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JP2008298236A - 流体軸受装置 - Google Patents

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JP2008298236A
JP2008298236A JP2007147133A JP2007147133A JP2008298236A JP 2008298236 A JP2008298236 A JP 2008298236A JP 2007147133 A JP2007147133 A JP 2007147133A JP 2007147133 A JP2007147133 A JP 2007147133A JP 2008298236 A JP2008298236 A JP 2008298236A
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Atsushi Hiraide
淳 平出
Yoshihiko Bito
仁彦 尾藤
Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

【課題】軸部材の軸部とフランジ部との固定強度を低コストに高める。
【解決手段】軸部材2は、ラジアル軸受面Aを有する軸部21と、軸部21の一端外径側に張り出したフランジ部23とを有する。フランジ部23は、摩擦圧接によって軸部21の下端に固定されている。さらに、フランジ部23の端面は、スラスト軸受面B,Cを有する被覆層24で被覆されている。
【選択図】図2

Description

本発明は流体軸受装置に関する。
流体軸受装置は、軸受隙間に形成される油膜で軸部材を回転自在に支持するものである。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、より具体的には、HDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用されている。
例えば、スピンドルモータ用の流体軸受装置は、軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入され、軸受スリーブに対して相対回転する軸部材とを備える。軸部材としては、ラジアル軸受面を有する軸部と、軸部の一端外径側に張り出したフランジ部とを有するものが使用される場合が多い。このフランジ付軸部材としては、軸部およびフランジ部を切削や鍛造等で一体に形成した一体タイプと、個別に製作した軸部およびフランジ部を適宜の手段で一体化した別体タイプとがある。
一体タイプのフランジ付軸部材は、軸部とフランジ部との間に高い締結強度を確保し得る反面、その製作に際しては専用の加工設備が必要でコスト高が著しいものとなる。そのため、近時においては、フランジ付軸部材を別体タイプとする場合がある。別体タイプのフランジ付軸部材としては種々のものが提案されているが、軸部材に要求される耐衝撃性を満足するだけの固定強度を有するものとして、例えば、(1)フランジ部を軸部の一端にねじ止め固定したもの(例えば、特許文献1を参照)、(2)軸部の一端を環状のフランジ部内周に嵌合し、嵌合部の一端にレーザを照射して軸部とフランジ部とを溶接(レーザ溶接)したもの(特許文献2を参照)、(3)相互に対向する軸部およびフランジ部の端面のうち、少なくとも一方の端面に突起を設け、該突起を他方の端面に抵抗溶接したもの(例えば、特許文献3を参照)などが公知である。
特開2004−84864号公報 特開2000−324753号公報 特開2004−340368号公報
ところで、情報機器の低価格化が目覚しく進展している昨今、流体軸受装置を一層低コスト化することが求められており、従って、流体軸受装置の一構成部材である軸部材を一層低コスト化する必要が生じている。しかしながら、(1)の手段では、軸部にねじ溝を設けることによる加工コスト増、および部品点数の増加による部品コスト増が避けられない。(2)の手段では、部品点数を増加させることなくフランジ部を軸部の一端に強固に固定することができるが、高額投資が必要なため、量産に用いるには難がある。さらに(3)の手段では、(2)と同様にフランジ部を軸部の一端に強固に固定することができるが、ステンレス鋼等の難加工材で形成される場合が多い軸部又はフランジ部の端面に、突起を精度良くかつ安価に形成するのは容易ではない。
本発明の課題は、軸部に対するフランジ部の固定強度を低コストに高め、これにより高い回転精度を誇り、信頼性に富む流体軸受装置を低コストに提供可能とすることにある。
上記課題を解決するため、本発明では、軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入され、軸受スリーブに対して相対回転する軸部材とを備え、軸部材が、ラジアル軸受面を有する軸部と、軸部の一端外径側に張り出したフランジ部とを有する流体軸受装置において、軸部材の軸部とフランジ部とを摩擦圧接したことを特徴とする流体軸受装置を提供する。なお、ここでいうラジアル軸受面は、軸受スリーブの内周面との間にラジアル軸受隙間を形成する面を意図したものであり、この面に動圧溝等の動圧発生部が形成されているか否かは問わない。
上記のように、軸部材の軸部とフランジ部とを摩擦圧接すれば、軸部の一端にフランジ部を設けるに際して、ねじ、レーザ、電流等の他媒体を用いる必要がない。しかも、軸部の一端にねじ溝を設ける必要や、相互に対向する軸部又はフランジ部の端面に突起を設ける必要がなく、相互に対向する軸部およびフランジ状素材の端面形状を単純化することができるので、軸部材の低コスト化が図られる。その一方で、相互に対向する軸部およびフランジ部の端面全面を接合させることができるので、接合面積の拡大を通じて、軸部に対するフランジ部の固定強度を高めることができる。
また、特に抵抗溶接では、接合すべき二部材の形成材料が導電性金属に限定されるが、摩擦圧接であれば、導電性の強弱あるいは有無を考慮する必要がなく、さらには異種金属同士でも強固に接合することができる。従って、軸部およびフランジ部の形成材料の選択肢を広げることが、すなわち、要求品質に応じた最適材料を選択使用することが可能となり、この点からも軸部材の低コスト化を図ることが可能となる。
ところで、フランジ部の端面には、対向する部材(例えば、軸受スリーブや蓋部材)の端面との間にスラスト軸受隙間を形成するスラスト軸受面が設けられるのが通例である。上記のように軸部とフランジ部とを摩擦圧接した場合、特にフランジ部の軸部側一端には、「返り」と称される肉の盛り上がりが形成される。そして、上記のスラスト軸受面は、「返り」が過大である場合には、これを切削加工で除去することによって形成することも可能であるが、洗浄工程を設け、当該洗浄工程で切削加工に伴って生じる切削粉を入念に除去する必要が生じる。切削粉が軸受隙間を満たす流体(例えば、潤滑油)に混入してコンタミとなり、軸受性能が低下するのを防止するためである。また、軸部とフランジ部とを摩擦圧接した場合、圧接時の加圧力によってフランジ部が変形等し、矯正工程をさらに設ける必要が生じる場合もある。ところが、これでは加工工程が煩雑になり、製造コストの増大が避けられないものとなる。
そこで本発明では、フランジ部の端面を型成形された被覆層で被覆し、被覆層の表面にスラスト軸受面を形成する構成を提供する。かかる構成とすることにより、摩擦圧接に伴って形成される「返り」が過大である場合にも、また摩擦圧接に伴ってフランジ部が変形等した場合でも、被覆層を設ける一工程を経るだけでスラスト軸受面を形成することができ、製造コスト増の問題は効果的に解消することができる。また、この場合、スラスト軸受面に要求される各種精度(例えば、軸部のラジアル軸受面に対する直角度)は、被覆層でもって確保することができるので、摩擦圧接時の加工条件を緩和することができる。
上記の被覆層は、軸部の一端にフランジ部を摩擦圧接した後、軸部およびフランジ部をインサートして射出成形することができる。かかる構成とすれば、金型精度を高めておくだけで軸部のラジアル軸受面に対するスラスト軸受面の直角度等を簡易に高精度化することができ、望ましい。
被覆層のスラスト軸受面には、スラスト軸受隙間に流体動圧を発生させるスラスト動圧発生部を設けることができる。スラスト動圧発生部は、被覆層を射出成形するのと同時に型成形することができ、別途この種の動圧発生部を設ける手間を省き、製造コストを抑制することができる。
被覆層は任意形状に形成することが可能であり、例えば、被覆層の外周面と、これに対向する他部材との間にシール空間を形成することができる。なお、ここでいう他部材には、例えば、軸受スリーブを内周に収容するハウジングが挙げられる。
上述した被覆層は、樹脂あるいは金属で型成形することができ、樹脂又は金属の何れを用いるかは求められる特性に応じて任意に選択可能である。
以上に示すように、本発明によれば、軸部材の軸部に対するフランジ部の固定強度を低コストに高めることができる。これに高い回転精度を誇り、信頼性に富む流体軸受装置が低コストに得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、軸部材2に装着されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4aおよびロータマグネット4bとを備えている。ステータコイル4aはブラケット5の外周に取付けられ、ロータマグネット4bはディスクハブ3の内周に取付けられる。流体軸受装置1のハウジング7は、ブラケット5の内周に装着される。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスク6が一又は複数枚保持される。ステータコイル4aに通電すると、ステータコイル4aとロータマグネット4bとの間の電磁力でロータマグネット4bが回転し、それによって、ディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置1を示している。同図に示す流体軸受装置1は、軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部材2と、軸受スリーブ8を内周に収容したハウジング7と、ハウジング7の一端開口を封止する蓋部材9と、ハウジング7の他端開口をシールするシール部材10とを備える。なお、説明の便宜上、シール部材10の側を上側、これとは軸方向反対側を下側として、以下説明を進める。
ハウジング7は、黄銅等の金属材料あるいは樹脂材料で円筒状に形成される。ハウジング7の内周面7aには軸受スリーブ8が、例えば、接着、圧入、溶着等の適宜の手段で固定される。内周面7aの下端側には、内周面7aよりも大径の蓋部材固定面7bが形成されている。
軸受スリーブ8は、例えば銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。軸受スリーブ8は、焼結金属以外にも、例えば黄銅等の軟質金属材料や焼結金属ではない他の多孔質体(例えば、多孔質樹脂)で形成することも可能である。
軸受スリーブ8の内周面8aには、図3に示すように、ラジアル動圧発生部として、複数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が上下二箇所に離隔して形成される。本実施形態において、上側の動圧溝8a1は、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。一方、下側の動圧溝8a2は軸方向対称に形成され、その上下領域の軸方向寸法はそれぞれ上記軸方向寸法X2と等しくなっている。動圧溝を上記の態様で形成することにより、軸受運転時には、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部21の外周面21aとの間の隙間を満たす流体(例えば、潤滑油)が積極的に下方に流動する。なお、動圧溝は、後述する軸部21のラジアル軸受面Aに形成することもでき、またその形状は、スパイラル形状等公知のその他の形状とすることもできる。
軸受スリーブ8の外周面8cには、両端面に開口した軸方向溝8c1が1又は複数本形成される。この軸方向溝8c1は、軸受内部に充満される潤滑油を流動循環させるために設けられたものであり、軸受運転時には、この軸方向溝8c1とハウジング7の内周面7aとで形成される流体通路を介して潤滑油が軸受内部を流動循環する。これにより、軸受内部における圧力の不均衡状態が解消され、潤滑油の漏れや振動の発生等の問題が生じるのを効果的に回避することができる。
蓋部材9は、例えば金属材料や樹脂材料で円盤状に形成され、ハウジング7の蓋部材固定面7bに、接着、圧入等適宜の手段で固定される。
シール部材10は、例えば、黄銅等の軟質金属材料やその他の金属材料、あるいは樹脂材料でリング状に形成され、ハウジング7の内周面7aの上端部に接着、圧入等の適宜の手段で固定される。このシール部材10の内周面10aと、軸部21の外周面21aとの間には所定のシール空間Sが形成される。シール空間Sは、流体軸受装置1に充満される潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内で、潤滑油の油面は常時シール空間Sの範囲内にある。
軸部材2は、軸部21と、軸部21の下端から外径側に張り出したスラスト部材22とからなり、全体として金属と樹脂のハイブリッド構造とされる。詳細には、軸部21が金属材料で形成される一方、スラスト部材22は、軸部21の下端に上端面23aが摩擦圧接された金属製のフランジ部23と、フランジ部23の表面を被覆する樹脂製の被覆層24とで構成される。この軸部材2の製造方法は後に詳述する。
軸部21の外周面21aには、平滑な円筒面状をなし、軸受スリーブ8の内周面8aに設けた動圧溝8a1、8a2形成領域とラジアル方向に対向するラジアル軸受面A,Aが軸方向に離隔して二箇所形成されている。両ラジアル軸受面A,A間には、ラジアル軸受面Aよりも小径のヌスミ部21bが形成されている。
スラスト部材22の上側端面22aには、軸受スリーブ8の下側端面8bとの間にスラスト軸受隙間を形成するスラスト軸受面Bとなる領域が設けられ、該スラスト軸受面Bには、例えば図4に示すように、スラスト動圧発生部として、複数の動圧溝22a1がスパイラル形状に配列されている。また、スラスト部材22の下側端面22bには、蓋部材9の上側端面9aとの間にスラスト軸受隙間を形成するスラスト軸受面Cとなる領域が設けられ、スラスト軸受面Cには、図示は省略するが、スラスト動圧発生部として、複数の動圧溝がスパイラル形状に配列されている。なお、スラスト軸受面B,Cに設けた動圧溝は、ヘリングボーン形状等公知のその他の形状に配列することもできる。また、スラスト軸受面B,Cを平滑平面に形成し、軸受スリーブ8の下側端面8bおよび蓋部材9の上側端面9aに動圧溝を形成しても良い。
流体軸受装置1は主に以上の構成部材からなり、シール部材10でシールされたハウジング7の内部空間には、軸受スリーブ8の内部気孔も含め潤滑油が充満される。
以上の構成からなる流体軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の動圧溝8a1,8a2形成領域は、軸部21の上下二箇所に離隔して設けられたラジアル軸受面A,Aとラジアル軸受隙間を介してそれぞれ対向する。そして、軸部材2の回転に伴って、ラジアル軸受隙間に形成される油膜は、動圧溝8a1,8a2の動圧作用によってその油膜剛性を高められ、この圧力によって軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が軸方向の二箇所に離隔形成される。
また、軸部材2が回転すると、スラスト部材22のスラスト軸受面B,Cは、軸受スリーブ8の下側端面8bおよび蓋部材9の上側端面9aとスラスト軸受隙間を介してそれぞれ対向する。そして、軸部材2の回転に伴って、両スラスト軸受隙間に形成される油膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性を高められ、この圧力によって軸部材2が両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2を両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
次に、上記の流体軸受装置1で使用される軸部材2の構造および製造方法を図面に基づいて詳述する。なお、軸部材2は、(A)摩擦圧接工程と、(B)射出成形工程とを経て製造される。
(A)摩擦圧接工程
図5は、摩擦圧接により、軸部21の下端にフランジ部23を固定(接合)する工程を概念的に示す図である。同図に示す製造装置(摩擦圧接装置)は、軸方向に相対移動可能に同軸配置された第1の治具30および第2の治具33を主要な構成として備える。第1の治具30は、軸部21を回転駆動させる軸受31と、軸部21の半径方向に進退可能に設けられ、軸部21の外周面21aを拘束するチャック32とで主要部が構成される。第2の治具33は、フランジ部23の外周面23cおよび下端面23bを拘束するものである。本実施形態では第1の治具30が固定側、第2の治具33が移動側とされる。もちろん、第1の治具30を移動側、第2の治具33を固定側とすることもできる。
ところで、この種のフランジ付軸部材では、例えば、ラジアル軸受面に対するスラスト軸受面の直角度が軸部材の回転性能を左右する。本実施形態において、かかる直角度は、後述する射出成形工程で確保されるものの、軸部21に対するフランジ部23の固定精度があまりにも悪いと軸部材2が振れ回るおそれがある。そのため、第1の治具30の内周面に対する第2の治具33の内底面の直角度等は、十分に高めておくのが望ましい。
軸部21は、高剛性の金属材料、例えばステンレス鋼で形成され、この段階では、その全長寸法を除いて所定の形状に仕上げられている。詳細には、軸部21のうち、フランジ部23と接合する接合部21c(下側のラジアル軸受面Aを含む軸部21の下端部分)の軸方向寸法が、摩擦圧接によって短縮する分だけ長めに設定されている。一方、フランジ部23は、軸部21と同様のステンレス鋼で凹凸等のない円盤状に形成されている。
以上の構成において、軸部21およびフランジ部23を、それぞれ第1および第2の治具30,33で保持した状態で第2の治具33を第1の治具30に接近させ、フランジ部23の上端面23aを軸部21(接合部21c)の下端面21c1に当接させる。次いで、図6(A)に示すように、軸受31を駆動して軸部21を回転させ、両面の接触部に摩擦熱を発生させる。そして、接触部において、軸部21およびフランジ部23の形成材料が融点近傍まで加熱されると、第2の治具33を第1の治具30にさらに接近させ、フランジ部23の上端面23aを軸部21の接合部下端面21c1に押し付ける。
これにより、図6(B)に示すように、軸部21とフランジ部23とが摩擦圧接により相互に接合した接合部Mと、接合部Mの外周に形成された肉の盛り上がり(返り)Nとからなる圧接固定部25が形成される。そして、フランジ部23および軸部21の拘束状態を解除した後、軸部21を軸受31から抜き取ると、軸部21の下端にフランジ部23が接合してなるアセンブリ26が得られる。
(B)射出成形工程
以上のようにして得られたアセンブリ26は射出成形工程に移送される。この工程では、アセンブリ26をインサート部品とし、軸部21のラジアル軸受面Aを基準としてスラスト部材22を構成する被覆層24が溶融材料(ここでは溶融樹脂)で射出成形される。図7(A)は、射出成形工程の一例を概念的に示すものであり、同図に示す金型は、軸方向に相対移動可能に同軸配置された可動側の上型34および固定側の下型35で主要部が構成され、両型34,35で被覆層24(スラスト部材22)形状に対応したキャビティ37が形成される。
上型34にはキャビティ37に溶融材料Pを射出・充填するゲート34aが設けられている。上型34の端面のうち、フランジ部23の下端面23bとキャビティ37を介して軸方向に対向する下端面34bには、スラスト部材22のスラスト軸受面Cに設けるべき動圧溝形状に対応した型部39が設けられている。
下型35には収容部35aが設けられ、アセンブリ26はこの収容部35aの内周に軸部21を挿入することにより位置決め配置される。下型35の上端面35bのうち、フランジ部23の上端面23aとキャビティ37を介して軸方向に対向する部位には、スラスト部材22の上側端面22aのスラスト軸受面Bに設けるべき動圧溝22a1形状に対応した型部38が設けられている。下型35の内周には、下型35に対して軸方向に相対移動可能なノックアウトピン36が設けられ、ノックアウトピン36の上端面36aで軸部21の上端面が支持される。なお、図7(A)は、ノックアウトピン36が原点位置にある状態を示すものであり、この状態で、下型35の上端面35bとノックアウトピン36の上端面36aとの軸方向離間距離は軸部21の軸方向寸法よりも所定量短く設定されている。従って、軸部21を収容部35aに挿入した状態で、圧接固定部25は、下型35の上端面35aに非接触とされる。
本実施形態においては、軸部材2に求められる各種精度、例えば、軸部21のラジアル軸受面Aに対するスラスト部材22のスラスト軸受面Bの直角度や両スラスト軸受面B,C間の平行度が、被覆層24の射出成形時に確保される仕様となっている。そのため、収容部35aの内壁面に対する下型35の上端面35bの直角度、および上下型34,35の衝合状態における下型35の上端面35bに対する上型34の下端面34bの平行度は、上記要求精度を満足し得る精度に仕上げられている。なお、被覆層24の肉厚が部分的に異なると、成形収縮量の差に起因して所望形状のスラスト部材22が得られないおそれがある。そのため、キャビティ37の寸法は、その全体に亘って略均一に設定するのが望ましい。
上記構成の金型において、軸部21を下型35の収容部35aに挿入して軸部21のラジアル軸受面A,Aを拘束した後、上型34を下型35に接近させて型締めする。型締め完了後、ゲート34aを介してキャビティ37内に溶融材料P(溶融樹脂)を射出・充填し、被覆層24を型成形する。溶融樹脂の固化完了後型開きを行い、ノックアウトピン36を押し上げると、図7(B)に示すように、軸部21の下端に摩擦圧接されたフランジ部23、および圧接固定部25を含んでフランジ部23の全表面を被覆する被覆層24からなるスラスト部材22が形成され、これにより図2に示す軸部材2が得られる。また、スラスト部材22の上下端面22a,22b(被覆層24の表面)には、スラスト軸受面B、C(動圧溝)が被覆層24の成形と同時に型成形される。
なお、溶融材料Pとしての溶融樹脂は、射出可能であれば非晶性樹脂、結晶性樹脂を問わず使用可能である。使用可能な非晶性樹脂としては、例えば、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられ、また使用可能な結晶性樹脂としては、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が挙げられる。これらのベース樹脂は、単独で用いる他、二種以上を混合して使用することもできる。また、上記のベース樹脂には、これに種々の特性を付与するための各種充填材を任意の割合で配合することもできる。
溶融材料Pとしては、上記の樹脂以外にも金属材料、例えばマグネシウム合金等の低融点金属を使用することも可能である。この場合、被覆層24は金属製となり、上記のように被覆層24を樹脂製とする場合に比べ、スラスト部材22の耐摩耗性を高めることが可能となる。なお、金属製の被覆層24は、低融点金属で射出成形する以外にも、金属粉とバインダーの混合物を射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるMIM成形で形成することも可能である。
以上に示すように、本発明に係る流体軸受装置1では、軸部材2の軸部21とフランジ部23とが、摩擦圧接によって接合されているので、両者の接合に際してねじやレーザ等の他媒体を用いる必要がない。しかも、軸部21の下端にねじ溝を設けたり、相互に対向する軸部21の下端面21c1やフランジ部23の上端面23aに突起を設けたりする必要がなく、軸部21およびフランジ部23の端面形状を単純化することができる。また、相互に対向する軸部21の下端面21c1およびフランジ部23の上端面23aの全体を接合させることができ、接合面積の拡大を通じて、両者間の固定強度を高めることができる。以上より、軸部21に対するフランジ部23の固定強度を低コストに高めることができる。なお、この軸部材2は、軸部21およびフランジ部23を一体形成した場合と同等の固定強度を有する。
また、本実施形態に係る軸部材2では、圧接固定部25を含むフランジ部23の両端面23a、23bを型成形された被覆層24で被覆し、この被覆層24の表面にスラスト軸受面B、Cを形成したので、摩擦圧接に伴って形成される返りNを切削等の機械加工で除去する必要がなく、また、摩擦圧接に伴ってフランジ部23が変形したとしても矯正加工を施す必要もない。従って、高精度なスラスト軸受面B、Cが低コストに得られる。
また、必要とされるラジアル軸受面Aに対するスラスト軸受面Bの直角度、およびスラスト軸受面B,C間の平行度が、被覆層24の成形時に確保される。従って、軸部21に対するフランジ部23の固定精度、およびフランジ部23の形状精度を、軸部材2の回転精度に悪影響が出ない範囲においてラフにすることができ、摩擦圧接時の加工条件を緩和して製造コストの低廉化を図ることができる。また、被覆層24は、アセンブリ26(軸部21およびフランジ部23)をインサート部品として射出成形されるから、上記各種要求精度を容易に高めることができる。さらに、本実施形態では、スラスト動圧発生部としての動圧溝が被覆層24の成形と同時に型成形されるので、この種の動圧溝を別途設ける手間を省いて、更なる製造コストの低廉化も図られる。
なお、本実施形態では、軸部21およびフランジ部23を同種のステンレス鋼で形成したが、摩擦圧接であれば、レーザ溶接や抵抗溶接では高い接合強度を確保するのが難しい異種金属間においても高い接合強度を確保することができる。そのため、軸部材2に必要とされる強度を確保し得る限りにおいて、軸部21とフランジ部23の形成材料の選択肢を広げることが、すなわち、要求品質に応じた最適材料を選択使用することができ、この点から軸部材2の低コスト化を図ることも可能となる。例えば、軸部21をステンレス鋼で形成する一方、フランジ部23を黄銅等で形成することができる。
また、本実施形態では、フランジ部23の表面全体を被覆層24で被覆した場合について説明を行なっているが、被覆層24は、スラスト軸受面B,Cを有する面、すなわちフランジ部23の両端面23a,23bを被覆するように設ければ足りる。
以上、本発明の一実施形態について説明を行ったが、本発明は、上記構成に限定適用されるものではない。以下、本発明に係る流体軸受装置の他の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下では、以上で説明したものに準じる構成には共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
図8は、本発明に係る流体軸受装置の第2実施形態を示すものである。同図に示す流体軸受装置が、図2に示すものと異なる主な点は、軸部材2のスラスト部材22の下側端面22bにスラスト軸受面Cは形成されず、第2スラスト軸受部T2が、軸部21の上端に固定されたディスクハブ3の円盤部3aの下側端面3a1とハウジング7の上側端面7cとの間に設けられた点、およびシール空間Sが、ハウジング7のテーパ状外周面7dとディスクハブ3の円筒部3bの内周面3b1との間に設けられる点にある。なお、図示例では、フランジ部23の表面全体を被覆層24で被覆した構成としているが、被覆層24は、スラスト軸受面Bを有する面、すなわちフランジ部23の上端面23aを被覆するように設ければ足りる。
図9は、本発明に係る流体軸受装置の第3実施形態を示すものである。同図に示す流体軸受装置では、軸部材2が、軸部21の軸方向略中央部に固定された第2のスラスト部材42をさらに備え、第2スラスト軸受部T2が、第2のスラスト部材42と軸受スリーブ8の上側端面8dとの間に設けられる点、および両スラスト部材22,42の外周面22c,42cが、ハウジング7の内周面7aとの間にシール空間Sを形成する点で、図2および図8に示す実施形態と構成を異にする。このように2つのスラスト部材22,42を軸部21に設けた軸部材2を用いる場合であっても、軸部21と、軸部21の下端に設けたスラスト部材22(フランジ部23)との一体品に関しては、上記本発明の構成を適用することができる。特に、下側のスラスト部材22では、被覆層24にシール面が形成されるから、精度の良いシール空間Sが低コストに得られる。
なお、図示例では、以上で説明した実施形態同様に、フランジ部23の表面全体を被覆層24で被覆した構成としているが、被覆層24は、スラスト軸受面Bおよびシール面を有する面、すなわちフランジ部23の上端面23aおよび外周面23cを被覆するように設ければ足りる。
以上で説明を行った流体軸受装置は、何れも、ハウジング7と軸受スリーブ8とを別体品としたものであるが、両者を一体化した流体軸受装置にも本発明を好適に採用することができる。また、特に図2に示す流体軸受装置にあっては、さらに、蓋部材9又はシール部材10をハウジング7に一体化することも可能である。
また、以上では、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、ラジアル軸受部R1、R2として、いわゆるステップ軸受、多円弧軸受、あるいは非真円軸受を、スラスト軸受部T1、T2として、いわゆるステップ軸受や波形軸受を採用しても良い。また、以上では、ラジアル軸受部を軸方向2箇所に設けた構成を例示しているが、ラジアル軸受部を軸方向の1箇所あるいは3箇所以上に設けることもできる。
また、以上では、ラジアル軸受部R1、R2の双方を動圧軸受で構成した場合について説明を行ったが、ラジアル軸受部R1、R2の一方又は双方をこれ以外の軸受で構成することもできる。例えば図示は省略するが、軸部材2のラジアル軸受面Aを真円状に形成すると共に、対向する軸受スリーブ8の内周面8aを真円状内周面とすることで、いわゆる真円軸受を構成することもできる。
情報機器用スピンドルモータの一例を概念的に示す断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第1実施形態を示す断面図である。 軸受スリーブの断面図である。 フランジ部の上側端面を示す図である。 摩擦圧接工程を概念的に示す断面図である。 (A)図は摩擦圧接の初期段階、(B)図は摩擦圧接の完了状態を概念的に示す断面図である。 (A)図は被覆層を射出成形する工程を概念的に示す断面図、(B)図は被覆層を射出成形した後の軸部材の要部拡大断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第2実施形態を示す断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の第3実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
8 軸受スリーブ
21 軸部
22 スラスト部材
23 フランジ部
24 被覆層
25 圧接固定部
26 アセンブリ
A ラジアル軸受面
B、C スラスト軸受面
M 接合部
N 返り
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部

Claims (6)

  1. 軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入され、軸受スリーブに対して相対回転する軸部材とを備え、軸部材が、ラジアル軸受面を有する軸部と、軸部の一端外径側に張り出したフランジ部とを有する流体軸受装置において、
    軸部材の軸部とフランジ部とを摩擦圧接したことを特徴とする流体軸受装置。
  2. フランジ部の端面を型成形された被覆層で被覆し、被覆層の表面にスラスト軸受面を形成した請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 軸部の一端にフランジ部を摩擦圧接した後、軸部およびフランジ部をインサートして被覆層を射出成形した請求項2記載の流体軸受装置。
  4. 被覆層の外周面と、これに対向する他部材との間にシール空間を形成した請求項2記載の流体軸受装置。
  5. 被覆層が、樹脂で型成形された請求項2記載の流体軸受装置。
  6. 被覆層が、金属で型成形された請求項2記載の流体軸受装置。
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