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JP2008303168A - 破骨細胞制御剤とそのスクリーニング方法 - Google Patents

破骨細胞制御剤とそのスクリーニング方法 Download PDF

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JP2008303168A
JP2008303168A JP2007151307A JP2007151307A JP2008303168A JP 2008303168 A JP2008303168 A JP 2008303168A JP 2007151307 A JP2007151307 A JP 2007151307A JP 2007151307 A JP2007151307 A JP 2007151307A JP 2008303168 A JP2008303168 A JP 2008303168A
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osteoclasts
pgc
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JP2007151307A
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Kyoji Ikeda
恭治 池田
Kiyoaki Ishii
清朗 石井
Kazuhiro Iwai
一宏 岩井
Masako Ito
昌子 伊東
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Nagasaki University NUC
Japan Health Sciences Foundation
Original Assignee
Nagasaki University NUC
Japan Health Sciences Foundation
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Abstract

【課題】破骨細胞制御剤,過剰又は過小な破骨細胞の骨吸収能に関わる疾病の予防又は治療剤,破骨細胞制御剤のスクリーニング方法を提供することである。
【解決手段】鉄とトランスフェリンとの結合を制御する作用を有する物質,鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型との結合を制御する作用を有する物質,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質と、ヘム鉄との結合を制御する物質を含むことを特徴とする、破骨細胞制御剤,当該破骨細胞制御剤を含むことを特徴とする、破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤,鉄分が、代謝改善の目的に応じて調整されていることを特徴とする、破骨細胞の代謝異常改善組成物,及び、鉄とトランスフェリンとの複合体が関与する鉄吸収系を指標とする、破骨細胞制御剤のスクリーニング方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、破骨細胞制御剤及び破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤並びに破骨細胞制御剤のスクリーニング方法に関するものであり、更に詳しくは、骨粗鬆症,関節リウマチ,癌の骨転移等の、破骨細胞の異常な発達が原因で起こる疾病の予防又は治療剤に関する。
破骨細胞は、骨組織にのみ存在し、骨吸収を行う機能をもつ、特殊な多核巨大細胞で、骨やカルシウムの恒常性の維持にきわめて重要な役割を果たす。
破骨細胞は、骨髄のマクロファージ(BMM)から、M-CSFとRANKLという2つのサイトカインの作用によって形成される。
この破骨細胞は、閉経後骨粗鬆症などに関わっており、具体的には、過剰に形成された破骨細胞による、骨吸収の亢進がこの病態の中核である。
破骨細胞に直接働いて、その機能を制御する薬物としては、ビスフォスフォネートとカルシトニン等が挙げられる。
また、エストロゲンおよびSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)と呼ばれるその誘導体(ラロキシフェンが代表的)は、破骨細胞には直接働かないが、結果的には、骨吸収を抑制する作用がある。
しかしながら、骨代謝は、破骨細胞による骨吸収と造骨細胞による骨生成からなる一連のサイクルから成り立っており、破骨細胞による骨吸収作用だけを極端に低下させると、サイクル全体が止まり、新しい骨の形成量も低下してしまうことが懸念されている。特にビスフォネートの場合は、半永久的に骨に沈着するため、この問題が深刻である(非特許文献1)。
従って、破骨細胞の数及びその機能を適切なレベルに制御することは、骨粗鬆症をはじめ、関節リウマチによる骨・軟骨の破壊、癌の骨転移など、骨吸収の亢進によってもたらされる疾患及び、骨吸収の異常な低下による疾患の予防又は治療に有効であると考えられる。
一方、成熟破骨細胞においては、ミトコンドリアが一般的な他の細胞に比べて、異常に多いことが知られていたものの、その意味するところは、殆ど解明されていないのが現状であった。
骨粗鬆症の治療(薬物治療)に関するガイドライン(2002年10月25日発行,Osteoporosis Japan vol.10 no.4 別刷,発行所ライフサイエンス出版株式会社)
そこで、本発明者等は、上述の問題点を解決するべく鋭意検討を行った結果、鉄が、破骨細胞の形成や骨吸収機能に必須であること,鉄が、トランスフェリンと結合した状態で、トランスフェリン受容体1型との結合を介して細胞内に取り込まれ、破骨細胞の分化や成熟および機能発現に関与していること,ミトコンドリア蛋白質の転写を制御するある特定の転写活性化因子(PGC-1 beta)が、ミトコンドリアの形成だけでは無く、鉄と協働して破骨細胞の分化,成熟等にも関連していること,実際にPGC-1 betaの発現を制御すると、破骨細胞の分化や成熟が制御されること等を見出し、本発明に到達したものであって、その目的とするところは、破骨細胞制御剤,過剰又は過小な破骨細胞の骨吸収能に関わる疾病の予防又は治療剤,破骨細胞制御剤のスクリーニング方法を提供するにある。
上述の目的は、下記の発明によって達成される。
(第一の発明)
下記(X),(Y),(Z)の少なくとも1種を含むことを特徴とする、破骨細胞制御剤。
(X)鉄とトランスフェリンとの結合を制御する作用を有する物質
(Y)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型との結合を制御する作用を有する物質
(Z)PGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質と、ヘム鉄との結合を制御する物質
(第二の発明)
鉄とトランスフェリンとの結合を制御する作用を有する物質が鉄のキレート化剤であることを特徴とする第一の発明に記載の破骨細胞制御剤。
(第三の発明)
第一又は第二の発明に記載の破骨細胞制御剤を含むことを特徴とする、破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤。
(第四の発明)
破骨細胞の代謝異常を改善するための組成物であって、鉄分が、代謝改善の目的に応じて調整されていることを特徴とする、破骨細胞の代謝異常改善組成物。
(第五の発明)
下記の工程を含むことを特徴とする、破骨細胞制御剤のスクリーニング方法。
(I)被験物を、鉄,ヘム鉄,トランスフェリン,トランスフェリン受容体1型,PGC-1beta,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質,或いはこれらの遺伝子からなる群から選択される1つに接触させる工程。
(II)被験物の存在下と非存在下での、下記(A)乃至(G)のいずれかの差を評価する工程。
(A)鉄−トランスフェリン複合体の量
(B)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型の結合
(C)破骨細胞の前駆細胞,又は前破骨細胞中に取り込まれた鉄量
(D)PGC-1betaの発現量,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の発現量
(E)ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄からなる複合体の量
(F)破骨細胞中のミトコンドリアの数
(G)成熟破骨細胞の数
(III)(II)の結果を、被験物の破骨細胞制御能と関連付ける工程。
(第六の発明)
下記の工程を含むことを特徴とする、骨代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤のスクリーニング方法。
(I)被験物を、鉄,ヘム鉄,トランスフェリン,トランスフェリン受容体1型,PGC-1beta,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質,或いはこれらの遺伝子からなる群から選択される1つに接触させる工程。
(II)被験物の存在下と非存在下での、下記(A)乃至(G)のいずれかの差を評価する工程。
(A)鉄−トランスフェリン複合体の量
(B)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型の結合
(C)破骨細胞の前駆細胞,又は前破骨細胞中に取り込まれた鉄量
(D)PGC-1betaの発現量,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の発現量
(E)ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄からなる複合体の量
(F)破骨細胞中のミトコンドリアの数
(G)成熟破骨細胞の数
(III)(II)の結果を、被験物の骨代謝異常に起因する疾病の予防又は治療能と関連付ける工程。
本発明の破骨細胞制御剤及び破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤は、ビスフォスフォネートの様に半永久的に骨に沈着する恐れの無い方法で、破骨細胞の分化能,成熟能,骨吸収機能を制御できるため、骨代謝のサイクルを硬化させることなく、破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療を行える可能性が高い。
また本発明のスクリーニング方法は、このような破骨細胞制御剤及び破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤をスクリーニングする方法として、好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[本発明の破骨細胞制御剤]
本発明の破骨細胞「制御」剤には、破骨細胞を「促進」するものと、「抑制」するものがあり、また、「結合を制御」とは、結合自体を直接制御することのほか、結合される物質の一方又は両方の量を制御すること等による、間接的な制御も含まれる。
破骨細胞を「促進」するものとしては、破骨細胞の分化,成熟,増殖等を促進するものや、破骨細胞の骨吸収機能自体を強化,促進するもの等が挙げられる。
破骨細胞を「抑制」するものとしては、破骨細胞の分化,成熟,増殖等を抑制・阻害するものや、破骨細胞の骨吸収機能自体を抑制・阻害するもの等が挙げられる。
[本発明の破骨細胞制御剤の構成成分]
本発明の破骨細胞制御剤に用いられる、「(X)鉄とトランスフェリンとの結合を制御する作用を有する物質」には、
(1)鉄とトランスフェリンとの結合を増加させる作用を有する物質
(2)鉄とトランスフェリンとの結合を減少させる作用を有する物質
が含まれる。
尚、本発明で言う「結合」とは、結合の量及び/又は結合の質(強度)等を意味するものである。
従って、「結合を増加(又は減少)させる」とは、「結合量を増加(又は減少)させる」場合の他、「結合の強さを増加(又は減少)させる」場合をも含む。
(1)の鉄とトランスフェリンとの結合を増加させる作用を有する物質としては、鉄,トランスフェリン自身の他、これらの結合を促進する作用を有する物質が含まれるが、鉄とトランスフェリンは、共存すると直ちに結合することから、鉄,トランスフェリンそのものでも十分である。
本発明の破骨細胞制御剤に用いられる鉄は、トランスフェリンと複合体を形成しているものでも良いが、鉄単独でも良く、その場合、硫酸鉄,ピロリン酸第二鉄,フマル酸第一鉄,クエン酸第一鉄ナトリウム,含糖酸化鉄,コンドロイチン硫酸鉄・鉄コロイド,クエン酸鉄アンモニウム等の他、鉄イオン溶液等の形態,又は食品の中に存在する鉄分や鉄分含有サプリメント等の形態でをとっているものであっても良い。
鉄がトランスフェリンと複合体を形成することによって、トランスフェリン受容体1型を介して、破骨細胞の前段階である前駆細胞に取り込まれ、破骨細胞の分化,成熟が促されるため、骨吸収の異常な低下に伴う疾病を予防又は治療することができる。
(2)の鉄とトランスフェリンとの結合を減少させる作用を有する物質としては、鉄のキレート化剤,トランスフェリン遺伝子の発現を阻害する物質,抗トランスフェリン抗体等が挙げられる。
鉄のキレート化剤としては、メシル酸デフェロキサミン(デスフェラール(登録商標),ノバルティス社製)や4-[3,5-Bis (2-hydroxyphenyl)-1H-1,2,4-triazol-1-yl]-benzoic acid)(デフェラシロクス:EXJADE(登録商標),ノバルティス社製)等が挙げられ、それぞれ購入により、入手が可能である。
特に、4-[3,5-Bis (2-hydroxyphenyl)-1H-1,2,4-triazol-1-yl]-benzoic acid)は、日本ではまだ認可されていないものの、経口製剤である点で、好適である。
トランスフェリン遺伝子の発現を阻害する物質としては、トランスフェリン遺伝子に対するアンチセンスDNA,トランスフェリンmRNAに対するRNA干渉作用を有するRNA等の、ポリヌクレオチド等が挙げられる。
これらのポリヌクレオチドは、バイオテクノロジー等の手法に基づく常法で製造することができる。
これらの物質を用いて、鉄とトランスフェリンとの結合を減少させることによって、鉄が破骨細胞の前駆細胞等に取り込まれる量が減少し、破骨細胞の分化能,成熟能,骨吸収機能を抑制できるため、異常な骨吸収に伴う、骨粗鬆症その他の疾病を予防又は治療することができる。
本発明の「(Y)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型との結合を制御する作用を有する物質」には
(3)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型の結合を増加させる作用を有する物質
(4)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型の結合を減少させる作用を有する物質
が含まれる。
(3)の鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型との結合を増加させる作用を有する物質としては、トランスフェリンレセプター(受容体)との相互作用によって、鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型の結合を阻害するHFE(ヘモクロマトーシス)に対する阻害剤(抗HFE抗体,HFE遺伝子に対する、アンチセンス薬やsiRNA薬等)や、細胞表面のトランスフェリン受容体1型の数を激減させてしまうIFN-γに対する阻害剤(抗IFN-γ抗体,IFN-γ遺伝子に対する、アンチセンス薬やsiRNA薬等),トランスフェリン受容体1型の発現を増加させるNO(一酸化窒素),細胞外のpHを、鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型の結合力が保持される弱酸性〜弱アルカリ性付近のpHに保つためのpH調整剤等が挙げられる。鉄−トランスフェリン複合体は、pHが下がることで、トランスフェリン受容体1型から乖離することが知られているためである。pH調整剤としては公知のものが使用できる。
鉄は、トランスフェリンと複合体を形成することによって、トランスフェリン受容体1型を介して、破骨細胞の前段階である前駆細胞等に取り込まれるため、鉄−トランスフェリン複合体と受容体との結合を促進することで、前駆細胞の破骨細胞への分化,成熟が促進され、骨吸収の異常な低下に伴う疾病を予防又は治療することができる。
(4)の鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型の結合を減少させる作用を有する物質としては、抗トランスフェリン抗体,抗トランスフェリン受容体1型抗体,トランスフェリン受容体1型のトランスフェリン結合部位と相同性を有するタンパク質,トランスフェリン受容体1型の、細胞外ドメイン等からなる可溶化フォーム,pHを下げることで、鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型から乖離させる、pH調整剤等が挙げられる。pH調整剤としては公知のものが使用できる。
これらの抗体やタンパク質等は、適当な動物に対する免疫や、バイオテクノロジー手法による方法で、常法により、製造することができる。
鉄−トランスフェリン複合体の、トランスフェリン受容体1型との結合を阻害することによって、鉄が破骨細胞の前段階である前駆細胞等に取り込まれるのを阻害することができ、前駆細胞の破骨細胞への分化,成熟を防止し、異常な骨吸収に伴う、骨粗鬆症その他の疾病を予防又は治療することができる。
本発明の破骨細胞制御剤に用いられる、「(Z)PGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質と、ヘム鉄との結合を制御する物質」には、当該結合を「増加」又は「減少」させる作用を有する物質が挙げられ、より具体的には
(5)PGC-1betaやPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の、発現を増加させる作用を有する物質や、ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄との結合を、増加させる作用を有する物質
(6)PGC-1betaやPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の、発現を減少させる作用を有する物質や、ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄との結合を、減少させる作用を有する物質
が含まれる。
(5)PGC-1betaやPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の、発現を増加させる作用を有する物質や、ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄との結合を、増加させる作用を有する物質としては、活性酸素,転写因子CREB等が挙げられる。
ここで、PGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質としては、チトクローム(c,a,b等),チトクロームオキシダーゼ,チトクロームオキシドレダクターゼ等が挙げられる。
PGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質とヘム鉄との結合を増加させることによって、ミトコンドリアは、その活性が増強されるとともに増殖が促進され、その結果、破骨細胞の分化,成熟が促されるため、骨吸収の異常な低下に伴う疾病を予防又は治療することができる。
(6)PGC-1betaやPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の、発現を減少させる作用を有する物質や、ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄との結合を、減少させる作用を有する物質としては、ヘム鉄とミトコンドリア蛋白質の結合そのものを阻害する物質の他、上述の(2)や(4)の様な、ミトコンドリアに鉄を取り込むのを阻害する物質,あるいは(ヘム)鉄が結合するミトコンドリア蛋白質の発現を阻害する物質等が挙げられる。
具体的には、抗PGC-1beta抗体,抗ミトコンドリア蛋白質抗体等の抗体や、PGC-1beta遺伝子やミトコンドリア蛋白質遺伝子に対するアンチセンスDNA,PGC-1betaやミトコンドリア蛋白質遺伝子のmRNAに対するRNA干渉作用を有するRNA等の、ポリヌクレオチド等が挙げられる。また、ミトコンドリアにおけるヘムの合成に関わる酵素群、とくに律速酵素として重要なALAS(δ-aminolevulinate synthase、デルタ-アミノレヴリン酸合成酵素)の阻害作用をもつ物質(抗体や、アンチセンスDNA,RNA干渉作用を有するRNA等の、ポリヌクレオチド)等も含まれる。
PGC-1beta遺伝子のmRNAに対するRNA干渉作用を有するRNAとしては、例えば配列番号1で表される遺伝子等が挙げられる。
これらのポリヌクレオチドは、バイオテクノロジー等の手法に基づく常法で製造することができる。
PGC-1betaやPGC-1betaが媒介するミトコンドリア蛋白質の発現を減少させ,又はそのミトコンドリア蛋白質と鉄との結合を減少させることによって、ミトコンドリアの増殖や機能の抑制等を通じて、破骨細胞の分化,成熟を抑制し、異常な骨吸収に伴う、骨粗鬆症その他の疾病を予防又は治療することができる。
本発明の破骨細胞制御剤は、後述の破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤の有効成分として用いられる他、破骨細胞を中心とする骨粗鬆症等の発生,治療メカニズム等の解明における実験試薬としても有用である。
[本発明の破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤]
本発明の破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤は、上述の本発明の破骨細胞制御剤を含むことを特徴とする。
本発明が対象とする、破骨細胞の代謝異常に起因する疾病としては、破骨細胞の異常な増殖や骨吸収能の亢進が原因で起こる、骨粗鬆症,関節リウマチ,乳癌等からの癌の骨転移等のほか、破骨細胞の異常な減少や骨吸収能の低下が原因で起こる、大理石骨病や、古い骨の残存によって造骨細胞の骨形成が阻害される症状等が挙げられる。
[本発明の破骨細胞の代謝異常改善組成物]
鉄分は、体内で製造することができないため、飲食品,サプリメント,医薬品等によって体外から摂取することが必要である。
従って、本発明の「破骨細胞の代謝異常改善組成物」は、鉄分が、代謝改善の目的に応じて調整されていることが肝要である。
つまり、組成物が、破骨細胞の滞った代謝を亢進させることを目的とする場合には、組成物の他の材料が鉄分を含まない場合、別途鉄分を加えるか、あるいは組成物の他の材料がもともと鉄分を含む場合、更に鉄分を増量し、逆に、組成物が、破骨細胞の行き過ぎた代謝を抑制することを目的とする場合には、もともと鉄分を含有する飲食品材料の、鉄分を、除去又は低減させた組成物の他、もともと鉄分を含まない素材のみからなる組成物とする。
このような組成物の形態としては、飲食品,サプリメント,医薬品等が、含まれるものとする。
[その他の成分]
本発明の「破骨細胞制御剤」,「破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤」,又は「破骨細胞の代謝異常改善組成物」には、その制御効果や予防又は治療効果を阻害しない範囲で、他の成分を含有させることができ、例えば薬学的に許容される担体として、賦形剤,滑沢剤,結合剤,崩壊剤,安定剤,矯味矯臭剤,希釈剤,界面活性剤,乳化剤,可溶化剤,吸収促進剤,保湿剤,吸着剤,充填剤,増量剤,付湿剤,防腐剤等の添加剤を用いて周知の方法で製剤化することができる。
ここに、賦形剤としては、有機系賦形剤及び無機系賦形剤等が挙げられる。
本発明の「破骨細胞制御剤」,「破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤」,又は「破骨細胞の代謝異常改善組成物」は、従来知られている破骨細胞制御剤や破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤成分との合剤としても良い。
[剤形]
本発明の「破骨細胞制御剤」,「破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤」,又は「破骨細胞の代謝異常改善組成物」の剤形は、例えば錠剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,丸剤,トローチ,もしくはシロップ剤,注射剤等の形態が挙げられる。
[投与方法]
本発明の「破骨細胞制御剤」,「破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤」,又は「破骨細胞の代謝異常改善組成物」の投与方法としては、経口投与,静注等の静脈投与,筋肉内投与,経皮投与,経鼻投与,皮内投与,皮下投与,腹腔内投与,直腸内投与,粘膜投与、吸入等が挙げられる。
有効成分が、低分子化合物やペプチド類である場合は、簡便である等の点からは、経口投与が好ましく、安全かつ血中濃度を一定に保つという点では静注等の静脈投与が好ましく、患部に確実に届く点では、筋肉注射等の筋肉内投与が好ましい。
特に鉄のキレート化剤である、4-[3,5-Bis(2-hydroxyphenyl)-1H-1,2,4-triazol-1-yl]-benzoic acid)は、経口投与が可能である。
尚、有効成分が、ポリヌクレオチドの場合、発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法(DNAワクチン法),リポソーム法,リポフェクチン法,マイクロインジェクション法,リン酸カルシウム法,エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDNAワクチン法、リポソーム法が好ましい。
ウイルスベクターを用いる場合、(日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁,月刊薬事,36(1),23−48(1994),実験医学増刊,12(15),(1994),およびこれらの引用文献等)等に記載されているように、ウイルスに、目的とする遺伝子を組み込むことによって行うことができる。
ウイルスベクターに用いるウイルスとしては、例えばレトロウイルス,アデノウイルス,アデノ関連ウイルス,ヘルペスウイルス,ワクシニアウイルス,ポックスウイルス,ポリオウイルス,シンビスウイルス等のDNAウイルス又はRNAウイルスが挙げられる。
ウイルスの中では、レトロウイルス,アデノウイルス,アデノ関連ウイルス,ワクシニアウイルス等が好ましく、特にアデノウイルスが好ましい。
遺伝子を実際に医薬として作用させるには、当該遺伝子を直接体内に導入する「in vivo法」の他、ヒトかから採集した細胞に当該遺伝子を導入し、その後、遺伝子導入細胞を体内に戻すという、「ex vivo法」等がある[日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁,月刊薬事,36(1),23−48(1994),実験医学増刊,12(15),(1994),およびこれらの引用文献等]が、in vivo法は費用や手間が少なく、簡便である点で好ましく、ex vivo法は、遺伝子の細胞内への導入効率が良いという点で好ましい。
「in vivo法」により投与する場合は、治療目的の疾患、症状等に応じた適当な投与経路を選択することができる。投与経路としては、例えば、静脈,動脈,皮下,皮内,筋肉内等が挙げられる。
「in vivo法」によって投与する場合は、例えば、液剤等の製剤形態をとることができる。一般的には遺伝子を含有する注射剤等の形態が好ましく、必要に応じて、注射剤等に常用されている各種の成分等を加えることもできる。
また、遺伝子を含有するリポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)−リポソーム等)においては、懸濁剤,凍結剤,遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤の形態として用いることができる。
[有効成分の含有量]
本発明の「破骨細胞制御剤」,「破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤」,又は「破骨細胞の代謝異常改善組成物」中の、有効成分の含有量は、剤形によって様々であり、一概に限定できず、各種剤形化が可能な範囲で、投与量との関係で適宜選択すれば良いが、例えば液剤の場合、好ましくは0.0001〜10(w/v%),より好ましくは0.001〜5(w/v%),特に注射剤の場合、好ましくは0.0002〜0.2(w/v%),より好ましくは0.001〜0.1(w/v%),固形剤の場合、好ましくは0.01〜50(w/w%),より好ましくは0.02〜20(w/w%)等として調製できるが、必ずしもこの範囲に限定されるものでは無い。
[「破骨細胞制御剤」,「破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤」,又は「破骨細胞の代謝異常改善組成物」の投与量(有効成分換算)]
本発明の「破骨細胞制御剤」,「破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤」,又は「破骨細胞の代謝異常改善組成物」の投与量は、投与経路,症状,標的とする組織や器官,年齢,体重,予防又は治療剤の形態等によって異なるが、例えば、有効成分が、低分子化合物,ペプチド類等である場合、予防又は治療剤中の有効成分の量が、処置を必要としている対象体重1kg当たり好ましくは0.005〜500mg,より好ましくは、0.1〜100mg,但し、成人に対して1日あたり、下限として好ましくは0.01mg(より好ましくは0.1mg),上限として、好ましくは20g(より好ましくは2000mg,更に好ましくは500mg,特に好ましくは100mg)となるように、1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
有効成分がポリヌクレオチドの場合の投与量も、症状,標的とする組織や器官,年齢,体重等によって適宜調節すべきであるが、一般に、ポリヌクレオチドとして、好ましくは0.0001〜100mg,更に好ましくは0.001〜10mgを、数日又は数ヶ月に一回の割合で投与することが好ましい。
尚、本発明の「破骨細胞の代謝異常改善組成物」が、破骨細胞の行き過ぎた代謝を抑制することを目的とする場合には、鉄分を含まないことが肝要であるため、投与量そのものに、特に制限は無く、鉄分を含む飲食品,医薬品等の代わりに摂取すれば良い。
[本発明の、破骨細胞制御剤又は骨代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤の、スクリーニング方法]
本発明の破骨細胞制御剤又は骨代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤のスクリーニング方法は、下記の工程を含むことを特徴とする。
(I)被験物を、鉄,ヘム鉄,トランスフェリン,トランスフェリン受容体1型,PGC-1beta,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質,或いはこれらの遺伝子からなる群から選択される1つに接触させる工程。
(II)被験物の存在下と非存在下での、下記(A)乃至(G)のいずれかの差を評価する工程。
(A)鉄−トランスフェリン複合体の量
(B)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型との結合
(C)破骨細胞の前駆細胞,又は前破骨細胞中に取り込まれた鉄量
(D)PGC-1betaの発現量,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の発現量
(E)ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄からなる複合体の量
(F)破骨細胞中のミトコンドリアの数
(G)成熟破骨細胞の数
(III)(II)の結果を、被験物の破骨細胞制御能や、被験物の骨代謝異常に起因する疾病の予防又は治療能と関連付ける工程。
尚、ここで言う遺伝子には、DNA及びmRNA等が含まれる。また、(I)や(II)は、細胞培養系や場合によっては、試験管内で行うことができる。
(A),(B),(C),(D),(E),(F),(G)の量を評価する方法としては、公知の方法が採用できるが、例えば、鉄,ヘム鉄,トランスフェリン,トランスフェリン受容体1型,PGC-1beta,ミトコンドリア蛋白質の各々に、異なるマーカーを結合させ、それぞれのマーカーを検出する方法等が挙げられる。
鉄−トランスフェリン複合体中のトランスフェリン,トランスフェリン受容体1型,PGC-1beta,ミトコンドリア蛋白質等の検出に用いられるマーカーとしては、蛋白質の検出に一般に用いられている蛍光物質等の標識が挙げられる。
具体的な蛍光蛋白質としては、例えばGFP(Green Fluorescence Protein:オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク),YFP(Yellow Fluorescence Protein:黄色タンパク質),CFP(Cyan Fluorescence Protein:シアン色タンパク質)の他、珊瑚由来の赤色蛍光タンパク等が挙げられる。
マーカーを結合させる方法としては、常法を用いることができる。
細胞内に存在するFeの量を評価するには、血清中のフェリチン量を指標とする方法等が挙げられる。フェリチンは、Fe3+とアポフェリチンが結合した可溶性の鉄貯蔵蛋白質であるため、細胞内での貯蔵量と比例して、血清中に存在することが知られているからである。
血清フェリチンの評価方法として、ラジオイムノアッセイ(二抗体法・サンドイッチ法)や、例えば「ルミパルス」(登録商標、富士レビオ(株)社製)等を用いた化学発光酵素免疫測定法等の酵素抗体法等が挙げられる。
ミトコンドリア中の遊離ヘム鉄は、非常に少ないと考えられているので、ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄からなる複合体の量を評価するには、細胞からミトコンドリアを単離した後、ピリジン−ヘモクローム法(ANALYTICAL BIOCHEMISTRY 161,l-15(1987),EDWARD A.BERRYら)によって、ヘム含量を測定する方法で代替することができる。
破骨細胞中のミトコンドリア数や、成熟破骨細胞数を評価するには、公知の方法が採用できるが、例えば、ミトコンドリアの場合、マイトトラッカー(MitoTracker,インビトロジェン社登録商標)やヤヌスグリーン等で染色し、顕微鏡観察によって直接計測する方法や、ミトコンドリアに特有の蛋白質又はそのmRNAを定量する等の間接的な評価方法,成熟破骨細胞数を評価する場合は、分泌型骨代謝マーカーである、TRAP(Tartrate-Resistant Acid Phosphatase:酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ)を染色することにより、TRAP陽性の多核細胞の数を顕微鏡観察でカウントする方法,細胞外に分泌された、培養液中のTRAP活性を測定する方法等が挙げられる。
尚、本発明で言うスクリーニングには、複数候補の中から、破骨細胞制御性を有する物質を選択するための、いわゆる一次スクリーニングの他、骨粗鬆症の治療効果等が知られている被験物の、破骨細胞制御性を確認するための、いわゆる二次スクリーニング(再評価又は確認試験)も含まれるものである。
以下、実施例において、本発明を詳細に説明するが、それに先だって、実施例の破骨細胞制御剤や破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤の効果を確認するために用いた、エストロゲン欠乏性骨粗鬆症(閉経後骨粗鬆症)モデルとしての卵巣摘除(OVX)マウス及び、対照として用いた疑似手術(Sham)マウスについて説明する。
[OVXモデルの作成方法]
10週齢雌性ddYマウスを、エーテル麻酔下で卵巣摘出(OVX)した。
[Shamマウスの作成方法]
OVXマウスの作成時と同様に、マウスの背側部を切開し、卵巣を同定,可視化した後、元に戻して縫合する、疑似手術を行った。
[骨量の測定方法]
骨量の確認には、BV/TV(bone volume/tissue volume),すなわち骨量を組織総量で割った、骨量フラクション(3次元の骨量)という値で評価した。
骨量の測定は、マイクロCT(スキャンコメディカル(株)(SCANCO Medical AG)製,micro CT-40)によって行った。
[試験例1:破骨細胞の分化とトランスフェリン受容体の発現の関係]
破骨細胞の元となる前駆細胞が破骨細胞へと分化するに伴って、トランスフェリン受容体1型(TfR1)の発現量が増加することを、RT−PCR手法を用いたトランスフェリン受容体mRNA測定によって、確認した。
結果を図1に示す。
図1から、BMMにおけるTfR1の発現量は微量であるが、前破骨細胞(preOC:pre Osteoclast)や、成熟破骨細胞(mOC:mature Osteoclast)においては、かなりの量、発現していることが確認された。
このことは、破骨細胞の分化に伴って、相対的な鉄不足になること、より多くの鉄を細胞内に取り込むために破骨細胞は細胞表面にトランスフェリン受容体を高いレベルで発現することを、示唆するものである。
[試験例2:トランスフェリンによる破骨細胞の分化の促進−1]
後述の実施例1のトランスフェリンを含む破骨細胞制御(促進)剤を用いて、トランスフェリンによる破骨細胞の分化の促進を、破骨細胞の産生する酵素であるTRAPを染色した様子を顕微鏡観察することにより確認した。
破骨細胞の前駆細胞の培養物に、0.5μMに希釈した実施例1のトランスフェリンを含む破骨細胞制御(促進)剤を添加した。
結果を図2に示す。
図2から、トランスフェリンの添加によって、破骨細胞が増加していることが確認された。
尚、本実験では、トランスフェリンは単独で投与したが(アポトランスフェリン)、トランスフェリンは、鉄と出会うと直ちに複合体を形成するため、ここでも、培養液中の血清の鉄と反応して、ホロトランスフェリンを形成したものと考えられる。
尚、予め、鉄との複合体を形成したトランスフェリン(ホロトランスフェリン)を投与した場合でも、上記と同様の結果が得られた。
[試験例3:トランスフェリンによる破骨細胞の分化の促進−2]
後述の実施例1のトランスフェリンを含む破骨細胞制御(促進)剤を用いて、トランスフェリンによる破骨細胞の分化の促進を、TRAP陽性多核細胞(≒破骨細胞)数を顕微鏡観察において数えることによって、定量した。
結果を図3に示す。
図3において、縦軸は、トランスフェリンを加えない対照群を1とした場合の、増加比率を表す。
また、図中の「day」とは、破骨細胞の前駆細胞の培養開始後、何日目に、トランスフェリンを添加したかを示し、TRAP陽性多核細胞数の測定は、いずれも、培養開始後、4日目に行った。
図3から、破骨細胞の前駆細胞の培養開始後、2または3日後にトランスフェリンを加えた場合には、容量依存的に破骨細胞が増加することが分かった。
尚、3dayにおいて、それほど、破骨細胞が増加していないのは、3日目ともなると、ほぼ80%以上の破骨細胞の前駆細胞が既に破骨細胞に分化しており、増加率が頭打ちとなったためと考えられる。
[試験例4:鉄キレート化剤による破骨細胞の分化の抑制−1]
後述の実施例2の、鉄キレート化剤であるメシル酸デフェロキサミン(Df:デスフェラール(登録商標))を含む破骨細胞制御(抑制)剤を用いて、鉄キレート化剤による破骨細胞の分化の抑制を確認した。
破骨細胞の産生する酵素であるTRAPを染色した様子を顕微鏡観察することにより確認した。
破骨細胞の前駆細胞の培養物に、100μMに希釈した実施例2の破骨細胞制御剤を添加した。
結果を図4に示す。
図4から、鉄キレート化剤であるメシル酸デフェロキサミンの添加によって、破骨細胞が減少していることが確認された。
[試験例5:鉄キレート化剤による破骨細胞の分化の抑制−2]
後述の実施例2の、鉄キレート化剤であるメシル酸デフェロキサミン(Df:デスフェラール(登録商標))を含む破骨細胞制御(抑制)剤を用いて、鉄キレート化剤による破骨細胞の分化の抑制を、TRAP陽性多核細胞(≒破骨細胞)数を顕微鏡観察において数えることによって、確認した。
結果を図5に示す。
図5において、縦軸は、トランスフェリンを加えない対照群を1とした場合の、増加比率を表す。
また、図中の「day」とは、破骨細胞の前駆細胞の培養開始後、何日目に、鉄キレート化剤を添加したかを示し、TRAP陽性多核細胞数の測定は、いずれも、培養開始後、4日目に行った。
図5から、破骨細胞の前駆細胞の培養開始後、2日目に鉄キレート化剤を添加しても、容量依存的に破骨細胞が減少することが分かった。
[試験例6:トランスフェリンによる破骨細胞の骨吸収機能促進,及び鉄キレート化剤による破骨細胞の骨吸収機能の抑制]
後述の実施例1のトランスフェリンを含む破骨細胞制御(促進)剤と、実施例2の、鉄キレート化剤であるメシル酸デフェロキサミン(Df:デスフェラール(登録商標))を含む破骨細胞制御(抑制)剤を、破骨細胞培養液に添加した場合の、破骨細胞の骨吸収機能の促進又は抑制の様子を確認した。
スライスした象牙の上に、破骨細胞を、1×106cell/mlの濃度で添加した。
この破骨細胞播種プレートに、実施例1又は実施例2の各々の破骨細胞制御剤を、100μM添加し、2日培養後の、象牙プレートを、2% CBBで染色した様子を、光学実体顕微鏡(LEICA社製,M420)により観察した結果を、図6に示す。
図6において、青く染まったエリア(色素が入り込んだエリア)が、破骨細胞の骨吸収によりプレートが浸食・溶解されたエリアである。
この青く染まった面積が大きい程、破骨細胞の骨吸収機能が促進されていることを表す。
また、この染色されたエリアの面積をコンピューターにより定量化した結果を、図7に示す。
尚、図7中の*は、有意差p<0.05を意味する。
図7から分かる通り、トランスフェリンを含む破骨細胞制御(促進)剤を添加した場合(図7:中央図)、コントロール(図7:左図)に比べて、破骨細胞により表面が吸収されて消失したエリアが有意に増加していることが分かった。
尚、この図7による定量化では、図6に基づく、面積の比較しかしていないが、図6では、青く染色した部分にも、コントロールである左図とトランスフェリンを添加した中央図とで、青色に濃淡の差があり、中央図の方が、濃い面積が多かった。
このことは、3次元的に定量すれば、コントロールとトランスフェリン添加とでは、図7で表した以上に、トランスフェリンによる骨吸収量に差があることを示唆している。
[試験例7:鉄キレート化剤によるOVXモデルの骨量減少抑制]
エストロゲン欠乏性骨粗鬆症(閉経後骨粗鬆症)モデルとしての卵巣摘除(OVX)マウス群(各群5匹)及び、対照として用いる疑似手術(Sham)マウス群(各群5匹)に、コントロールとしてのPBS緩衝液,又は実施例2の、鉄キレート化剤であるメシル酸デフェロキサミン(Df:デスフェラール(登録商標))を含む破骨細胞制御(抑制)剤を投与し、マイクロCTで測定した3次元骨量の平均値(BV/TV)を測定した結果を、図8に示す。
尚、図8中の*は、有意差p<0.05を意味する。
図8から分かる通り、Shamマウス群では、PBS投与群と鉄キレート化剤投与群で、骨量に有意差は無かった。
一方、OVXマウス群では、PBS投与群で、Shamマウス群に対して、かなり骨量が低下していた。これは、OVXマウス群が、確かに、エストロゲン欠乏性骨粗鬆症を発症していることを示すものである。
そして、OVXマウス群に鉄キレート化剤を投与した群では、PBS投与群に比べて、明らかに骨量が増加していた。
この結果から、鉄キレート化剤が、骨粗鬆症その他の、破骨細胞が関係する骨疾患を予防又は治療し得ることは明らかである。
[試験例8:鉄キレート化剤によるOVXモデルの骨吸収抑制]
試験例7で用いたマウスにおいて、骨吸収の生化学マーカーであるCTX(type I collagen C-telopeptide)の、尿中排泄量を測定した結果を、図9に示す。
尚、図9中の*は、有意差p<0.05を意味する。
図9から分かる通り、Shamマウス群では、PBS投与群と鉄キレート化剤投与群で、尿中のCTX量に有意差は無かった。
一方、OVXマウス群では、PBS投与群で、Shamマウス群に対して、かなりCTX量が増加していた。これは、OVXマウス群の骨吸収が亢進しており、確かに、エストロゲン欠乏性骨粗鬆症を発症していることを示すものである。
そして、OVXマウス群に鉄キレート化剤を投与した群では、PBS投与群に比べて、明らかにCTXの増加量が抑制されていた。
この結果から、鉄キレート化剤が、骨粗鬆症その他の、破骨細胞が関係する骨疾患を予防又は治療し得ることは明らかである。
[試験例9:本発明の破骨細胞の代謝異常改善組成物(鉄欠欠乏食)によるOVXモデルの破骨細胞量抑制]
10週齢雌性ddyマウス(1群5匹)を、鉄欠乏食で2週間飼育したあと、卵巣摘除を行った。
その結果、普通食で飼育した後に卵巣を摘除した、OVXマウス群に比べて、破骨細胞マーカーである血清TRAP5b濃度の上昇が、有意に抑制されていた。
上記の試験結果によって、薬物や食事によって鉄量を調整すれば、生体内の破骨細胞の形成や機能を制御し、骨粗鬆症その他の、破骨細胞が関係する骨疾患を予防又は治療し得ることが分かった。
[試験例10:破骨細胞の前駆細胞におけるPGC-1beta遺伝子の発現抑制による成熟破骨細胞産生抑制]
後述の実施例3の、配列番号1のポリヌクレオチドを用いて、PGC-1betaをノックダウンした破骨細胞の前駆細胞を、10% FBS(ウシ胎児血清),1% Penicillin-Streptomycinを含むalpha-MEN培地で、37℃,5%CO2という培養条件で、2日間、培養した。
コントロールとして、ノックダウンを行わない前駆細胞を、同様に培養した。
培養後の成熟破骨細胞の数を確認した結果を、図10に示す。
図10の左図から分かる通り、PGC-1betaの発現を抑制すると、右図のコントロールに比べて、明らかに破骨細胞の分化,成熟が抑制されていた。
尚、培養細胞中にはもともと鉄が存在するが、この鉄は、ミトコンドリア内では、ヘム鉄の形態で、ミトコンドリア蛋白質と複合を形成していることが知られている。
従って、上述の各試験例の結果を考え合わせると、破骨細胞の分化,成熟には、鉄が必要であること,及び、トランスフェリンによって細胞内に取り込まれた鉄は、PGC-1betaの働きによって合成が高まったミトコンドリアタンパク質に取り込まれて、破骨細胞の分化,成熟を促進していると考えられる。
[実施例1]
水に、100μMのトランスフェリンを含むストック溶液を作成し、トランスフェリンを含む本発明の破骨細胞制御(促進)剤を製造した。
この破骨細胞制御(促進)剤は、必要に応じて希釈して用いることができる。
[実施例2]
水に、鉄キレート化剤であるメシル酸デフェロキサミン(Df:デスフェラール(登録商標))を100μMとなるように溶解させて、鉄キレート化剤(Df)を含む、本発明の破骨細胞制御(抑制)剤を製造した。
この破骨細胞制御(抑制)剤も、必要に応じて希釈して用いることができる。
[実施例3]
内因性PGC-1beta遺伝子のmRNAに対するRNA干渉作用を有するRNA(配列番号1)からなる、本発明の破骨細胞制御(抑制)剤を製造した。
本発明の破骨細胞制御剤や破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤は、ビスフォスフォネートの様に半永久的に骨に沈着する恐れの無い方法で、破骨細胞の分化能,成熟能,骨吸収機能を制御できるため、骨代謝のサイクルを硬化させることなく、破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療を行える可能性が高い。
また本発明のスクリーニング方法は、このような破骨細胞制御剤及び破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤をスクリーニングする方法として、好適である。
また、鉄欠乏があると、破骨細胞による骨吸収が少なくとも一部緩和される可能性があることから、臨床的に生体内の骨吸収の程度を評価する場合には、従来、骨粗鬆症の診断に用いられている、DPD(Deoxypyridinoline),NTX(type I collagen N-telopeptide),CTX(type I collagen C-telopeptide)に加えて、血清鉄やフェリチン、不飽和結合能など鉄代謝のパラメータも考慮に入れて判断する必要がある可能性があり、診断面においても、鉄に注目することには重要な意義があると考えられる。
破骨細胞の分化に伴うトランスフェリン受容体1(TfR1)の発現誘導を表す図である。 トランスフェリンによる破骨細胞の分化の促進を、破骨細胞の前駆細胞の培養物へのトランスフェリン(Tf)添加の有無各々の場合での、破骨細胞のTRAP染色写真で示す図である。 トランスフェリンによる破骨細胞の分化の促進を、破骨細胞の前駆細胞の培養後、1日目〜3日目において、トランスフェリンを添加した場合の、破骨細胞数(#TRAP+ MNCs:TRAP陽性多核細胞数≒破骨細胞数)を定量した結果により示す図である。 鉄キレート化剤であるデスフェラールによる破骨細胞の分化の抑制を、デスフェラール(Df)の有無の各々の場合での、破骨細胞のTRAP染色写真により示す図である。 鉄キレート化剤であるデスフェラールによる破骨細胞の分化の抑制を、破骨細胞の前駆細胞の培養後、2日目〜3日目において、デスフェラール(Df)を添加した場合の、破骨細胞数(#TRAP+ MNCs:TRAP陽性多核細胞数≒破骨細胞数)を定量した結果により示す図である。 トランスフェリン(Tf)及び鉄キレート化剤であるデスフェラール(Df)の破骨細胞の骨吸収機能に及ぼす影響を、破骨細胞によって象牙質プレートに掘られたピット(穴)を染色した結果により示す図である。 トランスフェリン(Tf)及び鉄キレート化剤であるデスフェラール(Df)の破骨細胞の骨吸収機能に及ぼす影響を、破骨細胞によって象牙質プレートに掘られたピット(穴)の面積(Pit area)を定量した結果により示す図である。 鉄キレート化剤であるデスフェラール(Df)が、エストロゲン欠乏による骨量減少を抑制することを、マイクロCTで測定した3次元骨量(BV/TV)により示す図である。OVX:卵巣摘除マウスsham:擬似手術マウス 鉄キレート化剤であるデスフェラール(Df)が、エストロゲン欠乏による骨吸収の亢進を抑制することを、骨吸収の生化学マーカーであるCTXの、尿中排泄量を定量した結果により示す図である。OVX:卵巣摘除マウスsham:擬似手術マウス 破骨細胞の前駆細胞におけるPGC-1beta遺伝子の発現抑制により、成熟破骨細胞の産生が抑制される様子を示す図である。左図は、si PGC-1betaの結果、RNA干渉によってPGC-1beta遺伝子の発現を抑制したことを示す。

Claims (6)

  1. 下記(X),(Y),(Z)の少なくとも1種を含むことを特徴とする、破骨細胞制御剤。
    (X)鉄とトランスフェリンとの結合を制御する作用を有する物質
    (Y)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型との結合を制御する作用を有する物質
    (Z)PGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質と、ヘム鉄との結合を制御する物質
  2. 鉄とトランスフェリンとの結合を制御する作用を有する物質が鉄のキレート化剤であることを特徴とする請求項1記載の破骨細胞制御剤。
  3. 請求項1又は2記載の破骨細胞制御剤を含むことを特徴とする、破骨細胞の代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤。
  4. 破骨細胞の代謝異常を改善するための組成物であって、鉄分が、代謝改善の目的に応じて調整されていることを特徴とする、破骨細胞の代謝異常改善組成物。
  5. 下記の工程を含むことを特徴とする、破骨細胞制御剤のスクリーニング方法。
    (I)被験物を、鉄,ヘム鉄,トランスフェリン,トランスフェリン受容体1型,PGC-1beta,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質,或いはこれらの遺伝子からなる群から選択される1つに接触させる工程。
    (II)被験物の存在下と非存在下での、下記(A)乃至(G)のいずれかの差を評価する工程。
    (A)鉄−トランスフェリン複合体の量
    (B)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型との結合
    (C)破骨細胞の前駆細胞,又は前破骨細胞中に取り込まれた鉄量
    (D)PGC-1betaの発現量,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の発現量
    (E)ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄からなる複合体の量
    (F)破骨細胞中のミトコンドリアの数
    (G)成熟破骨細胞の数
    (III)(II)の結果を、被験物の破骨細胞制御能と関連付ける工程。
  6. 下記の工程を含むことを特徴とする、骨代謝異常に起因する疾病の予防又は治療剤のスクリーニング方法。
    (I)被験物を、鉄,ヘム鉄,トランスフェリン,トランスフェリン受容体1型,PGC-1beta,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質,或いはこれらの遺伝子からなる群から選択される1つに接触させる工程。
    (II)被験物の存在下と非存在下での、下記(A)乃至(G)のいずれかの差を評価する工程。
    (A)鉄−トランスフェリン複合体の量
    (B)鉄−トランスフェリン複合体とトランスフェリン受容体1型の結合
    (C)破骨細胞の前駆細胞,又は前破骨細胞中に取り込まれた鉄量
    (D)PGC-1betaの発現量,又はPGC-1betaが発現を媒介するミトコンドリア蛋白質の発現量
    (E)ミトコンドリア蛋白質とヘム鉄からなる複合体の量
    (F)破骨細胞中のミトコンドリアの数
    (G)成熟破骨細胞の数
    (III)(II)の結果を、被験物の骨代謝異常に起因する疾病の予防又は治療能と関連付ける工程。
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