JP2008305770A - 非水溶液電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、カルボニル基のα位にハロゲンが結合したハロゲン化カルボニル化合物を含む電解液を用いた非水電解液電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR、デジタルスチルカメラ、携帯電話、携帯情報端末、ノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。そしてこれらの電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。
二次電池の中でも、負極活物質に炭素、正極活物質にリチウム−遷移金属複合酸化物、電解液に炭酸エステル混合物等の非水溶媒を使用するリチウムイオン二次電池は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、広く実用化されている。特に外装にラミネートフィルムを使用するラミネート型電池は軽量なためエネルギー密度が大きい。ラミネート型電池においては、電解液をポリマーに膨潤させるとラミネート型電池の変形を抑制する事ができるため、ラミネートポリマー電池も広く使用されている。
これらのリチウムイオン二次電池では、サイクル特性などの電池特性を向上させるために、例えば、電解液に種々の添加剤を添加することが提案されている(特許文献1〜4参照)。
特開2001−43867号公報
特開2001−43900号公報
特開2001−176550号公報
特開2004−63367号公報
しかし、二次電池を使用する上記の電子機器では、電力消費量が増大する傾向にあり、それに伴い発熱量も増加している。このため、電池の動作環境も高温化されつつあり、従来の二次電池では、自己放電または電解液の分解などにより、熱膨張したり、充放電効率などの電池特性が劣化するという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高温環境下であっても、熱膨張を抑制し、充放電効率を向上させることによりサイクル特性を向上させることができる電解液およびそれを用いた電池を提供することにある。
本発明による非水電解液電池は、正極および負極と共に電解液を備えた非水電解液電池であって、下式(1)で表される、カルボニル基のα位にハロゲンが結合したハロゲン化カルボニル化合物を含有することを特徴とする非水電解液電池である。
式(1)中、lは1または2、XはF、Cl、Brから選択される少なくとも1つであり、R1、R2はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数が1〜4であるアルキル、またはハロゲン化アルキルを示す。
本発明の電池によれば、電解液にカルボニル基のα位にハロゲンが結合したハロゲン化カルボニル化合物を含むことにより、正極または負極の表面に良好な被膜を形成することができ、電解質の分解反応を抑制すると共に、電極におけるイオン伝導性を向上することができる。よって、高温環境下であっても、熱膨張を抑制し、充放電効率を向上することができ、サイクル特性を向上することができる。
特に、電解液におけるハロゲン化カルボニル化合物の濃度を0.1〜2.0質量%とすることで、また、該ハロゲンに塩素原子を含むことで、より高い効果を得ることができる。また、ハロゲン化炭酸エステル、炭素−炭素多重結合を有する炭酸エステル、および電解液により膨潤する高分子化合物を電解液に含有させることにより、より高い効果を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡または外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。負極22は、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層22Bと正極活物質層21Bとが対向するように配置されている。
正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aと、正極集電体21Aの両面または片面に設けられた正極活物質層21Bとを有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔およびステンレス箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料を含んで構成されている。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどの金属材料により構成されている。正極活物質層24Bは、例えば、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出可能な正極材料のいずれか1種または複数種を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、およびこれらの固溶体(Li(NiCoyMnz)O2))(x、yおよびzの値は0<x<1、0<y<1、0≦z<1、x+y+z=1である。)、マンガンスピネル(LiMn2O4)およびその固溶体(Li(Mn2−vNiv)O4)(vの値はv<2である。)などのリチウム複合酸化物、並びにリン酸鉄リチウム(LiFePO4)などのオリビン構造を有するリン酸化合物が好ましい。高いエネルギー密度を得ることができるからである。また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムおよび二酸化マンガンなどの酸化物、二硫化鉄、二硫化チタンおよび硫化モリブデンなどの二硫化物、硫黄、並びにポリアニリンおよびポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。負極集電体22Aは、例えば、銅、ニッケルおよびステンレスなどの金属材料により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または複数種を含んでいる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、および活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。
前記炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、スズまたはケイ素を構成元素として含む材料が挙げられる。スズおよびケイ素はリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
このような負極材料としては、具体的には、例えば、スズの単体、合金、およびその化合物、ケイ素の単体、合金、およびその化合物、並びにこれらの1種若しくは複数種の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。なお、本発明において、合金には複数種の金属元素からなるものに加えて、1種または複数種の金属元素と1種または複数種の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物またはそれらのうちの複数種が共存するものがある。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物またはケイ素の化合物としては、例えば、酸素または炭素を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また例えば、リチウムと合金を形成可能な他の金属元素または他の半金属元素を構成元素として含む材料を用いることもできる。このような金属元素または半金属元素としては、例えば、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、鉛、ビスマス、カドミウム、銀、亜鉛、ハフニウム、ジルコニウム、イットリウム、パラジウム、および白金などが挙げられる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、これらの負極材料に加えて、他の負極材料を混合して用いてもよい。他の負極材料としては、例えば、黒鉛、難黒鉛化性炭素および易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。このような炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少なく、上述した負極材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができ、更に導電剤としても機能するので好ましい。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多硬質膜により構成されており、これらの複数種の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。セパレータ23には、例えば液状の電解質である電解液が含浸されている。
電解液は、例えば、溶媒と、溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。また、電解液は、下式(1)で表される、カルボニル基のα位にハロゲンが結合したハロゲン化カルボニル化合物を含んでいる。カルボニル基のα位に結合したハロゲン原子は反応性に富み、充電状態の活物質と反応して電極表面にハロゲン化リチウム等の保護皮膜を形成する事で電解液と電池活物質との反応による気体発生を抑制する。特にハロゲンが塩素を含有することが好ましい。より高い効果が得られるからである。
式(1)中、lは1または2、XはF、Cl、Brから選択される少なくとも1つであり、R1、R2はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数が1〜4であるアルキル、またはハロゲン化アルキルを示す。好適な例として、例えば、ハロゲン化アセトン、ハロゲン化アセトアルデヒドが挙げられる。
電解液におけるハロゲン化カルボニル化合物の含有量は、0.1質量%以上2.0質量%以下の範囲内とすることが好ましい。この範囲内とすることで、より高い効果が得られるからである。
ハロゲン化カルボニル化合物として、例えば、下式(2)に示すクロラール、下式(3)に示すクロロアセトン、下式(4)に示す1,1−ジクロロアセトン、下式(5)に示す1,3−ジクロロアセトン、下式(6)に示す1,1,1−トリクロロアセトン、下式(7)に示すヘキサクロロアセトン、下式(8)に示す1,3−ジクロロテトラフルオロアセトンが挙げられる。
電解液に用いる溶媒は、比誘電率が30以上の高誘電率溶媒であることが好ましい。これによりリチウムイオンの数を増加させることができるからである。電解液における高誘電率溶媒の含有量は、15質量%以上50質量%以下の範囲内とすることが好ましい。この範囲内とすることにより、より高い充放電効率が得られるからである。
高誘電率溶媒としては、例えば、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートなどの炭素−炭素多重結合を有する環状炭酸エステル、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンなどのラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム、N−メチル−2−オキサゾリジノンなどの環式カルバミン酸エステル、並びにテトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物が挙げられる。特に環状炭酸エステルが好ましく、エチレンカーボネート、炭素−炭素二重結合を有するビニレンカーボネートがより好ましい。電解液における炭素−炭素多重結合を有する炭酸エステルの含有量は、0.1質量%以上2.0質量%以下の範囲内とすることが好ましい。また、上記高誘電率溶媒は、1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
高誘電率溶媒は、ハロゲン化炭酸エステルを含んでいてもよい。負極22に良好な被膜を形成することができ、電解液の分解反応を抑制することができるからである。ハロゲン化炭酸エステルとしては、例えば、下式(9)に示す4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)などのフッ素化炭酸エチレン、4−メチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの二フッ化炭酸エチレン、下式(10)に示すトリフルオロプロピレンカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン2−オンおよびトリフルオロメチレン炭酸エチレンなどの三フッ化炭酸エチレン、並びに下式(11)にしめす4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(クロロエチレンカーボネート)などの塩素化炭酸エチレンが挙げられる。電解液におけるハロゲン化炭酸エステルの含有量は、0.1質量%以上2質量%以下の範囲内とすることが好ましい。また、ハロゲン化炭酸エステルは1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
電解液に用いる溶媒は、上記高誘電率溶媒に、粘度が1mPa・s以下の低粘度溶媒を混合して用いることが好ましい。これにより高いイオン伝導性を得ることができるからである。高誘電率溶媒に対する低粘度溶媒の比率(質量比)は、高誘電率溶媒:低粘度溶媒=2:8〜5:5の範囲内とすることが好ましい。この範囲内とすることでより高い効果が得られるからである。
低粘度溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびメチルプロピルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルなどの鎖状カルボン酸エステル、N,N−ジメチルアセトアミドなどの鎖状アミド、N,N−ジエチルカルバミン酸メチルおよびN,N−ジエチルカルバミン酸エチルなどの鎖状カルバミン酸エステル、並びに1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよび1,3−ジオキソランなどのエーテルが挙げられる。これらの低粘度溶媒は1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
電解質塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)および四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4)などの無機リチウム塩、並びにトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(CF3SO3Li)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド[(CF3SO2)2NLi]、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミド[(C2F5SO2)2NLi]およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド[(CF3SO2)3CLi]などのパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩が挙げられる。電解質塩は1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
図1に示す二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、例えば、正極集電体21Aに正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質の粉末と導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製したのち、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとし、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型することにより形成する。
また、例えば、負極集電体22Aに負極活物質層22Bを形成し負極22を作製する。
負極活物質層22Bは、例えば、気相法、液相法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。気相法、液相法または焼成法により形成する場合には、形成時に負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化することがあるが、更に、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、合金化するようにしてもよい。
負極活物質層22Bは、例えば、気相法、液相法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。気相法、液相法または焼成法により形成する場合には、形成時に負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化することがあるが、更に、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、合金化するようにしてもよい。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法、および化学堆積法などを用いることができ、具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法、およびプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては、例えば、電解鍍金、および無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法、およびホットプレス焼成法が利用可能である。塗布の場合には、正極21と同様にして形成することができる。
次いで、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。続いて、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12、13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して正極21に吸蔵される。その際、電解液にはカルボニル基のα位にハロゲンが結合したハロゲン化カルボニル化合物が含まれているので、負極22に良好な被膜が形成され、電解液の分解反応が抑制され、優れた充放電効率を得ることができる。
図3は、本発明の他の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、およびステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着または接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、および変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、およびポリプロピレンなどの高分子フィルム、並びに金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。
電極巻回体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
電極巻回体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面または両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面または両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bの側が正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36には、前記電解液が含まれる。本発明の電池は、電解液により膨潤して電解液を保持する保持体となる高分子化合物を含むことにより、ゲル状としてもよい。電解液により膨潤する高分子化合物を含むことにより高いイオン伝導率を得ることができ、優れた充放電効率が得られると共に、電池の漏液を防止することができるからである。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、図1に示した円筒型の二次電池と同様である。電解液に高分子化合物を添加して用いる場合、電解液における高分子化合物の含有量は、0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲内とすることが好ましい。また、セパレータの両面に高分子化合物を塗布して用いる場合は、高分子化合物と電解液との質量比は1:10〜1:50の範囲内とすることが好ましい。この範囲内とすることにより、より高い充放電効率が得られるからである。
前記高分子化合物としては、例えば、下式(12)に示すポリビニルホルマール、ポリエチレンオキサイドおよびポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、下式(13)に示すポリアクリル酸エステルなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物、並びに下式(14)に示すポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ化ビニリデンの重合体が挙げられる。高分子化合物は1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。特に、高温保存時の膨潤防止効果の観点からは、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系高分子化合物を用いることが望ましい。
前記式(12)〜(14)中、s、t、uはそれぞれ100〜10000の整数であり、RはCxH2x−1Oy(xは1〜8、yは0〜4)で示される。
図3に示す二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶媒とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶媒を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
また、図3に示す二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3に示した二次電池を組み立てる。この二次電池の作用は、図1に示した円筒型の二次電池と同様である。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、電解質として電解液を用いる場合について説明し、更に、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状電解質を用いる場合についても説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性ガラスおよびイオン性結晶などのイオン伝導性無機化合物と電解液とを混合したもの、または他の無機化合物と電解液とを混合したもの、またはこれらの無機化合物とゲル状電解質とを混合したものが挙げられる。
また、上記実施の形態では、電極反応物質としてリチウムを用いる電池について説明したが、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)などの他のアルカリ金属、マグネシウムおよびカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、並びにアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができる。
更に、上記実施の形態では、負極の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池、または、負極活物質にリチウム金属を用い、負極の容量が、リチウムの析出および溶解による容量成分により表されるいわゆるリチウム金属二次電池について説明したが、本発明は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されるようにした二次電池についても同様に適用することができる。
更にまた、上記実施の形態では、二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は、二次電池に限らず、一次電池などの他の電池についても同様に適用することができる。
<実施例1−1〜1−11、比較例1−1〜1−2>
(実施例1−1)
まず、正極を次のように作製した。正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)を94質量部と、導電剤としてグラファイトを3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3質量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し正極合剤塗液を得た。次に、得られた正極合剤塗液を、厚み20μmのアルミニウム箔上の両面に均一に塗布、乾燥して片面当たり40mg/cm2の正極合剤層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して正極を作成した。
(実施例1−1)
まず、正極を次のように作製した。正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)を94質量部と、導電剤としてグラファイトを3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3質量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し正極合剤塗液を得た。次に、得られた正極合剤塗液を、厚み20μmのアルミニウム箔上の両面に均一に塗布、乾燥して片面当たり40mg/cm2の正極合剤層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して正極を作成した。
次に、負極を次のように作製した。負極活物質として黒鉛97質量部、結着剤としてPVdFを3質量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し負極合剤塗液を得た。次に、得られた負極合剤塗液を、負極集電体となる厚み15μmの銅箔上の両面に均一に塗布、乾燥して片面当たり20mg/cm2の負極合剤層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して負極を作成した。
電解液はエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート/六フッ化リン酸リチウム/1,1−ジクロロアセトン=34/51/14/1の割合(質量比)で混合して作成した。
上記の正極と負極を、厚さ9μmの微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介して積層して巻き取り、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋に入れる。この袋に電解液を2g注液後、袋を熱融着してラミネート型電池を作製した。この電池の容量は700mAhであった。
上記のようにして作製した電池の物性を次のようにして評価した。まず、電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化を調べた。ここで、膨張率は、保存前の電池厚みを分母とし、保存後の電池厚みを分子として算出した値である。また23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、700mAで3Vを下限として定電流放電することを300サイクル繰り返した時の放電容量維持率を測定した。
(実施例1−2〜1−4)
電解液におけるカルボニル化合物の濃度を表1に示すように変化させた以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液におけるカルボニル化合物の濃度を表1に示すように変化させた以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(実施例1−5)
電解液に1.0質量%のフルオロエチレンカーボネートを混合した以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液に1.0質量%のフルオロエチレンカーボネートを混合した以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(実施例1−6)
電解液に0.5質量%のビニレンカーボネートを混合した以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液に0.5質量%のビニレンカーボネートを混合した以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(実施例1−7〜1−12)
電解液におけるカルボニル化合物の種類を表1に示すように変化させた以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液におけるカルボニル化合物の種類を表1に示すように変化させた以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(比較例1−1)
電解液にカルボニル化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液にカルボニル化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(比較例1−2)
電解液に、ハロゲン化カルボニル化合物の代わりにハロゲン化していないカルボニル化合物(アセトン)を添加した以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液に、ハロゲン化カルボニル化合物の代わりにハロゲン化していないカルボニル化合物(アセトン)を添加した以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
実施例1−1〜1−12、比較例1−1および1−2で作製したラミネート型電池の物性を評価した結果を表1に示す。
表1に示したように、ハロゲン化カルボニル化合物(1,1−ジクロロアセトン、クロロアセトン、1,3−ジクロロアセトン、1,1,1−トリクロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラール、または1,3−ジクロロテトラフルオロアセトン)を電解液に混合した実施例1−1〜1−4、1−7〜1−12は、ハロゲン化カルボニル化合物を含まない電解液を使用した比較例1−1およびハロゲン化していないカルボニル化合物を含む電解液を使用した比較例1−2と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少した。この結果から、電解液にハロゲン化カルボニル化合物を混合することにより、高温保存時の電池膨張を抑制できることが分かった。
また、電解液におけるハロゲン化カルボニル化合物の濃度を変化させた実施例1−1〜1−4と比較例1−1とを比較すると、実施例1−1〜1−3では放電容量維持率が維持されているが、電解液におけるハロゲン化カルボニル化合物の濃度を3質量%とした実施例1−4では放電容量維持率が低下した。この結果から、電解液におけるハロゲン化カルボニル化合物の濃度が0.1〜2.0質量%の範囲内であれば、良好な結果が得られることが分かった。
ハロゲン化カルボニル化合物に加えて、フルオロエチレンカーボネートを電解液に混合した実施例1−5は、フルオロエチレンカーボネートを電解液に含まない実施例1−1と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少し、かつ放電容量維持率が上昇した。また、実施例1−5は、フルオロエチレンカーボネートおよびハロゲン化カルボニル化合物を電解液に含まない比較例1−1と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少し、放電容量維持率が維持されていた。この結果から、ハロゲン化カルボニル化合物とともにハロゲン化炭酸エステルを電解液に含有することにより、高温保存時の電池膨張を抑制し、優れた充放電効率を維持できることが分かった。
ハロゲン化カルボニル化合物に加えて、ビニレンカーボネートを電解液に混合した実施例1−6は、ビニレンカーボネートを電解液に含まない実施例1−1と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少し、かつ放電容量維持率が上昇した。また、実施例1−6は、ビニレンカーボネートおよびハロゲン化カルボニル化合物を電解液に含まない比較例1−1と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少し、放電容量維持率が維持されていた。この結果から、ハロゲン化カルボニル化合物とともに炭素−炭素多重結合を有する炭酸エステルを電解液に含有することにより、高温保存時の電池膨張を抑制し、優れた充放電効率を維持できることが分かった。
<実施例2−1〜2−12、比較例2−1〜2−2>
(実施例2−1)
セパレータの厚さを7μmとし、その両面にポリフッ化ビニリデンを2μmずつ塗布したセパレータを使用した以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(実施例2−1)
セパレータの厚さを7μmとし、その両面にポリフッ化ビニリデンを2μmずつ塗布したセパレータを使用した以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(実施例2−2〜2−4)
電解液におけるカルボニル化合物の濃度を表2に示すように変化させた以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液におけるカルボニル化合物の濃度を表2に示すように変化させた以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(実施例2−5)
電解液に1.0質量%のフルオロエチレンカーボネートを混合した以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液に1.0質量%のフルオロエチレンカーボネートを混合した以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(実施例2−6)
電解液に0.5質量%のビニレンカーボネートを混合した以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液に0.5質量%のビニレンカーボネートを混合した以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(実施例2−7〜2−12)
電解液におけるカルボニル化合物の種類を表2に示すように変化させた以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液におけるカルボニル化合物の種類を表2に示すように変化させた以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(比較例2−1)
電解液にカルボニル化合物を添加しなかったこと以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液にカルボニル化合物を添加しなかったこと以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
(比較例2−2)
電解液に、ハロゲン化カルボニル化合物の代わりにハロゲン化していないカルボニル化合物(アセトン)を添加した以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
電解液に、ハロゲン化カルボニル化合物の代わりにハロゲン化していないカルボニル化合物(アセトン)を添加した以外は、実施例2−1と同様にラミネート型電池を作製し、電池の物性を評価した。
実施例2−1〜2−12、比較例2−1および2−2で作製したラミネート型電池の物性を評価した結果を表2に示す。
表2に示したように、ハロゲン化カルボニル化合物(1,1−ジクロロアセトン、クロロアセトン、1,3−ジクロロアセトン、1,1,1−トリクロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラール、または1,3−ジクロロテトラフルオロアセトン)と電解液により膨潤する高分子化合物(ポリフッ化ビニリデン)を混合した電解液を使用した実施例2−1〜2−4、2−7〜2−12は、ポリフッ化ビニリデンを電解液に含まない実施例1−1と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少した。このことから、ハロゲン化カルボニル化合物とともに、電解液により膨潤する高分子化合物を電解液に使用することにより、高温保存時の電池膨張を抑制する効果が向上することが分かった。
また、電解液におけるハロゲン化カルボニル化合物の濃度を変化させた実施例2−1〜2−4と比較例2−1とを比較すると、実施例2−1〜2−3では放電容量維持率が維持されているが、電解液におけるハロゲン化カルボニル化合物の濃度を3質量%とした実施例2−4では放電容量維持率が低下した。この結果から、電解液により膨潤する高分子化合物を電解液に添加する場合にも、添加しない場合と同様に、電解液におけるハロゲン化カルボニル化合物の濃度が0.1〜2.0質量%の範囲内であれば、良好な結果が得られることが分かった。
ハロゲン化カルボニル化合物に加えて、フルオロエチレンカーボネートを電解液に混合した実施例2−5は、フルオロエチレンカーボネートを電解液に含まない実施例2−1と比較して、放電容量維持率が上昇した。また、実施例2−5は、フルオロエチレンカーボネートおよびハロゲン化カルボニル化合物を電解液に含まない比較例2−1と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少し、放電容量維持率が維持されていた。この結果から、電解液により膨潤する高分子化合物を電解液に添加する場合にも、添加しない場合と同様に、ハロゲン化カルボニル化合物とともにハロゲン化炭酸エステルを電解液に含有することにより、高温保存時の電池膨張を抑制し、優れた充放電効率を維持できることが分かった。
ハロゲン化カルボニル化合物に加えて、ビニレンカーボネートを電解液に混合した実施例2−6は、ビニレンカーボネートを電解液に含まない実施例2−1と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少し、かつ放電容量維持率が上昇した。また、実施例2−6は、ビニレンカーボネートおよびハロゲン化カルボニル化合物を電解液に含まない比較例2−1と比較して、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化が減少し、放電容量維持率が維持されていた。この結果から、電解液により膨潤する高分子化合物を電解液に添加する場合にも、添加しない場合と同様に、ハロゲン化カルボニル化合物とともに炭素−炭素多重結合を有する炭酸エステルを電解液に含有することにより、高温保存時の電池膨張を抑制し、優れた充放電効率を維持できることが分かった。
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々変形が可能であることは言うまでもない。
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構,15A…ディス
ク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…
正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極
、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレー
タ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電
解質、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム
ク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…
正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極
、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレー
タ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電
解質、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム
Claims (20)
- 前記電解液における前記ハロゲン化カルボニル化合物の含有量が0.1質量%以上2.0質量%以下である請求項1に記載の非水電解液電池。
- 前記ハロゲンが塩素原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解液電池。
- 前記電解液がハロゲン化炭酸エステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解液電池。
- 前記ハロゲン化炭酸エステルがフルオロエチレンカーボネートである請求項4に記載の非水電解液電池。
- 前記ハロゲン化炭酸エステルの含有量が0.1質量%以上2質量%以下である請求項4に記載の非水電解液電池。
- 前記電解液が炭素−炭素多重結合を有する炭酸エステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解液電池。
- 前記炭酸エステルがビニレンカーボネートである請求項7に記載の非水電解液電池。
- 前記電解液における前記炭酸エステルの含有量が0.1質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする請求項7記載の非水電解液電池。
- 前記電解液により膨潤する高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の非水電解液電池。
- 前記高分子化合物がポリフッ化ビニリデンであることを特徴とする請求項10記載の非水電解液電池。
- 前記高分子化合物と前記電解液との質量比が1:10〜1:50であることを特徴とする請求項10記載の非水電解液電池。
- アルミニウムラミネートフィルムからなる容器で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
- 前記ハロゲン化カルボニル化合物の含有量が0.1質量%以上2.0質量%以下である請求項14に記載の電池用電解液。
- 前記ハロゲンが塩素原子を含むことを特徴とする請求項14に記載の電池用電解液。
- ハロゲン化炭酸エステルを含有することを特徴とする請求項14に記載の電池用電解液。
- 前記ハロゲン化炭酸エステルがフルオロエチレンカーボネートである請求項17に記載の電池用電解液。
- 炭素−炭素多重結合を有する炭酸エステルを含有することを特徴とする請求項14に記載の電池用電解液。
- 前記炭酸エステルが炭酸ビニレンである請求項19に記載の電池用電解液。
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JP2010219032A (ja) * | 2009-02-18 | 2010-09-30 | Asahi Kasei E-Materials Corp | リチウムイオン二次電池 |
US9118088B2 (en) | 2009-06-10 | 2015-08-25 | Asahi Kasei E-Materials Corporation | Electrolyte solution and lithium ion secondary battery using the same |
CN110556549A (zh) * | 2019-08-21 | 2019-12-10 | 天津大学 | 锂一次电池 |
-
2007
- 2007-06-29 JP JP2007172718A patent/JP2008305770A/ja active Pending
Cited By (4)
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