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JP2009046005A - 電気式動力舵取装置 - Google Patents

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JP2009046005A
JP2009046005A JP2007213663A JP2007213663A JP2009046005A JP 2009046005 A JP2009046005 A JP 2009046005A JP 2007213663 A JP2007213663 A JP 2007213663A JP 2007213663 A JP2007213663 A JP 2007213663A JP 2009046005 A JP2009046005 A JP 2009046005A
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Ken Fukuda
研 福田
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Abstract

【課題】昇圧手段を用いることなくアシストモータの電力制限を行い得る電気式動力舵取装置を提供する。
【解決手段】ECU40は、d軸電流指令値Id*とd軸実電流値Idとの偏差およびq軸電流指令値Iq*とq軸実電流値Iqとの偏差に応じた比例積分制御により設定されるd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を、アシストモータ30の消費電力Wが電力制限値WLIMより大きい場合に、消費電力Wおよび電力制限値WLIMに基づいて減少させるように制限することによりd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*を設定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、操舵を補助するアシストモータの電力制限を行う電気式動力舵取装置に関するものである。
従来より、操舵を補助するアシストモータの電力制限を行う電気式動力舵取装置として、例えば、下記特許文献1に示す、電動パワーステアリング装置の制御装置が知られている。この電動パワーステアリング装置は、入力電圧を昇圧する昇圧手段としての昇降圧回路を備えており、操舵状態に応じて設定される目標昇圧電圧まで入力電圧を昇圧することにより、操舵補助力を発生させるアシストモータの電力制限を行っている。
具体的には、例えば、操舵トルクや車速等により設定される電動機トルク指令値が大きい場合、目標昇圧電圧を小さく設定するようにアシストモータの電力制限を行うことによりインダクタや各スイッチ等の発熱を抑制している。
特開2003−267235号公報
ところで、例えば、エンジンと駆動モータとを駆動システムとして併用するハイブリッド車両においては、車載されているDC−DCコンバータにより電力制限された高電圧(例えば、46V)が操舵を補助するアシストモータに直接供給されている。この場合において、DC−DCコンバータの電力制限機能が誤作動等してしまうと、上記アシストモータの電力制限を行うことができなくなる。この場合、電気式動力舵取装置自身が昇圧手段等の電力制限機能を有しないと、例えば、アシストモータが過負荷状態であるとき等にDC−DCコンバータが過負荷となってしまう可能性がある。
また、電気式動力舵取装置が昇圧手段を有していてもその昇圧手段が誤作動等している場合や電気式動力舵取装置が昇圧手段そのものを有しない場合であっても、上述のようなアシストモータの電力制限を行うことができない。この場合、例えば、急操舵中に転舵輪をこれ以上は切ることができない最大転舵状態(以下、エンド当て状態ともいう)までステアリングホイールが切り込まれた状況等、アシストモータが高速で回転しているときに操舵輪の転舵が急停止する操舵状況では、アシストモータの電力制限による当該アシストモータの回転数制限ができないため、この回転数に応じた大きな回転力が操舵輪とアシストモータとの間に配置されているインタミディエイトシャフトやユニバーサルジョイント等の操舵系に強いねじれトルクとして作用するという問題が生じてしまう。この問題は、ハイブリッド車両に限らず、12V仕様のバッテリを電源とする電気式動力舵取装置においても同様である。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、昇圧手段を用いることなくアシストモータの電力制限を行い得る電気式動力舵取装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の電気式動力舵取装置では、車両のステアリングホイール(21)による操舵系(23、24、24a、25)の操舵を補助可能なアシスト力を出力するアシストモータ(30)と、前記アシストモータに供給されるモータ電流値(Id、Iq)を検出するモータ電流値検出手段(47)と、操舵状況に応じて電流指令値(Id*、Iq*)を設定する電流指令値設定手段(40)と、前記電流指令値と前記モータ電流値との偏差に応じた比例積分制御により電圧指令値(Vd*、Vq*)を設定する電圧指令値設定手段(40)と、前記アシストモータの消費電力(W)が所定の電力制限値(WLIM)より大きい場合に、前記消費電力および前記所定の電力制限値に基づいて前記電圧指令値を減少させるように制限して電圧制限値(Vd*、Vq*)を設定する制限手段(40)と、前記制限手段により制限された前記電圧制限値に基づき前記アシストモータを制御するモータ制御手段(40)と、を備えることを技術的特徴とする。
請求項1の発明では、電流指令値とモータ電流値との偏差に応じた比例積分制御により設定される電圧指令値を、アシストモータの消費電力が所定の電力制限値より大きい場合に消費電力および所定の電力制限値に基づいて減少させるように制限することにより、電圧制限値が設定される。
これにより、アシストモータの消費電力が所定の電力制限値より大きい場合、例えば、アシストモータが過負荷状態である場合やアシストモータの高速回転中に操舵輪の転舵が急停止する場合には、電圧指令値を減少させるように制限された電圧制限値に基づきアシストモータが駆動制御される。
このため、DC−DCコンバータの電力制限機能が誤作動等してしまった場合や昇圧手段が誤作動等している場合、昇圧手段そのものを有しない場合であっても、上述のように減少するように制限された電圧制限値に基づいてアシストモータを駆動制御することにより、アシストモータの電力制限がなされ得る。この電力制限により、例えば、当該アシストモータの回転数が適切に制限されることとなる。
したがって、昇圧手段を用いることなくアシストモータの電力制限を行うことができる。
請求項2の発明では、所定の電力制限値は、アシストモータのアシスト力により所定の回転数で回転しているインタミディエイトシャフトやユニバーサルジョイント等の操舵系の急停止により当該操舵系に作用するアシストトルクや回転慣性力等の回転力が許容し得る値である場合の上記所定の回転数に対応する電力値である。
このため、操舵系が上記所定の回転数を超えて回転するような操舵状況では、上述のように減少するように制限された電圧制限値に基づいてアシストモータが電力制限される。これにより、操舵系が上記所定の回転数を超えて回転することもないので、エンド当て状態の様にアシストモータの高速回転中に操舵輪の転舵が急停止しても操舵系の許容値を超えるような回転力が当該操舵系に作用することもない。
請求項3の発明では、制限手段は、消費電力が所定の電力制限値以下である場合に、電圧制限値を電圧指令値に等しくするように設定する。アシストモータの消費電力が上記所定の電力制限値以下である場合には、アシストモータの電力制限を行う必要がないからである。これにより、不必要な電圧制限処理をなくすことができる。
請求項4の発明では、制限手段は、電圧指令値に対して上記所定の電力制限値を乗算するとともにアシストモータの消費電力で除算することにより、上記所定の電力制限値とアシストモータの消費電力との比に応じて、当該電圧指令値を減少させるように制限して電圧制限値を設定する。
これにより、電圧制限値が上記所定の電力制限値とアシストモータの消費電力との比を考慮して制限されるので、制限された電圧制限値に基づき制御されるアシストモータの消費電力が上記所定の電力制限値にほぼ等しくなり、適切にアシストモータの電力制限を行うことができる。
請求項5の発明では、上記所定の電力制限値は、電源から入力される電圧の値に応じて設定される。これにより、電源の劣化等により電源から入力される電圧の値が低下した場合であっても、上記所定の電力制限値が低下してアシストモータの電力制限がなされ、引込電流増大による素子破損の回避やエンジンストール回避がなされ得る。
以下、本発明の一実施形態について図を参照して説明する。まず、本実施形態に係る電気式動力舵取装置の構成を図1(A)(B)に基づいて説明する。
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る電気式動力舵取装置20の全体構成例を示す構成図である。電気式動力舵取装置20は、主に、ステアリングホイール21、ステアリング軸22、中間シャフト23、インタミディエイトシャフト24、ピニオン入力軸25、トルクセンサ26、減速機27、ラックアンドピニオン28、ロッド29、アシストモータ30、モータ回転角センサ31、ECU40等から構成されている。
図1(A)に示すように、ステアリングホイール21には、ステアリング軸22の一端側が接続されており、このステアリング軸22の他端側にはトルクセンサ26の入力側が接続されている。またこのトルクセンサ26の出力側には、中間シャフト23の一端側が接続されている。トルクセンサ26は、図略のトーションバーとこのトーションバーを挟むようにトーションバーの両端に取り付けられた2つのレゾルバとからなり、トーションバーの一端側を入力、他端側を出力とする入出力間で生じるトーションバーの捻れ量等を当該2つのレゾルバにより検出することで、ステアリングホイール21による操舵トルクTや操舵角θsを検出し得るように構成されている。
トルクセンサ26の出力側に接続される中間シャフト23の途中には、減速機27が連結されており、アシストモータ30から出力されるアシスト力をこの減速機27を介して中間シャフト23に伝達し得るように構成されている。
即ち、図面には示されていないが、動力伝達機構としての減速機27は、アシストモータ30の出力軸に取り付けられたモータギヤと減速機27の減速ギヤとが互いに噛合可能に構成されており、アシストモータ30の出力軸が回転すると所定の減速比で減速機27の減速ギヤが回転することで、アシストモータ30による駆動力(アシスト力)を中間シャフト23に伝達可能にしている。
アシストモータ30には、当該アシストモータ30の回転角(モータ回転角θm)を検出可能なモータ回転角センサ31が取り付けられており、このモータ回転角センサ31により検出されるモータ回転角θmに対応する信号をECU40に出力し得るように構成されている。
この中間シャフト23の他端側とピニオン入力軸25の一端側との間には、それぞれユニバーサルジョイント24a等を介してインタミディエイトシャフト24が配置されており、このインタミディエイトシャフト24は、中間シャフト23の回転をピニオン入力軸25の回転として伝達する役割を果たす。
ピニオン入力軸25の他端側には、ラックアンドピニオン28を構成する図略のラック軸のラック溝に噛合可能なピニオンギヤが形成されている。
このラックアンドピニオン28では、ピニオン入力軸25の回転運動をラック軸の直線運動に変換可能にしており、またこのラック軸の両端にはロッド29が連結され、さらにこのロッド29の端部には図略のナックル等を介して操舵輪FR、FLが連結されている。これにより、ピニオン入力軸25が回転すると、ラックアンドピニオン28、ロッド29等を介して操舵輪FR、FLの実舵角を変化させることができるので、ピニオン入力軸25の回転量および回転方向に従った操舵輪FR、FLの操舵を可能にしている。
次に、アシストモータ30の駆動制御を担うECU40の電気的構成を図1(B)に基づいて説明する。図1(B)に示すように、ECU40は、主に、MPU60、インターフェイスI/F42、モータ駆動回路50等により構成されており、MPU60を中心に入出力バスを介してインターフェイスI/F42やモータ駆動回路50等が接続されている。なお、図1(B)に示す符号47は、アシストモータ30に実際に流れるモータ電流値iを検出し得る電流センサ47であり、この電流センサ47により検出されたモータ電流値iに関するセンサ情報は、モータ電流値信号としてインターフェイスI/F42を介してMPU60に入力され得るように構成されている。
MPU60は、例えば、マイコン、半導体メモリ装置(ROM、RAM、EEPROM等)等から構成されており、電気式動力舵取装置20の基本的なアシストモータ制御を所定のコンピュータプログラムにより実行する機能を有するものである。即ち、MPU60は、モータ回転角センサ31により検出されたモータ回転角θmに基づいてアシストモータ30をベクトル制御する。
インターフェイスI/F42は、上述したトルクセンサ26、モータ回転角センサ31あるいは電流センサ47等から入力される各種センサ信号を、A/D変換器等を介してMPU60の所定ポートに入力する機能等を有するものである。
モータ駆動回路50は、直流電源Battから供給される電力を制御可能な3相交流電力に変換する機能を有するもので(図2参照)、PWM回路とスイッチング回路等から構成されている。
これにより、図2に示すECU40では、後述するPI制御(比例積分制御)により、トルクセンサ26の操舵トルクTに対応する信号やモータ回転角センサ31のモータ回転角に対応する信号あるいは電流センサ47の3相実電流値Iu,Iv,Iwに基づいて、操舵状態に適したアシストトルクをアシストモータ30に発生させ得るため、電気式動力舵取装置20では、ステアリングホイール21による運転者の操舵を補助可能にしている。
次に、ECU40によるアシストモータ30に対するPI制御系の演算処理を図2に基づいて説明する。なおこの演算処理は、ECU40のMPU60により、所定周期(例えば0.2mSec(ミリ秒))ごとに実行される、例えばタイマ割り込み処理によって行われている。
図2に示すように、トルクセンサ26からMPU60に入力される操舵トルクTに対応する信号は、図略のフィルタ回路によりノイズ成分が除去された後、位相補償部61に入力される。位相補償部61では、トルクセンサ26の出力に対する応答性を速くするため位相を進める処理を行った後、位相補償されたトルク信号をアシスト制御部62に出力する。
アシスト制御部62では、位相補償部61から入力されたトルク信号による検出トルクに基づいて操舵力を補助するため、アシストモータ30に発生させる二次磁束に対する電流値、つまり界磁電流値(d軸電流指令値Id*)と、アシストトルクに対応する電流値、つまりトルク指令電流値(q軸電流指令値Iq*)とを設定する処理を行う。例えば、d軸電流指令値Id*は弱め界磁制御による設定が行われ、q軸電流指令値Iq*は検出トルクに基づいて所定のマップや演算式による設定が行われる。このように設定されたd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*は、それぞれPI制御部63、64の前段に位置する加算部に出力される。
PI制御部63、64の前段に位置する加算部では、アシスト制御部62から出力されるd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*と、後述する3相2相変換部68から帰還されるモータ駆動回路50のd軸実電流値Idおよびq軸実電流値Iqとの偏差を求める加算処理を行う。これにより、d軸電流指令値Id*とd軸実電流値Idとの偏差およびq軸電流指令値Iq*とq軸実電流値Iqとの偏差が、それぞれ算出されてPI制御部63、64に出力される。
PI制御部63、64では、比例積分制御が行われる。即ち、PI制御部63では、前段の加算部から出力されたd軸電流指令値Id*とd軸実電流値Idとの偏差、および、所定の比例感度と積分ゲインに基づいて比例積分演算を行い、目標値に達するまで積分値の訂正動作としてd軸電圧指令値Vd*を電圧制限部65に出力する処理を行う。つまり、PI制御部63は、加算部とともにフィードバック演算処理を行う。
またPI制御部64も同様に、q軸電流指令値Iq*とq軸実電流値Iqとの偏差、および、所定の比例感度と積分ゲインに基づいて比例積分演算を行い、目標値に達するまで積分値の訂正動作としてq軸電圧指令値Vq*を電圧制限部65に出力する処理を行う。
電圧制限部65では、3相2相変換部68から入力されたd軸実電流値Idおよびq軸実電流値IqとPI制御部63、64から入力されたd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*とに基づいて、当該d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を減少させるように制限したd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*を設定することによりアシストモータ30の電力制限の処理がなされる。このように設定されたd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*は、2相3相変換部66に出力される。この電力制限処理については、後述する図3に示すフローチャートにて詳細に説明する。
2相3相変換部66は、電圧制限部65から入力されたd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*をdq逆変換(3相変換)して、各相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を演算する処理を行う。2相3相変換部66により逆変換された電圧指令値は、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、W相電圧指令値Vw*としてPWM変換部67に出力される。PWM変換部67では、各相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を各相ごとのPWM指令値PWMu*,PWMv*,PWMw*に変換する処理を行う。
モータ駆動回路50では、PWM変換部67から出力される各相のPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*に基づいて、U相、V相、W相ごとに図略のスイッチング回路をオンオフする。これにより、モータ駆動回路50は、直流電源Battから供給される直流電力を3相交流電力に変換してアシストモータ30に駆動電力を供給するので、トルクセンサ26により検出された操舵状態に適したアシストトルクをアシストモータ30に発生させる。
このとき、後述する電圧制限部65における電力制限処理がなされていた場合には、d軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*の制限度合に応じて各PWM信号のデューティ比が小さくなりアシストモータ30に供給する駆動電力が減少する。これにより、昇圧回路等の電力制限機能と同等の電力制限処理を行い得る。この電力制限により、例えば、当該アシストモータ30の回転数が適切に制限されることとなる。
また、モータ駆動回路50から出力される出力電流は、各相ごとに電流センサ47に検出され、それぞれU相実電流値Iu、V相実電流値Iv、W相実電流値Iwとして3相2相変換部68に出力される。
モータ回転角演算部69は、モータ回転角センサ31から入力されるモータ回転角に対応する信号に基づいてモータ回転角θmを演算する処理を行う。これにより算出されたモータ回転角θmは、3相2相変換部68に出力される。
3相2相変換部68は、電流センサ47から、それぞれ入力された各相(3相)の実電流値Iu,Iv,Iwをdq変換(2相変換)して、d軸実電流値Idおよびq軸実電流値Iqを演算する処理を行う。なお、この3相2相変換部68には、モータ回転角演算部69からモータ回転角θmも入力される。3相2相変換部68により変換されたモータ駆動回路50の出力電流値は、d軸実電流値Idおよびq軸実電流値Iqとして前述のPI制御部63、64の前段に位置する加算部にそれぞれフィードバック入力される。これにより、前述したようにPI制御部63、64によるフィードバック演算処理が可能となる。また、d軸実電流値Idおよびq軸実電流値Iqは、電圧制限部65にも出力される。
このようなアシストモータ30のベクトル制御をMPU60により行うことによって、電気式動力舵取装置20の制御が可能となる。ここで、上述した電圧制限部65におけるアシストモータ30の電力制限処理の流れを、図3に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。図3は、アシストモータ30の電力制限処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS101にてPI制御部63、64から出力されるd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*と3相2相変換部68から出力されるd軸実電流値Idおよびq軸実電流値Iqとを取得すると、ステップS103において、消費電力Wが以下の式(1)により演算される。
W=Vd*×Id+Vq*×Iq ・・・(1)
次に、ステップS105において、消費電力Wが電力制限値WLIMより大きいか否かについて判定される。なお、電力制限値WLIMは、アシストモータ30のアシスト力により所定の回転数で回転しているインタミディエイトシャフト24やユニバーサルジョイント24a等の操舵系の急停止により当該操舵系に作用するアシストトルクや回転慣性力等の回転力が許容し得る値である場合の上記所定の回転数に対応する電力値であって、例えば、500Wに設定されている。
ここで、消費電力Wが電力制限値WLIM以下である場合には(S105でNo)、アシストモータ30の電力制限を行う必要がないと判断されて、ステップS107において、d軸電圧制限値Vd*=Vd*、q軸電圧制限値Vq*=Vq*と設定される。
一方、消費電力Wが電力制限値WLIMより大きい場合には(S105でYes)、アシストモータ30の電力制限を行う必要があると判断されて、ステップS109において電圧制限処理がなされる。この処理では、以下の式(2)、(3)に基づいてd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を減少するように制限したd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*が設定される。
Vd*=Vd*×WLIM/W ・・・(2)
Vq*=Vq*×WLIM/W ・・・(3)
ここで、上記式(2)、(3)に基づくd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*の電圧制限処理について、図4を用いて説明する。図4は、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*とd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*との関係を示す説明図である。
上記式(1)で演算される消費電力Wが電力制限値WLIMより大きい場合、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*は、図4にて波線状の円弧にて示す消費電力W上に位置するとともに実線状の円弧にて示す電力制限値WLIMの外側に位置する(図4の点P参照)。
d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を上記式(2)、(3)に基づき減少させるように電圧制限すると、図4から判るように、d軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*は、波線状の円弧にて示す消費電力Wから実線状の円弧にて示す電力制限値WLIM上の点Pに位置するように電圧制限されることとなる。
上述したステップS107またはステップS109にてd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*が設定されると、ステップS111において、d軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*が2相3相変換部66に出力される。
以上説明したように、本実施形態に係る電気式動力舵取装置20では、ECU40は、d軸電流指令値Id*とd軸実電流値Idとの偏差およびq軸電流指令値Iq*とq軸実電流値Iqとの偏差に応じた比例積分制御により設定されるd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を、アシストモータ30の消費電力Wが電力制限値WLIMより大きい場合に、消費電力Wおよび電力制限値WLIMに基づいて減少させるように制限することによりd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*を設定する。
これにより、アシストモータ30の消費電力Wが電力制限値WLIMより大きい場合、例えば、アシストモータ30が過負荷状態である場合やアシストモータ30の高速回転中に操舵輪FR、FLの転舵が急停止する場合には、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を減少させるように制限したd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*に基づきアシストモータ30が駆動制御される。
このため、例えば、ハイブリッド車両にてアシストモータ30に高電圧を供給するDC−DCコンバータの電力制限機能が誤作動等してしまった場合や電気式動力舵取装置20の昇圧手段が誤作動等している場合、電気式動力舵取装置20が昇圧手段そのものを有しない場合であっても、上述のように減少するように制限されたd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*に基づいてアシストモータ30を駆動制御することにより、アシストモータ30の電力制限がなされ得る。この電力制限により、例えば、当該アシストモータ30の回転数が適切に制限されることとなる。
したがって、昇圧手段を用いることなくアシストモータ30の電力制限を行うことができる。
また、本実施形態に係る電気式動力舵取装置20では、電力制限値WLIMは、アシストモータ30のアシスト力により所定の回転数で回転しているインタミディエイトシャフト24やユニバーサルジョイント24a等の操舵系の急停止により当該操舵系に作用するアシストトルクや回転慣性力等の回転力が許容し得る値である場合の上記所定の回転数に対応する電力値である。
このため、操舵系が上記所定の回転数を超えて回転するような操舵状況では、上述のように減少するように制限されたd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*に基づいてアシストモータ30が電力制限される。これにより、操舵系が上記所定の回転数を超えて回転することもないので、エンド当て状態の様にアシストモータ30の高速回転中に操舵輪FR、FLの転舵が急停止しても操舵系の許容値を超えるような回転力が当該操舵系に作用することもない。
さらに、本実施形態に係る電気式動力舵取装置20では、ECU40は、消費電力Wが電力制限値WLIM以下である場合に、d軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*をd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*に等しくするように設定する。アシストモータ30の消費電力Wが電力制限値WLIM以下である場合には、アシストモータ30の電力制限を行う必要がないからである。これにより、不必要な電圧制限処理をなくすことができる。
さらに、本実施形態に係る電気式動力舵取装置20では、ECU40は、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*に対して電力制限値WLIMを乗算するとともに消費電力Wで除算することにより、電力制限値WLIMと消費電力Wとの比に応じて、当該d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を減少させるように制限してd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*を設定する。
これにより、d軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vq*が電力制限値WLIMと消費電力Wとの比を考慮して制限されるので、制限されたd軸電圧制限値Vd*およびq軸電圧制限値Vqに基づき制御されるアシストモータ30の消費電力Wが電力制限値WLIMにほぼ等しくなり、適切にアシストモータ30の電力制限を行うことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)電力制限値WLIMは、上述したように、例えば、500Wに設定されることに限らず、直流電源BattからECU40に入力される電圧の値であるECU入力電圧値Vbに応じて設定されてもよい。このとき、電力制限値WLIMは、図5に示すECU入力電圧値−電力制限値マップに基づいて、ECU入力電圧値Vbが増加するほど増加し、ECU入力電圧値Vbが所定の閾値を超えると一定になるように設定されてもよい。
これにより、直流電源Battの劣化等によりECU入力電圧値Vbが低下した場合であっても、電力制限値WLIMが低下してアシストモータ30の電力制限がなされ、引込電流増大による素子破損の回避やエンジンストール回避がなされ得る。
(2)電圧制限部65では、図3に示すフローチャートに基づきアシストモータ30の電力制限の処理を行うことに限らず、図6に示すフローチャートに基づきアシストモータ30の電力制限の処理を行うようにしてもよい。図6は、アシストモータ30の電力制限処理の変形例の流れを示すフローチャートである。
詳細には、図6に示すように、ステップS200において、トルクセンサ26により検出される操舵角θsの絶対値が所定の角度閾値θs未満である場合にはNoとの判定を繰り返す。そして、操舵角θsの絶対値が所定の角度閾値θs以上になると(S200でYes)、ステップS101からの処理、すなわち、上述した電力制限処理を行う。ここで、θsは、エンド当て状態になる直前の操舵角であり、例えば、エンド当て状態の操舵角θsを±360°とすると、θsは350°に設定される。
このため、エンド当て状態直前の操舵になるとアシストモータ30の電力制限処理により当該アシストモータ30の回転数が確実に減少するように制限される。これにより、エンド当て状態においてインタミディエイトシャフト24やユニバーサルジョイント24a等の操舵系に作用する回転慣性力を確実に減少させ得る。
(3)上記実施形態では、図1に示すように、アシストモータ30から出力されるアシスト力を減速機27を介してピニオン入力軸25に伝達し得る、いわゆるコラム式の電気式動力舵取装置20を例示して説明したが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、ラックアンドピニオン28にアシストモータおよび減速機を内蔵し、このアシストモータから出力されるアシスト力を減速機を介してラック機構に伝達し得る、いわゆるラック式の電気式動力舵取装置に適用してもよい。
また、ラック軸とアシストモータとを平行に配置したいわゆるラックパラレル式の電気式動力舵取装置、ピニオン入力軸25を有するピニオン部にアシストモータを配置したいわゆるピニオン式の電気式動力舵取装置、または、いわゆるデュアルピニオン式の電気式動力舵取装置等に適用してもよい。
図1(A)は、本発明の実施形態に係る電気式動力舵取装置の全体構成例を示す構成図で、図1(B)は、ECU等の構成例を示す回路ブロック図である。 本実施形態に係るアシストモータのPI制御系に関する機能ブロック図である。 アシストモータの電力制限処理の流れを示すフローチャートである。 d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値とd軸電圧制限値およびq軸電圧制限値との関係を示す説明図である。 ECU入力電圧値−電力制限値マップの一例を示す説明図である。 アシストモータの電力制限処理の変形例の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
20…電気式動力舵取装置
23…中間シャフト(操舵系)
24…インタミディエイトシャフト(操舵系)
24a…ユニバーサルジョイント(操舵系)
25…ピニオン入力軸(操舵系)
30…アシストモータ
40…ECU(電流指令値設定手段、電圧指令値設定手段、制限手段、モータ制御手段)
47…電流センサ(モータ電流値検出手段)
Batt…直流電源(電源)
Id…d軸実電流値
Id*…d軸電流指令値
Iq…q軸実電流値
Iq*…q軸電流指令値
Vb…ECU入力電圧値
Vd*…d軸電圧制限値
Vd*…d軸電圧指令値
Vq*…q軸電圧制限値
Vq*…q軸電圧指令値
W…消費電力
LIM…電力制限値

Claims (5)

  1. 車両のステアリングホイールによる操舵系の操舵を補助可能なアシスト力を出力するアシストモータと、
    前記アシストモータに供給されるモータ電流値を検出するモータ電流値検出手段と、
    操舵状況に応じて電流指令値を設定する電流指令値設定手段と、
    前記電流指令値と前記モータ電流値との偏差に応じた比例積分制御により電圧指令値を設定する電圧指令値設定手段と、
    前記アシストモータの消費電力が所定の電力制限値より大きい場合に、前記消費電力および前記所定の電力制限値に基づいて前記電圧指令値を減少させるように制限して電圧制限値を設定する制限手段と、
    前記制限手段により制限された前記電圧制限値に基づき前記アシストモータを制御するモータ制御手段と、
    を備えることを特徴とする電気式動力舵取装置。
  2. 前記所定の電力制限値は、前記アシストモータの前記アシスト力により所定の回転数で回転している前記操舵系の急停止により当該操舵系に作用する回転力が許容し得る値である場合の前記所定の回転数に対応する電力値であることを特徴とする請求項1記載の電気式動力舵取装置。
  3. 前記制限手段は、前記消費電力が前記所定の電力制限値以下である場合に、前記電圧制限値を前記電圧指令値に等しくなるように設定することを特徴とする請求項1または2記載の電気式動力舵取装置。
  4. 前記制限手段は、前記電圧指令値に対して前記所定の電力制限値を乗算するとともに前記消費電力で除算することにより当該電圧指令値を減少させるように制限して電圧制限値を設定することを特徴とする請求項1または2記載の電気式動力舵取装置。
  5. 前記所定の電力制限値は、電源から入力される電圧の値に応じて設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気式動力舵取装置。
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