本発明の第1の実施形態である光学フィルムは、バインダー樹脂(A)、光酸発生剤および光塩基発生剤からなる群から選択される光活性剤(B)、および酸または塩基により色調が変化する色調可変色材(C)を必須成分として含む光学フィルムであって、その一部に対する光照射によって色調の異なる2つの領域が形成されていることを特徴とする。すなわち、光照射によって光活性剤(B)から酸または塩基を発生させ、フィルム中のpHを変化させる。そのpH変化に応答して、色調可変色材(C)が異なる色調の状態に変化し、色調の異なる2つの領域が形成される。用いる色調可変色材(C)の種類に依存して、該2つの領域においては、通過する光の一部の吸収、ないしは通過する光の一部の変換がなされる。本実施形態の光学フィルムは、表示用途において有用である。
本実施形態の光学フィルムの典型的構成を図1に示す。光学フィルム1は、光照射されなかった第1色調部2と、光照射された第2色調部3とを含む。酸または塩基によって無色から有色へと変化する色調可変部材(C)を用いた場合、第1色調部2は無色であり、第2色調部3は有色である。酸または塩基によって有色から無色へと変化する色調可変部材(C)を用いた場合、第1色調部2は有色であり、第2色調部3は無色である。酸または塩基によって有色から異なる色調の有色へと変化する色調可変部材(C)を用いた場合、第1色調部2および第2色調部3は異なる色調の有色部である。
本実施形態の光学フィルムは、自立フィルムであってもよく、あるいは支持体上に形成される非自立性フィルムであってもよい。非自立性フィルムの支持体としては、透明支持体、あるいは透明支持体上にカラーフィルタなどの光学機能要素を設けた支持体を用いることができる。
本発明において用いられるバインダー樹脂(A)は、ウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル系共重合体樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル−ポリエステル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、シリコーンアクリレート系樹脂、脂環式アクリル樹脂等のアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリオキシエチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、およびそれら樹脂のエマルジョンを含む。あるいはまた、バインダー樹脂(A)は、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ゼラチン、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、含リン樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、水素化石油樹脂、水素化テルペン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン、フェノキシ樹脂、ケトン樹脂、フッ素系樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン等を含む。これらの樹脂は、単一重合体でも共重合体でもよく、また混合物でも差支えない。
あるいはまた、公知の硬化性樹脂を本発明のバインダー樹脂(A)として用いてもよい。用いることができる硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂、エネルギー線感受性樹脂等を含む。熱硬化性樹脂は、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等のプレポリマーの架橋反応を利用する樹脂、あるいはシラン系樹脂(特許文献5参照)であってもよい。
エネルギー線感受性樹脂は、カチオン重合性樹脂およびエネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含み、必要に応じてラジカル重合性樹脂およびエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤とを含む樹脂である。エネルギー線感受性樹脂は、該樹脂を含む塗布液を適切な支持体上に塗布し、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。カチオン重合性樹脂とラジカル重合性樹脂は、本発明にかかる色調可変色材により選択すればよく、色調可変色材が塩基により色調が変化するものでは、カチオン重合性樹脂とラジカル重合性樹脂を使用することができ、色調可変色材が酸により色調が変化するものでは、ラジカル重合性樹脂を使用することができる。
カチオン重合性樹脂とは、1種または複数種のカチオン重合性有機物質の均一な混合物を意味する。該カチオン重合性有機物質は、エネルギー線の照射により活性化したエネルギー線感受性カチオン重合開始剤により、高分子化または架橋反応を起こす化合物を含む。たとえば、該カチオン重合性有機物質は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、環状チオエーテル化合物、ビニルエーテル化合物、エポキシ化合物とラクトンの反応によって得られるスピロオルトエステル化合物、スチレン、ビニルシクロヘキセン、イソブチレン、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物、およびそれらの誘導体等を含む。カチオン重合性基変性シリコーンオイル等を、カチオン重合性有機物質として用いてもよい。
本発明に使用するエネルギー線感受性カチオン重合開始剤は、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能な任意の化合物を含む。好ましくは、エネルギー線感受性カチオン重合開始剤は、エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、一般式[A]m+[B]m-で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
ここで陽イオン[A]m+はオニウムであることが好ましく、その構造は、たとえば、一般式、[(R3)aQ]m+で表すことができる。R3は炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基であり、およびaは1〜5の整数である。R3は各出現毎に同一でも異なっていてもよい。また、R3の少なくとも1つは、芳香環を有することが好ましい。Qは、S、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。陽イオン[(R3)aQ]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qなる関係が成り立つことが必要である(ただし、QがN=Nである場合、原子価q=0とする)。
また、陰イオン[B]m-は、テトラフェニルボレート[B(C6H5)4]-、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[B(C6F5)4]-等の有機ホウ素酸アニオン、またはハロゲン化物錯体であることが好ましく、ハロゲン化物錯体の構造は、たとえば、一般式、[LXb]m-または[LXb-1(OH)]m-で表すことができる。Lは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲン原子であり、bは3〜7の整数である。また、陰イオン[LXb]m-または[LXb-1(OH)]m-中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必要である。一般式[LXb]m-を有する陰イオンは、たとえば、テトラフルオロボレート(BF4)-、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-等を含む。
また、用いることができる陰イオン[B]m-は、過塩素酸イオン(ClO4)-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3)-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3)-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフルオロブタンスルフォネート、ヘキサデカフルオロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を含む。これらの陰イオンの1種を単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に使用するエネルギー線感受性カチオン重合開始剤は、好ましくは、以下の化合物:
(イ) フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩;
(ロ) ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩;
(ハ) トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4'−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4'−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4'−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4'−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4'−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4'−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のトリアリールスルホニウム塩;
(ニ) ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートと4,4'−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェートとの混合物;
(ヘ)(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体;および
(ホ) トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物
を含む。
ラジカル重合性樹脂とは、1種または複数種のラジカル重合性有機物質の均一な混合物を意味する。該ラジカル重合性有機物質は、エネルギー線の照射により活性化されたエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤のにより高分子化または架橋反応する化合物であり、好ましくは1分子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有する。該ラジカル重合性有機物質は、たとえばアクリレート化合物、メタクリレート化合物、アリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物、およびラジカル重合性基変性シリコーンオイル等を含む。所望の性能に応じて、2種以上のこれらラジカル重合性有機物質を配合して使用することができる。
エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤とは、エネルギー線照射を受けることによってラジカル重合を開始させることが可能となる化合物を意味する。エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤は、たとえば、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、チオキサントン系化合物等のケトン系化合物を含む。所望の性能に応じて、2種以上のエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤を配合して使用することができる。
エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤として使用可能なアセトフェノン系化合物は、たとえば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4'−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−(1,1−ジメチルエチル)ジクロロアセトフェノン、p−(1,1−ジメチルエチル)トリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が挙げられる。
エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤として使用可能なベンジル系化合物は、ベンジル、アニシル等を含む。
エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤として使用可能なベンゾフェノン系化合物は、たとえば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド等を含む。
エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤として使用可能なチオキサントン系化合物は、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等を含む。
あるいはまた、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフェインオキサイド、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)]チタニウム等を、本発明におけるエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤として用いてもよい。
前述のエネルギー線感受性カチオン重合開始剤およびエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤を活性化するためのエネルギー線として、波長190〜380nmの紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等を用いることができる。紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプ等を用いることができる。
本発明において用いられる光活性剤(B)は、その物質自体に、またはその物質を含む樹脂組成物に対する活性エネルギー線(光または電子線等)の作用によって分解し、活性種を発生させる化合物を意味する。本発明の光活性剤(B)は、活性種として酸を発生させる光酸発生剤(B1)、または活性種として塩基を発生させる光塩基発生剤(B2)を含む。これらの光酸発生剤(B1)または光塩基発生剤(B2)を用いることによって、樹脂組成物中のpHを制御することができる。
本発明において用いることができる光酸発生剤(B1)は、好ましくは200〜800nmの波長を有する光、より好ましくは200〜400nmの波長を有する紫外線を吸収し、直接もしくは間接的に酸を発生する化合物である。光酸発生剤(B1)から発生する酸は、後述の色調可変色材(C)に作用して、酸不安定基の解裂、閉環などの反応などを起こすことにより、該化合物の色調を変化させる。後述のように、酸着色性色材(C1)を用いた場合、光酸発生剤(B1)から発生する酸により、酸着色性色材(C1)は無色状態から有色状態へと変化する。本発明において、1種類の光酸発生剤(B1)を用いてもよく、2種以上の光酸発生剤(B1)を組み合わせて用いてもよい。本発明において用いることができる光酸発生剤(B1)は、トリアジン系化合物、アセトフェノン誘導体化合物、ベンゾフェノン系化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、ジアゾメタン系化合物、ジアゾケトン化合物、ジアゾナフトキノン化合物、スルホン酸誘導体化合物、スルホンイミド化合物、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、ニトロベンジルエステル、オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、チアゾール類、イミダゾール類、イソシアヌル酸化合物、アゾール系化合物、ホスフィンオキシド類、チオキサントン化合物、、鉄アレーン錯体、芳香族シラノール・アルミニウム錯体等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。あるいはまた、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、オキソニウム、ピリジニウムなどのオニウム型イオンのB(C6F5)4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を、光酸発生剤(B1)として用いてもよい。
光酸発生剤(B1)として使用可能なトリアジン系化合物は、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(ベンゾ[d]1,3−ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なアセトフェノン誘導体化合物は、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−ジフェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なベンゾフェノン系化合物は、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なハロゲン含有化合物は、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物等、好ましくは、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なスルホン化合物は、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物等、好ましくは、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なジアゾメタン化合物は、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(ベンゾイル)ジアゾメタン等が挙げられる。
光酸発生剤(B1)として使用可能なジアゾケトン化合物は、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を含む。該ジアゾナフトキノン化合物は、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノンとのエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとのエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸とジアミノジフェニルエーテル等とのアミド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸と2,3,4,4’−テトロヒドロキシベンゾフェノン、メチルガレート、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとのエステル、ジアミノジフェニルエーテル等とのアミド等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なスルホン酸誘導体化合物は、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等、好ましくはベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なスルホンイミド化合物は、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なホスフィンオキシド類は、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2,6−ジクロルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なチオキサントン化合物は、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等を含む。
光酸発生剤(B1)として使用可能なオニウム化合物塩は、たとえばジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムメシレート、ジフェニルヨードニウムトシレート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウムメシレート、ビス(p−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウムトシレート、ビス(p−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(p−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムクロリド、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムブロミド、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート等を含む。
光酸発生剤(B1)の配合量は、バインダー樹脂(A)100質量部に対して1〜300質量部、好ましくは2〜100質量部の範囲で選ばれる。前述の範囲内の配合量を用いることによって、発生する酸によって色調可変色材(C)の色調を十分に変化させると同時に、優れた保存安定性を有する光学フィルムを提供することができる。
本発明において用いることができる光塩基発生剤(B2)は、200〜800nmの波長を有する光を吸収し、アミン(NH3、RNH2(Rはアルキル基等の1価有機基)等のアミン化合物)、アミンアニオン(NH2 -)、ヒドロキシアニオン(OH-)等の塩基を発生する構造を有する化合物である。本発明において、1種類の光塩基発生剤(B2)を用いてもよく、2種以上の光塩基発生剤(B2)を組み合わせて用いてもよい。
光塩基発生剤(B2)として使用可能なアミンを発生する化合物は、たとえば、4,4'−[ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トリメチレン]ジピペリジン(非特許文献1および2参照)等を含む。
光塩基発生剤(B2)として使用可能なヒドロキシアニオンを発生する化合物は、9−ヒドロキシ−10−メチル−9−フェニル−9,10−ジヒドロアクリジン)(非特許文献3、および合成法に関して非特許文献4参照)等を含む。
また、本発明において用いることができる光塩基発生剤(B2)は、遷移金属錯体、ベンジルカルバメート構造を有する化合物、オルト置換ニトロベンゼン構造を有する化合物、オキシム類、イミダゾール誘導体、ベンゾイン系化合物、N−ホルミル化芳香族アミノ基を有する化合物、N−アシル化芳香族アミノ基を有する化合物、アルコオキシベンジルカーバメート基を有する化合物、1,4−ジヒドロピリジン骨格を有する化合物、オキシムエステル、第四級アンモニウム塩等を含む。
用いることができる遷移金属錯体は、ブロモペンタアンモニアコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタプロピルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサアンモニアコバルト過塩素酸塩、ヘキサメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサプロピルアミンコバルト過塩素酸塩等を含む。
用いることができるベンジルカルバメート構造を有する化合物は、[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ブチルアミン、[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]エチレンジアミン、ビス[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α、α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン等を含む。
用いることができるオルト置換ニトロベンゼン構造を有する化合物は、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−ジイソプロピルアミン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−ビス(3−ペンチル)アミン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−ビス(4−ヘプチル)アミン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−ジシクロプロピルアミン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−ジシクロブチルアミン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−ジシクロペンチルアミン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−ジシクロヘキシルアミン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルピペリジン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルピロリジン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチル−4−メチル−ピペラジン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルモルホリン、N−{[(4、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルチオモルホリン、N−{[(3、4−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルピペリジン、N−{[(3、5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルピペリジン、N−{[(3、6−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルピペリジン、N−{[(4、6−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルピペリジン、N−{[(5、6−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2、6−ジメチルピペリジン等を含む。
用いることができるアシルオキシイミノ類は、プロピオニルアセトフェノンオキシム、プロピオニルベンゾフェノンオキシム、プロピオニルアセトンオキシム、ブチリルアセトフェノンオキシム、ブチリルアセトンオキシム、アジポイルアセトフェノンオキシム、アジポイルアセトンオキシム、アクロイルアセトフェノンオキシム、アルロイルベンゾフェノンオキシム、アクロイルアセトンオキシム等を含む。
用いることができるイミダゾール誘導体は、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−クロロ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(5−メチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4,5−ジメチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール等を含む。
光塩基発生剤(B2)の配合量は、バインダー樹脂(A)100質量部に対して1〜300質量部、好ましくは2〜100質量部の範囲で選ばれる。
本発明においては、光活性剤(B)を、光増感剤と組み合わせて用いてもよい。光増感剤を用いることにより、効率的に活性エネルギー線を吸収することができ、光活性剤(B)の感度を向上させることができる。光増感剤としては、たとえば、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、アントラキノン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン等が挙げられる。
本発明の色調変化色材(C)は、酸または塩基により吸収波長が変化して、色調が無色から有色へ変化する材料(酸着色性色材(C1)および塩基着色性色材(C2))、有色から無色へ変化する材料、あるいは有色から異なる有色へ変化する材料である。本発明の色調変化色材(C)は、たとえば、トリアリールメタンフタリド系色素、フルオラン系色素、チオフルオラン系色素、フェノチアジン系色素、チアジン系色素、インドリルフタリド系色素、スピロピラン系色素、ローダミン系色素、トリアリールメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、アザフタリド系色素、クロメノピラゾール系色素、メチン系色素、キナゾリン系色素、ジアザキサンテン系色素、ビスラクトン系色素等のロイコ系色素、クマリン系色素、アリールアミン系色素、クロメノインドール系色素、アントラキノン系色素、アジン系色素、キノリン系色素、チアゾール系色素、オキサジン系色素染料、アゾ系色素染料、ニトロ系色素、ニトロソ系色素染料、ジスアゾ系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素等を含む。本発明における用語「色素」は、有色の材料に加えて、酸または塩基により有色状態へと変化する、いわゆる色素前駆体を含む。
酸(塩基)により有色から無色あるいは異なる有色の色調へ変化する材料は、たとえば、ビクトリアピュアブルーBOH、オイルブルー#603、パテントピュアブルー、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルバイオレット、メチルグリーン、エリスロシンB、ベイシックフクシン、マラカイトグリーン、オイルレッド、m−クレゾールパープル、ローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミナフトキノン、シアノ−p−ジエチルアミノフェニルアセトアニリド等のトリアリールメタン系色素;ジフェニルメタン系色素;オキサジン系色素;キサンテン系色素;イミノナフトキノン系色素;アゾメチン系色素;アントラキノン系色素;メチルオレンジ、メチルバイオレット、メチルイエロー、メチルレッド、チモールブルー、ブロモチモールブルー、ブロモフェノールブルー、フェルレッド、アリザリンイエロー、リトマス等を含む。
酸により無色から有色に変化する酸着色性色材(C1)は、たとえば、ロイコ系色素;トリアリールメタン系色素;p,p’,p”−トリス−ジメチルアミノトリフェニルメタン、p,p’−ビス−ジメチルアミノジフェニルメチルイミン、p,p’,p”−トリアミノ−o−メチルトリフェニルメタン、p,p’−ビス−ジメチルアミノジフェニル−4−アニリノナフチルメタン、p,p’,p”−トリアミノトリフェニルメタン等トリアリールメタン系色素;ジフェニルメタン系色素;フルオラン系色素;チアジン系色素;スピロピラン系色素;ローダミン系色素等を含む。塩基により無色から有色に変化する塩基着色性色材(C2)は、フェノールフタレイン、チモールフタレイン等を含む。
酸着色性色材(C1)として用いることができるトリアリールメタン系色素は、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9 −エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニール−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、ロイコマラカイトグリーン、ロイコアニリン、ロイコメチルバイオレット等が挙げられる。
酸着色性色材(C1)として用いることができるジフェニルメタン系色素は、4,4−ビス−ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等を含む。
酸着色性色材(C1)として用いることができるフルオラン系色素は、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7−メチルフルオラン等を含む。
酸着色性色材(C1)として用いることができるチアジン系色素は、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等を含む。
酸着色性色材(C1)として用いることができるスピロピラン系色素は、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等を含む。
酸着色性色材(C1)として用いることができるローダミン系色素は、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン(o−クロロアニリノ)ラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム等を含む。
これらの材料の中でもロイコ系色素およびローダミン系色素が好ましく、さらに有色状態で蛍光を発する蛍光色素が好ましく、特にローダミン色素が好ましい。特に、有色状態で特定の波長域の光を吸収し、別の波長域の光を放出する蛍光色素を用いることによって、本発明の光学フィルムを色変換層として用いることが可能となる。
本発明における色調可変色材(C)の配合量は、バインダー樹脂(A)100質量部に対して0.1〜30質量部、好ましくは1.0〜20質量部である。
必要に応じて、本発明の樹脂組成物は、モノマーをさらに含むことができる。用いることができるモノマーは、前述のエネルギー線感受性樹脂中のカチオン重合性有機物質およびラジカル重合性有機物質として例示した材料を含む。
また、本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて、アニソール、ヒドロキノン、ピロカテコール、第三級ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;分散剤;レベリング剤;シランカップリング剤;ヒンダードアミン系光安定剤(HALS);紫外線吸収剤;リン系、フェノール系、硫黄系の酸化防止剤;造核剤;難燃剤;金属石けん;加工助剤;滑剤等の慣用の添加物を加えることができる。
本発明の光学フィルムは、該光学フィルムを支持体に適用した追記型光ディスク(CD±R、DVD±R、次世代型高密度ディスクなど)の光学記録層;各種レンズ;画像表示装置用光学フィルタ;カラーフィルタ、色変換フィルタに代表される各種フィルタ;あるいは、有機EL発光素子、無機EL発光素子または電子ペーパー表示体等の保護封止フィルムとして用いることができる。
たとえば、有色状態で特定の波長域の光を吸収し、別の波長域の光を放出する色調可変色材(C)を用いて図1に示す光学フィルム1を作製した場合、光の波長変換を行わない無色(非色変換部)または有色部となり、第2色調部3が特定の波長域の光を別の波長域の光に変換する有色部(色変換部)となる。この光学フィルム1は、光源の光の色相を調製するための色変換層として有用である。
本実施形態の光学フィルムを色変換層として用いる場合、酸または塩基により無色から有色に変化する酸着色性色材(C1)または塩基着色性色材(C2)を利用することが有利である。なぜなら、有色から無色へと変化する色調可変色材(C)を利用した場合、有色部には光活性剤(B)が残存し、可視光が照射される際にそのエネルギーが分光増感機構により光活性剤(B)に移動し、光活性剤(B)の分解の原因となり、経時的な色安定性に影響を与える可能性があるからである。一方、酸または塩基により無色から有色に変化する色調可変色材(C)を利用した場合、無色部には光活性剤(B)が残存しているものの、無色部は可視光を吸収しないため前述のような機構による光活性剤(B)の分解が起きることはない。本発明の光学フィルムを色変換層として用いる場合に特に望ましい構成は、光活性剤(B)として光酸発生剤(B1)を用い、色調可変色材(C)として酸着色性色材(C1)を用いる組み合わせである。なぜなら、光活性剤(B)として、より高感度な光酸発生剤(B1)を使用することができるからである。
また、有色状態で青色または青緑色の波長域の光を吸収し、緑色または赤色の波長域の光を放出する酸着色性色材(C1)を用いて図1に示す光学フィルム1を作製した場合、第1色調部2が青色光または青緑光を透過する無色部となり、第2色調部3が青色光または青緑光をより長波長の緑色光または赤色光に変換する有色部(色変換部)となる。この光学フィルム1は、青色または青緑色に発光する有機EL発光素子と組み合わせる色変換層として有用である。また、この光学フィルム1は、エッチングまたは現像による物質の除去がなされておらず、第1色調部2および第2色調部3はバインダー樹脂(A)による構造的連続性を維持している。この特徴は、微細なパターンを有する色変換部(第2色調部3)を作製する上で有利である。さらに、この光学フィルム1は平坦な上面を有するため、その上に平坦化のための層を形成する必要性を排除することができる。
本発明の第2の実施形態は:(1)バインダー樹脂(A)、光酸発生剤および光塩基発生剤からなる群から選択される光活性剤(B)、および酸または塩基により色調が変化する色調可変色材(C)、および有機溶媒(D)を必須成分として含む塗布液組成物を調製する工程と;(2)支持体に前記塗布液組成物を塗布する工程と;前記有機溶媒(D)を除去する工程と;(3)所定のパターンの領域に光を照射して、色調可変色材(C)の色調を変化させて、色調の異なる2つの領域を形成する工程とを含む光学フィルムの製造方法である。
本実施形態の工程(1)は、前述のバインダー樹脂(A)、光活性剤(B)、および色調変化色材(C)を、有機溶媒(D)に溶解ないし分散させることによって実施することができる。
工程(1)において使用される有機溶媒(D)は、必須成分を溶解ないし分散させるものであれば特に制限を受けず、公知の種々の溶媒を適宜用いることができる。用いることができる有機溶媒(D)は、たとえば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−またはn−プロパノール、イソ−またはn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒;アニリン;トリエチルアミン;ピリジン;酢酸;アセトニトリル;二硫化炭素;N,N−ジメチルホルムアミド;N−メチルピロリドン等を含む。前述の溶媒を単独で用いてもよいし、あるいは2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。特に、有機溶媒(D)として、ケトン類あるいはセロソルブ系溶媒を用いることが好ましい。
次いで、工程(2)において、工程(1)で得られた塗布液組成物を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法あるいはエクストルージョンコート法によって支持体上に塗布する。本工程(2)で用いられる支持体は、透明支持体であってもよく、後に除去される一時支持体であってもよい。あるいはまた、透明支持体上にカラーフィルタなどの光学機能要素を設けたものを、本工程における支持体として用いてもよい。
次いで、工程(3)において、支持体上に塗布された塗膜から有機溶媒(D)を除去する。有機溶媒(D)の除去は、加熱および/または減圧の適用によって実施される。本工程においては、得られる光学フィルムの特性に影響を与えないことを条件として、有機溶媒(D)を完全に除去しなくてもよい。
次いで、工程(4)において、有機溶媒(D)が除去された塗膜の所定のパターンの領域に光を照射して、色調可変色材(C)の色調を変化させて、色調の異なる2つの領域を有する光学フィルムを得る。本工程は、塗膜に対して所定のパターンを有するフォトマスクを通して、活性エネルギー線を照射することによって実施される。活性エネルギー線は、光、電子線などを含み、好ましくは200〜800nmの波長を有する光であり、特に好ましくは200〜400nmの波長を有する紫外線である。活性エネルギー線源としては、当該技術において知られている任意のものを用いることができる。
本実施形態の方法において自立性の光学フィルムを形成する場合、本方法は、支持体(すなわち一時支持体)を除去する工程をさらに含む。支持体の除去は、工程(4)の終了時に実施することができるが、工程(2)において得られる塗膜が自立性を有する場合には工程(2)または(3)の終了時に実施してもよく、あるいは、工程(3)において得られる有機溶媒(D)が除去された塗膜が自立性を有する場合には工程(3)の終了時に実施してもよい。
本実施形態の方法において用いられる色調可変色材(C)は、酸により無色から有色に変化する酸着色性色材(C1)であってもよいし、塩基により無色から有色に変化する塩基着色性色材(C2)であってもよい。特に望ましい構成は、光活性剤(B)として光酸発生剤(B1)を用い、色調可変色材(C)として酸着色性色材(C1)を用いる組み合わせである。なぜなら、経時的な色安定性に優れた光学フィルムを製造でき、かつ光活性剤(B)として高感度な光酸発生剤(B1)を使用できるからである。
本実施形態の方法において用いられる酸着色性色材(C1)は、ロイコ系色素であることが望ましく、ローダミン系色素であることが特に望ましい。さらに、色調可変色材(C)が、有色状態で蛍光性を有することが望ましい。また、色調可変色材(C)として有色状態で特定の波長域の光を吸収し、別の波長域の光を放出する材料を用いる場合には、本実施形態の方法によって色変換層を作製することが可能となる。
フォトリソグラフ法によるパターニングが光照射後の現像工程を必要とするのに対して、本実施形態の方法は、現像工程を必要とせず、塗布、乾燥(溶媒除去)、および光照射という単純な工程によって、異なる色調の2つの領域を有する光学フィルムを形成することが可能である。それによって、光学フィルムの製造における歩留まりを向上させると同時に、製造コストを低減することが可能となる。
また、フォトリソグラフ法によって得られる膜は必然的に凹凸を有するのに対して、本実施形態の方法によって得られた光学フィルムの上面は平坦である。したがって、光学フィルムの上面にさらに他の機能層を積層してデバイスを形成する場合に、平坦化のための層を形成する必要を排除する。たとえば、本実施形態の方法によって得られる光学フィルムを色変換層として用い、その上に有機EL素子を積層して多色発光デバイスを形成する場合、パターニングにおける現像工程および平坦化層を設ける工程を省略できることによって製造コストが削減され、かつ光学フィルムの上面が平坦であることから高い歩留まりを得ることが可能となる。
本発明の第3の実施形態である色変換フィルタは、透明基板と、それぞれ異なる波長域の光を透過する、少なくとも2種類以上のカラーフィルタ層を独立して配設したカラーフィルタと、前記カラーフィルタ上面に配設する保護層とを有し、前記保護層が第1の実施形態の光学フィルムであることを特徴とする。本実施形態においては、色調可変色材(C)が有色状態で特定の波長域の光を吸収して別の波長域の光を放出し、色変換層として機能する光学フィルムが用いられる。
図2に、本実施形態に係るカラーディスプレイ用の色変換フィルタの例(1画素分)を示す。図2の示した色変換フィルタにおいては、透明基板10の上に赤(R)、緑(G)および青(B)のカラーフィルタ層30R、30Gおよび30Bが設けられている。それぞれのカラーフィルタ層30の間に黒色のブラックマトリクス20が設けられている。その上に、保護層および色変換層として機能する第1の実施形態の光学フィルム1が設けられている。図2の構成では、第1色調部2が無色部である。一方、第2色調部3は有色部であり、赤色変換部として機能する。光源は色変換フィルタの光学フィルム1の側に設けられ、光源からの光は、光学フィルム1、カラーフィルタ層30および透明基板10の順に通過して、外部へと取り出される。
透明基板10は、優れた可視光透過率を有し、かつ引き続く層(カラーフィルタ層30、および第4の実施形態における有機EL素子の各構成層など)の形成プロセスにおいて悪影響を及ぼすことのない任意の材料を用いて形成することができる。用いることができる材料は、ガラス、および各種プラスチックを含む。透明基板10は、剛性または可撓性のいずれであってもよい。
カラーフィルタ層30は、所望される波長域の光のみを透過させる機能を有する層である。本発明においては、少なくとも2種類以上のカラーフィルタ層30、好ましくは3種類のカラーフィルタ層30、およびより好ましくはRGBの3種類のカラーフィルタ層30が設けられる。色変換部に相当する位置に設けられるカラーフィルタ層30(図2の構成においては、赤色カラーフィルタ層30R)は、色変換部によって波長分布変換されなかった光源からの光を遮断し、また色変換部によって波長分布変換された光の色純度を向上させることに対して有効である。また、それ以外の位置に設けられるカラーフィルタ層30(図2の構成においては、緑色カラーフィルタ層30Gおよび青色カラーフィルタ層30B)は、光源からの光の所望される波長域の光のみを透過させ、所望の色座標および色純度を有する光を得ることに対して有効である。カラーフィルタ層30のぞれぞれは、たとえば液晶ディスプレイ用カラーフィルタ材料などを用いて形成することができる。
ブラックマトリクス20は、コントラストの向上を目的として設けてもよい任意選択的な層である。ブラックマトリクス20は、フラットパネルディスプレイ用として市販されている任意の材料を用いて作製することができる。透明基板10、カラーフィルタ層30、および任意選択的なブラックマトリクス20からなるカラーフィルタは、当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
図2においては、1つの光学フィルム1のみを用い、その第2色調部3を赤色変換部として用いる構成を例示した。しかしながら、光学フィルム1の光未照射の第1色調部2を赤色変換部として用い、光照射された第2色調部3を無色部としてもよい。
図2の構成は、光源が青色および緑色の波長域の成分を十分に含むが、赤色波長域の成分を十分に含まない場合(すなわち、青色〜青緑色の光を放射する光源を用いる場合)に有効である。また、所望される場合(たとえば、緑色および/または青色の波長域の成分を十分に含まない光源を用いる場合)、第2および/または第3の光学フィルム1を積層し、それぞれの光学フィルム1の第2色調部3を緑色カラーフィルタ層30Gおよび/または青色カラーフィルタ層30Bに相当する位置に設けて、それぞれ緑色変換部および/または青色変換部として用いてもよい。
図2に示したRGBのカラーフィルタ層30および第2色調部3を一組の画素として、複数の画素を基板10上にマトリックス状に配置することによって、カラーディスプレイ用の色変換フィルタを形成する事ができる。カラーフィルタ層30および第2色調部3の上面形状およびその配置パターンは、使用される用途に依存する。矩形、円形、多角形もしくはその他の上面形状のカラーフィルタ層30および第2色調部3を一組として、それらをマトリックス状に透明基板10全面に作成してもよい。あるいはまた、保護層および色変換層として機能する2つ以上の光学フィルムを用いる場合、それぞれの第2色調部3を微小の区域に分割して、適当な面積比で配設することによって、単独の光学フィルムでは達成できない単一色を示すようにしてもよい。
本実施形態で用いる光学フィルム1は、透明基板10/カラーフィルタ層30の積層体を支持体として用いて形成してもよい。あるいはまた、別の一時支持体を用いて光学フィルム1を形成した後に、得られる光学フィルム1を透明基板10/カラーフィルタ層30上に転写または貼付してもよい。2つ以上の光学フィルム1を用いる場合、光照射による第2色調部3の形成を所望の位置で実施できることから、一時支持体を用いた形成方法を採用することが便利である。
本発明の第4の実施形態である多色発光デバイスは、第3の実施形態の色変換フィルタと光源とを有することを特徴とする。
本実施形態の光源は、近紫外から可視域、好ましくは青色から青緑色の光を発する任意の光源を含む。用いることができる光源の例は、有機EL発光素子、無機EL発光素子、プラズマ発光素子、冷陰極管、放電灯(高圧・超高圧水銀灯およびキセノンランプなど)、発光ダイオード等を含む。好ましくは、光源は有機EL発光素子である。多色発光デバイスをディスプレイとして用いる場合、光源は独立して制御できる複数の発光部を有する。
本実施形態の光源は、第3の実施形態の色変換フィルタの光学フィルム1の上に直接積層することによって形成してもよい。本発明の第3の実施形態の色変換フィルタを用いた場合、光学フィルム1の上表面が平坦であるため、平坦化のための層を配設する必要がない。あるいはまた、光源を、別の基板上に独立して形成してもよい。独立して形成した光源を用いる場合、光源は色変換フィルタの保護層である光学フィルム1の側に配置される。
図3に光学フィルム1の上に有機EL発光素子を直接積層した構成例を示した。図3の構成において、有機EL発光素子は、第1の方向に延びる複数のストライプ状電極からなる透明電極40と、有機EL層50と、第2の方向に延びる複数のストライプ状電極からなる反射電極60とを有する。別の基板上に独立的に有機EL発光素子を形成する場合には、基板上に、反射電極60、有機EL層50および透明電極40がこの順に積層される。
本実施形態において、色変換フィルタの光学フィルム1の上面(図3の構成においては、光学フィルム1と透明電極40との間)に、ガスバリア層を積層してもよい。ガスバリア層は、色変換フィルタから発生する水分から有機EL発光素子を保護する目的に有効である。ガスバリア層は、透明かつピンホールのない緻密な膜であることが求められる。ガスバリア層を形成するための材料としては、たとえばSiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物または無機窒化物等を使用できる。ガスバリア層は、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法等の慣用の手法を用いて形成することができる。
本実施形態において用いることができる有機EL発光素子は、透明電極および反射電極の間に有機EL層を挾持した構造を有する。有機EL層は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。あるいはまた、正孔の注入および輸送の両方の機能を有する正孔注入輸送層、電子の注入および輸送の両方の機能を有する電子注入輸送層を用いてもよい。具体的には、有機EL発光素子は下記のような層構造からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(注:陽極および陰極は、それぞれ透明電極または反射電極のいずれかである。)
一般的に、当該技術において、陽極を透明にすることが容易であることが知られており、本発明においても透明電極40を陽極として、および反射電極60を陰極として用いることが望ましい。
有機EL層50を構成する各層の材料としては、公知のものが使用できる。たとえば、青色から青緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などを用いて、有機発光層を形成する。
独立した発光部を有する有機EL発光素子を形成するために、透明電極40および反射電極60を、それぞれ第1および第2の方向に延びる複数のストライプ状電極から形成し、第1および第2の方向を交差する方向とする。好ましくは、第1および第2の方向を直交する方向とする。このような構成とすることによって、有機EL発光素子をパッシブマトリクス駆動することができる。すなわち、透明電極40の特定のストライプ状電極と、反射電極60の特定のストライプ状電極とに電圧を印加した際に、それらストライプ状電極の交差する部分の有機EL層50が発光する。
あるいはまた、透明電極40をストライプパターンを持たない一様な平面電極とし、反射電極を各発光部に対応する複数の部分電極から形成し、反射電極を構成する複数の部分電極にスイッチング素子を1対1で接続してもよい。この構成においては、いわゆるアクティブマトリクス駆動を行うことが可能になる。この構成は、別の基板上に有機EL発光素子を形成する場合に便利である。
以下、実施例、評価例および比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[実施例および比較例1] 光学フィルムの形成1(光酸発生剤の検討)
第1表に記載のように、バインダー樹脂(A)としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)0.05g、光酸発生剤(B1)、酸着色性色材(C1)としてローダミンB(塩基性)(C1−1)1.2mg、および有機溶媒(D)1.0gを混合して塗布溶液を形成した。次いで、2.5cm×2.5cmのガラス基板上に、スピンコート法(1000rpm/60秒)を用いて塗布溶液を塗布した。次いで、塗膜を20分間にわたって80℃でプリベイクした。続いて、ストライプ状のフォトマスクおよび超高圧水銀灯を用いてプリベイクした塗膜を3000mJ/cm2の露光量にて露光し、さらに1時間にわたって210℃に加熱して定着させて光学フィルムを得た。得られた光学フィルムを光学顕微鏡(倍率100倍)を用いて観察し、パターン形成の有無を確認した。結果を第1表に示す。第1表において、「○」はフォトマスクのストライプに相当するパターンが形成されていることを示し、「×」はパターンが形成されていないことを示す。
[実施例2] 光学フィルムの形成2(バインダー樹脂の検討)
第2表に記載のように、バインダー樹脂、光酸発生剤としてアデカオプトマーSP−172、ローダミンB(塩基性)(C1−1)1.2mg、および溶媒を混合して塗布溶液を形成した。得られた塗布溶液を用いて、実施例1の手順を繰り返して光学フィルムを形成した。得られた光学フィルムの評価結果を第2表に示す。
(実施例2−3のシリコーン樹脂の合成方法) フェニルトリメトキシシラン4モル部とジエトキシジメチルシラン1モル部をリン酸水溶液触媒により重合させた後、トリメチルシリルクロリド5.5モル部(過剰)をピリジンを反応剤として反応させ、末端をトリメチルシリル基で封止し、水洗後、トルエンとヘキサンの混合溶媒による再沈殿法で低分子生成物を除去して、シリコーン樹脂を得た。
[実施例3]光学フィルムの形成3(酸着色性色材の検討)
第3表に記載のように、バインダー樹脂(A)としてPMMA、光酸発生剤(B1)としてアデカオプトマーSP−172、酸着色性色材、および有機溶媒(D)としてMEK1.0gを混合して塗布溶液を形成した。実施例3−1〜3−5においては、得られた塗布溶液を用いて、露光量を300mJ/cm2に変更してことを除いて実施例1の手順を繰り返して光学フィルムを形成した。また、実施例3−6〜3−7においては、得られた塗布溶液を用いて、実施例1の手順を繰り返して光学フィルムを形成した。得られた光学フィルムの評価結果を第3表に示す。また、各実施例で得られた光学フィルムの第1色調部(非露光部分)において、波長700nmの光の透過率を測定した結果、透過率はいずれも99.0%以上であった。
実施例1〜3から明らかなように、本発明に係るバインダー樹脂(A)、光酸発生剤(B1)および酸着色性色材(C1)を含有する樹脂組成物から形成された光学フィルムは、光照射により光酸発生剤(B1)より発生された酸により、露光部(第2色調部)のみ有色の発色が見られ、現像工程を経ることなく2つの異なる色調を有するパターンを形成することができた。一方、比較例1の樹脂組成物は光酸発生剤(B1)を含有していないため、酸が発生せず、露光部においても着色が見られず、一様に透明のままであった。
[実施例4] 多色発光デバイスの形成
(カラーフィルタの形成)
透明基板10(コーニング社製1737ガラス)上に、カラーモザイク(登録商標)CK−7001(富士フィルムARCH株式会社製)を塗布し、フォトリソグラフ法にてパターニングして、ブラックマトリクスを形成した。次に、カラーモザイク(登録商標)CR7001(富士フィルムARCH株式会社製)を塗布し、フォトリソグラフ法にてパターニングして、幅0.10mm、ピッチ0.33mmの複数のストライプからなる膜厚1.0μmの赤色カラーフィルタ層30Rを形成した。引き続いて、カラーモザイク(登録商標)CG7001およびCB7001(富士フィルムARCH株式会社製)を用いて、それぞれのカラーフィルタ層30が重ならないように、幅0.10mm、ピッチ0.33mmの複数のストライプからなる膜厚1.0μmの緑色カラーフィルタ層30Gおよび青色カラーフィルタ層30Bを形成して、カラーフィルタを得た。
(保護層および赤色変換フィルタの形成)
70重量部のPMMA、4重量部の酸着色性色材(C1−6)、3重量部の酸着色性色材(C1−1)、および光酸発生剤として30重量部のアデカオプトマーSP−172を、1000重量部のMEKに溶解させて塗布溶液を得た。得られた塗布溶液をカラーフィルタ上に塗布し、マスクを用いた露光(露光量3000mJ/cm2)によって、赤色カラーフィルタ層30Rの上に、幅0.1mm、ピッチ0.33mmの複数のストライプ状の第2色調部3(赤色変換部として機能する)を形成し、保護層および色変換層として機能する光学フィルム1を得た。得られた光学フィルムの膜厚は、10μmであった。
(ガスバリア層の形成)
次いで、スパッタ法を用いて、光学フィルム1の上に膜厚0.5μmのSiOx膜からなるガスバリア層を形成し、色変換フィルタを得た。スパッタ装置として、SiO2ターゲットを備えたRF−プレーナマグネトロン型装置を用いた。製膜時のスパッタガスとして、Arを使用した。形成時の基板温度は80℃に設定した。
(有機EL発光素子の形成)
次いで、得られた色変換フィルタの上に、透明電極40(陽極)/有機EL層50(正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入輸送層の4層)/反射電極60(陰極)を順次積層して有機EL発光素子を形成して、多色発光デバイスを得た。
ガスバリア層の上面に、スパッタ法にて膜厚100nmのITO膜を全面成膜した。ITO膜上にレジスト剤「OFRP−800」(商品名、東京応化製)を塗布した後、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、それぞれの色の発光部(赤色,緑色、および青色)に位置する、幅0.094mm、ピッチ0.10mm、膜厚100nmの複数のストライプ状部分電極からなる透明電極40を得た。
次いで、透明電極40を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、真空槽内圧を1×10-4Paまで減圧した。そして、膜厚100nmの銅フタロシアニン(CuPc)からなる正孔注入層、膜厚20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層、膜厚30nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)からなる有機発光層、膜厚20nmのトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)からなる電子注入輸送層を、真空を破らずに順次成膜して、有機EL層50を得た。
この後、真空を破ることなしに、透明電極40のストライプと直交する幅0.30mm、ピッチ0.33mmの複数のストライプが得られるマスクを用いて、膜厚200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層を堆積させ、反射電極60を形成して、多色発光デバイスを得た。
得られた多色発光デバイスを、グロープボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラスおよびUV硬化接着剤(ともに図示せず)を用いて封止した。
[比較例2] 従来法による多色発光デバイスの形成
(カラーフィルタの形成)
実施例4と同様の手順に従って、透明基板上に赤色カラーフィルタ層、緑色カラーフィルタ層および青色カラーフィルタ層を形成して、カラーフィルタを得た。
(クリア層(青色部位)の形成)
次いで、光重合性樹脂の「V259PAP5」(新日鐵化学株式会社製)を塗布し、フォトリソグラフ法にてパターニングを実施し、青色カラーフィルタ層の上に幅0.10mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの複数のストライプ状部分からなるクリア層を形成した。クリア層は、赤色の色変換層が形成された際に、各色副画素間で膜厚差を生じさせないための層である。
(クリア層(緑色部位)の形成)
次いで、光重合性樹脂の「V259PAP5」(新日鐵化学株式会社製)を塗布し、フォトリソグラフ法にてパターニングを実施し、緑色カラーフィルタ層の上に幅0.10mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの複数のストライプ状部分からなるクリア層を形成した。クリア層は、赤色の色変換層が形成された際に、各色副画素間で膜厚差を生じさせないための層である。
(赤色変換層の形成)
蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、およびベーシックバイオレット11(0.3重量部)を、溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部に溶解させた。光重合性樹脂の「V259PAP5」(新日鐵化学株式会社製)100重量部を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、スピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフ法にてパターニングを実施し、赤色カラーフィルタ層の上に幅0.10mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの複数のストライプ状部分からなる赤色変換層を形成した。
(保護層の形成)
前述のように色変換層およびクリア層を形成した基板の上面に光重合性樹脂の「V259PAP5」(新日鐵化学株式会社製)を塗布し、膜厚5μmの保護層7を形成した。
以後、実施例4と同様にして、ガスバリア層および有機EL発光素子(透明電極、有機EL層、および反射電極)の形成、ならびに封止を行って、多色発光デバイスを得た。
[評価例]
実施例4および比較例2で得られた多色発光デバイスを電流量一定にして駆動し、その際の各色の初期輝度および各色輝度の駆動時間依存性を評価した。結果を第4表に示す。併せて、実施例4および比較例2の製造方法における歩留まり評価、ならびに実施例4によって削減することができた工程を、第4表に示す。
第4表より明らかなように、本発明に係る多色発光デバイスは、従来型の色変換層を用いた多色発光デバイスと同等の性能(初期輝度および輝度保持率)を有する。また、本発明の実施例4に係る多色発光デバイスの製造方法は、比較例2の製造方法に比較して、赤色変換層の現像工程、クリア層(緑色部位)の塗布、パターン露光、現像およびポストベーク(POB)工程、ならびにクリア層(青色部位)の塗布、パターン露光、現像およびポストベーク(POB)工程の合計9工程を削減することができ、製造コストの低減の点で有利であり、かつ第4表に示されるように歩留まりを向上させることができた。