト強化層3の幅w1は、ベルト層4の幅w4よりも小さいことが好ましい。具体的には、ベルト強化層3の幅w1に対するベルト層4の幅w4の比が、w1:w4=1:1.1〜1:1.45の範囲内となることが好ましい。なぜなら、ベルト強化層3の幅w1に対するベルト層4の幅w4が大き過ぎると、ベルト強化層の端部でのセパレーションが発生し易くなり、小さ過ぎると径成長量の増大を招くおそれがあるからである。
加えて、ベルト層4を構成するコードのタイヤ周方向に対し傾斜している角度は、30〜70°の範囲内にあることが好ましい。なぜなら、ベルト層4を構成するコードがタイヤ周方向に対し傾斜している角度がかかる角度範囲内に無い場合には、ベルト強化層3がタイヤ周方向に沿って延びるコードにより構成されていることを鑑みると、ベルト層4を構成するコードの傾斜している角度が不充分又は過剰となり、トレッド部5の全ての方向に対する剪断剛性がバランス良く向上せず、耐摩耗性、耐偏摩耗性及び操縦安定性が低下するからである。
加えてまた、ベルト層4の幅w4は、トレッド幅w3の90〜100%の範囲内にあることが好ましい。かかる構成により、ベルト層4が配設されている領域が充分に確保して、ベルト層4によりトレッド部5の剪断剛性が広い範囲にわたり向上するので、タイヤ負荷転動時のトレッド部5の偏摩耗を有効に防止することできる。例えば、ベルト層4の幅w4が、トレッド幅w3の90%未満の場合には、ベルト層4が配設されている領域が不足し、トレッド部5の剪断剛性が不足して、タイヤ負荷転動時に偏摩耗が生じる可能性があり、一方、ベルト層4の幅w4が、トレッド幅w3の100%を超える場合には、タイヤの断面プロファイルが所望する形状とすることができずに、ショルダー部におけるゴム層が増加して、タイヤ全体の重量が増加したり、乗り心地性が低下したりなどする可能性がある。
また、図3に示すように、最内ベルト層7と、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端との間にエッジゴム10を配設してなることが好ましい。このようにエッジゴム10を配設することにより、エッジゴム10の形状及び寸法を変更することで、最内ベルト層7と、最外ベルト強化層6のタイヤ幅方向端との間の離間距離と、そのタイヤ幅方向の範囲を任意に設定することができる。
更に、エッジゴム10は、カーカス2若しくはベルト層の被覆ゴムと同一の材質のゴムからなることが好ましい。かかる構成により、ベルト耐久性の向上と耐摩耗性の向上とを一層両立させることが可能である。
なお、上述したところはこの発明の実施形態の一部を示したに過ぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を交互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、ベルト強化層を構成するコードを全体としてタイヤ周方向に沿うように波状に延びるコードとすることができる。
次に、従来のベルト層及びベルト強化層を具えるタイヤ(従来例タイヤ1〜3)及びこの発明に従うベルト層及びベルト強化層を具えるタイヤ(実施例タイヤ1〜4)を、タイヤサイズ435/45R22.5の乗用車用ラジアルタイヤとして、夫々試作し、性能評価を行ったので、以下に説明する。
従来例タイヤ1〜3、及び、実施例タイヤ1〜4は、ベルト層及びベルト強化層を具える空気入りタイヤであり、表1に示す諸元を夫々有する。なお、表1に示す「中心間距離X」とは、タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20mm離れた位置との間における、ベルト層のうちタイヤ径方向で最も内側に位置するベルト層である最内ベルト層を構成するコードの中心位置と、最外ベルト強化層を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離をいうものとする。
これら各供試タイヤをサイズ14.00×22.5のリムに取付けてタイヤ車輪とし、空気圧:900kPa(相対圧)を適用した状態で、車両に装着し、タイヤ寿命に関する以下の各種評価に供した。
ベルト耐久性は、タイヤ負荷荷重:59kN、走行速度:60.0km/hの条件下でドラム走行試験を行って、ベルト層を構成するコードとその近傍のゴムとのセパレーションが発生するまでの時間を測定して、実施例タイヤ1において生じたセパレーションの進展長さを100として指数化して評価し、その他のタイヤについて相対評価した。なお、数値が大きいほどコードとゴムとのセパレーションが進展し難さ、すなわちベルト耐久性に優れることを表し、その結果は表2に示す。
耐偏摩耗性は、かかる車両を一般道において6万km走行した後に、溝深さをトレッド部全体にわたり測定し、実施例タイヤ2における偏摩耗の程度を100として指数化して評価し、その他のタイヤについて相対評価した。なお、数値が大きい程耐偏摩耗性に優れることを表し、その結果は表2に示す。
表2の結果から明らかなように、従来例タイヤ1〜3は耐偏摩耗性とベルト耐久性のいずれか一方のみが向上しているのに対し、実施例タイヤ1〜4は、耐偏摩耗性及びベルト耐久性がともに有効に向上している。
以上のことから明らかなように、ベルト層及びベルト強化層の構成の適正化を図ることにより、トレッド表面の優れた耐摩耗性を確保しつつ、ベルト耐久性を有効に向上させることができる空気入りタイヤを提供することが可能となった。
1 ビードコア
2 カーカス
3 ベルト強化層
4 ベルト層
5 トレッド部
6 最外ベルト強化層
7 最内ベルト層
8 最外ベルト層
9 トレッド部踏面
10 エッジゴム
W タイヤ幅
w1 ベルト強化層の幅
w2 交差ベルト域の幅
w3 トレッド幅
w4 ベルト層の幅
2 カーカス
3 ベルト強化層
4 ベルト層
5 トレッド部
6 最外ベルト強化層
7 最内ベルト層
8 最外ベルト層
9 トレッド部踏面
10 エッジゴム
W タイヤ幅
w1 ベルト強化層の幅
w2 交差ベルト域の幅
w3 トレッド幅
w4 ベルト層の幅
Claims (8)
- 一対のビードコアに係留した、トロイド状のカーカスのクラウン部の外周上に、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上のベルト強化層と、該ベルト強化層のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層とを具え、該ベルト層のうち、タイヤ径方向に隣接する少なくとも二層のベルト層はコードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する交差ベルト域を形成してなる空気入りタイヤにおいて、
前記ベルト強化層の幅は、タイヤ断面幅の60〜85%の範囲内にあり、前記交差ベルト域の幅は、タイヤ断面幅の65〜90%の範囲内にあり、該ベルト強化層のうちタイヤ径方向で最も外側に位置するベルト強化層である最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端と、該タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20mm以上離れた位置との間で、該ベルト層のうちタイヤ径方向で最も内側に位置するベルト層である最内ベルト層を構成するコードの中心位置と、該最外ベルト強化層を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にあることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端と、該タイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側に向かって20〜40mm離れた位置との間で、前記最内ベルト層を構成するコードの中心位置と、該最外ベルト強化層を構成するコードの中心位置とのタイヤ径方向距離が2.0〜5.0mmの範囲内にある、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ赤道面における、前記ベルト層のうちタイヤ径方向で最も外側に位置するベルト層である最外ベルト層から、トレッド部踏面までのタイヤ径方向距離と、該最外ベルト層のタイヤ幅方向端位置から、トレッド部踏面までのタイヤ径方向距離との差が1mm以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト強化層の幅は、前記ベルト層の幅よりも小さい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト層を構成するコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は30〜70°の範囲内にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト層の幅は、トレッド幅の90〜100%の範囲内にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記最内ベルト層と、前記最外ベルト強化層のタイヤ幅方向端との間にエッジゴムを配設してなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記エッジゴムは、前記カーカスの被覆ゴムと同一の材質のゴムからなる、請求項7に記載の空気入りタイヤ。
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