JP2009074654A - 防振装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ストッパ部を有するブラケット部材を採用する場合にも、組付け時における防振装置本体とブラケット部材の周方向での位置決めを容易に実現出来る、新規な構造の防振装置とその製造方法を提供すること。
【解決手段】係合部28を備えた第一の取付部材12と第二の取付部材14を本体ゴム弾性体16で連結した防振装置本体18を準備すると共に、筒状部76の一方の開口部を跨ぐストッパ部86を筒状部76に固定し、且つ天板部88にガイド孔92を形成したブラケット部材74を準備して、第一の取付部材12と筒状部76の他方の開口部が軸方向で対向位置するように防振装置本体18をブラケット部材74に対して対向位置させると共に、ガイドロッド130をガイド孔92に挿通させて係合部28に係合させることにより、防振装置本体18をブラケット部材74に対して周方向で位置合わせした状態で筒状部76に対して他方の開口部から嵌め入れる。
【選択図】図1
【解決手段】係合部28を備えた第一の取付部材12と第二の取付部材14を本体ゴム弾性体16で連結した防振装置本体18を準備すると共に、筒状部76の一方の開口部を跨ぐストッパ部86を筒状部76に固定し、且つ天板部88にガイド孔92を形成したブラケット部材74を準備して、第一の取付部材12と筒状部76の他方の開口部が軸方向で対向位置するように防振装置本体18をブラケット部材74に対して対向位置させると共に、ガイドロッド130をガイド孔92に挿通させて係合部28に係合させることにより、防振装置本体18をブラケット部材74に対して周方向で位置合わせした状態で筒状部76に対して他方の開口部から嵌め入れる。
【選択図】図1
Description
本発明は、振動伝達系を構成する部材間に介装されて、それら部材を防振連結乃至は防振支持せしめる防振装置とその製造方法に係り、特に防振装置本体とそれに取り付けられるブラケット部材を備えた防振装置とその製造方法に関する。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体等の一種として、互いに離隔して配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で相互に連結した構造のマウント本体を有する防振装置が知られている。また、マウント本体を構成する第二の取付部材を別体のブラケットにおける筒状部に対して嵌め付けて、第二の取付部材がブラケットを介して防振対象部材に取り付けられるようにしたブラケット付きの防振装置も、例えば自動車用のエンジンマウント等として採用されている。なお、特許文献1(特許第3362575号公報)には、ブラケット付き防振装置の一例が示されている。
ところで、このような特許文献1に記載の防振装置では、マウント本体の第二の取付部材が、ブラケットの筒状部に対して、軸方向で嵌め入れられて組み付けられるようになっている。そこにおいて、マウント本体がブラケットに対して軸方向での圧入される場合には、マウント本体とブラケットの相対的な回転が問題となるおそれがある。
すなわち、防振装置においては、第一の取付部材が振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられると共に、第二の取付部材がブラケットを介して振動伝達系を構成する他方の部材に取り付けられることから、第一の取付部材とブラケットが周方向で相対的に位置決めされていないと、第一の取付部材やブラケットの防振対象部材に対する取り付けが困難となるおそれがある。特に、第一の取付部材の防振対象部材への取付部分の形状が回転体ではない場合(二面幅を有する形状や板状等)には、第一の取付部材がブラケットに対して位置決めされていないと、防振装置の振動伝達系への取付けに問題を生じ易い。また、防振装置本体の構造等によっては、各径方向において防振特性が異ならされている場合もあり、そのような場合には、防振装置本体がブラケットに対して周方向で位置決めされていることが、防振性能上も重要となる。
そこで、マウント本体のブラケットに対する組付けにおいては、例えば、第一の取付部材およびブラケットを周方向で固定しつつ組付け作業を行う方法が一般的に知られている。即ち、例えば、第一の取付部材を、ブラケットにおける筒状部の一方の開口部(圧入方向前側の開口部)から挿し入れたジグによって、軸方向での変位を許容しつつ周方向での回転を防ぐように支持せしめると共に、ブラケットをジグによって軸方向および周方向で固定する。そして、それら第一の取付部材とブラケットが各ジグによって保持された状態で、マウント本体をブラケットに対して軸方向で圧入することにより、第一の取付部材とブラケットを周方向で位置決めしつつ、マウント本体をブラケットに対して組み付けることが出来る。
しかしながら、このようなマウント本体のブラケットに対する組付け方法は、ブラケットの構造等によって採用することが困難な場合もあった。例えば、ブラケットにおける筒状部の一方の開口部を跨ぐようにストッパ部が設けられている場合がそれである。
すなわち、防振装置においては、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位によって、本体ゴム弾性体に対して耐久性に悪影響を及ぼす程の大きな応力が及ぼされるのを防ぐために、第一の取付部材と第二の取付部材の相対的な変位を防ぐストッパ機構が設けられる場合がある。このストッパ機構としては、各種構造のものが提案されているが、その一例として、ブラケットにおける筒状部の一方の開口部を跨ぐように門形のストッパ金具を設けて、第一の取付部材を該ストッパ金具に対して直接的乃至は間接的に当接せしめることにより、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位を制限するようにされたストッパ機構も提案されている。
このようなストッパ機構を有する防振装置では、予めストッパ金具がブラケットに設けられていると、第一の取付部材を周方向で位置決め支持するジグを筒状部に対して挿し入れることが出来ず、第一の取付部材とブラケットの周方向での相対的な位置決めが困難となり易い。一方、ストッパ金具を、マウント本体とブラケットの組付け作業後に、ボルト等を用いてブラケットに後付けすると、作業が煩雑なものとなってしまい、生産性の低下が問題となるおそれがあった。
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ストッパ部を有するブラケット部材を採用する場合にも、組付け時における防振装置本体とブラケット部材の周方向での位置決めを容易に実現することが出来る、新規な構造の防振装置とその製造方法を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、防振装置の製造方法において、係合部を備えた第一の取付部材を、筒状を有する第二の取付部材の軸方向一方の開口部側に離隔配置して、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめた防振装置本体を準備する防振装置本体の準備工程と、筒状部の一方の開口部を跨ぐ門形のストッパ部を該筒状部に固定すると共に、該ストッパ部の天板部にガイド孔を貫通形成したブラケット部材を準備するブラケット部材の準備工程と、前記防振装置本体の前記第一の取付部材が前記ブラケット部材の前記筒状部における他方の開口部側に対して軸方向で対向位置するように該防振装置本体を該ブラケット部材に対して対向位置せしめると共に、該ブラケット部材の前記ガイド孔にガイドロッドを挿通せしめて、該ガイドロッドを該第一の取付部材の前記係合部に係合させることにより、該防振装置本体と該ブラケット部材を該筒状部の周方向で相互に位置合わせした状態で該防振装置本体を該ブラケット部材の該筒状部に対して該他方の開口部から嵌め入れるブラケット嵌着工程とを、含むことを特徴とする。
このような防振装置の製造方法を採用することにより、防振装置本体とブラケット部材を嵌め付ける際に、それら防振装置本体とブラケット部材を周方向で相対的に位置決めすることが出来る。
すなわち、ブラケット部材を構成するストッパ部の天板部に形成されたガイド孔に挿通されるガイドロッドを、第一の取付部材に形成される係合部に対して係合させることにより、第一の取付部材とブラケット部材を周方向で相対的に位置決めした状態で、それら防振装置本体とブラケット部材を相互に嵌め付けることが出来る。
特に本発明に係る防振装置の製造方法を採用することにより、筒状部の一方の開口部をストッパ部が跨いでいる構造のブラケット部材を採用した場合にも、第一の取付部材とブラケット部材の周方向での位置決めを容易に実現することが可能となる。
なお、本発明においては、防振装置本体をブラケット部材に対して周方向で位置合わせした状態で嵌め入れるようになっていれば良く、ガイドロッドが挿通されるガイド孔やガイドロッドが係合される係合部の位置や構造等は特に限定されるものではない。
また、本発明に係る防振装置の製造方法においては、前記第一の取付部材に設けられた前記係合部に対して係止される係止部が設けられたゴムカバーを準備するゴムカバー準備工程と、前記ブラケット嵌着工程の後で、前記第一の取付部材における前記ストッパ部の前記天板部に対する当接部分を覆うように前記ゴムカバーを該第一の取付部材に組み付けて、該ゴムカバーの前記係止部を該第一の取付部材の前記係合部に係止させて該ゴムカバーを該第一の取付部材に対して位置決めするゴムカバー取付け工程とを、含むことが望ましい。
このように、ゴムカバーを第一の取付部材に対して取り付けることにより、第一の取付部材とブラケット部材におけるストッパ部の当接による第一の取付部材と第二の取付部材の相対的な離隔を制限するリバウンド方向でのストッパ効果を緩衝的に得ることが出来る。
しかも、ゴムカバーに係止部を設けて、その係止部を第一の取付部材に設けられた係合部に係止させることにより、ゴムカバーを第一の取付部材に対して所定の位置に位置決めして取り付けることが出来ると共に、ゴムカバーの第一の取付部材に対する組付け状態を安定して保持することが出来る。
また、本発明は、振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材が筒状を有する第二の取付部材の軸方向一方の開口部側に離隔配置されて、それら第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されることにより防振装置本体が構成されていると共に、筒状部を備えたブラケット部材に対して該防振装置本体の該第二の取付部材が該筒状部に嵌着固定されており、該第二の取付部材が該ブラケット部材を介して振動伝達系を構成する他方の部材に取り付けられるようになっている防振装置において、前記ブラケット部材における前記筒状部の一方の開口部には該開口部を跨ぐ門形のストッパ部が設けられていると共に、該開口部を跨ぐ該ストッパ部の天板部にはガイド孔が貫通形成されている一方、前記第一の取付部材には該ガイド孔の貫通中心線上に位置して係合部が形成されており、前記防振装置本体における該ブラケット部材の該筒状部に対する嵌め入れ方向で該係合部が該ガイド孔に対して周方向で位置合わせされていることも特徴とする。
このような本発明に従う構造とされた防振装置では、ブラケット部材におけるストッパ部に形成されたガイド孔と、第一の取付部材に形成された係合部を周方向で相対的に位置合わせすることにより、ガイドロッドをガイド孔に挿通させると共に、ガイドロッドの先端部分を係合部に係合させることにより、防振装置本体とブラケット部材を周方向で容易に位置決めして組み付けることが出来る。
また、本発明に係る防振装置において、好適には、前記係合部と前記ガイド孔が前記筒状部の中心軸上を外れた位置に形成されている。
このように、防振装置本体および筒状部の周方向での回転中心となる筒状部の中心軸上を外れた位置において、係合部とガイド孔を設けることで、係合部とガイドロッドの係合による防振装置本体および筒状部の周方向での位置決めを効果的に実現することが出来る。
また、本発明に係る防振装置においては、前記係合部が、前記第一の取付部材における前記ストッパ部の前記天板部に対する対向面に開口する係合凹部とされていることが望ましい。
第一の取付部材に形成される係合部が係合凹部とされていることにより、ガイドロッドの先端を係合凹部に対して挿し込んで係合させるという容易な方法と、簡単な構造のガイドロッドや係合部を用いて、防振装置本体とブラケット部材の周方向での位置決めを実現することが出来る。
また、本発明に係る防振装置においては、前記第一の取付部材にゴムカバーが装着されており、該ゴムカバーにおいて、該第一の取付部材に設けられた係合部に係止される係止部が設けられていても良い。
このようにゴムカバーに対して係止部を設けて、係止部を第一の取付部材に設けられる係合部に対して係止させることにより、ゴムカバーを第一の取付部材に対して容易に位置決めすることが出来る。また、それら係止部と係合部の係止力を利用してゴムカバーの第一の取付部材からの脱落や位置ずれ等の不具合を防ぐことも出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1〜3には、本発明に係る防振装置の一実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で相互に連結された構造を有する防振装置本体としてのマウント本体18を備えている。なお、以下の説明において、上下方向とは、エンジンマウント10の車両への装着状態における主たる振動入力方向であり、エンジンマウント10の中心軸方向である、図1中の上下方向をいうものとする。
より詳細には、第一の取付金具12は、鉄やアルミニウム合金等の金属材料で形成された高剛性の部材とされており、図4〜7にも示されているように、取付部20と固着部22を一体的に備えた構造とされている。なお、この第一の取付金具12は、振動伝達系を構成する一方の部材である自動車のパワーユニットに取り付けられるようになっている。
取付部20は、図4に示されているように、角部を面取りされたブロック形状を有している。また、取付部20の上端部には、正面,上端面および一方の側面(図4中の右側面)に開口する切欠き状のへこみである逃し部24が形成されている。更に、逃し部24には、図5中の左右方向に延びる円形の固定用孔26が貫通形成されている。
また、取付部20の正面視における右側端部には、係合部としての係合溝28が形成されている。係合溝28は、軸方向に略一定の断面形状をもって、取付部20の軸方向中間部分まで所定の長さで延びており、正面視において取付部20の上端面および右側面に開口する切欠き状の係合凹部とされている。また、係合溝28は、図6に示されているように、逃し部24よりも背面側に形成されており、固定用孔26までは至らない深さとされている。なお、係合溝28は、後述するマウント本体18とブラケット金具74の組付け状態において、後述する筒状部76の中心軸上を外れた位置に形成されている。
また、取付部20の下端部が、正面側(図5中、左側)に向かって略一定の円形断面で突出せしめられており、かかる突出部分の中央において、マウント軸直角方向で図6中の左右方向に延びる取付用孔30が貫通形成されている。
固着部22は、円形のブロック形状を有しており、取付部20から下方に向かって延び出している。また、本実施形態において、固着部22は、取付部20から延び出す基端部分(図4における上端部分)が一定の断面形状で延びていると共に、先端部分(図4における下端部分)が下方に行くに従って次第に小径となっている。更に、上記基端部分の軸方向中間部分には、外周側に向かって軸直角方向に広がる環状のフランジ部32が一体形成されている。なお、前述した円形の突出部分は、取付部20と固着部22の境界部分に形成されている。
一方、第二の取付金具14は、図1等にも示されているように、薄肉大径の略円筒形状を有しており、第一の取付金具12と同様に、鉄やアルミニウム合金等の金属材料で形成された高剛性の部材とされている。また、第二の取付金具14は、軸方向中間部分に環状の段差部34を有しており、段差部34を挟んだ軸方向上側が大径筒部36とされていると共に、段差部34を挟んだ軸方向下側が大径筒部36よりも小径の小径筒部38とされている。
そして、これら第一の取付金具12と第二の取付金具14は、第一の取付金具12が第二の取付金具14の軸方向一方の開口部側に離隔して配置される。そして、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14は、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
本体ゴム弾性体16は、厚肉大径の略円錐台形状を有するゴム弾性体であって、その小径側端部に対して、第一の取付金具12の固着部22が挿し入れられて加硫接着されていると共に、大径側端部の外周面には、第二の取付金具14の大径筒部36が重ね合わされて加硫接着されている。これにより、第二の取付金具14の軸方向一方の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞せしめられている。なお、以上の説明からも明らかなように、本実施形態における本体ゴム弾性体16は第一の取付金具12と第二の取付金具14を一体的に備えた一体加硫成形品として形成されている。
また、本体ゴム弾性体16の大径側端部には、軸方向下端面に開口する逆向きすり鉢状の円形凹所40が形成されている。更に、円形凹所40の開口周縁部には、シールゴム層42が形成されている。このシールゴム層42は、薄肉大径の略円筒形状を有しており、本体ゴム弾性体16と一体形成されて、本体ゴム弾性体16の下端外周縁部から下方に向かって延び出している。そして、シールゴム層42の外周面が、第二の取付金具14の小径筒部38の内周面に加硫接着されており、小径筒部38の内周面が略全面に亘ってシールゴム層42で覆われている。なお、シールゴム層42は、軸方向中間部分において内周面に環状の段差44を有しており、段差44を挟んだ軸方向下側部分が、上側部分に比して薄肉とされている。
また、第二の取付金具14の軸方向他方の開口部には、可撓性膜としてのダイヤフラム46が配設されている。ダイヤフラム46は、薄肉の略円板形状を有するゴム弾性体で形成されており、外周縁部に充分な弛みを有すると共に、容易に弾性変形が許容されるようになっている。また、ダイヤフラム46の外周縁部には、環状の固定金具48が加硫接着されている。要するに、本実施形態に係るダイヤフラム46は、固定金具48を備えた一体加硫成形品として形成されている。
かかるダイヤフラム46の一体加硫成形品は、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して組み付けられる。即ち、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品を構成する第二の取付金具14の小径筒部38に対して、ダイヤフラム46の一体加硫成形品を構成する固定金具48が下側開口部から挿し入れられると共に、第二の取付金具14に対して後述する縮径加工が施されることにより、固定金具48が第二の取付金具14の下側開口部に嵌着固定されて、ダイヤフラム46の一体加硫成形品が本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して組み付けられる。
このようにダイヤフラム46の一体加硫成形品が本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して組み付けられることにより、第二の取付金具14の下側開口部は、ダイヤフラム46によって流体密に閉塞せしめられている。そして、第二の取付金具14の内周側において、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム46の軸方向対向面間には、外部から隔てられて非圧縮性流体が封入された流体室50が形成されている。なお、流体室50に封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、例えば、アルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油やそれらの混合液が好適に採用される。また、後述する流体の流動作用に基づく防振効果を有効に得るために、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
また、流体室50には、仕切部材52が収容配置されている。仕切部材52は、厚肉の略円板形状を有しており、本実施形態では、硬質の合成樹脂製とされている。また、仕切部材52には、径方向中央部分において下端面に開口する円形の中央凹所54が形成されている。この中央凹所54の開口周縁部には、浅底環状の凹所が形成されている。また、仕切部材52には、径方向中間部分において上端面に開口する凹溝56が、中央凹所54の外周側を取り囲むように一周弱の所定長さで形成されている。この凹溝56は、図中において必ずしも明らかではないが、径方向に延びる図示しない連通路を通じて中央凹所54に連通せしめられている。更に、仕切部材52の外周縁部には、外周面に開口する周溝58が形成されており、凹溝56の外周側に所定距離を隔てて、周方向に一周弱の長さで延びている。
また、仕切部材52の下端面には、保持金具60が取り付けられている。保持金具60は、薄肉の略円環板形状を有しており、鉄等の金属材料で形成されている。また、保持金具60の中央部分には、段差が形成されており、段差を挟んだ内周側が外周側に比して下方に位置せしめられている。なお、この保持金具60は、前記段差よりも外周側の部分が仕切部材52の下端面に重ね合わされて、ねじ止めや係合,接着等の手段で仕切部材52に固定されている。
さらに、仕切部材52と保持金具60の間には、可動ゴム膜62が配設されている。可動ゴム膜62は、略円板形状を有するゴム弾性体であって、径方向中央部分が略一定の厚さを有していると共に、外周縁部には略一定の円形断面をもって全周に亘って延びる環状の厚肉部63が一体形成されている。そして、可動ゴム膜62は、厚肉部63を含む外周縁部が、仕切部材52における中央凹所54の開口周縁部と保持金具60の内周縁部の間で挟み込まれることによって、仕切部材52に組み付けられている。かかる組付け状態において、可動ゴム膜62の径方向中央部分が、仕切部材52の中央凹所54の開口部と保持金具60の中央孔の間に位置せしめられており、可動ゴム膜62の径方向中央部分が軸方向での微小な弾性変形を許容されている。換言すれば、中央凹所54の開口部が可動ゴム膜62によって閉塞せしめられている。
このように可動ゴム膜62が組み付けられた仕切部材52は、流体室50に収容配置されて、第二の取付金具14で支持される。即ち、仕切部材52が第二の取付金具14に対して軸方向下側の開口部から挿し入れられて、仕切部材52の上端面の外周縁部がシールゴム層42に形成された段差44に下方から当接せしめられる。更に、仕切部材52の下方からダイヤフラム46の一体加硫成形品が第二の取付金具14に挿し入れられて、固定金具48が保持金具60の下端面の外周縁部に下方から重ね合わされる。そして、第二の取付金具14に対して八方絞り等の縮径加工が施されて、仕切部材52および固定金具48が内挿された小径筒部38が縮径せしめられることにより、仕切部材52と固定金具48がシールゴム層42を介して第二の取付金具14に押し付けられて嵌着固定される。
このような仕切部材52の第二の取付金具14への組付け状態では、仕切部材52の外周面がシールゴム層42を介して第二の取付金具14の内周面に流体密に重ね合わされることから、流体室50が仕切部材52を介して軸方向上下に二分される。これにより、仕切部材52を挟んだ一方の側に、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、荷重入力時に内圧変動が及ぼされる受圧室64が形成されていると共に、仕切部材52を挟んだ他方の側には、壁部の一部がダイヤフラム46で構成されて、容積変化が容易に許容される平衡室66が形成されている。なお、これら受圧室64と平衡室66には、流体室50に封入された非圧縮性流体が封入されている。
また、仕切部材52の外周面が、第二の取付金具14に対してシールゴム層42を介した密着状態で重ね合わされていることにより、仕切部材52の外周面に開口する周溝58の開口部が流体密に閉塞せしめられて、トンネル状の通路が形成されている。更に、周溝58の長さ方向一方の端部が連通孔68を通じて受圧室64に連通されていると共に、他方の端部が図示しない連通孔を通じて平衡室66に連通されている。これらによって、周方向に一周弱の所定長さで延びて、受圧室64と平衡室66を相互に連通する第一のオリフィス通路70が、周溝58を利用して形成されている。なお、本実施形態における第一のオリフィス通路70は、自動車のエンジンシェイクに相当する10Hz前後の低周波数域にチューニングされている。
また、仕切部材52に形成された中央凹所54が凹溝56および前記連通路を通じて受圧室64に連通せしめられていると共に、可動ゴム膜62の弾性変形によって平衡室66への実質的な連通が許容されるようになっている。これにより、受圧室64と平衡室66を第一のオリフィス通路70よりも短い通路長さで実質的に連通する第二のオリフィス通路72が形成されている。なお、第二のオリフィス通路72は、第一のオリフィス通路70よりも高周波数域にチューニングされており、本実施形態では、自動車のアイドリング振動等に相当する20〜40Hz程度の中乃至高周波数域にチューニングされている。
なお、第一,第二のオリフィス通路70,72のチューニング周波数は、それらオリフィス通路70,72を流動せしめられる流体の共振周波数として解されるものであって、オリフィス通路70,72の通路長と通路断面積の比を適当に調節することによって適宜に設定することが出来る。また、本実施形態では、可動ゴム膜62の厚さや径方向での自由長等を適当に設定することにより、第二のオリフィス通路72のチューニング周波数域の振動入力時において、可動ゴム膜62が共振状態で積極的に微小変形せしめられるようになっており、可動ゴム膜62の微小変形による液圧伝達作用に基づいて、第二のオリフィス通路72を通じての流体流動が生ぜしめられるようになっている。
以上により、図8に示されているように非圧縮性流体が封入された受圧室64と平衡室66を有すると共に、それら両室64,66を相互に連通する第一,第二のオリフィス通路70,72を備えた流体封入式のマウント本体18が構成される。
また、マウント本体18は、図9に示されたブラケット部材としてのブラケット金具74に対して嵌め付けられる。このブラケット金具74は、第二の取付金具14が圧入固定される筒状部76を備えている。筒状部76は、全体として大径の円筒形状を有しており、その上端部には内周側に延び出す内フランジ状とされた位置決め用の当接片78が一体形成されている。
また、筒状部76には、第一のストッパ金具80が取り付けられている。第一のストッパ金具80は、側面視で逆向きの略U字形状を呈する高剛性の部材であって、第一の天壁部82と、第一の天壁部82の両端部(紙面直交方向の両端部)から下方に向かって延び出す一対の第一の脚部84,84を一体的に備えている。なお、本実施形態では、第一の天壁部82の軸直角方向内側(図1における右側)の端部において、図3中の上下方向中央部分に切欠きが形成されており、図3における上下方向の両端部が中央部に比して内方にまで延び出している
そして、第一のストッパ金具80は、第一の脚部84,84の下端部が溶接等の手段で筒状部76の外周面と当接片78に対して固着されることにより、筒状部76に対して固定されている。そこにおいて、第一のストッパ金具80の第一の天壁部82は、当接片78よりも内周側に突出せしめられており、第一のストッパ金具80が筒状部76の軸方向上側の開口部上に張り出している。
さらに、第一のストッパ金具80には、ストッパ部としての第二のストッパ金具86が取り付けられている。第二のストッパ金具86は、正面視で門形を呈する高剛性の部材であって、軸直角方向で広がる天板部としての第二の天壁部88と、その両端部(図1における左右両端部)から下方に向かって延びる一対の第二の脚部90,90を一体的に備えている。
また、第二のストッパ金具86における第二の天壁部88には、略一定の長円形断面で第二の天壁部88を貫通するガイド孔としての案内孔92が形成されている。本実施形態において案内孔92は、筒状部76の中心軸を径方向外側に外れた位置に設けられており、第二の脚部90,90の対向方向一方の側に偏って位置せしめられている。
さらに、案内孔92は、後述するマウント本体18のブラケット金具74への組付けに際して、第一の取付金具12の取付部20に形成された係合溝28に対して周方向で予め位置合わせされており、マウント本体18のブラケット金具74への嵌入れ方向である軸方向上方に位置せしめられるようになっている。換言すれば、案内孔92の中心線上に係合溝28が位置せしめられるようになっている。
また、本実施形態では、案内孔92の長軸方向での直径が、係合溝28の軸直角方向での深さよりも僅かに大きくなっていると共に、その短軸方向での直径が、係合溝28の軸直角方向での幅と略等しくされている。
そして、第二の脚部90の一方が、第一のストッパ金具80の天壁部82の上端面に重ね合わされて溶接等の手段で固着されると共に、第二の脚部90の他方が、支承金具94を介して筒状部76に固定されている。
なお、支承金具94は、側面視で逆向きの略U字形状を有しており、その下端部が筒状部76と当接片78に対して固定されている。更に、支承金具94は、筒状部76の周上において、第一のストッパ金具80が固定された部分に対して径方向で反対側に位置するように設けられている。また、本実施形態では、支承金具94の上端面が第一のストッパ金具80の上端面よりも下方に位置せしめられており、第二のストッパ金具86の一対の脚部90,90が、軸方向で互いに異なる長さとされている。
これにより、門形の第二のストッパ金具86が、径方向一方向で筒状部76の一方の開口部の上方を跨ぐようにして、筒状部76に対して取り付けられていると共に、第二のストッパ金具86が第一のストッパ金具80の上方に位置せしめられて、それぞれの天壁部82,88が、軸方向で所定距離を隔てて対向せしめられている。
一方、ブラケット金具74の筒状部76には、周上の複数箇所において取付脚部96が設けられている。取付脚部96は、図3にも示されているように、周方向に所定の長さで延びて、筒状部76の外周面に固着される固着板部98と、固着板部98の下端から外周側に向かって延び出す固定板部100を一体的に有している。そして、固定板部100に設けられたボルト孔102に挿通されるボルトが、自動車のボデーに対して螺着されることにより、ブラケット金具74が車両ボデーに取り付けられるようになっている。なお、本実施形態では、固着板部98と固定板部100の周方向両端部において、固着板部98と固定板部100の何れに対しても略直交する補強部104が設けられており、固着板部98と固定板部100が補強部104で連結されて補強されている。
このような構造とされたブラケット金具74には、マウント本体18が組み付けられる。即ち、マウント本体18が、ブラケット金具74の筒状部76の下側開口部から嵌め入れられて、マウント本体18を構成する第二の取付金具14が筒状部76に圧入されることにより、マウント本体18がブラケット金具74に嵌着固定される。これにより、図10に示された本実施形態におけるマウント組立体105が構成されている。
また、かかるマウント組立体105においては、第一の取付金具12の取付部20は、門形とされた第二のストッパ金具86内に入り込んでおり、第二のストッパ金具86の天壁部88および脚部84,84で囲まれている。要するに、取付部20は、第二の天壁部88に対して所定距離を隔てて下方に位置せしめられていると共に、第二の脚部90,90の対向面間において、各脚部90,90から所定距離を隔てて配設されている。
また、第二の取付金具14がブラケット金具74に固定されると共に、ブラケット金具74の取付脚部96が振動伝達系を構成する他方の部材である車両ボデーに対してボルト等で固定されることにより、第二の取付金具14が車両ボデーに対して取り付けられるようになっている。
また、マウント本体18のブラケット金具74への組付け状態下では、第一の取付金具12の取付部20に対して、別体ストッパ106が取り付けられる。別体ストッパ106は、図11,12に示されているように、平面視(軸方向視)で略L字形状を呈しており、鉄やアルミニウム合金等の金属材料で形成された高剛性の部材とされている。換言すれば、別体ストッパ106は、厚肉の板形状を有する背面板部108と、背面板部108の図12における左端部から背面板部108に直交する方向で延び出す厚肉板形状の当接板部110を、一体的に備えた構造とされている。
さらに、本実施形態では、別体ストッパ106における当接板部110側の端部上端面が、第二のストッパ金具86の天壁部88が広がる方向である軸直角方向に対して、所定の角度で傾斜して広がる傾斜当接面112とされている。この傾斜当接面112は、別体ストッパ106の図11における左右方向中間部から当接板部110側の端部に亘って連続的に形成されており、軸直角方向の外側に向かって下傾せしめられている。
更にまた、別体ストッパ106の背面板部108には、背面板部108を厚さ方向で貫通して内周面に雌ねじが刻設された固定用孔114が形成されている。また、固定用孔114の下方に所定距離を隔てて、固定用孔114よりも大径で固定用孔114と平行な方向に延びる取付用孔116が貫通形成されている。なお、本実施形態では、背面板部108の下端部が、略一定の円形断面で当接板部110と反対側に向かって突出せしめられており、該突出部分の中央部分を貫通するように取付用孔116が形成されている。更に、これら固定用孔114と取付用孔116は、後述する第一の取付金具12と別体ストッパ106の組付け状態において、それぞれ固定用孔26と取付用孔30に対して同一直線上で相互に連通される位置に形成されている。
また、本実施形態では、背面板部108における正面側(図12中、下側)の壁面と、当接板部110における第一の取付金具12との重ね合わせ面(図12における右側壁面)が、何れも軸方向に対して平行に広がる平坦な面とされている。
そして、別体ストッパ106は、マウント本体18がブラケット金具74に対して装着された後で、図1および図13に示されているように、第一の取付金具12に対して軸直角方向で重ね合わされて組み付けられる。より詳細には、別体ストッパ106が、軸直角方向で第二のストッパ金具86の一方開口部側から挿し入れられる。更に、別体ストッパ106の背面板部108が、第一の取付金具12に対して、取付用孔30,116の中心軸方向で重ね合わされると共に、別体ストッパ106の当接板部110が、第一の取付金具12に対して、取付用孔30,116の中心軸方向に対して直角を為す方向で重ね合わされる。なお、取付用孔30,116が同一直線上で延びると共に、固定用孔26,114が同一直線上で延びるように、第一の取付金具12と別体ストッパ106が重ね合わされている。
これにより、別体ストッパ106の背面板部108と当接板部110が、第一の取付金具12の外周面から相互に直交する軸直角方向二方向で突出せしめられている。そして、当接板部110が、第一のストッパ金具80の天壁部82よりも軸方向上方に離隔位置せしめられていると共に、第二のストッパ金具86の天壁部88よりも軸方向下方に離隔位置せしめられている。要するに、当接板部110は、第一のストッパ金具80の天壁部82と第二のストッパ金具86の天壁部88の軸方向対向面間で、それら天壁部82,88の何れに対しても所定距離を隔てて位置せしめられている。
また、図1に示されているように、当接板部110と第一のストッパ金具80の天壁部82は、軸方向の投影において、第一の天壁部82の幅方向両端部で径方向(図1中の左右方向)にd1 だけ重なり合っていると共に、第一の天壁部82の幅方向中央部で径方向にd2 だけ重なり合っている。
さらに、第一の取付金具12と別体ストッパ106は、軸直角方向で重ね合わされると共に、固定ボルト118が、それら第一の取付金具12と別体ストッパ106にそれぞれ貫通形成された固定用孔26,114に対して挿通されることにより、相互に締付固定されている。
また、別体ストッパ106の第一の取付金具12への組付け状態において、それら別体ストッパ106と第一の取付金具12の取付部20には、ゴムカバーとしてのゴム緩衝体120が取り付けられている。ゴム緩衝体120は、図14〜16に示されているように、下端面と背面の一部がそれぞれ取り除かれて開口せしめられたボックス状の如き形状を有している。なお、本実施形態では、ゴム緩衝体120の下端部が半円形状で張り出していると共に、ゴム緩衝体120の該張出し部分を含む下端部には、円形の取付用孔122が形成されている。
また、ゴム緩衝体120の表面には、複数条の緩衝突条124が一体形成されている。緩衝突条124は、ゴム緩衝体120の上下端面および両側面(図14における左右両端面)に亘って、略一定の半円形断面で連続的に延びている。また、本実施形態では、複数の緩衝突条124が相互に略平行となるように形成されている。
さらに、ゴム緩衝体120の上端面は、図16における右端部分が、右側に行くに従って下傾する傾斜面126とされている。なお、この傾斜面126は、図1からも明らかなように、別体ストッパ106の傾斜当接面112に対応して傾斜せしめられている。
また、ゴム緩衝体120の内周面には、内方に向かって突出する係止部としての係合突起128が一体形成されている。係合突起128は、第一の取付金具12に形成された係合溝28に対応する突起形状を有しており、図16中の左側壁部の内周面において、上端縁部に形成されている。また、本実施形態において、係合突起128は、その幅(図15における上下寸法)が、係合溝28の幅(図6における上下寸法)に対して同じか僅かに大きくなっていると共に、突出高さ(図16における左右寸法)が、係合溝28の深さ(図6における左右寸法)に比して小さくされており、後述するゴム緩衝体120の第一の取付金具12への装着状態において、係合溝28の底壁面(図1における左側の壁面)と係合突起128の突出先端面(図1における左側の壁面)の間に隙間が形成されるようになっている。
このような構造とされたゴム緩衝体120は、第一の取付金具12と別体ストッパ106に対して嵌め付けられている。即ち、ゴム緩衝体120の正面側の壁部が第一の取付金具12および別体ストッパ106における当接板部110の正面側端面に対して固定用孔26,114の中心線方向で重ね合わされると共に、左右両側の壁部が第一の取付金具12と別体ストッパ106における当接板部110を重ね合わせ方向で挟み込むように重ね合わされる。更に、係合突起128が第一の取付金具12に形成された係合溝28に対して嵌め付けられて係止されることにより、ゴム緩衝体120が第一の取付金具12および別体ストッパ106に対して位置決めされる。以上により、ゴム緩衝体120が第一の取付金具12および別体ストッパ106に対して組み付けられている。
そして、第一の取付金具12および別体ストッパ106の上端面と、別体ストッパ106における当接板部110の下端面が、ゴム緩衝体120の一部によって略全面に亘って覆われている。これにより、第一の取付金具12および別体ストッパ106と、第一,第二のストッパ金具80,86の各天壁部82,88との軸方向対向面間に、ゴム緩衝体120が介在せしめられている。
さらに、一体的に組み合わされた第一の取付金具12と別体ストッパ106において、取付部20と当接板部110の重ね合わせ方向両側に位置する外周面が、ゴム緩衝体120で覆われている。また、本実施形態では、これにより、第一の取付金具12と第二のストッパ金具86の一方の脚部90の対向面間および別体ストッパ106と他方の脚部90との軸直角方向での対向面間に、それぞれゴム緩衝体120が介在せしめられている。
ここで、本実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10の製造方法の一例について、以下に説明する。
先ず、係合部としての係合溝28を備えた第一の取付金具12と、筒状を有する第二の取付金具14を準備して、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14を、第一の取付金具12を第二の取付金具14の一方の開口側に離隔配置した状態で本体ゴム弾性体16の成形用金型に対してセットすると共に、該成形用金型の成形キャビティに対してゴム材料を充填することにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品を形成する。これにより、本実施形態における本体ゴム弾性体の一体加硫成形品を準備する工程が完了する。
次に、仕切部材52の成形用金型の成形キャビティに樹脂材料を充填して、仕切部材52を形成すると共に、仕切部材52に対して、別体として準備された保持金具60と可動ゴム膜62を組み付けることにより、本実施形態における仕切部材を準備する工程が完了する。
さらに、環状の固定金具48をダイヤフラム46の成形用金型にセットして、該成形用金型の成形キャビティにゴム材料を充填することにより、固定金具48を備えたダイヤフラム46の一体加硫成形品を形成する。これにより、本実施形態における可撓性膜の一体加硫成形品を準備する工程が完了する。
そして、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品を構成する第二の取付金具14の下側(本体ゴム弾性体16と反対側)開口部から、準備された仕切部材52とダイヤフラム46の一体加硫成形品を順に嵌め入れると共に、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工を施すことにより、仕切部材52とダイヤフラム46の一体加硫成形品が本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して流体密に組み付けられて、本実施形態に係るマウント本体18が形成される。これにより、本実施形態における防振装置本体の準備工程が完了する。
一方、それぞれ鉄等の金属材料で形成された高剛性の部材である筒状部76と、第一のストッパ金具80と、支承金具94と、第二のストッパ金具86と、取付脚部96を、それぞれ準備する。また、第一のストッパ金具80と支承金具94を、筒状部76の一方の開口部側において径方向一方向で両側に位置するように配置して、筒状部76に対して溶接等の手段で固定する。
さらに、筒状部76に固定された第一のストッパ金具80と支承金具94に対して、軸方向上方から門形を有する第二のストッパ金具86の脚部90,90を重ね合わせて、溶接等の手段でそれぞれ固定する。これにより、第二のストッパ金具86を、筒状部76の一方の開口部上を跨ぐように配置する。
更にまた、筒状部76の周上の複数箇所において、取付脚部96の固着板部98を筒状部76の外周面に重ね合わせて溶接等の手段により固定する。以上により、本実施形態に係るブラケット金具74が形成されて、本実施形態におけるブラケット部材の準備工程が完了する。
ここにおいて、準備されたブラケット金具74に対して、防振装置本体の準備工程において準備されたマウント本体18を嵌め付ける。
より詳細には、先ず、マウント本体18をブラケット金具74の下方に配置して、第一,第二のストッパ金具80,86が配設された一方の開口部とは反対側の開口部である下側開口部側に位置せしめる。なお、マウント本体18をブラケット金具74の軸方向下側の開口部付近に配置する際に、案内孔92と係合溝28が軸方向の投影において重なり合う位置にくるように、マウント本体18とブラケット金具74を周方向で予め位置決めしておく。
次に、図17にも示されているように、第二のストッパ金具86における第二の天壁部88に形成された案内孔92に対して、ガイドロッドとしての係合金具130を上方から挿し通す。この係合金具130は、鉄等を材料として形成された高剛性の部材であって、第一の取付金具12に形成された係合溝28の溝断面形状に対応する断面形状、具体的には、面取りされた略矩形状断面を有して軸方向で直線的に延びている。また、図中では省略されているが、その軸方向上端部分が支持されており、回転および軸直角方向での変位が阻止されていると共に、軸方向上下への変位が許容されている。なお、係合金具130は、コイルスプリング等の付勢手段によって軸方向下方に向かって付勢されていても良い。
そして、図17に示すように、ブラケット金具74に形成された案内孔92に挿通された係合金具130の先端部分を、ブラケット金具74の下方に配置されたマウント本体18における第一の取付金具12の係合溝28に対して挿し入れて係合させる。
このように係合金具130が係合溝28に係合された状態で、マウント本体18をブラケット金具74の下側開口部から嵌め入れる。ここで、係合金具130は、軸方向での変位を許容されていることから、係合金具130が係合溝28に挿し入れられた状態を維持しつつ、マウント本体18のブラケット金具74に対する嵌入れ作業を進めることが出来る。しかも、係合金具130が、回転および軸直角方向では変位不能とされていることから、マウント本体18とブラケット金具74を周方向で相対的に位置決めしつつ、それらの組付け作業を進めることが出来る。
本実施形態では、マウント本体18における第二の取付金具14の上端部がブラケット金具74における当接片78に対して当接する位置まで、マウント本体18をブラケット金具74に対して嵌め入れることにより、マウント本体18をブラケット金具74に対して所定の位置に嵌め付けることが出来る。
以上により、マウント本体18をブラケット金具74に組み付けてなるマウント組立体105が構成されて、本実施形態におけるブラケット嵌着工程が完了する。
また、上述のマウント本体18およびブラケット金具74とは別に、本実施形態に係る別体ストッパ106を準備する。この別体ストッパ106は、例えば、アルミニウム合金等の金属材料を成形用金型のキャビティに充填して、所定の形状(本実施形態では、平面視で略L字形状を呈する別体ストッパ106)に成形するダイキャスト成形等によって得ることが出来る。これにより、本実施形態における別体ストッパの準備工程が完了する。
さらに、マウント本体18にブラケット金具74が組み付けられてなるマウント組立体105において、準備した別体ストッパ106を、第二のストッパ金具86の一方の開口部側から軸直角方向で挿し入れる。そして、別体ストッパ106の背面板部108を第一の取付金具12の取付部20に対して、取付用孔30の中心軸方向で背面側から重ね合わせると共に、別体ストッパ106の当接板部110を第一の取付金具12の取付部20に対して、取付用孔30の中心軸方向に対して略直角を為す方向で重ね合わせる。これにより、第一の取付金具12の背面側と左側に向かって、背面板部108と当接板部110が突出せしめられた状態で、第一の取付金具12に対して別体ストッパ106が取り付けられる。
なお、別体ストッパ106を第一の取付金具12に対して組み付ける際に、第一の取付金具12の取付部20に形成された固定用孔26を、別体ストッパ106の背面板部108に形成された固定用孔114に対して、同一直線上に位置合わせすると共に、取付部20に形成された取付用孔30を、背面板部108に形成された取付用孔116に対して、同一直線上に位置合わせする。
そして、相互に位置合わせされて直列的に連通された固定用孔26,114に対して、固定ボルト118を螺着せしめることにより、第一の取付金具12と別体ストッパ106を相互に締付固定する。以上により、本実施形態における別体ストッパの組付け工程が完了する。
なお、本実施形態では、取付部20に形成された固定用孔26の内周面が滑らかな湾曲面とされていると共に、背面板部108に形成された固定用孔114の内周面には雌ねじが刻設されており、固定ボルト118が、固定用孔26に挿通されると共に、固定用孔114に対して螺着されるようになっている。また、固定ボルト118の頭部は、第一の取付金具12に形成された逃し部24上に位置して、第一の取付金具12の正面側表面よりも外側に突出しないようになっている。
また、本実施形態では、第一の取付金具12の取付部20において別体ストッパ106と重ね合わされる面(図6における上側端面と左側端面)と、別体ストッパ106において第一の取付金具12に重ね合わされる面が、何れも軸方向に対して略平行に広がっていると共に、凹凸の少ない平坦面とされている。従って、第一の取付金具12と別体ストッパ106の重ね合わせ面が、略全面に亘って隙間なく当接した状態で重ね合わされる。このように第一の取付金具12と別体ストッパ106が相互に面当接せしめられることにより、第一の取付金具12と別体ストッパ106が、ぐらつき等を生じることなく安定した組付け状態に維持されるようになっている。
また、別体ストッパ106の第一の取付金具12に対する組付け工程の後で、ゴム緩衝体120が嵌め付けられる。このゴム緩衝体120は、例えば、成形用金型のキャビティにゴム材料を充填して、所定の形状に加硫成形することにより得ることが出来る。これにより、本実施形態におけるゴムカバーの準備工程が完了する。
そして、マウント本体18にブラケット金具74が組み付けられてなるマウント組立体105に対して別体ストッパ106を取り付けた状態で、準備されたゴム緩衝体120を、第二のストッパ金具86の他方の開口部側(正面側)から略軸直角方向で挿し入れて、ゴム緩衝体120を弾性変形させつつ、別体ストッパ106と第一の取付金具12の取付部20の表面を覆うように被せ付ける。
ここで、本実施形態では、ゴム緩衝体120の内周面に突出形成された係合突起128が第一の取付金具12に形成された係合溝28に嵌め付けられるように、ゴム緩衝体120を第一の取付金具12および別体ストッパ106に対して被せ付ける。これにより、ゴム緩衝体120を第一の取付金具12に対して位置決め出来るようになっている。
特に本実施形態では、係合突起128の幅が係合溝28の幅よりも大きくなっており、係合突起128を係合溝28に対して嵌め付けることにより、有効な係止力を得ることが出来る。更に、係合突起128の突出高さが係合溝28の深さよりも充分に小さくなっており、係合突起128の突出先端面と係合溝28の底壁面との対向面間に隙間が形成されるようになっていることにより、係合突起128の寸法誤差等をかかる隙間によって許容することが出来て、安定した嵌め付け状態を実現することが出来る。
以上により、本実施形態におけるゴムカバーの取付け工程が完了し、これらによって本実施形態に係るエンジンマウント10が得られて、本実施形態における防振装置の製造工程が完了する。
以上の如き構造とされた本実施形態に係るエンジンマウント10は、第一の取付金具12が、図13に二点鎖線で示された自動車のパワーユニット側に取り付けられると共に、第二の取付金具14が、図示しない車両ボデーに対して、ブラケット金具74を介して取り付けられる。なお、図13では、分かり易さのために、エンジンマウント10において第二のストッパ金具86およびゴム緩衝体120が取り除かれた状態が示されている。
すなわち、第一の取付金具12と別体ストッパ106は、図13において二点鎖線で示されたパワーユニット側の部材である支持部材134によって、取付用孔30,116の延びる方向で両側から挟み込まれる。そして、支持部材134に形成された図示しない貫通孔と、第一の取付金具12および別体ストッパ106の取付用孔30,116が、同一直線上に位置合わせされると共に、それら貫通孔と取付用孔30,116に、図13において二点鎖線で示された取付ボルト136が挿通されて、ナット138に螺着される。これにより、第一の取付金具12および別体ストッパ106が、それらの重ね合わせ方向で支持部材134に挟み込まれて締め付けられるようになっている。
このような自動車用エンジンマウント10の車両への装着状態下において、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動荷重が入力されると、受圧室64に内圧変動が及ぼされて、容積変化によって略大気圧に維持される平衡室66との間で相対的な圧力差が生ぜしめられる。そして、両室64,66間での相対的な圧力変動によって、受圧室64と平衡室66の間でオリフィス通路70,72を通じての流体流動が生ぜしめられて、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。
より詳細には、例えば、自動車の走行時等において、自動車のエンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動が入力された場合には、受圧室64と平衡室66の間で生ぜしめられる圧力差により、封入流体が、エンジンシェイクに相当する低周波数にチューニングされた第一のオリフィス通路70を通じて、それら両室64,66間で積極的に流動せしめられる。このような第一のオリフィス通路70を通じての流体流動により、流体の共振作用等の流動作用に基づいて目的とする防振効果が発揮される。
なお、第一のオリフィス通路70よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路72では、第二のオリフィス通路72の平衡室66側の開口部を覆蓋する可動ゴム膜62が、第二のオリフィス通路72のチューニング周波数に対応する中乃至高周波数域にチューニングされていることから、第一のオリフィス通路70のチューニング周波数に相当する低周波大振幅振動の入力時には、可動ゴム膜62が実質的に拘束される。これにより、第一のオリフィス通路70がチューニングされた周波数域の振動入力時には、第二のオリフィス通路72が実質的に遮断されており、第一のオリフィス通路70を通じての流体流動量を有効に確保出来るようになっている。
一方、例えば、自動車の停車時等において、自動車のアイドリング時振動等に相当する中乃至高周波小振幅振動が入力された場合には、受圧室64と平衡室66の間で生ぜしめられる圧力差により、封入流体が、アイドリング時振動に相当する中乃至高周波数にチューニングされた第二のオリフィス通路72を通じて、それら両室64,66間で積極的に流動せしめられる。このような第二のオリフィス通路72を通じての流体流動により、流体の共振作用等の流動作用に基づいて目的とする防振効果が発揮される。
なお、第二のオリフィス通路72がチューニングされた周波数域の振動入力時には、第二のオリフィス通路72の平衡室66側の開口部を覆うように配設された可動ゴム膜62が、共振状態で積極的に弾性変形せしめられる。そして、可動ゴム膜62の微小変形による液圧伝達作用によって、第二のオリフィス通路72が実質的な連通状態とされており、第二のオリフィス通路72における流体流動が有効に惹起されるようになっている。また、第二のオリフィス通路72に比して低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路70は、反共振的な作用によって実質的に目詰まり状態となっており、第二のオリフィス通路72を通じての流体流動量を有利に確保出来るようになっている。
また、本実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10において、例えば、車両の段差乗越え時等に衝撃的な大荷重が入力された場合には、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、主たる荷重の入力方向である軸方向で、相対的に大きく変位せしめられる。ここにおいて、本実施形態に係るエンジンマウント10には、ストッパ機構が設けられており、衝撃的な大荷重入力時には、かかるストッパ機構によって、第一の取付金具12と第二の取付金具14の相対変位が制限されるようになっている。
より詳細には、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、軸方向で相対的に接近する方向であるバウンド方向に大きく相対変位せしめられると、第一の取付金具12に固定された別体ストッパ106が第二の取付金具14に対して接近せしめられる。ここで、第二の取付金具14に固定されたブラケット金具74が有する第一のストッパ金具80は、別体ストッパ106に対して軸方向下方に所定距離を隔てて離隔位置せしめられており、第二の取付金具14と別体ストッパ106が相対的に接近変位せしめられると、別体ストッパ106と第一のストッパ金具80も相対的に接近せしめられる。
そして、別体ストッパ106が、第一のストッパ金具80に対して、ゴム緩衝体120の一部を介して軸方向で当接せしめられることにより、別体ストッパ106が固定された第一の取付金具12と、第一のストッパ金具80が固定された第二の取付金具14のバウンド方向での相対変位が制限されるようになっている。以上により、本実施形態におけるバウンド方向のストッパ機構が構成されている。
一方、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、軸方向で相対的に離隔する方向であるリバウンド方向に大きく相対変位せしめられると、第一の取付金具12に固定された別体ストッパ106が、第一の取付金具12と一体的に第二の取付金具14から離隔して軸方向上方に変位せしめられる。ここで、第二の取付金具14に固定されたブラケット金具74が有する第二のストッパ金具86は、第一の取付金具12および別体ストッパ106に対して、軸方向上方に所定距離を隔てて離隔位置せしめられている。
これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で相対的に離隔変位せしめられると、第一の取付金具12および別体ストッパ106が第二のストッパ金具86に対して相対的に接近せしめられる。そして、第一の取付金具12および別体ストッパ106の上端面が、第二のストッパ金具86に対して、ゴム緩衝体120の上側壁面を介して軸方向下方から当接せしめられることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14のリバウンド方向での相対変位が制限されるようになっている。以上により、本実施形態におけるリバウンド方向のストッパ機構が構成されている。
以上より明らかなように、本実施形態に従う構造のエンジンマウント10では、別体ストッパ106の第一のストッパ金具80への当接によって、バウンド方向のストッパ機構が構成されていると共に、第一の取付金具12と別体ストッパ106の第二のストッパ金具86への当接によって、リバウンド方向でのストッパ機構が構成されている。
そして、これらバウンドおよびリバウンド方向における第一の取付金具12と第二の取付金具14の相対変位の制限作用によって、衝撃的な大荷重の入力時における本体ゴム弾性体16の弾性変形が抑えられて、本体ゴム弾性体16の耐久性が向上せしめられる。
なお、本実施形態では、別体ストッパ106と第一,第二のストッパ金具80,86が、ゴム緩衝体120を介して弾性的に当接せしめられるようになっている。これにより、それら別体ストッパ106と第一,第二のストッパ金具80,86の当接によって発生する打音や衝撃等を緩和して、良好な乗り心地等を実現出来るようになっている。
しかも、本実施形態では、ゴム緩衝体120の表面に緩衝突条124が設けられており、当接初期の当接面積が小さくされている。これにより、打音が問題となり易い当接時において、一層緩衝的な当接を実現することが出来て、打音解消効果を効果的に得ることが出来る。
また、本実施形態では、第一の取付金具12と第二の脚部90および別体ストッパ106と第二の脚部90が、それぞれ所定距離を隔てて対向せしめられている。更に、それらの対向面間には、ゴム緩衝体120の一部が位置せしめられている。これらによって、本実施形態では、第一の取付金具12および別体ストッパ106と、第二のストッパ金具86の各脚部90,90との当接によって、第一の取付金具12と第二の取付金具14の軸直角方向での相対変位を制限する、軸直ストッパ機構が併せて実現されるようになっている。
また、本実施形態では、バウンドストッパ機構とバウンドストッパ機構の何れもを備えた自動車用エンジンマウント10が、バウンド方向のストッパ金具80とリバウンド方向のストッパ金具86の両方を備えたブラケット金具74に対して、マウント本体18を圧入して組み付けるという極めて簡易な方法によって、容易に実現可能とされている。
すなわち、本実施形態に係るエンジンマウント10では、第一の取付金具12が、筒状部76の一方の開口部上に張り出す第一のストッパ金具80の第一の天壁部82よりも内周側に位置せしめられている。それ故、別体ストッパ106の第一の取付金具12への取付け前において、マウント本体18をブラケット金具74に対して軸方向他方の側から嵌め入れる際に、第一の取付金具12と第一のストッパ金具80の干渉(接触)を回避することが出来て、容易に圧入固定することが出来る。
しかも、マウント本体18のブラケット金具74への装着後において、別体ストッパ106が、門形とされた第二のストッパ金具86の一方の開口部から軸直角方向で挿し入れられて、第一の取付金具12に固定される。そして、別体ストッパ106における当接板部110が、第一,第二のストッパ金具80,86の天壁部82,88間に位置せしめられることにより、当接板部110を利用してバウンドおよびリバウンド方向のストッパ機構が構成されている。
これにより、第二のストッパ金具86の軸直角方向での開口部を巧く利用して、別体ストッパ106の第一の取付金具12への組付け作業を容易に行うことが出来る。従って、筒状部76の上側開口部を跨ぐように設けられた第二のストッパ金具86を問題とすることなく、バウンドおよびリバウンドの両方向におけるストッパ機構を、簡単な製造工程で実現することが出来る。
また、本実施形態では、第一の取付金具12と別体ストッパ106の重ね合わせ方向で延びるように固定用孔26,114が形成されており、固定用孔114に螺着される固定ボルト118によってそれら第一の取付金具12と別体ストッパ106が相互に固定されている。これにより、第一の取付金具12および別体ストッパ106の第一,第二のストッパ金具80,86への当接によって入力されるストッパ荷重が、固定ボルト118に対して剪断方向で作用せしめられる。それ故、ストッパ荷重によるボルトの抜け等の問題を回避して、目的とするストッパ性能を安定して発揮せしめることが出来る。
さらに、本実施形態では、パワーユニット側の支持部材134が、第一の取付金具12と別体ストッパ106に対して、それら金具12,106を重ね合わせ方向となる軸直角方向一方向で両側から挟み込むようにして、取付ボルト136で締結されている。これにより、第一の取付金具12と別体ストッパ106が重ね合わせ方向で強固に組み合わされて固定される。
特に高剛性の取付ボルト136が第一の取付金具12と別体ストッパ106を貫通して、それら第一の取付金具12と別体ストッパ106が取付ボルト136によって締結されることから、それら第一の取付金具12と別体ストッパ106の組付け強度を効果的に補強することが出来る。
さらに、取付ボルト136が、固定ボルト118とは異なる位置において、それら第一の取付金具12と別体ストッパ106に挿通されることにより、当接板部110の第一の,第二のストッパ金具86に対する当接によって、別体ストッパ106に固定ボルト118周りでの回転モーメントが及ぼされた場合にも、かかる回転モーメントの作用によって別体ストッパ106が第一の取付金具12に対して相対変位せしめられるのを防ぐことが出来る。
ここにおいて、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10では、ブラケット金具74における筒状部76の一方の開口部上を跨ぐように第二のストッパ金具86が設けられている構造において、マウント本体18とブラケット金具74の組付けが容易に実現されるようになっている。
すなわち、マウント本体18とブラケット金具74の組付けに際して、ブラケット金具74の第二のストッパ金具86に挿通される係合金具130を、第一の取付金具12に形成される係合溝28に対して挿し入れることで係合せしめて、第一の取付金具12を有するマウント本体18と、第二のストッパ金具86を有するブラケット金具74の周方向での相対変位を係合金具130によって阻止した状態で、それらマウント本体18がブラケット金具74に対して嵌め付けられるようになっている。これにより、エンジンマウント10において、第一の取付金具12と第二の取付金具14の振動伝達系を構成する各一方の部材に対する取付けを、安定して実現することが出来る。
しかも、第一の取付金具12と、第二の取付金具14を嵌め付けられるブラケット金具74が、周方向で所定の向きに予め位置決めされていることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14を周方向で相対的に回転させることなく、エンジンマウント10を車両に対して装着することが出来る。それ故、第一の取付金具12と第二の取付金具14の相対回転によって本体ゴム弾性体16に応力が及ぼされるのを回避することが出来て、本体ゴム弾性体16の耐久性の向上を図ることが出来る。
さらに、マウント本体18の防振特性やばね定数等が周方向で異なっており、マウント本体18を車両に対して周方向で所定の向きに装着することが必要とされる場合には、かかるマウント本体18とブラケット金具74の周方向での相対的な位置決めによって、車両に対してマウント本体18を目的とする向きに取り付けることが出来る。
また、本実施形態では、第一の取付金具12に形成された係合溝28と、第二のストッパ金具86に形成された案内孔92が、軸方向の投影において重なり合う位置に形成されている。これにより、軸方向で直線的に延びる係合金具130を案内孔92に対して軸方向で挿し通すことによって、係合金具130が係合溝28に挿し入れられて、マウント本体18とブラケット金具74の周方向での相対的な位置合わせと回転止めが容易に実現される。
特に本実施形態では、第一の取付金具12に形成される係合部が、第一の取付金具12の上端面に開口する係合溝28で構成されている。これにより、係合部に対する係合金具130の係合を簡単に実現出来る。
また、マウント本体18がブラケット金具74に対して所定の周方向で安定して位置決めされることから、第一の取付金具12における固定用孔26の延びる方向が、門形とされた第二のストッパ金具86の軸直角方向での開口方向とされる。これにより、別体ストッパ106の第一の取付金具12への組付けを有利に実現することも出来る。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態においては、係合部が係合溝28によって構成されているが、係合部は、必ずしも凹部で構成されていなくても良い。具体的には、例えば、第一の取付金具12の上端面において上方に突出する係合部としての係合突部を設けると共に、係合金具130の先端部分には先端面に開口して該係合突部と係合する凹所を設けて、それら係合突部と凹所の係合によってマウント本体18とブラケット金具74が周方向で位置決めされるようになっていても良い。
さらに、係合部は、必ずしも第一の取付金具12の上端面に設けられていなくても良く、例えば、第一の取付金具12の側面において軸直角方向で突出する係合部としての係合突部を設けると共に、係合金具130の先端部分を二股に分岐する刺股状として、該係合突部に係合金具130の先端部分を係合せしめることでマウント本体18とブラケット金具74が周方向で位置決めされるようになっていても良い。
また、ガイドロッドは、前記実施形態に示されている係合金具130のように直線的に延びるものではなくても良く、例えば、部分的乃至は全体的に湾曲せしめられていても良いし、中間部分で屈曲せしめられて、クランク状等とされていても良い。
また、マウント本体18とブラケット金具74の周方向での相対的な位置決めを有利に実現するためには、係合溝28および案内孔92は、前記実施形態にも示されているように、マウント中心軸を外れた位置に形成されていることが望ましい。しかし、例えば、軸直角方向一方向で長手とされた長方形断面を有する係合凹部によって係合部を構成すると共に、板形状で回転不能に支持されたガイドロッドを採用して、該ガイドロッドを係合凹部に挿し入れて係合させることにより、マウント本体18とブラケット金具74が周方向で位置決めされるようになっていても良い。
また、前記実施形態においては、リバウンド方向でのストッパ機構が、第一の取付金具12および別体ストッパ106と第二のストッパ金具86によって構成されているが、リバウンド方向のストッパ機構は、必ずしも別体ストッパ106を含んで構成されていなくても良い。
また、前記実施形態では、バウンド方向のストッパ機構が、別体ストッパ106の当接板部110とブラケット金具74の第一のストッパ金具80によって構成されているが、例えば、バウンド方向のストッパ機構は、背面板部108を利用して実現することも可能である。更に、バウンド方向のストッパ機構は、本発明において必須の構造ではなく、設けられていなくても良い。
また、別体ストッパ106は、必ずしも軸方向視でL字形状とされていなくても良い。具体的には、例えば、背面板部108における当接板部110と反対側の端部において、当接板部110と略平行を為して対向して広がる板状の支持部が一体形成されており、全体として軸方向視で略コの字形状を呈する別体ストッパを採用することも出来る。これによれば、第一の取付金具12と別体ストッパの当接面積が増すことから、ストッパ荷重の入力に対してより安定した組付け状態の維持を実現することが出来る。
また、例えば、前記実施形態に示した別体ストッパ106に対して、軸方向上端部に軸直角方向で広がる天壁部を一体形成して、該天壁部が第一の取付金具12の上端面に重ね合わされるようになっていても良い。これによっても、別体ストッパの第一の取付金具12に対するより安定した組付けを実現することが出来る。
また、ストッパ機構の緩衝的な当接を実現するために、別体ストッパ106とゴム緩衝体120には、それぞれ傾斜当接面112とそれに対応する傾斜面126が設けられていることが望ましいが、傾斜当接面112および傾斜面126は必須ではない。また、例えば、別体ストッパ106に傾斜当接面112を設ける一方、ゴムカバーには傾斜面を設けない構造として、傾斜当接面112の傾斜方向でゴムカバーの肉厚が漸変せしめられていても良い。更に、本発明に係る防振装置において、ゴムカバーは装着されていなくても良く、ゴムカバーの具体的な構造も、前記実施形態に記載のものに限定されない。
また、ブラケット部材は、必ずしも前記実施形態において具体的に示されたブラケット金具74の構造に限定されるものではない。具体的には、例えば、第一のストッパ金具80や支承金具94を介することなく、第二のストッパ金具86の第二の脚部90,90がそれぞれ筒状部76の一方の開口部に対して直接的に固着されていても良い。
また、前記実施形態においては、本発明に係る防振装置本体の一例として、封入流体の流動作用に基づく防振効果を利用する流体封入式のマウント本体18が示されているが、防振装置本体は、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結された構造を有していれば良く、内部に流体が封入された構造である必要はない。
また、前記実施形態では、本発明に係る防振装置の一実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されているが、本発明は、必ずしもエンジンマウント10にのみ適用されるものではなく、例えば、自動車のボデーマウントやサスペンションメンバマウント等にも適用される。更に、本発明に係る防振装置は、必ずしも自動車用にのみ採用されるものではなく、各種の振動体の防振に採用され得る。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:自動車用エンジンマウント,12:第一の取付金具,14:第二の取付金具,16:本体ゴム弾性体,18:マウント本体,28:係合溝,74:ブラケット金具,76:筒状部,86:第二のストッパ金具,88:第二の天壁部,92:案内孔,105:マウント組立体,120:ゴム緩衝体,128:係合突起,130:係合金具
Claims (6)
- 係合部を備えた第一の取付部材を、筒状を有する第二の取付部材の軸方向一方の開口部側に離隔配置して、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめた防振装置本体を準備する防振装置本体の準備工程と、
筒状部の一方の開口部を跨ぐ門形のストッパ部を該筒状部に固定すると共に、該ストッパ部の天板部にガイド孔を貫通形成したブラケット部材を準備するブラケット部材の準備工程と、
前記防振装置本体の前記第一の取付部材が前記ブラケット部材の前記筒状部における他方の開口部側に対して軸方向で対向位置するように該防振装置本体を該ブラケット部材に対して対向位置せしめると共に、該ブラケット部材の前記ガイド孔にガイドロッドを挿通せしめて、該ガイドロッドを該第一の取付部材の前記係合部に係合させることにより、該防振装置本体と該ブラケット部材を該筒状部の周方向で相互に位置合わせした状態で該防振装置本体を該ブラケット部材の該筒状部に対して該他方の開口部から嵌め入れるブラケット嵌着工程と
を、含むことを特徴とする防振装置の製造方法。 - 前記第一の取付部材に設けられた前記係合部に対して係止される係止部が設けられたゴムカバーを準備するゴムカバー準備工程と、
前記ブラケット嵌着工程の後で、前記第一の取付部材における前記ストッパ部の前記天板部に対する当接部分を覆うように前記ゴムカバーを該第一の取付部材に組み付けて、該ゴムカバーの前記係止部を該第一の取付部材の前記係合部に係止させて該ゴムカバーを該第一の取付部材に対して位置決めするゴムカバー取付け工程と
を、含む請求項1に記載の防振装置の製造方法。 - 振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材が筒状を有する第二の取付部材の軸方向一方の開口部側に離隔配置されて、それら第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されることにより防振装置本体が構成されていると共に、筒状部を備えたブラケット部材に対して該防振装置本体の該第二の取付部材が該筒状部に嵌着固定されており、該第二の取付部材が該ブラケット部材を介して振動伝達系を構成する他方の部材に取り付けられるようになっている防振装置において、
前記ブラケット部材における前記筒状部の一方の開口部には該開口部を跨ぐ門形のストッパ部が設けられていると共に、該開口部を跨ぐ該ストッパ部の天板部にはガイド孔が貫通形成されている一方、前記第一の取付部材には該ガイド孔の貫通中心線上に位置して係合部が形成されており、前記防振装置本体における該ブラケット部材の該筒状部に対する嵌め入れ方向で該係合部が該ガイド孔に対して周方向で位置合わせされていることを特徴とする防振装置。 - 前記係合部と前記ガイド孔が前記筒状部の中心軸上を外れた位置に形成されている請求項3に記載の防振装置。
- 前記係合部が、前記第一の取付部材における前記ストッパ部の前記天板部に対する対向面に開口する係合凹部とされている請求項3又は4に記載の防振装置。
- 前記第一の取付部材にゴムカバーが装着されており、該ゴムカバーにおいて、該第一の取付部材に設けられた係合部に係止される係止部が設けられている請求項3乃至5の何れか一項に記載の防振装置。
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