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JP2008288532A - 窒化物系半導体装置 - Google Patents

窒化物系半導体装置 Download PDF

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JP2008288532A JP2007134680A JP2007134680A JP2008288532A JP 2008288532 A JP2008288532 A JP 2008288532A JP 2007134680 A JP2007134680 A JP 2007134680A JP 2007134680 A JP2007134680 A JP 2007134680A JP 2008288532 A JP2008288532 A JP 2008288532A
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慎一 玉井
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Abstract

【課題】バリア層と井戸層との格子不整合に起因するピエゾ電界の増大を抑制可能な窒化物系半導体装置を提供する。
【解決手段】量子井戸構造を有する活性層3を備え、活性層3が、AlaInbGa1-a-bN(0<a≦1、0<b≦1)からなる第1及び第2のバリア層311、312と、第1及び第2のバリア層311、312間に配置された、AlxInyGa1-x-yN(0<x<1、0≦y<1)からなる井戸層32とを備え、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)の組成比が、井戸層32より第1及び第2のバリア層311、312の方が高い。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物系半導体装置に係り、特にアルミニウムを含む活性層を有する窒化物系半導体装置に関する。
例えば半導体レーザや発光ダイオード(LED)等に、III族窒化物半導体からなる発光素子が使用されている。III族窒化物半導体の例としては、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等がある。代表的なIII族窒化物半導体は、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表される。
III族窒化物半導体を用いた発光素子は、例えば、基板上にn型のIII族窒化物半導体層、活性層(発光層)及びp型のIII族窒化物半導体層を順に積層した構造を有し、活性層で発生した光を外部に出力する。活性層として、井戸層(ウェル層)を、井戸層よりもバンドギャップの大きなバリア層(障壁層)でサンドイッチ状に挟んだ量子井戸(quantum well)構造が採用可能である(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−55719号公報
従来の量子井戸構造の活性層を有する窒化物系半導体装置では、バリア層と井戸層との格子不整合に起因するピエゾ電界が、バリア層と井戸層の界面において積層方向に向かって発生する。特に、長波長の光を発生する発光素子では、一般にインジウム(In)の組成が大きいため、バリア層と井戸層との格子不整合が大きくなる。そのため、バリア層と井戸層の界面におけるピエゾ電界が増大して、電子と正孔(ホール)とが井戸層の両端に空間的に分離し、例えば半導体レーザの場合には、しきい値の上昇や発生効率(量子効率)の低下を引き起こすという問題があった。
上記問題点を鑑み、本発明は、バリア層と井戸層との格子不整合に起因するピエゾ電界の増大を抑制可能な窒化物系半導体装置を提供する。
本発明の一態様によれば、量子井戸構造を有する活性層を備えた窒化物系半導体装置であって、活性層が、AlaInbGa1-a-bN(0<a≦1、0≦b≦1)からなる複数のバリア層と、複数のバリア層間に配置された、AlxInyGa1-x-yN(0<x<a、0≦y<1かつy<b)からなる井戸層とを備える窒化物系半導体装置が提供される。
本発明によれば、バリア層と井戸層との格子不整合に起因するピエゾ電界の増大を抑制可能な窒化物系半導体装置を提供できる。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る窒化物半導体装置は、図1に示すように、量子井戸構造を有する活性層3を備え、活性層3は、AlaInbGa1-a-bN(0<a≦1、0<b≦1)からなる第1及び第2のバリア層311、312と、第1及び第2のバリア層311、312間に配置された、AlxInyGa1-x-yN(0<x<a、0≦y<1かつy<b)からなる井戸層32とを有する。即ち、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)の組成比は、井戸層32より第1及び第2のバリア層311、312の方が高い。活性層3は、井戸層32を、井戸層32よりもバンドギャップの大きな第1のバリア層311と第2のバリア層312でサンドイッチ状に挟んだ量子井戸構造である。
また、図1に示す窒化物半導体装置は、基板1、第1導電型の第1半導体層2と第2導電型の第2半導体層4とを備える。基板1には、例えばサファイア基板、シリコンカーバイド(SiC)基板、或いはGaN単結晶基板等が採用可能である。第1半導体層2は、基板1上に配置され、第1半導体層2、活性層3、第2半導体層4は、この順で基板1上に積層される。図1に示すように、活性層3の第1のバリア層311が、第1半導体層2上に配置され、活性層3の第2のバリア層312上に第2導電型の第2半導体層が配置される。第1半導体層2は、第1導電型のキャリアを活性層3に供給し、第2半導体層4は、第2導電型のキャリアを活性層3に供給する。
以下では、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型である場合を例示的に説明する。即ち、活性層3に、第1半導体層2から電子が供給され、第2半導体層4から正孔が供給される。供給された電子及び正孔が活性層3で再結合することにより、光が発生する。ただし、第1導電型をp型、第2導電型をn型としてもよいことは勿論である。
活性層3で発生する光の波長は、活性層3におけるInの組成比を調整することによって、例えば400nm〜550nmに設定できる。図2に、活性層3の構造例を示す。図2に示した活性層3は、波長470nmで発光する青色発光素子の活性層として採用される構造であり、第1のバリア層311及び第2のバリア層312がAl0.37In0.25Ga0.38Nからなり、井戸層32がAl0.09In0.19Ga0.72Nからなる。ここで、第1のバリア層311及び第2のバリア層312の膜厚は、例えばそれぞれ7〜16nm程度であり、井戸層32の膜厚は、例えば3nm程度である。
また、図1に示した第1半導体層2は、基板10上に配置された第1コンタクト層21と、第1コンタクト層21上に積層された超格子層22を有する。例えば、第1コンタクト層21は、膜厚1〜5μm程度の第1導電型(n型)のGaN層からなり、超格子層22は、第1導電型のAlInGaN/AlGaN層からなる。超格子層22は、格子定数差の大きいAlInGaN層とAlGaN層の応力を緩和し、活性層3を成長させやすくするものであり、例えば、Siドーピング濃度が1〜5×1018cm-3で膜厚1nm程度のAl0.01In0.05GaN層と、同様のSiドーピング濃度で膜厚2nm程度のGaN層とを交互に10周期程度積層した構成が用いられる。
第2半導体層4は、活性層3上に配置された電子ブロック層41と、電子ブロック層41上に積層された第2コンタクト層42を有する。電子ブロック層41は、活性層3からの電子の流出を防いで、活性層3における電子と正孔の再結合効率を高める。例えば、電子ブロック層41は、膜厚20nm程度の第2導電型(p型)のAlGaN層であり、第2コンタクト層42は、膜厚0.2〜1μm程度の第2導電型GaN層である。
更に、図1に示す窒化物半導体装置は、第1半導体層2に電圧を印加する第1電極101と、第2半導体層4に電圧を印加する第2電極102を備える。図1に示すように、第2半導体層4、活性層3、及び第1半導体層2の一部領域をメサエッチングして露出させた第1コンタクト層21の表面に、第1電極101が配置される。第2電極102は、第2コンタクト層42上に配置される。第1電極101は、例えばアルミニウム(Al)膜からなり、第2電極102は、例えばAl膜、或いはパラジウム(Pd)−金(Au)合金膜からなる。そして、第1電極101は第1半導体層2に、第2電極102は第2半導体層4に、それぞれオーミック接続される。
図1は、活性層3が井戸層32を1つだけ有する量子井戸構造である場合を例示的に表しているが、活性層3は、それぞれがバリア層で挟まれた複数の井戸層を有する多重量子井戸(MQW)構造であってもよい。図3に、活性層3が3つの井戸層、即ち第1の井戸層321、第2の井戸層322及び第3の井戸層323を有する例を示す。図3に示す活性層3において、第1の井戸層321は第1のバリア層311と第2のバリア層312の間に配置され、第2の井戸層322は第2のバリア層312と第3のバリア層313の間に配置され、第3の井戸層323は第3のバリア層313と第4のバリア層314の間に配置される。第1のバリア層311は第1半導体層2上に配置され、第4のバリア層314上に第2半導体層4が配置される。
次に、第1のバリア層311及び第2のバリア層312と、井戸層32の格子定数について説明する。以下において、活性層3に含まれるすべてのバリア層を総称して「バリア層31」という。また、活性層3が複数の井戸層を含む多重量子井戸構造の場合に、それらの井戸層を総称する場合も単に「井戸層32」という。
AlxInyGa1-x-yNからなる窒化物系半導体では、Inの組成比yが高くなると格子定数が増大し、Alの組成比xが高くなると格子定数が減少する。したがって、AlxInyGa1-x-yNからなる窒化物系半導体のInとAlの組成比を調整することによって、Inの組成比yが互いに異なる2つの窒化物系半導体の格子定数を一致させることができる。即ち、活性層3のバリア層31と井戸層32の格子定数が一致するInとAlの組成比の組み合わせを設定可能である。
図4に、窒化物系半導体の格子定数dとバンドギャップEgの関係を示す。図4にハッチングで示した領域が、AlxInyGa1-x-yNからなる窒化物系半導体がとりうる格子定数dとバンドギャップEgの範囲である。図4において、点Aは、窒化物系半導体がAlN、即ちx=1且つy=0の場合を示し、格子定数は0.311である。点Bは、窒化物系半導体がGaN、即ちx=0且つy=0の場合を示し、格子定数は0.319である。点Cは、窒化物系半導体がInN、即ちx=0且つy=1の場合を示し、格子定数は0.355である。
図4において、格子定数dが一致し、且つ、バリア層31のバンドギャップEg(Barrier)が井戸層32のバンドギャップEg(WeLL)より大きくなるように、バリア層31のInとAlの組成比、及び井戸層32のInとAlの組成比をそれぞれ調整する。例えば、図4に示したように、格子定数がd1=0.325の場合に、Eg1≦Eg(WeLL)<Eg(Barrier)≦Eg2となるように、バリア層31のInとAlの組成比、及び井戸層32のInとAlの組成比を調整することによって、活性層3の量子井戸構造を維持しつつ、バリア層31と井戸層32の格子定数を一致させられる。
図5に、AlxInyGa1-x-yNからなる窒化物系半導体のバンドギャップEgとInの組成比yの関係を示す。なお、AlxInyGa1-x-yNからなる窒化物系半導体のバンドギャップEgは、以下の式(1)を用いて算出される:

Eg =x×Eg(AlN) +y×Eg(InN)+(1−x−y)×Eg(GaN)
−C×x×(1−x−y)−C’×y×(1−x−y) ・・・(1)

式(1)で、AlNのバンドギャップEg(AlN)=6.2eV、InNのバンドギャップEg(InN)=0.77eV、GaNのバンドギャップEg(GaN)=3.4eV、ボーイングパラメータC、C’=2.6eVである。
図5に示すように、バンドギャップEgが極小値となるInの組成比y0=0.17が存在する。したがって、井戸層32のInの組成比を0.17に設定することによって、バリア層31のInの設定可能な組成比の自由度を高くできる。ただし、バリア層31がAlaInbGa1-a-bNからなる窒化物系半導体であり、井戸層32がAlxInyGa1-x-yNからなる井戸層である場合、y<b、即ち井戸層32よりバリア層31のInの組成比の方が大きい必要がある。そのため、井戸層32のInの組成比を0.17に設定した場合、バリア層31のInの組成比を0.17より大きく設定する。
図5から、井戸層32のInの組成比を0.15〜0.2とすることにより、バリア層31のInの組成比を0.2より大きく、かつバリア層31と井戸層32の格子定数が一致する値に設定して、バリア層31と井戸層32との格子不整合に起因するピエゾ電界の増大を抑制されると同時に、活性層3を量子井戸構造にできる。より好ましくは、井戸層32のInの組成比を0.16〜0.18とすることにより、バリア層31のInの設定可能な組成比の自由度が高くなり、バリア層31のInの組成比を0.18より大きくする。
なお、活性層3が発生する光の所望の波長に応じて、バリア層31及び井戸層32のInとAlの組成比が設定されるのは勿論である。図2に示した例では、バリア層31のAlの組成比a=0.37、Inの組成比b=0.25で、Eg(Barrier)=3.18である。そして、井戸層32のAlの組成比x=0.09、Inの組成比y=0.19であり、Eg(Well)=2.63である。なお、InNの格子定数0.355、GaNの格子定数0.319、AlNの格子定数0.311から得られる係数4.66、−0.79を用いて、a=4.66b−0.79、及びx=4.66y−0.79の関係式を用いている。既に述べたように、図2に示した組成比の活性層3は、波長470nmの青色の光を発生する。
以下に、図1に示した窒化物系半導体装置の製造方法の例を説明する。なお、以下に述べる窒化物系半導体装置の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。ここで、基板1にサファイア基板を適用するとする。サファイア基板のr面上にGaNを結晶成長させると、その成長面はa面となり、ノンポーラ面を成長面とする窒化物系半導体装置が形成される。なお、サファイア基板のセミポーラ面上にGaNを結晶成長させると、この面が引き継がれてGaNの成長面もセミポーラ面となる。
製造方法としては、良く知られた有機金属気相成長(MOCVD)法等でサファイア基板上にGaNを成長させる。例えば、基板1をサーマルクリーニングした後、基板温度を1000°C程度に上げて、基板1のr面上に、シリコン(Si)ドープの第1導電型(n型)の第1コンタクト層21を1〜5μm程度成長させる。第1コンタクト層21は、第1電極101とのオーミックコンタクトを取るための低抵抗層であり、第1コンタクト層21に、例えばn型ドーパントとしてのシリコン(Si)イオンを、3×1018cm-3程度の高濃度でドープする。
次に基板温度を700℃〜800℃に下げて、Siドープの超格子層22、及び活性層3を順次形成する。超格子層22は、既に説明したように、Siドーピング濃度が1〜5×1018cm-3で膜厚1nm程度のAl0.01In0.05GaN層と、同様のSiドーピング濃度で膜厚2nm程度のGaN層とを交互に10周期程度積層した構成が用いられる。活性層3の形成方法の詳細は後述する。
その後、基板温度を950℃〜1000℃程度まで上げて、マグネシウム(Mg)ドープの電子ブロック層41を形成し、次にMgドープのp型GaNコンタクト層5を0.2〜1μm程度積層する。電子ブロック層41は、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層に、5×1018cm-3程度のドーピング濃度でp型ドーパントとしてMgをドープすることにより、p型半導体として形成される。第2コンタクト層42は、第2電極102とのオーミックコンタクトを取るための低抵抗層であり、GaN層にp型ドーパントとしてのマグネシウム(Mg)を、例えば3×1019cm-3の高濃度でドープする。
次いで、第2コンタクト層42〜第1コンタクト層21の途中までを反応性イオンエッチング等によりメサエッチングして除去し、第1コンタクト層21表面を露出させる。その後、露出した第1コンタクト層21表面に第1電極101を蒸着により形成し、第2コンタクト層42上に第2電極102を蒸着により形成する。
次に、活性層3の形成方法を説明する。活性層3は、AlaInbGa1-a-bN(0<a≦1、0≦b≦1)からなるバリア層31、AlxInyGa1-x-yN(0<x<a、0≦y<1かつy<b)からなる井戸層32を、交互に積層して形成する。
具体的には、活性層3を形成する際の基板温度及び原料ガスの流量を調整しながら、バリア層31と井戸層32を交互に連続して成長させ、バリア層31と井戸層32が積層してなる活性層3が形成される。即ち、基板温度及び原料ガスの流量を調節することにより、バリア層31及び井戸層32のInとAlの組成比を所定の値に調整しながら成長させて、井戸層32よりバリア層31のバンドギャップが大きく、かつ格子定数が一致するようにバリア層31及び井戸層32を形成する。図6に、図3に示した3つの井戸層32を有する活性層3を形成する製造方法の例を示す。
図6に示す基板温度Taで第1〜第4のバリア層311〜314が形成され、基板温度Tbで第1〜第3の井戸層321〜323が形成される。即ち、基板温度がTaに設定された時刻t0〜t1において第1のバリア層311が形成される。次いで、時刻t1で基板温度がTbに設定され、時刻t1〜時刻t2において第1の井戸層321が形成される。その後も同様に、時刻t2〜t3において基板温度Taで第2のバリア層312が形成され、時刻t3〜時刻t4において基板温度Tbで第2の井戸層322が形成される。そして、時刻t4〜t5において基板温度Taで第3のバリア層313が形成され、時刻t5〜時刻t6において基板温度Tbで第3の井戸層323が形成される。最後に、時刻t6〜t7において基板温度Taで第4のバリア層314が形成され、活性層3が完成する。
第1〜第4のバリア層311〜314を形成する場合は、原料ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)ガスを300sccm(standard cc/min)、トリメチルインジウム(TMI)ガスを5sccm、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを7sccm、アンモニア(NH3)ガスを20slm(standard L/min)の流量でそれぞれ成膜用の処理装置に供給する。一方、第1〜第3の井戸層321〜323を形成する場合は、原料ガスとして、TMGガスを300sccm、TMIガスを280sccm、TMAガスを2sccm、NH3ガスを20slm(standard L/min)の流量でそれぞれ処理装置に供給する。なお、TMGガスはGa原子の原料ガス、TMIガスはIn原子の原料ガス、TMAガスはAl原子の原料ガス、NH3ガスは窒素原子の原料ガスとして供給される。
なお、成長条件の一例を示せば、基板温度Taを1050℃とし、基板温度Tbを800℃とした場合に、第1〜第4のバリア層311〜314がそれぞれ形成される時間、即ち基板温度がTaに設定される時間m1を5分とし、第1〜第3の井戸層321〜323がそれぞれ形成される時間、即ち基板温度がTbに設定される時間m2を1分として、活性層3が形成される。このとき、第1〜第4のバリア層311〜314の膜厚はそれぞれ10nmとなり、第1〜第3の井戸層321〜323の膜厚はそれぞれ3nmとなる。また、第1〜第4のバリア層311〜314のAl及びInの組成比は、それぞれAl:In=7:5であり、第1〜第3の井戸層321〜323のAl及びInの組成比は、それぞれAl:In=1:2である。
次に、活性層3がAlを含む窒化物系半導体である利点について説明する。GaNからなる発光素子等では、例えば、クラッド層にAlGaNやGaN等が、コンタクト層にはGaN等が用いられる。InGaNを含む活性層の結晶成長を行う場合、Inの蒸気圧が高いため、活性層の成長温度を650〜800℃程度にする必要がある。しかし、活性層の成膜後にp型半導体層を成膜する場合は、p型GaN層やp型AlGaN層の結晶品質を高めるために、一般に活性層の成長温度よりも200℃〜300℃高い温度となる1000℃付近の成長温度でp型半導体層をエピタキシャル成長させており、成膜時間は通常15〜60分程度かかる。そのため、活性層を成長させた後、活性層上にp型のGaN層等を成膜する場合、GaN層の成長温度が高いために、活性層が熱によるダメージを受け、発光特性が著しく悪化する。
特に、450nm以上の長波長のGaN系半導体発光素子を作製する場合、通常、井戸層のIn組成比が10%を超えるが、In組成比が高くなるほど、高温状態に置かれたInが昇華して壊れやすくなり、発光効率が極端に低下する。更に、活性層が熱によるダメージを受け続けると、Inが分離して発光素子を形成するウェハが黒色化する場合もある。このように、井戸層のIn組成比が10%を超える場合には、p型半導体層の成長温度が高いことにより、活性層が劣化して発光特性が著しく悪くなる。
しかし、井戸層のIn組成比が10%を超える活性層を有し、450nm以上の長波長の発光を行うGaN系半導体発光素子においても、以下に説明するように、少なくとも井戸層にAlを添加したAlInGaNを採用することによって活性層の耐熱性が向上する。そのため、活性層よりも後に成長させる半導体層の形成工程での加熱による活性層の劣化を抑制することができる。
図1に示した窒化物系半導体装置を製造する工程において、基板1上に超格子層22を形成した後、既に説明した方法と同様に、活性層3としてAlInGaNからなる井戸層32とAlGaNからなるバリア層31とを5周期形成した後、アニール処理を行ない、そのアニール温度(熱処理温度)とAlの組成比に依存して活性層3の表面が黒色化しているかどうかを検査した。なお、Alの組成比は、井戸層32とバリア層31とで共通である。
図7は、上記検査のデータの一部を示すもので、活性層3表面の画像データを、縦軸を活性層3のAl組成比(Al/Ga供給比)、横軸を熱処理温度(アニール温度)として表示したものである。活性層3には、バリア層31としてアンドープGaN層を用い、井戸層32のIn組成比は20%程度とし、各アニール温度での熱処理は窒素雰囲気中で行ない、熱処理時間は30分とした。
また、活性層3にAlを添加したものと比較するために、活性層3を従来のInGaN/GaNからなる活性層とし、超格子層22をInGaN/GaNからなる超格子層とした構成で、上記と同様の条件で熱処理を行った。なお、InGaNからなる井戸層32のIn組成比は上記同様20%程度とした。活性層3を従来のInGaN/GaNで形成した場合の検査結果は、図7の上側に示した。
図7では、検査結果を分かりやすくするために、ウェハの黒色化が始まる境界線を点線で示した。図7からわかるように、従来のAlを含まないInGaN/GaNからなる活性層3では、950℃以上でウェハの黒色化が見られる。しかし、AlInGaN/AlGaNからなる活性層3では、Al組成比が0.5%の場合、ウェハの黒色化が見られるのは熱処理温度が1000℃以上の場合である。更にAl組成比を増加させてAl組成比が1.0%の場合には、1050℃の熱処理温度にならないと、ウェハは黒色化せず、1000℃でも活性層3に問題は発生しない。Al組成比を2.0%まで増加させた場合は、Al組成比1.0%の場合とウェハの状態は変わらず、耐熱性で差は見られない。
図8は、フォトルミネセンス(PL)測定の結果を示す。図8の縦軸はPL強度(任意単位)、横軸は熱処理温度である。図7に示した検査の場合と同様に、図1の構成でサファイア基板上に、活性層3としてAlInGaNからなる井戸層32とAlGaNからなるバリア層31、又は、AlInGaNからなる井戸層32とGaNからなるバリア層31とを5周期程度形成した後、アニール温度を変化させて窒素雰囲気中で時間30分間の熱処理を行ない、その後室温で発光スペクトル(PL強度分布)を測定し、各温度のPL強度分布の積分値を求めた。
図8で、曲線A1は、活性層3がAlInGaNからなる井戸層32とAlGaNからなるバリア層31のMQW構造で、Alの組成比が0.25%の場合を示す。曲線A2は、活性層3を従来構造としたもので、InGaNからなる井戸層32及びGaNからなるバリア層31のMQW構造の場合を示す。曲線A3は、活性層3がAlInGaNからなる井戸層32及びGaNからなるバリア層31のMQW構造で、Alの組成比が1%の場合を示す。曲線A4は、活性層3がAlInGaNからなる井戸層32及びAlGaNからなるバリア層31のMQW構造で、Alの組成比が1%の場合を示す。
図8に示すように、活性層3を従来構造とした曲線A2では、950℃の熱処理を行うと、PL強度が激減し、活性層3の劣化が見られる。これは、図7の結果とも対応している。一方、Alの組成比が0.25%の曲線A1の場合は、950℃付近で良好なPL強度を示し、1000℃の熱処理でPL強度が低下する。したがって、井戸層32及びバリア層31にAlを添加した曲線A1の場合の方が、従来構造の活性層3を採用した曲線A2の場合よりもT℃(図8では50℃)耐熱性が向上する。また、曲線A3の場合では井戸層32にのみAlが1%添加されているが、1000℃になるとPL強度が低下しており、耐熱性は曲線A1の場合とほとんど変わらないが、Al組成比の増加にともないPL強度は低下する。一方、井戸層32とバリア層31の両方にAlを1%添加した曲線A4では、図7を参照すればわかるように耐熱性は曲線A1や曲線A3の場合よりも向上するが、PL強度は曲線A3の場合よりも低下する。
上記のように、図7、図8に示された検査結果から、活性層3にAlが少しでも添加されれば、活性層3の耐熱性が向上する。その結果、活性層3が成膜された後に、活性層3の成膜時の処理温度より高い温度でp型のGaN層を成膜する場合でも、活性層3の熱によるダメージが低減され、発光特性の低下を抑制できる。
以上に説明したように、本発明の実施の形態に係る窒化物系半導体装置によれば、InとAlの組成比を調整することによって、井戸層32よりもバリア層31のバンドギャップが大きいという関係の量子井戸構造を維持しつつ、Inの組成比が異なるバリア層31と井戸層32の格子定数を一致させることができる。その結果、バリア層31と井戸層32との格子不整合に起因するピエゾ電界の増大を抑制可能な窒化物系半導体装置を提供できる。更に、図1に示した窒化物系半導体装置の活性層3のバリア層31及び井戸層32がAlを含むため、活性層3の熱によるダメージが低減され、発光特性の低下を抑制できる。
<変形例>
本発明の実施の形態の変形例に係る窒化物系半導体装置は、図9に示すように、基板1の下に第1電極101が配置されることが、図1と異なる点である。その他の構成については、図1に示す第1の実施の形態と同様である。
図9に示した窒化物系半導体装置では、基板1に導電性の第1導電型のSiC基板を採用し、GaN層を基板1上に結晶成長させ、第1電極101と第2電極102を対向するように配置したLEDを構成できる。図1に示した窒化物系半導体装置の構成では、基板1にサファイア基板を採用した場合に、サファイア基板の熱伝導が約0.5W/(cm・K)と悪く、プリント基板上の金属配線等と接続するボンディングワイヤーも第1電極101側と第2電極102側の両方必要となる。しかし、図9に示した構造では、基板1にSiC基板を採用する場合に、熱伝導はサファイア基板の10倍(約4.9W/(cm・K))と放熱性が良く、第1電極101を金属配線に直接ボンディングできるため、必要なボンディングワイヤーが第2電極102側の1本でよいという利点がある。その他の構成については、図1に示す実施の形態と同様である。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
既に述べた実施の形態の説明においては、第2コンタクト層42上に第2電極102を形成する例を示したが、第2コンタクト層42上に例えばZnO電極等の透明電極を積層した後、第2電極102を形成するようにしても良い。この場合、GaドープZnO電極を、例えば分子線エピタキシ(MBE)法やパルスレーザ堆積(PLD)法によって、第2コンタクト層42上に形成する。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の実施の形態に係る窒化物系半導体装置の構成例を示す模式的な断面図である。 本発明の実施の形態に係る活性層の構成例を示す模式的な断面図である。 本発明の実施の形態に係る活性層の他の構成例を示す模式的な断面図である。 窒化物系半導体の格子定数とバンドギャップの関係を示すグラフである。 窒化物系半導体のバンドギャップとInの組成比の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る活性層の結晶成長におけるガスフローパターンを示す模式図である。 活性層へのAl添加割合と熱処理温度に対する活性層の黒色化の変化を示す図である。 活性層の熱処理温度とPL強度の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の変形例に係る窒化物系半導体装置の構成例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1…基板
2…第1半導体層
3…活性層
4…第2半導体層
5…コンタクト層
10…基板
21…第1コンタクト層
22…超格子層
31…バリア層
32…井戸層
41…電子ブロック層
42…第2コンタクト層
101…第1電極
102…第2電極

Claims (7)

  1. 量子井戸構造を有する活性層を備えた窒化物系半導体装置であって、
    前記活性層が、
    AlaInbGa1-a-bN(0<a≦1、0<b≦1)からなる複数のバリア層と、
    前記複数のバリア層間に配置された、AlxInyGa1-x-yN(0<x<1、0≦y<1)からなる井戸層
    とを備え、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)の組成比が、前記井戸層より前記バリア層の方が高いことを特徴とする窒化物系半導体装置。
  2. 前記バリア層と前記井戸層のそれぞれのアルミニウム及びインジウムの組成比が、前記バリア層と前記井戸層の格子定数が等しくなる組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系半導体装置。
  3. 前記井戸層を複数備え、該複数の前記井戸層がそれぞれ複数の前記バリア層間に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物系半導体装置。
  4. 前記バリア層と前記井戸層が異なる成長温度で形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化物系半導体装置。
  5. 前記活性層に第1導電型のキャリアを供給する第1半導体層と、
    前記活性層に第2導電型のキャリアを供給する第2半導体層
    とを更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の窒化物系半導体装置。
  6. 前記第1半導体層、前記活性層、前記第2半導体層がこの順に積層されることを特徴とする請求項5に記載の窒化物系半導体装置。
  7. 前記井戸層のインジウムの組成比が0.15以上、かつ0.2以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の窒化物系半導体装置。
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