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JP2008294465A - 電流導入端子と、該電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法 - Google Patents

電流導入端子と、該電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法 Download PDF

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JP2008294465A JP2008197522A JP2008197522A JP2008294465A JP 2008294465 A JP2008294465 A JP 2008294465A JP 2008197522 A JP2008197522 A JP 2008197522A JP 2008197522 A JP2008197522 A JP 2008197522A JP 2008294465 A JP2008294465 A JP 2008294465A
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Abstract

【課題】VHF帯域におけるプラズマの生成及びそのプラズマ表面処理への応用において、一対の電極間以外でのプラズマ発生及び異常放電を抑制し、電力損失の防止及び大面積・均一のプラズマ表面処理化が可能であるプラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法を提供する。
【解決手段】真空容器1の壁を貫通しその壁に設置された管状導体60に設置された互いに誘電体で絶縁された2枚の長方形板状導体61,62の一方の端部を真空側に配置し、他方の端部を大気側に配置するとともに、該管状導体60の一方の端部と平衡不平衡変換装置のアースシールド箱66を密着させた構成である電流導入端子及び該電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置及び該電流導入端子を備えたプラズマ表面処理方法とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、プラズマを利用して基板の表面に所定の処理を施す表面処理装置および表面処理方法に関する。本発明は、特に、電子温度が低く、かつ、高密度のプラズマ生成が可能という特徴をもつ超高周波プラズマ、すなわち周波数がVHF帯域(30MHzないし300MHz)の高周波電力により生成するプラズマによる表面処理装置および表面処理方法に関する。
プラズマを用いて基板の表面に各種処理を施し、各種電子デバイスを製作することは、LSI(大規模集積回路)、LCD(液晶デイスプレー)用TFT(薄膜トランジスター)、アモルファスシリコン太陽電池及び微結晶シリコン太陽電池などの分野において、既に実用化されている。
近年、プラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法に関する重要なニーズの一つとして、薄膜シリコン太陽電池製造への応用が増加しつつある。
この薄膜シリコン太陽電池分野においては、アモルファスシリコンと微結晶シリコンを組み合わせた集積化タンデム型薄膜太陽電池が注目され、その本格的普及を目指した実用化が期待されている。
集積化タンデム型薄膜シリコン太陽電池は、光透過性の基板(例えばガラス)に、透明電極層、非晶質シリコン光電変換ユニット層、短波長の光を反射し、長波長の光を透過させる機能を持たせた中間層、結晶質シリコン光電変換ユニット層及び裏面電極層を、順次積層することにより形成される。
上記非晶質シリコン光電変換ユニット層はp型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層等で構成され、厚みはpin層全体で、約0.3μm程度である。
上記結晶質シリコン光電変換ユニット層は、p型微結晶半導体層、i型微結晶半導体層及びn型微結晶半導体層等で構成され、厚みはpin層全体で、約2.5〜5μmである。なお、i型微結晶半導体層の厚みは、約2〜4μmである。
この集積化タンデム型薄膜太陽電池と呼ばれる非晶質シリコンと結晶質シリコンを組み合わせた太陽電池を製造する生産ラインは、光電変換効率10〜13%級の高効率モジュールを製造可能であると期待されている。
しかしながら、上記集積化タンデム型薄膜太陽電池は光電変換効率の向上が容易に可能であるというメリットが有る反面、約2〜4μmの厚みが必要な結晶質シリコン光電変換ユニット層のi型微結晶半導体層の製造に多大の時間が必要である。そのため、i型微結晶半導体層の製造装置を複数設置することが必要となり、生産コストが増大するというデメリットがある。
近年、このデメリットの解消のため、i型微結晶半導体層の製膜速度の向上技術の開発、及び大面積で、高品質で、且つ、均一性良く製造可能なプラズマCVD装置の開発等が行われている。
また、最近、i型微結晶半導体層の製膜速度の向上に関する技術として、VHF(超高周波数帯域:30MHz〜300MHz)プラズマCVD装置を用いることにより、製膜条件として、大量の水素で希釈されたシランガス(SiH4)を用い、高い圧力で、大電力を供給することにより、実現できるようになった。
しかしながら、大面積で、均一性良く、且つ、高品質に製造可能なプラズマCVD装置の開発は、依然として、問題が多く、齟齬をきたしている状況にある。
非特許文献1には、平行平板電極を用いたVHFプラズマCVDにより、集積化タンデム型薄膜太陽電池用の結晶質i層膜の高品質、高速製膜に関する技術が示されている。
即ち、実験条件として、平行平板電極のサイズ:直径10cm、原料ガス:高水素希釈SiH4、圧力:2〜4Torr(133〜532Pa)、基板温度:250℃、電源周波数:60MHz、投入電力:製膜速度1.7nm/sの場合、2.54W/cm2、2.5nm/sの場合、3.4W/cm2とすることにより、高品質の微結晶Siが得られることが示されている。
また、1.7〜2.5nm/sという高速製膜条件においても、周波数60MHzのVHFプラズマCVDを用いることにより、高品質の微結晶Siが得られることが示されている。
なお、投入電力が、製膜速度1.7nm/sの場合、2.54W/cm2、2.5nm/sの場合、3.4W/cm2であり、非常に大きい電力が必要であるということは、例えば、基板面積が110cmx140cm(15400cm2)の場合、単純に比例計算すれば、製膜速度1.7nm/sの場合は39.1KW、2.5nm/sの場合は52.4KWが必要であることを意味している。
非特許文献2には、平行平板電極を用いたプラズマ生成における電力消費に関する研究結果が示されている。
即ち、直径30cmの真空容器に設置された平行平板電極(サイズ:直径15cm、電極間隔:5cm)に13.56MHzの電力を、インピーダンス整合器を介して投入して、N2プラズマの生成実験が行われ、投入された電力の消費量が測定されたことが示されている。
また、測定結果として、電源出力(300W)の約52%が平行平板電極間で消費され、残り48%はそれ以外の場所で消費(インピーダンス整合器12%、伝送回路24%、電極と真空容器内壁間などでの無効プラズマ生成12%)されることが示されている。
なお、上記のことは、平行平板電極を用いたRFプラズマCVD装置では、電源から投入された電力の中、目的とする電極間で消費されるのは約52%ということを意味している。
非特許文献3には、後述の特許文献2に記載のラダー型電極を用いた大面積、均一のVHFプラズマ生成法を応用したプラズマCVD装置の開発研究に関する研究結果が示されている。
即ち、非特許文献3には、研究に使用されたプラズマCVD装置及び製膜実験の概要が示されている。実験に用いられた装置として、真空容器内に基板ヒータとラダー電極と裏板が離間して対向設置された構造を有するプラズマCVD装置が示されている。ラダー型電極(一平面内に同じ長さの2本の縦棒を設置し、その間を同じ長さの、複数の横棒で連結したもの)へのVHF電力の供給は、対向する二辺に設置された給電点から行われる。その際、二辺に供給される電力の電圧の位相差は時間的に変化させて、例えば正弦波状に変化させて供給される。インピーダンス整合器の出力は、複数のT型同軸コネクターを用いて8分岐されて、8個の給電点に接続されている。両辺の給電点は合計16点である。
また、実験結果として、電極の寸法は1.2mx1.5m、基板面積は1.1mx1.4mで、電源周波数60MHz、ラダー電極と基板ヒータの間隔20mm、圧力45Pa(0.338Torr)という条件で、アモルファスSiの製膜速度は1.7nm/sで、膜の不均一性は±18%が示されている。
非特許文献4には、後述の特許文献3に記載のラダー型電極を用いた大面積、均一のVHFプラズマ生成法を応用したプラズマCVD装置の開発研究に関する研究結果が示されている。
即ち、非特許文献4には、研究に使用されたプラズマCVD装置及び製膜実験の概要が示されている。実験に用いられた装置として、真空容器内にラダー電極と接地電極が離間して対向設置された構造を有するプラズマCVD装置が示されている。ラダー型電極(一平面内に同じ長さの2本の縦棒を設置し、その間を同じ長さの、複数の横棒で連結したもの)へのVHF電力の供給は、対向する二辺に設置された給電点から行われる。その際、二辺に供給される電力の電圧の位相差は正弦波状に変化させて供給される。インピーダンス整合器と一方の辺に設置されている複数の給電点の間に、8分岐の電力分配器(Power Divider)が設置されている。
実験結果として、電極の寸法は1.25mx1.55m(棒の直径:10mm)、基板面積は1.1mx1.4mで、電源周波数60MHz、電圧の位相差は20KHzの正弦波で時間的に変化、ラダー電極と基板ヒータの間隔20mm、圧力45Pa(0.338Torr)という条件で、アモルファスSiの製膜速度は0.5nm/sで、膜の不均一性は±15%が示されている。
特許文献1には、ラダー型電極を用いたVHFプラズマCVD装置及びその方法に係わる発明が示されている。
即ち、特許文献1に記載の技術は、チャンバ内に放電電極と接地電極が対向するように設置されたプラズマCVD装置を用いた光電変換装置の製造方法であって、(A)前記放電電極に対向するように、p層を製膜した基板を前記接地電極に設置する工程と、(B)前記基板と前記放電電極との間の距離を8mm以下に設定する工程と、(C)前記基板を前記接地電極に内臓された加熱器により180〜220℃に加熱する工程と、(D)前記チャンバ内に材料ガスを供給する工程と、(E)前記チャンバ内の圧力を600Pa〜2000Paに設定する工程と、(F)前記放電電極に超高周波電力を供給し前記材料ガスをプラズマ化することによって、前記基板に対して発電層を製膜する工程と、(G)前記発電層上にn層を製膜する工程と、を具備する光電変換装置の製造方法である。
また、特許文献1に記載の技術は、前記(F)工程において、前記超高周波電力のパワー密度は3.0KW/m2以上であることを特徴とする。
また、特許文献1に記載の技術は、前記(F)工程において、前記超高周波電力の周波数は40MH以上であることを特徴とする。
また、製膜速度3〜3.5nm/sで、且つ、変換効率12~12.5%を得る条件として、圧力800Paでパワー密度5〜6KW/m2のデータが示されている。
特許文献2には、大面積で均一なVHFプラズマを生成する方法が示されている。
即ち、特許文献2に記載の技術は、単一の保持電極に保持された被処理基板と単一の放電電極とを放電容器内に離間させて対面配置し、該放電電極と被処理基板との間に実質的に均一な放電状態を広範囲に発生させる放電電極への給電方法であって、前記放電電極に複数の給電点を介して給電する際に、1つの給電点に供給される前記高周波電力の電圧波形の位相と、他の少なくとも1つの給電点に供給される前記高周波電力の電圧波形の位相との差を時間的に変化させることにより、前記放電電極内に生じる電圧分布を変化させ、これにより該電圧分布の単位時間当たりの平均値または単位時間当たりの積分値を実質的に均一なものとし、前期放電電極の電圧分布における定在波の発生を抑制することを特徴とする。
また、特許文献2に記載の技術は、前記放電電極がラダー型電極であることを特徴とする。
また、使用する高周波の周波数が30〜800MHzの範囲にあることを特徴とする。
特許文献3には、ラダー型電極を用いて、大面積で均一なプラズマを生成する装置が示されている。
即ち、特許文献3に記載の技術は、プラズマ化学蒸着装置におけるプラズマ発生用のラダー型放電電極の構造であって、前記ラダー型放電電極の両端の給電部に第1の同一周波数の高周波を給電するサイクルと、第2の異なる周波数の高周波を給電するサイクルを有し、このサイクルを交互に切り替えて給電を行うように構成すると共に、前記放電電極の軸方向に対して垂直方向へクロスバーを付加し、定在波形状を変化させて発生するプラズマを均一化させたことを特徴とする。
また、特許文献3に記載の技術は、プラズマ化学蒸着装置におけるプラズマ発生用のラダー型放電電極の構造であって、前記ラダー型放電電極の両端の給電部に第1の同一周波数の高周波を給電するサイクルと、第2の異なる周波数の高周波を給電するサイクルを有し、このサイクルを交互に切り替えて給電を行うように構成すると共に、前記放電電極の軸方向に対して垂直方向へクロスバーを付加し、且つ、定在波波長を増加させる範囲で前記ラダー型放電電極径を小さくし、発生するプラズマを均一化させたことを特徴とする。
また、特許文献3に記載の技術は、プラズマ化学蒸着装置におけるプラズマ発生用のラダー型放電電極の構造であって、前記ラダー型放電電極の両端の給電部に第1の同一周波数の高周波を給電するサイクルと、第2の異なる周波数の高周波を給電するサイクルを有し、このサイクルを交互に切り替えて給電を行うように構成すると共に、前記放電電極を軸方向に対して垂直方向に複数に分割し、放電電極左右方向の電力バランスを図ってプラズマ密度の偏重を低減するようにしたことを特徴する。
特許文献4には、一対の電極間に2つの定在波を時間的に交互に発生させることにより、大面積で均一なVHFプラズマを生成することが可能な方法が示されている。
即ち、特許文献4に記載の技術は、内部に基板がセットされる、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第1の高周波電源及び該第1の高周波電源の2つの出力端子に接続された第1及び第2のインピーダンス整合器及び該第1の高周波電源のパルス変調信号に同期した任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第2の高周波電源及び該第2の高周波電源の2つの出力端子に接続された第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、を具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法であって、前記第1の高周波電源の2つの出力により該一対の電極間に生成される第1の定在波の腹の位置と前記第2の高周波電源の2つの出力により該一対の電極間に生成される第2の定在波の腹の位置の距離を使用電力の波長λの四分の一、即ちλ/4に設定することを特徴とするプラズマ表面処理方法である。
また、特許文献4に記載の技術は、内部に基板がセットされる、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第1の高周波電源及び該第1の高周波電源の2つの出力端子に接続された第1及び第2のインピーダンス整合器及び該第1の高周波電源のパルス変調信号に同期した任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第2の高周波電源及び該第2の高周波電源の2つの出力端子に接続された第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、を具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法であって、前記第1の高周波電源の2つの出力の位相差と前記基板表面に製膜される正弦的な膜厚分布を有するSi系膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第1の工程と、前記第2の高周波電源の2つの出力の位相差と前記基板表面に製膜される正弦的な膜厚分布を有するSi系膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第2の工程と、該第1及び第2の工程でそれぞれに把握された第1及び第2の高周波電源の2つの出力の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係より該第1及び第2の高周波電源の2つの出力の位相差を設定することにより、該基板に目的のSi系膜を製膜する第3の工程から成ることを特徴とするプラズマ表面処理方法である。
なお、上記第1の定在波と第2の定在波が一対の電極間の発生し、且つ、両者の腹の間隔が使用電力の波長λの四分の一であれば、一対の電極間の電力の強さI(x)は、次のようになり、周波数に関係なく一様(一定値)になる。
I(x)=cos(2πx/λ+Δθ/2)+sin(2πx/λ+Δθ/2)
ただし、xは供給電力の伝播方向での距離、λは使用電力の波長、Δθは給電点での初期位相差である。
特許文献5には、電力供給回路におけるインピーダンス整合器と電極上の給電点の間に平衡不平衡変換装置を設置する技術に関する装置及び方法が示されている。
即ち、特許文献5に記載の技術は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマ生成用の電極と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる平衡伝送回路であって、2本の長さが略等しい同軸ケーブルの外部導体同士が少なくともそれぞれの両端部で短絡され、かつ、該2本の同軸ケーブルの一方の端部のそれぞれの芯線を入力部とし、他方の端部のそれぞれの芯線を出力部とするという構成を有することを特徴とする平衡伝送回路である。
また、特許文献5に記載の技術は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマ生成用の電極と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる平衡伝送回路であって、2本の長さが略等しい同軸ケーブルの外部導体同士が少なくともそれぞれの両端部で他の導体により短絡され、かつ、該2本の同軸ケーブルの一方の端部のそれぞれの芯線を入力部とし、他方の端部のそれぞれの芯線を出力部とするという構成を有することを特徴とする平衡伝送回路である。
また、特許文献5に記載の技術は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記一対の電極に複数の開口を設置し、該一対の電極のそれぞれの周縁に電力供給点を配置し、かつ、上記の構成を有する平衡伝送回路を用いて、前記電力供給系構成部材の平衡不平衡変換装置の出力回路と該一対の電極の電力供給点を接続するという構成を有することを特徴とするプラズマ表面処理装置である。
また、特許文献5に記載の技術は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極の電力供給点と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段と、上記の構成を有する平衡伝送回路を具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記電力供給系から前記一対の電極へ電力を供給する電力供給回路の装置構成は、電力の流れの上流側から下流側に沿って、高周波電源、インピーダンス整合器、平衡不平衡変換装置、平衡伝送回路および電力供給点の順序に配置させることを特徴とするプラズマ表面処理装置である。
また、特許文献5には、従来の平行平板電極を用いたプラズマCVD装置及びラダー型電極を用いたプラズマCVD装置は、その装置に用いられている電極への給電部において、漏洩電流が発生し、異常放電あるいはアーキングが発生すること、及び一対の電極以外の場所でプラズマが発生し、均一な製膜が困難であることが指摘されている。
即ち、従来のプラズマCVD装置では、電力供給用の同軸ケーブルと電極との接続部は、互いに異なる構造の線路が接続された形になっており、その接続部では漏洩電流が発生する。なお、同軸ケーブルは内部導体(芯線)及び外部導体の内面を、それぞれ往路及び帰路とする伝送方式であり、一対の電極は2本の平行線路に相当する構造である。
ここに示される漏洩電流の概念は図12に示す通りである。同図において、同軸ケーブル108の芯線から一対の電極107a、107b側へ流れる電流Iは、一対の電極間を流れて戻る電流I1と、該一対の電極間を流れないでそれ以外を流れて戻る電流I2に分割される。電流I2が漏洩電流である。なお、図12に示される電流は、ある瞬間を概念的に示しており、交流現象なので、当然、図示されている電流の大きさと方向は時間的に変化する。
また、上記漏洩電流に起因する異常放電あるいはアーキングの防止のために、図13に示す平衡不平衡変換装置201及び2本の同軸ケーブル205a、205bで構成される平衡伝送回路を組み合わせた装置が用いられることが示されている。図13において、電力伝送用同軸ケーブル200の端部の芯線と外部導体が平衡不平衡変換装置201の入力端子202a、202bに接続され、その出力端子203a、203bは、2本の同軸ケーブル205a、205bで構成される平衡伝送回路の入力部の芯線に接続される。該2本の同軸ケーブル205a、205bの両端部の外部導体は短絡されている。そして、該平衡伝送回路の出力部の芯線は付加207に接続される。
該平衡伝送回路は該2本の同軸ケーブル205a、205bの外部導体同士が短絡されて、閉ループを形成しているので、電流の漏洩はない。その結果、該平衡不平衡変換装置201の出力電流Iは漏洩することなく、付加207に供給可能である。
特許文献6には、電力供給回路におけるインピーダンス整合器と電極上の給電点の間に平衡不平衡変換装置を設置する技術に関する装置及び方法が示されている。
特許文献6には、プラズマを利用して真空容器に配置される基板の表面を処理する表面処理装置において、前記真空容器内に対向配置された一対の電極と、前記一対の電極にそれぞれ電力を供給する同軸ケーブルと、前記一対の電極にそれぞれ設置されるとともに前記同軸ケーブルの芯線が接続されて、前記同軸ケーブルから電力が供給される給電点と、前記一対の電極の一方の電極に電力を供給する前記同軸ケーブルの外部導体と、他方の電極に電力を供給する前記同軸ケーブルの外部導体とを、それぞれの前記給電点近傍で連結する他の導体を有し、前記一対の電極に供給された前記電力の電圧の位相差が180°であることを特徴とする表面処理装置が記載されている。
また、特許文献6には、真空容器内に対向配置された一対の電極と、前記一対の電極にそれぞれ電力を供給する同軸ケーブルと、前記一対の電極にそれぞれ設置されるとともに前記同軸ケーブルの芯線が接続されて、前記同軸ケーブルから電力が供給される給電点と、前記一対の電極の一方の電極に電力を供給する前記同軸ケーブルの外部導体と、他方の電極に電力を供給する前記同軸ケーブルの外部導体とを、それぞれの前記給電点近傍で連結する他の導体を備えた表面処理装置を用いて、前記一対の電極の間に基板を配置し、プラズマを用いて、その基板の表面を処理する表面処理方法において、前記真空容器内を排気する工程と、前記真空容器内に放電ガスを供給する工程と、前記一対の電極の双方に電力を供給する工程と、を有し、前記一対の電極に供給された前記電力の電圧の位相差が180°であることを特徴とする表面処理方法が記載されている。
特開2006−216921(第6図、第9、10図) 特許第3316490号(第1−3図、第6、7図) 特許第3611309号(第1、2図、第3、4図) 特開2005−123203(第1−4図、第8、9図) 特許第3590955号(第1―8図、第15−17図) 特許第3810748号(第1―5図)
M.Kondo、M.Fukawa、L.Guo、A.Matsuda:High rate growth of microcrystalline silicon at low temperatures、Journal of Non−Crystalline Solids 266−269(2000)、84−89. J.A.Baggerman、R.J.Visser、and E.J.H.Collart:Power dissipation measurements in a low−pressure N2 radio−frequency discharge、J.Appl.Phys.、Vol.76、No.2、15 July 1994、738−746. H.Takatsuka、Y.Yamauchi、K.Kawamura、H.Mashima、Y.Takeuchi:World’s largest amorphous silicon photovoltaic module、Thin Solid Films506−507(2006)、13−16. K.Kawamura、H.Mashima、Y.Takeuchi,A.Takano,M.Noda,Y.Yonekura、H.Takatuka:Development of large−area a−S:H films deposition using controlled VHF plasma、Thin Solid Films506−507(2006)、22−26.
本発明者は、上記集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造に用いられるプラズマCVD装置に関する問題として、上記非特許文献1〜4及び特許文献1~6に指摘されている問題点以外に、上記集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造分野における特有の下記問題があることを発見した。
即ち、上記集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造分野においては、下記(い)〜(ほ)の事項を満たすことができるプラズマCVD装置及び方法が求められているが、(い)以外の事項については、それに対応できる装置及び技術が確立されていない。
下記(ろ)〜(ほ)に関するプラズマCVD装置及び方法の創出は、集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造に関して、再現性の良い生産、歩留まりの良い生産及び生産コスト低減を図る上での重要な課題である。
上記集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造分野において求められる事項は次の通りである。
(い)高速製膜が可能で、且つ、高品質の結晶質i層膜を形成可能であること。例えば、製膜速度2nm/s以上で、且つ、製造された膜のラマンスペクトル特性が良好であること。
(ろ)基板面積1mx1m程度以上の大面積基板において、高速で、均一性の良い高品質i層膜を形成可能であること。例えば、基板面積1.1mx1.4m、製膜速度2nm/s以上、膜厚みの不均一性±10%以下であること(不均一性±10%程度以上である場合、集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造工程の中のレーザ加工工程において、レーザによる膜加工の精度を確保することが困難となり、電池性能及び歩留まりの確保が困難となる)。
(は)電力の給電部の近傍で、異常放電(アーキング)が発生しないこと。
(に)供給電力が高品質の結晶質i層膜の形成に有効に使用されること、即ち、基板が設置される接地電極と非接地電極間のみにプラズマが生成され、その一対の電極間以外では、プラズマが生成されないこと。
(ほ)供給電力を供給する伝送線路で消費される電力が少ないこと。
なお、上記異常放電(アーキング)及び一対の電極間以外でのプラズマ生成に起因する電力損失及び上記電力伝送線路での電力損失が大きい場合、集積化タンデム型薄膜太陽電池の生産ラインにおけるランニングコストが増大し、製品製造コストの低減が困難になる。
以下に、従来の代表的なプラズマCVD装置である平板型電極を用いるプラズマCVD装置及びラダー型電極を用いるプラズマCVD装置における問題等を説明する。
まず、薄膜シリコン太陽電池の分野での代表的プラズマCVD装置である平行平板型電極を用いるプラズマCVD装置の構成及び技術の概要であるが、例えば非特許文献1及び2に記載されているようなものである。
この装置では、非接地の平板型電極と、接地された平板型電極が対向して設置され、その間に原料ガスを供給するとともに、電力を供給してプラズマを発生させ、予め上記接地電極上に設置された基板にシリコン系の膜を堆積させる。
この場合、電力を電極に供給する同軸ケーブルの芯線と非接地電極とが接続される給電点は、該非接地電極の裏側の面に設けられる。なお、裏側の面とは、非接地電極の2つある面の中の、該非接地電極と接地電極の間に生成されるプラズマ側から見て裏側にある面のことである。
上記給電点から電磁波(波動)として伝播する電力波は、上記非接地電極の裏側の面にある一点から上記非接地電極と真空容器の壁の間の空間(あるいは、アースシールドが設置されている場合は、上記非接地電極とアースシールドの間の空間)を伝播し、上記電極間に到達する。そして、その電極間にプラズマを生成する。
上記の構造を有する平行平板型電極を用いるプラズマCVD装置は、使用電力の周波数が10MHz−30MHz帯域及びVHF帯域(30MHz−300MHz)になると、電力損失及び電極間以外に発生する不必要なプラズマの発生という問題が発生することに加えて、制御することが困難な定在波が電極間に発生し、一様なプラズマの生成が困難という問題があることから、基板面積1mx1m級の大面積基板を対象にしたVHFプラズマCVD装置は実用化されていない。
非特許文献1には、集積化タンデム型薄膜太陽電池用の結晶質i層膜の高品質、高速製膜を行う際、投入電力は、製膜速度1.7nm/sの場合、2.54W/cm2、2.5nm/sの場合、3.4W/cm2であることが示されている。
この数値は、例えば、基板面積が110cmx140cm(15400cm2)の場合、単純に比例計算すれば、製膜速度1.7nm/sの場合は39.1KW、2.5nm/sの場合は52.4KWが必要である。
VHFの電源装置は、出力5〜10KW程度のものでも、装置購入額は8000万円〜1億円と高価である。仮に、出力が上記39.1KWあるいは52.4KWであれば、4億円〜5億円と非常に高価な装置となる。
実際の生産ラインでは、上記のような非常に高価な装置の導入は、製品コストの大幅な増大となるので、上記の平行平板型電極を用いるプラズマCVD装置及び上記製膜条件は採用することは困難である。
また、仮に、集積化タンデム型薄膜太陽電池用の結晶質i層膜の生産ラインに、基板面積110cmx140cm、2.5nm/sで、52.4KWという条件を選定した場合を考えると、次に示すような電力使用量及び電力料金が必要となる。
上記生産ラインの稼働率を85%とすると、結晶質i層膜の製膜室の1室のみで、年間電力消費量は、52.4KWx365日x24時間/日x0.85=390170.4KWhとなる。電気代は、1KWh当たり20円とすれば、約780万円となる(1KWh当たり15円としても。約585万円となる)。
実際の生産ラインでは、上記のような膨大な電気代は、製品コストの増大となるので、上記の平行平板型電極を用いるプラズマCVD装置及び上記製膜条件は採用することは困難である。
非特許文献2に示されている研究結果によれば、電源出力の約52%が平行平板電極間で消費され、残り48%はそれ以外の場所で消費(インピーダンス整合器12%、伝送回路24%、電極と真空容器内壁間などでの無効プラズマ生成12%)されるとのことである。
即ち、太陽電池用の発電膜の製造への応用では、発電膜製造に有効に消費されるのは約52%であり、約48%は無駄(あるいは有害)な電力として捨てられることを、意味している。
非特許文献2の研究成果で、非特許文献1に記載の消費電力を考えると、上記生産ライン用の結晶質i層膜の製膜室の1室のみでの、年間電力消費量52.4KWx365日x24時間/日x0.85=390170.4KWhの48%、即ち、187282KWhが、無駄(あるいは有害)な電力として捨てられることを、意味する。
上記のように、従来の平行平板型電極を用いるプラズマCVD装置には、電力損失及び電極間以外に発生する不必要なプラズマの発生という問題がある。
なお、非特許文献1及び2の具体的数値に、仮に誤差が含まれているとしても、電力損失問題の存在は否定できないと考えられる。
次に、ラダー型電極を用いるプラズマCVD装置においては、製膜される半導体膜の厚み分布が均一にならないという問題と、以下に説明するような電力損失問題がある。
この装置では、例えば、非特許文献3、非特許文献4、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されているように、真空容器内に接地電極を兼ねる基板ヒータと、非接地のラダー電極と、該ラダー電極の裏側(基板ヒータ側から見て)に設置の裏板と、が離間して対向設置される。ラダー型電極とは、一平面内に同じ長さの2本の縦棒を設置し、その間を同じ長さの、複数の横棒で連結したものである。
原料ガスは、ラダー型電極から噴出される場合と、裏板から噴出される場合があり、いずれもラダー型電極でプラズマ化されて、予め基板ヒータ上に設置された基板にシリコン系の膜を堆積させる。
電力を電極に供給する同軸ケーブルの芯線と非接地電極とが接続される給電点は、ラダー電極の外周部で、且つ、互いに対向した地点に設定される。
上記給電点から電磁波(波動)として伝播する電力波は、ラダー電極と基板ヒータ間の空間、及び該ラダー電極と裏板間の空間を伝播し、その空間に、それぞれにプラズマを生成する。即ち、本装置ではラダー電極の両面においてプラズマが生成されるという特徴がある。
この場合、互いに対向した給電点から供給される電力の電圧の位相差は時間的に変化させて、例えば周波数1KHzの正弦波状に変化させて供給される。その結果、ラダー電極と基板ヒータ間の空間及び該ラダー電極と裏板間の空間には、上記の互いに対向した給電点の間を、例えば1KHzの速さで往復するように動く定在波が発生する。
この装置及び方法では、上記動く定在波の効果により、基板面積1mx1m程度以上の大面積基板を対象に、均一なVHFプラズマの生成が可能とされている。
非特許文献3によれば、電極の寸法1.2mx1.5m、基板面積1.1mx1.4mで、電源周波数60MHz、ラダー電極と基板ヒータの間隔20mm、圧力45Pa(0.338Torr)という条件で、アモルファスSiの製膜速度は1.7nm/sで、膜の不均一性は±18%が示されている。
非特許文献4によれば、電極の寸法1.25mx1.55m(棒の直径:10mm)、基板面積1.1mx1.4mで、電源周波数60MHz、電圧の位相差は20KHz正弦波、ラダー電極と基板ヒータの間隔20mm、圧力45Pa(0.338Torr)という条件で、アモルファスSiの製膜速度は0.5nm/sで、膜の不均一性は±15%が示されている。
ラダー型電極を用いるプラズマCVD装置に関する電力損失と、電極間以外に発生する不必要なプラズマの発生という問題については、上記非特許文献3、非特許文献4、特許文献1、特許文献2及び特許文献3には記載されていない。
しかしながら、非特許文献3、非特許文献4、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されている装置の構造を見ると、以下に示すように、電力損失及び電極間以外に発生する不必要なプラズマの発生という問題が存在していることが、容易に指摘される。
第1に、電極及び給電方法に起因する無駄な電力消費の問題がある。それは、ラダー電極を用いたプラズマ生成装置はラダー電極の両面に生成されるプラズマを利用する両面放電方式であるが、実際には、両面に基板を設定しないで、一方の面の放電が利用されている。したがって、他方の面の放電は無効放電、即ち、不必要なプラズマの発生という問題を抱えているといえる。その結果、給電点から供給される電力全体の約30%〜40%の電力を無駄に消費していると見られる。即ち、無駄なプラズマ発生という電力損失問題を抱えている。
なお、上記両面放電方式、即ち、両面に基板を設定する方式は、実際には両面プラズマの安定した生成の制御が困難であることから、ラダー電極を用いる装置に限らず、平行平板型プラズマCVD装置でも、余り採用されていないようである。
第2に、上記第1の問題に起因するもので、不必要なプラズマの発生に起因するパウダー及びパーテイクルの発生という問題を抱えている。この問題は、生産ラインの装置稼働率の低下、製造する発電膜の性能低下というトラブルの誘引要因となる重要な問題である。
第3には、基板面積1mx1m程度以上の大面積基板を対象にした場合、均一なVHFプラズマの発生の為に、上記給電点が複数設置される。この複数設置された給電点に電力を供給する電力伝送回路に、複数のT型同軸コネクターが用いる電力分配回路が用いられている。例えば、非特許文献3では、ラダー電極の一方の端部の給電に、7個のT型同軸コネクターが用いられて8分岐されている。この分岐手段は、同軸ケーブルとT型同軸コネクターとの接続部で電力損失が発生する。
一般的に、VHF領域の電力伝送では、その接続部で、2〜3%の電力損失があることが知られている。仮に、その損失を3%とすると、T型同軸コネクターによる電力損失は、3%x7個x2(両端部)=42%になる。この数値は実際の生産ラインでは、極めて大きく、問題である。
なお、非特許文献4には、電力分配器(Power Divder)が用いられているが、一般的には、電力分配器も分岐数が多くなると、電力分配器内部での電力損失は10〜15%であり、問題になる数値であるといえる。
次に、特許文献4に記載の技術であるが、2出力で、且つ、その出力の電圧の位相を任意に設定可能なパルス変調方式の第1の高周波電源と、該第1の高周波電源の出力の発信時間帯と異なる時間帯に発信され、且つ、2出力で、且つ、その出力の電圧の位相を任意に設定可能なパルス変調方式の第2の高周波電源を用いて、それぞれ、第1の定在波及び第2の定在波を発生させ、且つ、その2つ定在波の腹の位置を波長の四分の一に設定することにより、一対の電極間に均一なプラズマを生成するものである。
即ち、使用される電力の波長をλ、上記電力の伝播方向をx、位相差をΔθとすれば、一対の電極に生成される第1の定在波及び第2の定在波の強さは、
第1の定在波=cos{2πx/λ+Δθ/2}
第1の定在波=sin{2πx/λ+Δθ/2}
第1の定在波+第2の定在波=cos{2πx/λ+Δθ/2}+sin{2πx/λ+Δθ/2}=1
一般に、電力の強さとプラズマの強さは比例関係にあるので、
プラズマの強さI(x)は、次のように表される。
I(x)=cos{2πx/λ+Δθ/2}+sin{2πx/λ+Δθ/2}
=1・・(使用する電力の波長λに依存されないで、一様なプラズマの生成が可能であることを意味する)
しかしながら、上記集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造分野において求められる高周波プラズマCVD装置及び方法の満たすべき条件の中の、(に)供給電力が高品質の結晶質i層膜の形成に有効に使用されること、即ち、基板が設置される接地電極と非接地電極間のみにプラズマが生成され、その一対の電極間以外での有害のプラズマが生成されないこと、また、給電回路と電極の接続部近傍で、異常放電(アーキング)が発生しないこと、及び(ほ)供給電力を供給する伝送回路で消費される電力が少ないことについては、記載されていない。
即ち、特許文献4に記載の技術においては、同軸ケーブルの端部と給電点との接続部で発生する漏洩電流に起因する電力損失の問題を抱えていると言える。
次に、特許文献5に記載の技術であるが、電力供給回路におけるインピーダンス整合器と電極上の給電点の間に平衡不平衡変換装置を設置され、該平衡不平衡変換装置と一対の電極の給電点が、2本の長さが略等しい同軸ケーブルの外部導体同士が少なくともそれぞれの両端部で短絡され、かつ、該2本の同軸ケーブルの一方の端部のそれぞれの芯線を入力部とし、他方の端部のそれぞれの芯線を出力部とするという構成になっていることから、従来技術で問題である電力給電部での漏洩電流や異常放電等を抑制可能である。その結果、電力損失問題を効果的に解決できる。
また、大面積プラズマの均一化に関しても、給電部での異常放電等を抑制可能であることから、効果的であることが記載されている。
しかしながら、特許文献5に記載の技術のみでは、プラズマの大面積化及び均一化の応用は実際上、困難である。その結果、給電部での異常放電等を抑制する装置としての応用に限定される。
即ち、上記集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造分野において求められる高周波プラズマCVD装置及び方法の満たすべき条件の中の、(ろ)基板面積1mx1m程度以上の大面積基板において、高速で、均一性の良い高品質i層膜を形成可能であることに関しての問題があると言える。
また、特許文献5に記載の平衡伝送回路は、それを構成する2本の同軸ケーブルが真空容器の壁に設置されている接続端子(電流導入端子)で接続されるので、その接続端子で電力損失が発生するという問題がある。
なお、特許文献5には、大気側に配置される同軸ケーブルと、真空側に配置される同軸ケーブルの接続に係わる電力損失問題についての記載はない。
特許文献6に記載の技術では、一対の電極のそれぞれに配置されている第1及び第2の電力供給点に、電圧の位相差が180°異なる電力が供給されるので、上記特許文献5の場合と同様に、従来技術で問題である電力給電部での漏洩電流や異常放電等を抑制可能である。その結果、電力損失問題を効果的に解決できる。
しかしながら、特許文献6に記載の技術のみでは、プラズマの大面積化及び均一化の応用は実際上、困難である。その結果、給電部での異常放電等を抑制する装置としての応用に限定される。
即ち、上記集積化タンデム型薄膜太陽電池の製造分野において求められる高周波プラズマCVD装置及び方法の満たすべき条件の中の、(ろ)基板面積1mx1m程度以上の大面積基板において、高速で、均一性の良い高品質i層膜を形成可能であることに関しての問題があると言える。
また、特許文献6に記載の平衡伝送形態の電力供給装置を構成する2本の同軸ケーブルが真空容器の壁に設置されている接続端子(電流導入端子)で接続されるので、その接続端子で電力損失が発生するという問題がある。
なお、特許文献6には、大気側に配置される同軸ケーブルと、真空側に配置される同軸ケーブルの接続に係わる電力損失問題についての記載はない。
以上説明したように、従来技術では、上記(い)〜(ほ)の事項を全て満足させることは極めて困難で、不可能視されている。
言い換えれば、従来の高周波プラズマCVD技術分野が抱える具体的技術課題は、第1に、異常放電の発生を抑制すると共に、一対の電極間のみにプラズマを生成可能で、且つ、大面積・均一化が可能な技術の創出、第2に、電力伝送線路での電力損失を抑制可能な技術の創出である。
そこで、本発明は、プラズマ表面処理の高速化・大面積化・均一化が可能であると共に、異常放電の発生及び給電される電力の損失を抑制し、且つ、一対の電極間のみにプラズマを生成可能な技術のアイデイアを創出し、該アイデイアを実現するための高周波プラズマCVD装置及びプラズマCVD法を提供することを目的とする。
以下に、本発明を実施する為の最良の形態で使用される番号・符号を用いて、問題を解決する為の手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施する為の最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加したものである。
ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本願に係わる第1の発明の電流導入端子は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、高周波電源(25)とインピーダンス整合器(31)と平衡不平衡変換装置(33)と電流導入端子(40)から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる電流導入端子(40)において、前記真空容器の壁を貫通して該真空容器の壁に設置された管状導体(60)を有し、互いに誘電体(63)で絶縁された2枚の長方形板状導体、即ち、第1の長方形板状導体(61)と第2の長方形板状導体(62)を有し、該第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体が該管状導体の内部に誘電体(64)を介して設置され、且つ、該第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体の長さ方向における一方の端部を真空容器の内部に、即ち真空側に配置し、他方の端部を真空容器の外に、即ち大気側に配置するとともに、該管状導体の一方の端部(65)と前記平衡不平衡変換装置を包み囲う導電体のアースシールド箱(66、68)を密着させ、該第1及び第2の長方形板状導体の大気側の端部を入力部とし、該第1及び第2の長方形板状導体の真空側の端部を出力部とするという構成を有することを特徴とする。
本願に係わる第2の発明の電流導入端子は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源(25a、25b、24、28a、28b、29a、29b)とインピーダンス整合器(31a、31b)と平衡不平衡変換装置(33a、33b)と電流導入端子(40)から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる電流導入端子(40)において、前記真空容器の壁を貫通して該真空容器の壁に設置された管状導体(60)を有し、互いに誘電体(63)で絶縁された2枚の長方形板状導体、即ち、第1の長方形板状導体(61)と第2の長方形板状導体(62)を有し、該第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体が該管状導体の内部に誘電体(64)を介して設置され、且つ、該第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体の長さ方向における一方の端部を真空容器の内部に、即ち真空側に配置し、他方の端部を真空容器の外に、即ち大気側に配置するとともに、該管状導体の一方の端部(65)と前記平衡不平衡変換装置を包み囲う導電体のアースシールド箱(66、68)を密着させ、該第1及び第2の長方形板状導体の大気側の端部を入力部とし、該第1及び第2の長方形板状導体の真空側の端部を出力部とするという構成を有することを特徴とする。
本願に係わる第3の発明の電流導入端子は、前記第1あるいは第2の発明の電流導入端子において、前記第1及び第2の長方形板状導体間の誘電体(63)の比誘電率が3以上であることを特徴とする電流導入端子。
本願に係わる第4の発明の電流導入端子は、前記第1ないし第3の発明のいずれかの電流導入端子において、該電流導入端子(40)を構成する前記第1の長方形板状導体(61)と第2の長方形板状導体(62)が非接地であるという構造を有することを特徴とする。
本願に係わる第5の発明の電流導入端子は、前記第1ないし第4の発明のいずれかの電流導入端子において、前記第1の長方形板状導体(61)と第2の長方形板状導体(62)の間に介在する誘電体(63)は楔形の形状を有するということを特徴とする。
本願に係わる第6の発明の電流導入端子は、前記第1ないし第4の発明のいずれかの電流導入端子において、前記電流導入端子(40)の特性インピーダンスがその入力部から出力部の方向に沿って連続的に減少する傾斜型の分布を有する構造であることを特徴とする。
本願に係わる第7の発明の平衡伝送法は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、高周波電源(25)とインピーダンス整合器(31)と平衡不平衡変換装置(33)と電流導入端子(40)から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる平衡伝送方法において、前記一対の電極(2、3)の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記平衡不平衡変換装置(33)の出力回路と該一対の電極(2、3)に設置の電力供給点(20、21)とが前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子(40)で接続され、該平衡不平衡変換装置(33)の出力が該電力供給点(20、21)へ伝送されることを特徴とする。
本願に係わる第8の発明のプラズマ表面処理装置は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、高周波電源(25)とインピーダンス整合器(31)と平衡不平衡変換装置(33)と電流導入端子(40)から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記一対の電極(2、3)の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記電力供給系の構成部材の平衡不平衡変換装置(33)の出力回路と該一対の電極の電力供給点(20、21)とが、前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子(40)で接続されるという構成を有することを特徴とする。
本願に係わる9の発明のプラズマ表面処理装置は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源(25a、25b、24、28a、28b、29a、29b)とインピーダンス整合器(31a、31b)と平衡不平衡変換装置(33a、33b)と電流導入端子(40)から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記一対の電極(2、3)の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記電力供給系の構成部材の平衡不平衡変換装置(33a、33b)の出力回路と該一対の電極の電力供給点(20a、20b、21a、21b)とが、前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子(40)で接続されるという構成を有することを特徴とする。
本願に係わる第10の発明のプラズマ表面処理装置は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、該一対の電極の電力供給点(20、21)と、高周波電源(25)と、インピーダンス整合器(31)と、平衡不平衡変換装置(33)と、前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記電力供給系から前記一対の電極へ電力を供給する電力供給回路の装置構成は、電力の流れの上流側から下流側に沿って、前記高周波電源(25)、インピーダンス整合器(31)、平衡不平衡変換装置(33)、電流導入端子(40)及び電力供給点(20、21)の順序に配置させることを特徴とする。
本願に係わる第11の発明のプラズマ表面処理装置は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源(25a、25b、24、28a、28b、29a、29b)とインピーダンス整合器(31a、31b)と平衡不平衡変換装置(33a、33b)と前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記電力供給系から前記一対の電極へ電力を供給する電力供給回路の装置構成は、電力の流れの上流側から下流側に沿って、前記高周波電源、インピーダンス整合器、平衡不平衡変換装置、電流導入端子及び電力供給点の順序に配置させることを特徴とする。
本願に係わる第12の発明のプラズマ表面処理装置は、前記第8ないし第11の発明のいずれかのプラズマ表面処理装置において、前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子(40)と前記電力供給点(20、21)とを平板状の導体(70、71)で接続するという構成を有することを特徴とする。
本願に係わる第13の発明のプラズマ表面処理方法は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、該一対の電極の電力供給点(20、21)と、高周波電源(25)とインピーダンス整合器(31)と平衡不平衡変換装置(33)と前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子(40)から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記電力供給系を構成する装置を、電力の流れの上流側から下流側に沿って、前記高周波電源(25)、インピーダンス整合器(31)、平衡不平衡変換装置(33)、電流導入端子(40)および電力供給点(20、21)の順序に配置させることによりプラズマ表面処理を行うことを特徴とする。
本願に係わる第14の発明のプラズマ表面処理方法は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、高周波電源(25)とインピーダンス整合器(31)と平衡不平衡変換装置(33)と前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記一対の電極(2、3)の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記平衡不平衡変換装置(33)の出力が前記電流導入端子(40)を介して前記電極に設置の電力供給点(20、21)へ伝送され、プラズマ表面処理が行なわれることを特徴とする。
本願に係わる第15の発明のプラズマ表面処理方法は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、該一対の電極の電力供給点(20、21)と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源(25a、25b、24、28a、28b、29a、29b)とインピーダンス整合器(31a、31b)と平衡不平衡変換装置(33a、33b)と前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記電力供給系を構成する装置を、電力の流れの上流側から下流側に沿って、前記高周波電源(25a、25b、24、28a、28b、29a、29b)、インピーダンス整合器(31a、31b)、平衡不平衡変換装置(33a、33b)、電流導入端子(40)及び電力供給点(20a、20b、21a、21b)の順序に配置させることによりプラズマ表面処理を行うことを特徴とする。
本願に係わる第16の発明のプラズマ表面処理方法は、排気系を備えた真空容器(1)と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系(6、7、8、9)と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極(2、3)と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源(25a、25b、24、28a、28b、29a、29b)とインピーダンス整合器(31a、31b)と平衡不平衡変換装置(33a、33b)と前記第1ないし第6の発明のいずれかの電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板(11)を配置する基板保持手段(3)とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記一対の電極(2、3)の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記平衡不平衡変換装置(33a、33b)の出力が前記電流導入端子(40)を介して前記電極に設置の電力供給点(20a、20b、21a、21b)へ伝送され、プラズマ表面処理が行なわれることを特徴とする。
本願に係わる第17の発明のプラズマ表面処理方法は、前記第13ないし第16の発明のいずれかのプラズマ表面処理方法において、前記平衡不平衡変換装置(33、33a、33b)の2つの出力の電圧の位相差が180°に設定されることを特徴とする。
本発明によれば、一対の電極の給電点に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力を供給することが可能であることから、該一対の電極によるプラズマ生成において、該給電点の近傍での異常放電はほぼ完全に抑制される。
即ち、本発明によれば、真空側に設置されている電極への電力供給箇所である電力供給点と大気側に設置されている平衡不平衡変換装置との接続に、電力の電圧の位相差が180°である電力をその位相差を維持した状態で伝送する電流導入端子を用いることが可能であることから、電力給電点の近傍で、異常放電(アーキング)が発生せず、かつ、一対の電極間のみにプラズマが生成され、その一対の電極間以外でのプラズマ生成を抑制することが可能である。
また、本発明によれば、一対の電極間に腹の位置が一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍である2つの定在波を発生させ、一様なプラズマの生成ができる方法において、真空側に設置されている電極への電力供給箇所である電力供給点と大気側に設置されている平衡不平衡変換装置との接続に、電力の電圧の位相差が180°である電力をその位相差を維持した状態で伝送する電流導入端子を用いることが可能であることから、電力給電点の近傍で、異常放電(アーキング)が発生せず、かつ、一対の電極間のみにプラズマが生成され、その一対の電極間以外でのプラズマ生成を抑制することが可能である。
その結果、従来の技術では非常に困難である給電点近傍での異常放電(アーキング)の発生抑制、一対の電極間以外でのプラズマ生成の抑制及び大面積での一様なVHFプラズマの生成が容易に可能である。
このことは、高品質膜を高速で処理可能なVHFプラズマを、大面積基板を対象にした分野に応用可能であることを意味している。
したがって、本発明は、例えば、集積化タンデム型薄膜太陽電池モジュールの製造及び微結晶シリコン膜を応用した各種デバイスの製造等の分野における生産ラインに用いられることにより、生産性及び歩留まりの向上による製品性能向上の効果は著しく大きい。また、製造コストの低減効果が著しく大きい。更に、電力使用の最小限化が図れることによる製造コストの低減効果が期待される。
言い換えれば、従来の高周波プラズマCVD技術分野が抱える具体的技術課題は、第1に、異常放電の発生を抑制すると共に、一対の電極間のみにプラズマを生成可能で、且つ、大面積・均一化が可能な技術の創出、第2に、電力伝送線路での電力損失を抑制可能な技術の創出であるが、本発明により、上記第1の課題が解決可能であり、第2の課題についても解決が期待できる。このことは、本発明の効果が著しく大きいということを示している。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、以下の説明では、プラズマCVD装置及びプラズマCVD法の一例として、太陽電池用のアモルファスシリコン半導体層を製作する装置及び方法が記載されているが、本願の発明対象が下記の例に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明の第1の実施形態に係わる電流導入端子、該電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)及びプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)について、図1ないし図4を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係わる電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)の全体を示す概略図、図2は本発明の第1の実施形態に係わる電流導入端子の全体を示す概略図、図3は図1図示のプラズマ表面処理装置の電力供給系における平衡不平衡変換器と、電流導入端子と、電極との接続部に関する説明図、及び、図4は本発明の第1の実施形態に係わる電流導入端子の特性インピーダンスに係わる説明図である。
先ず、本発明の第1の実施形態に係わる電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)の構成を説明する。
図1〜図3において、符番1は真空容器である。この真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち第1の非接地電極2と第2の非接地電極3と、基板ヒータ4が配置されている。
該第1の非接地電極2は、絶縁物支持材5a、5b及び後述の放電ガス混合箱6を介して真空容器1に設置されている。該第2の非接地電極3は、絶縁物支持材5c、5dを介して基板ヒータ4に設置されている。
なお、該第1及び第2の非接地電極2、3は、その対向する面の面積を略等しくして設置する。
放電ガス混合箱6は整流板7とガス供給管8と該第1の非接地電極2と組み合わせて用いられ、ガス噴出孔9から放電ガスを第1及び第2の非接地電極間に一様に噴出する。なお、ガス噴出孔9の直径は、約0.2〜0.8mm、例えば0.6mmである。
符番10a、10bは、排気管で、真空容器1内のガスを図示しない真空ポンプで排出する。
符番11はプラズマ処理される基板である。基板11は、図示しないゲートバルブの開閉操作により、第2の非接地電極3に設置される。そして、基板ヒータ4により所定の温度に加熱される。
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1、500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1、330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
符番25は高周波電源で、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の電力、例えば60MHzの電力を発生する。高周波電源25は出力0.5〜10KWの範囲で、任意の大きさの電力を調整し、出力する。その出力は同軸ケーブル30、後述のインピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、後述の平衡不平衡変換装置33及び後述の電流導入端子40を介して、一対の電極2、3の電力供給点20、21に供給される。
符番33は平衡不平衡変換装置で、例えば、LCブリッジ型平衡不平衡変換装置で、本装置に入力される非平衡伝送電力を平衡伝送電力に変換する装置である。なお、平衡伝送電力とは、TVやラジオのアンテナ等に用いられるレッヘル線と呼ばれる2本の平行線で伝送される電力伝送の形態で、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なることを特徴とする。また、非平衡伝送電力とは、同軸ケーブルを用いて伝送される電力伝送の形態で、伝送回路の一部分としてアース(真空容器、真空容器内臓の部品等)が用いられ、往路と帰路の電流の位相は180°でないことを特徴する。
なお、図1図示の本発明に関する実施例1の電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)で用いられる平衡不平衡変換装置は、上記LCブリッジ型平衡不平衡変換装置以外に、例えば、シュペルトップ型平衡不平衡変換装置、分岐導体を用いる平衡不平衡変換装置及びトランスを用いる平衡不平衡変換装置でも良い。
符番40は電流導入端子である。電流導入端子40は、図2、図3に示すように管状導体60と、フランジ65と、第1の長方形板状導体61と、第2の長方形板状導体62と、第1の誘電体63と、第2の誘電体64とで構成される。第1及び第2の誘電体としては、酸化ケイ素SiO2(比誘電率=約4)、窒化ケイ素SiN4(比誘電率=約7)及びアルミナAl2O3(比誘電率=8.5〜11)などのセラミックスから選ぶ。ここでは、例えば、比誘電率10のアルミナとする。
なお、管状導体60の一方の端部には、真空容器1との接合に用いられるフランジ65が固着されている。また、第1及び第2の長方形板状導体61、62の一方の端部には、第1及び第2の電極2、3との接続に用いられる接続端子61a、62aが固着されている。
図3において、電流導入端子40を構成する管状導体60のフランジ65を介して、該平衡伝送回路40を真空容器1に設置する。この際、電流導入端子40の一方の端部を大気側に、他方が真空側になるように設置する。なお、真空容器1と電流導入端子40間はOリングにより気密が保たれる。また、管状導体60は、真空容器1に管状導体支持導体67で支持される。
電流導入端子40は、図1図示の電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)において、インピーダンス整合器31及び平衡不平衡変換装置33を介して伝送される高周波電源25の出力を第1及び第2の電極2、3に供給するに際し、該平衡不平衡変換装置33と第1及び第2の電極2、3とを接続するために用いられる。その際、平衡不平衡変換装置33の2つの出力電圧の位相差を180°に維持して該第1及び第2の電極2、3に供給することが、異常放電防止上、きわめて重要である。
したがって、図1及び図3において、後述の図示しない電圧位相差測定器を用いて平衡不平衡変換装置33の2つの出力同士の電圧の位相差が180°であることを確認する工程は、極めて重要である。
ここで、電流導入端子40の伝送回路としての特徴を説明する。
図3において、電流導入端子40の大気側のフランジ65と後述の平衡不平衡変換装置33のアースシールド箱66を接続し、該平衡不平衡変換装置33内部の電気回路部品から放射される電力及び電流導入端子40の第1、第2の長方形板状導体61、62から放射される電力をシールドする。
なお、アースシールド箱66は、平衡不平衡変換装置33を導電体で包み囲う箱であり、該平衡不平衡変換装置33から生じる漏洩電力の放射を防止する。
また、上記フランジ65とアースシールド箱66のフランジ68を接続することは、上記電力放射の防止上、極めて重要である。
平衡不平衡変換装置33の2つの出力の一方を電流導入端子40の入力部の第1の長方形板状導体61の端部の接続点70に接続し、他方を電流導入端子40の入力部の第2の長方形板状導体62の端部の接続点71に接続する。
電流導入端子40の出力部の第1の長方形板状導体の端部61aを第1の電極2に接続する。ここで、該第1の長方形板状導体61の端部61aと第1の電極2の接続点を第1の電力供給点20と呼ぶ。
電流導入端子40の出力部の第2の長方形板状導体62の端部62aを第2の電極3に接続する。ここで、該第2の長方形板状導体の端部62aと第2の電極3の接続点を第2の電力供給点21と呼ぶ。
上記の構成により、図3に示すように、高周波電源25の出力電力がインピーダンス整合機器31及び不平衡伝送線路である同軸ケーブルを介して平衡不平衡変換装置33に伝送され、該平衡不平衡変換装置33で平衡伝送形態に変換された電力が電流導入端子40を介して、一対の電極2、3の電力供給点20、21に供給される。
この構成において、電流導入端子40を構成する第1及び第2の長方形板状導体61、62間を伝播する電力の電界の方向は、該第1及び第2の長方形板状導体61、62の面の法線方向であるので電力伝送形態は平衡伝送回路として機能する。なお、ここでは、平衡伝送回路と平衡伝送線路は同じ意味として用いる。
また、この構成において、第1及び第2の長方形板状導体61、62が管状導体60とアースシールド66で囲まれていることから、該第1及び第2の長方形板状導体61、62間から発生される強い漏洩電界の大気側への放射は皆無である。
上記電流導入端子40の特徴によれば、電流導入端子40は、電流導入端子としての機能に加えて、電気回路的には、レッヘル線と呼ばれる2本の平行線と同様に、平衡伝送回路としての機能を有する。
この特徴により、図1図示のプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)への応用において、一対の電極2、3の電力供給点に、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なることを特徴とする電力を供給することが可能となる。その結果、一対の電極2、3間のみにプラズマを生成することが可能となるのである。
電流導入端子40の特性インピーダンスの値は、該第1及び第2の長方形板状導体61、62の幅Wと間隔h及びその間にある誘電体の比誘電率に依存する。
その特性インピーダンスの値の計算方法としては、例えば、無線工学あるいは伝送回路学等においていくつかの計算式が提案されている。ここでは、一般に用いられている次の計算式により、電流導入端子40の特性インピーダンスZ(Ω)を評価する。
(Ω)=120π/ε1/2{W/h+1.393+0.667ln(W/h+1.444)}・・・・(1)
ただし、Z(Ω)は平板伝送路の特性インピーダンス、εは比誘電率、Wは平板の幅(m)、hは2枚の平板の間隔(m)である。
特性インピーダンスZ(Ω)の計算式(1)式を用いて計算した電流導入端子40の特性インピーダンスの値を、図4に示す。ただし、比誘電率εが、3、6.5及び10の場合である。
ここでは、比誘電率ε=約10の高純度アルミナを用いる。そして、次に示す3つの電流導入端子40を用意しておく。ただし、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さと幅は同じとする。
第1の電流導入端子40a・・・管状導体60の長さ=10cm(厚み=1.5cm)、その内径=14cm(厚み=1.5cm)、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=2.5cm、即ち、W/h=2で、特性インピーダンスZ=約30Ω。
第2の電流導入端子40b・・・管状導体60の長さ=10cm(厚み=1.5cm)、その内径=14cm(厚み=1.5cm)、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=1cm、即ち、W/h=5で、特性インピーダンスZ=約15Ω。
第3の電流導入端子40c・・・管状導体60の長さ=10cm(厚み=1.5cm)、その内径=14cm(厚み=1.5cm)、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=0.5cm、即ち、W/h=10で、特性インピーダンスZ=約10Ω。
なお、第1及び第2の長方形板状導体61、62の比誘電率は、一般的には任意の値を選定して良いが、比誘電率の値が小さければ、該第1及び第2の長方形板状導体61、62間の間隔が大きくなり、結果として、電流導入端子40の寸法が大きくなる。
電流導入端子40の管状導体60の外寸法を、約15cm以内に設計するには、比誘電率3以上が実用的である。
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のアモルファスSiを製膜するに際して事前に実施する電流導入端子40の特性の選定試験(選定工程と呼ぶ)について説明する。
ここでは、具体的には、上記3つの電流導入端子40a、40b、40cの中から次に示しているアモルファスSiの製膜条件に適しているものを選定する。
アモルファスSiの製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
●放電ガス:SiH4、
●流量:500sccm、
●圧力:0.5Torr(66.5Pa)、
●電極サイズ:70cmx5cm、
●電極間隔:2.5cm、
●電源周波数:60MHz、
●電力:800W、
●基板の温度:180℃。
上記3つの電流導入端子40、即ち、第1の電流導入端子40a、第2の電流導入端子40b及び第3の電流導入端子40cから、上記アモルファスSiの製膜条件に適合した平衡伝送回路を選ぶ工程であるが、上記アモルファスSiの製膜条件での電極2、3の間隔=2.5cmに合致できる電流導入端子としては、第1及び第2の長方形板状導体61、62の間隔が2.5cmである第1の電流導入端子40aしかない。
即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=2.5cm、即ち、W/h=2で、特性インピーダンスZ=約30Ωという特徴を持つ第1の電流導入端子40aを選定せざるを得ない。
次に、上記電流導入端子40の選定試験の結果を受けて、製膜工程に進む。
そして、予め、基板11を第2の非接地電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力例えば800Wを供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
即ち、図1〜図3において、高周波電源25の出力を例えば60MHzで800Wとし、その出力を同軸ケーブル30、インピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、平衡不平衡変換装置33及び電流導入端子40aを介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給する。
この場合、上記インピーダンス整合器31のLCの調整器と高周波電源31に付属の進行波及び反射波の電力値モニターを組み合わせて用いることにより、インピーダンス整合器31の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
しかしながら、インピーダンス整合器31側から見て、後流側にある平衡不平衡変換装置33と上記電流導入端子40a(特性インピーダンスZ=約30Ω)と、上記アモルファスSiの製膜条件にある一対の電極2、3間に生成されるプラズマからなる負荷とのインピーダンス整合性が良くない場合には、ある程度の反射波が戻ってくる。一般的には、高周波電源31の出力800Wに対して、1〜5%、即ち8〜40W程度である。
また、電流導入端子40の入力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の大気側の端部における平衡不平衡変換装置33の出力の電圧の位相差が180度にあることを、図示しない電圧測定器でモニターする。
第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20、21に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点20、21の近傍での異常放電は完全に抑制される。また、生成されるプラズマは一対の電極2、3間のみである。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点20、21の近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
即ち、電流導入端子40の出力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の真空側端部から電力供給点20、21への電力供給において、一対の電極2、3が電流導入端子40と同様の平衡伝送路としての電気的特性を有していることから、漏洩電流の発生が抑制される。
その結果、異常放電や局部放電などは発生しない。さらに、上記のように、電力供給点20、21に印加される電圧の位相差が180度であるので、すなわち、一対の電極に正負の電圧を掛けている状態であるので、電極2、3間以外でのプラズマの発生は皆無となる。
したがって、従来技術で問題であった一対の電極周辺のアース構造および配線状況に関係する漏洩電流に起因するプラズマの発生はなく、再現性の良い安定したプラズマの生成が可能である。
ただし、該インピーダンス整合器31を該平衡不平衡変換装置33の下流側、すなわち、それを平衡不平衡変換装置33と平衡伝送回路40の間に配置させる場合、該インピーダンス整合器31に内蔵のLC回路は負荷と電源および伝送路のインピーダンス整合のため調整されるので、上記電流導入端子40に印加される電圧の位相差は180度に確保できなくなる。したがって、該インピーダンス整合器31が配置される場所は該平衡不平衡変換装置33の上流側であることが重要である。
上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板12表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
ここで、サイズ700mmx50mm(厚み3mm)程度のガラス基板11に、製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Siを製膜することを実施する。
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
●放電ガス:SiH4、
●流量:500sccm、
●圧力:0.5Torr(66.5Pa)、
●電極サイズ:70cmx5cm、
●電極間隔:2.5cm、
●電源周波数:60MHz、
●電力:800W、
●基板の温度:180℃。
上記製膜条件でプラズマを生成すると、高周波電源25の出力を非平衡伝送回路である同軸ケーブル30及びインピーダンス整合器31を介して平衡不平衡変換装置33に伝送し、その伝送された電力を平衡不平衡変換装置33で平衡電力に変換し、平衡伝送回路の特徴を有する電流導入端子40を介して一対の電極2、3の電力供給点20、21に供給できるので、電力供給系と負荷である一対の電極2、3との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制される。
したがって、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べて、再現性良く均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10%以内で製膜が可能となる。
なお、平衡伝送回路(あるいは平衡伝送線路)とは、2本の導体から成る電力伝送回路において、両線を往路と帰路として流れる電流の振幅が等しく、位相が180°異なるような伝送形態のことである。
また、本実施例で用いている上記LCブリッジ型平衡不平衡変換装置は、該装置に入力される不平衡伝送方式の電力伝送を平衡伝送方式に変換する働きをする手段であるので、それに代えて、シュペルトップ型平衡不平衡変換装置及び二分の一波長迂回型平衡不平衡変換装置等を用いることができる。また、電力分配器とフェーズシフターを組み合わせた装置を用いることができる。
また、本実施例では、一対の電極2、3にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記700mmx50mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、一対の電極を複数個設置し、その個数に応じて、上述した電力供給系を複数個配置すれば、基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。
このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
(実施例2)
本発明の第2の実施形態に係わる電流導入端子、該電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)およびプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)について、図5〜図7を参照して説明する。また、必要に応じて、図1〜図4を参照する。
図5は本発明の第2の実施形態に係わる電流導入端子と電極の接続手段を示す概念図、図6は本発明の第2の実施形態に係わる電流導入端子と電極の接続手段の第1の具体例を示す説明図及び図7は本発明の第2の実施形態に係わる電流導入端子と電極の接続手段の第2の具体例を示す説明図である。
先ず、本発明の第2の実施形態に係わる電流導入端子の構成を説明する。ただし、図1〜図4に示した部材と同じ部材は同符番を付して説明を省略する。
なお、ここで用いられる第1及び第2の非接地電極2、3は、その対向する面の面積を略等しくして設置する。
図5において、符番72は第1の接続用導体板で、第1の電極2と第1の長方形板状導体61とを電気的に導通とする導体板である。符番73は第2の接続用導体板で、第2の電極3と第2の長方形板状導体62とを電気的に導通とする導体板である。
第1及び第2の接続用導体板72、73は、それぞれ、電流導入端子40の出力部である第1及び第2の長方形板状導体61、62の真空側端部と、第1及び第2の電極の給電点20、21を接続する。その結果、高周波電源25の出力をインピーダンス整合器31、平衡不平衡変換装置33及び電流導入端子40を介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給することができる。
なお、第1及び第2の接続用導体板72、73のそれぞれを薄い導体板で作ることにより、第1及び第2の長方形板状導体61、62の間隔と第1及び第2の電極2、3の間隔が異なる場合においても、両者の電気的接続を容易に行うことができる。
図6において、符番72a、73aは、第1及び第2の接続用導体72、73の第1の具体例で、頂点が切られた三角形の薄い導体板で作られる。そのサイズは、電極サイズに依存するが、例えば、長辺=10cm、短辺=5cm、高さ=5cm、厚み=0.3mmで、その材料は、鋼材、アルミ、銅、金、銀などの金属で、例えば、SUS304である。
なお、図6に示すような頂点が切られた三角形の薄い導体板で作られた第1及び第2の接続用導体72a、73aを用いることにより、第1及び第2の長方形板状導体61、62の幅と第1及び第2の電極2、3の幅が異なる場合においても、両者の電気的接続を容易に行うことができる。
また、第1及び第2の電極2、3の幅が、第1及び第2の長方形板状導体61、62の幅より広い場合は、後述するように、大面積の基板を対象にしたプラズマ表面処理の応用が可能となる。
図7において、符番72b、73bは、第1及び第2の接続用導体72、73の第2の具体例で、頂点が切られた三角形の薄い導体板の長辺を第1及び第2の電極に固着し、その短辺を第1及び第2の長方形板状導体61、62に接続させている。そのサイズは、電極サイズに依存するが、例えば、長辺=10cm、短辺=5cm、高さ=5cm、厚み=0.3mmで、その材料は、鋼材、アルミ、銅、金、銀などの金属で、例えば、SUS304である。
なお、図7に示すような頂点が切られた三角形の薄い導体板で作られた第1及び第2の接続用導体72b、73bを用いることにより、第1及び第2の長方形板状導体61、62の幅と第1及び第2の電極2、3の幅が異なる場合においても、両者の電気的接続を容易に行うことができる。
また、第1及び第2の電極2、3の幅が、第1及び第2の長方形板状導体61、62の幅より広い場合は、後述するように、大面積の基板を対象にしたプラズマ表面処理の応用が可能となる。
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のアモルファスSiを製膜するに際して事前に実施する平衡伝送回路40の特性の選定試験(選定工程と呼ぶ)について説明する。
ここでは、具体的には、上記3つの電流導入端子40a、40b、40cの中から次に示しているアモルファスSiの製膜条件に適しているものを選定する。
アモルファスSiの製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
●放電ガス:SiH4、
●流量:500sccm、
●圧力:0.5Torr(66.5Pa)、
●電極サイズ:70cmx30cm、
●電極間隔:2.5cm、
●電極と電流導入端子の接続:第1及び第2の接続用導体72a、73a、
●電源周波数:60MHz、
●電力:800W、
●基板の温度:180℃。
図1〜図7において、先ず、例えば、図1の電流導入端子40として、上記第1の電流導入端子40a、即ち、管状導体60の長さ=10cm(厚み=1.5cm)、その内径=14cm(厚み=1.5cm)、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=2.5cm、即ち、W/h=2で、特性インピーダンスZ=約30Ωという特徴を有する電流導入端子40aを設置する。
次に、予め、基板11を第2の非接地電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力例えば800Wを供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
即ち、図1において、高周波電源25の出力を例えば60MHzで800Wとし、その出力を同軸ケーブル30、インピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、平衡不平衡変換装置33及び電流導入端子40としての電流導入端子40aを介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給する。
この場合、上記インピーダンス整合器31のLCの調整器と高周波電源31に付属の進行波及び反射波の電力値モニターを組み合わせて用いることにより、インピーダンス整合器31の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
しかしながら、上記電流導入端子40a(特性インピーダンスZ=約30Ω)と、上記アモルファスSiの製膜条件にある一対の電極2、3とのインピーダンス整合性が良くない場合には、ある程度の反射波が戻ってくる。上記第1の平衡伝送回路40aの場合の反射波が、例えば、高周波電源31の出力800Wに対して、30Wあったとする。
また、電流導入端子40aの入力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の大気側の端部における平衡不平衡変換装置33の出力の電圧の位相差が180度にあることを、図示しない電圧測定器でモニターする。
第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20、21に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点20、21の近傍での異常放電はほぼ完全に抑制される。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点20、21の近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
即ち、電流導入端子40の出力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の真空側端部から電力供給点20、21への電力供給において、一対の電極2、3が電流導入端子40と同様の平衡伝送路としての電気的特性を有していることから、漏洩電流の発生が抑制される。
その結果、異常放電や局部放電などは発生しない。さらに、上記のように、電力供給点20、21に印加される電圧の位相差が180度であるので、すなわち、一対の電極に正負の電圧を印加している状態であるので、電極2、3間以外でのプラズマの発生は皆無となる。
したがって、従来技術で問題であった一対の電極周辺のアース構造および配線状況に関係する漏洩電流に起因するプラズマの発生はなく、再現性の良い安定したプラズマの生成が可能である。
ただし、該インピーダンス整合器31を該平衡不平衡変換装置33の下流側、すなわち、それを平衡不平衡変換装置33と電流導入端子40の間に配置させる場合、該インピーダンス整合器31に内蔵のLC回路は負荷と電源および伝送路のインピーダンス整合のため調整されるので、上記電流導入端子40に印加される電圧の位相差は180度に確保できなくなる。したがって、該インピーダンス整合器31が配置される場所は該平衡不平衡変換装置18の上流側であることが重要である。
すなわち、前記高周波電源25から前記一対の電極の電力給電点20、21の電力供給回路の装置構成は、電力の流れの上流側から下流側に沿って、高周波電源、インピーダンス整合器、平衡不平衡変換装置、電流導入端子および電力供給点の順序に配置させることが、電圧の位相差180°を確保するために重要である。
次に、上記と同様に、図1〜図7において、図1の電流導入端子40として、上記第2の電流導入端子40b、即ち、管状導体60の長さ=10cm(厚み=1.5cm)、その内径=14cm(厚み=1.5cm)、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=1cm、即ち、W/h=5で、特性インピーダンスZ=約15Ωという特徴を有する電流導入端子40bを設置する。
次に、予め、基板11を第2の非接地電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力例えば800Wを供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
即ち、図1〜図7において、高周波電源25の出力を例えば60MHzで800Wとし、その出力を同軸ケーブル30、インピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、平衡不平衡変換装置33及び電流導入端子40としての電流導入端子40bを介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給する。
この場合、上記インピーダンス整合器31のLCの調整器と高周波電源31に付属の進行波及び反射波の電力値モニターを組み合わせて用いることにより、インピーダンス整合器31の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
しかしながら、上記電流導入端子40b(特性インピーダンスZ=約25Ω)と、上記アモルファスSiの製膜条件にある一対の電極2、3とのインピーダンス整合性が良くない場合には、ある程度の反射波が戻ってくる。上記第1の平衡伝送回路40bの場合の反射波が、例えば、高周波電源31の出力800Wに対して、20Wあったとする。
また、電流導入端子40bの入力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の大気側の端部における平衡不平衡変換装置33の出力の電圧の位相差が180度にあることを、図示しない電圧測定器でモニターする。
第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20、21に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点20、21の近傍での異常放電はほぼ完全に抑制される。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点20、21の近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
次に、上記と同様に、図1〜図7において、図1の電流導入端子40として、上記第3の電流導入端子40c、即ち、管状導体60の長さ=10cm(厚み=1.5cm)、その内径=14cm(厚み=1.5cm)、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=0.5cm、即ち、W/h=10で、特性インピーダンスZ=約10Ωという特徴を有する平衡伝送回路40cを設置する。
次に、予め、基板11を第2の非接地電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力例えば800Wを供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
即ち、図1〜図7において、高周波電源25の出力を例えば60MHzで800Wとし、その出力を同軸ケーブル30、インピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、平衡不平衡変換装置33及び電流導入端子40としての電流導入端子40cを介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給する。
この場合、上記インピーダンス整合器31のLCの調整器と高周波電源31に付属の進行波及び反射波の電力値モニターを組み合わせて用いることにより、インピーダンス整合器31の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
しかしながら、上記40c(特性インピーダンスZ=約15Ω)と、上記アモルファスSiの製膜条件にある一対の電極2、3とのインピーダンス整合性が良くない場合には、ある程度の反射波が戻ってくる。上記第1の電流導入端子40cの場合の反射波が、例えば、高周波電源31の出力800Wに対して、25Wあったとする。
また、電流導入端子40cの入力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の大気側の端部における平衡不平衡変換装置33の出力の電圧の位相差が180度にあることを、図示しない電圧測定器でモニターする。
第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20、21に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点20、21の近傍での異常放電はほぼ完全に抑制される。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点20、21の近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
上記電流導入端子40の選定試験の結果、上記の場合、反射波の大きさは電流導入端子40aで30W、電流導入端子40bで20W、電流導入端子40cで25Wである。
この場合は、反射波が一番に少ない条件を作れる電流導入端子40bを選定する。
次に、上記電流導入端子40の選定試験の結果を受けて、製膜工程に進む。電流導入端子40として、上記アモルファスSi製膜条件に対して反射波の抑制上ベストである電流導入端子40bを採用する。
そして、予め、基板11を第2の非接地電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力例えば800Wを供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
即ち、図1〜図3、図6において、高周波電源25の出力を例えば60MHzで800Wとし、その出力を同軸ケーブル30、インピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、平衡不平衡変換装置33及び電流導入端子40bを介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給する。
この場合、上記インピーダンス整合器31のLCの調整器と高周波電源31に付属の進行波及び反射波の電力値モニターを組み合わせて用いることにより、インピーダンス整合器31の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
しかしながら、上記電流導入端子40b(特性インピーダンスZ=約15Ω)と、上記アモルファスSiの製膜条件にある一対の電極2、3とのインピーダンス整合性が良くない場合には、ある程度の反射波が戻ってくる。ここでは、上記選定工程の結果と同様で、高周波電源31の出力800Wに対して、20W程度である。
また、電流導入端子40の入力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の大気側の端部における平衡不平衡変換装置33の出力の電圧の位相差が180度にあることを、図示しない電圧測定器でモニターする。
第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20、21に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点20、21の近傍での異常放電は完全に抑制される。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点20、21の近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
即ち、電流導入端子40の出力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の真空側端部から電力供給点20、21への電力供給において、一対の電極2、3が電流導入端子40と同様の平衡伝送路としての電気的特性を有していることから、漏洩電流の発生が抑制される。
その結果、異常放電や局部放電などは発生しない。さらに、上記のように、電力供給点20、21に印加される電圧の位相差が180°であるので、すなわち、一対の電極に正負の電圧を掛けている状態であるので、電極2、3間以外でのプラズマの発生は皆無となる。
したがって、従来技術で問題であった一対の電極周辺のアース構造および配線状況に関係する漏洩電流に起因するプラズマの発生はなく、再現性の良い安定したプラズマの生成が可能である。
ただし、該インピーダンス整合器31を該平衡不平衡変換装置33の下流側、すなわち、それを平衡不平衡変換装置33と電流導入端子40の間に配置させる場合、該インピーダンス整合器31に内蔵のLC回路は負荷と電源および伝送路のインピーダンス整合のため調整されるので、上記電流導入端子40に印加される電圧の位相差は180°に確保できなくなる。したがって、該インピーダンス整合器31が配置される場所は該平衡不平衡変換装置33の上流側であることが重要である。
上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板12表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ700mmx300mm(厚み3mm)程度のガラス基板11に製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Siを製膜することを実施する。
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
●放電ガス:SiH4、
●流量:500sccm、
●圧力:0.5Torr(66.5Pa)、
●電極サイズ:70cmx30cm、
●電極間隔:2.5cm、
●電極と電流導入端子の接続:第1及び第2の接続用導体70a、71a、
●電源周波数:60MHz、
●電力:800W、
●基板の温度:180℃。
上記製膜条件でプラズマを生成すると、高周波電源25の出力を非平衡伝送回路である同軸ケーブル30及びインピーダンス整合器31を介して平衡不平衡変換装置33に伝送し、その伝送された電力を平衡不平衡変換装置33で平衡電力に変換し、平衡伝送回路の特徴を有する電流導入端子40を介して一対の電極2、3の電力供給点20、21に供給できるので、電力供給系と負荷である一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制される。
したがって、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べて、再現性良く均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10%以内で製膜が可能となる。
なお、平衡伝送回路(あるいは平衡伝送線路)とは、2本の導体から成る電力伝送回路において、両線を往路と帰路として流れる電流の振幅が等しく、位相が180°異なるような伝送形態のことである。
また、本実施例で用いている上記LCブリッジ型平衡不平衡変換装置は、該装置に入力される不平衡伝送方式の電力伝送を平衡伝送方式に変換する働きをする手段であるので、それに代えて、シュペルトップ型平衡不平衡変換装置及び二分の一波長迂回型平衡不平衡変換装置等を用いることができる。また、電力分配器とフェーズシフターを組み合わせた装置を用いることができる。
また、本実施例では、一対の電極2、3にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記700mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、一対の電極を複数個設置し、その個数に応じて、上述した電力供給系を複数個配置すれば、基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。
このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
(実施例3)
本発明の第3の実施形態に係わる電流導入端子、該電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)およびプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)について、図8及び図9を参照して説明する。また、必要に応じて図1を参照する。
図8は本発明の第3の実施形態に係わる電流導入端子と電極の接続手段を示す概念図、図9(a)は本発明の第3の実施形態に係わる矩形の管を用いた電流導入端子の外観を示す説明図、図9(b)は本発明の第3の実施形態に係わる円形の管を用いた電流導入端子の外観を示す説明図である。
先ず、本発明に関する実施例3の電流導入端子の構成を説明する。ただし、図1〜図7に示した部材と同じ部材は同符番を付して説明を省略する。
図8及び図9において、符番400は、断面形状が矩形の管状導体を備えた電流導入端子である。この電流導入端子400は、図8、図9に示すように矩形の管状導体60aと、フランジ65aと、第1の長方形板状導体61aと、第2の長方形板状導体62aと、第1の誘電体63aと、第2の誘電体64aとで構成される。
第1及び第2の誘電体63a、64aとしては、酸化ケイ素SiO2(比誘電率=約4)、窒化ケイ素SiN4(比誘電率=約7)及びアルミナAl2O3(比誘電率=8.5〜11)などのセラミックスから選ぶ。ここでは、例えば、比誘電率10のアルミナとする。
なお、管状導体60aの一方の端部には、真空容器1との接合に用いられるフランジ65aが固着されている。また、第1及び第2の長方形板状導体61a、62aの一方の端部には、第1及び第2の電極2、3との接続に用いられる接続用導体72a、73aが固着されている。
図8及び図9において、電流導入端子400を構成する管状導体60aのフランジ65aを介して、該電流導入端子400を真空容器1に設置する。この際、電流導入端子400の一方の端部を大気側に、他方が真空側になるように設置する。なお、真空容器1と電流導入端子400のフランジ65a間はOリングにより気密が保たれる。また、管状導体60aは、真空容器1に管状導体支持導体67で支持される。
ここで、第1の長方形板状導体61aと第2の長方形板状導体62aの両端における間隔hは異なる値に設定される。即ち、第1の長方形板状導体61aと第2の長方形板状導体62aに在る第1の誘電体63aは楔の形状をしている。
ここでは、第1の具体例として、矩形の管状導体60aの長さは10cmとし、大気側の端部での第1の長方形板状導体61aと第2の長方形板状導体62aの断面配置は、矩形管状導体60aの内側寸法14cmx14cm(厚み=1.5cm)の中に、第1及び第2の長方形板状導体61a、62aの長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=2.5cm、即ち、W/h=2に設定する。なお、この設定値は、図4より特性インピーダンスZ=約30Ωという意味を有する。
真空側の端部での第1の長方形板状導体61aと第2の長方形板状導体62aの断面配置は、矩形管状導体60aの内側寸法10cmx10cm(厚み=1.5cm)の中に、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=1cm、即ち、W/h=5に設定する。なお、この設定値は、図4より特性インピーダンスZ=約15Ωという意味を有する。
即ち、この第1の具体例の場合、電流導入端子400の入力部での特性インピーダンスZが約30Ωで、その出力部での特性インピーダンスZが約15Ωという特徴を有する特性インピーダンスが傾斜型の分布、即ち、テーパ型分布である電流導入端子ということができる。
また、第2の具体例として、矩形の管状導体60aの長さは10cmとし、大気側の端部での第1の長方形板状導体61aと第2の長方形板状導体62aの断面配置は、矩形管状導体60aの内側寸法14cmx14cm(厚み=1.5cm)、第1及び第2の長方形板状導体61、62の長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=2.5cm、即ち、W/h=2に設定する。なお、この設定値は、図4より特性インピーダンスZ=約30Ωという意味を有する。
真空側の端部での第1の長方形板状導体61aと第2の長方形板状導体62aの断面配置は、矩形管状導体60aの内側寸法10cmx10cm(厚み=1.5cm)、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=0.5cm、即ち、W/h=10に設定する。なお、この設定値は、図4より特性インピーダンスZ=約10Ωという意味を有する。
即ち、この第2の具体例の場合、電流導入端子400の入力部での特性インピーダンスZが約30Ωで、その出力部での特性インピーダンスZが約10Ωという特徴を有する特性インピーダンスがテーパ型分布である電流導入端子ということができる。
図8及び図9において、符番401は、断面形状が円形の管状導体を備えた電流導入端子である。この電流導入端子401(ここでは、平衡伝送回路と平衡伝送線路は同じ意味として用いる)は、図8、図9に示すように円形の管状導体60bと、フランジ65bと、第1の長方形板状導体61bと、第2の長方形板状導体62bと、第1の誘電体63bと、第2の誘電体64bとで構成される。
第1及び第2の誘電体63b、64bとしては、酸化ケイ素SiO2(比誘電率=約4)、窒化ケイ素SiN4(比誘電率=約7)及びアルミナAl2O3(比誘電率=8.5〜11)などのセラミックスから選ぶ。ここでは、例えば、比誘電率10のアルミナとする。
なお、管状導体60bの一方の端部には、真空容器1との接合に用いられるフランジ65bが固着されている。また、第1及び第2の長方形板状導体61b、62bの一方の端部には、第1及び第2の電極2、3との接続に用いられる接続用導体72a、73aが固着されている。
図8及び図9において、電流導入端子401を構成する管状導体60bのフランジ65bを介して、該電流導入端子401を真空容器1に設置する。この際、電流導入端子401の一方の端部を大気側に、他方が真空側になるように設置する。なお、真空容器1と電流導入端子401のフランジ65b間はOリングにより気密が保たれる。また、管状導体60bは、真空容器1に管状導体支持導体67で支持される。
ここで、第1の長方形板状導体61bと第2の長方形板状導体62bの両端における間隔hは異なる値に設定される。即ち、第1の長方形板状導体61bと第2の長方形板状導体62bの間に在る第1の誘電体63bは楔の形状をしている。
ここでは、その第1の具体例として、円形の管状導体60bの長さは10cmとし、大気側の端部での第1の長方形板状導体61bと第2の長方形板状導体62bの断面配置は、円形管状導体60aの内側寸法を直径14cm(厚み=1.5cm)、第1及び第2の長方形板状導体61b、62bの長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=2.5cm、即ち、W/h=2に設定する。なお、この設定値は、図4より特性インピーダンスZ=約30Ωという意味を有する。
真空側の端部での第1の長方形板状導体61bと第2の長方形板状導体62bの断面配置は、円形管状導体60aの内側寸法を直径10cm(厚み=1.5cm)の中に、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=1cm、即ち、W/h=5に設定する。なお、この設定値は、図4より特性インピーダンスZ=約15Ωという意味を有する。
即ち、この第1の具体例の場合、電流導入端子401の入力部での特性インピーダンスZが約30Ωで、その出力部での特性インピーダンスZが約15Ωという特徴を有する特性インピーダンスが傾斜型の分布、即ち、テーパ型分布である電流導入端子ということができる。
また、第2の具体例として、円形の管状導体60aの長さは10cmとし、大気側の端部での第1の長方形板状導体61bと第2の長方形板状導体62bの断面配置は、円形管状導体60aの内側寸法が直径14cm(厚み=1.5cm)の中に、第1及び第2の長方形板状導体61b、62bの長さ=14cm、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=2.5cm、即ち、W/h=2に設定する。なお、この設定値は、図4より特性インピーダンスZ=約30Ωという意味を有する。
真空側の端部での第1の長方形板状導体61bと第2の長方形板状導体62bの断面配置は、矩形管状導体60aの内側寸法が直径10cm(厚み=1.5cm)の中に、幅W=5cm(厚み3mm)、その間隔h=0.5cm、即ち、W/h=10に設定する。なお、この設定値は、図4より特性インピーダンスZ=約10Ωという意味を有する。
即ち、この第2の具体例の場合、電流導入端子401の入力部での特性インピーダンスZが約30Ωで、その出力部での特性インピーダンスZが約10Ωという特徴を有する特性インピーダンスが傾斜型の分布、即ち、テーパ型分布である平衡伝送回路ということができる。
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のアモルファスSiを製膜するに際して事前に実施する電流導入端子40の特性の選定試験(選定工程と呼ぶ)について説明する。
ただし、説明が煩雑になるのを避けるために、以下の説明においては、上記断面形状が矩形の管状導体を備えた電流導入端子と上記断面形状が円形の管状導体を備えた電流導入端子の2つの中から、前者を例にとって説明する。
具体的には、上記断面形状が矩形の管状導体を備えた電流導入端子400についての上記第1の具体例と第2の具体例の中から次に示すアモルファスSiの製膜条件に適しているものを選定する。
なお、上記断面形状が矩形の管状導体を備えた電流導入端子400の第1の具体例の場合は、電流導入端子400の入力部での特性インピーダンスZが約30Ωで、その出力部での特性インピーダンスZが約15Ωという特徴を有する特性インピーダンスがテーパ型分布である電流導入端子である。
また、上記断面形状が矩形の管状導体を備えた電流導入端子400の第2の具体例の場合は、電流導入端子400の入力部での特性インピーダンスZが約30Ωで、その出力部での特性インピーダンスZが約10Ωという特徴を有する特性インピーダンスがテーパ型分布である電流導入端子である。
アモルファスSiの製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
●放電ガス:SiH4、
●流量:500sccm、
●圧力:0.5Torr(66.5Pa)、
●電極サイズ:70cmx30cm、
●電極間隔:2.5cm、
●電極と電流導入端子の接続:第1及び第2の接続用導体72a、73a、
●電源周波数:60MHz、
●電力:800W、
●基板の温度:180℃。
図1、図8及び図9において、先ず、上記第1の具体例の場合の電流導入端子400を設置する。即ち、電流導入端子400の入力部での特性インピーダンスZが約30Ωで、その出力部での特性インピーダンスZが約15Ωという特徴を有する特性インピーダンスがテーパ型分布である電流導入端子を設置する。
次に、予め、基板11を第2の非接地電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力例えば800Wを供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
即ち、図1において、高周波電源25の出力を例えば60MHzで800Wとし、その出力を同軸ケーブル30、インピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、平衡不平衡変換装置33及び電流導入端子40としての電流導入端子400を介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給する。
この場合、上記インピーダンス整合器31のLCの調整器と高周波電源31に付属の進行波及び反射波の電力値モニターを組み合わせて用いることにより、インピーダンス整合器31の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
しかしながら、上記第1の具体例の場合の電流導入端子400(特性インピーダンスZ=テーパ型)と、上記アモルファスSiの製膜条件にある一対の電極2、3とのインピーダンス整合性が良くない場合には、ある程度の反射波が戻ってくる。上記第1の電流導入端子400を用いた場合の反射波が、例えば、高周波電源31の出力800Wに対して、30Wあったとする。
また、上記第1の具体例の場合の電流導入端子400の入力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61a、62aの大気側の端部における平衡不平衡変換装置33の出力の電圧の位相差が180°にあることを、図示しない電圧測定器でモニターする。
第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20、21に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点20、21の近傍での異常放電はほぼ完全に抑制される。
即ち、上記第1の具体例の場合の電流導入端子400の出力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の真空側端部から電力供給点20、21への電力供給において、一対の電極2、3が電流導入端子40と同様の平衡伝送路としての電気的特性を有していることから、漏洩電流の発生が抑制される。
その結果、異常放電や局部放電などは発生しない。さらに、上記のように、電力供給点20、21に印加される電圧の位相差が180°であるので、すなわち、一対の電極に正負の電圧を掛けている状態であるので、電極2、3間以外でのプラズマの発生は皆無となる。
したがって、従来技術で問題であった一対の電極周辺のアース構造および配線状況に関係する漏洩電流に起因するプラズマの発生はなく、再現性の良い安定したプラズマの生成が可能である。
ただし、該インピーダンス整合器31を該平衡不平衡変換装置33の下流側、すなわち、それを平衡不平衡変換装置33と電流導入端子400の間に配置させる場合、該インピーダンス整合器31に内蔵のLC回路は負荷と電源および伝送路のインピーダンス整合のため調整されるので、上記電流導入端子400に印加される電圧の位相差は180度に確保できなくなる。したがって、該インピーダンス整合器31が配置される場所は該平衡不平衡変換装置33の上流側であることが重要である。
すなわち、前記高周波電源25から前記一対の電極の電力給電点20、21の電力供給回路の装置構成は、電力の流れの上流側から下流側に沿って、高周波電源、インピーダンス整合器、平衡不平衡変換装置、電流導入端子および電力供給点の順序に配置させることが、電圧の位相差180度を確保するために重要である。
次に、上記と同様に、図1、図8及び図9において、上記第2の具体例の場合の電流導入端子401を設置する。即ち、電流導入端子401の入力部での特性インピーダンスZが約30Ωで、その出力部での特性インピーダンスZが約10Ωという特徴を有する特性インピーダンスがテーパ型分布である電流導入端子を設置する。
次に、予め、基板11を第2の非接地電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力例えば800Wを供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
即ち、図1、図8及び図9において、高周波電源25の出力を例えば60MHzで800Wとし、その出力を同軸ケーブル30、インピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、平衡不平衡変換装置33及び電流導入端子401を介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給する。
この場合、上記インピーダンス整合器31のLCの調整器と高周波電源31に付属の進行波及び反射波の電力値モニターを組み合わせて用いることにより、インピーダンス整合器31の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
しかしながら、上記第2の具体例の場合の電流導入端子401(特性インピーダンスZ=テーパ型)と、上記アモルファスSiの製膜条件にある一対の電極2、3とのインピーダンス整合性が良くない場合には、ある程度の反射波が戻ってくる。上記第1の電流導入端子401を用いた場合の反射波が、例えば、高周波電源31の出力800Wに対して、20Wあったとする。
また、上記第2の具体例の場合の電流導入端子401の入力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の大気側の端部における平衡不平衡変換装置33の出力の電圧の位相差が180°にあることを、図示しない電圧測定器でモニターする。
第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20、21に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点20、21の近傍での異常放電はほぼ完全に抑制される。
上記電流導入端子40の選定試験の結果、第1の具体例400の場合、反射波の大きさは30W、第2の具体例401の場合で20Wである。
この場合は、反射波が少ない条件を作れる第2の具体例401の場合の電流導入端子400を選定する。
次に、上記電流導入端子400、401の選定試験の結果を受けて、製膜工程に進む。図1において、電流導入端子40として、上記アモルファスSi製膜条件に対して反射波の抑制上ベストである第2の具体例の場合の電流導入端子401を採用する。
そして、予め、基板11を第2の非接地電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力例えば800Wを供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
即ち、図1、図6及び図8において、高周波電源25の出力を例えば60MHzで800Wとし、その出力を同軸ケーブル30、インピーダンス整合器31、同軸ケーブル32、平衡不平衡変換装置33及び上記第2の具体例の電流導入端子401を介して、第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に供給する。
この場合、上記インピーダンス整合器31のLCの調整器と高周波電源31に付属の進行波及び反射波の電力値モニターを組み合わせて用いることにより、インピーダンス整合器31の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
しかしながら、上記第2の具体例の電流導入端子401(特性インピーダンスZ=テーパ型)と上記アモルファスSiの製膜条件にある一対の電極2、3との組み合わせがインピーダンス整合上良くない場合には、ある程度の反射波が戻ってくる。ここでは、上記選定工程の結果と同様で、高周波電源31の出力800Wに対して、20W程度である。
また、電流導入端子401の入力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61a、62aの大気側の端部における平衡不平衡変換装置33の出力の電圧の位相差が180°にあることを、図示しない電圧測定器でモニターする。
第1及び第2の電極2、3の給電点20、21に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20、21に電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点20、21の近傍での異常放電は完全に抑制される。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点20、21の近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
即ち、電流導入端子401の出力部、即ち、第1及び第2の長方形板状導体61、62の真空側端部から電力供給点20、21への電力供給において、一対の電極2、3が電流導入端子401と同様の平衡伝送路としての電気的特性を有していることから、漏洩電流の発生が抑制される。
その結果、異常放電や局部放電などは発生しない。さらに、上記のように、電力供給点20、21に印加される電圧の位相差が180°であるので、すなわち、一対の電極に正負の電圧を掛けている状態であるので、電極2、3間以外でのプラズマの発生は皆無となる。
したがって、従来技術で問題であった一対の電極周辺のアース構造および配線状況に関係する漏洩電流に起因するプラズマの発生はなく、再現性の良い安定したプラズマの生成が可能である。
ただし、該インピーダンス整合器31を該平衡不平衡変換装置33の下流側、すなわち、それを平衡不平衡変換装置33と電流導入端子401の間に配置させる場合、該インピーダンス整合器31に内蔵のLC回路は負荷と電源および伝送路のインピーダンス整合のため調整されるので、上記平衡伝送回路40に印加される電圧の位相差は180°に確保できなくなる。したがって、該インピーダンス整合器31が配置される場所は該平衡不平衡変換装置33の上流側であることが重要である。
上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板12表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ700mmx300mm(厚み3mm)程度のガラス基板11に製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Siを製膜することを実施する。
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
●放電ガス:SiH4、
●流量:500sccm、
●圧力:0.5Torr(66.5Pa)、
●電極サイズ:70cmx30cm、
●電極間隔:2.5cm、
●電極と電流導入端子の接続:第1及び第2の接続用導体72a、73a、
●電源周波数:60MHz、
●電力:800W、
●基板の温度:180℃。
上記製膜条件でプラズマを生成すると、高周波電源25の出力を非平衡伝送回路である同軸ケーブル30及びインピーダンス整合器31を介して平衡不平衡変換装置33に伝送し、その伝送された電力を平衡不平衡変換装置33で平衡電力に変換し、平衡伝送回路の電流導入端子401を介して一対の電極2、3の電力供給点20、21に供給できるので、電力供給系と負荷である一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制される。
したがって、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べて、再現性良く均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10%以内で製膜が可能となる。
なお、平衡伝送回路(あるいは平衡伝送線路)とは、2本の導体から成る電力伝送回路において、両線を往路と帰路として流れる電流の振幅が等しく、位相が180°異なるような伝送形態のことである。
また、本実施例で用いている上記LCブリッジ型平衡不平衡変換装置は、該装置に入力される不平衡伝送方式の電力伝送を平衡伝送方式に変換する働きをする手段であるので、それに代えて、シュペルトップ型平衡不平衡変換装置及び二分の一波長迂回型平衡不平衡変換装置等を用いることができる。また、電力分配器とフェーズシフターを組み合わせた装置を用いることができる。
また、本実施例では、一対の電極2、3にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記700mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、一対の電極を複数個設置し、その個数に応じて、上述した電力供給系を複数個配置すれば、基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。
このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
(実施例4)
本発明の第4の実施形態に係わる電流導入端子、該電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)およびプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)について、図10〜図13を参照して説明する。また、必要に応じて、図2〜図4及び図6を参照する。
図10は本発明の第4の実施形態に係わる電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)の全体を示す概略図、図11は図10図示の第1及び第2のパルス変調方式位相可変2出力発信器から出力されるパルス変調された出力の典型例を示す説明図、図12は、図10図示の第1及び第2のパルス変調方式位相可変2出力発信器から出力されるパルス変調された正弦波信号の典型例を示す説明図、図13は図10図示のプラズマ表面装置における一対の電極間に発生の2つの定在波の強さを示す説明図である。
先ず、本発明の第4の実施形態に係わる電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)の構成を説明する。ただし、図1〜図9に示した部材と同じ部材は同符番を付して説明を省略する。
図10において、第1及び第2の非接地電極2、3は、その対向する面の面積を略等しくして設置する。
図10において、符番25aは第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器で、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の任意の周波数、例えば60MHzの正弦波信号を発生し、かつ、該正弦波信号をパルス変調し、かつ、その2つの出力端子から出力される2つのパルス変調された正弦波信号の位相差を任意に設定することが可能である。
該2つのパルス変調された正弦波信号は、それぞれ、次のように表される。即ち、第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力端子26a、26bから出力される信号W11、W12は、角周波数をω、時間をt、初期位相をθ、θとおくと、
11(t)=sin(ωt+θ
12(t)=sin(ωt+θ
該位相可変2出力の発信器25aの2つの出力端子から出力される2つの正弦波信号の位相差及びパルス変調のパルス幅Hw及び周期T0は、該発信器25aに付属の位相差調整器及びパルス変調の調整器で、それぞれ任意の値に設定できる。
また、該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aは、同期信号伝送ケーブル24を介して、後述の第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bへパルス変調の同期信号を送信する。
該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力端子の一方の出力は、後述の第1の結合器28aに、他方の出力は後述の第2の結合器28bに伝送される。
符番28aは第1の結合器で、第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力端子の一方の出力信号と、後述の第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力端子の一方の出力信号を結合して、後述の第1の増幅器29aに伝送する。
符番29aは第1の増幅器で、第1の結合器28aから送信された信号の電力を増幅する。符番30aは同軸ケーブルで、第1の増幅器29aの出力を後述の第1のインピーダンス整合器31aに伝送する。
符番31aは第1のインピーダンス整合器で、第1の増幅器29aの出力が後述の一対の電極2、3間に生成されるプラズマに効率よく伝送されるように、第1の増幅器29aの出力インピーダンスと、その負荷である一対の電極2、3間に生成されるプラズマのインピーダンスの整合調整をする。
符番32aは第1の同軸ケーブルで、平衡不平衡変換装置33a、電流導入端子40、接続用導体72a、73aを介して、第1の増幅器29aの出力を第1及び第3の給電点20a、21aに供給する。
なお、第1及び第3の給電点20a、21aは、後述の第2及び第4の給電点20b、21bと、それぞれに電力伝播方向において対向する位置に設置される。即ち、一対の電極2、3の対向する2つの辺の一方の辺に、第1及び第3の給電点20a、21aが設置され、他方の辺に第2及び第4の給電点20b、21bが設置される。
符番40は電流導入端子で、ここでは、実施例2で用いた40bを用いる。なお、電流導入端子40と第1及び第2の電極に配置された電力供給点20a、21aの接続には、図6図示の第1及び第2の接続用導体72a、73aを用いる。
電流導入端子40は、図10図示の電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)において、インピーダンス整合器31a及び平衡不平衡変換装置33aを介して伝送される第1の増幅器29aの出力を第1及び第2の電極2、3に供給するに際し、該平衡不平衡変換装置33aと第1及び第2の電極2、3とを接続するために用いられる。その際、平衡不平衡変換装置33aの2つの出力電圧の位相差を180°に維持して該第1及び第2の電極2、3に供給することが、異常放電防止上、きわめて重要である。
したがって、図10において、図示しない電圧位相差測定器を用いて平衡不平衡変換装置33aの2つの出力同士の電圧の位相差が180°であることを確認することは、極めて重要である。
なお、電流導入端子40の伝送回路としての特徴は次の通りである。即ち、図10において、電流導入端子40の大気側のフランジ65と平衡不平衡変換装置33aのアースシールド箱66を接続し、該平衡不平衡変換装置33a内部の電気回路部品から放射される電力及び電流導入端子40の第1、第2の長方形板状導体61、62から放射される電力をシールドする。上記フランジ65とアースシールド箱66のフランジ68を接続することは、上記電力放射の防止上、極めて重要である。
ここで、上記第1の増幅器29aの機能について、補足説明をする。
第1の増幅器29aには、図示しない出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該反射波による該第1の電力増幅器29a本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
第1の増幅器29aの出力の調整は、先ず、例えば第1の増幅器29aの最大出力の20~30%程度の出力を、第1のインピーダンス整合器31a、第1の同軸ケーブル32a、平衡不平衡変換装置33a、第1の電流導入端子40、第1及び第2の接続用導体72a、73aを介して、第1及び第2の電極2、3に供給する。
次に、第1の増幅器29aに付属した進行波Pf及び反射波Prの検出器を見ながら、第1の整合器31aのリアクタンス(LとC)を調整する。第1のインピーダンス整合器31aのリアクタンス(LとC)を調整しながら、反射波Prが最小値になる条件を選定する。そして、第1の増幅器29aの出力を所要の数値に設定して、その出力で、再度、第1の整合器31aのリアクタンス(LとC)を調整しながら、反射波Prが最小値になる条件を選ぶ。
なお、このインピーダンす整合器の調整、即ち、反射波Prが最小値になる条件は、プラズマ生成条件を変更しない限り変化はないので、特に多くの時間を必要とはしない。
符番25bは第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器で、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の任意の周波数、例えば60MHzの正弦波信号を発生し、かつ、該正弦波信号をパルス変調し、かつ、その2つの出力端子から出力される2つのパルス変調された正弦波信号の位相差を任意に設定することが可能である。
該2つのパルス変調された正弦波信号は、それぞれ、次のように表される。即ち、第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力端子27a、27bから出力される信号W21、W22は、角周波数をω、時間をt、初期位相をα、αとおくと、
21(t)=sin(ωt+α
22(t)=sin(ωt+α
該位相可変2出力の発信器25bの2つの出力端子から出力される2つの正弦波信号の位相差及びパルス変調のパルス幅Hw及び周期T0は、該発信器25bに付属の位相差調整器及びパルス変調の調整器で、それぞれ任意の値に設定できる。
また、該第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bは、第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aから発信されるパルス変調の同期信号を、同期信号伝送ケーブル24を介して受信し、その信号に同期した信号を発生できる。
該第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力端子の一方の出力は、第1の結合器28aに、他方の出力は後述の第2の結合器28bに伝送される。
符番28bは第2の結合器で、第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力端子の一方の出力信号と、第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力端子の一方の出力信号を結合して、後述の第2の増幅器29bに伝送する。
符番29bは第2の増幅器で、第2の結合器28bから送信された信号の電力を増幅する。符番30bは同軸ケーブルで、第2の増幅器29bの出力を後述の第2の整合器31bに伝送する。
符番31bは第2のインピーダンス整合器で、第2の増幅器29bの出力が一対の電極2、3間に生成されるプラズマに効率よく伝送されるように、第2の増幅器29bの出力インピーダンスと、その負荷である一対の電極2、3間に生成されるプラズマのインピーダンスの整合調整をする。
符番32bは第2の同軸ケーブルで、平衡不平衡変換装置33b、電流導入端子40、接続用導体72a、73aを介して、第2の増幅器29bの出力を第2及び第3の給電点20b、21bに供給する。
符番40は電流導入端子で、ここでは、実施例2で用いた40bを用いる。なお、電流導入端子40と第1及び第2の電極に配置された電力供給点20b、21bの接続には、図6図示の第1及び第2の接続用導体72a、73aを用いる。
電流導入端子40は、図10図示の電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)において、インピーダンス整合器31b及び平衡不平衡変換装置33bを介して伝送される第2の増幅器29bの出力を第1及び第2の電極2、3に供給するに際し、該平衡不平衡変換装置33bと第1及び第2の電極2、3とを接続するために用いられる。その際、平衡不平衡変換装置33bの2つの出力電圧の位相差を180°に維持して該第1及び第2の電極2、3に供給することが、異常放電防止上、きわめて重要である。
したがって、図10において、図示しない電圧位相差測定器を用いて平衡不平衡変換装置33aの2つの出力同士の電圧の位相差が180°であることを確認することは、極めて重要である。
なお、電流導入端子40の伝送回路としての特徴は次の通りである。即ち、図10において、電流導入端子40の大気側のフランジ65と平衡不平衡変換装置33bのアースシールド箱66を接続し、該平衡不平衡変換装置33a内部の電気回路部品から放射される電力及び電流導入端子40の第1、第2の長方形板状導体61、62から放射される電力をシールドする。上記フランジ65とアースシールド箱66のフランジ68を接続することは、上記電力放射の防止上、極めて重要である。
ここで、上記第2の増幅器29bの機能について、補足説明をする。
第2の増幅器29bには、第1の増幅器29aと同様に、図示しない出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該反射波による第2の電力増幅器29b本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
また、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターは、第1の増幅器29aの場合と同様である。
また、第2の増幅器29bの出力の調整の方法は、第1の増幅器29aの場合と同様である。
なお、第2及び第4の給電点20b、21bは、上記第1及び第3の給電点20a、21aと、それぞれに電力伝播方向において対向する位置に設置される。即ち、一対の電極2、3の対向する2つの辺の一方の辺に、第1及び第3の給電点20a、21aが設置され、他方の辺に第2及び第4の給電点20b、21bが設置される。
ここで、説明の便宜上、上記第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力の一方、即ち出力端子26aの出力信号が、第1の結合器28a、第1の増幅器29a、同軸ケーブル30a、第1のインピーダンス整合器31a、第1の同軸ケーブル32a、平衡不平衡変換装置33a、電流導入端子40、接続用導体72a、73aを介して、第1の給電点20aと第3の給電点21aに伝送される電力を、第1の電力と呼ぶ。
また、同様に、第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力の一方、即ち出力端子26bの出力信号が、第2の結合器28b、第2の増幅器29b、同軸ケーブル30b、第2のインピーダンス整合器31b、第2の同軸ケーブル32b、平衡不平衡変換装置33b、電流導入端子40、接続用導体72a、73aを介して、第2の給電点20bと第4の給電点21bに伝送される電力を、第2の電力と呼ぶ。
また、第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力の一方、即ち出力端子27aの出力信号が、第1の結合器28a、第1の増幅器29a、同軸ケーブル30a、第1のインピーダンス整合器31a、第1の同軸ケーブル32a、平衡不平衡変換装置33a、電流導入端子40、接続用導体72a、73aを介して、を介して、第1の給電点20aと第3の給電点21aに伝送される電力を、第3の電力と呼ぶ。
また、第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力の一方、即ち出力端子27bの出力信号が、第2の結合器28b、第2の増幅器29b、同軸ケーブル30b、第2のインピーダンス整合器31b、第2の同軸ケーブル32b、平衡不平衡変換装置33b、電流導入端子40、接続用導体72a、73aを介して、第2の給電点20bと第4の給電点21bに伝送される電力を、第4の電力と呼ぶ。
また、ここで、上記第1、第2、第3及び第4の電力の時間的な関係を明らかにする為に、その概念を図11及び図12を参照して説明する。図11は横軸が時間tで、縦軸が電力を示す。図12は横軸が時間tで、縦軸が電圧を示す。
第1及び第3の給電点20a、21a間に供給されるパルス変調された第1の電力と、第2及び第4の給電点20b、21b間に供給されるパルス変調された第2の電力の典型例を、図11及び図12に、それぞれW11(t)、W12(t)で示している。この2つの電力は、パルス幅Hw、周期T0でパルス変調された正弦波である。
第1及び第3の給電点20a、21a間に供給されるパルス変調された第3の電力と、第2及び第4の給電点20b、21b間に供給されるパルス変調された第4の電力の典型例を、図11及び図12に、それぞれW21(t)、W22(t)で示している。この2つの電力波は、パルス幅Hw、周期T0で、かつ、前記W11(t)及びW12(t)のパルス変調のパルス立ち上がり時間より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がるパルス変調された正弦波である。
次に、上記構成の高周波プラズマ発生装置と該高周波プラズマ発生装置により構成のプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)を用いて、a−Si太陽電池用アモルファスSiを製膜する方法を説明する。
なお、本発明の実施あるいは応用では、手順として、第1及び第2の予備製膜工程と本製膜工程が必要である。第1の予備製膜工程は、前記第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力の位相差の設定値を把握するために、第2の予備製膜工程は、前記第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力の位相差の設定値を把握するために、本製膜工程は目的とするアモルファスSiの製造のために実施される。
先ず、第1の第1の予備製膜工程であるが、図10において、予め、基板11を第2の電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば250sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25a、第1の電力増幅器29a、第1のインピーダンス整合器31a、平衡不平衡変換装置33a、電流導入端子40、接続用導体70a、71aから成る第1の電力供給系を用いて、一対の電極2、3の第1及び第2の給電点20a、21aに高周波電力を、例えば周波数60MHz、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒の電力、例えば合計で200Wを供給する。
即ち、該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力の位相差を、例えば零に、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒に設定し、第1の電力増幅器29aの出力を100Wに設定して、その出力を第1のインピーダンス整合器31a、平衡不平衡変換装置33a、電流導入端子40、接続用導体70a、71aを介して、第1及び第3の給電点20a、21aに供給するとともに、第2の電力増幅器29bの出力を100Wに設定して、その出力を第2のインピーダンス整合器31b、平衡不平衡変換装置33b、電流導入端子40、接続用導体70a、71aを介して、第2及び第4の給電点20b、21bに供給する。
この場合、前記第1のインピーダンス整合器31a及び第2のインピーダンス整合器31bを調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器31a、31bの上流側に上記供給電力の反射波がほとんど戻らないようにすることができる。
第1及び第2の電極2、3の両端の給電点20a、21a及び給電点20b、21bに電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、給電点20a、21a及び給電点20b、21bのそれぞれに電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点の近傍での異常放電は完全に抑制される。また、生成されるプラズマは一対の電極2、3間のみである。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点20、21の近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
その結果、一対の電極2、3間に、異常放電のないSiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、前述のVHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力の位相差をパラメータに繰り返し実施する。そして、第1の電極2の長さ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力の位相差の関係をデータとして把握する。
例えば、基板11の中央点から第1の給電点21の方向へ波長λの八分の一、即ちλ/8だけ離れた位置に設定するための位相差は、例えばΔθ1であるいうことが把握される。
なお、ここで実施する正弦的な厚み分布の最大の位置と第1の位相可変2出力の発信器25aの出力電圧の位相差との関係の把握の方法は、上記膜の厚み分布の測定を応用する方法に限定されず、例えば、生成されるプラズマの発光強度の電磁波伝播方向における空間的分布を光センサーで測定し、その最大強度の位置と該位相差の関係として把握する方法を用いても良い。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.7程度である。
また、シランガスのプラズマの場合、波長λと波長λとの比、即ち、λ/λは、圧力が約40〜530Pa(0.3〜4Torr)で、プラズマ密度が約4〜6x10/cmであり、λ/λ=約0.6である。圧力が530〜1333Pa(4〜10Torr)の場合、プラズマ密度が約6〜10x10/cmであり、λ/λ=約0.5〜0.55である。
ところで、上記第1及び第3の給電点20a、21aからパルス状に供給される電力の電圧波、及び上記第2及び第4の給電点20b、21bからパルス状に供給される電力の電圧波は、同一電源から供給され、互いに電極間を伝播していく。すなわち、基板11の表面の法線方向と同じ方向の電界を有する2つの電磁波が、第1の電極2と第2の電極3の間に生成され、両者は互いに向かい合った方向から伝播しあって重なり合うので、干渉現象が発生する。即ち、定在波が発生する。
ここでは、上記第1の電力と第2の電力で生成される定在波を、第1の定在波と呼ぶ。
以下に、第1の定在波の制御方法について説明する。
図10において、第1の給電点20aから第2の給電点20bの方向の距離をxとし、xの正方向へ伝播する電圧波をW11(x、t)、xの負方向へ伝播する電圧波、即ち第2の給電点20bから第1の給電点20aの方向へ伝播する電圧波をW21(x、t)とすると、次のように表現される。
W11(x、t)=V1・sin(ωt+2πx/λ)
W12(x、t)=V1・sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}
ただし、V1は電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、L0は第1及び第2の給電点の間隔、Δθは第1の給電点20aから供給される電力の電圧波と第2の給電点20bから供給される電力の電圧波の位相差である。この2つの電圧波の合成波W1(x、t)は次式のようになる。
W1(x、t)=W11(x、t)+W12(x、t)
=2・V1cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}・sin{ωt+(πL0/λ+Δθ/2)
なお、ここでは、前記第1及び第2の電力の電力供給系を用いて、前記第1及び第3の給電点20a、21a間及び第2及び第4の給電点20b、21b間に供給される電力の電圧波を、それぞれ、W11(x、t)及びW12(x、t)と呼ぶ。また、その2つの電圧波の合成波を第1の定在波W1(x、t)と呼ぶ。
ところで、一対の電極間の電力の強さは、電圧の第1の定在波W1(x、t)の振幅値の二乗に比例する。即ち、電力の強さI1(x、t)は、
I1(x、t)∝cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}
と表される。
上式は、x方向に波長の二分の一の周期をもつ定在波が生成されることを意味している。ここでは、これを第1の定在波と呼ぶ。そして、図13に、その強さの分布を概念的に、実線で示している。
なお、図13は、VHFプラズマの生成において、給電点からの進行波と給電点の対向端からの反射波との干渉により発生する定在波により、一対の電極間でのプラズマは一様にはならないという困難性の理由を示している。例えば、プラズマの一様性は電力の強さI1(x,t)が0.9〜1.0の範囲であるすると、電力伝播方向の距離で、−0.05〜+0.05λの範囲(即ち、膜厚が均一な範囲は長さ0.1λ)に限られるということを示している。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
次に、第2の予備製膜工程であるが、図10において、予め、基板11を第2の電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば250sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
そして、前記第3及び第4の電力を、それぞれ、第1及び第3の電力供給点
20a、21a、及び第2及び第4の給電点20b、21bから、一対の電極2、3に高周波電力を、例えば周波数60MHz、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒の電力例えば合計で200Wを供給する。
即ち、該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力の位相差を、例えば零に、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒に設定し、第1の電力増幅器29aの出力を100Wに設定して、その出力を第1のインピーダンス整合器31a、平衡不平衡変換装置33a、電流導入端子40、接続用導体70a、71aを介して、第1及び第2の給電点20a、21aに供給するとともに、第2の電力増幅器29bの出力を100Wに設定して、その出力を第2のインピーダンス整合器31b、平衡不平衡変換装置33b、電流導入端子40、接続用導体70a、71aを介して、第2及び第4の給電点20b、21bに供給する。
この場合、前記第1のインピーダンス整合器31a及び第2のインピーダンス整合器31bを調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器31a、31bの上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
第1及び第2の電極2、3の両端から該電極2、3に電力が供給されると、一対の電極2、3間にSiH4ガスのプラズマが生成される。このプラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、第1及び第2の電極2、3の両端の給電点20a、21a及び給電点20b、21bに、それぞれにおいて電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点の近傍での異常放電は完全に抑制される。また、生成されるプラズマは一対の電極2、3間のみである。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点の近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
その結果、一対の電極2、3間に、異常放電のないSiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。該基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布には、前述のVHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力の位相差をパラメータに繰り返し実施する。そして、第1の電極2の長さ方向において、基板の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力の位相差の関係をデータとして把握する。
この場合も、前記第1の予備製膜工程と同様に、第3及び第4の電力供給系を用いた場合において、基板の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力の位相差の関係を示すデータにより、膜厚分布の最大厚みの位置を例えば、基板の中央点から第2の給電点27の方向へ波長λの八分の一、即ちλ/8だけ離れた位置に設定するための位相差は例えばΔθ2であるということが把握される。
なお、ここで実施する正弦的な厚み分布の最大の位置と第1の位相可変2出力の発信器25aの出力電圧の位相差との関係の把握の方法は、上記膜の厚み分布の測定を応用する方法に限定されず、例えば、生成されるプラズマの発光強度の電磁波伝播方向における空間的分布を光センサーで測定し、その最大強度の位置と該位相差の関係として把握する方法を用いても良い。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
また、シランガスのプラズマの場合、波長λと波長λとの比、即ち、λ/λは、圧力が約40〜530Pa(0.3〜4Torr)で、プラズマ密度が約4〜6x10/cmであり、λ/λ=約0.6である。圧力が530〜1333Pa(4〜10Torr)の場合、プラズマ密度が約6〜10x10/cmであり、λ/λ=約0.5〜0.55である。
第2の予備製膜工程において、上記第1及び第2の給電点20a、21a、第2及び第4の給電点20b、21bから供給される2つの電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに電極間を伝播していく。すなわち、基板11の表面の法線方向と同じ方向の電界を有する2つの電磁波が、第1の電極2と第2の電極3の間に生成され、両者は互いに向かい合った方向から伝播しあって重なり合うので、干渉現象が発生する。即ち、定在波が生成される。ここでは、これを第2の定在波と呼ぶ。
図10において、第1の給電点20aから第2の給電点20bの方向の距離をxとし、xの正方向へ伝播する電圧波をW21(x、t)、xの負方向へ伝播する電圧波、即ち第2の給電点20bから第1の給電点20aの方向へ伝播する電圧波をW22(x、t)とすると、次のように表現される。
W21(x、t)=V2・sin(ωt+2πx/λ)
W22(x、t)=V2・sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}
ただし、V2は電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、L0は第1及び第2の給電点の間隔、Δθは第1の給電点20aから供給される電力の電圧波と第2の給電点20bから供給される電力の電圧波の位相差である。電圧の合成波W2(x、t)は次式のようになる。
W2(x、t)=W21(x、t)+W22(x、t)
=2・V2cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}・sin{ωt+(πL0/λ+Δθ/2)
なお、ここでは、前記第3及び第4の電力の電力供給系を用いて、前記第1及び第3の給電点20a、21a間及び第2及び第4の給電点20b、21b間に供給される電力の電圧波を、それぞれ、W21(x、t)及びW22(x、t)と呼ぶ。また、その2つの電圧波の合成波を第2の定在波W2(x、t)と呼ぶ。
ところで、一対の電極間の電力の強さは、電圧の合成波W2(x、t)の振幅値の二乗に比例する。即ち、電力の強さI2(x、t)は、
I2(x、t)∝cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}
と表される。
上式は、x方向に波長の二分の一の周期をもつ定在波が生成されることを意味している。ここでは、これを第2の定在波と呼ぶ。
さて、前記第1および第2の予備製膜工程の結果を受けて、本製膜工程に入る。先ず、図10において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば300sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第1及び第2の電力の電力供給系の構成部材の第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25aの2つの出力の電圧の位相差を第1の予備製膜工程のデータとして把握したΔθ1に設定し、そのパルス変調を図13に示すW11(t)及びW12(t)におけるパルス幅Hw及び周期T0を例えばHw=400μ秒及びT0=1m秒に設定し、第1及び第2の電極の両端にある給電点間に、それぞれ例えば電力500Wを供給するともとに、前記第3及び第4の電力の電力供給系の構成部材の第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bの2つの出力の電圧の位相差を第2の予備製膜工程のデータとして把握したΔθ2に設定し、かつ、そのパルス変調を図13に示すW21(t)及びW22(t)におけるパルス幅Hw及び周期T0を例えばHw=400μ秒及びT0=1m秒で、かつ、前記W11(t)及びW12(t)のパルス変調のパルス立ち上がり時間より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がるように設定し、第1及び第2の電極の両端の給電点間に、それぞれ例えば電力500Wを供給する。
即ち、前記第1及び第2の電極の両端の給電点に、前記電圧波W11(x、t)、W12(x、t)、W21(x、t)及びW22(x、t)が供給される。
ここで、第1の予備製膜工程及び第2の予備製膜工程でそれぞれ設定した第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25a及び第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器25bのパルス幅Hwと周期T0の値を、例えば、Hw=400μ秒を1m秒などへ、T0=1m秒を5m秒などへ変更して、いくつかの製膜データを比較することができる。
一対の電極2、3の両端から4つの電圧波が供給されると、W11(x、t)とW12(x、t)は干渉して第1の定在波W1(x、t)を形成し、W21(x、t)とW22(x、t)は干渉して第2の定在波W2(x、t)を形成する。
ただし、W11(x、t)は、W21(x、t)及びW22(x、t)とは、時間的に分離されているので干渉しない。また、同様に、W12(x、t)は、W21(x、t)及びW22(x、t)と干渉しない。
したがって、上記パルス変調の周期T0より大幅に長い数秒以上の一般的な製膜時間で考えれば、一対の電極2、3間に生成される電力の強さの分布は、第1の定在波W1(x、t)の強さの分布I1(x、t)と第2の定在波W2(x、t)の強さの分布I2(x、t)が重畳した形となる。その様子を、概念的に、第1の定在波を実線で、第2の定在波を点線で図13に示している。
ここで、基板の中央点をx軸の原点とし、該原点から第1の給電点21を向いた方向を正の方向とすると、第1の定在波W1(x、t)の強さの分布I1(x、t)は、
I1(x、t)∝cos{2πx/λ+2π(λ/8)/λ}
=cos{2πx/λ+π/4}
第2の定在波W2(x、t)の強さの分布I2(x、t)は、
I2(x、t)∝cos{2πx/λ−2π(λ/8)/λ}
=cos{2πx/λ−π/4}
一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布I(x、t)は、
I(x、t)
=cos{2πx/λ+π/4}+cos{2πx/λ−π/4}
=1
即ち、次のように書き換えられる。
I(x)
=cos{2πx/λ}+sin{2πx/λ}
=1
一般的な表現としては次のようになる。
I(x)=cos(2πx/λ+Δθ/2)+sin(2πx/λ+Δθ/2)
ただし、xは供給電力の伝播方向での距離、λは使用電力のプラズマ内伝播時の波長、Δθは一対の電極の両端に配置の2つの給電点における電圧の初期位相差である。
上記事項は、一対の電極間の電力の強さの分布は使用する電力の波長λに依存しないで一様になるということを意味する。即ち、一対の電極間の電力の強さとそのプラズマの強さが比例関係にあるプラズマの表面処理への応用分野では、該一対の電極間に一様なプラズマの生成が可能であるということを意味する。
その結果、一対の電極2、3間に一様なSiH4プラズマが生成され、基板11に例えば、アモルファスSiが堆積する。なお、一般に、プラズマ表面処理の分野に用いられる一対の電極間に生成のプラズマの強さは、該一対の電極間の電力の強さに比例することは公知である。
この場合、上記一対の電極2、3間の電力分布が一様であることに加えて、上記プラズマ生成において、一対の電極2、3は、その面積がほぼ同じで、非接地であるという条件で、かつ、該電極の両端の給電点にそれぞれに電圧の位相差が180°異なる電力、即ち、往路と帰路の電流の振幅が等しく、位相が180°異なる電力が供給されることから、該給電点の近傍での異常放電は完全に抑制される。また、生成されるプラズマは一対の電極2、3間のみである。
なお、一対の電極2、3間以外にプラズマが生成される原因は、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
また、給電点20a、20b、21a、21bの近傍での異常放電の主たる原因も、電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流と、一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流である。
その結果、給電点近傍の異常放電が抑制され、かつ、一様な電力分布に従った均一な強さのプラズマが生成される。
上記の結果は、発振周波数がVHF帯域に属する高周波電源の出力の電力を用いて生成されたプラズマを利用して真空容器に配置された基板の表面を処理する表面処理装置に用いられる高周波プラズマ発生装置において、前記基板の表面の法線方向と同じ方向の電界を有する電磁波の定在波の腹の位置が異なる第1の定在波と第2の定在波を発生させ、かつ、該第1及び第2の定在波を重畳させる手段を備えることにより、プラズマの一様化に不可欠な電極間の電力の強さの分布の制御が可能であるとの意味がある。
さらに、上記第1及び第2の定在波のそれぞれの腹の位置の間の距離が、使用する電磁波のプラズマ中の波長λの0.25倍、即ち0.25λであれば、一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布I(x、t)は、電力の伝播方向の位置に依存しないで一定の値であり、均一であるということを示している。
また、上記実施例では、上記給電点20a、20b、21a、21bの近傍での異常放電の主たる原因である電極に供給される電力の伝送回路が不平衡伝送回路に起因する漏洩電流が、
上記電流導入端子40及び平衡不平衡変換装置33a、33bによりほぼ完全に抑制できる。そして、上記実施例では、該一対の電極が非接地で面積が略等しく、且つ、上記電流導入端子40及び平衡不平衡変換装置33a、33bによる平衡伝送路で電力供給していることから、該一対の電極のいずれかが接地されることにより発生する漏洩電流がほぼ完全に抑制される。
このことは、VHFプラズマあるいはUHFプラズマの応用分野においての重要課題である大面積・均一のプラズマ処理化を実現可能な装置の提供ができるという意味で画期的発見であるということを意味している。
また、上記第1及び第2の定在波のそれぞれの腹の位置の間の距離が、使用する電磁波のプラズマ中の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λであれば、一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布I(x、t)は、±20%以下であることを示している。
また、上記第1及び第2の定在波のそれぞれの腹の位置の間の距離が、使用する電磁波のプラズマ中の波長λの0.238〜0.263倍、即ち0.238〜0.263λであれば、一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布I(x、t)は、±10%以下であることを示している。
上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板11の表面に吸着されることによりa−Si膜が堆積するが、一対の電極2、4間の電力の分布が、上述の通り、時間平均的に一様であるので、その堆積膜は一様になる。
このことは、本発明の装置及び方法では、波長λの二分の一を越えるサイズの基板を対象にした場合においても、一様な膜厚分布の形成が可能であることを示している。即ち、従来のVHFプラズマ表面処理装置及び方法では不可能視されている波長λの二分の一を越えるサイズの基板を対象にした場合でも、本発明は一様な膜厚分布の形成が実現可能であるということを意味している。
したがって、上記のことはVHFプラズマの応用分野においては画期的な発見であり、その実用価値は著しく大きいものがある。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
また、エッチングへの応用では、放電ガスとして、NF3、SF6、CF4、CHF3及びC4F4等を用いることで、可能であることは公知の技術である。
本実施例では、一対の電極2、3のサイズが1800mmx300mであるので、基板サイズは上記1800mmx300mm程度に制約されるが、一対の電極を複数個設置し、その個数に応じて、上述した電力供給系を複数個配置すれば、基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法では不可能であった
該一対の電極2、3間の電力の強さの分布I(x、t)の均一化が可能である。即ち、膜厚分布として±10%以内を実現可能である。
このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる抜本的改善の手段として、VHF帯域の周波数を用いたプラズマ表面処理装置を提供できることを意味している。この効果の工業的価値は著しく大きい。
図1は本発明の第1の実施形態に係わる電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)の全体を示す概略図。 図2は本発明の第1の実施形態に係わる電流導入端子の全体を示す概略図。 図3は図1図示のプラズマ表面処理装置の電力供給系における平衡不平衡変換器と、電流導入端子と、電極との接続部に関する説明図。 図4は本発明の第1の実施形態に係わる電流導入端子の特性インピーダンスに係わる説明図。 図5は本発明の第2の実施形態に係わる電流導入端子と電極の接続手段を示す概念図。 図6は本発明の第2の実施形態に係わる電流導入端子と電極の接続手段の第1の具体例を示す説明図。 図7は本発明の第2の実施形態に係わる電流導入端子と電極の接続手段の第2の具体例を示す説明図。 図8は本発明の第3の実施形態に係わる電流導入端子と電極の接続手段を示す概念図。 図9(a)は本発明の第3の実施形態に係わる矩形の管を用いた電流導入端子の外観を示す説明図。 図9(b)は本発明の第3の実施形態に係わる円形の管を用いた電流導入端子の外観を示す説明図。 図10は本発明の第4の実施形態に係わる電流導入端子を備えたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)の全体を示す概略図。 図11は図10図示の第1及び第2のパルス変調方式位相可変2出力発信器から出力されるパルス変調された出力の典型例を示す説明図。 図12は図10図示の第1及び第2のパルス変調方式位相可変2出力発信器から出力されるパルス変調された正弦波信号の典型例を示す説明図。 図13は図10図示のプラズマ表面装置における一対の電極間に発生の2つの定在波の強さを示す説明図。
符号の説明
1・・・真空容器、
2、3・・・第1及び第2の非接地電極、
4・・・基板ヒータ、
5a、5b、5c、5d・・・絶縁物支持材、
6・・・放電ガス混合箱、
7・・・整流板、
8・・・ガス供給管、
9・・・ガス噴出孔、
10a、10b・・・排気管、
11・・・基板、
20、21・・・第1及び第2の給電点、
25・・・高周波電源、
30・・・同軸ケーブル、
31・・・インピーダンス整合器、
32・・・同軸ケーブル、
33・・・平衡不平衡変換装置、
40・・・電流導入端子、
60・・・管状導体、
61、62・・・第1及び第2の長方形板状導体、
63、64・・・第1及び第2の誘電体、
65・・・フランジ、
66・・・平衡不平衡変換装置33のアースシールド箱、
68・・・アースシールド箱66のフランジ。

Claims (17)

  1. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる電流導入端子において、前記真空容器の壁を貫通して該真空容器の壁に設置された管状導体を有し、互いに誘電体で絶縁された2枚の長方形板状導体、即ち、第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体を有し、該第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体が該管状導体の内部に誘電体を介して設置され、且つ、該第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体の長さ方向における一方の端部を真空容器の内部に、即ち真空側に配置し、他方の端部を真空容器の外に、即ち大気側に配置するとともに、該管状導体の一方の端部と前記平衡不平衡変換装置を包み囲う導電体のアースシールド箱を密着させ、該第1及び第2の長方形板状導体の大気側の端部を入力部とし、該第1及び第2の長方形板状導体の真空側の端部を出力部とするという構成を有することを特徴とする電流導入端子。
  2. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる電流導入端子において、前記真空容器の壁を貫通して該真空容器の壁に設置された管状導体を有し、互いに誘電体で絶縁された2枚の長方形板状導体、即ち、第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体を有し、該第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体が該管状導体の内部に誘電体を介して設置され、且つ、該第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体の長さ方向における一方の端部を真空容器の内部に、即ち真空側に配置し、他方の端部を真空容器の外に、即ち大気側に配置するとともに、該管状導体の一方の端部と前記平衡不平衡変換装置を包み囲う導電体のアースシールド箱を密着させ、該第1及び第2の長方形板状導体の大気側の端部を入力部とし、該第1及び第2の長方形板状導体の真空側の端部を出力部とするという構成を有することを特徴とする電流導入端子。
  3. 請求項1あるいは2に記載の電流導入端子において、前記第1及び第2の長方形板状導体間の誘電体の比誘電率が3以上であることを特徴とする電流導入端子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電流導入端子において、該電流導入端子を構成する前記第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体が非接地であるという構造を有することを特徴とする電流導入端子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電流導入端子において、前記第1の長方形板状導体と第2の長方形板状導体の間に介在する誘電体は楔形の形状を有するということを特徴とする電流導入端子。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電流導入端子において、前記電流導入端子の特性インピーダンスがその入力部から出力部の方向に沿って連続的に減少する傾斜型の分布を有する構造であることを特徴とする電流導入端子。
  7. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる平衡伝送方法において、前記一対の電極の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記平衡不平衡変換装置の出力回路と該一対の電極に設置の電力供給点とが請求項1〜6のいずれか1項に記載の電流導入端子で接続され、該平衡不平衡変換装置の出力が該電力供給点へ伝送されることを特徴とする平衡伝送法。
  8. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記一対の電極の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記電力供給系の構成部材の平衡不平衡変換装置の出力回路と該一対の電極の電力供給点とが、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電流導入端子で接続されるという構成を有することを特徴とするプラズマ表面処理装置。
  9. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記一対の電極の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記電力供給系の構成部材の平衡不平衡変換装置の出力回路と該一対の電極の電力供給点とが、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電流導入端子で接続されるという構成を有することを特徴とするプラズマ表面処理装置。
  10. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極の電力供給点と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と請求項1〜6のいずれか1項に記載の電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記電力供給系から前記一対の電極へ電力を供給する電力供給回路の装置構成は、電力の流れの上流側から下流側に沿って、前記高周波電源、インピーダンス整合器、平衡不平衡変換装置、電流導入端子及び電力供給点の順序に配置させることを特徴とするプラズマ表面処理装置。
  11. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と請求項1〜6のいずれか1項に記載の電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記電力供給系から前記一対の電極へ電力を供給する電力供給回路の装置構成は、電力の流れの上流側から下流側に沿って、前記高周波電源、インピーダンス整合器、平衡不平衡変換装置、電流導入端子及び電力供給点の順序に配置させることを特徴とするプラズマ表面処理装置。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載のプラズマ表面処理装置において、前記電流導入端子と前記電力供給点とを平板状の導体で接続するという構成を有することを特徴とするプラズマ表面処理装置。
  13. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極の電力供給点と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成を有する電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記電力供給系を構成する装置を、電力の流れの上流側から下流側に沿って、前記高周波電源、インピーダンス整合器、平衡不平衡変換装置、電流導入端子および電力供給点の順序に配置させることによりプラズマ表面処理を行うことを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  14. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と請求項1〜6のいずれか1項に記載の電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記一対の電極の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記平衡不平衡変換装置の出力が前記電流導入端子を介して前記電極に設置の電力供給点へ伝送されて、プラズマ表面処理が行なわれることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  15. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極の電力供給点と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成を有する電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記電力供給系を構成する装置を、電力の流れの上流側から下流側に沿って、前記高周波電源、インピーダンス整合器、平衡不平衡変換装置、電流導入端子及び電力供給点の順序に配置させることによりプラズマ表面処理を行うことを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  16. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、プラズマを生成する第1及び第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極に互いに独立の関係にある第1及び第2の定在波を重畳して発生させ、該第1の定在波の腹の位置と該第2の定在波の腹の位置の距離を該一対の電極間に生成のプラズマ内部を伝播する電磁波の波長λの0.22〜0.28倍、即ち0.22〜0.28λに設定する高周波電源とインピーダンス整合器と平衡不平衡変換装置と請求項1〜6のいずれか1項に記載の電流導入端子から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記一対の電極の互いに対向する面の面積が略等しく、且つ、該一対の電極が非接地状態に設置され、前記平衡不平衡変換装置の出力が前記電流導入端子を介して前記電極に設置の電力供給点へ伝送されて、プラズマ表面処理が行なわれることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  17. 請求項13〜16のいずれか1項に記載のプラズマ表面処理方法において、前記平衡不平衡変換装置の2つの出力の電圧の位相差が180°に設定されることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
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