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JP2009163026A - 静電潜像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

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JP2009163026A JP2008001046A JP2008001046A JP2009163026A JP 2009163026 A JP2009163026 A JP 2009163026A JP 2008001046 A JP2008001046 A JP 2008001046A JP 2008001046 A JP2008001046 A JP 2008001046A JP 2009163026 A JP2009163026 A JP 2009163026A
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Kazuhiko Nakajima
一比古 中島
Makoto Nomiya
誠 野宮
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Konica Minolta Business Technologies Inc
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Abstract

【課題】省エネルギー化に対応するため低温定着が可能で、且つ、トナーを保管或いは輸送するときに保冷や断熱梱包しなくても凝集することがない良好な保存安定性を有し、更にプリントした画像を重ね合わせて放置してもドキュメントオフセットが発生しないトナー及び該トナー用いた画像形成方法の提供。
【解決手段】少なくとも樹脂と着色剤を含有するコア粒子をシェル層にて被覆してなるコア・シェル構造を有する静電潜像現像用トナーにおいて、
該シェル層がワックスを含有せず、
該コア粒子とシェル層の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)が0.2〜0.7であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法に関するものである。
近年、電子写真複写機やプリンターは、オフィスでの使い勝手を良くし、製造コストやエネルギーコストを低減化するため、装置の小型化、省エネルギー化へと志向している。
その一方向として、シリコーンオイルタンクや塗布装置が不要となるオイルレス定着で、且つ、より低温で定着できる静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)が望まれている。この要求に対して、トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)或いは溶融温度を下げる試みがなされてきたが、これらを下げるとトナーの保存安定性(耐ブロッキング性)が悪くなり、特に夏場には50℃にも及ぶ過酷な条件下に曝されることもしばしばあるため、甚だしい場合にはトナーの形状を保てず、ブロック状の着色樹脂になってしまうことすらある。
省エネルギーを目指した低温定着性の静電潜現像用トナーは、概して保存安定性(耐ブロッキング性)に問題があり、トナー結着樹脂の物性によってこの目的を達成しようとする場合、低温定着性を付与すると保存安定性(耐ブロッキング性)が悪くなり、保存安定性(耐ブロッキング性)を付与すると低温定着性が悪化するという結果になっていた。
これを回避する対策としては、トナー粒子中に多量のワックスを含有させるトナーが提案がされている(例えば、特許文献1参照。)。
又、低Tgのコア粒子に高Tgのシェル層を被覆する試みや更にシェル層にワックスを含有するトナーが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平8−50368号公報 特開2001−235894号公報
しかしながら、低温定着性及び保存安定性の両方を満足するには至っておらず、更に、プリントした画像を重ね合わせて放置するとドキュメントオフセットが発生し問題となっていた。
本発明は、省エネルギー化に対応するため低温定着が可能で、且つ、トナーを保管或いは輸送するときに保冷や断熱梱包しなくても凝集することがない良好な保存安定性を有し、更にプリントした画像を重ね合わせて放置してもドキュメントオフセットが発生しないトナー及び該トナー用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成される。
1.少なくとも樹脂と着色剤を含有するコア粒子をシェル層にて被覆してなるコア・シェル構造を有する静電潜像現像用トナーにおいて、
該シェル層がワックスを含有せず、
該コア粒子とシェル層の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)が0.2〜0.7であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
2.少なくとも樹脂と着色剤を含有するコア粒子を樹脂を含有するシェル層にて被覆してなるコア・シェル構造を有する静電潜像現像用トナーにおいて、
該シェル層は多層からなり、
該シェル層の最外層がワックスを含有せず、
該コア粒子とコア粒子の上に設けられるシェル層間、及び多層のシェル層間の樹脂の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)が0.2〜0.7であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
3.最外層を形成するシェル層の樹脂の溶解度パラメーター値が、コア粒子及び最外層を除く各シェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値より高い、ことを特徴とする前記1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
4.前記1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
本発明のトナー及び該トナー用いた画像形成方法は、省エネルギー化に対応するため低温定着が可能で、且つ、トナーを保管或いは輸送するときに保冷や断熱梱包しなくても凝集することがない良好な保存安定性を有し、更にプリントした画像を重ね合わせて放置してもドキュメントオフセットが発生しない優れた効果を有する。
先ず、本発明のトナーを実現させる手段について説明する。
本発明のトナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有してなるコア粒子をシェル層にて被覆してなるトナーである。
本発明のトナーを構成するシェル層にはワックスを含有せず、
コア粒子とシェル層の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)が0.2〜0.7のものである。
又、本発明のトナーを構成するシェル層は多層構成からなり、
コア粒子とコア粒子の上に設けられるシェル層間、及び多層のシェル層間の樹脂の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)が0.2〜0.7のものである。
コア粒子とシェル層、各シェル層間の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)を0.2以上とすることで、コア粒子とシェル層樹脂の混ざり合い、各シェル層間の混ざり合いが起きにくい状況となり、緻密なシェル層が形成できるようになったと推察している。
又、コア粒子とシェル層、各シェル層間の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)を0.7以下とすることで、コア粒子とシェル層、各シェル層間の接着力が強くなり、実機内で使用中にトナーが壊れることによる画像欠陥の発生が無くなる。
緻密なシェル層が形成できると、該緻密なシェル層により保存中にトナー粒子内部からコア粒子を形成する低Tgの樹脂やワックスが表面にブリードアウトしてくるのが防止できするので耐熱安定性が向上し、熱定着時には低Tgのコア粒子の働きにより低温定着が可能で、プリント画像を保存時にトナー粒子内部からワックスがブリーディングしてくるのを防止できのでプリントを重ねて放置してもドキュメントオフセットが発生するのを防止できるようになったものと推察している。
トナーのコア粒子を形成する樹脂のTgは5〜40℃が好ましい。又、最外層のシェル層を形成する樹脂のTgは50〜80℃が好ましい。このようなTgを有するトナーは、良好な低温定着性が発現され、シェル層により機械的強度と保管性安定性、ドキュメントオフセット発生防止を確保でき好ましい。
本発明においては、トナーとは、トナー粒子の総称をいう。トナー粒子とは、着色粒子に外添剤を添加して得られた粒子をいう。着色粒子とは、コア粒子の表面にシェル層を設けて得られたものをいう。
以下、本発明について詳細の説明する。
《溶解度パラメーター値》
トナーのコア粒子及び各シェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値は、その構成する樹脂の組成より求めることができる。
各樹脂の溶解度パラメーター値は、樹脂を構成する各単量体(モノマー)の溶解度パラメーター値とモル比の積より算出されるものである。例えば、共重合体樹脂をX、Yの2種類の単量体より構成されるものと仮定した時、各単量体の質量組成比をx、y(質量%)、分子量をMx、My、溶解度パラメーター値をSPx、SPyとすると、各単量体比はx/Mx、y/Myとなる。ここで、共重合体樹脂のモル比をCとすると、C=x/Mx+y/Myと表され、この共重合体樹脂の溶解度パラメーター値SPは下記式(1)のようになる。
式(1)
SP={(x×SPx/Mx)+(y×SPy/My)}×1/C
単量体の溶解度パラメーター値(SP値)は、以下のようにして求める。
ある単量体Aの溶解度パラメーター値(SP値)を計算する場合、その単量体の分子構造中の原子又は原子団に対して、Fedorsによって提案された「Polym.Eng.Sci.Voll14.p114(1974)」から蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)を求め、下記式(2)より算出する。
但し、重合時開裂する2重結合については、開裂した状態をその分子構造とする。
式(2)
σ=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
下記の各単量体の溶解度パラメーター値は、上記計算法により求めた値を用いる。
スチレン 10.55
ブチルアクリレート 9.77
2−エチルヘキシルメタクリレート 9.04
2−エチルヘキシルアクリレート 9.22
メチルメタクリレート 9.93
メタクリル酸 12.54
アクリル酸 14.04
この値を用い、前記式(1)に従い、共重合体の溶解度パラメーター値を求める。
尚、上記式(2)の算出式にて単量体の溶解度パラメーターの算出が不可能な場合には、具体的な値としてはポリマーハンドブック(ワイリー社刊)第4版等の文献又は、独立行政法人「物質・材料研究機構」提供のデータベース PolyInfo(http://polymer.nims.go.jp)に記載の溶解度パラメーターの項目(http://polymer.nims.go.jp/guide/guide/p5110.html)を参照するとよい。
本発明のトナーでは、コア粒子とシェル層、各シェル層間の溶解度パラメーター値(SPs)の差が、0.20〜0.70のときに、各層が適当な接着性を有し且つ安定した非相溶性が発現され、コア粒子に内包されたワックスが定着時以外はトナー表面に移動することがなく保存安定性が確保でき、更に、コア粒子を形成するの低Tg樹脂がプリント画像の表面に溶出しドキュメントオフセットの発生も防止できる。
各樹脂の溶解度パラメーター値は、共重合体を形成する重合性単量体の種類とその比率を適宜選択することで、コントロール可能である。特に酸モノマーの含有量によって、溶解度パラメーター値をコントロールすることが好ましい。
又、最外層を形成するシェル層の樹脂の溶解度パラメーター値が、コア粒子及び最外層を除く各シェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値より高いことが好ましい。トナー作製時に、シェル層を形成する工程が良好に実施できるとともに、短時間でシェル層を形成することができ好ましい。
《本発明のトナーの層構成》
図1は、本発明のトナーの層構成の一例を示す模式図である。
図1において、Tはトナー、Aはコア粒子、Bはシェル層、B1は1層目のシェル層、B2は2層目のシェル層、Bnはn層目シェル層、Bn+1は最外層のシェル層を示す。
図1の(a)は、コア粒子の表面にシェル層を有するトナーを示す。図1の(b)はコア粒子の表面に多層のシェル層を有するトナーを示す。
本発明のトナーは、トナーTの製造工程で、樹脂と着色剤を含有するコア粒子Aの表面にコア粒子とは溶解度パラメーター値が異なる樹脂を用いて形成されたシェル用樹脂粒子を塩析/凝集してシェル層を形成して得られたもの、或いはコア粒子Aの表面にシェル層1〜シェル層n+1を順次形成して得られたものである。
本発明のトナーの粒径は3〜8μmのものが好ましく、シェル層の総厚は5〜500nmが好ましく、10〜300nmがより好ましい。
シェル層の膜厚は、トナーのTEM(透過型電子顕微鏡)写真より、着色剤(カーボンブラックやイエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料等)やワックス等の存在領域(コア粒子)を目視観察により確認し、トナーの最表面から、コア粒子までの距離をランダムに十点測定し、その平均値からシェル層の膜厚を算出して確認することができる。尚、TEM撮影を行うトナーの数は、最低でも50個以上とする。
又、シェル層は、ワックスを含有しない樹脂微粒子を用いて形成される。シェル層にワックスを含有させないことにより、トナー粒子の表面にワックスがブリーディングしてくるのが抑えられドキュメントオフセットの発生を防止できる。
(トナーの層構成の検知方法)
本発明のトナーの構成は、トナー粒子を80〜200nmの切片とし、透過型電子顕微鏡装置(TEM)で充分観察することができる。透過型電子顕微鏡装置(TEM)としては、例えば「H−9000NAR」(日立製作所社製)、「JEM−200FX」(日本電子社製)等が挙げられる。本発明では、10,000倍の倍率で50個以上のトナー粒子の投影面からトナー粒子内におけるコア粒子の大きさとシェル層の厚さを透過型電子顕微鏡写真の結果により算出することができる。尚、観察の倍率は、トナー粒子1個の断面構造が判る範囲で調整可能である。
透過型電子顕微鏡による観察方法は、トナーを測定する際に行われる通常の方法で行われる。例えば、先ず、観察用のトナー試料を作製する。常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを充分分散させた後、包埋し、硬化させてブロックを作製する。作製したブロックをダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い、厚さ80〜200nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製する。次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断面形態の写真撮影をする。当該写真からトナー粒子中におけるシェル層組成を目視で確認する。必要に応じて画像処理装置「ルーゼックスF」(ニコレ社製)で撮影された画像情報を演算処理して、トナー粒子内におけるコア粒子の粒径とシェル層の層厚を測長することも可能である。
又、測定用試料は場合によっては四酸化ルテニウム、又は四三酸化オスミウム等で染色しても良い。
(軟化温度)
本発明のトナーの軟化温度(Tsp)は、70〜140℃であることが好ましく、100〜130℃がより好ましい。
トナーの軟化温度の測定方法は、「フローテスターCFT−500」(島津製作所社製)を用い、試料をあらかじめ9.2メッシュパス(目開き2.0mm)、32メッシュオン(目開き0.5mm)の粒度に揃えた後、高さ10mmの円柱形状に成形し、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより200N/cm2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、降下量5mmに対する温度を軟化温度とする方法である。
次に、本発明のトナーの作製で用いられる材料ついて説明する。
《樹脂》
コア粒子を形成する樹脂及びシェル層を形成する樹脂は、スチレン−アクリル系共重合樹脂が好ましい。
コア粒子を形成する樹脂を作製する単量体には、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き下げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
コア粒子を形成する共重合体樹脂における上記重合性単量体の共重合体比は、8〜80質量%であり、9〜70質量%が好ましい。
又、これらの重合性単量体は、上記の他に、酸、酸無水物、或いはビニルカルボン酸金属塩の形態を有するものであってもよい。
又、本発明では、スチレン系単量体を併用してコア粒子を形成する共重合体樹脂を形成しても良い。
シェル層を形成する樹脂を作製する単量体には、スチレン、メチルメタクリレート、メタクリル酸等の共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き上げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
シェル層を形成する共重合体樹脂における上記重合性単量体の共重合体比は、8〜80質量%であり、9〜20質量%が好ましい。
又、これらの重合性単量体は、上記の他に、酸無水物、或いはビニルカルボン酸金属塩の形態を有するものであってもよい。
(重合性単量体)
本発明のトナーを構成する樹脂を得るための重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、特に酸性基を有するラジカル重合性単量体から選ばれた少なくとも1種類の単量体を使用することが好ましい。又、必要に応じて架橋剤を使用することもできる。かかるラジカル重合性単量体としては、例えば芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を挙げることができる。
芳香族系ビニル単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メト芳香キシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体及びその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
モノオレフィン系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等のカルボン酸基含有単量体、又はスチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等のスルホン酸基含有単量体が挙げられる。酸性基を有するラジカル重合性単量体の全部又は一部は、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩又はカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。使用する単量体(単量体混合物も含む)に占める酸性基を有するラジカル重合性単量体の割合としては0.1〜25質量%であることが好ましい。
トナーの耐ストレス性等の特性を改良する為に、ラジカル重合性の架橋剤を添加して前記ラジカル重合性単量体と共重合させても良い。かかるラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有する化合物が挙げられる。使用する単量体(単量体混合物)に占めるラジカル重合性架橋剤の割合としては0.1〜10質量%であることが好ましい。
(連鎖移動剤)
樹脂の分子量を調整する為には、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。用いられる連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(ラジカル重合開始剤)
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等のアゾ系化合物、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤として使用してもよい。レドックス系開始剤を用いることで、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
(界面活性剤)
前記ラジカル重合性単量体を使用して乳化重合を行う際、使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤が好適に用いられる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などが挙げられる。
又、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができるが、必要に応じて前述したイオン性界面活性剤と併用して重合を行っても良い。
本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程又は使用目的、例えば会合粒子の分散剤等の目的で使用してもよい。
《着色剤》
本発明に用いられる着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用可能で、具体的には、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
尚、含有量は、樹脂(結着樹脂)100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。
《荷電制御剤》
本発明のトナーは、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばフッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられ、具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、アゾ系金属錯塩化合物のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。この中でも、アゾ系金属錯塩化合物が好ましく、例えば特開2002−351150号公報の段落0009〜0012に開示されるものが好ましく用いられる。
本発明において、荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。
本発明では、荷電制御剤をトナー表面近傍に含有させることが好ましい。即ち、トナー表面近傍に含有させることによりトナーに帯電性を効果的に付与するとともに、トナー表面に荷電制御剤を露出させない様に含有させてトナーの流動性を確保することが可能である。
具体的な含有方法としては、例えばトナーを構成する樹脂粒子への荷電制御剤の添加量を制御する方法が挙げられる。即ち、トナーの表面近傍を構成する樹脂粒子に多めに荷電制御剤を添加しておき、荷電制御剤を添加していない樹脂粒子でトナー表面を形成する様に樹脂粒子を凝集させる方法や、荷電制御剤を含有させた樹脂粒子を凝集させた後、凝集粒子表面に荷電制御剤を含有していない樹脂成分でカプセル化する方法が挙げられる。
樹脂粒子内へ含有させる方法としては、結着樹脂とともに混練し、その分散径を調節す、脱離したりする場合は水相側に添加し、凝集工程や乾燥工程時にトナーに組み込んでも構わない。
《ワックス》
本発明では、トナーに適度な離型性を付与し、オフセットの発生を防止するためにトナーのコア粒子、シェル層の最外層を除くシェル層に樹脂に対してワックスを10〜50質量%含有させる。更に好ましい含有量は20〜40質量%である。尚、ワックスの含有量は、樹脂とワックスの全体量に対する質量%とする。
ワックスが10%よりも少ない場合、定着性へのワックスとしての効果が損なわれ、又、50%より大きい場合、シェル層を形成したときに、その層がもろくなり、画像形成装置内にてトナーを使用中にシェル層の剥がれ現象が生じ、画像欠陥として現れてくる可能性もある。
前記ワックスは、その融点が40〜150℃のものが好ましく、50〜110℃のものがより好ましい。上記範囲内に融点を有することにより、定着温度を低温に設定しても良好な定着性が得られるとともに、良好な耐オフセット性や耐久性が得られることが確認されている。
尚、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。本発明のトナーのワックス融点は、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー製)を用いて行うことができる。
測定手順としては、トナー4.5mg〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤しアルミニウム製パン(KITNo.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
ワックス融点は、ワックス吸熱ピークのピークトップの温度をワックス融点として示す。
又、本発明においては、これらワックスをシェル層の最外層を除く層中に10〜50質量%含ませるとともに、コア層にもワックスを含有させても良い。
本発明に用いることができるワックスとしては、例えば、ポリオレフィンワックスとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン。製造法にちなんだ慣用名としては、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、メタロセンワックスが好ましい。そのほか、脂肪酸ワックス、及びそのエステル化合物、高級アルコールワックス、ラノリンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、蜜蝋、カイガラムシワックス、モンタンワックスなどである。
脂肪酸系ワックスには、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の炭素数16〜30程度の飽和直鎖脂肪酸類;例えば、エライジン酸、エレオステアリン酸、バナリン酸、ブラシン酸等の炭素数18〜30程度の不飽和脂肪酸類;例えば、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩などがあり、脂肪族アルコール系ワックスには、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ベヘン酸ベヘニル、カルナービルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなど炭素数16〜34程度の飽和脂肪族一価アルコール;例えばソルビトールなどの脂肪族多価アルコールなどがある。
又、本発明では、ワックスを後述する界面活性剤や分散剤を用いて水系媒体中で加熱撹拌してなる分散液を用いてトナーの形成を行うものであってもよい。この場合、例えばワックスを乳化して作製されるワックスエマルジョンを作製し、樹脂粒子を凝集させる時に着色剤分散液とともに凝集させて添加することが可能である。
《外添剤》
外添剤として、無機微粒子を構成する材料としては、各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。更に、上記無機微粒子に、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレン樹脂微粒子、スチレンアクリル樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ウレタン樹脂微粒子等が好ましく用いられる。
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム等のリシノール酸金属塩等が挙げられる。
《トナーの製造方法》
トナーの製法方法としては、請求項の記載要件を満足するトナーが得られれば特に限定されるものではなく、例えば、懸濁重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルジョン重合凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融法、混練粉砕法等を挙げることができる。中でも、シェル層への添加剤の導入のしやすさ、層構成の制御のしやすさより、乳化重合凝集法、ミニエマルジョン重合凝集法が好ましく用いられる。
先ず、樹脂粒子と着色剤粒子とを会合融着させてコアとなる粒子(以下、コア粒子という)を作製する。次に、コア粒子分散液中に樹脂粒子を添加して、コア粒子表面にこの樹脂粒子を凝集、融着させることによりコア粒子表面を被覆してコア・シェル構造を有する着色粒子を作製する。このように、本発明のトナーは、各種製法で作製されたコア粒子の分散液中に、樹脂粒子を添加してコア粒子に融着させてコア・シェル構造のトナーを作製するものである。
以下に、ミニエマルジョン重合凝集法を用いてトナーの製造を説明する。
(1)ワックスをラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)樹脂微粒子の分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中で樹脂微粒子と着色剤粒子を凝集、融着させてコア粒子(会合粒子)を得る凝集・融着工程
(4)コア粒子を熱エネルギーにより熟成して形状(円形度)を調整する第1の熟成工程
(5)単層のシェル層を形成するときは、コア粒子の分散液中に、1層目シェル層用樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用樹脂粒子を凝集、融着させて1層目シェル層を形成して、コア・シェル構造の着色粒子の分散液を形成するシェル化工程
又、多層のシェル層を形成するときは、2層目シェル層用樹脂粒子を添加して1層目シェル層の表面にシェル用粒子を凝集、融着させて2層目シェル層を形成、・・・n+1層目シェル用樹脂粒子を添加してシェル層用粒子を凝集、融着させてn層目シェル層の表面に最外層シェル用樹脂粒子を形成して、多層のシェル層を有するコア・シェル構造の着色粒子の分散液を形成するシェル化工程
(6)コア・シェル構造の着色粒子を熱エネルギーにより熟成して、コア・シェル構造の着色粒子の形状を調整する第2の熟成工程
(7)冷却された着色粒子の分散液から着色粒子を固液分離し、当該着色粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(8)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾燥工程
又、必要に応じて乾燥工程の後に、
(9)乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加する工程
を有する場合もある。
以下、本発明のトナーの各製造工程について説明する。
(1)溶解/分散工程
この工程では、ラジカル重合性単量体にワックス化合物を溶解させて、ワックス化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、ワックスを溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。このような重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
この重合工程により、ワックスと結着樹脂とを含有する樹脂微粒子が得られる。かかる樹脂微粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂微粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂微粒子を使用する場合には、後述する凝集・融着工程において、樹脂微粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、樹脂微粒子と着色剤微粒子とを融着させることで着色粒子とすることができる。
(3)凝集・融着工程
前記融着工程における凝集、融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂微粒子(着色又は非着色の樹脂微粒子)を用いた塩析/融着法が好ましい。又、当該凝集・融着工程においては、樹脂微粒子や着色剤微粒子とともに、ワックス微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
尚、ここでいう「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、更に、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
前記凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
好ましい凝集、融着方法である塩析/融着法は、樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集、融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。又、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂微粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以上であると樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。
又、塩析剤を樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂微粒子のガラス転移温度以上であって、且つ、前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間〜2時間が好ましい。更に、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
(4)第1の熟成工程
そして、本発明では、凝集・融着工程の加熱温度や特に第1の熟成工程の加熱温度と時間の制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成したコア粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものになるように制御する。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして樹脂粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、且つ、時間を長くしてコア粒子の円形度が0.870〜0.930になるよう制御する。
(5)シェル化工程
シェル化工程では、コア粒子分散液中に第1層シェル用樹脂粒子分散液を添加してコア粒子表面にシェル用樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子表面に第1層シェル用樹脂粒子を被覆させ、その上に第2層、・・・、第n+1層シェル用樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。
具体的には、コア粒子分散液は上記凝集・融着工程及び第1の熟成工程での温度を維持した状態で第1層シェル用樹脂粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりと第1層シェル用樹脂粒子をコア粒子表面に被覆させ、次いで第2層、・・・、第n+1層シェル用樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。
尚、複数のシェル層の形成は、コア粒子にシェル用樹脂を添加し、コア粒子に吸着させた後次いで次の層を形成する樹脂を添加し、順次シェル層を形成させていく。先に添加されたシェル用樹脂のコア粒子への融着状態にかかわらず吸着していれば、次のシェルを添加して差し支えない。最外層(第n+1段目のシェル層)を融着させた段階で各層が融着していればよい。
尚、各段階の被覆の終了の確認は、会合液を遠心分離し上澄み液の透明性を目視確認し、上澄み液が透明になった時点で終了とした。
(6)第2の熟成工程
シェル化により着色粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用樹脂粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、シェル化工程ではコア粒子表面に厚さが100〜300nmのシェルを形成する。このようにして、コア粒子表面に樹脂粒子を固着させてシェルを形成すると、丸みを帯び、且つ形状の揃った着色粒子が形成できる。
本発明では、第2の熟成工程の時間を長めに設定したり、熟成温度を高めに設定することで着色粒子の形状を真球方向に制御することが可能である。
(7)冷却工程・固液分離・洗浄工程
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却工程・固液分離・洗浄する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却された着色粒子の分散液から当該着色粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウェット状態にある着色粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥された着色粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(9)外添処理工程
この工程は、乾燥された着色粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
《現像剤》
本発明のトナーは、一成分現像剤、非磁性一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、何れにも使用することができる。又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の鉄含有磁性粒子に代表される従来から公知の材料を用いることができるが、特に好ましくはフェライト粒子もしくはマグネタイト粒子である。上記キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、20〜80μmのものがより好ましい。
キャリアの体積基準分布のメディアン径(D50)の測定は、レーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)を用いて測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているコーティングキャリア、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
又、キャリアとトナーの混合比は、質量比でキャリア:トナー=1:1〜50:1の範囲が好ましい。
《画像形成方法及び画像形成装置》
本発明のトナーは、現像器によりトナー像が形成され転写材に転写され、定着装置を構成する加熱部材間を通過させて定着する接触型定着方式の画像形成方法に好適に使用される。
図2は、本発明のトナーが使用可能な画像形成方法を採用した画像形成装置の一例を示す断面図である。
図2において、50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
その静電潜像は次いで現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとからなる現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤撹拌搬送部材544、543等から構成されており、現像剤は撹拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材により制御される。
現像剤は。搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。又、現像剤は感光体に対して接触或いは非接触の状態で現像される。感光体の電位測定は電位センサ547を図2のように現像位置上部に設けて行う。
転写材Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラ57の回転作動により転写域へと給紙される。
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面の転写電極(転写手段:転写器)58が作動し、給紙された転写材Pを挟着して転写される。
次いで転写材Pは転写電極とほぼ同時に作動状態とされた分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラ601と圧着ローラ602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラ61を介して装置外部に排出される。尚、前記の転写電極58及び分離電極59は転写材Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。図2では転写電極58にコロトロンの転写帯電極を用いている。転写電極の設定条件としては、感光体のプロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、転写電流としては+100〜+400μA、転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
一方転写材Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング手段62の放電ワイヤー622により残存トナーを帯電させた後、ブレード621の圧接により残存トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
本発明に使用される転写材Pは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、記録材或いは転写紙と通常呼ばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《トナーの作製》
以下の様にしてトナーを作製した。
(1)コア粒子の分散液(A−1)の作製
単量体混合液
スチレン 146質量部
n−ブチルアクリレート 88質量部
メタクリル酸 16質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 4.05質量部
上記単量体混合液を、撹拌装置を取り付けたステンレス釜に入れ、そこにベヘン酸ベヘニル34質量部を添加し、70℃に加温、溶解させて単量体混合液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1350質量部に溶解させた界面活性剤溶液を70℃に加熱し、前記単量体混合液を添加、混合した後、循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック社製)により30分間分散を行うことにより乳化分散液を調製した。
次いで、この分散液に過硫酸カリウム3質量部をイオン交換水150質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を78℃で1.5時間加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子に対し、更に過硫酸カリウム7.38質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン265質量部、n−ブチルアクリレート160質量部、メタクリル酸30質量部、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート5.46質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って重合を進行させた後、28℃まで冷却して樹脂粒子分散液を得た。この樹脂粒子分散液を「コア粒子分散液(A−1)」とする。
得られた樹脂のSP値は10.48、Tgは30℃であった。
(2)着色剤粒子分散液1の作製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に投入して撹拌溶解させた。この液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。これを「着色剤粒子分散液1」とする。
「着色剤粒子分散液1」中の着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
(3)シェル用樹脂微粒子分散液の作製
(3−1)シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製
撹拌装置、冷却管及び温度センサを装着した四頭コルベンに、イオン交換水416質量部とドデシル硫酸ナトリウム1質量部投入後、系内の温度を80℃に昇温させた。
続いて、過硫酸カリウム1.44質量部をイオン交換水64質量部に溶解させた重合開始剤水溶液を添加し、次いで下記重合性単量体の混合液(m−1)とn−オクチルメルカプタン1.95質量部の混合物を80分かけて滴下して、重合反応を行った。混合物滴下後、60分間系内の温度を保持してそれから室温まで冷却し、濾過を行って樹脂微粒子を作製した。反応後の系内に重合残渣は見られず樹脂微粒子が安定して作製されたことを確認した。得られた樹脂微粒子分散液を「シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)」とする。
得られた樹脂のSP値は10.68、Tgは71.4℃であった。
重合単量体の混合液(m−1)
スチレン 93.6質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 18.0質量部
メタクリル酸 8.4質量部
(3−2)シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の作製
シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに重合性単量体の混合液(m−2)を用いて、シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)を作製した。この樹脂のSP値は11.17、Tgは91.5℃であった。
重合単量体の混合液(m−2)
スチレン 65.6質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 18.0質量部
メタクリル酸 36.4質量部
(3−3)シェル用樹脂微粒子分散液(B−3)の作製
シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに重合性単量体の混合液(m−3)を用いて、シェル用樹脂微粒子分散液(B−3)を作製した。この樹脂のSP値は10.89、Tgは80.9℃であった。
重合単量体の混合液(m−3)
メチルメタクリレート 80.0質量部
2−エチルヘキシルメタクリレート 18.0質量部
メタクリル酸 22.0質量部
(3−4)シェル用樹脂微粒子分散液(B−4)の作製
シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに重合性単量体の混合液(m−4)を用いて、シェル用樹脂微粒子分散液(B−4)を作製した。この樹脂のSP値は10.02、Tgは32.3℃であった。
重合単量体の混合液(m−4)
スチレン 40.0質量部
2−エチルヘキシルメタクリレート 40.0質量部
メチルメタクリレート 40.0質量部
(3−5)シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)の作製
シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに重合性単量体の混合液(m−5)を用いて、シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)を作製した。この樹脂のSP値は10.45、Tgは30.0℃であった。
重合単量体の混合液(m−5)
スチレン 65.0質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 45.0質量部
メタクリル酸 10.0質量部
(4)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C)の作製
(4−1)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製
撹拌装置、冷却管及び温度センサを装着した四頭コルベンに、平均粒径300nmのベヘン酸ベヘニル粒子を分散させてなるエマルジョンを34質量部(固形分換算)、イオン交換水536質量部を投入後、系内の温度を80℃に昇温させた。
続いて、過硫酸カリウム1.44質量部をイオン交換水64質量部に溶解させた重合開始剤水溶液を添加し、次いで下記重合性単量体の混合液(m−1)とn−オクチルメルカプタン1.95質量部の混合物を80分かけて滴下して、重合反応を行った。混合物滴下後、60分間系内の温度を保持してそれから室温まで冷却し、濾過を行って樹脂微粒子を作製した。反応後の系内に重合残渣は見られず樹脂微粒子が安定して作製されたことを確認した。得られた樹脂微粒子分散液を「ワックスが含まれるシェル用樹脂微粒子分散液(C−1)」とする。この樹脂のSP値は10.68で、ガラス転移温度Tgは71.4℃であった。
重合単量体の混合液(m−1)
スチレン 93.6質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 18.0質量部
メタクリル酸 8.4質量部
(4−2)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−2)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに重合単量体の混合液(m−2)を用いて、「ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−2)」を作製した。この樹脂のSP値は11.17、Tgは91.5℃であった。
重合単量体の混合液(m−2)
スチレン 65.6質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 18.0質量部
メタクリル酸 36.4質量部
(4−3)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−3)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに重合単量体の混合液(m−3)を用いて、「ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−3)」を作製した。この樹脂のSP値は10.89、Tgは80.9℃であった。
重合単量体の混合液(m−3)
メチルメタクリレート 80.0質量部
2−エチルヘキシルメタクリレート 18.0質量部
メタクリル酸 22.0質量部
(4−4)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−4)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに重合単量体の混合液(m−4)を用いて、「ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−4)」を作製した。この樹脂のSP値は10.02、Tgは32.3℃であった。
重合単量体の混合液(m−4)
スチレン 40.0質量部
2−エチルヘキシルメタクリレート 40.0質量部
メチルメタクリレート 40.0質量部
(4−5)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−5)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに重合単量体の混合液(m−5)を用いて、「ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−5)」を作製した。この樹脂のSP値は10.45、Tgは30.0℃であった。
重合単量体の混合液(m−5)
スチレン 65.0質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 45.0質量部
メタクリル酸 10.0質量部
(4−6)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−6)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−4)の作製法において用いたベヘン酸ベヘニル粒子を分散させてなるエマルジョンを10.4質量部(固形分換算)に変更した以外は同様にして「ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−6)」を作製した。この樹脂のSP値は10.02、Tgは32.3℃であった。
(4−7)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−7)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−4)の作製法において用いたベヘン酸ベヘニル粒子を分散させてなるエマルジョンを73.5質量部(固形分換算)に変更した以外は同様にして「ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(C−7)」を作製した。この樹脂のSP値は10.02、Tgは32.3℃であった。
(5)着色粒子の分散液作製
(着色粒子分散液1の作製)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、「樹脂粒子A−1」を固形分換算で392質量部と、イオン交換水1100質量部と、「着色剤分散液1」200質量部を仕込み、液温を30℃に調整した後、5モル/L(リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に、熟成工程として液温度80℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、「コア粒子1」(SP値10.48)を形成した。
次いで、「シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)」(SP値10.78)を固形分換算で44質量部添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、「コア粒子1」の表面にシェル用樹脂微粒子を融着させシェル層を形成した。
次いで、塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加し熟成処理を行い、平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、「着色粒子分散液1」を作製した。
尚、着色粒子の円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、着色粒子を界面活性剤入りの水溶液でなじませ、超音波分散処理を1分間行って着色粒子を分散させた後、「FPIA−2100」を用いて測定を行う。測定条件は、HPF(高倍率撮像)モードに設定してHPF検出数を4000個にして測定する。
(着色粒子分散液2の作製)
着色粒子分散液1の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液2」を作製した。
(着色粒子分散液3の作製)
着色粒子分散液1の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(B−3)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液3」を作製した。
(着色粒子分散液4の作製)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、「樹脂粒子A−1」を固形分換算で392質量部と、イオン交換水1100質量部と、「着色剤分散液1」200質量部を仕込み、液温を30℃に調整した後、5モル/L(リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に、熟成工程として液温度80℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、「コア粒子1」(SP値10.48)を形成した。
次いで、「シェル用樹脂微粒子分散液(B−4)」を固形分換算で44質量部添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、「コア粒子1」の表面にシェル用樹脂微粒子を融着させ1層目シェル層を形成した。
次いで、「シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)」を固形分換算で44質量部添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、1層目シェル層の上にシェル用樹脂微粒子を融着して2層目シェル層を形成した。
次いで、塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加し熟成処理を行い、FPIA−2100を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、「着色粒子分散液4」を作製した。
(着色粒子分散液5の作製)
着色粒子分散液4の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液5」を作製した。
(着色粒子分散液6の作製)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂粒子A−1を固形分換算で392質量部と、イオン交換水1100質量部と、「着色剤分散液1」200質量部を仕込み、液温を30℃に調整した後、5モル/L(リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に、熟成工程として液温度80℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、「コア粒子1」(SP値10.48)を形成した。
次いで、「シェル用樹脂微粒子分散液(B−3)」を固形分換算で44質量部添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、「コア粒子1」の表面にシェル用樹脂微粒子を融着させ1層目のシェル層を形成させた。
次いで、「シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)」を固形分換算で44質量部添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、1層目シェル層の上にシェル用樹脂微粒子を融着して2層目のシェル層を形成した。
次いで、「シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)」を固形分換算で44質量部添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、2層目シェル層の上にシェル用樹脂微粒子を融着して3層目シェル層を形成した。
次いで、塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加し熟成処理を行い、FPIA−2100を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、「着色粒子分散液6」を作製した。
(着色粒子分散液7の作製)
着色粒子分散液4の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液7」を作製した。
(着色粒子分散液8の作製)
着色粒子分散液4の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(B−3)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液8」を作製した。
(着色粒子分散液9の作製)
着色粒子分散液1の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液9」を作製した。
(着色粒子分散液10の作製)
着色粒子分散液1の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−2)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液10」を作製した。
(着色粒子分散液11の作製)
着色粒子分散液1の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−3)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液11」を作製した。
(着色粒子分散液12の作製)
着色粒子分散液1の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液12」を作製した。
(着色粒子分散液13の作製)
着色粒子分散液4の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を「シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液13」を作製した。
(着色粒子分散液14の作製)
着色粒子分散液8の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−3)を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−3)」に、シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−5)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液14」を作製した。
(着色粒子分散液15の作製)
着色粒子分散液8の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−3)を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−3)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液15」を作製した。
(着色粒子分散液16の作製)
着色粒子分散液5の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−4)を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−6)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液16」を作製した。
(着色粒子分散液17の作製)
着色粒子分散液5の作製で用いたシェル用樹脂微粒子分散液(B−4)を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−7)」に変更した以外は同様にして「着色粒子分散液17」を作製した。
(6)トナー1〜17の作製
上記で作製した「着色粒子分散液1〜17」を、下記処理を行って「トナー1〜17」を作製した。
着色粒子分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40」(松本機械社製)で固液分離し、着色粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して着色粒子を作製した。
次いで、得られた着色粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)を0.3質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナーを作製した。
表1に、「トナー1〜17」の作製に用いたコア粒子とそのSP値、シェル層の層の数、シェル用樹脂微粒子分散液のNo.とそのSP値、ワックス含有の有無、各ΔSP値を示す。
Figure 2009163026
(7)現像剤1〜17の作製
トナー1〜17を用い、下記の方法で「現像剤1〜17」を作製した。
各トナーに、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。
(8)評価実験
〈保存安定性〉
保存安定性は、下記の方法で求めた篩上に残存するトナー量(トナー凝集率)で評価した。
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサー「KYT−2000」(セイシン企業社製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
(トナー凝集率(%))=(篩上の残存トナー質量(g))/0.5(g)×100
尚、保存安定性は、トナー凝集率が20%以下のトナーを合格とする。
〈評価装置〉
評価装置としては、市販のデジタル複写機「bizhub PRO 1050」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を評価機として準備し、装備されている定着装置を定着温度が変更できるように改造して用いた。尚、評価は◎、○、△を合格、×を不合格とする。
〈低温定着性〉
低温定着性は、プリント画像の定着率が一定値以上得られた転写紙の表面温度を最低定着温度として評価した。
上記評価装置に装備されている定着装置の加熱ローラ表面温度を、紙表面温度が80〜150℃の範囲で10℃刻みで変化するように変更し、各変更温度でトナー画像を定着して定着画像を作製した。尚、プリント画像の作製に当たっては、A4判サイズの上質紙(80g/m2)を使用した。
定着して得られたプリント画像の定着強度を、「電子写真技術の基礎と応用:電子写真学会編」第9章1.4項に記載のメンディングテープ剥離法に準じた方法を用いて定着率により評価した。
具体的には、トナー付着量が0.6mg/cm2である2.54cm角のべた黒プリント画像を作製した後、「スコッチメンディングテープ」(住友3M社製)で剥離する前後の画像濃度を測定し、画像濃度の残存率を定着率として求めた。
本発明では、定着率が95%以上得られた「転写紙表面温度」を最低定着温度とする。尚、転写紙表面温度は非接触温度計で測定した。又、画像濃度は反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)で測定した。
尚、最低定着温度120℃未満で定着が可能なトナーを低温定着性合格とする。
〈ドキュメントオフセット〉
ドキュメントオフセットは、下記の方法で求めた白ぬけ部分の面積で評価した。
両面コート紙(80g/m2)にべた画像が50%を占める未定着プリント2枚を、外部定着機を用い150℃にて定着した後、べた画像部と非画像部とが重なるように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm2相当になるように重りを載せ、60℃で50RH%に設定した恒温恒湿槽中に3日間放置した。放置後、重ねた合わせた2枚のプリントをはがし、重ね合わせたべた画像部の欠陥(トナーが剥離或いはコート面が付着)度合いを、以下に方法で白ぬけ部分の面積を計算して行った。
具体的には、スキャナ「EPS0N GF9800F」(エプソン社製)(もしくは同等性能品)にて、べた画像部と非画像部を重ね合わせた部分を2400dpi(dpiとは幅2.4cmにおけるドットの数)、縦19.3mm、横18.8mmにてスキャニングし、デジタル画像を得る。その後、UTHSCSA社製の「ImageTools画像解析ソフト」を用い、デジタル的に画像をネガポジ反転後、閾値を120にて白ぬけ部分の面積率を計算より求めた。
尚、ドキュメントオフセットの評価は、非画像部を重ね合わせたべた画像部の総面積に対して白ぬけ部分が0.17%未完のトナーを合格とする。
表2に、評価結果を示す。
Figure 2009163026
表2の評価結果から、本発明の「実施例1〜11」のトナー1〜6、トナー8、トナー13、14、トナー16、17は、全ての評価項目で合格であることが判る。一方、「比較例1〜5」のトナー7、トナー9〜12、トナー15は、評価項目の何れかに問題が有ることが判る。
本発明のトナーの層構成の一例を示す模式図である。 本発明のトナーが使用可能な画像形成方法を採用した画像形成装置の一例を示す断面図である。
符号の説明
T トナー(トナー粒子)
A コア粒子
B シェル層
B−1 1層目シェル層、
B−2 2層目
B−3・・・n 3層目・・・n層目シェル層
B−n+1 n+1層目シェル層

Claims (4)

  1. 少なくとも樹脂と着色剤を含有するコア粒子をシェル層にて被覆してなるコア・シェル構造を有する静電潜像現像用トナーにおいて、
    該シェル層がワックスを含有せず、
    該コア粒子とシェル層の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)が0.2〜0.7であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 少なくとも樹脂と着色剤を含有するコア粒子を樹脂を含有するシェル層にて被覆してなるコア・シェル構造を有する静電潜像現像用トナーにおいて、
    該シェル層は多層からなり、
    該シェル層の最外層がワックスを含有せず、
    該コア粒子とコア粒子の上に設けられるシェル層間、及び多層のシェル層間の樹脂の溶解度パラメーター値(SP値)の差(ΔSP)が0.2〜0.7であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  3. 最外層を形成するシェル層の樹脂の溶解度パラメーター値が、コア粒子及び最外層を除く各シェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値より高い、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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