JP2008243723A - 固体酸化物形燃料電池、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温で、しかも低コストで緻密な電解質を形成することが可能な固体酸化物形燃料電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る固体酸化物形燃料電池の製造方法は、金属基板4上に電解質用ペーストを塗布するステップと、塗布された電解質用ペーストを乾燥させた後、金属基板4に、電解質用ペース1と連通する複数の貫通孔41を形成するステップと、貫通孔41から露出する部分を含む電解質用ペーストの表面に、プレスを施すステップと、電解質用ペーストの焼成を行い、電解質1を形成するステップと、貫通孔41から露出する電解質1の下面に燃料極3を形成するステップと、電解質1の上面に空気極2を形成するステップと、を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る固体酸化物形燃料電池の製造方法は、金属基板4上に電解質用ペーストを塗布するステップと、塗布された電解質用ペーストを乾燥させた後、金属基板4に、電解質用ペース1と連通する複数の貫通孔41を形成するステップと、貫通孔41から露出する部分を含む電解質用ペーストの表面に、プレスを施すステップと、電解質用ペーストの焼成を行い、電解質1を形成するステップと、貫通孔41から露出する電解質1の下面に燃料極3を形成するステップと、電解質1の上面に空気極2を形成するステップと、を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスにより動作する固体酸化物形燃料電池、及びその製造方法に関する。
燃料電池とは外部からの燃料供給と燃焼生成物の排気とを連続的に行いながら、燃料が酸化する際に発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる電池である。燃料電池の種類は電解質により分類され、電解質にイオン伝導性を持つ金属酸化物を用いたものを固体酸化物形燃料電池と呼んでいる。この固体酸化物形燃料電池としては、種々のものが提案されているが、例えば、特許文献1には、多孔質の支持基体上に燃料極(アノード)を形成し、その燃料極の上に電解質を形成し、さらにその電解質の上に空気極(カソード)を形成した固体酸化物形燃料電池が開示されている。
特開平11−111309号公報
ところで、上記燃料電池は、燃料極と空気極に個別にガスを供給して発電を行う電池である。そのため、両電極の境界となる電解質はガスが透過しないように緻密に形成される必要がある。このような緻密な膜の形成方法としては、例えば、スクリーン印刷で電解質用の材料を塗布した後、1400℃程度の高温で焼結する方法がある。しかしながら、このような高温で電解質を形成すると、支持基板として金属が使用できないという問題がある。これを解決するため、CVD等の低温成膜方法も提案されているが、歩留まりが悪いため、コストが高くなるという問題があった。
そこで、本発明は、低温で、しかも低コストで緻密な電解質を形成することが可能な固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の固体酸化物形燃料電池の製造方法は、上記問題を解決するためになされたものであり、金属基板上に電解質用材料を塗布するステップと、前記金属基板に、前記電解質用材料と連通する複数の貫通孔を形成するステップと、前記貫通孔から露出する部分を含む前記電解質用材料の表面に、プレスを施すステップと、前記電解質用材料の焼成を行い、電解質を形成するステップと、前記貫通孔から露出する電解質の一方面に燃料極及び空気極のいずれか一方の電極を形成するステップと、前記電解質の他方面に他方の電極を形成するステップと、を備えている。
この構成によれば、電解質用材料の焼成の前に、この電解質用材料にプレスを施すことで、焼成時の温度が低くても、焼成された電解質を緻密に形成することができる。したがって、焼成温度を低温にすることができるため、金属基板を用いても、焼成中にこの金属基板が変形及び、損傷されることはない。その結果、CVD等の低温成膜方法を用いず、スクリーン印刷などの簡易な方法で電解質を形成できるため、歩留まりを向上することができ、製造コストの低減も可能になる。
また、本発明においては、金属基板に複数の貫通孔を形成し、この貫通孔内に電解質の一方面と接触する電極を形成するとともに、電解質の他方面にもう一つの電極を形成している。このように、本発明では、焼成前の電解質において貫通孔及びその反対側の面を露出させているため、少なくとも電極が形成される面には、プレスを施すことができる。その結果、電解質において両電極と接触する部分を緻密に形成できるため、固体酸化物形燃料電池として、両電極に供給されるガスの混合を防止することができる。
ここで、電解質用材料を塗布するための方法は、例えば、上述したスクリーン印刷の他、ディップコート法、スピンコート法など種々の方法を用いることができる。また、本発明でいう電解質用材料とは、上述した各種方法に適した、電解質形成用の液状またはペースト状の材料を指す。
また、本発明に係る第2の固体酸化物形燃料電池の製造方法は、上記問題を解決するためになされたものであり、金属基板に、複数の貫通孔を形成するステップと、前記貫通孔を覆うように前記金属基板上に、電解質用材料を配置するステップと、前記貫通孔から露出する部分を含む前記電解質用材料の表面に、プレスを施すステップと、前記電解質用材料の焼成を行い、電解質を形成するステップと、前記貫通孔から露出する電解質の一方面に燃料極及び空気極のいずれか一方の電極を形成するステップと、前記電解質の他方面に他方の電極を形成するステップと、を備えている。
この方法が上記第1の発明と異なるのは、貫通孔を形成した金属基板上に電解質用材料を配置する点である。このような電解質材料としては、例えば、いわゆるグリーン体を用いることができる。これにより、貫通孔が形成されていても、電解質材料を金属基板上に配置することができる。そして、このような構成であっても、上記第1の発明と同様の効果を得ることができる。
本発明におけるプレスは、例えば、静水圧プレスとすることができる。この場合、冷間、熱間のいずれの静水圧プレスを用いることもできるが、例えば、熱間静水圧プレスを用いる場合には、80〜200℃の熱を付与することが好ましい。80℃以上の温度を負荷することにより、温度と圧力の相乗効果を利用して、冷間よりも空孔の除去が可能であり高密度化が図れる。一方、200℃以上にすると、材料中のバインダーなどの溶融や揮発が発生し、成形性が悪くなる。このほか、露出した電解質用材料の表面に、公知の一軸プレスなどを施すこともできる。
プレスの圧力は、例えば、1〜4×103kg/cm2であるとすることが好ましい。プレス圧力を1×103kg/cm2以上にすることで、電解質が緻密になり、ガスのリークを防止することができる。また、プレス圧力を高めすぎると、電解質や電極が損傷するおそれがあるため、4×103kg/cm2以下とすることが好ましい。
また、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、少なくとも一つの貫通孔が形成された金属基板と、前記金属基板の一方面に、前記貫通孔を塞ぐように形成された電解質と、前記貫通孔から露出する電解質の一方面に形成された燃料極または空気極のいずれか一方の電極と、前記電解質の他方面に形成された他方の電極と、を備え、前記電解質は、前記一方面及び他方面に緻密な層を有している。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の製造方法によれば、低温で、しかも低コストで緻密な電解質を形成することが可能となる。
以下、本発明に係る固体酸化物形燃料電池の一実施形態について図面にしたがって説明する。図1は本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の断面図であり、図2は図1のA−A線断面図である。
本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池は、図1に示すように、複数の貫通孔41が形成された金属基板4の上面に、この貫通孔41を塞ぐように配置された薄膜状の電解質1と、その上面に配置された薄膜状の空気極2とを備えている。そして、金属基板4の貫通孔41内には、電解質1の下面に接触する薄膜状の燃料極3が形成されている。図2に示すように、金属基板4は、複数の貫通孔41が形成されることにより、平面視網目状に形成されている。
続いて、上記燃料電池を構成する材料について説明する。金属基板4を構成する材料としては、耐熱性や強度導電性などを考慮して、Fe, Ti, Cr, Cu, Ni, Ag, Au, Pt等の導電性金属を用いることが出来、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合してもよく、例えばステンレス系耐熱材料などが使用出来、具体的には、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、インコネルやハステロイなどのニッケル基の耐熱合金などを用いることができる。
電解質1の材料としては、固体酸化物形燃料電池の電解質として公知のものを使用することができ、例えば、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物(GDC)、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物(YSZ)などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。
燃料極3及び空気極2は、セラミックス粉末材料により形成することができる。このとき用いられる粉末の平均粒径は、好ましくは10nm〜100μmであり、さらに好ましくは50nm〜50μmであり、特に好ましくは100nm〜10μmである。なお、平均粒径は、例えば、JISZ8901にしたがって計測することができる。
燃料極3は、例えば、金属触媒と酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料との混合物を用いることができる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気中で安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン導電体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えばサマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などを挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしてはストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物を挙げることができる。上記材料の中では、酸化物イオン導電体とニッケルとの混合物で、燃料極2を形成することが好ましい。なお、酸化物イオン導電体からなるセラミックス材料とニッケルとの混合形態は、物理的な混合形態であってもよいし、ニッケルへの粉末修飾またはセラミックス材料へのニッケル修飾などの形態であってもよい。また、上述したセラミックス材料は、1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。また、燃料極3は、金属触媒を単体で用いて構成することもできる。
空気極2を形成するセラミックス粉末材料としては、例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo,Fe,Ni,Cr又はMn等からなる金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO3,(La,Sr)MnO3,(La,Sr)CoO3,(La,Sr)(Fe,Co)O3,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3などの酸化物が挙げられ、好ましくは、(La,Sr)(Fe,Co)O3である。上述したセラミックス材料は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
上記燃料極3、及び空気極2は、上述した材料を主成分として、さらにバインダー樹脂、有機溶媒などが適量加えられることにより形成される。より詳細には、上記主成分とバインダー樹脂との混合において、上記主成分が50〜95重量%となるように、バインダー樹脂等を加えることが好ましい。また、電解質1も、上記燃料極3及び空気極2と同様に、上述した材料を主成分として、バインダー樹脂、有機溶媒などが適量加えられることにより成型されるが、上記主成分とバインダーとの混合において、上記主成分の割合が80重量%以上となるように混合されることが好ましい。そして、燃料極3及び空気極2の膜厚は5〜100μmとなるように形成するが、20〜50μmとすることが好ましい。また、電解質1の膜厚は、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。
次に、上記燃料電池の製造方法について図3及び図4を参照しつつ説明する。図3は本実施形態に係る燃料電池の製造方法の説明図、図4は電解質の拡大断面を示す模式図である。まず、上述した金属基板4を準備する。続いて、上述した電解質1、燃料極3、及び空気極2用の粉末材料を主成分として、これらそれぞれにバインダー樹脂、有機溶媒などを適量加えて混練し、電解質用ペースト(電解質用材料)、燃料極用ペースト(燃料極用材料)、空気極用ペースト(空気極用材料)をそれぞれ作製する。各ペーストの粘度は、103〜106mPa・s程度であることが好ましい。
そして、電解質用ペーストを、金属基板4の上面に薄膜状に塗布した後、所定時間、所定温度にて乾燥する(図3(a))。次に、エッチングなどにより、金属基板4に複数の貫通孔41を形成する(図3(b))。すなわち、金属基板4の下面に適宜マスクを施した後、エッチングにより貫通孔41を形成し、この貫通孔41から電解質ペースト1が露出するようにする。なお、貫通孔41は、電解質1ペーストが配置されている範囲にのみ形成する。続いて、乾燥した電解質用ペーストにプレスを施す(図3(c))。すなわち、公知の静水圧プレス機によって、外部に露出する電解質用ペーストの表面、つまり電解質用ペーストの上面と、貫通孔41から露出する下面に、冷間静水圧プレス(CIP)をする。ここでの圧力は、例えば、1〜4×103kg/cm2とすることができる。
プレス後、900〜1100℃にて焼結して電解質1を形成する。この工程により、図4に示すように、電解質1においてプレスが施された面の近傍が緻密になり、それ以外の部分は多孔質になる。続いて、金属基板4の貫通孔41内に電解質1の下面に接触するように、スクリーン印刷によって燃料極用ペーストを塗布し、所定時間・所定温度で乾燥・焼結し、多孔質の燃料極3を得る(図3(d))。焼結時の温度は、例えば、900〜1100℃にすることができる。最後に、電解質1の上面に、スクリーン印刷によって上述した材料からなる空気極用のペーストを塗布し、所定時間乾燥・焼結して多孔質の空気極2を得る。焼結時の温度は、例えば、900〜1100℃にすることができる。こうして、図1に示す燃料電池が完成する。なお、電解質ペースト、燃料極ペースト及び空気極ペーストは、種々の方法で塗布することができ、例えば、スクリーン印刷法、転写法、電気泳動法、ドクターブレード法、ディスペンサーコート法、スプレーコート法、ディップコート法などで形成することができる。
その後、必要に応じて、集電層や導線、また燃料極2と空気極4とを仕切るシール部材などを設けると、固体酸化物形燃料電池が完成する。
上記の方法では、金属基板4に電解質材料を塗布した後に、貫通孔41を形成しているが、予め貫通孔41を形成した金属基板4を用いることもできる。この場合、電解質材料は、いわゆるグリーン体として製造することが好ましい。以下、グリーン体を用いた場合の製造方法について説明する。まず、上述した電解質作製用の材料をバインダー、溶剤、可塑剤、分散剤を混合し、ボールミルで分散後、真空脱法を行い、電解質ペーストを作製する。このペーストを、離型層がコートされたポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム上に所定膜厚になるようにドクターブレード等により印刷する。そして、約120℃で乾燥することにより、フィルム上に電解質のグリーン体を形成する。
続いて、電解質用グリーン体を、貫通孔41を形成した金属基板4の上面に貼り合わせる。そして、フィルム上から熱をかけてプレスし、グリーン体を金属基板4上に融着させた後、フィルムを剥がす。次に、金属基板4上の電解質用グリーン体に、公知の静水圧プレス機によってプレスをする。すなわち、外部に露出する電解質用ペーストの表面、つまり電解質用ペーストの上面と、貫通孔41から露出する下面に、冷間静水圧プレス(CIP)をする。ここでの圧力は、例えば、1〜4×103kg/cm2とすることができる。この後の工程は、上述した工程と同様であるため、省略する。
上記のように構成された燃料電池は、次のように発電が行われる。まず、水素、又はメタン、エタンなどの炭化水素からなる燃料ガスを、金属基板4の貫通孔41を介して、燃料極3に供給する。一方、空気極2には、空気などの酸化剤ガスを供給する。このとき供給される燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとは、例えば、400〜1000℃の高温で供給する。こうして、燃料極3及び空気極2がそれぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスと接触するため、燃料極3と空気極2との間で、電解質1を介した酸素イオン伝導が起こり、発電が行われる。このとき、電解質1は緻密な層を含有しているため、各燃料電池内では、燃料ガス及び酸化剤ガスは、電解質1によって遮断され、混合されることなく各電極2,4に供給される。
以上のように、本実施形態によれば、電解質用ペーストの焼成の前に、この電解質用ペーストに静水圧プレスを施すことで、焼成時の温度が低くても、焼成された電解質を緻密に形成することができる。したがって、焼成温度を低温にすることができるため、金属基板1を用いても、焼成中にこの金属基板が変形、損傷されることはない。その結果、CVD等の低温成膜方法を用いず、スクリーン印刷などの簡易な方法で電解質を形成できるため、歩留まりを向上することができ、製造コストの低減も可能になる。また、上記燃料電池では、燃料極3の中に金属基板4が入り込んでいるため、この金属基板4が導電の経路になり、その結果、集電効果を大きく増大することができ、高出力を期待することができる。
さらに、本実施形態においては、金属基板4に複数の貫通孔41を形成し、この貫通孔41内に電解質1の下面と接触する燃料極3を形成するとともに、電解質1の上面に空気極2を形成している。このように、焼成前の電解質1において貫通孔41から露出する下面及び上面を露出させているため、電極2,3が形成される面には、プレスを施すことができる。その結果、電解質1において両電極2,3と接触する部分を緻密に形成できるため、二室型の固体酸化物形燃料電池として、両電極に供給されるガスの混合を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、金属基板4の貫通孔41内に燃料極3を形成しているが、ここに空気極2を形成し、電解質1の上面に燃料極3を形成することもできる。
また、上記方法では、電解質1をプレスするのに冷間静水圧プレスを用いたが、これ以外にも熱間静水圧プレスなどを用いることができる。こうすることで、温度と圧力の相乗効果を利用して、通常の冷間静水圧プレスよりも、空孔の除去が可能であり更なる高密度化が図れるという利点があり、この場合、80〜200℃の熱を付与することが好ましい。また、公知の一軸プレスによってプレスを施すこともできる。
以下、本発明に係る実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下では、図1に示す複数の電池を作成する。その際、各電池の作製においては、乾燥した電解質用ペーストに異なる圧力を作用させることとする。まず、以下の材料を準備する。
(実施例1)
金属基板
SUS系材料のZMG232(日立金属製)を準備した。
電解質用ペースト
GDC(Ce:Gd:O=0.9:0.1:1.9)粉末(粒径範囲0.1-〜3μm、平均粒径:1μm)及びエチルセルロ−スを質量比が90:10となるようにエチルカルピト−ルに加えてペ−ストを調整した。
燃料極用ペースト
エチルカルピト−ルに、NiO粉末(平均粒径:1μm)及びSDC(Ce:Sm:O=0.8:0.2:1.9)を加え、更にバインダ−としてエチルセルロ−スを質量比が80:20となるようにを加えた後、これらをボ−ルミルで混合して燃料極層を形成するための燃料極ペ−スト(粘度:5×105mPa・s)を調整した。
空気極用ペースト
エチルカルピト−ルに、Sm0.5Sr0.5CoO3粉末(平均粒径:3μm)を加え、更にバインダ−としてエチルセルロ−スを質量比が80:20となるようにを加えた後、これらをボ−ルミルで混合して空気極層を形成するための空気極ペ−スト(粘度:5×105mPa・s)を調整した。
(実施例1)
金属基板
SUS系材料のZMG232(日立金属製)を準備した。
電解質用ペースト
GDC(Ce:Gd:O=0.9:0.1:1.9)粉末(粒径範囲0.1-〜3μm、平均粒径:1μm)及びエチルセルロ−スを質量比が90:10となるようにエチルカルピト−ルに加えてペ−ストを調整した。
燃料極用ペースト
エチルカルピト−ルに、NiO粉末(平均粒径:1μm)及びSDC(Ce:Sm:O=0.8:0.2:1.9)を加え、更にバインダ−としてエチルセルロ−スを質量比が80:20となるようにを加えた後、これらをボ−ルミルで混合して燃料極層を形成するための燃料極ペ−スト(粘度:5×105mPa・s)を調整した。
空気極用ペースト
エチルカルピト−ルに、Sm0.5Sr0.5CoO3粉末(平均粒径:3μm)を加え、更にバインダ−としてエチルセルロ−スを質量比が80:20となるようにを加えた後、これらをボ−ルミルで混合して空気極層を形成するための空気極ペ−スト(粘度:5×105mPa・s)を調整した。
次に、金属基板上に、膜厚約20μmで電解質用ペーストをスクリーン印刷で塗布し、130℃で15分乾燥する。そして、金属基板の下面に適宜マスクを施した後、エッチングにより貫通孔を形成し、この貫通孔から乾燥した電解質ペーストが露出するようにする。その後、冷間温水兼用等方圧プレス(日機装株式会社 型番CWL4-14-60)によって電解質ペーストに上下から冷間静水圧プレス(CIP)を施す。作用させる圧力は、約2t/cm2である。プレス後、電解質用ペーストを1100℃で5時間焼結する。より詳細には、220℃/時で1100℃まで昇温し、1時間保持した後、自然降温した。続いて、貫通孔を介して、金属基板の貫通孔を介して電解質の下面に膜厚約30μmで燃料極用ペーストをスクリーン印刷で塗布し、130℃で15分乾燥した後、1100℃で5時間焼結し、燃料極を形成する。これに続いて、電解質の上面に膜厚約30μmで空気極用ペーストをスクリーン印刷で塗布し、130℃で15分乾燥した後、1000℃で5時間焼結し、空気極を形成する。
(実施例2)
この実施例では、電解質をグリーン体を用いて作製する。その他の材料は、実施例1と同様である。
電解質用グリ−ン体
GDC(Ce:Gd:O=0.9:0.1:1.9)粉末(粒径範囲0.1-〜3μm、平均粒径:1μm)及びバインダ−としてエチルセルロ−ス、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム、可塑剤としてジブチルフタレ−トを質量比が100:13:2.5:10となるように加え、エチルカルピト−ルに加えてペーストを調整した。その後、ボ−ルミルで24h攪拌後、真空脱泡し、ドクターブレードにより、シリコン系樹脂の剥離性付与剤をコーティングしたPETフィルム上に塗布し、100℃で乾燥させ、成型した。
この実施例では、電解質をグリーン体を用いて作製する。その他の材料は、実施例1と同様である。
電解質用グリ−ン体
GDC(Ce:Gd:O=0.9:0.1:1.9)粉末(粒径範囲0.1-〜3μm、平均粒径:1μm)及びバインダ−としてエチルセルロ−ス、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム、可塑剤としてジブチルフタレ−トを質量比が100:13:2.5:10となるように加え、エチルカルピト−ルに加えてペーストを調整した。その後、ボ−ルミルで24h攪拌後、真空脱泡し、ドクターブレードにより、シリコン系樹脂の剥離性付与剤をコーティングしたPETフィルム上に塗布し、100℃で乾燥させ、成型した。
上述した材料を準備した後、まず、金属基板の下面に適宜マスクを施した後、ブラスト加工により貫通孔を形成する。そして、この金属基板上に、貫通孔を覆うようにグリーン体を貼り付け、膜厚約50μmの電解質用グリーン体を130℃、50kg/cm2の熱プレスにて融着させた後、フィルムを剥がす。こうして、貫通孔から貼り付けた電解質用グリーン体が露出するようにする。その後、冷間温水兼用等方圧プレス(日機装株式会社 型番CWL4-14-60)によって電解質グリ−ン体に上下から冷間静水圧プレス(CIP)を施す。作用させる圧力は、約2t/cm2である。プレス後、電解質用ペーストを1100℃で5時間焼結する。具体的な温度調整は、実施例1と同様である。そして、実施例1と同様に燃料極及び空気極を形成し、燃料電池を完成させる。
こうして、完成した実施例1および2について検討する。図5は、実施例1の燃料電池の製造において、空気極を形成する前の電解質上面とその近傍を示す電子顕微鏡写真であり、プレスを施していない場合と、約2t/cm2でプレスを施した場合を示している。これによると、プレスをした際には、焼結温度が1100℃程度であっても、電解質の表面近傍に緻密な層が形成されているのが分かる。また、図示を省略するが、実施例2についても同様の緻密な層が観測された。
1 電解質
2 空気極
3 燃料極
4 金属体
41 貫通孔
2 空気極
3 燃料極
4 金属体
41 貫通孔
Claims (6)
- 金属基板上に電解質用材料を塗布するステップと、
前記金属基板に、前記電解質用材料と連通する複数の貫通孔を形成するステップと、
前記貫通孔から露出する部分を含む前記電解質用材料の表面に、プレスを施すステップと、
前記電解質用材料の焼成を行い、電解質を形成するステップと、
前記貫通孔から露出する電解質の一方面に燃料極及び空気極のいずれか一方の電極を形成するステップと、
前記電解質の他方面に他方の電極を形成するステップと、
を備えている、固体酸化物形燃料電池の製造方法。 - 金属基板に、複数の貫通孔を形成するステップと、
前記貫通孔を覆うように前記金属基板上に、電解質用材料を配置するステップと、
前記貫通孔から露出する部分を含む前記電解質用材料の表面に、プレスを施すステップと、
前記電解質用材料の焼成を行い、電解質を形成するステップと、
前記貫通孔から露出する電解質の一方面に燃料極及び空気極のいずれか一方の電極を形成するステップと、
前記電解質の他方面に他方の電極を形成するステップと、
を備えている、固体酸化物形燃料電池の製造方法。 - 前記プレスは、静水圧プレスである、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
- 前記プレスは、熱間静水圧プレスであり、80〜200℃の熱が付与される、請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
- 前記プレスの圧力は、1〜4×103kg/cm2である、請求項1から4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
- 少なくとも一つの貫通孔が形成された金属基板と、
前記金属基板の一方面に、前記貫通孔を塞ぐように形成された電解質と、
前記貫通孔から露出する電解質の一方面に形成された燃料極または空気極のいずれか一方の電極と、
前記電解質の他方面に形成された他方の電極と、を備え、
前記電解質は、前記一方面及び他方面に緻密な層を有している、固体酸化物形燃料電池。
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