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JP2008216671A - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向剤および液晶表示素子 Download PDF

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JP2008216671A
JP2008216671A JP2007054448A JP2007054448A JP2008216671A JP 2008216671 A JP2008216671 A JP 2008216671A JP 2007054448 A JP2007054448 A JP 2007054448A JP 2007054448 A JP2007054448 A JP 2007054448A JP 2008216671 A JP2008216671 A JP 2008216671A
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Japan
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liquid crystal
group
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dianhydride
aminophenyl
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JP2007054448A
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Tsutomu Kumagai
勉 熊谷
Soji Fukuma
聡司 福間
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JSR Corp
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JSR Corp
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Abstract

【課題】良好な配向性と保存安定性を備えた液晶配向剤の提供。
【解決手段】4価の有機基を有するテトラカルボン酸二無水物と、2価の有機基を有するジアミン化合物と、炭素数1〜30の線状、分枝状または環状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基、または炭素数4〜30の線状、分枝状または環状のアルケニル基もしくはフルオロアルケニル基を有するモノアミン化合物とを、反応させて得られるポリアミック酸および/またはそのイミド化重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示素子の液晶配向膜を形成するために用いられる液晶配向剤および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、配向性が良好であり、かつ保存安定性の良好な液晶配向膜を与える液晶配向剤および液晶表示素子に関する。
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面にポリアミック酸、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、いわゆるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、TN型液晶表示素子に比してコントラストが高くて、その視角依存性の少ないSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や、垂直配向型液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶として用い、液晶分子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用するものである。これらに対し、非特許文献1および特許文献1に記載されているように、ITO膜上に突起を形成して液晶の配向方向を制御する、MVA方式と呼ばれる垂直配向型液晶表示素子が提案されている。MVA方式の液晶表示素子は、視野角、コントラストなどに優れ、液晶配向膜の形成においてラビング処理を行わなくて良いなど、製造工程の面でも優れている。TN、STN、MVA方式に好適な液晶配向膜としては、液晶表示素子の残像消去時間が短いなどの性能が要求されている。このTN、STN,MVA型表示素子などの液晶表示素子における液晶の配向は、通常、ラビング処理により液晶分子の配向能が付与された液晶配向膜により実現される。ここに、液晶表示素子を構成する液晶配向膜の材料としては、従来より、ポリイミド、ポリアミドおよびポリエステルなどの樹脂が知られている。特にポリイミドは、耐熱性、液晶との親和性、機械的強度などに優れているため多くの液晶表示素子に使用されている。
しかしながら、従来知られているポリアミック酸やそれを脱水閉環したイミド化重合体を含有する液晶配向剤を用いて液晶表示素子などを作製した場合、配向性不良により液晶表示素子としての特性が低下するというような問題を有している。また、液晶配向剤溶液の保存中に溶液の粘度変化が生じ、印刷時の膜厚のバラツキが大きくなるなどの問題も有している。
特開平11−258605号公報 "液晶"Vol.3 No.2,117(1999年)
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ポリイミド系の液晶配向膜において、配向性に優れ、かつ保存安定性の良好な液晶配向剤およびそれを用いた液晶表示素子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
下記式(I)
Figure 2008216671
ここでRは4価の有機基を示す、
で表されるテトラカルボン酸二無水物、下記式(II)
Figure 2008216671
ここでRは2価の有機基を示す、
で表されるジアミン化合物および下記式(III−1)、(III−2)または(III−3):
Figure 2008216671
ここでR、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の線状、分枝状または環状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基、または炭素数4〜30の線状、分枝状または環状のアルケニル基もしくはフルオロアルケニル基であり、Aは水素原子またはメチル基である。
で表されるモノアミン化合物(以下、「特定モノアミン化合物」という)を反応させて得られる重合体および/またはそのイミド化重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤により達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は第2に、
本発明の上記液晶配向剤から得られる液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、特定モノアミン化合物を含有するポリアミック酸および/またはポリイミド重合体を有機溶媒に溶解されて構成される。
<特定モノアミン化合物>
上記式(III−1)〜(III−3)において、アミノ基の置換位置は特に限定されない。オルト位、パラ位などがあげられる。置換基R〜Rは炭素数1〜30の線状、分枝状または環状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基、または炭素数4〜30の線状、分枝状または環状のアルケニル基もしくはフルオロアルケニル基であり、Aは水素原子またはメチル基である。
上記フルオロアルキル基およびフルオロアルケニル基は、好ましくは1〜15個のフッ素原子を含有する。
上記式(III−1)、(III−2)および(III−3)のそれぞれで表わされるモノアミン化合物としては、例えば、1−(4−アミノフェニル)−3−ヘキシルスクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(2−エチルヘキシル)スクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−オクチルスクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−デシルスクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−ヘキサデシルスクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−オクタデシルスクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−オクテニルスクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−デセニルスクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(4−ヘキサデシル)-シクロヘキシルスクシンイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−オクチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−オクチル−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−デシルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−デシル−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−ヘプタデシルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−ヘプタデシル−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(2−エチルヘキシル)−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(4−オクチル)シクロヘキシル−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(4−ヘキサデシル)シクロヘキシル−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−オクタノキシメチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−オクタノキシメチル−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−デカノキシメチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−デカノキシメチル−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−ヘキサデカノキシメチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−ヘキサデカノキシメチル−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(4−デシル)シクロヘキサノキシマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(4−デシル)シクロヘキサノキシ−4−メチルマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(4−ヘキサデシル)シクロヘキサノキシマレイミド、1−(4−アミノフェニル)−3−(4−ヘキサデシル)シクロヘキサノキシ−4−メチルマレイミド、などを挙げることができる。
本発明で用いられる特定重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、特定モノアミン化合物を反応系に添加することにより、分子量が調節された末端修飾型のものとなる。この末端修飾型の重合体を用いることにより、液晶配向剤の配向性、保存安定性および塗布特性などを向上させることができる。特定モノアミン化合物以外に、酸一無水物、その他のモノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などの末端修飾剤を併用することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、その他のモノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
特定モノアミン化合物の使用量は、全末端修飾剤の20〜100モル%を占めることが好ましい。
<テトラカルボン酸二無水物>
上記ポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましい。とりわけ、上記式(I)のRとして下記式(IV−1)で表わされる基を与える2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および上記式(I)のRとして下記式(IV−2)で表わされる基を与える5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物の内少なくとも1種が特に好ましい。
Figure 2008216671
他の脂環式テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、下記式(A)および(B)で表される化合物、
Figure 2008216671
(式中、RおよびRは、芳香環を有する2価の有機基を示し、RおよびRは、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するRおよびRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
などが挙げられる。
その他、ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(1)〜(4)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。テトラカルボン酸二無水物は1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
Figure 2008216671
上記他の脂環式テトラカルボン酸二無水物のうち、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、上記式(A)で表される化合物のうち下記式(5)〜(7)のそれぞれで表される化合物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物および上記式(B)で表される化合物のうち下記式(8)で表される化合物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましい。特に好ましいものとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)および下記式(5)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008216671
脂環式テトラカルボン酸二無水物以外のその他のテトラカルボン酸二無水物の中で好ましいものとしては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
これらテトラカルボン酸二無水物のうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物が全テトラカルボン酸二無水物に対して50モル%以上であることが好ましい。また、脂環式テトラカルボン酸二無水物の50〜100モル%が2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および/または5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物であることがさらに好ましい。
<ジアミン>
上記ポリアミック酸の合成に用いられるジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾールなどの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンなどの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;下記式(9)で表されるジアミノオルガノシロキサンなどが挙げられる。これらのジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
Figure 2008216671
(式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
これらのうちp−フェニレンジアミン、2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2−エチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジエチル−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、などが好ましく、さらに好ましくは、p−フェニレンジアミン、2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2−エチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジエチル−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、から選ばれる少なくとも一種のジアミンを全ジアミンに対して20モル%以上含有することが好ましく、40モル%以上含有することがより好ましい。
本発明の液晶配向剤にプレチルト角発現性を持たせようとする場合には、下記式(Q−1)および下記式(Q−2)で表される少なくとも一種のジアミンを用いるのが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
Figure 2008216671
(式中、Xは、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−またはアリーレン基であり、Rは、炭素数10〜20のアルキル基、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する1価の有機基または炭素数6〜20のフッ素原子を有する1価の有機基である。)
Figure 2008216671
(式中、Xは、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−またはアリーレン基であり、Rは、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する2価の有機基である。)
上記式(Q−1)において、Rで表される炭素数10〜20のアルキル基としては、例えば、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。また、上記式(Q−1)におけるRおよび上記式(Q−2)におけるRで表される炭素数4〜40の脂環式骨格を有する有機基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカンなどのシクロアルカン由来の脂環式骨格を有する基;コレステロール、コレスタノールなどのステロイド骨格を有する基;ノルボルネン、アダマンタンなどの有橋脂環式骨格を有する基などが挙げられる。これらの中で、特に好ましくはステロイド骨格を有する基である。上記脂環式骨格を有する有機基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子や、フルオロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基で置換された基であってもよい。
さらに、上記式(Q−1)におけるRで表される炭素数6〜20のフッ素原子を有する基としては、例えば、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素数6以上の直鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの炭素数6以上の脂環式炭化水素基;フェニル基、ビフェニル基などの炭素数6以上の芳香族炭化水素基などの有機基における水素原子の一部または全部を、フッ素原子またはトリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基で置換した基が挙げられる。
また、上記式(Q−1)および上記式(Q−2)におけるXは、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−またはアリーレン基であり、アリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。これらのうち、特に好ましくは、−O−、−COO−、−OCO−で表される基である。上記式(Q−1)で表される基を有するジアミンの具体例としては、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、下記式(10)〜(19)のそれぞれで表される化合物を好ましいものとして挙げることができる。
Figure 2008216671
Figure 2008216671
また、上記式(Q−2)で表される基を有するジアミンの具体例としては、下記式(20)〜(22)のそれぞれで表されるジアミンを好ましいものとして挙げることができる。
Figure 2008216671
これらのうち、特に好ましいものとしては、上記式(10)、(11)、(16)、(17)および(20)のそれぞれで表される化合物が挙げられる。
<ポリアミック酸の合成>
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物、ジアミンおよび特定モノアミン化合物を含む末端修飾剤の使用割合は、ジアミンおよびモノアミンの合計におけるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物およびジカルボン酸無水物の合計における酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
また、末端修飾剤は、ポリアミック酸合成の際に反応系に添加して用いられ、その使用割合は、特定モノアミン化合物を含むモノアミンの割合としては、ジアミンおよびモノアミンの合計に対して0.1〜50%が好ましく、1〜30%がより好ましい。またジカルボン酸無水物の割合としては、テトラカルボン酸二無水物およびジカルボン酸無水物の合計に対して0.1〜20%が好ましく、0.1〜10%がより好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。
ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えば1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどのアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を例示することができる。また、有機溶媒の使用量(α)は、通常、末端修飾剤、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(β)が、反応溶液の全量(α+β)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸を精製することができる。
<脱水閉環反応>
本発明の液晶配向剤を構成するイミド化重合体は、上記ポリアミック酸の一部または全部を脱水閉環することにより合成することができる。本発明に用いられるイミド化重合体は、全繰り返し単位におけるイミド環を有する繰り返し単位の割合(以下、「イミド化率」ともいう)が40モル%以上、好ましくは50モル%以上である。イミド化率が40モル%以上の重合体を用いることによって、残像消去時間の短い液晶配向膜が形成可能な液晶配向剤が得られる。
ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤、脱水閉環剤の使用量が多いほど高くすることができる。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法におけると同様の操作を行うことにより、得られた特定重合体を精製することができる。
<重合体の対数粘度>
以上のようにして得られるポリアミック酸は、その対数粘度(ηln)の値が好ましくは0.05〜10dl/g、より好ましくは0.05〜5dl/gである。
本発明における対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記式(i)によって求められるものである。
Figure 2008216671
[液晶配向剤]
本発明の液晶配向剤は、上記ポリアミック酸および/またはそのイミド化重合体が、有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、例えば1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、ジエチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。これらの内、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクタム、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)が良好な印刷性を示すことから特に好ましい。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲にある。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
本発明の液晶配向剤には、目的の物性を損なわない範囲内で、基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物が含有されていてもよい。かかる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。かかるエポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリルーNーグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これら官能性シラン含有化合物の配合割合は、重合体100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは0.1〜30重量部である。
<液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤をオフセット印刷法、スピンコート法、あるいはインクジェット印刷法により塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。液晶配向剤塗布後の加熱温度は80〜300℃とされ、好ましくは120〜250℃とされる。なお、ポリアミック酸を含有する本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜を形成するが、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、よりイミド化された塗膜とすることもできる。形成される塗膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。
(2)形成された塗膜面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。また、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜に、例えば特開平6−222366号公報や特開平6−281937号公報に示されているような、紫外線を部分的に照射することによってプレチルト角を変化させるような処理、あるいは特開平5−107544号公報に示されているような、ラビング処理を施した液晶配向膜表面にレジスト膜を部分的に形成し、先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去して、液晶配向膜の液晶配向能を変化させるような処理を行うことによって、液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[配向性評価]
[液晶の配向性]
液晶表示素子に電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を「○」、わずかに異常ドメインが観察される場合を「△」、異常ドメインが多く観察される場合を「×」と判定した。
[液晶配向剤の保存安定性]
5℃の恒温槽中に液晶配向剤を4カ月間放置し、放置前と放置後の液晶配向剤の粘度をE型粘度計を用いて測定し、下記式(ii)に基づいて粘度低下率を求めた。
Figure 2008216671
粘度低下率が20%以上の場合を「×」、20%未満の場合を「○」とした。結果を表3に示す。
<特定モノアミンの合成例>
モノマー合成例1:1−(4−アミノフェニル)−3−オクタデシルスクシンイミドの合成例
窒素ガス置換された300ml三口フラスコ中に4−ニトロアニリン9.66g(0.07mol)および酢酸70mlを加え、窒素ガスを流通させながら溶液を攪拌し、固形物を溶解させる。ここに、オクタデシルコハク酸無水物24.64g(0.07mol)を加え窒素下で20h還流し反応させる。反応溶液を室温まで冷却した後、メタノール70mlを加えて一晩放置する。析出した固形分を濾別し、メタノールで洗浄した後乾燥させ、1−(4−ニトロフェニル)−3−オクタデシルスクシンイミド28.1g(0.06mol、収率85%)を得た。
次に、窒素ガス置換された500mlフラスコに、上記で合成した1−(4−ニトロフェニル)−3−オクタデシルスクシンイミド27.37g(0.058mol)、エタノール100ml、THF100ml、還元触媒Pd/C25gを加え70℃で1時間攪拌する。そこに、ヒドラジン一水和物42.5ml(43.75g)を加え6時間加熱還流し反応させる。Pd/Cを濾過により濾別し、溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮する。得られた粗生成物をN−メチル−2−ピロリドンで加熱溶解させ冷却し再結晶化し、目的生成物である1−(4−アミノフェニル)−3−オクタデシルスクシンイミド15.89g(0.036mol、収率62%)を得た。これを特定モノアミンAとした。
モノマー合成例2:1−(4−アミノフェニル)−3−ヘプタデシル−4−メチルマレイミドの合成例
窒素置換した2,000mL三口フラスコにジメチルマレイン酸無水物31.5g(0.25mol)、N−ブロモスクシンイミド89.0g(0.5mol)、過酸化ベンゾイル1.0g(4.15mmol)および四塩化炭素1,500mlを加え、5h加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、室温で一晩静置した後、濾過した。濾液を水で洗浄した後、有機層をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた油状の粗生成物を高真空下で蒸留し(120−125℃/2mmHg)、中間体である3−ブロモメチル−4−メチルマレイン酸無水物20.0g(0.1mol、収率39%)を得た。
次に、アルゴンガスで置換した2,000mL三口フラスコに、上記で得られた3−ブロモメチル−4−メチルマレイン酸無水物16.4g(80mmol)、ヨウ化銅1.52g(8.0mmol)、ジエチルエーテル400mLおよびHMPA(ヘキサメチルリン酸トリアミド)160mLを加えた後、アルゴンガス流通下−5〜0℃に冷却した。この混合液を攪拌しながら、別途準備したヘキサデシルマグネシウムブロマイド400mmolのエーテル400mL溶液を、約20分かけて滴下した。混合液を室温に戻し、さらに8h攪拌した。その後、ジエチルエーテル600mLで希釈した4N−硫酸600mLを加えて溶液を酸性にした。分離した水層をエーテル600mLにてさらに洗浄し、有機層を合わせた。有機層を水で洗浄して硫酸ナトリウムで脱水した後、ロータリーエバポレーターで溶液を濃縮して油状の粗生成物を得た。この粗生成物を、展開溶剤として石油エーテル/酢酸エチル(19:1)混合溶液を用いシリカゲルカラムにて精製し、3−ヘプタデシル−4−メチル無水マレイン酸14.0g(0.04mol 収率50%)を得た。
次に窒素ガス置換された300ml三口フラスコ中に、4−ニトロアニリン9.66g(0.07mol)および酢酸70mlを加える。窒素ガスを流通させながら溶液を攪拌し、固形物を溶解させる。ここに、上記で得られた2−ヘプタデシル−3−メチルマレイン酸無水物24.5g(0.07mol)を加え窒素下で20h還流し反応させる。反応溶液が室温まで冷却された後、メタノール70mlを加えて一晩放置する。固形分を濾別し、メタノールで洗浄した後乾燥させ、1−(4−ニトロフェニル)−3−ヘプタデシル−4−メチルマレイミド27.97g(0.060mol 収率85%)を得た。
次に、窒素ガス置換された500mlフラスコに1−(4−ニトロフェニル)−3−ヘプタデシル−4−メチルマレイミド24.44g(0.052mol)、エタノール100ml、THF100ml、還元触媒Pd/C25gを加え70℃で1時間攪拌する。ヒドラジン一水和物 38ml(39.2g)を加え6時間加熱還流し反応させる。Pd/Cを濾過により濾別し、溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮する。得られた粗生成物をN−メチル−2−ピロリドンで加熱溶解させ冷却し再結晶化し、目的生成物である1−(4−アミノフェニル)−3−ヘプタデシル−4−メチルマレイミド13.73g(0.031mol 収率60%)を得た。これを特定モノアミンBとした。
モノマー合成例3:1−(4−アミノフェニル)−3−ヘキサデカノキシメチル−4−メチルマレイミドの合成例
500ml三口フラスコに4−ニトロアニリン9.66g(0.07mol)および酢酸70mlを加えた後、窒素ガスを流通させながら溶液を攪拌し、固形物を溶解させる。次に、モノマー合成例2に記載の3−(ブロモメチル)−4−メチルマレイン酸無水物14.35g(0.07mol)を加え窒素下で20h還流し反応させる。反応溶液を室温まで冷却した後、メタノール70mlを加えて一晩放置する。固形分を濾別し、メタノールで洗浄した後乾燥させ、1−(4−ニトロフェニル)−3−ブロモメチル−4−メチルマレイミド16.84g(0.052mol 収率74%)を得た。
次に、500ml三口フラスコに1−(4−ニトロフェニル)−3−ブロモメチル−4−メチルマレイミド15.93g(0.049mol)、1−ヘキサデカノールナトリウム塩12.94g(0.049mol)、およびジメチルスルホキシド100mlを加えた後、100℃で10h攪拌し反応させる。反応溶液を室温まで冷却した後、メタノール70mlを加えて一晩放置する。固形分を濾別し、メタノールで洗浄した後乾燥させ、1−(4−ニトロフェニル)−3−ヘキサデカノキシメチル−4−メチルマレイミド 19.68g(0.041mol 収率83%)を得た。
次に、窒素ガス置換された500mlフラスコに1−(4−ニトロフェニル)−3−ヘキサデカノキシメチル−4−メチルマレイミド 25.17g(0.052mol)、エタノール100ml、THF100ml、還元触媒Pd/C25gを加え70℃で1時間攪拌する。その後ヒドラジン一水和物38ml(39.2g)を加え6時間加熱還流し反応させる。Pd/Cを濾過により濾別し、溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮する。得られた粗生成物をN−メチル−2−ピロリドンで加熱溶解させ冷却し再結晶化し、目的生成物である1−(4−アミノフェニル)−3−ヘキサデカノキシメチル−4−メチルマレイミド16.60g(0.036mol 収率70%)を得た。特定モノアミンCとした。
合成例1〜8および比較合成例1〜2
N−メチル−2−ピロリドンに、表1および表2に示す組成で、ジアミン、テトラカルボン酸二無水物(表中、「酸無水物」と表示)の順で加えて固形分濃度20重量%の溶液とし、60℃で4時間反応させた。その後表1および表2に示す特定モノアミンを加えさらに30分間反応させ、ポリアミック酸重合体(A−1)〜(A−10)を得た。得られたポリアミック酸重合体に、ポリアック酸重合体の総量に対して表1に示す倍モル数のピリジンおよび無水酢酸を加えた後、110℃に加熱して4時間脱水閉環反応を行った。得られた溶液をジエチルエーテルで再沈殿させた後、回収、減圧乾燥することで、表1および表2に示す対数粘度、イミド化率のイミド化重合体である(B−1)〜(B−6)および(B−9)〜(B−10)を得た。
Figure 2008216671
Figure 2008216671
表1および表2中、ジアミン化合物および酸無水物について、括弧内の数字は含有割合を示し、表中の記号の意味は下記の通りである。
<ジアミン化合物>
ジアミン1:1−(3,5−ジアミノフェニル)−3−オクタデシルスクシンイミド
ジアミン2:4,4−ジアミノジフェニルメタン
<テトラカルボン酸二無水物>
T−1:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
T−2:5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物
T−3:ピロメリト酸二無水物
T−4:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
<モノアミン化合物>
特定モノアミンA:1−(4−アミノフェニル)−3−オクタデシルスクシンイミド
特定モノアミンB:1−(4−アミノフェニル)−3−ヘプタデシル−4−メチルマレイミド
特定モノアミンC:1−(4−アミノフェニル)−3−ヘキサデカノキシメチル−4−メチルマレイミド
比較モノアミン:4−オクタデシルアニリン
実施例1
合成例1で得られたイミド化重合体(B−1)およびポリアミック酸重合体(A−7)を、γ―ブチロラクトン/N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶液(重量比40/30/30)に溶解させて、固形分濃度3.5重量%および6重量%の溶液とした。続いて孔径0.2μmのフィルターを用いて濾過し、配向剤1を調製した。固形分濃度6重量%溶液を保存安定性評価用試料とした。
固形分濃度3.5重量%に調製された当該膜形成用組成物を用い、厚さ1mmのパターニングされたITO膜を有するガラス基板上に、スピンコーターにて乾燥膜厚およそ0.06μmの被膜を形成した液晶配向膜塗布基板を作製した。
次に、一対の透明電極/透明電極基板の上記液晶配向膜塗布基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より基板間に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を張り合わせ、液晶表示素子を作製した。得られた液晶表示素子に関して、配向性を評価した。結果をまとめて表4に示す。
実施例2〜9
実施例1と同様に表3に記された処方にて重合体をγ―ブチロラクトン/N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶液(重量比40/30/30)に溶解させて、固形分濃度3.5重量%および6重量%の溶液とし、配向膜形成用組成物(配向剤2〜6、9〜11)を作成し、これを用いて実施例1と同様に保存安定性と配向性を評価した。結果を表4に併せて示す。
比較例1〜3
実施例1と同様に表3に記された重合体をγ―ブチロラクトン/N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶液(重量比40/30/30)に溶解させて、固形分濃度3.5重量%および6重量%の溶液とし、配向膜形成用組成物(配向剤7、8および12)を作成し、これを用いて実施例1と同様に保存安定性と配向性を評価した。結果を表4に併せて示す。
Figure 2008216671
Figure 2008216671

Claims (3)

  1. 下記式(I)
    Figure 2008216671
    ここでRは4価の有機基を示す、
    で表されるテトラカルボン酸二無水物、下記式(II)
    Figure 2008216671
    ここでRは2価の有機基を示す、
    で表されるジアミン化合物および下記式(III−1)、(III−2)または(III−3):
    Figure 2008216671
    ここでR、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の線状、分枝状または環状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基、または炭素数4〜30の線状、分枝状または環状のアルケニル基もしくはフルオロアルケニル基であり、Aは水素原子またはメチル基である。
    で表されるモノアミン化合物を反応させて得られる重合体および/またはそのイミド化重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
  2. 式(I)におけるRが下記式(IV−1)および(IV−2)のそれぞれで表わされる4価の基のいずれか一方である請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2008216671
  3. 請求項1または2に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜を具備することを特徴とする液晶表示素子。
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