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JP2009143159A - 繊維強化複合材料及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化複合材料及びその製造方法 Download PDF

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JP2009143159A
JP2009143159A JP2007324072A JP2007324072A JP2009143159A JP 2009143159 A JP2009143159 A JP 2009143159A JP 2007324072 A JP2007324072 A JP 2007324072A JP 2007324072 A JP2007324072 A JP 2007324072A JP 2009143159 A JP2009143159 A JP 2009143159A
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thermoplastic resin
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fiber reinforced
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Application number
JP2007324072A
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English (en)
Inventor
Koji Kiuchi
孝司 木内
Yoshio Natsuume
伊男 夏梅
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

【課題】 繊維強化樹脂層と熱可塑性樹脂基材との密着性に優れ且つ靭性にも優れる、繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材とからなる繊維強化複合材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 炭素繊維とシクロオレフィンポリマーの架橋体を含む繊維強化樹脂基材表面の少なくとも一部分に熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂基材が一体化されてなる繊維強化複合材料。該繊維強化複合材料は、炭素繊維の表面の少なくとも一部分に接触するように熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂基材を配置する積層工程、ならびに前記熱可塑性樹脂基材及び炭素繊維基材の存在下にシクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含んでなる硬化性組成物を硬化させる硬化工程により製造される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維強化複合材料及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材とからなり、繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材との密着性にすぐれ、しかも靭性に優れた繊維強化複合材料及びその製造方法に関する。
炭素繊維と熱硬化性樹脂とから構成される繊維強化樹脂は、成形性、薄肉、軽量、高剛性、生産性、経済性に優れ、自動車機器部品、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電機・電子機器の部品や筐体などに使用されている。
近年、かかる繊維強化樹脂に熱可塑性樹脂基材を積層させ新たな特性を付与させる検討がなされている。たとえば、特許文献1には、少なくとも表面の一部を熱可塑性樹脂基材で被覆した炭素繊維を金型に充填し、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を注入・成形して繊維強化樹脂に靭性を付与した複合材料を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、得られる複合材料としての靭性が未だ充分でなく、例えば曲げたりすると熱硬化性樹脂部分が崩れ、また、熱可塑性樹脂と繊維強化樹脂との間で剥離する等の問題があった。
一方、特許文献2には、炭素繊維等の強化繊維表面に熱可塑性樹脂を積層し、次いで、該熱可塑性樹脂を溶融し炭素繊維基材に被覆すると同時に炭素繊維基材中にエポキシ樹脂等の熱硬化樹脂を注入・硬化させることにより、熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材とが一体化した複合材料を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材が一体化されるが、複合材料としての靭性が充分でない問題があった。
特開平8−300395号公報 特開2006−44261号公報
本発明は、繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材とからなる繊維強化複合材料及びその製造方法に関し、特に繊維強化樹脂層と熱可塑性樹脂基材との密着性に優れ且つ靭性にも優れる、繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材とからなる繊維強化複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂を被覆した炭素繊維にシクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含む硬化性組成物を含浸させて硬化させると、熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材との密着性に優れ、しかも、充分に曲げても形状崩れ等の問題が起こらない靭性に優れた繊維強化複合材料が得られることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
かくして本発明の第1によれば、炭素繊維とシクロオレフィンポリマーの架橋体を含む繊維強化樹脂基材表面の少なくとも一部分に熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂基材が一体化されてなる繊維強化複合材料が提供される。
本発明の第2によれば、炭素繊維の表面の少なくとも一部分に接触するように熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂基材を配置する積層工程、ならびに
前記熱可塑性樹脂基材及び炭素繊維基材の存在下にシクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含んでなる硬化性組成物を硬化させる硬化工程とを含む繊維強化複合材料の製造方法が提供される。
前記積層工程は、熱可塑性樹脂基材と炭素繊維基材を融着させる工程であることが好ましい。
本発明によれば、繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材との密着性、及び靭性に優れる繊維強化複合材料を容易に得ることができる。また、本発明の繊維強化複合材料は、繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材との密着性、及び靭性に優れるので、自動車や航空機などの乗物用部材、及びスポーツ、土木、建築などの分野において好適に使用することができる。
本発明の繊維強化複合材料は、繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材とが一体化され、特に、繊維強化樹脂層の強化繊維として炭素繊維を用い、マトリックス樹脂としてシクロオレフィンポリマーの架橋体を用いることを特徴とする。
(炭素繊維)
繊維強化樹脂基材の強化繊維としては炭素繊維を用いる。炭素繊維の種類としては、格別な限定はなく、例えば、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の各種の従来公知の方法で製造される炭素繊維が使用できる。中でも、アクリル繊維(ポリアクリロニトリル繊維)を原料として製造される炭素繊維であるアクリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)が、シクロオレフィンモノマーを含む硬化性組成物との相溶性に優れ、得られる繊維強化複合材料の機械強度や靭性等の特性を高度に付与でき好適である。
本発明に使用される炭素繊維の強度特性は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択される。引張強度としては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張強度で、通常0.5〜50GPa、好ましくは1〜10GPa、より好ましくは2〜8GPaの範囲である。引張弾性率としては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張弾性率で、通常100〜1,000GPa、好ましくは200〜800GPa、より好ましくは300〜700GPaの範囲である。伸びとしては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張伸びで、通常0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、より好ましくは1〜3%の範囲である。炭素繊維の強度特性がこれらの範囲にあるときに、熱可塑性樹脂層との密着性、靭性、機械強度等の特性が高度にバランスされ好適である。
本発明に使用される炭素繊維の断面形状は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、扁平、円形いずれの形状でもよい。例えば、断面形状が円形であると、樹脂を含浸させる際、フィラメントの再配列が起こりやすくなり、繊維間への樹脂の浸み込みが容易になり、また、繊維束の厚みを薄くすることが可能となるため、ドレープ製に優れたプリプレグを得やすい等の利点がある。
本発明に使用される炭素繊維の長さは、格別な限定無く使用目的に応じて適宜選択され、短繊維、長繊維のいずれをも用いることができるが、より高い機械強度と強靭性を得たい場合は、繊維の長さが1cm以上、好ましくは2cm以上、より好ましくは3cm以上、もっとも好ましくは連続繊維とするのがよい。
本発明に使用される炭素繊維の形態は、特に限定されず、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、一方向ストランド、ロービング、チョップド等から適宜選択できる。これらの中でも、靭性と耐衝撃性がより高い水準にある繊維強化樹脂基材を得るためには、繊維が織物、一方向ストランド、ロービング等連続繊維の形態であるのが良い。織物形態としては、従来公知のものが利用でき、例えば、平織、繻子織、綾織、3軸織物などの繊維が交錯する織り構造の全てが利用できる。また、織物形態としては、2次元だけでなく、織物の厚み方向に繊維が補強されているステッチ織物、3次元織物等も利用できる。
本発明に使用される炭素繊維は、織物等で使用する場合は繊維束糸条として利用する。その場合の繊維束糸条1本中のフィラメント数は、格別な限定はないが、1,000〜100,000本、好ましくは2,000〜20,000本、より好ましくは5,000〜15,000の範囲である。
これらの炭素繊維は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、繊維強化樹脂基材中の炭素繊維含有量が、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲になるように選択される。
(シクロオレフィンポリマー)
繊維強化樹脂基材中のマトリックス樹脂としてはシクロオレフィンポリマーの架橋体を用いる。シクロオレフィンポリマーの架橋体としては、シクロオレフィンポリマーを架橋してなるものであれば格別な限定はない。シクロオレフィンポリマーとしては、公知のシクロオレフィンモノマーの重合体を格別な限定がなく用いることができる。具体的には、シクロオレフィンモノマーの開環重合体、シクロオレフィンモノマーの付加重合体、シクロオレフィンモノマーと鎖状オレフィンとの付加共重合体、およびこれらの水素化物が挙げられる。
シクロオレフィンモノマーとしては、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。その例として、ノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。ノルボルネン系モノマーとしては、格別な限定はないが、例えば、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの 七環体、及びこれらのアルキル置換体(メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体)、並びにエポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基などの極性基を有する誘導体などが挙げられる。
単環シクロオレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体が挙げられる。これらのシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シクロオレフィンポリマーの分子量は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
本発明に使用される架橋されたシクロオレフィンポリマーは、上記シクロオレフィンポリマーを架橋したものであり、溶媒に溶解しないことで定義される。一方、未架橋のシクロオレフィンポリマー、通常は溶媒に溶解する。かかる溶解試験に用いる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素のなどの溶媒から適宜選択される。架橋の方法はラジカル架橋やイオン架橋などの公知の方法をいずれも採用することができ、限定されないが、ラジカル架橋が好ましい。
(繊維強化樹脂基材)
本発明に使用される繊維強化樹脂基材は、上記強化繊維としての炭素繊維と、マトリックス樹脂としてのシクロオレフィンポリマーの架橋体を含み、マトリックス樹脂は必要に応じてその他の配合剤が添加されていてもよい。
その他の配合剤としては、使用目的に応じて適宜選択されるが、エラストマー材料、充填剤、老化防止剤、難燃剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤、高分子改質剤などを挙げることができる。
エラストマー材料としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこれらの水素添加物が挙げられる。これらのエラストマー材料は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その配合量は、シクロオレフィンポリマーの架橋体100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜30重量部の範囲である。エラストマー材料がこの範囲であるときに得られる繊維強化複合材料の靭性を高度に向上させることができ好適である。
充填剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機系充填剤や有機系充填剤のいずれも用いることができが、好適には無機系充填剤である。無機系充填剤としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子、窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。有機系充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、廃プラスチック等の粒子化合物が挙げられる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、シクロオレフィンポリマー100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜350重量部の範囲である。充填剤がこの範囲にあるときに繊維強化複合材料の靭性、機械強度、耐熱性、耐薬品性等の特性を格段に向上させることができ好適である。
老化防止剤としては、一般的に樹脂工業で使用されるものであれば格別な限定なく使うことができるが、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を用いることにより、架橋反応を阻害しないで、得られる繊維強化複合材料の耐酸化劣化性を高度に向上させることができ好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤が特に好ましい。
フェノール系老化防止剤としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、例えば、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などが挙げられる。
リン系老化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、などが挙げられる。
イオウ系老化防止剤は、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどを挙げられる。
これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンポリマーの架橋体100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の添加剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明に使用される繊維強化樹脂基材の厚みは、使用目的の応じて適宜選択されるが、通常0.001〜10mm、好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.05〜0.5mmの範囲である。この範囲であるときに、熱可塑性樹脂基材との密着性、機械強度、靭性の特性が高度にバランスされ好適である。
(熱可塑性樹脂基材)
本発明に使用される熱可塑性樹脂基材としては、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステルなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブリレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂を含む。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。熱可塑性樹脂の熱可塑性樹脂基材中での割合は、重量比で、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
本発明に使用される熱可塑性樹脂基材としては、機能性を高める観点で、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、発泡剤、制泡剤、カップリングなどの添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その添加量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択され、通常は上記熱可塑性樹脂の残部の量の範囲である。
本発明に使用される熱可塑性樹脂基材の厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常0.0001〜100mm、好ましくは0.001〜50mm、より好ましくは0.01〜10mmの範囲である。また、本熱可塑性樹脂基材層を、繊維強化樹脂基材の被覆層として、あるいは繊維強化樹脂基材と他部材との接着剤層として使用する場合の厚みは、通常0.0001〜1mm、好ましくは0.001〜0.1mmの範囲である。
(繊維強化複合材料の製造方法)
本発明の繊維強化複合体は、上記繊維強化樹脂基材と熱可塑性樹脂基材が一体化されてなる。その製造方法について格別な限定はないが、例えば、前記炭素繊維基材表面の少なくとも一部分に接触するように前記熱可塑性樹脂基材を配置する積層工程、ならびに前記熱可塑性樹脂基材及び炭素繊維基材の存在下にシクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含んでなる硬化性組成物を硬化させる硬化工程とから容易に製造することができる。ここで、前記積層工程が、熱可塑性樹脂基材と炭素繊維基材を融着させる工程であることが好ましい。本発明においては、熱可塑性樹脂基材と炭素繊維基材との存在下で、シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含んでなる硬化性組成物を硬化させることで、熱可塑性樹脂基材、炭素繊維基材、およびシクロオレフィンポリマーの架橋体が一体となった密着性に優れ且つ靭性にも優れる繊維強化複合材料を製造できるので好適である。
熱可塑性樹脂基材を炭素繊維基材に積層する工程は、常法に従って行なえばよく、例えば、型内で硬化性組成物の硬化を行なう場合には、熱可塑性基材と炭素繊維基材が接触するようにこれらを型内に固定すればよい。また、熱可塑性樹脂基材と炭素繊維基材を融着させる場合には、炭素繊維基材を加熱し、熱可塑性樹脂基材をこれと接触するように設置して熱可塑性樹脂を溶融させ、0.01〜10MPa程度の圧力を付与することで、炭素繊維基材に熱可塑性樹脂が含浸し、且つ、炭素繊維基材表面に熱可塑性樹脂基材の層を形成させることができる。
本発明に使用される硬化性組成物は、前記のシクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を必須成分として、必要に応じて、重合調整剤、連鎖移動剤、重合反応遅延剤、架橋助剤及びその他の配合剤を添加することができる。その他の配合剤としては、前記と同様のエラストマー材料、充填剤、老化防止剤、難燃剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤、高分子改質剤などを挙げることができる。
本発明に使用される重合触媒としては、シクロオレフィンモノマーを重合できるものであれば格別な限定はないが、通常はメタセシス重合触媒が用いられる。メタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合できるものであり、通常遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性が優れるため、得られる繊維強化樹脂基材の未反応のモノマーに由来する臭気が少なく生産性に優れる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも生産が可能である。
本発明においては、重合触媒としてヘテロ環構造を有する化合物を配位子として有するルテニウム触媒を用いることが、得られる繊維強化複合材料の外観、強度、靭性等の特性が高度にバランスされ好適である。ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子等が挙げられ、好ましくは窒素原子である。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリンやイミダゾリジン構造が好ましく、かかるヘテロ環構造を有する化合物の具体例としては、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
好ましいルテニウム触媒の例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの、配位子としてヘテロ環構造を有する化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物が挙げられる。
これらの重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
重合触媒は必要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、および脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
本発明に使用される架橋剤としては、シクロオレフィンポリマーを架橋できるものであれば格別な制限はないが、通常ラジカル発生剤が用いられる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオサシド類;などが挙げられる。中でも、後述する重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
本発明に使用される架橋剤がラジカル発生剤の場合の1分半減期温度は、架橋の条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。
これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は、シクロオレフィンポリマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
本発明においては、架橋助剤を配合することで、硬化性組成物に多量の無機充填材等を配合した場合も強化繊維への含浸性に優れ、また、熱可塑性樹脂基材との密着性も向上でき好適である。
本発明で使用される架橋助剤としては、一般的に用いられるものを格別な限定なく使用でき、例えば、炭素−炭素不飽和結合を2つ有する2官能性架橋助剤、炭素−炭素不飽和結合を3つ以上有する多官能架橋助剤などを挙げることができる。
本発明に使用される架橋助剤の構造は、格別な限定はないが、対称性の高い構造を有する化合物であるときにシクロオレフィンモノマーを含む硬化性組成物の炭素繊維基材への含浸性を高度に改善できるので好適である。特に、架橋助剤が、炭化水素で、対称性の高い構造を有するものであるときに硬化性組成物の炭素繊維基材への含浸性、及び硬化して得られる繊維強化複合材料の機械的強度、靭性及び耐熱性を高度に改善できるので好適である。
かかる架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンなどの2官能架橋助剤、トリイソプロペニルベンゼン、トリメタアリルイソシアネートなどの3官能架橋助剤等が挙げられる。中でも、トリイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンが好ましく、m−ジイソプロペニルベンゼンがより好ましい。
これらの架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋助剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対し、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部、最も好ましくは5〜15重量部である。
重合調整剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で配合されるものであり、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。これらの重合調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合調整剤の使用量は、(重合触媒中の金属原子:重合調整剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
連鎖移動剤としては、通常は、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。その具体例としては、例えば、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸3−ブテン−2−イル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸3−ブテン−2−イル、アクリル酸1−メチル−3−ブテン−2−イル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート、アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリンなどが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その添加量は、シクロオレフィンモノマー全体に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明に用いる硬化性組成物は、重合反応遅延剤を含有していると、その粘度増加を抑制でき、容易に炭素繊維に均一に硬化性組成物を含浸できるので、好ましい。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、スチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。
本発明に使用される硬化性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)をシクロオレフィンモノマーと架橋剤に必要に応じてその他の添加剤を配合した液(モノマー液)に添加し、攪拌することによって調製することができる。
硬化性組成物の炭素繊維への含浸は、例えば、硬化性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法により炭素繊維に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。
含浸を型内で行う場合は、型内に炭素繊維と熱可塑性基材とをそれぞれが接触するように設置し、該型内に硬化性組成物を注ぎ込んで行う。この場合において、得られる繊維強化複合材料の表面の一部に熱可塑性樹脂基材の層が露出するように、熱可塑性基材を型と接するように設置することが好ましい。この方法によれば、任意の形状の繊維強化複合材料を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、多角柱状等が挙げられる。ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に硬化性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする繊維強化複合材料の形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に硬化性組成物を注入し、該型内で硬化を行うことにより、シート状又はフィルム状の繊維強化複合材料を得ることができる。
硬化性組成物は従来のエポキシ樹脂等と比較して低粘度であり、炭素繊維に対する含浸性に優れるので、重合で得られる樹脂を炭素繊維基材に均一に含浸させることができる。
シクロオレフィンモノマーの重合と硬化は同時に行なうこともできるが、重合後に硬化(ポストキュアー)することもできる。硬化させる方法としては、常法に従えはよく、例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて熱プレスを行なうことができる。加熱温度は、前記架橋剤の架橋の起こる温度であり、ラジカル発生剤を用いた場合は、1分半減期温度以上、好ましくは1分半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分半減期温度より10℃以上高い温度である。通常は、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜20分の範囲である。
かくして得られる本発明の繊維強化複合材料は、熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材とからなり、密着性や靭性に優れるため、例えば、OAやAV機器、自動車や鉄道などの車両用部材、航空機内装部品などをはじめとして、ゴルフシャフトや釣竿等のスポーツ用途、その他一般産業用途に好適に用いられる。具体的の用途としては、例えば、釣竿、ゴルフクラブ用シャフト、テニスラケット、スキーストック等のスポーツ用途;ディスプレイ、FDDキャリッジ、シャーシ、HDD、MO、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラ、PDA、ポータブルMD、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの電気・電子機器;電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、アイロン、ヘアドライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、掃除機、トイレタリー用品、レザーディスク、コンパクトディスク、照明、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどのオフィスオートメーション機器および家電機器;アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ドライブシャフト、ホイール、ホイールカバー、フェンダー、ドアミラー、ルームミラー、フェシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、トランクフード、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スピラーおよび各種モジュールなどの自動車部品;ランディングギアポッド、ウイングレッド、スポイラー、エッジ、ラダー、フェイリングなどの航空機部品およびパネルなどの建材などが挙げられる。これらの中でも、自動車や航空機などの乗物用部材として特に好適である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定、評価した。
(1)密着性:繊維強化複合材料の熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材との剥離強度を、ASTM D1781−76に従い、クライミングドラムピール法により10N・mm/mmの剥離トルクで評価した。
(2)靭性:繊維強化複合材料を90°に曲げて、形状崩れ、樹脂こぼれ、熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材との剥離等があるか評価した。
実施例1
ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、ジシクロペンタジエン(DCP)100部、連鎖移動剤としてアリルメタクリレート0.74部、架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)1.2部、充填材としてシリカ(アドマファイン社製、平均粒径0.5μm)100部を混合してモノマー液を調製した。ここに上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mlの割合で加えて撹拌して硬化性組成物を調製した。
一方、炭素繊維(繊維目付量:190g/m、繊維引張強度4,900MPa、繊維引張弾性率:294GPa、厚み0.1mm)を6枚積層したものを金型内に置き、その最表面に熱可塑性樹脂基材として3元共重合ポリアミド樹脂(ナイロン6/66/610、融点150℃)を炭素繊維と同様の大きさにカットしものを重ねて積層し、型締めを行なった。次いで、上記調製した硬化性組成物を型内に注入し、200℃×15分間で硬化させて繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料は、クライミングドラムピール法の密着性評価により熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材との密着性は充分に高いこと、また、靭性評価では90°に曲げても、熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材との剥離、樹脂形状の崩れ、炭素繊維と樹脂とが剥離等の問題は確認されず靭性に優れることがわかった。
比較例1
実施例1と同様にして、炭素繊維と3元共重合ポリアミド樹脂を金型内に重ねて積層し、型締めを行なった。次いで、金型温度を155℃に加温した後、エピコート1005F(2官能ビスフェノール型樹脂、エポキシ当量950〜1050)20部、エピコート828(2官能ビスフェノール型樹脂、エポキシ当量176〜180)80部、硬化剤としてのジシアンジアミド5部、および硬化促進剤としての1,1”−4(メチル−m−フェニレン)ビス(3,3”ジメチルウレア))4.2部からなるエポキシ樹脂組成物を型内に注入し、炭素繊維に含浸させ、155℃×2時間硬化させて繊維強化複合材量を得た。得られた繊維強化複合材料の密着性をクライミングドラムピール法により評価すると熱可塑性樹脂基材と繊維強化樹脂基材との密着性は充分に高かったが、該繊維強化複合材料を90°に曲げて靭性を評価すると、繊維強化樹脂基材での樹脂形状が崩れ、また、炭素繊維と樹脂とが剥離する部分も生じていた。

Claims (3)

  1. 炭素繊維とシクロオレフィンポリマーの架橋体を含む繊維強化樹脂基材表面の少なくとも一部分に熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂基材が一体化されてなる繊維強化複合材料。
  2. 炭素繊維の表面の少なくとも一部分に接触するように熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂基材を配置する積層工程、ならびに
    前記熱可塑性樹脂基材及び炭素繊維基材の存在下にシクロオレフィンモノマー、重合触媒及び架橋剤を含んでなる硬化性組成物を硬化させる硬化工程とを含む繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 前記積層工程が、熱可塑性樹脂基材と炭素繊維基材を融着させる工程である請求項2記載の製造方法。
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