JP2009066462A - 複合膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、高分離係数および高透過流束を有する分離膜、特に、パーベーパレーション法及びベーパーパーミエーション法により、共沸混合物から所望の成分を分離するのに好適な複合膜を高収率で製造する方法及び該複合膜を用いて共沸混合物から所望の成分を分離する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 有機高分子を結合剤として、表面にゼオライト微結晶を付与した多孔質支持体を、ゼオライトの原料を含む合成液に接触させ、水熱合成を施すことにより、多孔質支持体の内表面あるいは外表面の少なくとも一方の表面にゼオライト結晶膜を形成することを特徴とする複合膜の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 有機高分子を結合剤として、表面にゼオライト微結晶を付与した多孔質支持体を、ゼオライトの原料を含む合成液に接触させ、水熱合成を施すことにより、多孔質支持体の内表面あるいは外表面の少なくとも一方の表面にゼオライト結晶膜を形成することを特徴とする複合膜の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、分子ふるい機能を有するゼオライトの結晶からなる層が、中空円筒状の多孔質支持体上に形成された複合膜の製造方法、該製造方法によって得られた複合膜および該複合膜を用いて液体、気体、またはそれらの混合物から特定の成分をパーベーパレーション法又はベーパーパーミエーション法により分離する物質分離方法に関する。
水および有機物が均一に混合した溶液から、水または有機物を選択的に分離する方法としては、蒸留による方法が広く使われている。エタノール、イソプロパノール、ブタノール等は、水との混合により、一定濃度以上では共沸状態となるために、通常の蒸留法で分離することができず、ベンゼンのような有害なエントレーナーを使用した共沸蒸留法を用いる必要がある。
共沸蒸留法は、このように有害な第3成分が必要となることに加えて、エネルギーコストも高くなるため、近年これに代わる分離方法としてパーベーパレーション又はベーパーパーミエーションによる分離方法が注目されており、ゼオライト膜を用いた分離膜が高い特性を示すことが知られている。
特に、多孔質支持体上に形成した親水性のA型ゼオライトの膜を用いたパーベーパレーションによる脱水では、温度75℃、エタノール90重量%の水溶液において、透過流束Q=2.15kg/m2h、分離係数αが10000以上という、極めて高い分離性能が得られている(特許文献1参照)。
特に、多孔質支持体上に形成した親水性のA型ゼオライトの膜を用いたパーベーパレーションによる脱水では、温度75℃、エタノール90重量%の水溶液において、透過流束Q=2.15kg/m2h、分離係数αが10000以上という、極めて高い分離性能が得られている(特許文献1参照)。
多孔質支持体上にゼオライト結晶からなる層を形成する製膜方法としては、多孔質支持体にゼオライトの種結晶を付与してから水熱合成により結晶成長させる方法(例えば、非特許文献1参照)、直接水熱合成によって結晶を成長させる方法(特許文献2)、ゼオライトの原料となるゲルを多孔質支持体上に塗布した後、スチーム処理によって製膜するドライゲル法(特許文献3)、等が挙げられる。これらの製膜法の中でも種結晶を支持体に付与してから水熱合成する、いわゆる種結晶法は欠陥のない緻密なゼオライト結晶による膜を製膜する方法として、実用上特に有効である(特許文献1及び4)。
しかしながら、種結晶法においては、種となる結晶を支持体上に均一に適切な量を付与することが重要な要素となり、種の支持体表面での分散状態が不均一であると欠陥のないゼオライト結晶膜が得られず、高い分離性能が得られない。このため、同様の種結晶を用いた方法で製膜したA型ゼオライトであっても、特許文献1の脱水性能を再現しない報告が多くなされている(例えば、非特許文献2−4参照)。
また工業的に実用化されている種結晶による製膜法であっても、種結晶の支持体表面への付与状態を制御することは容易ではない。例えば特許文献1では支持体に種を擦り付ける方法を用い、特許文献4では支持体を種分散水溶液に浸漬することにより、特許文献5では種分散水溶液を多孔質支持体表面に刷毛塗りすることにより、それぞれ種結晶を付与させている。しかしながらこれらの方法を用いても、種の支持体への付与状態の制御は完全ではなく、更に種結晶はファンデルワールス力やゼータ電位のような凝集力によって支持体表面に固定されているため(非特許文献5)、振動や接触による部分的な脱離を完全に抑制することは困難であった。このため、水熱合成によって得られた膜に欠陥が存在したり、また種量が過剰な部分には非結晶成分が混在し分離機能が十分に発現されないなど、不良品の発生を十分に押さえることは極めて難しかった。
種結晶を支持体表面に固定するために、結合剤を用いてゼオライト微結晶を多孔質支持体表面に担持させる方法として、水ガラスまたはシリカゾルを結合剤として用いる方法が開示されている(特許文献6)。しかしながら、水ガラスまたはシリカゾルは塗膜性が低いため、ゼオライト微結晶を多孔質支持体表面に均一かつ強固に担持することは容易ではない。更に、水ガラスまたはシリカゾルの溶媒は水あるいは多量の水を含む有機溶媒に限定されるため、これらを結合剤としてゼオライト微結晶を担持できる多孔質支持体は、アルミナのような親水性の高い材料よりなる支持体に限定される。
このように、支持体表面に欠陥や非結晶成分の混在がなく、均一に製膜されたゼオライト結晶膜を、高い収率で得ることはこれまで容易ではなかった。
このように、支持体表面に欠陥や非結晶成分の混在がなく、均一に製膜されたゼオライト結晶膜を、高い収率で得ることはこれまで容易ではなかった。
本発明は、ゼオライト結晶膜からなる、高分離係数および高透過流束を有する分離膜、特に、パーベーパレーション法又はベーパーパーミエーション法により、共沸混合物から所望の成分を分離するのに好適な複合膜及びそれを高収率で製造する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、この複合膜を用いて混合液体、特に、共沸混合物から所望の成分を分離する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、この複合膜を用いて混合液体、特に、共沸混合物から所望の成分を分離する方法を提供することを目的とする。
従来の種結晶法により支持体上にゼオライト結晶膜を形成する場合、擦りつけあるいは浸漬などの方法により、支持体表面に種を付与し、その後に水熱合成によりゼオライト結晶膜を製膜する。この際、種の付与が不均一、付与量が不適切、また付与後の種の脱離などがあると欠陥が生じやすく、この結果、分離性能の低下や製膜収率の低下が生じると考えられる。
これに対し、本発明者らは、有機高分子を結合剤として中空円筒状の多孔質支持体表面に種結晶となるゼオライト微結晶を付与した後、水熱合成を施すことにより、極めて高い収率で、しかも簡便に、分離性能の高いゼオライト結晶膜を有する複合膜が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
これに対し、本発明者らは、有機高分子を結合剤として中空円筒状の多孔質支持体表面に種結晶となるゼオライト微結晶を付与した後、水熱合成を施すことにより、極めて高い収率で、しかも簡便に、分離性能の高いゼオライト結晶膜を有する複合膜が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)有機高分子を結合剤として、表面にゼオライト微結晶を付与した多孔質支持体を、ゼオライトの原料を含む合成液に接触させ、水熱合成を施すことにより、多孔質支持体の内表面あるいは外表面の少なくとも一方の表面にゼオライト結晶膜を形成することを特徴とする複合膜の製造方法。
(2)多孔質支持体がセラミックスまたは金属から選ばれる無機物からなることを特徴とする、上記(1)記載の複合膜の製造方法。
(3)多孔質支持体が有機高分子からなることを特徴とする、上記(1)記載の複合膜の製造方法。
(4)ゼオライト結晶膜がA型、X型、Y型、T型、L型、ZSM類、ソーダライト類、モルデナイト類およびシリカライト類から選ばれた一種からなることを特徴とする上記(1)記載の複合膜の製造方法。
(5)上記(1)〜(4)に記載の製造方法によって得られた複合膜。
(6)ゼオライト結晶膜が親水性ゼオライトからなることを特徴とする上記(5)記載の複合膜。
(7)ゼオライト結晶膜が疎水性ゼオライトからなることを特徴とする上記(5)記載の複合膜。
(8)上記(5)〜(7)に記載の複合膜を用いてパーベーパレーション法又はベーパーパーミエーション法によって2種以上の成分からなる混合溶液又は混合気体から少なくとも1種の成分を分離する物質分離方法。
(9)水と有機物からなる混合溶液から少なくとも1種の成分を分離することを特徴とする上記(8)記載の物質分離方法。
(10)2種以上の有機物からなる混合溶液から少なくとも1種の成分を分離することを特徴とする上記(8)記載の物質分離方法。
(2)多孔質支持体がセラミックスまたは金属から選ばれる無機物からなることを特徴とする、上記(1)記載の複合膜の製造方法。
(3)多孔質支持体が有機高分子からなることを特徴とする、上記(1)記載の複合膜の製造方法。
(4)ゼオライト結晶膜がA型、X型、Y型、T型、L型、ZSM類、ソーダライト類、モルデナイト類およびシリカライト類から選ばれた一種からなることを特徴とする上記(1)記載の複合膜の製造方法。
(5)上記(1)〜(4)に記載の製造方法によって得られた複合膜。
(6)ゼオライト結晶膜が親水性ゼオライトからなることを特徴とする上記(5)記載の複合膜。
(7)ゼオライト結晶膜が疎水性ゼオライトからなることを特徴とする上記(5)記載の複合膜。
(8)上記(5)〜(7)に記載の複合膜を用いてパーベーパレーション法又はベーパーパーミエーション法によって2種以上の成分からなる混合溶液又は混合気体から少なくとも1種の成分を分離する物質分離方法。
(9)水と有機物からなる混合溶液から少なくとも1種の成分を分離することを特徴とする上記(8)記載の物質分離方法。
(10)2種以上の有機物からなる混合溶液から少なくとも1種の成分を分離することを特徴とする上記(8)記載の物質分離方法。
本発明の複合膜の製造方法によると、均一で欠陥や非結晶成分が極めて少ないゼオライト結晶膜を高収率で製造することができる。また、本発明の複合膜の製造方法によって得られた複合膜は、透過流束、分離係数が高い上に、ゼオライト結晶膜と多孔質支持体との密着性にも優れる。これを用いると、多分野で、かつ、広範囲の用途において、分離係数および透過流束が高く、コンパクトで処理能力が高い分離用モジュールが可能となる。その結果、蒸留法に代わる、反応プロセス等から得られる混合物の経済的な分離が可能である。
特に、本発明の複合膜は、水と有機化合物とからなる共沸混合物からパーベーパレーション法によって選択的に所望の成分を分離するのに好適である。
特に、本発明の複合膜は、水と有機化合物とからなる共沸混合物からパーベーパレーション法によって選択的に所望の成分を分離するのに好適である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の複合膜の製造方法によって得られる複合膜は、有機高分子を結合剤として、表面にゼオライト微結晶を付与した多孔質支持体の、内表面あるいは外表面の少なくとも一方の表面に、ゼオライトの結晶膜が形成された構造である。
ゼオライト結晶膜は、多孔質支持体表面に有機高分子を結合剤としてゼオライト結晶の微粒子を付与したものを、ゼオライト結晶膜の原料となる合成液に接触させ、水熱合成を施すことにより形成する。ゼオライト微結晶が有機高分子を結合剤として多孔質支持体表面に均一かつ強固に担持されていることにより、欠陥のないゼオライト結晶膜の形成が容易かつ高い収率で行われるのみならず、得られたゼオライト結晶膜を用いてパーベーパレーション法又はベーパーパーミエーション法による分離を行った際の分離係数並びに透過流束も向上する。
本発明の複合膜の製造方法によって得られる複合膜は、有機高分子を結合剤として、表面にゼオライト微結晶を付与した多孔質支持体の、内表面あるいは外表面の少なくとも一方の表面に、ゼオライトの結晶膜が形成された構造である。
ゼオライト結晶膜は、多孔質支持体表面に有機高分子を結合剤としてゼオライト結晶の微粒子を付与したものを、ゼオライト結晶膜の原料となる合成液に接触させ、水熱合成を施すことにより形成する。ゼオライト微結晶が有機高分子を結合剤として多孔質支持体表面に均一かつ強固に担持されていることにより、欠陥のないゼオライト結晶膜の形成が容易かつ高い収率で行われるのみならず、得られたゼオライト結晶膜を用いてパーベーパレーション法又はベーパーパーミエーション法による分離を行った際の分離係数並びに透過流束も向上する。
多孔質支持体の表面に担持させるゼオライト微結晶の寸法は、多孔質支持体表面での均一分散性、接着強度の観点から、0.01μm以上、10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上、5μm以下である。
ゼオライト微結晶としては、A型、X型、Y型、T型、L型、ZSM類、ソーダライト類、モルデナイト類、シリカライト類等を用いることができるが、その表面に形成するゼオライト結晶膜と同じ種類のゼオライトを選択する。
欠陥のないゼオライト結晶膜を形成するという観点から、ゼオライト結晶膜が形成される多孔質支持体の表面には、水熱合成を施す前の状態で、表面の1%以上の面積をゼオライト微結晶が占めていることが望ましい。ゼオライト微結晶が表面を占める面積の割合に上限はない。
ゼオライト微結晶としては、A型、X型、Y型、T型、L型、ZSM類、ソーダライト類、モルデナイト類、シリカライト類等を用いることができるが、その表面に形成するゼオライト結晶膜と同じ種類のゼオライトを選択する。
欠陥のないゼオライト結晶膜を形成するという観点から、ゼオライト結晶膜が形成される多孔質支持体の表面には、水熱合成を施す前の状態で、表面の1%以上の面積をゼオライト微結晶が占めていることが望ましい。ゼオライト微結晶が表面を占める面積の割合に上限はない。
本発明に用いられる多孔質支持体は、中空円筒状即ち、中空糸状、管状であり、さらにレンコン状、ハニカム状の形状のものも含まれる。多孔質支持体の大きさは特に限定されないが、例えば中空糸状並びに管状の場合、外径は0.5mmから10cmの範囲が好ましく、壁の厚さは、0.05mmから2cmの範囲が好ましい。
本発明の複合膜に用いられる多孔質支持体の空孔率は、複合膜の透過流束の観点から10%以上、多孔質支持体の材質にもよるが、機械的強度の観点から、99%以下が好ましい。より好ましくは30%以上95%以下、最も好ましくは40%以上90%以下である。
多孔質支持体の細孔径は、パーベーパレーション又はベーパーパーミエーションによって分離する分子の移動が阻害され、透過流束が減少しない大きさが必要である。具体的には、平均細孔径は、透過流束の観点から10nm以上、ゼオライト結晶膜の均一性の観点から5μm以下であることが好ましい。より好ましくは50nm以上、2μm以下である。
多孔質支持体の細孔径は、パーベーパレーション又はベーパーパーミエーションによって分離する分子の移動が阻害され、透過流束が減少しない大きさが必要である。具体的には、平均細孔径は、透過流束の観点から10nm以上、ゼオライト結晶膜の均一性の観点から5μm以下であることが好ましい。より好ましくは50nm以上、2μm以下である。
多孔質支持体の原料は、アルミナ、ムライト、シリカ、ジルコニア、ベントナイト、コージェライト、シリコンナイトライド、シリコンカーバイド、ガラスなどのセラミックス、ステンレス、アルミニウム、などの金属といった無機物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、シリコーン、セルロース及びその誘導体、更にこれらのポリマーを含む共重合体などの有機高分子、が用いられる。
これらのうち円筒状の多孔体を形成でき、細孔径、空孔率の制御が容易な原料としては、アルミナ、ムライト、ベントナイト、コージェライトなどのセラミックス、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリエチレン、ポリアクリロニトリルなどの有機高分子、が好ましい。また、有機高分子とセラミックスの複合物として得られる多孔質支持体も好ましく用いることができる。更に結晶膜を形成するゼオライトと同じ種類のゼオライト微結晶と有機高分子とを混合して得られる、複合多孔体も好ましい支持体として用いることができる。
多孔質支持体として無機材料を用いる場合、表面にゼオライト微結晶を担持させる、結合剤となる有機高分子は、広い範囲の材質が選択できる。代表的なものとしては、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、セルロース及びその誘導体、更にこれらのポリマーを含む共重合体が挙げられる。これらのポリマーの中でも特に一般的な溶剤に溶解しやすく、塗膜性が良好なものとして、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコールが好ましい。
多孔質支持体として無機材料を用いる場合、無機物は有機溶媒によって溶解されることはないので、結合剤として用いる有機高分子は上記の任意の有機高分子を、溶媒はその有機高分子を溶解させるものであれば任意の溶媒を選択することができる。
多孔質支持体として無機材料を用いる場合、無機物は有機溶媒によって溶解されることはないので、結合剤として用いる有機高分子は上記の任意の有機高分子を、溶媒はその有機高分子を溶解させるものであれば任意の溶媒を選択することができる。
一方、多孔質支持体として有機高分子を用いる場合は、結合剤とその溶媒の選択が重要となる。即ち、結合剤である有機高分子の溶媒が、支持体である有機高分子を溶解させないような、支持体、結合剤、溶剤を選択する必要がある。従って、多孔質支持体としてポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリエチレン、ポリアクリロニトリルなどの有機高分子よりなるものを用いる場合、結合剤として用いることができる有機高分子は、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが好ましい。また、これらの溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、メトキシプロパノール、エチレングリコール、1-5ペンタンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルテーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノール、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルが好ましく用いられる。さらに、結合剤有機高分子としてポリビニルアルコール、その溶剤として水、あるいはアルカリ性水溶液の組み合わせも、支持体である有機高分子を溶解しない組み合わせとして用いられる。
有機高分子を用いて多孔質支持体表面にゼオライト微結晶を担持させる方法としては、有機高分子とその溶媒との溶液にゼオライト微結晶を分散させた分散溶液を調合し、これに多孔質支持体を浸漬した後に引上げ、乾燥することによって行うことが好ましい。また、分散溶液を刷毛などによって多孔質支持体表面に直接塗布、乾燥することによって、ゼオライト微結晶を支持体表面に担持させることもできる。
有機高分子を結合剤として用いることにより、ゼオライト微結晶は多孔質支持体表面に強固に固定されるため、凝集力によって固定する従来の担持法に比べて、種結晶を担持してから水熱合成を施すまでの支持体の取り扱いが極めて容易になる。即ち、凝集力によって種を担持した場合には、水熱合成を施す前に表面に触れたり、衝撃を加えたりすると種は部分的に剥離しやすく、また合成液内の対流などによって種となるゼオライト微結晶が支持体から脱離することもあるため、水熱合成後に得られる結晶膜の緻密性が低下する傾向がある。
これに対して、有機高分子を結合剤として用いることにより、水熱合成前及び水熱合成中の種の脱離を抑制するため、緻密な結晶膜の成膜が容易となり、分離性能の高いゼオライト結晶膜が高収率で得られる。
結合剤として水ガラス、シリカゾルといった無機結合剤を用いる場合に対して、本発明の有機高分子を結合剤として用いる場合は、結合剤の溶媒として有機溶剤を用いることができるため、親水性の支持体だけでなく、ポリスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリエチレンのような疎水性の高い支持体にも容易にしかも均一に種を担持させることができる。
結合剤として水ガラス、シリカゾルといった無機結合剤を用いる場合に対して、本発明の有機高分子を結合剤として用いる場合は、結合剤の溶媒として有機溶剤を用いることができるため、親水性の支持体だけでなく、ポリスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリエチレンのような疎水性の高い支持体にも容易にしかも均一に種を担持させることができる。
本発明の複合膜は、多孔質支持体の表面にゼオライト結晶からなる層が形成されている。ゼオライト結晶は、粒界を形成して緻密にパッキングして、中空円筒状の多孔質支持体表面に層を形成している。
ゼオライトとしては、各種親水性ゼオライト、疎水性ゼオライトを用いることができる。親水性ゼオライトとしては、A型、X型、Y型、T型、L型が、疎水性ゼオライトとしては、ZSM類、ソーダライト類、モルデナイト類、シリカライト類がそれぞれ挙げられる。また、これらがアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む場合、それを他の金属イオンで置き換えた各種ゼオライト等も用いることができる。
ゼオライトとしては、各種親水性ゼオライト、疎水性ゼオライトを用いることができる。親水性ゼオライトとしては、A型、X型、Y型、T型、L型が、疎水性ゼオライトとしては、ZSM類、ソーダライト類、モルデナイト類、シリカライト類がそれぞれ挙げられる。また、これらがアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む場合、それを他の金属イオンで置き換えた各種ゼオライト等も用いることができる。
ゼオライト結晶膜を形成する結晶の寸法は、分離性能と透過流束がともに低下するのを防ぐ上で、0.01μmから10μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1μmから5μmである。
ゼオライト層の厚みは、分離性能の観点から0.1μm以上、透過流束の観点から50μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μmから30μmである。
本発明の複合膜におけるゼオライト結晶膜は、本発明の多孔質支持体を、ゼオライトの原料を含む合成液に接触させ、適当な条件で水熱合成を施すことにより形成される。
ゼオライト層の厚みは、分離性能の観点から0.1μm以上、透過流束の観点から50μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μmから30μmである。
本発明の複合膜におけるゼオライト結晶膜は、本発明の多孔質支持体を、ゼオライトの原料を含む合成液に接触させ、適当な条件で水熱合成を施すことにより形成される。
ゼオライトの原料となるシリカ成分としては、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、コロイダルシリカ、二酸化珪素、アルコキシシランの加水分解物等を用いることができる。ゼオライトの原料となるアルミナ成分としては、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ベーマイト等を用いることができる。また、水熱合成時のアルカリ性を発現しかつ、ゼオライトを形成するナトリウムの原料としては、水酸化ナトリウムが用いられる。必要に応じてカルシウム酸化物成分として、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム等、マグネシウム酸化物成分として、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム等、バリウム酸化物成分として、硝酸バリウム、塩化バリウム、水酸化バリウム等が用いられる。
水熱合成においては、上記のゼオライトの原料を含む合成液をオートクレーブのような密閉できる容器に入れ、ここに有機高分子を結合剤としてゼオライト微結晶を付与した多孔質支持体を浸漬し、適度な温度並びに時間合成させてゼオライト結晶膜を多孔質支持体表面に形成する。この際、多孔質支持体の外表面にのみゼオライト結晶膜を形成する際には、円筒状である多孔質支持体の両端の開口部を封止するなどして合成液が内表面に接触しないようにした上で、合成液に浸漬する。また、多孔質支持体の内表面にのみゼオライト結晶膜を形成する際には、外表面をテフロン(登録商標)シールなどで被覆して、合成液の外表面への接触を遮断し、円筒状である多孔質支持体の内部に合成液を充填して、支持体を合成液に浸漬し、適度な温度並びに時間を与えて合成させる、あるいは多孔質支持体の内部に温度を制御した合成液を循環させるなどの方法によりゼオライト結晶膜を形成する。
本発明の複合膜を用いて、パーベーパレーション法によって2種以上の液体の混合溶液から少なくとも1種の液体を分離することができる。
混合溶液としては、水と有機物との混合溶液、2種以上の有機物の混合溶液が好適に用いられる。
水および有機物を含む混合溶液からパーベーパレーション法によって水または有機物を選択的に分離する場合、例えば、発酵によって得られるエタノールと水を含む混合溶液からエタノールまたは水を選択的に分離するには、従来、蒸留が一般的な分離方法であった。しかし、発酵により得られるエタノールと水の混合物は多量の水を含むために、蒸留によって分離濃縮するためには、多量のエネルギーが必要となる。
このような場合に、本発明の複合膜を用いると、ゼオライトの種類を適宜選択することにより、パーベーパレーション法によって水と有機物の混合物から、目的物のみを選択的に、しかも少ないエネルギーの使用で分離することが可能となる。
混合溶液としては、水と有機物との混合溶液、2種以上の有機物の混合溶液が好適に用いられる。
水および有機物を含む混合溶液からパーベーパレーション法によって水または有機物を選択的に分離する場合、例えば、発酵によって得られるエタノールと水を含む混合溶液からエタノールまたは水を選択的に分離するには、従来、蒸留が一般的な分離方法であった。しかし、発酵により得られるエタノールと水の混合物は多量の水を含むために、蒸留によって分離濃縮するためには、多量のエネルギーが必要となる。
このような場合に、本発明の複合膜を用いると、ゼオライトの種類を適宜選択することにより、パーベーパレーション法によって水と有機物の混合物から、目的物のみを選択的に、しかも少ないエネルギーの使用で分離することが可能となる。
水のみを選択的に分離する場合には、ゼオライトの種類として、A型、X型、T型等の親水性ゼオライトを使用する。一方、エタノールを選択的に分離する場合には、ZSM類、シリカライト類等の疎水性ゼオライトを用いて分離することができる。上記以外の混合物の場合にも、種類と目的によって、最適なゼオライトを選択すればよい。
2種以上の有機物の混合溶液を分離する例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、四塩化炭素、トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、シクロヘキサンなどの芳香族類と、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類との混合溶液から、アルコール類を抽出する例が挙げられる。
2種以上の有機物の混合溶液を分離する例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、四塩化炭素、トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、シクロヘキサンなどの芳香族類と、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類との混合溶液から、アルコール類を抽出する例が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
本発明において、多孔質支持体の平均細孔径、並びに空孔率はMicromeritics社製ポアサイザ9320ポロシメータを用いた水銀圧入法によって測定した。測定においては、セル容積約6cm3、ステム体積0.4cm3のセルを用いて、圧力0MPa〜206.8MPaの範囲で水銀を圧入した。測定に用いる多孔質支持体は、測定前に150℃のオーブン中に4時間保持して乾燥させ、デシケータ中にて室温にまで冷却した後に測定に供した。また、測定セルに充填するサンプル量は全水銀圧入容積が0.1cc〜0.3ccの範囲になるように調整し、本測定においては0.1g〜0.5gを用いた。
本発明において、多孔質支持体の平均細孔径、並びに空孔率はMicromeritics社製ポアサイザ9320ポロシメータを用いた水銀圧入法によって測定した。測定においては、セル容積約6cm3、ステム体積0.4cm3のセルを用いて、圧力0MPa〜206.8MPaの範囲で水銀を圧入した。測定に用いる多孔質支持体は、測定前に150℃のオーブン中に4時間保持して乾燥させ、デシケータ中にて室温にまで冷却した後に測定に供した。また、測定セルに充填するサンプル量は全水銀圧入容積が0.1cc〜0.3ccの範囲になるように調整し、本測定においては0.1g〜0.5gを用いた。
(1)多孔質支持体の平均細孔径
水銀圧入法において、圧入する際の圧力と、その圧力で水銀が浸入する細孔径の関係は、次の式(1)のWashburnの式によって表される。
水銀圧入法において、圧入する際の圧力と、その圧力で水銀が浸入する細孔径の関係は、次の式(1)のWashburnの式によって表される。
D=多孔質支持体の細孔径
P=水銀を圧入する際の圧力
γ=水銀の表面張力(480dyne/cm)
θ=水銀と細孔壁面の接触角(ここでは130°)
上式により、圧入圧力Pと細孔径Dの関係が求められる。圧入圧力Pとそれまでに圧入された水銀量は測定により示されるので、上記の関係式から多孔質支持体の体積平均による平均細孔径を求めることができる。
(2)多孔質支持体の空孔率
測定セル内の多孔質支持体サンプルの体積は、測定セルにサンプルと水銀を注入した状態での圧力印加前のセル内でのサンプルと水銀の体積の総和と、注入した水銀の体積の差として求められる。多孔質支持体の空孔率は測定圧力範囲の最高圧力まで水銀を圧入した際の全水銀圧入量に対応する体積に対する、その測定に用いた多孔質支持体サンプルの体積の比として求められる。
測定セル内の多孔質支持体サンプルの体積は、測定セルにサンプルと水銀を注入した状態での圧力印加前のセル内でのサンプルと水銀の体積の総和と、注入した水銀の体積の差として求められる。多孔質支持体の空孔率は測定圧力範囲の最高圧力まで水銀を圧入した際の全水銀圧入量に対応する体積に対する、その測定に用いた多孔質支持体サンプルの体積の比として求められる。
(3)エネルギー分散型X線分光法(EDS)
水熱合成前後の複合膜中の有機結合剤の存在分布は、堀場製作所製EMAX−7000を用いたエネルギー分散型X線分光法(EDS)によるマッピングにより求めた。測定において、電子線加速電圧は15kV、作動距離12mm、ビーム電流0.4nAの条件で電子線を照射し、炭素原子の特性X線を検知することにより、マッピングを行った。
水熱合成前後の複合膜中の有機結合剤の存在分布は、堀場製作所製EMAX−7000を用いたエネルギー分散型X線分光法(EDS)によるマッピングにより求めた。測定において、電子線加速電圧は15kV、作動距離12mm、ビーム電流0.4nAの条件で電子線を照射し、炭素原子の特性X線を検知することにより、マッピングを行った。
[実施例1]
(ゼオライト微結晶分散溶液の作製)
結合剤としてポリビニルブチラール300(和光純薬製、平均重合度200−400)0.4g、メトキシプロパノール19.8gを混合し、結合剤が完全に溶解した後、A型ゼオライト微結晶(水澤化学社製シルトン−B、粒径0.8μm)0.4gを加え、十分に攪拌することにより、ゼオライト微結晶分散溶液を作製した。
(ゼオライト微結晶分散溶液の作製)
結合剤としてポリビニルブチラール300(和光純薬製、平均重合度200−400)0.4g、メトキシプロパノール19.8gを混合し、結合剤が完全に溶解した後、A型ゼオライト微結晶(水澤化学社製シルトン−B、粒径0.8μm)0.4gを加え、十分に攪拌することにより、ゼオライト微結晶分散溶液を作製した。
(ゼオライト微結晶の多孔質支持体への担持)
外径1.2mm、膜厚0.2mm、平均細孔径0.25μm、空孔率48%のアルミナ粒子の焼結によって得られたアルミナ多孔質支持体の両端を封止した後、ゼオライト微結晶分散溶液に10秒間浸漬した。引上げ後、60℃空気雰囲気下において1時間乾燥させることにより、アルミナ多孔質支持体表面に、結合剤によってゼオライト微結晶を担持させた。担持させたゼオライト微結晶は支持体に衝撃を加えても脱離することなく、また指で擦っても脱離しなかった。
図1に得られたゼオライト微結晶を担持させた支持体の断面電子顕微鏡(SEM)像並びに、エネルギー分散型X線分光法(EDS)により観測される断面における炭素の存在分布を示す。SEM像より多孔質支持体表面にゼオライト微結晶が付与されていることが示される。またEDS像においては結合剤を構成する炭素原子が存在する部分が白く示されており、このEDS法により得られた像から、ゼオライト微結晶の周辺に炭素が偏在しており、ゼオライト微結晶が有機高分子によって相互に支持体表面に結合されていることが示される。
外径1.2mm、膜厚0.2mm、平均細孔径0.25μm、空孔率48%のアルミナ粒子の焼結によって得られたアルミナ多孔質支持体の両端を封止した後、ゼオライト微結晶分散溶液に10秒間浸漬した。引上げ後、60℃空気雰囲気下において1時間乾燥させることにより、アルミナ多孔質支持体表面に、結合剤によってゼオライト微結晶を担持させた。担持させたゼオライト微結晶は支持体に衝撃を加えても脱離することなく、また指で擦っても脱離しなかった。
図1に得られたゼオライト微結晶を担持させた支持体の断面電子顕微鏡(SEM)像並びに、エネルギー分散型X線分光法(EDS)により観測される断面における炭素の存在分布を示す。SEM像より多孔質支持体表面にゼオライト微結晶が付与されていることが示される。またEDS像においては結合剤を構成する炭素原子が存在する部分が白く示されており、このEDS法により得られた像から、ゼオライト微結晶の周辺に炭素が偏在しており、ゼオライト微結晶が有機高分子によって相互に支持体表面に結合されていることが示される。
(ゼオライト結晶膜の形成)
長さ10cmの上記の多孔質支持体を用意し、水熱合成法により多孔質支持体表面に、A型ゼオライト結晶からなる層を形成させた。合成液は水、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを、Na2O:SiO2:Al2O3:H2O=2:2:1:125のモル比に配合したスラリーを用い、このスラリーを入れたテフロン(登録商標)製の容器に、上記の多孔質支持体を浸漬して、この容器をオートクレーブに入れ、100℃で3時間15分、水熱合成反応を行った。
反応後、多孔質支持体を取り出し、十分水洗した後、60℃で3時間乾燥させた。乾燥後の多孔質支持体の断面を電子顕微鏡により観察したところ、合成液に接触した側の表面に厚さ約5μmの結晶膜が生成しており、これを広角X線回折によって解析した結果、A型ゼオライト結晶による緻密な層が形成されていることが確認された。この結晶膜を形成しているA型ゼオライトの結晶の寸法は、電子顕微鏡による表面観察の結果、2〜3μmであった。
長さ10cmの上記の多孔質支持体を用意し、水熱合成法により多孔質支持体表面に、A型ゼオライト結晶からなる層を形成させた。合成液は水、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを、Na2O:SiO2:Al2O3:H2O=2:2:1:125のモル比に配合したスラリーを用い、このスラリーを入れたテフロン(登録商標)製の容器に、上記の多孔質支持体を浸漬して、この容器をオートクレーブに入れ、100℃で3時間15分、水熱合成反応を行った。
反応後、多孔質支持体を取り出し、十分水洗した後、60℃で3時間乾燥させた。乾燥後の多孔質支持体の断面を電子顕微鏡により観察したところ、合成液に接触した側の表面に厚さ約5μmの結晶膜が生成しており、これを広角X線回折によって解析した結果、A型ゼオライト結晶による緻密な層が形成されていることが確認された。この結晶膜を形成しているA型ゼオライトの結晶の寸法は、電子顕微鏡による表面観察の結果、2〜3μmであった。
図2に得られた支持体上のゼオライト緻密膜の断面SEM像並びに、EDS法により観測される断面における炭素の存在分布を示す。EDS法により得られた像から、炭素はゼオライト緻密膜の表層に分散して存在しており、水熱合成後、結合剤として用いた有機高分子は主にゼオライト緻密膜の表面に偏在していることが示される。なお、このゼオライト緻密膜表面に存在する結合剤は、以下に述べるパーベーパレーションによる脱水試験の間に流出してなくなることもあるが、分離性能には影響を及ぼさない。
(パーベーパレーションによる脱水試験)
このようにして得られた複合膜を20本用意し、両端をシリコン樹脂で固着し、片側を密閉してモジュールを作製した。
このモジュールを用いて、パーベーパレーション法によってエタノール水溶液から水を選択的に分離する試験を行った。図3にこの試験に用いたモジュールによる分離装置の模式図を示す。モジュール5の内部にエタノール90重量%の水溶液を75℃の温度で循環することにより供給し、モジュール5内の多孔質支持体の内側を真空ポンプ1によって減圧して、各複合膜の外表面から中空内部に、エタノール水溶液中の水を透過させた。複合膜を透過して分離された水は真空ライン2を通過して、液体窒素によって冷却されたトラップ3に集めた。真空ライン2の間には真空計4を設置している。図中でトラップ6は真空ポンプから油が逆流した場合に、ここで捕捉するために設置した。
このようにして得られた複合膜を20本用意し、両端をシリコン樹脂で固着し、片側を密閉してモジュールを作製した。
このモジュールを用いて、パーベーパレーション法によってエタノール水溶液から水を選択的に分離する試験を行った。図3にこの試験に用いたモジュールによる分離装置の模式図を示す。モジュール5の内部にエタノール90重量%の水溶液を75℃の温度で循環することにより供給し、モジュール5内の多孔質支持体の内側を真空ポンプ1によって減圧して、各複合膜の外表面から中空内部に、エタノール水溶液中の水を透過させた。複合膜を透過して分離された水は真空ライン2を通過して、液体窒素によって冷却されたトラップ3に集めた。真空ライン2の間には真空計4を設置している。図中でトラップ6は真空ポンプから油が逆流した場合に、ここで捕捉するために設置した。
冷却トラップ3中の水の重量を測定し、膜の単位面積、単位時間当たりの透過量を求めることにより透過流束(Q)を求めた。トラップされた水に含まれるエタノール濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定することにより、分離係数(α)を求めた。具体的には、供給側のエタノールと水の重量濃度をそれぞれ、X1重量%、X2重量%とし、トラップ中の透過側のエタノールと水の濃度をそれぞれ、Y1重量%、Y2重量%とすると、分離係数(α)は下記の式(2)によって計算される。
α=(X1/X2)/(Y1/Y2) ・・・(2)
20本の複合膜より得られたモジュールを用いて、エタノール90重量%の水溶液から、75℃の温度においてパーベーパレーション法によって、水を選択的に抽出する分離実験を行ったところ、水の透過流束(Q)は7.2kg/m2h、分離係数(α)は14000であった。
評価後、モジュールを分解し複合膜について個別に分離実験を行ったところ、20本中1本のαが9000であったが、残りの19本は全て10000以上の分離係数であった。また、分離係数が10000以上の複合膜の全ての透過流束は7.0kg/m2h以上であった。
α=(X1/X2)/(Y1/Y2) ・・・(2)
20本の複合膜より得られたモジュールを用いて、エタノール90重量%の水溶液から、75℃の温度においてパーベーパレーション法によって、水を選択的に抽出する分離実験を行ったところ、水の透過流束(Q)は7.2kg/m2h、分離係数(α)は14000であった。
評価後、モジュールを分解し複合膜について個別に分離実験を行ったところ、20本中1本のαが9000であったが、残りの19本は全て10000以上の分離係数であった。また、分離係数が10000以上の複合膜の全ての透過流束は7.0kg/m2h以上であった。
[比較例1]
実施例1で用いた多孔質支持体へのゼオライト微結晶の担持方法において、分散液に結合剤であるポリビニルブチラールを添加しない以外は、実施例1と同じ方法で、多孔質支持体上にA型ゼオライト結晶膜を形成させた。
これを20本用いて実施例1と同様にモジュールを作製し、実施例1と同様にエタノール90重量%水溶液からパーベーパレーション法によって、分離実験を行ったところ、水の透過量(Q)は3.8kg/m2h、分離係数(α)は90しかなかった。
評価後、モジュールを分解し複合膜について個別に分離実験を行ったところ、20本中2本に明確なリークが見られ、1本の分離係数は50以下であり、2本の分離係数は300から500であり、3本の分離係数は1000から2000であり、10000以上の分離係数を示したものは残りの12本のみであった。これは水熱合成により得られた20本の複合膜の内、半数以上にゼオライト結晶膜に欠陥を有するものが含まれていることを示している。また、分離係数が10000以上の複合膜の全ての透過流束は5.0kg/m2h以下であった。
実施例1で用いた多孔質支持体へのゼオライト微結晶の担持方法において、分散液に結合剤であるポリビニルブチラールを添加しない以外は、実施例1と同じ方法で、多孔質支持体上にA型ゼオライト結晶膜を形成させた。
これを20本用いて実施例1と同様にモジュールを作製し、実施例1と同様にエタノール90重量%水溶液からパーベーパレーション法によって、分離実験を行ったところ、水の透過量(Q)は3.8kg/m2h、分離係数(α)は90しかなかった。
評価後、モジュールを分解し複合膜について個別に分離実験を行ったところ、20本中2本に明確なリークが見られ、1本の分離係数は50以下であり、2本の分離係数は300から500であり、3本の分離係数は1000から2000であり、10000以上の分離係数を示したものは残りの12本のみであった。これは水熱合成により得られた20本の複合膜の内、半数以上にゼオライト結晶膜に欠陥を有するものが含まれていることを示している。また、分離係数が10000以上の複合膜の全ての透過流束は5.0kg/m2h以下であった。
[実施例2]
結合剤としてポリビニルアルコール(クラレ製ポバールRS−117)0.4g、水19.6gを混合し、結合剤が完全に溶解した後、A型ゼオライト微粒子(水澤化学社製シルトン−B、粒径0.8μm)0.6gを加え、十分に攪拌することにより、ゼオライト微結晶分散溶液を作製した。実施例1で用いた多孔質支持体を水に10秒間浸漬して支持体の細孔内部に水を含浸させた後、60℃の空気雰囲気下に30秒間入れることにより支持体の表面部分のみを乾燥させた。続いて、ゼオライト微結晶分散液に10秒間浸漬し、引上げ後60℃空気雰囲気下において1時間乾燥させることにより、多孔質支持体表面に、結合剤によってゼオライト微結晶を担持させた。担持させたゼオライト微結晶は支持体に衝撃を加えても脱離することなく、また指で擦っても脱離しなかった。
これを20本用いて実施例1と同様にモジュールを作製し、実施例1と同様にエタノール90重量%水溶液からパーベーパレーション法によって、分離実験を行ったところ、水の透過流束(Q)は7.3kg/m2h、分離係数(α)は13000であった。
評価後、モジュールを分解し複合膜について個別に分離実験を行ったところ、20本中1本のαが9000であったが、残りの19本は全て10000以上の分離係数であった。また、分離係数が10000以上の複合膜の全ての透過流束は7.0kg/m2h以上であった。
結合剤としてポリビニルアルコール(クラレ製ポバールRS−117)0.4g、水19.6gを混合し、結合剤が完全に溶解した後、A型ゼオライト微粒子(水澤化学社製シルトン−B、粒径0.8μm)0.6gを加え、十分に攪拌することにより、ゼオライト微結晶分散溶液を作製した。実施例1で用いた多孔質支持体を水に10秒間浸漬して支持体の細孔内部に水を含浸させた後、60℃の空気雰囲気下に30秒間入れることにより支持体の表面部分のみを乾燥させた。続いて、ゼオライト微結晶分散液に10秒間浸漬し、引上げ後60℃空気雰囲気下において1時間乾燥させることにより、多孔質支持体表面に、結合剤によってゼオライト微結晶を担持させた。担持させたゼオライト微結晶は支持体に衝撃を加えても脱離することなく、また指で擦っても脱離しなかった。
これを20本用いて実施例1と同様にモジュールを作製し、実施例1と同様にエタノール90重量%水溶液からパーベーパレーション法によって、分離実験を行ったところ、水の透過流束(Q)は7.3kg/m2h、分離係数(α)は13000であった。
評価後、モジュールを分解し複合膜について個別に分離実験を行ったところ、20本中1本のαが9000であったが、残りの19本は全て10000以上の分離係数であった。また、分離係数が10000以上の複合膜の全ての透過流束は7.0kg/m2h以上であった。
[実施例3]
多孔質支持体としてポリビニリデンフロライドよりなる有機中空糸(旭化成ケミカルズ製PVDF−TP、外径2mm、膜厚0.3mm、平均細孔径0.45μm)を用い、実施例1で用いたものと同じ分散液を用いて種となるゼオライト微結晶を担持した。担持させたゼオライト微結晶は支持体に衝撃を加えても脱離することなく、また指で擦っても脱離しなかった。図4にゼオライト微結晶を担持した、有機中空糸のSEM像を示す。図4よりゼオライト微結晶は多孔質支持体表面に均一に付与されていることが示される。ゼオライト微結晶を担持したこの多孔質支持体を、実施例1と同じ条件で水熱合成を施してA型ゼオライト結晶膜を形成させた。得られた複合膜を75℃に保持した90重量%のエタノール水溶液に接触させ、中空糸内側を減圧することにより、パーベーパレーション法によって分離実験を行ったところ、水の透過流束(Q)は4.2kg/m2h、分離係数(α)は10000であった。
評価後、モジュールを分解し複合膜を個別に分離実験を行ったところ、20本中3本のαが3000から5000の範囲であったが、残りの17本は全て10000以上の分離係数であった。また、分離係数が10000以上の複合膜の全ての透過流束は4.0kg/m2h以上であった。
多孔質支持体としてポリビニリデンフロライドよりなる有機中空糸(旭化成ケミカルズ製PVDF−TP、外径2mm、膜厚0.3mm、平均細孔径0.45μm)を用い、実施例1で用いたものと同じ分散液を用いて種となるゼオライト微結晶を担持した。担持させたゼオライト微結晶は支持体に衝撃を加えても脱離することなく、また指で擦っても脱離しなかった。図4にゼオライト微結晶を担持した、有機中空糸のSEM像を示す。図4よりゼオライト微結晶は多孔質支持体表面に均一に付与されていることが示される。ゼオライト微結晶を担持したこの多孔質支持体を、実施例1と同じ条件で水熱合成を施してA型ゼオライト結晶膜を形成させた。得られた複合膜を75℃に保持した90重量%のエタノール水溶液に接触させ、中空糸内側を減圧することにより、パーベーパレーション法によって分離実験を行ったところ、水の透過流束(Q)は4.2kg/m2h、分離係数(α)は10000であった。
評価後、モジュールを分解し複合膜を個別に分離実験を行ったところ、20本中3本のαが3000から5000の範囲であったが、残りの17本は全て10000以上の分離係数であった。また、分離係数が10000以上の複合膜の全ての透過流束は4.0kg/m2h以上であった。
[実施例4]
(ベーパーパーミエーションによる脱水試験)
実施例1で作成した複合膜を用いて、ベーパーパーミエーション法によってエタノールと水の蒸気よりなる混合気体から水を選択的に分離する試験を行った。図6にこの試験に用いた分離装置の模式図を示す。
容積1リットルのオートクレーブ7の内部にエタノール90重量%の水溶液200gを入れ、密閉して130℃にまで全体を過熱することにより、オートクレーブ内部をエタノールと水の蒸気による混合気体の雰囲気とした。オートクレーブ内部に設置した複合膜8の内側を真空ポンプ1によって減圧して、複合膜8の外表面から中空内部に、エタノール水溶液中の水を透過させた。複合膜8を透過して分離された水は真空ライン2を通過して、液体窒素によって冷却されたトラップ3に集めた。真空ライン2の間には真空計4を設置している。図中でトラップ6は真空ポンプから油が逆流した場合に、ここで捕捉するために設置した。パーベーパレーション法と同様に冷却トラップ3中の水の重量並びに、トラップされた水に含まれるエタノール濃度から、ベーパーパーミエーション法による透過流束と分離係数を求めた結果、水の透過流束(Q)は19.2kg/m2h、分離係数(α)は16000であった。
(ベーパーパーミエーションによる脱水試験)
実施例1で作成した複合膜を用いて、ベーパーパーミエーション法によってエタノールと水の蒸気よりなる混合気体から水を選択的に分離する試験を行った。図6にこの試験に用いた分離装置の模式図を示す。
容積1リットルのオートクレーブ7の内部にエタノール90重量%の水溶液200gを入れ、密閉して130℃にまで全体を過熱することにより、オートクレーブ内部をエタノールと水の蒸気による混合気体の雰囲気とした。オートクレーブ内部に設置した複合膜8の内側を真空ポンプ1によって減圧して、複合膜8の外表面から中空内部に、エタノール水溶液中の水を透過させた。複合膜8を透過して分離された水は真空ライン2を通過して、液体窒素によって冷却されたトラップ3に集めた。真空ライン2の間には真空計4を設置している。図中でトラップ6は真空ポンプから油が逆流した場合に、ここで捕捉するために設置した。パーベーパレーション法と同様に冷却トラップ3中の水の重量並びに、トラップされた水に含まれるエタノール濃度から、ベーパーパーミエーション法による透過流束と分離係数を求めた結果、水の透過流束(Q)は19.2kg/m2h、分離係数(α)は16000であった。
[比較例2]
結合剤として水ガラス(和光純薬製、SiO2/Na2O=2.06〜2.31(Mol ratio))2.0g、水18.0gを混合し、結合剤が完全に溶解した後、A型ゼオライト微結晶(水澤化学社製シルトン−B、粒径0.8μm)0.4gを加え、十分に攪拌することにより、ゼオライト微結晶分散溶液を作製した。多孔質支持体として実施例2で用いたものと同じ有機中空糸を用い、両端を封止した後、ゼオライト微結晶分散溶液に10秒間浸漬し、引上げ後60℃空気雰囲気下において1時間乾燥させることにより、水ガラス結合剤によってゼオライト微結晶を担持させる処理を行った。図5に上記のようにしてゼオライト微結晶の担持処理を施した、有機中空糸のSEM像を示す。図5より水ガラスを結合剤として用いた場合には、有機中空糸表面には殆んどゼオライト微結晶が担持されていないことが示される。この多孔質支持体を実施例1と同じ条件で水熱合成を施した後、パーベーパレーション法による分離実験を行ったところ、供給液と透過液の組成に差異はなく、全く分離性能を示さなかった。
評価後、モジュールを分解し複合膜について個別に分離実験を行ったところ、20本の全てに明確なリークが見られ、分離性能を示したものは1本もなかった。
これらの結果により、混合物から目的物を経済的に分離する方法として、本発明の複合膜を用いると、従来技術に比べて高い処理能力が得られることは明らかである。
結合剤として水ガラス(和光純薬製、SiO2/Na2O=2.06〜2.31(Mol ratio))2.0g、水18.0gを混合し、結合剤が完全に溶解した後、A型ゼオライト微結晶(水澤化学社製シルトン−B、粒径0.8μm)0.4gを加え、十分に攪拌することにより、ゼオライト微結晶分散溶液を作製した。多孔質支持体として実施例2で用いたものと同じ有機中空糸を用い、両端を封止した後、ゼオライト微結晶分散溶液に10秒間浸漬し、引上げ後60℃空気雰囲気下において1時間乾燥させることにより、水ガラス結合剤によってゼオライト微結晶を担持させる処理を行った。図5に上記のようにしてゼオライト微結晶の担持処理を施した、有機中空糸のSEM像を示す。図5より水ガラスを結合剤として用いた場合には、有機中空糸表面には殆んどゼオライト微結晶が担持されていないことが示される。この多孔質支持体を実施例1と同じ条件で水熱合成を施した後、パーベーパレーション法による分離実験を行ったところ、供給液と透過液の組成に差異はなく、全く分離性能を示さなかった。
評価後、モジュールを分解し複合膜について個別に分離実験を行ったところ、20本の全てに明確なリークが見られ、分離性能を示したものは1本もなかった。
これらの結果により、混合物から目的物を経済的に分離する方法として、本発明の複合膜を用いると、従来技術に比べて高い処理能力が得られることは明らかである。
本発明の複合膜は、パーベーパレーション法及びベーパーパーミエーション法により、液体、気体、またはそれらの混合物から特定の成分のみを抽出する分離膜として好適に利用できる。特に、共沸状態となるため、従来の蒸留法では分離できなかった、エタノールと水のような系にも本発明の複合膜を利用することができる。
1 真空ポンプ
2 真空ライン
3 冷却トラップ
4 真空計
5 モジュール
6 トラップ
7 オートクレーブ
8 複合膜
2 真空ライン
3 冷却トラップ
4 真空計
5 モジュール
6 トラップ
7 オートクレーブ
8 複合膜
Claims (10)
- 有機高分子を結合剤として、表面にゼオライト微結晶を付与した多孔質支持体を、ゼオライトの原料を含む合成液に接触させ、水熱合成を施すことにより、多孔質支持体の内表面あるいは外表面の少なくとも一方の表面にゼオライト結晶膜を形成することを特徴とする複合膜の製造方法。
- 多孔質支持体がセラミックスまたは金属から選ばれる無機物からなることを特徴とする、請求項1記載の複合膜の製造方法。
- 多孔質支持体が有機高分子からなることを特徴とする、請求項1記載の複合膜の製造方法。
- ゼオライト結晶膜がA型、X型、Y型、T型、L型、ZSM類、ソーダライト類、モルデナイト類およびシリカライト類から選ばれた一種からなることを特徴とする請求項1記載の複合膜の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られた複合膜。
- ゼオライト結晶膜が親水性ゼオライトからなることを特徴とする請求項5記載の複合膜。
- ゼオライト結晶膜が疎水性ゼオライトからなることを特徴とする請求項5記載の複合膜。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の複合膜を用いてパーベーパレーション法又はベーパーパーミエーション法によって2種以上の成分からなる混合溶液又は混合気体から少なくとも1種の成分を分離する物質分離方法。
- 水と有機物からなる混合溶液から少なくとも1種の成分を分離することを特徴とする請求項8記載の物質分離方法。
- 2種以上の有機物からなる混合溶液から少なくとも1種の成分を分離することを特徴とする請求項8記載の物質分離方法。
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