JP2009121632A - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ライン圧制御用のリニアソレノイドSLTの故障またはベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSの故障のいずれの故障であるのかを判別できるようにする。
【解決手段】ライン圧制御用のリニアソレノイドSLTと、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSとを有する油圧制御回路を用いてベルト式無段変速機を制御する制御装置において、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間の変速比を演算し、その演算変速比に基づいてベルト滑りの有無を判定する手段を備え、プライマリプーリへの入力トルクNinが小さい場合(Nin<判定値C)にベルト滑りがあったときには、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSが故障していると判定し、入力トルクNinが大きい場合(Nin≧判定値C)にベルト滑りがあったときには、ライン圧制御用のリニアソレノイドSLTが故障していると判定する。
【選択図】図7
【解決手段】ライン圧制御用のリニアソレノイドSLTと、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSとを有する油圧制御回路を用いてベルト式無段変速機を制御する制御装置において、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間の変速比を演算し、その演算変速比に基づいてベルト滑りの有無を判定する手段を備え、プライマリプーリへの入力トルクNinが小さい場合(Nin<判定値C)にベルト滑りがあったときには、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSが故障していると判定し、入力トルクNinが大きい場合(Nin≧判定値C)にベルト滑りがあったときには、ライン圧制御用のリニアソレノイドSLTが故障していると判定する。
【選択図】図7
Description
本発明は、車両に搭載されるベルト式無段変速機の制御装置に関する。
エンジンを搭載した車両において、エンジンが発生するトルク及び回転速度を車両の走行状態に応じて適切に駆動輪に伝達する変速機として、エンジンと駆動輪との間の変速比を自動的に最適設定する自動変速機が知られている。
車両に搭載される自動変速機としては、例えば、クラッチ及びブレーキなどの摩擦係合要素と遊星歯車装置とを用いて変速比(ギヤ比)を設定する遊星歯車式変速機や、変速比を無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)がある。
ベルト式無段変速機は、プーリ溝(V溝)を備えたプライマリプーリ(入力側プーリ)とセカンダリプーリ(出力側プーリ)とにベルトを巻き掛け、一方のプーリのプーリ溝の溝幅を拡大すると同時に、他方のプーリのプーリ溝の溝幅を狭くすることにより、それぞれのプーリに対するベルトの巻き掛け半径(有効径)を連続的に変化させて変速比を無段階に設定するように構成されている。このベルト式無段変速機において伝達されるトルクは、ベルトとプーリとを相互に接触させる方向に作用する荷重に応じたトルクとなり、従ってベルトに張力を付与するようにプーリによってベルトを挟み付けている。
また、ベルト式無段変速機の変速は、上記のように、プーリ溝の溝幅を拡大・縮小させることにより行っている。具体的には、プライマリプーリ及びセカンダリプーリをそれぞれ固定シーブと可動シーブとによって構成し、可動シーブをその背面側に設けた油圧アクチュエータにより軸方向に前後動させることにより変速を行う。
このようなベルト式無段変速機においては、例えば下記の特許文献1に記載されているように、アップシフト用変速制御バルブ及びダウンシフト用変速制御バルブを用いて変速比を制御している。これら2つの変速制御バルブにはライン圧が元圧として供給される。
アップシフト用変速制御バルブ及びダウンシフト用変速制御バルブにはデューティソレノイドバルブ(以下、デューティソレノイドという)が接続されており、そのデューティソレノイドが出力する制御油圧に応じてアップシフト用変速制御バルブ及びダウンシフト用変速制御バルブが切り替わり、アップシフト用変速制御バルブを介してプライマリプーリの油圧アクチュエータに供給される油量と、プライマリプーリの油圧アクチュエータからダウンシフト用変速制御バルブを介して排出される油量とが制御される。このようにして、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧を制御することにより、プライマリプーリの溝幅つまりプライマリプーリ側のベルトの巻き掛け半径が変化して変速比が制御される。
また、セカンダリプーリの油圧アクチュエータにはベルト挟圧力制御バルブが接続されている。ベルト挟圧力制御バルブにはライン圧が供給され、そのライン圧をリニアソレノイド(以下、リニアソレノイドという)SLSが出力する制御油圧をパイロット圧として制御してセカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給することにより、ベルト挟圧力が制御される。
以上の変速制御及びベルト挟圧力制御に用いるライン圧は、オイルポンプが発生する油圧をライン圧制御バルブ(プライマリレギュレータバルブ)で調圧することによって生成される。ライン圧制御バルブは、ライン圧制御用のリニアソレノイドバルブ(以下、リニアソレノイドという)SLTが出力する制御油圧をパイロット圧として作動するように構成されている。
そして、このようなベルト式無段変速機においては、例えば、車両の発進時の変速比(プライマリプーリとセカンダリプーリとの間の変速比)からベルト滑りの有無を判定し、ベルト滑りが生じているときには、リニアソレノイド等の部品に故障が発生していると判定している。
なお、ベルト式無段変速機の故障判定に関する技術として、下記の特許文献2に記載の技術がある。この特許文献2に記載の技術では、駆動側プーリと従動側プーリとの間の変速比を検出する変速比検出手段と、駆動側プーリに入力されるトルク(エンジントルク)を検出するトルク検出手段とを用いて、車両停止後の発進後に変速比及びエンジントルクを検出し、その検出した変速比及びエンジントルクに基づいて駆動側制御弁及び従動側制御弁の少なくとも一方の故障を判定している。
また、下記の特許文献3には、無段変速機のベルトのスリップ状態をベルトの振動状態に基づいて判定する技術が開示されている。
特開2007−177833号公報
特開2004−263714号公報
特開2001−108082号公報
ところで、上記のようにライン圧を制御するリニアソレノイドSLTと、ベルト挟圧力を制御するリニアソレノイドSLSとを有する油圧制御回路によってベルト式無段変速機を制御している場合、リニアソレノイドSLTまたはリニアソレノイドSLSのいずれか一方が故障してもベルト挟圧力が不足してベルト滑りが発生する。このようなリニアソレノイド故障は上記したように車両発進時の変速比で判定することは可能である。しかし、変速比のみの判定では、リニアソレノイドSLT及びリニアソレノイドSLSのうち、どちらのリニアソレノイドが故障しているのかを判別することができない。
なお、特許文献2には、駆動側制御弁及び従動側制御弁の故障を判定する技術が記載されているが、リニアソレノイドSLTを用いてライン圧を制御し、リニアソレノイドSLSを用いてベルト挟圧力を制御する制御系において、リニアソレノイドが故障した際に生じる問題(故障リニアソレノイドの判別不可)に関しては全く示唆されていない。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、ライン圧制御用のリニアソレノイドSLTと、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSとを有する油圧制御回路を用いてベルト式無段変速機を制御する制御装置において、リニアソレノイドSLTまたはリニアソレノイドSLSのいずれか一方に故障が発生したときに、その故障が発生したリニアソレノイドを特定することが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明は、プライマリプーリ及びセカンダリプーリと、前記プライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられたベルトと、前記プライマリプーリの溝幅を変化させる油圧アクチュエータと、前記セカンダリプーリの溝幅を変化させる油圧アクチュエータとを有するベルト式無段変速機に適用される制御装置であって、ライン圧制御用リニアソレノイドと、前記セカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給するライン圧を制御するベルト挟圧力制御用リニアソレノイドとを有するベルト式無段変速機の制御装置を前提としている。そして、このようなベルト式無段変速機の制御装置において、前記ベルト式無段変速機のベルト滑りの有無を判定するベルト滑り判定手段と、前記プライマリプーリへの入力トルクを演算する入力トルク演算手段と、前記入力トルクが判定値未満のときにベルト滑りがあった場合は前記ベルト挟圧力制御用リニアソレノイドの故障であると判定し、前記入力トルクが上記判定値以上のときにベルト滑りがあった場合には前記ライン圧制御用リニアソレノイドの故障であると判定する故障判定手段とを備えていることを特徴としている。
本発明において、ベルト滑りの有無を判定する方法として、例えば、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間の変速比を演算し、その演算変速比に基づいてベルト滑りの有無を判定するという方法を挙げることができる。この場合、ベルト式無段変速機の最大変速比よりも大きな値(ロー側の値)を判定値とし、演算変速比がその判定値以上であるときに「ベルト滑り有」と判定すればよい。
また、上記入力トルクに対して設定する判定値については、ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド故障時の伝達トルク容量よりも大きくて、かつ、ライン圧制御用リニアソレノイド故障時の伝達トルク容量よりも小さな値(トルク)を設定すればよい。
本発明によれば、ライン圧制御用リニアソレノイドまたはベルト挟圧力制御用リニアソレノイドのいずれか一方に故障が発生したときに、その故障が発生したリニアソレノイドを特定することができる。この点について以下に説明する。
まず、本発明を適用する制御では、オイルポンプが発生した油圧を、リニアソレノイドSLT(ノーマルオープンタイプ)の出力制御油圧に応じて作動するライン圧制御バルブによって調圧してライン圧PLを生成し、そのライン圧PLをベルト挟圧力制御バルブに供給している。そして、ベルト挟圧力制御バルブにおいて、リニアソレノイドSLS(ノーマルオープンタイプ)が出力する制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLを調圧制御してセカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給することによってベルト挟圧力を制御している。
このような制御系において、リニアソレノイドSLTがON故障したときには、ライン圧制御バルブが閉じ側に設定され、ライン圧PLが必要最小限の油圧PLminに固定される。また、リニアソレノイドSLSがON故障したときには、ベルト挟圧力制御バルブが閉じ側に設定され、最低限のベルト挟圧力を確保するための油圧PBminに固定される。ただし、ライン圧PLはベルト挟圧力制御以外にも利用される等の理由から、リニアソレノイドSLTがON故障したときに固定される油圧PLminは、リニアソレノイドSLSがON故障したときに固定される油圧PBminよりも大きく設定(PLmin>PBmin)されている。
従って、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSが正常でライン圧制御用のリニアソレノイドSLTが故障している場合は、上記油圧PLminによってベルト挟圧力が決定される。これに対し、ライン圧制御用のリニアソレノイドSLTが正常でベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSが故障している場合には、上記油圧PBmin(PBmin<PLmin)によってベルト挟圧力が決定され、リニアソレノイドSLTが故障している場合と比較してベルト挟圧力が小さくなり、伝達可能なトルク容量が低くなる(図8参照)。換言すると、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSが故障している場合、ライン圧制御用のリニアソレノイドSLTが故障している場合と比較して、小さい入力トルクでベルト滑りが発生することになる。
以上のことから、プライマリプーリへの入力トルクが小さい場合(具体的には、入力トルク<判定値)にベルト滑りがあったときには、ON故障時に確保できるトルク容量が小さい側のリニアソレノイドつまりベルト挟圧力制御用のリニアソレノイドSLSが故障していると判定することができる。一方、プライマリプーリへの入力トルクが大きい場合(具体的には、入力トルク≧判定値)にベルト滑りがあったときには、ON故障時に確保できるトルク容量が大きい側のリニアソレノイドつまりライン圧制御用のリニアソレノイドSLTが故障していると判定することができる。
なお、プライマリプーリへの入力トルクは、例えばエンジントルク、トルクコンバータのトルク比及び入力慣性トルクなどに基づいて算出することができる。
本発明によれば、ライン圧を制御するリニアソレノイドSLTと、ベルト挟圧力を制御するリニアソレノイドSLSとを有する油圧制御回路を用いてベルト式無段変速機を制御する制御装置において、リニアソレノイドSLTまたはリニアソレノイドSLSのいずれか一方に故障が発生したときに、その故障が発生したリニアソレノイドを特定することができるので、メンテナンス性の向上をはかることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用する車両の概略構成図である。
この例の車両は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両であって、走行用動力源であるエンジン(内燃機関)1、流体伝動装置としてのトルクコンバータ2、前後進切換装置3、ベルト式無段変速機(CVT)4、減速歯車装置5、差動歯車装置6、及び、ECU(Electronic Control Unit)8などが搭載されており、そのECU8、後述する油圧制御回路20、プライマリプーリ回転数センサ105及びセカンダリプーリ回転数センサ106などによってベルト式無段変速機の制御装置が実現されている。
エンジン1の出力軸であるクランクシャフト11はトルクコンバータ2に連結されており、エンジン1の出力が、トルクコンバータ2から前後進切換装置3、ベルト式無段変速機4及び減速歯車装置5を介して差動歯車装置6に伝達され、左右の駆動輪(図示せず)へ分配される。
これらエンジン1、トルクコンバータ2、前後進切換装置3、ベルト式無段変速機4、及び、ECU8の各部について以下に説明する。
−エンジン−
エンジン1は、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1に吸入される吸入空気量は電子制御式のスロットルバルブ12により調整される。スロットルバルブ12は運転者のアクセルペダル操作とは独立してスロットル開度を電子的に制御することが可能であり、その開度(スロットル開度)はスロットル開度センサ102によって検出される。また、エンジン1の冷却水温は水温センサ103によって検出される。
エンジン1は、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1に吸入される吸入空気量は電子制御式のスロットルバルブ12により調整される。スロットルバルブ12は運転者のアクセルペダル操作とは独立してスロットル開度を電子的に制御することが可能であり、その開度(スロットル開度)はスロットル開度センサ102によって検出される。また、エンジン1の冷却水温は水温センサ103によって検出される。
スロットルバルブ12のスロットル開度はECU8によって駆動制御される。具体的には、エンジン回転数センサ101によって検出されるエンジン回転数Ne、及び、運転者のアクセルペダル踏み込み量(アクセル操作量Acc)等のエンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるようにスロットルバルブ12のスロットル開度を制御している。より詳細には、スロットル開度センサ102を用いてスロットルバルブ12の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ12のスロットルモータ13をフィードバック制御している。
−トルクコンバータ−
トルクコンバータ2は、入力側のポンプインペラ21、出力側のタービンランナ22、及び、トルク増幅機能を発現するステータ23などを備えており、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体を介して動力伝達を行う。ポンプインペラ21はエンジン1のクランクシャフト11に連結されている。タービンランナ22はタービンシャフト27を介して前後進切換装置3に連結されている。
トルクコンバータ2は、入力側のポンプインペラ21、出力側のタービンランナ22、及び、トルク増幅機能を発現するステータ23などを備えており、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体を介して動力伝達を行う。ポンプインペラ21はエンジン1のクランクシャフト11に連結されている。タービンランナ22はタービンシャフト27を介して前後進切換装置3に連結されている。
トルクコンバータ2には、当該トルクコンバータ2の入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチ24が設けられている。ロックアップクラッチ24は、係合側油室25内の油圧と解放側油室26内の油圧との差圧(ロックアップ差圧)を制御することにより完全係合・半係合(スリップ状態での係合)または解放される。
ロックアップクラッチ24を完全係合させることにより、ポンプインペラ21とタービンランナ22とが一体回転する。また、ロックアップクラッチ24を所定のスリップ状態(半係合状態)で係合させることにより、駆動時には所定のスリップ量でタービンランナ22がポンプインペラ21に追随して回転する。一方、ロックアップ差圧を負に設定することによりロックアップクラッチ24は解放状態となる。
そして、トルクコンバータ2にはポンプインペラ21に連結して駆動される機械式のオイルポンプ(油圧発生源)7が設けられている。
−前後進切換装置−
前後進切換装置3は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構30、前進用クラッチ(入力クラッチ)C1及び後進用ブレーキB1を備えている。
前後進切換装置3は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構30、前進用クラッチ(入力クラッチ)C1及び後進用ブレーキB1を備えている。
遊星歯車機構30のサンギヤ31はトルクコンバータ2のタービンシャフト27に一体的に連結されており、キャリア33はベルト式無段変速機4の入力軸40に一体的に連結されている。また、これらキャリア33とサンギヤ31とは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ32は後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。
前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1は、後述する油圧制御回路20によって係合・解放される油圧式摩擦係合要素であって、前進用クラッチC1が係合され、後進用ブレーキB1が解放されることにより、前後進切換装置3が一体回転状態となって前進用動力伝達経路が成立(達成)し、この状態で、前進方向の駆動力がベルト式無段変速機4側へ伝達される。
一方、後進用ブレーキB1が係合され、前進用クラッチC1が解放されると、前後進切換装置3によって後進用動力伝達経路が成立(達成)する。この状態で、入力軸40はタービンシャフト27に対して逆方向へ回転し、この後進方向の駆動力がベルト式無段変速機4側へ伝達される。また、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1がともに解放されると、前後進切換装置3は動力伝達を遮断するニュートラル(遮断状態)になる。
−ベルト式無段変速機−
ベルト式無段変速機4は、入力側のプライマリプーリ41、出力側のセカンダリプーリ42、及び、これらプライマリプーリ41とセカンダリプーリ42とに巻き掛けられた金属製のベルト43などを備えている。
ベルト式無段変速機4は、入力側のプライマリプーリ41、出力側のセカンダリプーリ42、及び、これらプライマリプーリ41とセカンダリプーリ42とに巻き掛けられた金属製のベルト43などを備えている。
プライマリプーリ41は、有効径が可変な可変プーリであって、入力軸40に固定された固定シーブ411と、入力軸40に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ412によって構成されている。セカンダリプーリ42も同様に有効径が可変な可変プーリであって、出力軸44に固定された固定シーブ421と、出力軸44に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ422によって構成されている。
プライマリプーリ41の可動シーブ412側には、固定シーブ411と可動シーブ412との間のV溝幅を変更するための油圧アクチュエータ413が配置されている。また、セカンダリプーリ42の可動シーブ422側にも同様に、固定シーブ421と可動シーブ422との間のV溝幅を変更するための油圧アクチュエータ423が配置されている。
以上の構造のベルト式無段変速機4において、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413の油圧を制御することにより、プライマリプーリ41及びセカンダリプーリ42の各V溝幅が変化してベルト43の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(γ=プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Nin/セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Nout)が連続的に変化する。また、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧は、ベルト滑りが生じない所定の挟圧力でベルト43が挟圧されるように制御される。これらの制御はECU8及び油圧制御回路20によって実行される。
−油圧制御回路−
油圧制御回路20は、図1に示すように、変速速度制御部20a、ベルト挟圧力制御部20b、ライン圧制御部20c、ロックアップ係合圧制御部20d、クラッチ圧力制御部20e、及び、マニュアルバルブ20fなどによって構成されている。
油圧制御回路20は、図1に示すように、変速速度制御部20a、ベルト挟圧力制御部20b、ライン圧制御部20c、ロックアップ係合圧制御部20d、クラッチ圧力制御部20e、及び、マニュアルバルブ20fなどによって構成されている。
また、油圧制御回路20を構成する変速速度制御用のデューティソレノイド(DS1)304及びデューティソレノイド(DS2)305、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイド(SLS)202、ライン圧制御用のリニアソレノイド(SLT)201、並びに、ロックアップ係合圧制御用のデューティソレノイド(DSU)307にはECU8からの制御信号が供給される。
次に、油圧制御回路20のうち、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413の油圧制御回路(変速速度制御部20aの具体的な油圧回路構成)、及び、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧制御回路(ベルト挟圧力制御部20bの具体的な油圧回路構成)について、図2及び図3を参照して説明する。
まず、図3に示すように、オイルポンプ7が発生した油圧はプライマリレギュレータバルブ203により調圧されてライン圧PLが生成される。プライマリレギュレータバルブ203には、リニアソレノイド(SLT)201が出力する制御油圧がクラッチアプライコントロールバルブ204を介して供給され、その制御油圧をパイロット圧として作動する。
なお、クラッチアプライコントロールバルブ204の切り替えにより、リニアソレノイド(SLS)202からの制御油圧がプライマリレギュレータバルブ203に供給され、その制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLが調圧される場合もある。これらリニアソレノイド(SLT)201及びリニアソレノイド(SLS)202には、ライン圧PLを元圧としてモジュレータバルブ205にて調圧された油圧が供給される。
リニアソレノイド(SLT)201は、ECU8から送信されたデューティ信号(デューティ値)によって決まる電流値に応じて制御油圧を出力する。リニアソレノイド(SLT)201はノーマルオープンタイプのソレノイドバルブである。
また、リニアソレノイド(SLS)202は、ECU8から送信されたデューティ信号(デューティ値)によって決まる電流値に応じて制御油圧を出力する。このリニアソレノイド(SLS)202も、上記リニアソレノイド(SLT)201と同様にノーマルオープンタイプのソレノイドバルブである。
なお、図2及び図3に示す油圧制御回路において、モジュレータバルブ206は、モジュレータバルブ205が出力する油圧を一定の圧力に調圧して、後述するデューティソレノイド(DS1)304、デューティソレノイド(DS2)305、及び、ベルト挟圧力制御バルブ303などに供給する。
[変速速度制御]
次に、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413の油圧制御回路について説明する。図2に示すように、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413にはアップシフト用変速制御バルブ301が接続されている。
次に、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413の油圧制御回路について説明する。図2に示すように、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413にはアップシフト用変速制御バルブ301が接続されている。
アップシフト用変速制御バルブ301には、軸方向に移動可能なスプール311が設けられている。スプール311の一端側(図2の上端側)にはスプリング312が配置されており、このスプール311を挟んでスプリング312とは反対側の端部に、第1油圧ポート315が形成されている。また、スプリング312が配置されている上記の一端側に第2油圧ポート316が形成されている。
第1油圧ポート315には、ECU8から送信されたデューティ信号(デューティ値)によって決まる電流値に応じて制御油圧を出力するデューティソレノイド(DS1)304が接続されており、そのデューティソレノイド(DS1)304が出力する制御油圧が第1油圧ポート315に印加される。第2油圧ポート316には、ECU8から送信されたデューティ信号(デューティ値)によって決まる電流値に応じて制御油圧を出力するデューティソレノイド(DS2)305が接続されており、そのデューティソレノイド(DS2)305が出力する制御油圧が第2油圧ポート316に印加される。
さらに、アップシフト用変速制御バルブ301には、ライン圧PLが供給される入力ポート313、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に接続(連通)される入出力ポート314及び出力ポート317が形成されており、スプール311がアップシフト位置(図2の右側位置)にあるときには、出力ポート317が閉鎖され、ライン圧PLが入力ポート313から入出力ポート314を経てプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に供給される。一方、スプール311が閉じ位置(図2の左側位置)にあるときには、入力ポート313が閉鎖され、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413が入出力ポート314を介して出力ポート317に連通する。
ダウンシフト用変速制御バルブ302には、軸方向に移動可能なスプール321が設けられている。スプール321の一端側(図2の下端側)にはスプリング322が配置されているとともに、その一端側に第1油圧ポート326が形成されている。また、スプール321を挟んでスプリング322とは反対側の端部に第2油圧ポート327が形成されている。第1油圧ポート326には、上記デューティソレノイド(DS1)304が接続されており、そのデューティソレノイド(DS1)304が出力する制御油圧が第1油圧ポート326に印加される。第2油圧ポート327には、上記デューティソレノイド(DS2)305が接続されており、そのデューティソレノイド(DS2)305が出力する制御油圧が第2油圧ポート327に印加される。
さらに、ダウンシフト用変速制御バルブ302には、入力ポート323、入出力ポート324及び排出ポート325が形成されている。入力ポート323にはバイパスコントロールバルブ306が接続されており、そのバイパスコントロールバルブ306にてライン圧PLを調圧した油圧が供給される。そして、このようなダウンシフト用変速制御バルブ302において、スプール321がダウンシフト位置(図2の左側位置)にあるときには入出力ポート324が排出ポート325に連通する。一方、スプール321が閉じ位置(図2の右側位置)にあるときには入出力ポート324が閉鎖される。なお、ダウンシフト用変速制御バルブ302の入出力ポート324は、アップシフト用変速制御バルブ301の出力ポート317に接続されている。
以上の図2の油圧制御回路において、デューティソレノイド(DS1)304が出力する制御油圧がアップシフト用変速制御バルブ301の第1油圧ポート315に供給されると、その制御油圧に応じた推力によって、スプール311がアップシフト位置側(図2の上側)に移動する。このスプール311の移動(アップシフト側への移動)により、作動油(ライン圧PL)が制御油圧に対応する流量で入力ポート313から入出力ポート314を経てプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に供給されるとともに、出力ポート317が閉鎖されてダウンシフト変速制御バルブ302への作動油の流通が阻止される。これによって変速制御圧が高められ、プライマリプーリ41のV溝幅が狭くなって変速比γが小さくなる(アップシフト)。
なお、デューティソレノイド(DS1)304が出力する制御油圧がダウンシフト用変速制御バルブ302の第1油圧ポート326に供給されると、スプール321が図2の上側に移動し、入出力ポート324が閉鎖される。
一方、デューティソレノイド(DS2)305が出力する制御油圧がアップシフト用変速制御バルブ301の第2油圧ポート316に供給されると、その制御油圧に応じた推力によって、スプール311がダウンシフト位置側(図2の下側)に移動する。このスプール311の移動(ダウンシフト側への移動)により、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413内の作動油が制御油圧に対応する流量でアップシフト用変速制御バルブ301の入出力ポート314に流入する。このアップシフト用変速制御バルブ301に流入した作動油は出力ポート317及びダウンシフト用変速制御バルブ302の入出力ポート324を経て排出ポート325から排出される。これによって変速制御圧が低められ、入力側可変プーリ42のV溝幅が広くなって変速比γが大きくなる(ダウンシフト)。
なお、デューティソレノイド(DS2)305が出力する制御油圧がダウンシフト用変速制御バルブ302の第2油圧ポート327に供給されると、スプール321が図2の下側に移動し、入出力ポート324と排出ポート325とが連通する。
以上のように、デューティソレノイド(DS1)304から制御油圧が出力されると、アップシフト用変速制御バルブ301から作動油がプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に供給されて変速制御圧が連続的にアップシフトされる。また、デューティソレノイド(DS2)305から制御油圧が出力されると、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413内の作動油がダウンシフト用変速制御バルブ302の排出ポート325から排出されて変速制御圧が連続的にダウンシフトされる。
そして、この例では、例えば図5に示すように、運転者の出力要求量を表すアクセル操作量Acc及び車速Vをパラメータとして予め設定された変速マップから入力側の目標回転数Nintを算出し、実際の入力軸回転数Ninが目標回転数Nintと一致するように、それらの偏差(Nint−Nin)に応じてベルト式無段変速機4の変速制御、すなわち、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に対する作動油の供給・排出によって変速制御圧が制御され、変速比γが連続的に変化する。図5のマップは変速条件に相当し、ECU8のROM82(図4参照)内に記憶されている。
なお、図5のマップにおいて、車速Vが小さくてアクセル操作量Accが大きい程大きな変速比γになる目標回転数Nintが設定されるようになっている。また、車速Vはセカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Noutに対応するため、プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Ninの目標値である目標回転数Nintは目標変速比に対応し、ベルト式無段変速機4の最小変速比γminと最大変速比γmaxの範囲内で設定されている。
[ベルト挟圧力制御]
次に、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧制御回路について図3を参照して説明する。
次に、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧制御回路について図3を参照して説明する。
図3に示すように、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423にはベルト挟圧力制御バルブ303が接続されている。
ベルト挟圧力制御バルブ303には、軸方向に移動可能なスプール331が設けられている。スプール331の一端側(図3の下端側)にはスプリング332が配置されているとともに、その一端側に第1油圧ポート335が形成されている。また、スプール331を挟んでスプリング332とは反対側の端部に第2油圧ポート336が形成されている。
第1油圧ポート335にはリニアソレノイド(SLS)202が接続されており、そのリニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が第1油圧ポート335に印加される。第2油圧ポート336にはモジュレータバルブ206からの油圧が印加される。
さらに、ベルト挟圧力制御バルブ303には、ライン圧PLが供給される入力ポート333、及び、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に接続(連通)される出力ポート334が形成されている。
この図3の油圧制御回路において、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が増大すると、ベルト挟圧力制御バルブ303のスプール331が図3の上側に移動する。この場合、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に供給される油圧が増大し、ベルト挟圧力が増大する。
一方、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が低下すると、ベルト挟圧力制御バルブ303のスプール331が図3の下側に移動する。この場合、セカンダリプーリ42の油圧シリンダに供給される油圧が低下し、ベルト挟圧力が低下する。
このようにして、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLを調圧制御してセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に供給することによってベルト挟圧力が増減する。
そして、この例では、例えば図6に示すように、伝達トルクに対応するアクセル開度Acc及び変速比γ(γ=Nin/Nout)をパラメータとし、ベルト滑りが生じないように予め設定された必要油圧(ベルト挟圧力に相当)のマップに従って、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧を制御することにより、ベルト式無段変速機4のベルト挟圧力、つまり、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧を調圧制御することによって行われる。図6のマップは挟圧力制御条件に相当し、ECU8のROM82(図4参照)内に記憶されている。
−ECU−
ECU8は、図4に示すように、CPU81、ROM82、RAM83及びバックアップRAM84などを備えている。
ECU8は、図4に示すように、CPU81、ROM82、RAM83及びバックアップRAM84などを備えている。
ROM82には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU81は、ROM82に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM83はCPU81での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM84はエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
これらCPU81、ROM82、RAM83、及び、バックアップRAM84はバス87を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース85及び出力インターフェース86に接続されている。
ECU8の入力インターフェース85には、エンジン回転数センサ101、スロットル開度センサ102、水温センサ103、タービン回転数センサ104、プライマリプーリ回転数センサ105、セカンダリプーリ回転数センサ106、アクセル開度センサ107、CVT油温センサ108、ブレーキペダルセンサ109、及び、シフトレバー9のレバーポジション(操作位置)を検出するレバーポジションセンサ110などが接続されており、その各センサの出力信号、つまり、エンジン1の回転数(エンジン回転数)Ne、スロットルバルブ12のスロットル開度θth、エンジン1の冷却水温Tw、タービンシャフト27の回転数(タービン回転数)Nt、プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Nin、セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Nout、アクセルペダルの操作量(アクセル関度)Acc、油圧制御回路20の油温(CVT油温Thc)、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無(ブレーキON・OFF)、及び、シフトレバー9のレバーポジション(操作位置)などを表す信号がECU8に供給される。
出力インターフェース86には、スロットルモータ13、燃料噴射装置14、点火装置15及び油圧制御回路20(ロックアップ制御回路200)などが接続されている。
ここで、ECU8に供給される信号のうち、タービン回転数Ntは、前後進切換装置3の前進用クラッチC1が係合する前進走行時にはプライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Ninと一致し、セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Noutは車速Vに対応する。また、アクセル操作量Accは運転者の出力要求量を表している。
また、シフトレバー9は、駐車のためのパーキング位置「P」、後進走行のためのリバース位置「R」、動力伝達を遮断するニュートラル位置「N」、前進走行のためのドライブ位置「D」、前進走行時にベルト式無段変速機4の変速比γを手動操作で増減できるマニュアル位置「M」などの各位置に選択的に操作されるようになっている。
マニュアル位置「M」には、変速比γを増減するためのダウンシフト位置やアップシフト位置、あるいは、変速範囲の上限(変速比γが小さい側)が異なる複数の変速レンジを選択できる複数のレンジ位置等が備えられている。
レバーポジションセンサ110は、例えば、パーキング位置「P」、リバース位置「R」、ニュートラル位置「N」、ドライブ位置「D」、マニュアル位置「M」やアップシフト位置、ダウンシフト位置、あるいはレンジ位置等へシフトレバー9が操作されたことを検出する複数のON・OFFスイッチ等を備えている。なお、変速比γを手動操作で変更するために、シフトレバー9とは別にステアリングホイール等にダウンシフトスイッチやアップシフトスイッチ、あるいはレバー等を設けることも可能である。
そして、ECU8は、上記した各種のセンサの出力信号などに基づいて、エンジン1の出力制御、上述したベルト式無段変速機4の変速速度制御及びベルト挟圧力制御、並びにロックアップクラッチ24の係合・解放制御などを実行する。さらに、ECU8は、後述するリニアソレノイド故障判定処理を実行する。
なお、エンジン1の出力制御は、スロットルモータ13、燃料噴射装置14、点火装置15及びECU8などによって実行される。
−リニアソレノイド故障判定処理−
まず、図2及び図3に示す油圧制御回路において、リニアソレノイド(SLT)201がON故障したときには、プライマリレギュレータバルブ(ライン圧制御バルブ)203が閉じ側に設定され、ライン圧PLが必要最小限の油圧PLminに固定される。また、リニアソレノイド(SLS)202がON故障したときには、ベルト挟圧力制御バルブ303が閉じ側に設定され、最低限のベルト挟圧力を確保するための油圧PBminに固定される。ただし、ライン圧PLはベルト挟圧力制御以外にも利用される等の理由から、リニアソレノイド(SLT)201がON故障したときに固定される油圧PLminは、リニアソレノイド(SLS)202がON故障したときに固定される油圧PBminよりも大きく設定(PLmin>PBmin)されている。
まず、図2及び図3に示す油圧制御回路において、リニアソレノイド(SLT)201がON故障したときには、プライマリレギュレータバルブ(ライン圧制御バルブ)203が閉じ側に設定され、ライン圧PLが必要最小限の油圧PLminに固定される。また、リニアソレノイド(SLS)202がON故障したときには、ベルト挟圧力制御バルブ303が閉じ側に設定され、最低限のベルト挟圧力を確保するための油圧PBminに固定される。ただし、ライン圧PLはベルト挟圧力制御以外にも利用される等の理由から、リニアソレノイド(SLT)201がON故障したときに固定される油圧PLminは、リニアソレノイド(SLS)202がON故障したときに固定される油圧PBminよりも大きく設定(PLmin>PBmin)されている。
従って、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイド(SLS)202が正常でライン圧制御用のリニアソレノイド(SLT)201が故障している場合は、油圧PLminによってベルト挟圧力が決定される。これに対し、ライン圧制御用のリニアソレノイド(SLT)201が正常でベルト挟圧力制御用のリニアソレノイド(SLS)202が故障している場合には、油圧PBmin(PBmin<PLmin)によってベルト挟圧力が決定され、リニアソレノイド(SLT)201が故障している場合と比較してベルト挟圧力が小さくなって伝達可能なトルク容量が低くなる。換言すると、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイド(SLS)202が故障している場合、ライン圧制御用のリニアソレノイド(SLT)201が故障している場合と比較して、小さい入力トルクでベルト滑りが発生することになる。
このような点に着目して、この例では、プライマリプーリ41への入力トルクが小さい場合にベルト滑りがあったときには、ライン圧制御用リニアソレノイド(SLS)202の故障と判定し、プライマリプーリ41への入力トルクが大きい場合にベルト滑りがあったときには、ライン圧制御用のリニアソレノイド(SLT)201の故障と判定することを特徴としている。
その具体的な例(故障判定処理)について図7のフローチャートを参照して説明する。図7の制御ルーチンはECU8において所定時間毎に繰り返して実行される。
ステップST1において変速比演算許可条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、プライマリプーリ回転数Ninが所定の判定値A1以上(Nin≧A1)で、かつセカンダリプーリ回転数Noutが所定の判定値A2以上(Nout≧A2)という条件が成立したときに変速比演算を許可してステップST2に進む。ステップST1の判定結果が否定判定である場合はリターンする。
以上のステップST1の許可判定を実行する理由について説明する。まず、プライマリプーリ回転数Nin及びセカンダリプーリ回転数Noutは、例えば、複数の歯(突起)が外周面に形成されたシグナルロータと電磁ピックアップからなるセンサを用いて検出しているが、通常、プライマリプーリ回転数Ninに用いるシグナルロータの歯数を、セカンダリプーリ回転数Noutの検出に用いるシグナルロータの歯数よりも多くしている。このため、低回転域では上記シグナルロータの歯数の差(検出精度の差)が演算変速比(Nin/Nout)に大きく影響することがあり、変速比を精度よく演算することができない場合がある。このような点を考慮して、この例では、上記シグナルロータの歯数の差による影響が少なくなる回転数、つまり、変速比(Nin/Nout)を精度よく演算できる回転数(A1,A2)にまで達したことを条件に変速比演算を許可している。上記判定値A1及び判定値A2は、実験・計算等により経験的に求めた値を設定する。
次に、ステップST2において、プライマリプーリ回転数Nin及びセカンダリプーリ回転数Noutから変速比RATIO(RATIO=Nin/Nout)を演算し、その演算変速比RATIOが所定の判定値B以上(RATIO≧B)で、かつ、プライマリプーリ41への入力トルクTinが所定の判定値C未満(Tin<C)であるか否かを判定する。
ここで、演算変速比RATIOに対する判定値Bは、ベルト滑りの有無を判定する判定値であって、図5に示すマップの変速比γmaxよりもロー側の値が設定されており、[RATIO≧B]の条件が成立した場合、ベルト式無段変速機4にベルト滑りが生じていると判定する。
入力トルクTinは、エンジントルクTe、トルクコンバータ2のトルク比t、及び、入力慣性トルクに基づいて算出することができる。ここで、エンジントルクTeは、例えばスロットル開度θth及びエンジン回転数Neから算出することができる。トルク比tは、[プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Nin/エンジン回転数Ne]の関数であり、入力慣性トルクは、プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Ninの時間変化量から算出することができる。
また、入力トルクTinに対する判定値Cは、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイド(SLS)202のON故障時の油圧PBminで確保できるトルク容量よりも大きな値(ベルト滑りが生じるトルク)で、ライン圧制御用のリニアソレノイド(SLT)201のON故障時の油圧PLminで確保できるトルク容量よりも小さな値(ベルトが滑らないトルク)とする。具体的には、例えば図8に示すように、リニアソレノイド(SLS)202のON故障時のトルク容量とリニアソレノイド(SLT)201のON故障時のトルク容量との間の値(トルク)を判定値Cとして設定する。
そして、ステップST2の判定結果が肯定判定である場合、つまり、入力トルクTinが判定値C未満(Tin<C)でベルト滑りが生じている場合は、ON故障しているリニアソレノイドが、ON故障時に確保できるトルク容量が低い側のリニアソレノイド(SLS)202であると特定することができるので、ステップST3においてリニアソレノイド(SLS)202のON故障と判定する。
一方、ステップST2の判定結果が否定判定である場合、つまり、ベルト滑りが生じていない場合(RATIO<B)、あるいは、ベルト滑りが生じていても入力トルクTinが判定値C以上である場合(Tin≧C)はステップST4に進む。
ステップST4では、プライマリプーリ回転数Nin及びセカンダリプーリ回転数Noutから演算した演算変速比RATIOが、上記判定値B以上(RATIO≧B)で、かつ、入力トルクTinが上記判定値C以上(Tin≧C)であるか否かを判定する。
ステップST4の判定結果が肯定判定である場合、つまり、入力トルクTinが判定値C以上(Tin≧C)でベルト滑りが生じている場合は、ON故障しているリニアソレノイドが、ON故障時に確保できるトルク容量が大きい側のリニアソレノイド(SLT)201であると特定することができるので、ステップST5においてリニアソレノイド(SLT)201のON故障と判定する。
なお、以上のステップST2及びステップST4の判定結果がともに否定判定である場合、つまり、ベルト滑りが生じていない場合は正常であると判断して、このルーチンを一旦終了する。
以上のように、この例のリニアソレノイド故障判定処理によれば、ライン圧制御用のリニアソレノイド(SLT)201またはベルト挟圧力制御用のリニアソレノイド(SLS)202のいずれか一方に故障が発生したときに、その故障が発生したリニアソレノイドを特定することができる。これによって、例えば、リニアソレノイド(SLT)201またはリニアソレノイド(SLS)202のうち、故障が発生しているリニアソレノイドのみを交換する等の処理を行うだけでよいので、メンテナンス性が向上する。
−他の実施形態−
以上の例では、ガソリンエンジンを搭載した車両のベルト式無段変速機の変速制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両のベルト式無段変速機の制御にも適用可能である。また、車両の動力源については、エンジン(内燃機関)のほか、電動モータ、あるいはエンジンと電動モータの両方を備えているハイブリッド形動力源であってもよい。
以上の例では、ガソリンエンジンを搭載した車両のベルト式無段変速機の変速制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両のベルト式無段変速機の制御にも適用可能である。また、車両の動力源については、エンジン(内燃機関)のほか、電動モータ、あるいはエンジンと電動モータの両方を備えているハイブリッド形動力源であってもよい。
本発明は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に限れらることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両、4輪駆動車にも適用できる。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 前後進切換装置
4 ベルト式無段変速機
41 プライマリプーリ
413 油圧アクチュエータ
42 セカンダリプーリ
423 油圧アクチュエータ
101 エンジン回転数センサ
105 プライマリプーリ回転数センサ
106 セカンダリプーリ回転数センサ
20 油圧制御回路
7 オイルポンプ
201 リニアソレノイド(SLT)
202 リニアソレノイド(SLS)
203 プライマリレギュレータバルブ
301 アップシフト用変速制御バルブ
302 ダウンシフト用変速制御バルブ
303 ベルト挟圧力制御バルブ
8 ECU
2 トルクコンバータ
3 前後進切換装置
4 ベルト式無段変速機
41 プライマリプーリ
413 油圧アクチュエータ
42 セカンダリプーリ
423 油圧アクチュエータ
101 エンジン回転数センサ
105 プライマリプーリ回転数センサ
106 セカンダリプーリ回転数センサ
20 油圧制御回路
7 オイルポンプ
201 リニアソレノイド(SLT)
202 リニアソレノイド(SLS)
203 プライマリレギュレータバルブ
301 アップシフト用変速制御バルブ
302 ダウンシフト用変速制御バルブ
303 ベルト挟圧力制御バルブ
8 ECU
Claims (3)
- プライマリプーリ及びセカンダリプーリと、前記プライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられたベルトと、前記プライマリプーリの溝幅を変化させる油圧アクチュエータと、前記セカンダリプーリの溝幅を変化させる油圧アクチュエータとを有するベルト式無段変速機に適用される制御装置であって、ライン圧制御用リニアソレノイドと、前記セカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給するライン圧を制御するベルト挟圧力制御用リニアソレノイドとを有するベルト式無段変速機の制御装置において、
前記ベルト式無段変速機のベルト滑りの有無を判定するベルト滑り判定手段と、前記プライマリプーリへの入力トルクを演算する入力トルク演算手段と、前記入力トルクが判定値未満のときにベルト滑りがあった場合は前記ベルト挟圧力制御用リニアソレノイドの故障であると判定し、前記入力トルクが上記判定値以上のときにベルト滑りがあった場合には前記ライン圧制御用リニアソレノイドの故障であると判定する故障判定手段とを備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。 - 請求項1記載のベルト式無段変速機の制御装置において、
前記ベルト滑り判定手段は、前記プライマリプーリとセカンダリプーリとの間の変速比を演算し、その演算変速比に基づいてベルト滑りの有無を判定することを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。 - 請求項1または2記載のベルト式無段変速機の制御装置において、
前記入力トルクに対して設定する判定値は、前記ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド故障時の伝達トルク容量よりも大きくて、かつ、前記ライン圧制御用リニアソレノイド故障時の伝達トルク容量よりも小さな値であることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
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