JP2009020049A - 脳血管疾患の診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】脳血管疾患の診断方法の提供。
【解決手段】被検試料中のPTX3濃度を測定することを特徴とする、脳血管疾患の診断方法であって、脳血管疾患が、脳梗塞または一過性脳虚血発作であり、脳血管疾患が、脳塞栓、ラクナ梗塞または一過性脳虚血発作である。また脳塞栓、ラクナ梗塞および一過性脳虚血発作を分別診断するものである。被検試料が、血液、血清または血漿であり、抗PTX3抗体を用いて被検試料中のPTX3タンパク質濃度を測定するものである。
【選択図】なし
【解決手段】被検試料中のPTX3濃度を測定することを特徴とする、脳血管疾患の診断方法であって、脳血管疾患が、脳梗塞または一過性脳虚血発作であり、脳血管疾患が、脳塞栓、ラクナ梗塞または一過性脳虚血発作である。また脳塞栓、ラクナ梗塞および一過性脳虚血発作を分別診断するものである。被検試料が、血液、血清または血漿であり、抗PTX3抗体を用いて被検試料中のPTX3タンパク質濃度を測定するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、脳血管疾患への罹患を判定するための方法および診断薬に関する。
脳血管疾患は、脳の血管の器質的もしくは機能的異常により神経症状をもたらす病態の総称である。脳血管疾患は脳出血と脳梗塞に大別され、その他、神経症状が24時間以内に消失することを特徴とする一過性脳虚血発作(TIA)が含まれる。脳梗塞とは、虚血により脳組織に壊死が生じる状態をいう。脳梗塞は原因により大きく二分され、心臓や頚動脈等に生じた血栓が飛来して脳動脈を閉塞させる脳塞栓と、脳動脈の粥状硬化等により脳動脈自体に血栓が生じて脳動脈を閉塞させる脳血栓に分類される。さらに、脳血栓は、太い脳動脈が閉塞するアテローム性梗塞と、細い穿通枝が閉塞し梗塞巣の長径が15mm未満であるラクナ梗塞に分類される。
脳血管疾患の診断は、主としてコンピューター断層撮影(CT)、核磁気共鳴イメージング(MRI)等の画像診断によって行われている。末梢血を用いて短時間に行うことができ、簡便で迅速な検査が開発されれば臨床的に有用性が高い。
特に、一過性脳虚血発作(TIA)の新たな診断方法に対する要請は高い。TIAでは脳梗塞と異なり脳に壊死が生じないため、CTやMRI等の一般的な画像診断では判定することができない。TIAは、症状が24時間以内に消失するが、過去にTIAを発症したことがある患者では、その後脳梗塞を発症するリスクは10倍にものぼる。したがって、TIAを類似の症状を示す他の疾患(てんかん発作、脳腫瘍、偏頭痛、低血糖等)と鑑別する診断は非常に重要である。
特に、一過性脳虚血発作(TIA)の新たな診断方法に対する要請は高い。TIAでは脳梗塞と異なり脳に壊死が生じないため、CTやMRI等の一般的な画像診断では判定することができない。TIAは、症状が24時間以内に消失するが、過去にTIAを発症したことがある患者では、その後脳梗塞を発症するリスクは10倍にものぼる。したがって、TIAを類似の症状を示す他の疾患(てんかん発作、脳腫瘍、偏頭痛、低血糖等)と鑑別する診断は非常に重要である。
PTX3は、Pentraxin、Pentaxin、TSG−14、MPTX3とも呼ばれ、インターロイキン1(IL−1)刺激を受けたヒト臍帯内皮細胞に発現しているものとして発見されたペントラキシン(Pentraxin)ファミリーに属する分泌タンパク質である(非特許文献1)。
ペントラキシンファミリーはLong PentraxinとShort Pentraxinに大別される。炎症性タンパクとして知られているC reactive protein(CRP)やserum amyloid P component(SAP)はShort Pentraxinに属し、炎症により生じるIL−6に反応して肝臓で産生される。しかし、PTX3はCRPやSAPと異なりIL−6による誘導を受けないことが知られている。(非特許文献1、2)。
ペントラキシンファミリーはLong PentraxinとShort Pentraxinに大別される。炎症性タンパクとして知られているC reactive protein(CRP)やserum amyloid P component(SAP)はShort Pentraxinに属し、炎症により生じるIL−6に反応して肝臓で産生される。しかし、PTX3はCRPやSAPと異なりIL−6による誘導を受けないことが知られている。(非特許文献1、2)。
本発明者らにより、血管障害においてPTX3濃度が上昇することが明らかにされているが(特許文献1)、脳血管疾患の診断ができることは知られていない。
Breviario et al.: J. Biol. Chem., 267(31), 22190-7 (1992) Domyaku Koka (Arteriosclerosis), 24 (7-8), 375-80 (1996) WO2005/080981
Breviario et al.: J. Biol. Chem., 267(31), 22190-7 (1992) Domyaku Koka (Arteriosclerosis), 24 (7-8), 375-80 (1996)
本発明の目的は、治療方針を決定するために有用な脳血管疾患の診断方法を提供することにある。
本発明者らは、抗PTX3モノクローナル抗体を用いて血中および病変部のPTX3濃度を測定し、その濃度と種々の疾患との関係について検討してきたところ、脳血管疾患において、血中にPTX3が増加することを見出し、特に一過性脳虚血(TIA)、脳塞栓、ラクナ梗塞のPTX3の上昇に特徴を発見し、これらが分別診断できることを見出した。その結果、PTX3濃度の測定により患者毎に適切な治療指針を決定することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、被検試料中のPTX3濃度を測定することを特徴とする、脳血管疾患の診断方法を提供するものである。
また、本発明は、PTX3測定試薬を含有する脳血管疾患の診断薬を提供するものである。
また、本発明は、PTX3測定試薬の、脳血管疾患の診断薬製造のための使用を提供するものである。
また、本発明は、PTX3測定試薬を含有する脳血管疾患の診断薬を提供するものである。
また、本発明は、PTX3測定試薬の、脳血管疾患の診断薬製造のための使用を提供するものである。
本発明によれば、脳血管疾患を簡便に短時間で診断することができ、適切な治療方針を策定するために有用である。
本発明において測定とは、定量的または非定量的な測定を含み、例えば、非定量的な測定としては、単にPTX3タンパク質が存在するか否かの測定、PTX3タンパク質が一定の量以上存在するか否かの測定、PTX3タンパク質の量を他の試料(例えば、コントロール試料など)と比較する測定などを挙げることができる。定量的な測定としては、PTX3タンパク質の濃度の測定、PTX3タンパク質の量の測定などを挙げることができる。なおPTX3遺伝子の塩基およびアミノ酸配列の情報はGenbank等の公共データベースより得ることができ、例えばGenbankのアクセッション番号NM_002852に開示されている。
被検試料とは、PTX3のタンパク質が含まれる可能性のある試料であれば特に制限されないが、哺乳類などの生物の体から採取された試料が好ましく、さらに好ましくはヒトから採取された試料である。被検試料の具体的な例としては、例えば、血液、間質液、血漿、血管外液、脳脊髄液、滑液、胸膜液、血清、リンパ液、唾液、尿、腸組織などを挙げることができるが、好ましいのは血液、血清、血漿である。又、採取された腸組織の培養液などの、被検試料から得られる試料も本発明の被検試料に含まれる。
患者より被検試料を採取し、被検試料のPTX3濃度を測定し、健常人のPTX3濃度の分布より求められた基準値と比較して高値であれば脳血管疾患の存在が疑われる。脳血管疾患は、好ましくは脳梗塞または一過性虚血発作(TIA)である。脳梗塞にはラクナ梗塞、脳塞栓が含まれる。
また、発症時間48時間以内の患者、好ましくは発症時間24時間以内の患者より被検試料を採取し、被検試料のPTX3濃度を測定し、健常人のPTX3濃度の分布より求められた基準値の1倍〜4倍であればラクナ梗塞、2〜6倍であれば一過性脳虚血発作、4〜8倍以上であれば脳塞栓の疑いが強いと判定することができる。ここで発症時間とは、患者が症状を自覚した時刻を起点としてその後経過した時間をいう。被検試料の採取は経時的に行い、発症後48時間まで、好ましくは24時間までに最も高い濃度を示したPTX3値を判定に用いることもできる。被検試料の採取間隔はどのような時間にしても良いが、6〜12時間の間隔で採取するのが望ましい。
発症時間6時間以内の患者より被検試料を採取し、被検試料のPTX3濃度を測定し、健常人のPTX3濃度の分布より求められた基準値の1〜3倍であればラクナ梗塞、3〜5倍以上であれば脳塞栓であるとの疑いが強いと判定される。さらに、同一の脳梗塞患者より得られた発症時間6時間以内(ベース値)とその後12時間から24時間後の被検試料のPTX3濃度を経時的に測定し、PTX3濃度の最も高い値(ピーク値)より発症6時間以内のPTX3濃度(ベース値)を引いた値が、健常人のPTX3濃度の分布より求められた基準値の2〜5倍であればラクナ梗塞、5〜12倍以上であれば脳塞栓の疑いが強いと判定することができる。被検試料の採取間隔はどのような時間にしても良いが、6〜12時間、若しくは12〜24時間の間隔で採取するのが望ましい。
また、TIA患者において、発症時間6〜24時間までのPTX3濃度と発症時間24時間以降のPTX3濃度を比較し、発症時間24時間以降のPTX3濃度が高い場合には、当該患者はTIAの再発または脳梗塞の発作を起こす可能性が高いと判定される。あるいは、発症時間24時間以降のPTX3濃度を経時的に測定したとき、経時的に上昇傾向を示す場合にも当該患者はTIAの再発または脳梗塞の発作を起こす可能性が高いと判定される。
本発明方法においては、PTX3濃度の測定は、抗PTX3抗体を用いる免疫学的測定法が好ましい。以下、抗PTX3抗体を用いた測定法について詳細に説明する。
本発明で用いられる抗PTX3抗体はPTX3タンパク質に特異的に結合すればよい。好ましくは、PTX3の立体構造に高い結合親和性を示し、より好ましくはPTX3の立体構造に高い結合親和性を示し、且つ、CRPやSAPに交差反応しない抗体である。さらに好ましくは、PPMX0102(FERM P−10326)、PPMX0104(FERM BP−10719)およびPPMX0105(FERM BP−10720)であり、最も好ましくは、PPMX0104(FERM BP−10719)およびPPMX0105(FERM BP−10720)である。
抗体の由来、種類(モノクローナル、ポリクローナル)および形状を問わない。具体的には、マウス抗体、ラット抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト型化抗体などの公知の抗体を用いることができる。抗体はポリクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体であることが好ましい。
また、免疫学的測定法において支持体に固定される抗PTX3抗体と標識物質で標識される抗PTX3抗体はPTX3分子の同じエピトープを認識してもよいし、異なるエピトープを認識してもよい。
本発明で使用される抗PTX3抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗PTX3抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるものを含む。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、PTX3を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。
まず、抗体取得の感作抗原として使用されるPTX3を、入手可能な細胞の培養上清から精製して得る。あるいは、特表2002−503642に開示された方法に従い得ることもできる。
次に、この精製PTX3タンパク質を感作抗原として用いる。あるいは、PTX3の部分ペプチドを感作抗原として使用することもできる。この際、当該部分ペプチドはヒトPTX3のアミノ酸配列より化学合成により得ることもできるし、PTX3遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで得ることもでき、さらに天然のPTX3をタンパク質分解酵素により分解することによっても得ることができる。部分ペプチドとして用いるPTX3の部分および大きさは特に限定されない。
まず、抗体取得の感作抗原として使用されるPTX3を、入手可能な細胞の培養上清から精製して得る。あるいは、特表2002−503642に開示された方法に従い得ることもできる。
次に、この精製PTX3タンパク質を感作抗原として用いる。あるいは、PTX3の部分ペプチドを感作抗原として使用することもできる。この際、当該部分ペプチドはヒトPTX3のアミノ酸配列より化学合成により得ることもできるし、PTX3遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで得ることもでき、さらに天然のPTX3をタンパク質分解酵素により分解することによっても得ることができる。部分ペプチドとして用いるPTX3の部分および大きさは特に限定されない。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、その他、ウサギ、サル等が使用される。
感作抗原の動物への免疫は公知の方法に従って行うことができる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4〜21日毎に数回投与する。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。特に分子量の小さい部分ペプチドを感作抗原として用いる場合には、アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン等の担体タンパク質と結合させて免疫することが望ましい。
このように哺乳動物を免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合に付されるが、好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞は、公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J. Immnol.(1979)123, 1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81, 1-7)、NS-1(Kohler. G. and Milstein, C. Eur. J. Immunol.(1976)6, 511-519)、MPC-11(Margulies. D.H. et al., Cell(1976)8, 405-415)、SP2/0(Shulman, M. et al., Nature(1978)276, 269-270)、FO(de St. Groth, S. F. et al., J. Immunol. Methods(1980)35, 1-21)、S194(Trowbridge, I. S. J. Exp. Med.(1978)148, 313-323)、R210(Galfre, G. et al., Nature(1979)277, 131-133)等が好適に使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C.、Methods Enzymol.(1981)73, 3-46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用され、さらに所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定することができる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1〜10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したポリエチレングリコール(PEG)(例えば平均分子量1000〜6000程度)溶液を通常30〜60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)を形成する。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングを行う。
目的とする抗体のスクリーニングおよび単一クローニングは、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法で行えばよい。例えば、ポリスチレン等でできたビーズや市販の96ウェルのマイクロタイタープレート等の担体に抗原を結合させ、ハイブリドーマの培養上清と反応させ、担体を洗浄した後に酵素標識第2次抗体等を反応させることにより、培養上清中に感作抗原と反応する目的とする抗体が含まれるかどうか決定できる。目的とする抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等によりクローニングすることができる。この際、抗原としては免疫に用いたものを用いればよい。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroでPTX3に感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞と融合させ、PTX3への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1-59878号公報参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となるPTX3を投与して抗PTX3抗体産生細胞を取得し、これを不死化させた細胞からPTX3に対するヒト抗体を取得してもよい(国際特許出願公開番号WO94/25585号公報、WO93/12227号公報、WO92/03918号公報、WO94/02602号公報参照)。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる方法がもちいられる。
また、これらの抗体は、PTX3遺伝子によってコードされる蛋白質の全長または一部を認識する特性を失わない限り、抗体断片(フラグメント)等の低分子化抗体や抗体の修飾物などであってもよい。抗体断片の具体例としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Diabodyなどを挙げることができる。このような抗体断片を得るには、ペプシンやパパインによりIgGのFc部分を消化する方法や、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させればよい(例えば、Co, M. S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976 ; Better, M. and Horwitz, A. H., Methods Enzymol. (1989) 178, 476-496 ; Pluckthun, A. and Skerra, A., Methods Enzymol. (1989) 178, 497-515 ; Lamoyi, E., Methods Enzymol. (1986) 121, 652-663 ; Rousseaux, J. et al., Methods Enzymol. (1986) 121, 663-669 ; Bird, R. E. and Walker, B. W., Trends Biotechnol. (1991) 9, 132-137参照)。
前記のように産生された抗体は、細胞、宿主動物から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティーカラムを用いて行うことができる。例えば、プロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D、POROS、Sepharose F.F.(GEヘルスケア 社製)等が挙げられる。その他、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、上記アフィニティーカラム以外のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual. Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。
抗体の修飾物として、標識物質等の各種分子と結合した抗PTX3抗体を使用することもできる。本発明における「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。
本発明において測定するPTX3は、特に限定されず、全長PTX3でも、その断片でもよい。
被検試料に含まれるPTX3タンパク質の検出方法は特に限定されないが、抗PTX3抗体を用いた免疫学的方法により検出することが好ましい。免疫学的方法としては、例えば、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、発光イムノアッセイ、免疫沈降法、免疫比濁法、ウエスタンブロット、免疫染色、免疫拡散法などを挙げることができるが、好ましくはエンザイムイムノアッセイであり、特に好ましいのは酵素結合免疫吸着定量法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)(例えば、sandwich ELISA)である。ELISAなどの上述した免疫学的方法は当業者に公知の方法により行うことが可能である。
抗PTX3抗体を用いた一般的な検出方法としては、例えば、抗PTX3抗体を支持体に固定し、ここに被検試料を加え、インキュベートを行い抗PTX3抗体とPTX3タンパク質を結合させた後に洗浄して、抗PTX3抗体を介して支持体に結合したPTX3タンパク質を検出することにより、被検試料中のPTX3タンパク質の検出を行う方法を挙げることができる。
本発明において用いられる支持体としては、例えば、アガロース、セルロースなどの不溶性の多糖類、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの合成樹脂や、ガラスなどの不溶性の支持体を挙げることができる。これらの支持体は、ビーズやプレートなどの形状で用いることが可能である。ビーズの場合、これらが充填されたカラムなどを用いることができる。プレートの場合、マルチウェルプレート(96穴マルチウェルプレート等)、やバイオセンサーチップなどを用いることができる。抗PTX3抗体と支持体との結合は、化学結合や物理的な吸着などの通常用いられる方法により結合することができる。これらの支持体はすべて市販のものを用いることができる。
抗PTX3抗体とPTX3タンパク質との結合は、通常、緩衝液中で行われる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液、などが使用される。また、インキュベーションの条件としては、すでによく用いられている条件、例えば、4℃〜室温にて1時間〜24時間のインキュベーションが行われる。インキュベート後の洗浄は、PTX3タンパク質と抗PTX3抗体の結合を妨げないものであれば何でもよく、例えば、Tween20等の界面活性剤を含む緩衝液などが使用される。
本発明のPTX3タンパク質測定方法においては、PTX3タンパク質を検出したい被検試料の他に、コントロール試料を設置してもよい。コントロール試料としては、PTX3タンパク質を含まない陰性コントロール試料やPTX3タンパク質を含む陽性コントロール試料などがある。この場合、PTX3タンパク質を含まない陰性コントロール試料で得られた結果、PTX3タンパク質を含む陽性コントロール試料で得られた結果と比較することにより、被検試料中のPTX3タンパク質を検出することが可能である。また、濃度を段階的に変化させた一連のコントロール試料を調製し、各コントロール試料に対する検出結果を数値として得て、標準曲線を作成し、被検試料の数値から標準曲線に基づいて、被検試料に含まれるPTX3タンパク質を定量的に検出することも可能である。
抗PTX3抗体を介して支持体に結合したPTX3タンパク質の測定の好ましい態様として、標識物質で標識された抗PTX3抗体を用いる方法を挙げることができる。
例えば、支持体に固定された抗PTX3抗体に被検試料を接触させ、洗浄後に、PTX3タンパク質を特異的に認識する標識抗体を用いて検出する。
例えば、支持体に固定された抗PTX3抗体に被検試料を接触させ、洗浄後に、PTX3タンパク質を特異的に認識する標識抗体を用いて検出する。
抗PTX3抗体の標識は通常知られている方法により行うことが可能である。標識物質としては、蛍光色素、酵素、補酵素、化学発光物質、放射性物質などの当業者に公知の標識物質を用いることが可能であり、具体的な例としては、ラジオアイソトープ(32P、14C、125I、3H、131Iなど)、フルオレセイン、ローダミン、ダンシルクロリド、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ホースラディッシュパーオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、ビオチンなどを挙げることができる。標識物質としてビオチンを用いる場合には、ビオチン標識抗体を添加後に、アルカリホスファターゼなどの酵素を結合させたアビジンをさらに添加することが好ましい。標識物質と抗PTX3抗体との結合には、グルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、過ヨウ素酸法、などの公知の方法を用いることができる。
抗体の酵素標識法としては、ヒンジ法とノンヒンジ法の2つが挙げられるがこれに限定しない。ヒンジ法は、抗体IgGの抗原結合能を有するF(ab’)2部分との間のヒンジ部と呼ばれる部分にあるジルスフィド結合を還元して生成するチオール基を利用してFab’と酵素分子を結合する方法である。一方、ノンヒンジ法は、抗体のいずれの反応基を利用するかは特定しないが、多くの場合、抗体のアミノ基を利用して抗体分子と酵素分子を結合する方法である。
具体的には、抗PTX3抗体を含む溶液をプレートなどの支持体に加え、抗PTX3抗体を支持体に固定する。プレートを洗浄後、タンパク質の非特異的な結合を防ぐため、例えばBSA、ゼラチン、アルブミンなどでブロッキングする。再び洗浄し、被検試料をプレートに加える。インキュベートの後、洗浄し、標識抗PTX3抗体を加える。適度なインキュベーションの後、プレートを洗浄し、プレートに残った標識抗PTX3抗体を検出する。検出は当業者に公知の方法により行うことができ、例えば、放射性物質による標識の場合には液体シンチレーションやRIA法により検出することができる。酵素による標識の場合には基質を加え、基質の酵素的変化、例えば発色を吸光度計により検出することができる。基質の具体的な例としては、2,2−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩(ABTS)、1,2−フェニレンジアミン(オルソ−フェニレンジアミン)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などを挙げることができる。蛍光物質の場合には蛍光光度計により検出することができる。
本発明のPTX3タンパク質測定方法の特に好ましい態様として、抗体IgGの抗原結合能とは関係のないFc部分を除去し、一般的な酵素標識法記載の方法で標識をした抗体を用いる方法を挙げることができる。
具体的には、抗PTX3抗体を含む溶液をプレートなどの支持体に加え、抗PTX3抗体を固定する。プレートを洗浄後、タンパク質の非特異的な結合を防ぐため、例えばBSAなどでブロッキングする。再び洗浄し、被検試料をプレートに加える。インキュベートの後、洗浄し、ペルオキシダーゼ直接標識抗PTX3抗体を加える。適度なインキュベーションの後、プレートを洗浄し、酵素に対応した基質を加え、基質の酵素的変化などを指標にPTX3タンパク質を検出する。
本発明のPTX3タンパク質測定方法の他の態様として、PTX3タンパク質を特異的に認識する一次抗体を一種類以上、および該一次抗体を特異的に認識する二次抗体を一種類以上用いる方法を挙げることができる。
例えば、支持体に固定された一種類以上の抗PTX3抗体に被検試料を接触させ、インキュベーションした後、洗浄し、洗浄後に結合しているPTX3タンパク質を、一次抗PTX3抗体および該一次抗体を特異的に認識する一種類以上の二次抗体により検出する。この場合、二次抗体は好ましくは標識物質により標識されている。
本発明のPTX3タンパク質の測定方法の他の態様としては、凝集反応を利用した検出方法を挙げることができる。該方法においては、抗PTX3抗体を感作した担体を用いてPTX3を検出することができる。抗体を感作する担体としては、不溶性で、非特異的な反応を起こさず、かつ安定である限り、いかなる担体を使用してもよい。例えば、ラテックス粒子、ベントナイト、コロジオン、カオリン、固定羊赤血球等を使用することができるが、ラテックス粒子を使用するのが好ましい。ラテックス粒子としては、例えば、ポリスチレンラテックス粒子、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス粒子、ポリビニルトルエンラテックス粒子等を使用することができるが、ポリスチレンラテックス粒子を使用するのが好ましい。感作した粒子を試料と混合し、一定時間攪拌する。試料中に抗PTX3抗体が高濃度で含まれるほど粒子の凝集度が大きくなるので、凝集を肉眼でみることによりPTX3を検出することができる。また、凝集による濁度を分光光度計等により測定することによっても検出することが可能である。
本発明のPTX3タンパク質の測定方法の他の態様としては、例えば、表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを用いた方法を挙げることができる。表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーはタンパク質−タンパク質間の相互作用を微量のタンパク質を用いてかつ標識することなく、表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である。例えば、BIAcore(Pharmacia 社製)等のバイオセンサーを用いることによりPTX3タンパク質と抗PTX3抗体の結合を検出することが可能である。具体的には、抗PTX3抗体を固定化したセンサーチップに、被検試料を接触させ、抗PTX3抗体に結合するPTX3タンパク質を共鳴シグナルの変化として検出することができる。
本発明の測定方法は、種々の自動検査装置を用いて自動化することもでき、一度に大量の試料について検査を行うことも可能である。
本発明は、免疫組織化学染色に用いることもできる。バイオプシーや手術によって得られた組織を当業者に公知の方法で抗PTX3抗体を用いて染色することができる。
本発明は、脳血管疾患の診断薬の提供をも目的とするが、該診断薬は抗PTX3抗体を含むことが好ましい。ここで診断薬には、キットも含まれる。該診断薬がELISA法に基づく場合は、抗体を固相化する担体を含んでいてもよく、抗体があらかじめ担体に結合していてもよい。該診断薬がラテックス等の担体を用いた凝集法に基づく場合は抗体が吸着した担体を含んでいてもよい。また、該診断薬は、適宜、ブロッキング溶液、反応溶液、反応停止液、試料を処理するための試薬等を含んでいてもよい。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
<実施例1 血中PTX3濃度の経時的変化>
(1)対象
宮崎大学医学部附属病院を受診した患者のうち、ラクナ梗塞と診断された患者14名、アテローム血栓性梗塞と診断された患者4名、脳塞栓と診断された患者4例、一過性脳虚血性発作(TIA)と診断された患者9名および正常者4名を対象とした。
(1)対象
宮崎大学医学部附属病院を受診した患者のうち、ラクナ梗塞と診断された患者14名、アテローム血栓性梗塞と診断された患者4名、脳塞栓と診断された患者4例、一過性脳虚血性発作(TIA)と診断された患者9名および正常者4名を対象とした。
(2)採血条件
採血は、発症時間48時間までは、入院時および入院時より6〜12時間毎に行った。発症時間48時間以後より1週間後までは、24時間毎に採血を行った。
発症時間は、患者が症状を自覚した時刻を起点としてその後経過した時間とした。
採血は、発症時間48時間までは、入院時および入院時より6〜12時間毎に行った。発症時間48時間以後より1週間後までは、24時間毎に採血を行った。
発症時間は、患者が症状を自覚した時刻を起点としてその後経過した時間とした。
(3)ELISA法によるPTX3濃度の測定
血中のPTX3タンパク質を検出するため、PTX3のサンドイッチELISA系を以下のように構築した。すなわち、96ウェルプレートにコートする抗体には、WO2007/055340に従って調製したF(ab’)2化PPMX0104(FERM BP−10719)を5μg/mL、100μL/well、4℃、一晩インキュベーションし固相化を行った。
翌日300μL/wellの洗浄緩衝液(0.05%(v/v)Tween20,PBS)で3回洗浄後、ABI社のイムノアッセイスタビライザー(ABI #10−601−001)を150μL加え、ブロッキングを行い、4℃で一晩保管した。本ELISA法については、出願番号PCT/JP2006/322505に開示されている。血漿を、動物血清などを含む希釈緩衝液(50mM Tris−Cl pH8.0,0.15M NaCl)で適当に希釈したものを加え2時間室温でインキュベートした。次いで、動物血清などを含むPBS(−)で20μg/mLとなるように希釈したHRPO(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識Fab’化PPMX0105抗体を加え2時間室温でインキュベートした。反応液を捨てた後、300μL/wellの洗浄緩衝液で5回洗浄した後、添付のプロトコールに従いScytek社のTMB(Cat#TM4999)を用いて発色させ、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。サンプル中のPTX3タンパク質濃度の換算には、表計算ソフトGlaphPad PRISM(GlaphPad software Inc.ver.3.0)を用いて解析した。
血中のPTX3タンパク質を検出するため、PTX3のサンドイッチELISA系を以下のように構築した。すなわち、96ウェルプレートにコートする抗体には、WO2007/055340に従って調製したF(ab’)2化PPMX0104(FERM BP−10719)を5μg/mL、100μL/well、4℃、一晩インキュベーションし固相化を行った。
翌日300μL/wellの洗浄緩衝液(0.05%(v/v)Tween20,PBS)で3回洗浄後、ABI社のイムノアッセイスタビライザー(ABI #10−601−001)を150μL加え、ブロッキングを行い、4℃で一晩保管した。本ELISA法については、出願番号PCT/JP2006/322505に開示されている。血漿を、動物血清などを含む希釈緩衝液(50mM Tris−Cl pH8.0,0.15M NaCl)で適当に希釈したものを加え2時間室温でインキュベートした。次いで、動物血清などを含むPBS(−)で20μg/mLとなるように希釈したHRPO(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識Fab’化PPMX0105抗体を加え2時間室温でインキュベートした。反応液を捨てた後、300μL/wellの洗浄緩衝液で5回洗浄した後、添付のプロトコールに従いScytek社のTMB(Cat#TM4999)を用いて発色させ、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。サンプル中のPTX3タンパク質濃度の換算には、表計算ソフトGlaphPad PRISM(GlaphPad software Inc.ver.3.0)を用いて解析した。
対象患者のうち、脳塞栓1例、アテローム血栓性梗塞1例、ラクナ梗塞3例、一過性脳虚血性発作(TIA)4例のPTX3濃度の変化を経時的に観察した結果を図1Aに示す。また、TIA症例のうち1例(男性、56歳)の経時的なPTX3濃度の変動を図1Bに示す。本症例では第一回の一過性脳虚血発作後にPTX3が上昇してきた症例で、退院後に再発作をきたした。第二回の発作後はPTX3の値は低下し、以後は虚血発作を起こしていない。さらに、脳塞栓4例、ラクナ梗塞11例、TIA7例の経時的な平均PTX3濃度の変動を図1Cに示す。
血中PTX3濃度は、発症後およそ24時間程度までに最大になり、その後低下した。
血中PTX3濃度は、発症後およそ24時間程度までに最大になり、その後低下した。
<実施例2 疾患による血中PTX3濃度変動の特徴>
発症後48時間以内のPTX3値の最大値を「ピーク値」、発症後6時間以内のPTX3値を「ベース値」として疾患毎の特徴について検討を行った。
TIA、脳塞栓、ラクナ梗塞患者のピーク値の分布を比較した結果を図2Aに示す。各疾患群の平均値±標準偏差(SD)はTIAでは7.95±3.57ng/mL、脳塞栓では12.08±2.30ng/mL、ラクナ梗塞では4.92±2.07ng/mLであった。TIA群と脳塞栓群の間にp=0.05、脳塞栓群とラクナ梗塞群の間にp=0.01と有意な差が認められた。
発症後48時間以内のPTX3値の最大値を「ピーク値」、発症後6時間以内のPTX3値を「ベース値」として疾患毎の特徴について検討を行った。
TIA、脳塞栓、ラクナ梗塞患者のピーク値の分布を比較した結果を図2Aに示す。各疾患群の平均値±標準偏差(SD)はTIAでは7.95±3.57ng/mL、脳塞栓では12.08±2.30ng/mL、ラクナ梗塞では4.92±2.07ng/mLであった。TIA群と脳塞栓群の間にp=0.05、脳塞栓群とラクナ梗塞群の間にp=0.01と有意な差が認められた。
TIA、脳塞栓、ラクナ梗塞患者のベース値の分布を比較した結果を図2Bに示す。また、TIA、脳塞栓、ラクナ梗塞患者のベース値と正常者のPTX3濃度の分布の比較した結果を図2Cに示す。各疾患群の平均値±標準偏差(SD)はTIAでは3.69±1.22ng/mL、脳塞栓では4.73±2.13ng/mL、ラクナ梗塞では2.44±1.28ng/mLであった。正常者では1.98±0.55ng/mLであった。
TIA、脳塞栓、ラクナ梗塞患者のピーク値よりベース値を差し引いた値(ピーク値−ベース値)の分布を比較した結果を図2Dに示す。各疾患の平均値±標準偏差(SD)はTIAでは4.26±3.44ng/mL、脳塞栓では7.35±3.28ng/mL、ラクナ梗塞では2.48±1.84ng/mLであった。
脳塞栓群とラクナ梗塞群の間にp=0.05と有意な差が認められた。
脳塞栓群とラクナ梗塞群の間にp=0.05と有意な差が認められた。
以上の結果より、PTX3のピーク値は脳塞栓で他の脳血管疾患と比較して高値であり、ラクナ梗塞のピーク値は脳塞栓およびTIAと比較して低い傾向が認められ、また、脳塞栓はラクナ梗塞よりもピーク値が高く、この差は梗塞巣の範囲に起因することが示唆された。ラクナ梗塞患者の頭部CT画像、脳塞栓患者の頭部の拡散強調MRI(diffusion MRI)画像を、図3A、図3Bにそれぞれ示す。
Claims (10)
- 被検試料中のPTX3濃度を測定することを特徴とする脳血管疾患の診断方法。
- 脳血管疾患が、脳梗塞または一過性脳虚血発作である請求項1記載の診断方法。
- 脳血管疾患が、脳塞栓、ラクナ梗塞または一過性脳虚血発作である請求項1記載の診断方法。
- 脳塞栓、ラクナ梗塞および一過性脳虚血発作を分別診断するものである請求項1記載の診断方法。
- 被検試料が、血液、血清または血漿である請求項1〜4のいずれか1項記載の診断方法。
- 抗PTX3抗体を用いて被検試料中のPTX3タンパク質濃度を測定するものである請求項1〜5のいずれか1項記載の診断方法。
- 抗PTX3抗体を含有する脳血管疾患の診断薬。
- 脳血管疾患が、脳梗塞または一過性脳虚血発作である請求項7記載の診断薬。
- 脳血管疾患が、脳塞栓、ラクナ梗塞または一過性脳虚血発作である請求項7記載の診断薬。
- 脳塞栓、ラクナ梗塞および一過性脳虚血発作を分別診断するものである請求項7記載の診断薬。
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