JP2008232989A - 蓄電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速に蓄電素子の劣化判断ができる高信頼な蓄電装置を提供すること。
【解決手段】複数の蓄電素子31からなる蓄電部29に充放電スイッチ25を設けるとともに、各蓄電素子31の両端にショートスイッチ33を、各蓄電素子31の正極に蓄電素子電圧検出回路35を設けた構成を有し、蓄電部29の劣化判断時に充放電スイッチ25をオフにした後、任意の蓄電素子31の両端電圧(Vca)を蓄電素子電圧検出回路35から求め、前記任意の蓄電素子31のショートスイッチ33を既定時間(t)の間、オンにした後オフにし、再度、両端電圧(Vcb)を求めて電圧変化率(Δ)を計算し、劣化限界範囲と比較して劣化を判断する動作を、全蓄電素子31に対し順次行い、いずれかの蓄電素子31の電圧変化率(Δ)が前記劣化限界範囲を超えれば、蓄電部29が劣化していると判断して、充放電スイッチ25をオフのままにするようにした。
【選択図】図1
【解決手段】複数の蓄電素子31からなる蓄電部29に充放電スイッチ25を設けるとともに、各蓄電素子31の両端にショートスイッチ33を、各蓄電素子31の正極に蓄電素子電圧検出回路35を設けた構成を有し、蓄電部29の劣化判断時に充放電スイッチ25をオフにした後、任意の蓄電素子31の両端電圧(Vca)を蓄電素子電圧検出回路35から求め、前記任意の蓄電素子31のショートスイッチ33を既定時間(t)の間、オンにした後オフにし、再度、両端電圧(Vcb)を求めて電圧変化率(Δ)を計算し、劣化限界範囲と比較して劣化を判断する動作を、全蓄電素子31に対し順次行い、いずれかの蓄電素子31の電圧変化率(Δ)が前記劣化限界範囲を超えれば、蓄電部29が劣化していると判断して、充放電スイッチ25をオフのままにするようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、蓄電部から電力を供給する蓄電装置に関するものである。
近年、環境への配慮や燃費向上のためにハイブリッド車が市販されている。これは、自動車(以下、車両という)をエンジンだけでなくモータによっても駆動するので、効率が向上し、低燃費化を実現できる。このハイブリッド車はモータを駆動するために大電力を扱う蓄電装置が必要となる。蓄電装置はモータを駆動するだけでなく、制動時の回生エネルギーを蓄える動作を行っている。これにより、制動エネルギーを有効利用できるので、低燃費化が可能となる。
このような蓄電装置に使用される蓄電素子として、通常のモータ駆動に用いられる二次電池に加え、急加速時に大電力を供給するため、例えば急速充放電が可能なキャパシタを併用する構成が考案されている。しかし、キャパシタは車両の使用中に何度も短時間に充放電が繰り返されるので、高信頼性を得るにはキャパシタの劣化判断が重要となる。キャパシタの劣化判断装置としては、例えば下記特許文献1に記載されたものが提案されている。
図5はキャパシタの劣化判断装置の概略回路図である。なお、図5は電動車両のモータ駆動回路におけるインバータに設けられた平滑用コンデンサの劣化判断装置を示す。図5において、車両駆動用のモータ101はバッテリ103の電力によって駆動される。この電力をモータ101に供給し駆動するために、モータ101とバッテリ103の間にはインバータ105が接続されている。また、インバータ105の電力入力側には、その両端に平滑用コンデンサ107が接続されるとともに、バッテリ103の電力をインバータ105に供給するためのモータコンタクタ109が接続されている。さらに、インバータ105を制御するために、インバータ105の入力電圧や入力電流を求める電圧センサ111と電流センサ113が図5に示すように接続されている。
平滑用コンデンサ107の劣化判断のための構成としては、平滑用コンデンサ107を充電するためのプリチャージコンタクタ115とプリチャージ抵抗117が直列接続された状態でモータコンタクタ109の両端に接続されている。また、平滑用コンデンサ107を放電するためのディスチャージコンタクタ119とディスチャージ抵抗121が直列接続された状態で平滑用コンデンサ107の両端に接続されている。
また、電圧センサ111と電流センサ113の電圧値、電流値からインバータ105を制御するために電子制御ユニット123が接続されている。電子制御ユニット123は他にもモータコンタクタ109、プリチャージコンタクタ115、ディスチャージコンタクタ119のオンオフ制御等も行っている。
次に、このようなキャパシタの劣化判断装置における動作について説明する。電子制御ユニット123は車両起動時に、モータコンタクタ109がオフの状態でプリチャージコンタクタ115をオンにする。その結果、プリチャージ抵抗117により電流制限された状態で平滑用コンデンサ107が充電される。この時、電圧センサ111で平滑用コンデンサ107の電圧増加率を検出し、所定値を超えれば平滑用コンデンサ107が劣化したと判断する。また、車両使用終了時にモータコンタクタ109をオフにした後、ディスチャージコンタクタ119をオンにして平滑用コンデンサ107を放電する。この時の放電電流はディスチャージ抵抗121により制限される。この際、電圧センサ111で平滑用コンデンサ107の電圧減少率を検出し、所定値を超えれば平滑用コンデンサ107が劣化したと判断する。このようにして平滑用コンデンサ107の劣化判断を行っている。
特開平9−19003号公報
上記のキャパシタ劣化判断装置によると、確かに平滑用コンデンサ107の劣化判断ができるのであるが、この装置をハイブリッド車の蓄電装置に内蔵される蓄電素子に適用すると、次のような課題があった。
蓄電装置には車両を駆動できる程度の電力供給能力が要求されるので、蓄電素子として例えば大容量の電気二重層キャパシタが用いられる。しかし、電気二重層キャパシタの定格電圧は2V強であるが、その寿命を考慮すると車両使用時の電気二重層キャパシタへの充電電圧は2V程度に抑制しておく必要がある。従って、モータ駆動電圧を得るためには、100個オーダーの蓄電素子を直列、または直並列接続する構成となる。電気二重層キャパシタからなる蓄電素子は直列接続数が増えるほど容量が減るので、電気二重層キャパシタとしては1個当たり数100F(ファラッド)以上のものを用いる必要がある。
このような背景から、ここでは仮に正常時の容量値が600F、劣化限界時(これ以上劣化すれば蓄電装置として使用できない状態)の容量値が420Fとなる蓄電素子を用いて、上記のキャパシタ劣化判断装置を放電時に適用した場合について考える。なお、他のパラメータとして、蓄電素子の正常時における内部抵抗値を0.1mΩ、劣化限界時の内部抵抗値を0.2mΩ、満充電電圧を2Vとする。また、劣化判断時の放電電流を低減するために、ディスチャージ抵抗121の抵抗値を100Ωとする。
放電時の蓄電素子両端電圧Vの経時変化は、(1)式で表される。
V=(Q/C)・exp(−t/R/C) (1)
ここで、Qは蓄電された電荷量(クーロン)、Cは容量値(F)、tは時間(秒)、Rは抵抗値(Ω)である。従って、放電時の蓄電素子両端電圧Vは指数関数的に低下することになる。なお、(1)式に代入する値は次の通りである。
ここで、Qは蓄電された電荷量(クーロン)、Cは容量値(F)、tは時間(秒)、Rは抵抗値(Ω)である。従って、放電時の蓄電素子両端電圧Vは指数関数的に低下することになる。なお、(1)式に代入する値は次の通りである。
蓄電された電荷量QはQ=C・Vで表されるが、ここでVは満充電電圧であるので2Vになる。また、Cは上記の通り、正常時で600F、劣化限界時で420Fである。従って、正常時はQ=1200クーロン、劣化限界時はQ=840クーロンとなる。容量値Cは上記の通りである。抵抗値Rはディスチャージ抵抗121の抵抗値と蓄電素子の内部抵抗値との和となるが、ここでは前者が100Ω、後者が0.1〜0.2mΩであるので、内部抵抗値は無視できる。従って、抵抗値Rは100Ωとした。
これらのパラメータを(1)式に代入して計算した正常時と劣化限界時における蓄電素子両端電圧Vの経時変化特性図を図6に示す。図6において、横軸はディスチャージコンタクタ119のオン時間t(秒)、縦軸は蓄電素子両端電圧Vをそれぞれ示す。また、正常時の特性を実線で、劣化限界時の特性を点線で示す。
図6から明らかなように、蓄電素子両端電圧Vは経時的に低下していくことがわかる。また、正常時(実線)と劣化限界時(点線)において、それぞれの傾き(電圧減少率)が異なることから、原理的には従来のキャパシタ劣化判断装置でも劣化判断が可能であることがわかる。
ここで、一般的に用いられる汎用マイクロコンピュータで電子制御ユニット123を構成した場合、それに内蔵されるADコンバータの入力分解能は通常10ビット程度であるので、電圧センサ111の出力電圧が0〜2Vとすれば、電子制御ユニット123の電圧読み込み分解能は2V/210≒2mVとなる。従って、電子制御ユニット123は2mV単位でしか電圧を読み込むことができない。
この点に基づいて図6を参照すると、電子制御ユニット123の電圧読み込み分解能(=2mV)以上の正常時と劣化限界時の傾き差を得るには、図中に縦点線で示したように140秒(2分強)程度かかることがわかる。すなわち、傾きを求めるための始点の座標(0秒、2V)は共通であり、終点の座標は時間140秒において正常時で(140秒、約1.995V)、劣化限界時で(140秒、約1.993V)となるので、140秒での両者の蓄電素子両端電圧Vの差(傾きの差に相当)は約2mVとなる。これは電子制御ユニット123の電圧読み込み分解能と等しい値であるので、従来のキャパシタ劣化判断装置で車両用の大容量電気二重層キャパシタの劣化判断を行うには最低でも2分以上経過しないと、正常時と劣化限界時の傾きの差を検出できない。さらに、回路ノイズやADコンバータの誤差等を考慮すると、2mVの電圧読み込みに対する精度は不十分であるので、少なくとも分解能(2mV)の5倍である10mV程度の有意な電圧差が得られるまで待つ必要がある。この場合の劣化判断時間は約12分となる。
また、上記計算は蓄電素子1個当たりについてであり、前記したように100個オーダーもの蓄電素子に対し、それぞれ有意な劣化判断を行うと、劣化判断のために20時間程度もかかることになる。
これらのことから、従来のキャパシタ劣化判断装置は、複数の大容量蓄電素子の劣化判断を行うためには時間がかかりすぎるという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高速に蓄電素子の劣化判断ができる高信頼な蓄電装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の蓄電装置は、複数の蓄電素子の直列、または直並列接続構成を有する蓄電部と、前記各蓄電素子の両端、または並列接続された前記蓄電素子を一まとめにした各蓄電素子群の両端に接続され、所定の内部抵抗値を有するショートスイッチと、前記各蓄電素子同士、または前記各蓄電素子群同士の接続点、および前記蓄電部の正極に接続された蓄電素子電圧検出回路と、前記ショートスイッチ、および蓄電素子電圧検出回路が接続された制御部とを備え、前記制御部は前記蓄電部の電圧(V1)が既定範囲内であり、かつ前記蓄電部が充放電していない時に、任意の前記蓄電素子、または任意の前記蓄電素子群の両端電圧(Vca)を、前記蓄電素子電圧検出回路から求め、前記ショートスイッチを既定時間(t)の間、オンにした後オフにし、再度、前記任意の蓄電素子、または前記任意の蓄電素子群の両端電圧(Vcb)を、前記蓄電素子電圧検出回路から求め、前記両端電圧(Vca、Vcb)と前記既定時間(t)から電圧変化率(Δ)を計算し、前記電圧変化率(Δ)と、前記電圧変化率(Δ)の劣化限界範囲とを比較して劣化を判断する動作を、全ての前記蓄電素子、または前記蓄電素子群に対して順次行い、いずれかの前記蓄電素子、または前記蓄電素子群の前記電圧変化率(Δ)が前記劣化限界範囲を超えれば、前記蓄電部が劣化していると判断するようにしたものである。
本発明の蓄電装置によれば、従来のディスチャージ抵抗を廃し、各蓄電素子の劣化を判断する際に、その両端をショートスイッチによりほぼショートするようにしたので、大電流が流れることによりすぐに蓄電素子両端電圧が低下していく。その結果、正常時と劣化限界時における有意な傾きの差が短時間で得られ、蓄電素子全体に対する劣化判断を高速に行える高信頼な蓄電装置を実現できるという効果が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、蓄電装置をハイブリッド車の主電源補助用として用いた場合について述べる。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における蓄電装置の蓄電素子を直列接続した際のブロック回路図である。図2は、本発明の実施の形態における蓄電装置の劣化判断時の蓄電素子両端電圧の経時変化図である。図3は、本発明の実施の形態における蓄電装置の劣化判断時のフローチャートである。図4は、本発明の実施の形態における蓄電装置の蓄電素子を直並列接続した際のブロック回路図である。なお、図1と図4の太線は電力系配線を、細線は信号系配線をそれぞれ示す。
図1は、本発明の実施の形態における蓄電装置の蓄電素子を直列接続した際のブロック回路図である。図2は、本発明の実施の形態における蓄電装置の劣化判断時の蓄電素子両端電圧の経時変化図である。図3は、本発明の実施の形態における蓄電装置の劣化判断時のフローチャートである。図4は、本発明の実施の形態における蓄電装置の蓄電素子を直並列接続した際のブロック回路図である。なお、図1と図4の太線は電力系配線を、細線は信号系配線をそれぞれ示す。
図1において、蓄電装置11は主電源15と負荷17との間に接続されている。主電源15は二次電池であり、負荷17は車両駆動用のモータである。従って、通常のモータ駆動時は主電源15の電力を負荷17に供給するが、急加速時等で負荷17が短時間に大電力を消費する時には蓄電装置11から負荷17に電力が供給される構成となる。
蓄電装置11は次の構成を有する。まず、主電源15の出力には、その電圧Vbを検出する主電源電圧検出回路21が接続されている。主電源電圧検出回路21の電力系配線(太線)の入力側と出力側は同電圧になるよう接続されている。
主電源電圧検出回路21と負荷17の間には切替スイッチ23が接続されている。切替スイッチ23はオン、オフの2つの状態を有するものであり、本実施の形態ではアノードを主電源電圧検出回路21に、カソードを負荷17に接続したダイオードを用いた。
切替スイッチ23と負荷17の接続点には充放電スイッチ25の一端が接続されている。充放電スイッチ25は外部からオンオフ制御が可能な構成を有し、本実施の形態ではFETを用いた。また、充放電スイッチ25の他端には電力を蓄える蓄電部29の正極側が接続されている。従って、充放電スイッチ25をオンにすることで、蓄電部29の充放電が可能となる。
蓄電部29は複数の蓄電素子31を直列に接続した構成を有する。また、蓄電素子31には定格電圧が2.2Vで、正常時の容量値が600Fの電気二重層キャパシタを用いた。
各蓄電素子31の両端には、それぞれショートスイッチ33が接続されている。ショートスイッチ33は所定の内部抵抗値(本実施の形態では10mΩとした)を有するFETで構成される。このFETには後述するように200A程度の電流が流れるので、大電流対応型のFETを用いた。このように、ショートスイッチ33を各蓄電素子31の両端に接続する構成としたので、従来のようにディスチャージ抵抗が不要となり回路構成が簡単になるとともに、低コスト化が可能となる。
各蓄電素子31同士の接続点、および蓄電部29と充放電スイッチ25の接続点には、それぞれ蓄電素子電圧検出回路35が接続されている。蓄電素子電圧検出回路35は前記各接続点の電圧を、後述する制御部に内蔵されたADコンバータが読み込める電圧に比例変換するもので、簡単には2個の抵抗器を直列接続し、その中点電圧を出力する構成とすればよい。
また、蓄電部29には温度センサ37が設けられている。温度センサ37としては、例えば温度変化を抵抗値変化として出力するサーミスタを用いた。これにより、蓄電部29の温度を検出している。
主電源電圧検出回路21、充放電スイッチ25、ショートスイッチ33、蓄電素子電圧検出回路35、および温度センサ37は信号系配線で制御部41にも接続されている。但し、ショートスイッチ33と蓄電素子電圧検出回路35は複数存在するので、それぞれショートスイッチ選択マルチプレクサ43、および電圧検出用マルチプレクサ45を介して制御部41に接続されている。なお、ショートスイッチ選択マルチプレクサ43は複数のショートスイッチ33の内の1つを選択して、そのオンオフ制御を行う。また、電圧検出用マルチプレクサ45は複数の蓄電素子電圧検出回路35の内の1つを選択して、その電圧を出力する。
制御部41はマイクロコンピュータから構成されており、蓄電装置11の全体の動作を制御している。すなわち、制御部41は主電源電圧検出回路21の出力から主電源15の電圧Vbを、温度センサ37の出力から蓄電部29の温度Tを、また電圧検出用マルチプレクサ45を介して任意の蓄電素子電圧検出回路35の電圧Viをそれぞれ読み込む。なお、制御部41は蓄電素子電圧検出回路35を選択するために、蓄電素子電圧検出回路選択信号Vselを電圧検出用マルチプレクサ45に送信する。また、制御部41は充放電スイッチ25に充放電スイッチオンオフ信号OFを送信することで充放電スイッチ25のオンオフ制御を行うとともに、ショートスイッチ選択マルチプレクサ43にショートスイッチ選択信号Sselを送信してショートスイッチ33を選択し、ショートスイッチオンオフ信号HLを送信することでショートスイッチ33のオンオフ制御を行う。さらに、制御部41は車両用制御回路(図示せず)とデータ信号dataの送受信を行うことで互いに交信する機能を有している。
次に、従来の図6と対比するために、このような蓄電装置11における蓄電素子31の正常時と劣化限界時の放電特性を計算する。計算式は(1)式を用い、計算の前提条件は従来と同じである。すなわち、蓄電素子31の容量値Cは正常時600F、劣化限界時420F、内部抵抗値は正常時0.1mΩ、劣化限界時0.2mΩとする。また、満充電電圧Vを2Vとする。従って、(1)式における電荷量Qは正常時1200クーロン、劣化限界時840クーロンとなる。また、ショートスイッチ33の内部抵抗値は10mΩであるので、抵抗値Rは蓄電素子31の内部抵抗値とショートスイッチ33の内部抵抗値を合計した値、すなわち正常時は10.1mΩ、劣化限界時は10.2mΩとなる。
これらのパラメータを(1)式に代入して計算した正常時と劣化限界時における蓄電素子両端電圧Vの経時変化特性図を図2に示す。図2において、横軸はショートスイッチ33のオン時間t(秒)、縦軸は蓄電素子両端電圧Vをそれぞれ示す。また、図6と同様に、正常時の特性を実線で、劣化限界時の特性を点線で示す。
図2から明らかなように、蓄電素子両端電圧Vは経時的に低下していき、正常時(実線)と劣化限界時(点線)において、それぞれの傾き(電圧変化率)が異なることから、蓄電素子31の劣化判断が可能であることがわかる。
ここで、従来例で説明したように制御部41に内蔵されたADコンバータの分解能を10ビットとした時、回路ノイズや読み込み誤差の影響を考慮した正常時と劣化限界時の有意な電圧差(傾きの差)である10mVが得られる時間は、図2の縦点線に示したように約0.08秒であることがわかる。従って、ショートスイッチ33をオンにしてから0.08秒後に蓄電素子31の劣化を判断することができる。これにより、蓄電部29に100個オーダーの蓄電素子31が内蔵されていても、それら全ての劣化判断を8秒程度で終了することができ、従来に比べ極めて高速に劣化判断ができることがわかる。
なお、劣化判断に要する時間は抵抗値Rが小さいほど早くなるので、抵抗値Rの大部分を占めるショートスイッチ33の内部抵抗値を小さくすれば早く劣化判断を終了することができる。しかし、前記内部抵抗値を小さくするほど、ショートスイッチ33をオンにした時の突入電流(=V/R)が大きくなりショートスイッチ33が破壊する可能性が高くなる。一方で抵抗値Rが大きくなると劣化判断時間が長くなる。そこで、本実施の形態ではシュートスイッチ33が破壊せず、かつ劣化判断をできるだけ早く行うために、ショートスイッチ33に用いるFETの定格電流を200Aとし、突入電流がそれと同等になるような所定の内部抵抗値を有するFETを用いた。具体的には、最大突入電流が流れる満充電時の蓄電素子31の両端電圧が2V、突入電流を200Aとすると、抵抗値Rは10mΩとなるので、内部抵抗値が10mΩのFETを用いた。なお、使用したFETの定格電流は200Aであるので、許容電流はそれよりさらに大きい値を有する。
次に、このような蓄電装置11の動作について説明する。
まず、通常の蓄電装置11の動作を述べる。運転者がイグニションキー(図示せず)をオンにすると、蓄電装置11が起動する。この際、蓄電部29を満充電にするために、制御部41は充放電スイッチ25をオンにするよう充放電スイッチオンオフ信号OFを送信する。これにより、充放電スイッチ25がオンになり、蓄電部29が切替スイッチ23のカソード側と接続されたことになる。この際、蓄電部29は車両非使用時の自己放電等により満充電状態ではないので、蓄電部29の電圧は主電源15の電圧Vbより低くなる。従って、切替スイッチ23が自動的にオンになり蓄電部29が満充電される。
その後、車両使用時の加速等により負荷17が大電流を消費したとする。この場合、主電源15からの電力だけではこのような瞬発的な大電流を供給できない。そこで、本実施の形態では、大電流消費により主電源15の電圧Vbが低下すると、満充電された蓄電部29の電圧の方が高くなるので、切替スイッチ23がオフになり、蓄電部29の電力が負荷17に供給される。この際、蓄電素子31は急速充放電に優れるため、負荷17に瞬発的な大電流を供給することができる。また、切替スイッチ23はオフなので、蓄電部29から主電源15に電流が流れることがなく、蓄電部29に蓄えた電力を有効に負荷17に供給できる。但し、蓄電部29の電圧は経時的に低下していくので、切替スイッチ23がオフになっている間に回復した主電源15の電圧Vbの方がいずれ高くなる。その時には切替スイッチ23がオンになり、負荷17へは主電源15から電力が供給される。また、この時に蓄電部29から放電された電力を補うために、主電源15により蓄電部29が満充電され、次の加速等に備える。
このような動作を繰り返すことにより、蓄電部29の電力は補助的に負荷17に供給されることになる。
次に、蓄電装置11の劣化判断動作について、図3のフローチャートにより説明する。なお、制御部41はメインルーチン(図示せず)から必要に応じて様々なサブルーチンを実行することにより全体の動作を行うソフトウエア構成としているので、図3に示すフローチャートをサブルーチンの形態で示した。
制御部41は、定期的に図3のサブルーチンを実行する。これにより、まず主電源電圧検出回路21により主電源15の電圧Vbを読み込み(S1)、電圧Vbと既定値を比較する(S3)。なお、既定値は前記したように負荷17を駆動できる最低電圧である。もし、電圧Vbが既定値以下であれば(S3のYes)、負荷17が急加速等により大電流を消費している途中であるので、劣化判断を行わずに図3のサブルーチンを終了する。
一方、電圧Vbが既定値を超えていれば(S3のNo)、電圧検出用マルチプレクサ45を経由して電圧V1を読み込む(S5)。この電圧V1は蓄電部29の電圧に相当する。次に、電圧V1が既定範囲内であるか否かを判断する(S7)。ここで、前記既定範囲は次のようにして決定している。
各蓄電素子31の両端電圧は放電時の0Vから満充電時の2Vまで変化するが、図2の電圧変化率(傾き特性)を求めて劣化判断を行うためには、蓄電素子31にある程度の電荷が充電されている必要がある。そこで、各蓄電素子31の両端電圧が少なくとも0.5V以上あれば劣化判断を行うようにしている。なお、0.5Vという電圧値はそれに限定されるものではなく、例えば高精度なADコンバータを用いることにより、正常時と劣化限界時における図2の電圧変化率の差をより高精度に、かつ有意に求められれば、それより小さくても構わない。ここでは、蓄電素子31は100個あるので、前記既定範囲は50V(=0.5V×100個)から200V(=2V×100個)となる。
電圧V1が既定範囲内でなければ(S7のNo)、蓄電部29が充電開始後、間もない状態であると考えられるので、劣化判断を行わず図3のサブルーチンを終了する。一方、電圧V1が既定範囲内にあれば(S7のYes)、充放電スイッチ25をオフにする(ステップ番号S11)。これにより、劣化判断時に蓄電部29が充放電していない状態とすることができるので、高精度な劣化判断が行え、高信頼性が得られる。次に、温度センサ37の出力信号Tを読み込み(S13)、蓄電素子31の番号iを1にする(S15)。なお、番号iは制御部41に内蔵したメモリを使用しており、蓄電素子31がn個直列であるとすると、番号iはi=1〜nのいずれかの値になる。S15ではこれから各蓄電素子31の劣化を順番に判断していくので、最初の蓄電素子31の番号である1をiに代入している。
次に、主電源電圧検出回路21により主電源15の電圧Vbを読み込み(S17)、電圧Vbと既定値を比較する(S19)。なお、既定値はS3で説明した値と同じである。もし、電圧Vbが既定値以下であれば(S19のYes)、負荷17が急加速等により大電流を消費しているので、蓄電部29からの電力を放電して負荷17に供給する必要がある。この場合には各蓄電素子31の両端電圧が一斉に経時的に低下していくので、個々の劣化判断を行うことができない。そこで、蓄電部29の劣化判断動作を行っている間に、主電源15の電圧Vbが既定値以下になれば、制御部41は劣化判断動作を中止する。そのために、後述するS67にジャンプする。なお、電圧Vbと既定値との比較(S19)は図3のフローチャート中で実行しているが、これは図3のフローチャート実行中に一定間隔毎に割り込むルーチンを別途設け、それにより電圧Vbと既定値との比較判断を行うようにしてもよい。その結果、さらにタイムリーに劣化判断動作の中止が可能となる。
ここでS19に戻って、電圧Vbが既定値を超えていれば(S19のNo)、主電源15は通常動作中であるので、劣化判断動作を続行する。まず、電圧検出用マルチプレクサ45に蓄電素子電圧検出回路選択信号Vselを送信して番号iの蓄電素子31の正極に接続された蓄電素子電圧検出回路35を選択する。次に、選択した蓄電素子電圧検出回路35の出力電圧Viを電圧検出用マルチプレクサ45経由で読み込む。同様に、番号i+1の蓄電素子31の正極に接続された蓄電素子電圧検出回路35を選択し、その蓄電素子電圧検出回路35の出力電圧Vi+1を電圧検出用マルチプレクサ45経由で読み込む(以上、S21)。次に、両者の差、すなわち番号iの蓄電素子31における放電前の両端電圧Vca(=Vi−Vi+1)を求める(S23)。その後、番号iの蓄電素子31の両端に接続されたショートスイッチ33をオンにする(S25)。具体的には、まずショートスイッチ選択マルチプレクサ43にショートスイッチ選択信号Sselを送信し、次にショートスイッチオンオフ信号HLをオン信号として送信する。これにより、ショートスイッチ33がオンになり、蓄電素子31の蓄電電荷が大電流となってショートスイッチ33に流れる。ショートスイッチ33は既定時間t(前記したようにt=0.08秒)の間だけオンにするので、その時に流れる電流Iは、蓄電素子31が正常時の場合、電荷量Q=C・ΔV=I・tに、C=600F、ΔV=2−1.973=0.027V、t=0.08秒を代入して、I≒202Aとなる。ゆえに、S25でショートスイッチ33には約200Aもの電流が流れることになるが、前記したようにショートスイッチ33として許容電流が200Aより十分大きいFETを使用しているので、これによりショートスイッチ33が破壊、損傷することはない。
この状態で既定時間t(=0.08秒)が経過したか否かを判断し(S27)、経過していなければ(S27のNo)、再びS27に戻って既定時間tが経過するのを待つ。既定時間tが経過すれば(S27のYes)、番号iのショートスイッチ33をオフにするために、ショートスイッチオンオフ信号HLをオフ信号として送信する(S29)。これにより、ショートスイッチ33は既定時間tの間、オンした後オフになるよう制御される。その後、すぐにS21と同様にして電圧検出用マルチプレクサ45経由で電圧Vi、Vi+1を読み込み(S31)、番号iの蓄電素子31における放電後の両端電圧Vcb(=Vi−Vi+1)を求める(S33)。
こうして得られた番号iの蓄電素子31における放電前後の両端電圧Vca、Vcbと、既定時間tから電圧変化率Δを計算する(S35)。なお、電圧変化率Δは、Δ=|Vca−Vcb|/tで求められる。従って、蓄電素子31が正常時であれば、前記したように放電前の満充電状態にある蓄電素子31の両端電圧Vcaは約2Vとなり、放電後の両端電圧Vcbは図2より約1.973Vとなるので、Δ=|2−1.973|/0.08≒0.338となる。一方、蓄電素子31が劣化限界時であれば、放電後の両端電圧Vcbは図2より約1.963Vとなるので、Δ=|2−1.963|/0.08≒0.463となる。従って、S35で電圧変化率Δを求めることにより、番号iの蓄電素子31の劣化判断を行うことができる。但し、電圧変化率Δは(1)式より蓄電素子31の容量値Cと内部抵抗値Rの関数であることがわかるが、容量値Cと内部抵抗値Rは蓄電素子31の劣化進行以外にも、温度Tによっても変化する。従って、蓄電装置11を例えば温度変化の少ない非常用電源等に用いる場合は温度の影響を考慮する必要性は低いが、ここでは車両用の蓄電装置11として用いているので、温度変化が大きい。この場合は、電圧変化率Δも温度Tによって変わるので、劣化判断方法として、S35で計算した電圧変化率Δが、S13で求めた現在の温度Tにおける劣化限界範囲を超えたか否かを判断するようにしている(S37)。具体的には、上記電圧変化率Δの数値は室温のものであるので、室温において電圧変化率Δが0.463よりも大きくなると劣化限界範囲を超えたと判断する。なお、制御部41は様々な温度における電圧変化率Δの劣化限界範囲をメモリに記憶しているので、現在の温度Tでの劣化限界範囲を用いてS37の劣化判断を行っている。ここで、本実施の形態では図2に示すように蓄電素子31の劣化が進行すると電圧変化率Δが大きくなる傾向を示すが、蓄電素子31の容量値や内部抵抗値によっては、劣化進行に伴い電圧変化率Δが小さくなる傾向のものもある。従って、劣化限界時の電圧変化率Δを超えれば劣化と判断するものもあれば、劣化限界時の電圧変化率Δを下回れば劣化と判断するものもあるので、ここではこれらをまとめて、蓄電素子31が劣化限界に至るまでの正常状態の範囲を劣化限界範囲と呼ぶ。ゆえに、劣化限界範囲を超えれば劣化したと判断することになる。
電圧変化率Δが現在の温度Tにおける劣化限界範囲を超えていれば(S37のYes)、制御部41は蓄電部29が劣化していると判断し、車両用制御回路に劣化信号を出力する(S39)。これを受け、車両用制御回路は蓄電装置11が劣化したことを運転者に警告し、修理を促す。この際、劣化信号には劣化した蓄電素子31の識別情報(例えば番号i)が含まれていてもよい。この場合、車両用制御回路はどの蓄電素子31が劣化したかを知ることができるので、これを修理者に示すことで修理のサービス性や信頼性が高まる。
S39で劣化信号を出力した後は、そのまま図3のサブルーチンを終了しメインルーチンに戻る。従って、劣化判断中にいずれかの蓄電素子31が1つでも劣化していると判断されれば、その時点で劣化信号を出力し、残りの蓄電素子31の劣化判断は行わない。これにより、少しでも早く劣化を運転者に警告することができ、信頼性が高まる。また、図3のサブルーチンを終了した段階では、充放電スイッチ25がS11でオフになったままになるので、主電源15から負荷17に至る電力系配線から蓄電部29を切り離していることになる。その結果、劣化した蓄電部29が主電源15から負荷17の電力系配線に電気的な影響を及ぼすことがなくなり、高信頼性が得られる。
ここでS37に戻って、電圧変化率Δが現在の温度Tにおける劣化限界範囲を超えていなければ(S37のNo)、番号iを1だけ加算し、次の番号とする(S41)。次に、番号iが最後の蓄電素子31の番号nと等しいか否かを判断する(S43)。もし、等しくなければ、全ての蓄電素子31に対する劣化判断動作が終了していないので、S17に戻って劣化判断動作を順次繰り返す。
一方、もし番号iがnと等しければ(S43のYes)、この時点までで番号n−1までの蓄電素子31の劣化判断が終了し、いずれも劣化していない状態にあることになる。従って、以下のルーチンは最後の蓄電素子31の劣化判断を行う動作を示す。
まず、主電源電圧検出回路21により主電源15の電圧Vbを読み込み(S45)、電圧Vbと既定値を比較する(S47)。なお、既定値はS19と同じである。もし、電圧Vbが既定値以下であれば(S47のYes)、S19で説明した同じ理由で劣化判断動作を中止する。そのために、後述するS67にジャンプする。
一方、電圧Vbが既定値を超えていれば(S47のNo)、番号nの蓄電素子31の正極に接続された蓄電素子電圧検出回路35の出力電圧Vnを電圧検出用マルチプレクサ45経由で読み込む(S49)。この際、番号nの蓄電素子31の負極は図1に示すようにグランドに接続されているので、番号nの蓄電素子31の両端電圧Vcaは前記電圧Vnと等しくなる。従って、S21のように次の番号の蓄電素子電圧検出回路35の出力電圧を読み込む必要はない。また、両端電圧Vcaに電圧Vnを代入することで、番号nの蓄電素子31における放電前の両端電圧Vcaを求める(S51)。その後、番号nの蓄電素子31の両端に接続されたショートスイッチ33をオンにして大電流で放電する(S53)。この状態で既定時間t(=0.08秒)が経過したか否かを判断し(S55)、経過していなければ(S55のNo)、再びS55に戻って既定時間tが経過するのを待つ。既定時間tが経過すれば(S55のYes)、番号nのショートスイッチ33をオフにする(S57)。その後、すぐにS49と同様にして電圧検出用マルチプレクサ45経由で電圧Vnを読み込み(S59)、番号nの蓄電素子31における放電後の両端電圧Vcbとして電圧Vnを代入する(S61)。次に、両端電圧Vca、Vcbと、既定時間tから電圧変化率Δを計算する(S63)。なお、電圧変化率Δの計算方法はS35で説明した通りである。
次に、得られた電圧変化率Δが現在の温度Tにおける劣化限界範囲を超えていれば(S65のYes)、番号nの蓄電素子31が劣化しているので、前記したS39にジャンプする。一方、電圧変化率Δが現在の温度Tにおける劣化限界範囲を超えていなければ(S65のNo)、全ての蓄電素子31が劣化していないことになるので、蓄電部29が正常であると判断し、引き続き補助電源として蓄電装置11を使用できるようにするために、充放電スイッチ25をオンにする(S67)。これにより、主電源15の電力が蓄電部29に供給されるので、僅かずつではあるが劣化判断で放電した各蓄電素子31を満充電にすることができる。また、主電源15から負荷17に至る電力系配線に蓄電部29が接続されたことになるので、急加速時等における主電源15の電圧Vbの低下を蓄電部29に蓄えた電力で補うことができる。その後、図3のサブルーチンを終了する。
以上の劣化判断動作をまとめると、以下のようになる。
制御部41は蓄電部29の電圧V1が既定範囲内であり、かつ蓄電部29が充放電していない(ここではそのために充放電スイッチ25をオフにしている)時に、任意の蓄電素子31の両端電圧Vcaを蓄電素子電圧検出回路35から求める。次に、任意の蓄電素子31の両端に接続されたショートスイッチ33を既定時間tの間、オンにした後オフにし、再度、任意の蓄電素子31の両端電圧Vcbを、蓄電素子電圧検出回路35から求める。得られた両端電圧Vca、Vcbと既定時間tから電圧変化率Δを計算する。この電圧変化率Δと、温度センサ37から得られる温度Tにおける電圧変化率Δの劣化限界範囲とを比較して劣化を判断する。このような動作を、全ての蓄電素子31に対して順次行い、いずれかの蓄電素子31の電圧変化率Δが劣化限界範囲を超えれば、蓄電部29が劣化していると判断して劣化信号を出力するとともに、充放電スイッチ25をオフのままにする。
以上の構成、動作により、各蓄電素子31の劣化を判断する際に、その両端をショートスイッチ33によりショートするようにしたので、大電流が流れることによりすぐに蓄電素子両端電圧が低下していき、正常時と劣化限界時における有意な電圧変化率Δ(傾き)の差が短時間で得られ、蓄電素子31全体に対する劣化判断を高速に行える高信頼な蓄電装置を実現できる。
なお、本実施の形態では蓄電部29の正極側に充放電スイッチ25を設けたが、これはなくてもよい。この場合、劣化判断を行う際に、充放電スイッチ25による主電源15や負荷17との切り離しができなくなるので、蓄電部29が充放電していない状態であることを検出する必要がある。このためには、蓄電部29の電圧V1が満充電状態であることを蓄電素子電圧検出回路35により判断すると同時に、主電源15の電圧Vbが既定値以上であることを主電源電圧検出回路21により判断すればよい。この結果、前者の判断により蓄電部29は現在充電されていないことがわかり、後者の判断により蓄電部29は負荷17に対し現在放電していないことがわかるので、蓄電部29が充放電していない状態であることを検出できる。
また、本実施の形態では蓄電素子31の劣化を判断する際の、正常時と劣化限界時における蓄電素子両端電圧差を約10mVと設定しているが、これは蓄電素子電圧検出回路35により検出する電圧が、図2より1.9〜2V程度の範囲に限定されるので、この範囲の電圧を蓄電素子電圧検出回路35で検出した後、増幅して制御部41のADコンバータに入力するようにしてもよい。これにより、ADコンバータに入力される10mV相当の蓄電素子両端電圧差を得るまでの時間がさらに短くなるので、より高速な蓄電素子31の劣化判断が可能となる。
また、本実施の形態において蓄電素子31に電気二重層キャパシタを用いたが、これは電気化学キャパシタ等の他の蓄電素子でもよい。さらに、蓄電部29は複数の蓄電素子31を直列に接続した構成としたが、これに限定されるものではなく、負荷17が要求する電力仕様に応じて図4に示すように直並列接続としてもよい。図4では並列接続数が2の場合、すなわち2個の蓄電素子31を並列に接続した場合を示すが、これは2個以上であってもよい。この場合、回路的には並列接続された蓄電素子31を一まとめにした蓄電素子群47を1つの蓄電素子とみなすことができるので、図1の蓄電素子31を蓄電素子群47に置き換えることにより、図1で説明した構成、動作と全く同じになる。従って、図4の詳細については説明を省略する。但し、図4の構成では蓄電素子群47毎に劣化判断が行われることになる。
また、本実施の形態では蓄電装置11をハイブリッド車に適用した場合について述べたが、それに限らず、電気自動車や燃料電池車の補助電源等にも適用可能である。また、蓄電装置11を主電源15の補助用として用いたハイブリッド車の場合を述べたが、これは蓄電素子11のみをハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車に用いてもよい。さらに、蓄電装置11を車両用に限らず非常用電源として適用してもよい。
本発明にかかる蓄電装置は、蓄電素子の劣化判断を高速に行え、高信頼性が得られるので、特に多数の蓄電素子からなる蓄電部より電力を供給する蓄電装置等として有用である。
11 蓄電装置
15 主電源
17 負荷
21 主電源電圧検出回路
23 切替スイッチ
25 充放電スイッチ
29 蓄電部
31 蓄電素子
33 ショートスイッチ
35 蓄電素子電圧検出回路
37 温度センサ
41 制御部
47 蓄電素子群
15 主電源
17 負荷
21 主電源電圧検出回路
23 切替スイッチ
25 充放電スイッチ
29 蓄電部
31 蓄電素子
33 ショートスイッチ
35 蓄電素子電圧検出回路
37 温度センサ
41 制御部
47 蓄電素子群
Claims (6)
- 複数の蓄電素子の直列、または直並列接続構成を有する蓄電部と、
前記各蓄電素子の両端、または並列接続された前記蓄電素子を一まとめにした各蓄電素子群の両端に接続され、所定の内部抵抗値を有するショートスイッチと、
前記各蓄電素子同士、または前記各蓄電素子群同士の接続点、および前記蓄電部の正極に接続された蓄電素子電圧検出回路と、
前記ショートスイッチ、および蓄電素子電圧検出回路が接続された制御部とを備え、
前記制御部は前記蓄電部の電圧(V1)が既定範囲内であり、かつ前記蓄電部が充放電していない時に、任意の前記蓄電素子、または任意の前記蓄電素子群の両端電圧(Vca)を、前記蓄電素子電圧検出回路から求め、
前記ショートスイッチを既定時間(t)の間、オンにした後オフにし、
再度、前記任意の蓄電素子、または前記任意の蓄電素子群の両端電圧(Vcb)を、前記蓄電素子電圧検出回路から求め、
前記両端電圧(Vca、Vcb)と前記既定時間(t)から電圧変化率(Δ)を計算し、
前記電圧変化率(Δ)と、前記電圧変化率(Δ)の劣化限界範囲とを比較して劣化を判断する動作を、全ての前記蓄電素子、または前記蓄電素子群に対して順次行い、
いずれかの前記蓄電素子、または前記蓄電素子群の前記電圧変化率(Δ)が前記劣化限界範囲を超えれば、前記蓄電部が劣化していると判断するようにした蓄電装置。 - 前記蓄電部の劣化判断動作を行っている間に、前記蓄電部からの放電が必要になれば、前記制御部は前記劣化判断動作を中止するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
- 前記蓄電部が劣化していると判断した場合には、前記制御部は劣化信号を出力するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
- 前記劣化信号には劣化した前記蓄電素子の識別情報が含まれる請求項3に記載の蓄電装置。
- 前記蓄電部に設けられ、前記制御部に接続された温度センサを備え、
前記制御部は計算した前記電圧変化率(Δ)を、前記温度センサから得られる温度(T)における前記電圧変化率(Δ)の劣化限界範囲と比較して劣化を判断するようにした請求項1に記載の蓄電装置。 - 前記蓄電部の正極側に、前記制御部によってオンオフ制御される充放電スイッチを設け、
前記制御部は、前記蓄電部の劣化判断を行う前に前記充放電スイッチをオフにし、
前記蓄電部が劣化していると判断した場合には、前記充放電スイッチをオフのままにするようにした請求項1に記載の蓄電装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007076324A JP2008232989A (ja) | 2007-03-23 | 2007-03-23 | 蓄電装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2007
- 2007-03-23 JP JP2007076324A patent/JP2008232989A/ja active Pending
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