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JP2008253232A - 色素高蓄積植物 - Google Patents

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JP2008253232A
JP2008253232A JP2007102207A JP2007102207A JP2008253232A JP 2008253232 A JP2008253232 A JP 2008253232A JP 2007102207 A JP2007102207 A JP 2007102207A JP 2007102207 A JP2007102207 A JP 2007102207A JP 2008253232 A JP2008253232 A JP 2008253232A
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JP2007102207A
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Yoichi Kondo
陽一 近藤
Mika Kawashima
美香 川島
Naotoshi Ichikawa
尚斉 市川
Minami Matsui
南 松井
Yukako Hasegawa
由果子 長谷川
Genmei Seki
原明 関
Akie Ishikawa
明苗 石川
Hirofumi Kuroda
浩文 黒田
Yoko Horii
陽子 堀井
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RIKEN
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RIKEN
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Abstract

【課題】色素高蓄積植物を提供することを目的とする。
【解決手段】イネ由来の特定の遺伝子を植物に導入する工程を含むことを特徴とする、色素蓄積形質転換植物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば色素高蓄積植物及び色素合成調節遺伝子に関する。
植物は、様々な天然産物を産生する。そのような天然産物の一つとして、色素が挙げられる。
非特許文献1には、特定の遺伝子の過剰発現により紫色色素が植物体に蓄積されたことが開示されている。当該植物体では、フェニルプロパノイド生合成遺伝子の発現が増強されている。
このように、色素合成に関与する遺伝子の発現増強により、植物において色素は蓄積する。しかしながら、これまで、赤色色素及び/又は紫外線吸収色素の高蓄積植物は、提供されていなかった。
Justin O. Borevitzら, 「The Plant Cell」, 2000年, 第12巻, p.2383-2393
本発明は、上述した実情に鑑み、赤色色素及び紫外線吸収色素等を蓄積する、色素高蓄積植物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、イネ(Oryza sativa)由来の特定の遺伝子を植物に高発現させることで、色素高蓄積植物を作出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)以下の(a)又は(b)記載の遺伝子を植物に導入する工程を含むことを特徴とする、色素蓄積形質転換植物の製造方法。
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16に示されるアミノ酸配列から成るタンパク質をコードする遺伝子から成る群より選択される1以上の遺伝子;
(b)上記(a)のタンパク質のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、且つ植物に色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子
(2)上記色素が赤色色素及び/又は紫外線吸収色素であることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)(1)又は(2)に記載の方法によって作出された色素蓄積形質転換植物。
本発明によれば、色素高蓄積植物の製造方法及び該製造方法による色素蓄積形質転換植物が提供される。また、本発明によれば、赤色色素及び紫外線吸収色素等の色素高蓄積植物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
色素が高蓄積する植物体を選抜するために、イネの完全長cDNAをランダムに過剰発現させたシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)-イネFOXラインの作製を行う。ここで、シロイヌナズナ-イネFOXラインとは、イネの完全長cDNAをランダムにシロイヌナズナに過剰発現させた変異体系統群の総称である。
次いで、上述のシロイヌナズナ-イネFOXラインの第1(T1)世代の各系統の植物体から色素が高蓄積する植物体を選抜するため、シロイヌナズナ-イネFOXラインのT1世代の植物より本葉を切り取り、切り取った本葉から抽出した色素の抽出液を、マイクロプレートリーダーに供し、当該色素が吸収する所定の波長の吸光度を測定する。測定の結果、陰性対照(遺伝子導入していない植物)と比べて有意に色素が蓄積していると判断できた系統を色素高蓄積植物の候補とする。このようにして、約7,000植物体以上について選抜を行い、次に色素高蓄積植物の候補の第2(T2)世代の植物について、上記と同様の方法で、色素が蓄積する形質が遺伝しているか否かの確認を行う。この結果、色素の蓄積が遺伝していると判断できた系統について、導入されているイネの完全長cDNAを、PCR法及びDNA塩基配列決定法を用いて決定する。
さらに得られたイネの完全長cDNAを植物体に再形質転換し、得られた再形質転換体において、色素が高蓄積している形質が再現されているか否かを上記と同様の方法で確認を行う。
このように、形質転換体のT1世代及びT2世代並びに再形質転換体と三段階で色素が蓄積する形質が、植物に導入されたイネの完全長cDNAによるものであることを確認することで、単離されたイネの完全長cDNAが、植物に色素高蓄積能を付与するものであると決定できる。このようにして色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子を単離できる。
以上に述べた同定方法の結果、色素高蓄積能を付与するイネ由来の8種の遺伝子が単離された。当該遺伝子を下記の表1に示す。
Figure 2008253232
表1は、各遺伝子が由来するイネFOXデータベースにおける系統番号、米国のThe Institute for Genomic Research(TIGR)における登録番号(表1では「イネcDNA」の欄)、各遺伝子がコードするタンパク質に関する注釈(予想される機能)、並びに各遺伝子のcDNA及び対応するアミノ酸配列の配列番号を示す。
以上のような知見に基づき、これら遺伝子を植物に導入し、発現させることで、植物に色素を高蓄積させることができることを見出した。
すなわち、本発明に係る方法は、表1記載の1又は複数(1、2、3、4、5、6、7又は8個)の遺伝子を植物に導入する工程を含む色素蓄積形質転換植物の製造方法である。
本発明において、植物に導入すべき遺伝子(以下、「導入遺伝子」という)は、表1記載の遺伝子である。すなわち、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16に示されるアミノ酸配列から成るタンパク質をコードする遺伝子が本発明における導入遺伝子である。また、表1記載の各遺伝子に対応するタンパク質のアミノ酸配列において、1又は数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、且つ植物に色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子もまた、本発明における導入遺伝子とすることができる。さらに、本発明における導入遺伝子には、表1記載の各遺伝子に対応するタンパク質のアミノ酸配列と、80%以上、好ましくは90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、特に好ましくは99%以上同一であるアミノ酸配列から成り、且つ植物に色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。
あるいは、表1記載の遺伝子は、配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15に示される塩基配列から成るDNAである。そこで、表1記載の各遺伝子の塩基配列において、1又は数個(例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個)の塩基が置換、欠失又は付加された塩基配列から成り、且つ植物に色素蓄積能を付与するタンパク質をコードするDNA、表1記載の各遺伝子の塩基配列から成るDNAに相補的な塩基配列から成るDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ植物に色素蓄積能を付与するタンパク質をコードするDNA、及び表1記載の各遺伝子の塩基配列と、80%以上、好ましくは90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、特に好ましくは99%以上同一である塩基配列から成り、且つ植物に色素蓄積能を付与するタンパク質をコードするDNAも、本発明における導入遺伝子に含まれる。
なお、以上のような配列特性を有する遺伝子であれば、イネに限らず、他の植物種由来の遺伝子も、本発明における導入遺伝子に含まれる。
ここで、「色素蓄積能」とは、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)、植物培養細胞等に色素を蓄積させる能力を意味する。導入遺伝子によりコードされるタンパク質の植物に対する色素蓄積能の測定は、例えば、上述した導入遺伝子を導入した植物(形質転換体)より抽出した色素の抽出液を、吸光度計やマイクロプレートリーダーに供し、色素が吸収する所定の波長の吸光度を測定することにより行われる。上述の色素の抽出液とは、例えば植物体を色素抽出液(80%メタノール、10%塩酸)等に二日間浸し、植物体を除いたものである。抽出ステップは4℃で遮光して行うのが望ましい。このようにして、陰性対照(上述した導入遺伝子を導入していない植物)と比べて、形質転換体において色素の蓄積が有意に認められた場合には、上述した導入遺伝子が色素蓄積能を有すると判断することができる。
また、上述のストリンジェントな条件とは、例えばリン32で標識したプローブDNAを用いる場合には、5 X SSC(0.75M NaCl、0.75Mクエン酸ナトリウム)、5 X デンハルト試薬(0.1%フィコール、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ウシ血清アルブミン)及び0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)から成るハイブリダイゼーション溶液中で、温度が45℃〜65℃、好ましくは55℃〜65℃である。また洗浄ステップにおいては、2 X SSC及び0.1%SDSから成る洗浄溶液中で温度が45℃〜55℃、より好ましくは0.1 X SSC及び0.1%SDSから成る洗浄溶液中で温度が45℃〜55℃である。AlkPhos direct labeling module(アマシャムバイオテク)のキットを用いて酵素標識したプローブDNAを用いる場合には、該キットのマニュアルに記載されている組成のハイブリダイゼーション溶液(0.5M NaCl及び4%ブロッキング試薬を含む)中で温度が55℃〜75℃である。また洗浄ステップにおいては、該キットのマニュアルに記載されている一次洗浄液(2M 尿素を含む)中で55℃〜75℃、且つ二次洗浄液中で室温である。また、他の検出法であってもよく、その場合にはその検出法の標準的な条件であってよい。
一方、本発明において、植物に蓄積する色素としては、例えば、赤色色素(波長範囲490nm〜550nm、好ましくは510nm〜530nm)及び紫外線吸収色素(波長範囲290nm〜350nm、好ましくは290nm〜320nm)が挙げられる。
本発明に係る方法では、先ず導入遺伝子を準備する。例えば、イネのゲノムDNAやcDNAを鋳型とし、所定の遺伝子に対して設計した適当なプライマーを用いたPCRによって、導入遺伝子を得ることができる。また、植物へ導入する際の導入遺伝子の形態は、例えば、導入遺伝子を含むDNA、導入遺伝子を含む発現ベクターであってよい。ベクターとしては、植物形質転換に使用できるベクターであればよく、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)のTiプラスミド又はRiプラスミドが挙げられる。導入遺伝子を含む発現ベクターは、適当なベクターのマルチクローニングサイト等に導入遺伝子を挿入することによって得ることができる。また、発現ベクターには、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター等の制御領域、薬剤耐性遺伝子等の選択マーカー等が適宜含まれていることが好ましい。なお、色素を特定の細胞、組織、器官等に蓄積させたい場合には、当該細胞、組織又は器官に特異的なプロモーターを、ベクターに導入遺伝子を制御する位置に導入する。このように、発現ベクターが特異的なプロモーター及び導入遺伝子を含むことで、導入された植物(形質転換体)において、所定の細胞、組織又は器官に導入遺伝子を特異的に発現させることで、その結果、色素を当該細胞、組織又は器官に蓄積させることができる。
次いで、本発明に係る方法では、導入遺伝子又は導入遺伝子を含む発現ベクターを植物に導入し、植物を形質転換させる。本発明において、導入の対象となる「植物」とは、植物全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部等)又は植物培養細胞のいずれをも意味する。宿主植物としては、いずれの植物であってもよいが、単子葉植物や双子葉植物、例えば、イネ科、アブラナ科、ナス科、マメ科等に属する植物(下記参照)が挙げられる。
イネ科:イネ、トウモロコシ(Zea mays)
アブラナ科:シロイヌナズナ
ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum)
マメ科:ダイズ(Glycine max)
導入遺伝子又は導入遺伝子を含む発現ベクターは、例えば、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法等の一般的な形質転換方法によって植物中に導入することができる。
例えば、エレクトロポレーション法を用いる場合は、パルスコントローラーを備えたエレクトロポレーション装置により、電圧500〜1600V、25〜1000μF、20〜30msecの条件で処理し、導入遺伝子又は導入遺伝子を含む発現ベクターを宿主植物に導入することができる。
また、パーティクルガン法を用いる場合は、植物全体、植物器官、植物組織自体をそのまま使用してもよく、切片を調製した後に使用してもよく、又はプロトプラストを調製して使用してもよい。次いで遺伝子導入装置(例えばBio-Rad社のPDS-1000/He等)を用いて、調製した試料を処理することができる。処理条件は植物又は試料により異なるが、通常は1000〜1800psi程度の圧力、5〜6cm程度の距離で行う。
アグロバクテリウムのTiプラスミド又はRiプラスミドを利用するアグロバクテリウム法においては、アグロバクテリウム属に属する細菌が植物に感染すると、それが有するプラスミドDNAの一部を植物ゲノム中に移行させるという性質を利用して、導入遺伝子を宿主植物に導入する。アグロバクテリウム属に属する細菌のうちアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)は、植物に感染してクラウンゴールと呼ばれる腫瘍を形成する。一方、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)は、植物に感染して毛状根を発生させる。これらは、感染の際にTiプラスミド又はRiプラスミド上のT-DNA領域(Transferred DNA)と呼ばれる領域が植物中に移行し、植物のゲノム中に組み込まれることに起因するものである。従って、Ti又はRiプラスミド上のT-DNA領域中に植物ゲノム中に組み込みたい導入遺伝子を挿入する。次いでアグロバクテリウム属の細菌を宿主植物に感染させると、植物ゲノム中に当該導入遺伝子を組込むことができる。
形質転換の結果得られる腫瘍組織やシュート、毛状根等は、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることが可能である。また従来知られている植物組織培養法を用い、植物ホルモンの投与等により植物体(形質転換体)に再生させることができる。
また、植物ウイルスをベクターとして利用することによって、導入遺伝子を植物に導入することができる。利用可能な植物ウイルスとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスが挙げられる。先ず、ウイルスゲノムを大腸菌由来のベクター等に挿入して組換え体を調製した後、ウイルスゲノム中に導入遺伝子を挿入する。このようにして修飾されたウイルスゲノムを制限酵素によって組換え体から切り出し、宿主植物に接種することによって、導入遺伝子を宿主植物に導入することができる。
また、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等によって、導入遺伝子が宿主植物に組み込まれたか否かの確認を行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、導入遺伝子に特異的なプライマーを設計してPCRを行う。次いで、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして1本のバンドとして増幅産物を検出することにより、形質転換されたことを確認する。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法を採用してもよい。
このようにして得られた形質転換体を生育させることで、色素高蓄積植物(色素蓄積形質転換植物)を得ることができる。本発明に係る方法で得られる色素高蓄積植物は、視覚的に変わった(赤系統)植物である。また、本発明に係る方法で得られる色素高蓄積植物は、紫外線吸収色素を高蓄積することで、非形質転換植物に比べて、より高照度の地域で生育することが可能となる。さらには、本発明に係る方法で得られる色素高蓄積植物の形質は、有意に次世代へと受け継がれる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子の探索
先ず、色素が高蓄積する植物体を選抜するために、イネの完全長cDNAをランダムに過剰発現させたシロイヌナズナ-イネFOXラインの作製を行った。当該シロイヌナズナ-イネFOXラインの作製方法は、以下の通りであった。
イネから完全長cDNAを、CAPtrapper法によって作製した。次いで、得られたcDNAを、Lambda PSのSfiI制限酵素部位によって挟まれる部位にクローニングした。さらに、ベクター配列を用いて、クローニングしたcDNAの末端の塩基配列を読むことでcDNAのグルーピングを行い、独立の13,000種のクローンを同定した。
次に、等濃度に調整した各クローンを等量ずつ分注し、一本のチューブに混ぜた。これを「規格化完全長イネcDNAミックス」と呼ぶ。
規格化完全長cDNAミックスとTiプラスミドpBIGS2113-SFとを混ぜてから、同時にSfiIで完全に切断した。切断後、T4リガーゼによるライゲーション反応を行い、その反応液を大腸菌に形質転換した。次いで、カナマイシン(Km)含有寒天培地上で生育した独立のコロニー約130,000個を混合し、そこからプラスミドを回収した。
次いで、回収したプラスミドをアグロバクテリウムGV3101に形質転換した。形質転換後、Km含有寒天培地上で生育した独立のコロニー150,000個をLB液体培地に懸濁し、さらに培地中15%濃度になるようにグリセロールを加え、-80℃にて保存した。このグリセロール溶液を「FOXアグロバクテリアライブラリー」と呼ぶ。
このFOXアグロバクテリアライブラリーを、約200,000コロニーまで生育させ、形質転換用培地に懸濁させた後、野生型シロイヌナズナ(エコタイプ:コロンビア)へ形質転換を行った。次いで、種子を収穫し、得られた種子を、ハイグロマイシン含有BAM培地に播種し、通常条件下で生育させ、ハイグロマイシン耐性の植物のみを土に移植した。このようにして生育させた形質転換シロイヌナズナを、シロイヌナズナ-イネFOXラインのT1世代とした。
一方、シロイヌナズナ-イネFOXラインのT1世代の各系統の植物体から色素が高蓄積する植物体を選抜するため、高効率な色素高蓄積植物の選抜方法の開発を行った。理由は、シロイヌナズナ-イネFOXラインのT1世代で選抜を行うのが最も効率が良いため、シロイヌナズナ-イネFOXラインのT1世代の作製速度と同等かそれ以上の高効率で植物の色素蓄積量を測定する方法が必要不可欠だったからである。様々な方法を試みた結果、マイクロプレートリーダーを用いた選抜方法が最も効率が良い事を見出した。当該選抜方法は、シロイヌナズナ-イネFOXラインのT1世代の植物より本葉を切り取り、切り取った本葉から抽出した色素の抽出液をマイクロプレートリーダーに供し、当該色素が吸収する所定の波長の吸光度を測定するという方法である。
そこで、上述のシロイヌナズナ-イネFOXラインのT1世代の約7,000以上の各系統の植物体より本葉を切り取った。
次いで、切り取った本葉から色素を抽出した。色素抽出においては、4℃の遮光下で、植物体を色素抽出液(80%メタノール、10%塩酸)等に二日間浸し、植物体を除くことで、色素の抽出液を得た。
得られた色素の抽出液を、マイクロプレートリーダーに供し、305nm(紫外線吸収色素)及び530nm(赤色色素)の波長において吸光度を測定した。
吸光度測定の結果、陰性対照(遺伝子導入していない植物)と比べて有意に紫外線吸収色素及び赤色色素が蓄積していると判断出来た系統の植物を幾つか単離した。これらの植物の中には色素が高蓄積している事が視覚的に観察可能なものも幾つか含まれていた(図1)。更にこれらのT2世代の植物について、上述と同様の方法で、紫外線吸収色素及び赤色色素が蓄積する形質が遺伝しているか否かの確認を行った。この結果、当該色素の蓄積が遺伝していると判断出来た系統について、導入されているイネの完全長cDNAを、PCR法及びDNA塩基配列決定法を用いて決定した。
このようにして色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子が8種類得られた。得られた遺伝子を以下の表2に示す。
Figure 2008253232
表2は、各遺伝子が由来するイネFOXデータベースにおける系統番号、米国のThe Institute for Genomic Research(TIGR)における登録番号(表2では「イネcDNA」の欄)、各遺伝子がコードするタンパク質に関する注釈(予想される機能)、並びに各遺伝子のcDNA及び対応するアミノ酸配列の配列番号を示す。
一方、図1は、色素蓄積の視覚可能な表現型の代表例を示す。図1において、Aの写真は、配列番号13に示される塩基配列から成る遺伝子(cDNA)(系統番号K03036)が導入されていた形質転換体の表現型である。Bの写真は、配列番号1に示される塩基配列から成る遺伝子(cDNA)(系統番号K00851)が導入されていた形質転換体の表現型である。Cの写真は、配列番号9に示される塩基配列から成る遺伝子(cDNA)(系統番号K06951)が導入されていた形質転換体の表現型である。
図1に示すように、色素が高蓄積する事によって、その蓄積量に寄っては、大きく見た目が変化する事が解る。
〔実施例2〕色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子を有する再形質転換体の作製
実施例1で得られた色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子(cDNA)を、植物体(シロイヌナズナ)に再形質転換し、得られた再形質転換体において、色素が高蓄積している形質が再現されているか否かを、実施例1と同様の方法で確認を行った。実施例1の形質転換体T1世代及びT2世代並びに本実施例の再形質転換体と三段階で色素が蓄積する形質が、植物に導入されたイネの完全長cDNAに寄るものであることを確認することで、実施例1において単離されたイネの完全長cDNAが、植物に色素高蓄積能を付与するものであることを決定した。
表2に示す各遺伝子(cDNA)を、イネのcDNAを鋳型として、制限酵素SfiIのサイトが端に付加された特異的プライマーを使用して、PCR法により増幅した。
次いで、増幅された各遺伝子を植物発現用のTiプラスミドpBIGS2113-SFのSfiIサイトに組み込んだ。この各遺伝子が組み込まれたプラスミドをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に形質転換を行った。
当該形質転換により得られたアグロバクテリウムを、LB培地(1% トリプトン・ペプトン、0.5% イースト・エクストラクト、1% NaCl)中で、28℃で一晩振盪培養した。
振盪培養後、菌体を形質転換用培地(2.7g/L MS Salt、112μl/L V5 Vitamines、50g/L Sucrose、200μl/L SiliconeL-77)に懸濁し直した。得られた懸濁液に抽台後のシロイヌナズナの花茎を浸し、植物体をビニール袋に入れ一晩静置した。一晩の静置後、植物体をビニール袋から取り出し、種子の採取まで通常条件下で成育させた。
次いで、得られた種子を、抗生物質含有BAM培地(0.1g/L KNO3、8g/L バクト・アガロース、20mg/L ハイグロマイシンB)に播種し、通常条件下で成育させた。二週間程度で抗生物質に耐性能を持つ植物が、培地上で本葉を付けるのが観察された。さらに、この抗生物質耐性植物を土に移植し、通常条件下で成育させた。この植物は、抗生物質に耐性能を有しているだけでなく、表2に示す各遺伝子(cDNA)が、シロイヌナズナゲノム中に組み込まれた形質転換体である。
各形質転換体において、表2に示す各遺伝子上流のプロモーターの影響で、当該遺伝子によりコードされるタンパク質が過剰に植物体内で合成されている場合に、マイクロプレートリーダーを用いた吸光度の測定を行う事によって、色素が陰性対照(遺伝子導入していない植物)と比較して有意に蓄積しているか否かを確認した(図2及び3)。
図2及び3は、各導入遺伝子を用いた形質転換により得られた再形質転換体の第2世代(T2)における紫外線吸収色素及び赤色色素蓄積の測定結果を示す。
図2及び3において、各Aのグラフは、305nm(紫外線吸収色素)の波長における吸光度の測定結果を示す。一方、各Bのグラフは、530nm(赤色色素)の波長における吸光度の測定結果を示す。図2及び3において、各導入遺伝子が導入された再形質転換体は、系統番号で示されている。また、陰性対照(Col.)は、遺伝子導入していない植物の結果である。さらに、同一系統番号内の各棒グラフは、同一のT1世代の再形質転換体から得られた、別々のT2世代の植物体の結果である。
図2及び3に示すように、ここで示した全ての再形質転換体系統について、紫外線吸収色素及び赤色色素が、陰性対照に比較して有意に蓄積している植物が半分以上存在していた。この結果は色素が高蓄積する表現形質が優性である事を示しており、導入した各遺伝子によりコードされるタンパク質が過剰に合成された事に寄るものである事を強く示唆している。
図1は、色素蓄積の視覚可能な表現型の代表例を示す。 図2は、各導入遺伝子を用いた形質転換により得られた再形質転換体の第2世代(T2)における紫外線吸収色素及び赤色色素蓄積の測定結果を示す。 図3は、導入遺伝子(イネcDNA(Os07g20270;配列番号15))を用いた形質転換により得られた再形質転換体の第2世代(T2)における紫外線吸収色素及び赤色色素蓄積の測定結果を示す。

Claims (3)

  1. 以下の(a)又は(b)記載の遺伝子を植物に導入する工程を含むことを特徴とする、色素蓄積形質転換植物の製造方法。
    (a)配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16に示されるアミノ酸配列から成るタンパク質をコードする遺伝子から成る群より選択される1以上の遺伝子
    (b)上記(a)のタンパク質のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、且つ植物に色素蓄積能を付与するタンパク質をコードする遺伝子
  2. 上記色素が赤色色素及び/又は紫外線吸収色素であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法によって作出された色素蓄積形質転換植物。
JP2007102207A 2007-04-09 2007-04-09 色素高蓄積植物 Pending JP2008253232A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2168608A1 (en) 2008-09-30 2010-03-31 Nitto Denko Corporation Pressure-sensitive adhesive tape or sheet for application to skin, and process for producing the same

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