JP2008195550A - タングステン酸化物ファイバーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規なタングステン酸化物ファイバーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】タングステン酸化物からなり、一辺の長さが1nm〜500μmであり、長軸方向の長さが5nm〜10000μmであり、アスペクト比が5〜300の範囲にあるタングステン酸化物ファイバーであって、原子がc軸方向に規則正しく配列していることを特徴とする、タングステン酸化物ファイバー。金属タングステンまたはその合金を、酸化促進物質に酸化抑制物質を混合することによって得られた気相酸化雰囲気下で、1200〜3000℃に加熱し、生成したタングステン酸化物を基材上で成長させることを特徴とするタングステン酸化物ファイバーの製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】タングステン酸化物からなり、一辺の長さが1nm〜500μmであり、長軸方向の長さが5nm〜10000μmであり、アスペクト比が5〜300の範囲にあるタングステン酸化物ファイバーであって、原子がc軸方向に規則正しく配列していることを特徴とする、タングステン酸化物ファイバー。金属タングステンまたはその合金を、酸化促進物質に酸化抑制物質を混合することによって得られた気相酸化雰囲気下で、1200〜3000℃に加熱し、生成したタングステン酸化物を基材上で成長させることを特徴とするタングステン酸化物ファイバーの製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、タングステン酸化物ファイバーおよびその製造方法に関するものである。
最近では、ナノサイズのカーボンナノチューブ(CNT)やマイクロサイズのカーボンナ
フタレンジカルボン酸のファイバーが電子工学、半導体材料工学、機械工学、化学触媒工学など幅広い産業分野で注目を集めている。このような針状結晶やファイバーの製造に関するものとして、例えばSiC、Al2O3、C、ZnOなどの材質が知られている(特許文
献1、非特許文献1)。
フタレンジカルボン酸のファイバーが電子工学、半導体材料工学、機械工学、化学触媒工学など幅広い産業分野で注目を集めている。このような針状結晶やファイバーの製造に関するものとして、例えばSiC、Al2O3、C、ZnOなどの材質が知られている(特許文
献1、非特許文献1)。
一般に針状結晶やファイバーはプラスチックやセラミックスの複合材料や強化材料として使用されたり(特許文献2)、また、アスペクト比が高いことを利用して、電子エミッター材料としても期待されている(特許文献3)。さらに、これらの材料は、表面積が大きいので化学触媒材料として使用されるなど、多くの用途で使われている(特許文献4)。中でもタングステン酸化物はキャパシター材料(特許文献5)、光触媒材料(特許文献6)、エレクトロクロミック材料(特許文献7)、半導体材料(特許文献8)、ガスセンサー材料(特許文献9)として様々な用途への利用が検討されている。
三酸化タングステンから、少量の酸素が減少したものは導電性を有しており、酸化インジウム(ITO)の代替材料として、期待されている。
そこで、このようなタングステン酸化物であって、形状が針状であるものは、導電性とともに複合材料や強化材料としての効果も期待されている。
そこで、このようなタングステン酸化物であって、形状が針状であるものは、導電性とともに複合材料や強化材料としての効果も期待されている。
一般的に、タングステン酸化物を作る方法にはCVD法(Chemical Vapor Deposition
化学気相堆積法)、PVD法(Physical Vapor Deposition物理気相堆積法)が知られて
いる。しかしながら、いずれも、高価で大掛かりな装置が必要であるばかりか、有害な、あるいは、爆発性のあるガスを使用したり、また装置の取り扱いが複雑(真空装置の使用)になっている。
化学気相堆積法)、PVD法(Physical Vapor Deposition物理気相堆積法)が知られて
いる。しかしながら、いずれも、高価で大掛かりな装置が必要であるばかりか、有害な、あるいは、爆発性のあるガスを使用したり、また装置の取り扱いが複雑(真空装置の使用)になっている。
たとえば、特許文献10には、反応炉中に、ターゲットとしてのタングステンフィラメントをタンタル容器により支持された鉄製の金網上に配置し、鏡面研磨されたシリコンウェハーを基板として前記金網の下に一定間隔を保って配置し、空気雰囲気下にタングステンフィラメントを950〜1100℃の温度域に1時間以上加熱する方法が開示されている。しかしながらこの特許文献10で得られる酸化タングステンは、三酸化タングステンであり、導電性を有していない。得られた粒子は、ロッドまたはベルト状であり、その上必ずしも大きさが揃っていない。
また、特許文献11には、WyOz(2.2≦z/y≦2.999)であらわされる組成を有する針状
タングステン酸化物結晶が開示されている。また、その製造方法として、タングステン塩化物をエタノールなどに溶解したのち、乾燥して、水和物を調製したのち、還元雰囲気下で、還元焼成することが開示されている。しかしながら、特許文献11の針状タングステン酸化物は、その図4に示されるように太さや長さがまちまちであり、さらには、一部が凝集して凝集塊となっている。
タングステン酸化物結晶が開示されている。また、その製造方法として、タングステン塩化物をエタノールなどに溶解したのち、乾燥して、水和物を調製したのち、還元雰囲気下で、還元焼成することが開示されている。しかしながら、特許文献11の針状タングステン酸化物は、その図4に示されるように太さや長さがまちまちであり、さらには、一部が凝集して凝集塊となっている。
また、特許文献12には、直径が20〜100nmの範囲であって、長さが1μm以上の線状の単結晶酸化タングステンである単結晶酸化タングステンナノワイヤーが開示され、組成が一般式W18O49で表されることも開示されている。また、その製造方法として、
8〜15Torrの圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して50〜80分間保持することも開示されている。
8〜15Torrの圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して50〜80分間保持することも開示されている。
さらに、特許文献13には、微細なWO3およびWO2.90の内の少なくとも一種からな
る酸化タングステン,炭素粉および0.2〜2.0質量%のCr,V,Ta,およびNbの1.5μmより微細な酸化物粉末又は炭化物粉末のうちの1種または2種以上の混合物を反応させて得る複合炭化物粉末であって、全炭素量が6.13±0.30質量%に調整され、鉄量が200ppm以下で、残部が実質的にWから成る、3.9m2/g以上の比
表面積で平均粒径が100nm以下であることを特徴するナノ粒径を備えた複合炭化物粉末が開示されている。なお特許文献13のものは針状のタングステン酸化物が得られる条件については何も明示されていない。
鈴木信夫編『金属便覧』改訂5版 P.183 丸善(1996) 特開2006−328578号公報
特開平6−72800号公報
特開平11−31453号公報
特開2003−290656号公報
特開平6−338599号公報
特開2001−205094号公報
特開平8−505242号公報
特開2006−114928号公報
特開2002−524734号公報
特開2004−196628号公報
特開2006−156121号公報
特開2005−75654号公報
特開2005−336536号公報
る酸化タングステン,炭素粉および0.2〜2.0質量%のCr,V,Ta,およびNbの1.5μmより微細な酸化物粉末又は炭化物粉末のうちの1種または2種以上の混合物を反応させて得る複合炭化物粉末であって、全炭素量が6.13±0.30質量%に調整され、鉄量が200ppm以下で、残部が実質的にWから成る、3.9m2/g以上の比
表面積で平均粒径が100nm以下であることを特徴するナノ粒径を備えた複合炭化物粉末が開示されている。なお特許文献13のものは針状のタングステン酸化物が得られる条件については何も明示されていない。
鈴木信夫編『金属便覧』改訂5版 P.183 丸善(1996)
上記従来技術として提案されていた製造方法は、
たとえば、
(1)還元ガス中で熱処理後、室温に戻し、再度、希ガス中で熱処理するなど複雑、煩雑なプロセス、
(2)六塩化タングステンなどの危険性の高い原料の使用、
(3)低圧力下での反応、すなわち、真空装置の使用、
(4)高い加熱処理温度と加熱炉の使用、
(5)生成に至るまで数時間が必要、
(6)高価な希ガスを使用、など特別な条件が必要であった。
たとえば、
(1)還元ガス中で熱処理後、室温に戻し、再度、希ガス中で熱処理するなど複雑、煩雑なプロセス、
(2)六塩化タングステンなどの危険性の高い原料の使用、
(3)低圧力下での反応、すなわち、真空装置の使用、
(4)高い加熱処理温度と加熱炉の使用、
(5)生成に至るまで数時間が必要、
(6)高価な希ガスを使用、など特別な条件が必要であった。
また、得られるタングステン酸化物も、大きさや長さ、形状のばらつきが大きかったり、また強く凝集していたりするなどの欠点も多かった。
本発明は、上記の状況を改善するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、大気圧の下、簡単で安価な装置、簡単なプロセスかつ安全性に配慮した新規な方法を用いて、形状のばらつきが少ないタングステン酸化物ファイバーおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]タングステン酸化物からなり、一辺の長さが1nm〜500μmであり、長軸方向の長さが5nm〜10000μmであり、アスペクト比が5〜300の範囲にあるタングステン酸化物ファイバ
ーであって、原子がc軸方向に規則正しく配列していることを特徴とする、タングステン酸化物ファイバー。
[2]タングステン酸化物の組成がWO2.72を主たるものとする[1]のタングステン酸化物ファイバー。
[3]金属タングステンまたはその合金を、酸化促進物質に酸化抑制物質を混合することに
よって得られた気相酸化雰囲気下で、1200〜3000℃に加熱し、生成したタングステン酸化物を基材上で成長させることを特徴とするタングステン酸化物ファイバーの製造方法。
[4]前記酸化促進物質が、水、過酸化水素水、無機酸、有機酸、酸素、二酸化炭素、オゾ
ン、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、三酸化二燐からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化促進物質であり、
前記酸化抑制物質が、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、炭素数1〜12の炭化水素類、窒素、水素、希ガス、アンモニア、一酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化抑制物質である[3]の製造方法。
[5]前記気相酸化雰囲気では、酸化促進物質として水を選択し、酸化抑制物質としてアル
コール類を選択してなり、それらを構成するO/(C+H+O)の比が15〜27原子%である[3]または[4]の製造方法。
[6]基材の温度を、400〜1100℃に保つ[3]の製造方法。
[1]タングステン酸化物からなり、一辺の長さが1nm〜500μmであり、長軸方向の長さが5nm〜10000μmであり、アスペクト比が5〜300の範囲にあるタングステン酸化物ファイバ
ーであって、原子がc軸方向に規則正しく配列していることを特徴とする、タングステン酸化物ファイバー。
[2]タングステン酸化物の組成がWO2.72を主たるものとする[1]のタングステン酸化物ファイバー。
[3]金属タングステンまたはその合金を、酸化促進物質に酸化抑制物質を混合することに
よって得られた気相酸化雰囲気下で、1200〜3000℃に加熱し、生成したタングステン酸化物を基材上で成長させることを特徴とするタングステン酸化物ファイバーの製造方法。
[4]前記酸化促進物質が、水、過酸化水素水、無機酸、有機酸、酸素、二酸化炭素、オゾ
ン、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、三酸化二燐からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化促進物質であり、
前記酸化抑制物質が、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、炭素数1〜12の炭化水素類、窒素、水素、希ガス、アンモニア、一酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化抑制物質である[3]の製造方法。
[5]前記気相酸化雰囲気では、酸化促進物質として水を選択し、酸化抑制物質としてアル
コール類を選択してなり、それらを構成するO/(C+H+O)の比が15〜27原子%である[3]または[4]の製造方法。
[6]基材の温度を、400〜1100℃に保つ[3]の製造方法。
本発明によれば、太さ、長さがともに揃った導電性タングステン酸化物ファイバーを調製することができる。また、本発明によれば、かかるファイバーを、大気圧の下、簡単で安価な装置、簡単なプロセスかつ安全に製造できるとともに、スケールアップが容易に可能である。さらには、従来にような高価なタングステン化合物を使用する必要もなく、また製造時に使用される物質は、再利用も可能である。
タングステン酸化物ファイバー
本発明に係るタングステン酸化物ファイバーは、断面形状が四角形あるいは円形のファイバーであって、全体として四角柱、円柱、四角錐、円錐状態を主に示すが、特に四角柱や四角錐が多い。そのファイバーの中には、断面形状が、楕円形や多角形等で、全体として楕円錐、多角柱、多角錐等の状態を示すファイバーが混合していてもよい。
いてもよい。
本発明に係るタングステン酸化物ファイバーは、断面形状が四角形あるいは円形のファイバーであって、全体として四角柱、円柱、四角錐、円錐状態を主に示すが、特に四角柱や四角錐が多い。そのファイバーの中には、断面形状が、楕円形や多角形等で、全体として楕円錐、多角柱、多角錐等の状態を示すファイバーが混合していてもよい。
いてもよい。
そのタングステン酸化物ファイバーの電子顕微鏡写真を図1に示す。図1(a)
の走査型電子顕微鏡写真(5000倍)では、長さおよび太さがほぼ均一にそろったファイバーが、ほぼ均一に分散した集合体を形成している状況がわかり、また図1(b)の拡大写真(20,OOO倍)では、断面形状が四角形の四角柱ファイバーが形成されていることがわかる。さ
らに図1(c)(1000倍)や図1(d)(4000倍)では、その先端部が針状や四角錐状のファイバーが形成していることがわかる。
の走査型電子顕微鏡写真(5000倍)では、長さおよび太さがほぼ均一にそろったファイバーが、ほぼ均一に分散した集合体を形成している状況がわかり、また図1(b)の拡大写真(20,OOO倍)では、断面形状が四角形の四角柱ファイバーが形成されていることがわかる。さ
らに図1(c)(1000倍)や図1(d)(4000倍)では、その先端部が針状や四角錐状のファイバーが形成していることがわかる。
このようにファイバーの形状は、拡大して詳細に観察すると各種のものが混合しており、その割合は製造条件によって変わってくるが、いずれにしろ四角柱、四角錐、円柱、円錐状のファイバーが主になっており、中でも四角柱や四角錐状のファイバーが多く見られる。そのファイバーを導電性のある針状結晶として利用する用途を考慮すると、ファイバーの一辺の長さ(あるいは断面直径)は、1nm〜500μm、好ましくは5nm〜100μm、より好ましくは10nm〜10μmであり、長軸方向の長さが、5nm〜10000μm、好ましくは50nm〜1000μm、より好ましくは300nm〜300μmであり、ファイバーの長軸方向の長さをファイバーの一辺の長さあるいは断面直径で除した値であるアスペクト比は、5〜300、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜100であることが望ましい。
図2(a)は、ファイバーの透過型電子顕微鏡写真(200,OOO倍)を示しており、さらにそれ
を拡大した図2(b)によると、ファイバー中でタングステン原子がc軸方向に配向した状況が規則的に配列している状態として示され、この状況を前記した走査型電子顕微鏡写真とあわせて考慮すると、タングステン酸化物ファイバーが高い結晶化度を保持した単結晶状態にあることが推測できる。
を拡大した図2(b)によると、ファイバー中でタングステン原子がc軸方向に配向した状況が規則的に配列している状態として示され、この状況を前記した走査型電子顕微鏡写真とあわせて考慮すると、タングステン酸化物ファイバーが高い結晶化度を保持した単結晶状態にあることが推測できる。
また、ファイバーは、個々に分散された状態であってもよいが、全体として蒲穂状(毬藻状、繭玉状)のように、集合体となっていてもよい。このように集合体となっていると、細孔容積が高くなり、担持担体として使用することも可能である。
タングステン酸化物の組成がWO2.72を主たるものとすることが好ましく、すなわち、タングステン酸化物がWO2.72からなるものであっても、導電性を損なわない範囲で、たとえば、WO2、WO2.90やWO3を一部に含むものであってもよい。
以上のようなタングステン酸化物ファイバーは、以下の製造方法で製造することができる。
製造方法
本発明のタングステン酸化物ファイバーは、金属タングステン、またはその合金、たとえばタングステンとモリブデン、チタン、タンタル、トリウムの少なくとも1種との合金
を、酸化促進物質に酸化抑制物質を混合することによって得られた気相酸化雰囲気下で、1200〜3000℃、好ましくは、1400℃〜2400℃に加熱し、生成したタングステン酸化物を基材上で成長させることで製造される。
製造方法
本発明のタングステン酸化物ファイバーは、金属タングステン、またはその合金、たとえばタングステンとモリブデン、チタン、タンタル、トリウムの少なくとも1種との合金
を、酸化促進物質に酸化抑制物質を混合することによって得られた気相酸化雰囲気下で、1200〜3000℃、好ましくは、1400℃〜2400℃に加熱し、生成したタングステン酸化物を基材上で成長させることで製造される。
前記酸化促進物質が、水、過酸化水素水、無機酸、有機酸、酸素、二酸化炭素、オゾン、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、三酸化二燐からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化促進物質であり、
前記酸化抑制物質が、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、炭素数1〜12の炭化水素類、窒素、水素、希ガス、アンモニア、一酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化抑制物質であることが好ましい。
前記酸化抑制物質が、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、炭素数1〜12の炭化水素類、窒素、水素、希ガス、アンモニア、一酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化抑制物質であることが好ましい。
本発明における気相酸化雰囲気として、特に、酸化促進物質として水を選択し、酸化抑制物質としてアルコール類を選択した場合、水とアルコールとの混合溶液中の酸素含有率を原子%で表現すると、すなわち構成するO/(C+H+O)の比が15〜27原子%であることが、
酸化物ファイバーを生成させる上で望ましい。
酸化物ファイバーを生成させる上で望ましい。
このような酸化促進物質と酸化抑制物質とが共存する条件で、タングステンを酸化させることで、その機構は明確ではないものの、反応条件がきわめてマイルドなものとなり、常圧でもタングステンが酸化でき、その結果、上記したように、一辺の長さ(すなわち太さ)、長軸方向の長さが、それぞれ均一であり、凝集も少なく、しかも導電性を有するタングステン酸化物ファイバーが得られる。
なお反応時間を長くすれば、それだけ、太さ、長さが増大し、また酸化促進物質と酸化抑制物質との割合を変えればアスペクト比を変更できる。
なお、酸化促進物質雰囲気中(例えば、酸素ガス100%)では、タングステン酸化物(WO3またはWO2.90)が得られ、非常に弱い酸化雰囲気中(例えば、希ガスに酸素ガスを
微量添加)ではタングステン酸化物(WO2)が生成する。したがって、特定のタングステ
ン酸化物(WO2.72)ファイバーを得るためには、マイルドな酸化雰囲気の存在が極めて重要である。また、このように酸化すれば、煩雑な還元処理を行う必要もない。そのような雰囲気に調整するには、予め酸化促進物質と酸化抑制物質とを適切な割合で混合してから行ってもよいし、あるいは、反応雰囲気をまず、酸化抑物質で充たし、その後酸化促進物
質を適量加えることでも可能になる。
なお、酸化促進物質雰囲気中(例えば、酸素ガス100%)では、タングステン酸化物(WO3またはWO2.90)が得られ、非常に弱い酸化雰囲気中(例えば、希ガスに酸素ガスを
微量添加)ではタングステン酸化物(WO2)が生成する。したがって、特定のタングステ
ン酸化物(WO2.72)ファイバーを得るためには、マイルドな酸化雰囲気の存在が極めて重要である。また、このように酸化すれば、煩雑な還元処理を行う必要もない。そのような雰囲気に調整するには、予め酸化促進物質と酸化抑制物質とを適切な割合で混合してから行ってもよいし、あるいは、反応雰囲気をまず、酸化抑物質で充たし、その後酸化促進物
質を適量加えることでも可能になる。
以下、本発明の製造方法の具体例について図面を参照しながら説明する。
[A]酸化促進物質、酸化抑制物質がともに液体の場合、たとえば図3に示される装置を使用して製造される。
[A]酸化促進物質、酸化抑制物質がともに液体の場合、たとえば図3に示される装置を使用して製造される。
図3の反応容器01内に、コイル状のタングステン線02(針状タングステン酸化物結晶の原料)を挿入し、また生成するタングステン酸化物ファイバーの集合体を堆積させ、回収するための基材03を設置する。図3では基材03は円筒状に形成され、反応容器01に着脱自在に固定されている。さらに、反応容器01の底部に、酸化促進液体(酸化源)と酸化抑制液体(非酸化源)とを混合させた液体04を入れる。
酸化促進液体としては、水、過酸化水素水、有機酸、無機酸が使用できる。有機酸、無機酸の例としては塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸、酢酸、リン酸などが挙げられる。それらの中でも、特に水、過酸化水素水などが好ましい。酸化促進液体は1種または2種以上を混合しても使用してもよい。酸化抑制液体としては、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、アルデヒド、炭化水素系の液体などが挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソペンチル、酢酸ブチル、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、オクタンなどがあるが、本発明ではこれらに限定するものではない。酸化抑制液体は1種または2種以上を混合しても使用できる。
生成したタングステン酸化物ファイバーを回収するための基材03は、反応中に溶解したり、分解したりするものでなければ特に制限されない。具体的には、融点が1000℃(好ましくは1100℃)以上である金属やセラミックスのメッシュ、箔、板が好ましい。基材の素材としては、鉄、銅、ニッケル、ステンレス、モリブデン、タングステン、タンタル、チタンなどの金属や、それらの酸化物(例えば、アルミナ)、窒化物(例えば、窒化ケイ素)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)などのセラミックス等が挙げられる。回収基材の形状は、生成したタングステン酸化物がファイバー上に成長し、かつそのファイバーを保持し得るものであれば特に制限されるものではない。たとえば金網状のものであってもよく、籠になっていてもよく、さらに箔状物を載置するだけでもよい。
また、針状タングステン酸化物結晶の原料となるタングステンは線状やコイル状が好ましいが、箔状や粉末状でも十分に使用可能である。
具体的には以下の手順で製造する。
(1)反応容器01の下から加熱源05で酸化促進液体と酸化抑制液体との混合物04を気化させ、反応空間内06の空気を排気パイプ07から排出させる。
(2)反応容器内06から完全に空気が排出された後、加熱源05を止め、コイル状のタングステン線02を通電加熱する。コイル状のタングステン線02の温度は、1,200℃〜3,000℃の範囲に設定される。液体04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続ける。
(3)上記の酸化促進液体と酸化抑制液体との混合物04の蒸気が反応空間内06を酸化雰囲気にする。この際、酸化抑制液体が酸化促進剤の強力な酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06がマイルドな酸化雰囲気になる。
(4)マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上に青色の針状タングステン酸化物結晶として堆積し成長する。基材03はタングステン線02の熱で、400〜1100℃、好ましくは500〜1000℃になっている。反応時間は5分間〜90分間である。このときの反応圧力は常圧(大気圧下)であるが、低圧、加圧下でもよい。タングステン線02と基
材03との離間距離は2〜15mm程度が適しており、好ましくは8mm程度である。
具体的には以下の手順で製造する。
(1)反応容器01の下から加熱源05で酸化促進液体と酸化抑制液体との混合物04を気化させ、反応空間内06の空気を排気パイプ07から排出させる。
(2)反応容器内06から完全に空気が排出された後、加熱源05を止め、コイル状のタングステン線02を通電加熱する。コイル状のタングステン線02の温度は、1,200℃〜3,000℃の範囲に設定される。液体04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続ける。
(3)上記の酸化促進液体と酸化抑制液体との混合物04の蒸気が反応空間内06を酸化雰囲気にする。この際、酸化抑制液体が酸化促進剤の強力な酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06がマイルドな酸化雰囲気になる。
(4)マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上に青色の針状タングステン酸化物結晶として堆積し成長する。基材03はタングステン線02の熱で、400〜1100℃、好ましくは500〜1000℃になっている。反応時間は5分間〜90分間である。このときの反応圧力は常圧(大気圧下)であるが、低圧、加圧下でもよい。タングステン線02と基
材03との離間距離は2〜15mm程度が適しており、好ましくは8mm程度である。
図1(e)は金網から加工した基材の金属線上に酸化物ファイバーが成長している状況を
示した顕微鏡写真(200倍)であり、図1(f)は、それをさらに1000倍に拡大した
写真である。
示した顕微鏡写真(200倍)であり、図1(f)は、それをさらに1000倍に拡大した
写真である。
[B]酸化促進物質が液体であり、酸化抑制物質が気体の場合、たとえば図4に示される装置を使用して製造される。
図4の反応容器01内に、コイル状のタングステン線02(針状タングステン酸化物結晶の原料)と、針状タングステン酸化物結晶の集合体を堆積させ、回収するための基材03を設置する。さらに、反応容器01の底部に、酸化促進液体(酸化源)04を入れる。
図4の反応容器01内に、コイル状のタングステン線02(針状タングステン酸化物結晶の原料)と、針状タングステン酸化物結晶の集合体を堆積させ、回収するための基材03を設置する。さらに、反応容器01の底部に、酸化促進液体(酸化源)04を入れる。
使用可能な酸化促進液体04と基材03は、図3と同様である。酸化抑制気体09としては、窒素、水素、希ガス(例えば、アルゴン)一酸化炭素、炭化水素系の気体(例えば、メタン)などが挙げられる。具体的には、窒素、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどがあるが、本発明はこれらに限定するものではない。酸化抑制気体は1種または2種以上を混合しても使用出来る。
具体的な手順としては、以下の通りである。
(1)まず、ガス供給パイプ08から酸化抑制気体09(非酸化源)を導入し、反応空間内06を満たす。反応空間内06に設置されたコイル状のタングステン線02を通電加熱する。コイル状のタングステン線02の温度は、1,200℃〜3,000℃の範囲を保つ。酸化促進液体04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続ける。
(2)マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上にタングステン酸化物ファイバー(WO2.72)として堆積する。このとき、基材03はタングステン線02の熱で400℃〜1100℃になっている。
[C]酸化促進物質が気体であり、酸化抑制物質が液体の場合、たとえば図5に示される装置を使用して製造される。
(1)まず、ガス供給パイプ08から酸化抑制気体09(非酸化源)を導入し、反応空間内06を満たす。反応空間内06に設置されたコイル状のタングステン線02を通電加熱する。コイル状のタングステン線02の温度は、1,200℃〜3,000℃の範囲を保つ。酸化促進液体04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続ける。
(2)マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上にタングステン酸化物ファイバー(WO2.72)として堆積する。このとき、基材03はタングステン線02の熱で400℃〜1100℃になっている。
[C]酸化促進物質が気体であり、酸化抑制物質が液体の場合、たとえば図5に示される装置を使用して製造される。
まず、反応容器01内に、コイル状のタングステン線02(針状タングステン酸化物結晶の原料)と針状タングステン酸化物結晶の集合体を堆積させ、回収するための基材03を設置する。さらに、反応容器01の底部に、酸化抑制液体(非酸化源)04を入れる。
酸化促進気体10としては、酸素、二酸化炭素、オゾン、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄などが挙げられるが、特に酸素、二酸化炭素などが好ましい。酸化促進気体は1種または2種以上を混合しても使用出来る。尚、酸化抑制液体04と基材03は図2で使用するものと同一である。
具体的な手順としては、以下の通りである。
(1)反応容器01の下から加熱源05で酸化抑制液体04を気化させ、反応空間内06の空気を排気パイプ07から排出させる。
(2)酸化抑制液体の蒸気で満たされた反応空間内06のコイル状のタングステン線02を通電加熱する。コイル状のタングステン線02の温度は、1,200℃〜3,000℃の範囲に保つ。酸化抑制液体04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続ける。
(3)次に、供給パイプ08から酸化促進気体10を微量供給すると、反応空間内06が酸化雰囲気になる。しかし、酸化抑制液体04の蒸気が酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06がマイルドな酸化雰囲気になる。
(4)マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タ
ングステン酸化物となって蒸発し、基材03上に針状タングステン酸化物結晶(WO2.72)として堆積する。基材03はタングステン線02の熱で400℃〜1100℃になっている。
[D]酸化促進物質が気体、酸化抑制物質が気体の場合、たとえば、図6に示す装置で製造することができる。
(1)反応容器01の下から加熱源05で酸化抑制液体04を気化させ、反応空間内06の空気を排気パイプ07から排出させる。
(2)酸化抑制液体の蒸気で満たされた反応空間内06のコイル状のタングステン線02を通電加熱する。コイル状のタングステン線02の温度は、1,200℃〜3,000℃の範囲に保つ。酸化抑制液体04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続ける。
(3)次に、供給パイプ08から酸化促進気体10を微量供給すると、反応空間内06が酸化雰囲気になる。しかし、酸化抑制液体04の蒸気が酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06がマイルドな酸化雰囲気になる。
(4)マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タ
ングステン酸化物となって蒸発し、基材03上に針状タングステン酸化物結晶(WO2.72)として堆積する。基材03はタングステン線02の熱で400℃〜1100℃になっている。
[D]酸化促進物質が気体、酸化抑制物質が気体の場合、たとえば、図6に示す装置で製造することができる。
図6に示す装置では、反応容器01内に、コイル状のタングステン線02(タングステン酸化物ファイバーの原料)と、タングステン酸化物ファイバー結晶の集合体を堆積させ、回収するための基材03を設置する。
酸化抑制気体09および酸化促進気体10としては、前記したものと同じであり、基材03も前記したものと同じである。
具体的な手順としては、以下の通りである。
(1)最初に、酸化抑制気体09で反応空間内06を満たす。次に、供給パイプ08から酸化促進気体10を微量供給し、コイル状のタングステン線02を通電加熱する。コイル状のタングステン線02の温度は、1,200℃〜3,000℃の範囲に保つ。なお、気体09と10とは同じライン、パイプを使用してもよい。また、気体09と10とは予め混合していてもよい。
(2)マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上に針状タングステン酸化物結晶(WO2.72)として堆積する。基材03はタングステン線02の熱で400℃〜1100℃になっている。
具体的な手順としては、以下の通りである。
(1)最初に、酸化抑制気体09で反応空間内06を満たす。次に、供給パイプ08から酸化促進気体10を微量供給し、コイル状のタングステン線02を通電加熱する。コイル状のタングステン線02の温度は、1,200℃〜3,000℃の範囲に保つ。なお、気体09と10とは同じライン、パイプを使用してもよい。また、気体09と10とは予め混合していてもよい。
(2)マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上に針状タングステン酸化物結晶(WO2.72)として堆積する。基材03はタングステン線02の熱で400℃〜1100℃になっている。
本発明の製造方法の特徴は、マイルドな気相酸化雰囲気中でタングステンを加熱することによって、結晶性が非常に優れた導電性のタングステン酸化物ファイバーを作製する方法である。
得られたファイバーは、前記したように全体としては蒲穂状(毬藻状、繭玉状)のように、集合体となっているが、必要に応じて、解砕してもよい。本発明のファイバーは集合体となっていても、簡単解砕処理によって、容易に1本のファイバーに解くことができる
。
。
特許文献11で報告されているタングステン酸化物の製造方法は還元反応を用いているが、本発明は逆の酸化反応を用いていることが大きく異なる点である。
さらに、同特許文献11では、針状結晶の寸法は平均して長軸が約2μm、短軸は約0.3μmであり、作製時間は約2時間と見積もられ、成長速度は1μm/hである。一方、本発明によるファイバーは図1を例にとると、長軸が20〜30μm、短軸が0.1〜0.3μmであり、これは反応時間が15分のものなので、成長速度は80〜120μm/hとなり、前者と比較して、約100倍の高い成長速度を有する。さらに、本発明は、大気圧の下で簡単で安価な装置、簡単なプロセスかつ安全性にも優れている。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
(実施例1)
図3に示す装置を使用し、ガラスの反応容器01(容量150mlのガラスの試験管)内に、コイル状のタングステン線02と、回収基材03を設置する。
さらに、同特許文献11では、針状結晶の寸法は平均して長軸が約2μm、短軸は約0.3μmであり、作製時間は約2時間と見積もられ、成長速度は1μm/hである。一方、本発明によるファイバーは図1を例にとると、長軸が20〜30μm、短軸が0.1〜0.3μmであり、これは反応時間が15分のものなので、成長速度は80〜120μm/hとなり、前者と比較して、約100倍の高い成長速度を有する。さらに、本発明は、大気圧の下で簡単で安価な装置、簡単なプロセスかつ安全性にも優れている。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
(実施例1)
図3に示す装置を使用し、ガラスの反応容器01(容量150mlのガラスの試験管)内に、コイル状のタングステン線02と、回収基材03を設置する。
タングステン線02と基材03の距離は8mmとした。
さらに、反応容器01の底部に、酸化促進液体(イオン交換樹脂を通した純水5ml、沸点100℃)と酸化抑制液体(1−プロパノール5ml、沸点97℃)とを1:1に混
合させた液体04(10ml)を入れた。反応容器01の下から加熱源05(電熱ヒーター)で液体04を気化させ、反応空間内06の空気を排気パイプ07から排出させる。反応空間内06から完全に空気が排出された後、加熱源05を止め、コイル状のタングステン線02を2,000℃に通電加熱する。基材03はタングステン線02の熱で約800℃に保持されている。反応時間は15分間である。尚、反応は常圧(大気圧)下で行っている。液体04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続け、水蒸気と1−プロパノールの混合蒸気となり、上記の酸化促進水蒸気が反応空間内06を酸化雰囲気とする。しかし、共存する酸化抑制1−プロパノールの蒸気が酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06がマイルドな酸化雰囲気に変わる。このときのO/(C+H+O)=0.197(19.7原子%)であった。
さらに、反応容器01の底部に、酸化促進液体(イオン交換樹脂を通した純水5ml、沸点100℃)と酸化抑制液体(1−プロパノール5ml、沸点97℃)とを1:1に混
合させた液体04(10ml)を入れた。反応容器01の下から加熱源05(電熱ヒーター)で液体04を気化させ、反応空間内06の空気を排気パイプ07から排出させる。反応空間内06から完全に空気が排出された後、加熱源05を止め、コイル状のタングステン線02を2,000℃に通電加熱する。基材03はタングステン線02の熱で約800℃に保持されている。反応時間は15分間である。尚、反応は常圧(大気圧)下で行っている。液体04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続け、水蒸気と1−プロパノールの混合蒸気となり、上記の酸化促進水蒸気が反応空間内06を酸化雰囲気とする。しかし、共存する酸化抑制1−プロパノールの蒸気が酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06がマイルドな酸化雰囲気に変わる。このときのO/(C+H+O)=0.197(19.7原子%)であった。
マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上に青色のタングステン酸化物ファイバーとして堆積し、成長した。
図1(e)、(f)にNi金網上に成長したタングステン酸化物ファイバーの走査型電子顕微鏡
写真を示す。図(e)は200倍、図(f)は1000倍の倍率である。図から明らかなように、金網
全体に微細なファイバーが明瞭に観察されているのがわかる。さらに、このファイバーをFE型SEM(電界放出型走査型電子顕微鏡)を用いて高倍率(5000倍〜20000倍)で観察を行ったところ、四角柱のファイバーで、長さは約20〜30μm、一辺0.1〜0.3μm、アスペクト比は50〜80であった。さらに、TEM(透過型電子顕微鏡)観察の結果、原子が規則正しく配列し
ていることから、結晶性も高いことも分かった。得られたファイバーの写真を図1(a)、(b)、図2(a)、(b)にそれぞれ示す。
(実施例2)
実施例1で示したタングステン線02の温度を1600℃にし、他は実施例1と同様の条件にて反応させた。基材温度は500℃であった。反応時間は約30分間である。得られたタングステン酸化物ファイバーのアスペクト比は約10〜30であった。
(実施例3)
実施例1で示したタングステン線02の温度を2400℃にし、他は実施例1と同様の条件にて反応させた。基材温度は、1000℃であった。反応時間は約5分間である。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例4)
実施例1で示した水:1−プロパノールの比を3:7に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.15(15原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応時間は約60分
間である。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(比較例1)
実施例1で示した水:1−プロパノールの比を2:8に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.13(13原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応空間06は1−
プロパノールの蒸気が大部分を占めたため、フィラメントを通電加熱した直後に目視できるほどの小さな煤ではあるが、それが大量に生成され、空間を漂った。そして、目的とするタングステン酸化物ファイバーを得ることは出来なかった。
(実施例5)
実施例1で示した水:1−プロパノールの比を7:3に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.25(25原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応時間は約5分間
である。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。(比較例2)
実施例1で示した水:1−プロパノールの比を8:2に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.28(28原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応空間06は水蒸
気が大部分を占めたため、強い酸化雰囲気になり、フィラメントを通電加熱したところ、
ただちに断線した。その為、目的とするタングステン酸化物ファイバーを得ることは出来なかった。
(実施例6)
実施例1で示した酸化抑制液体1−プロパノールをメタノール(沸点65℃)に変えた。水:メタノールの比を1:9として、他は実施例1と同様の条件で反応させた。このときのO/(C+H+O)=0.18(18原子%)であった。反応時間は約60分間である。得られたタングス
テン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例7)
実施例6で示した水:メタノールの比を6:4に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.24(24原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応時間は約5分間である
。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例8)
実施例1で示した酸化抑制液体1−プロパノールをエタノール(沸点78℃)に変えた。水:エタノールの比を2:8として、他は実施例1と同様の条件で反応させた。このときのO/(C+H+O)=0.16(16原子%)であった。反応時間は約60分間である。得られたタング
ステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例9)
実施例8で示した水:エタノールの比を7:3に変えた。他は実施例1と同様の条件で反応させた。このときのO/(C+H+O)=0.26(26原子%)であった。反応時間は約5分間である
。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例10)
実施例1で示した酸化抑制液体1−プロパノールを2−ブタノール(沸点99℃)に変えた。水:2−ブタノールの比を4:6として、他は実施例1と同様の条件で反応させた。このときのO/(C+H+O)=0.16(16原子%)であった。反応時間は約60分間である。得られ
たタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例11)
実施例10で示した水:2−ブタノールの比を8:2に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.27(27原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応時間は約5分間
である。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。(比較例3〜5)
実施例8、10で示した水:エタノール=1:9、水:2−ブタノール=3:7に変化させ、他は実施例1と同様の条件で反応させた。フィラメントを通電加熱した直後に目視できるほどの小さな煤ではあるが、それが大量に生成され、空間を漂っていた。また、目的とするタングステン酸化物ファイバーを得ることは出来なかった。
(比較例6〜8)
また、水:メタノール=7:3、水:エタノール=8:2、水:2−ブタノール=9:1に変化させ、他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応空間06は水蒸気が大部分を占めたため、強い酸化雰囲気になり、フィラメントを通電加熱したところ、ただちに断線した。その為、目的とするタングステン酸化物ファイバーを得ることは出来なかった。(実施例12)
図4に示す装置を使用し、ガラスの反応容器01(容量150mlのガラスの試験管)内に、コイル状のタングステン線02(タングステン酸化物ファイバーの原料)とタングステン酸化物ファイバーの集合体を堆積させ、回収するための基材03(ステンレスの金網)を設置した。さらに、反応容器01の底部に、酸化促進液体04(水10ml)を入れ、供給パイプ08から酸化抑制気体09(窒素)を入れ、反応空間内06を満たした。
写真を示す。図(e)は200倍、図(f)は1000倍の倍率である。図から明らかなように、金網
全体に微細なファイバーが明瞭に観察されているのがわかる。さらに、このファイバーをFE型SEM(電界放出型走査型電子顕微鏡)を用いて高倍率(5000倍〜20000倍)で観察を行ったところ、四角柱のファイバーで、長さは約20〜30μm、一辺0.1〜0.3μm、アスペクト比は50〜80であった。さらに、TEM(透過型電子顕微鏡)観察の結果、原子が規則正しく配列し
ていることから、結晶性も高いことも分かった。得られたファイバーの写真を図1(a)、(b)、図2(a)、(b)にそれぞれ示す。
(実施例2)
実施例1で示したタングステン線02の温度を1600℃にし、他は実施例1と同様の条件にて反応させた。基材温度は500℃であった。反応時間は約30分間である。得られたタングステン酸化物ファイバーのアスペクト比は約10〜30であった。
(実施例3)
実施例1で示したタングステン線02の温度を2400℃にし、他は実施例1と同様の条件にて反応させた。基材温度は、1000℃であった。反応時間は約5分間である。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例4)
実施例1で示した水:1−プロパノールの比を3:7に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.15(15原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応時間は約60分
間である。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(比較例1)
実施例1で示した水:1−プロパノールの比を2:8に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.13(13原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応空間06は1−
プロパノールの蒸気が大部分を占めたため、フィラメントを通電加熱した直後に目視できるほどの小さな煤ではあるが、それが大量に生成され、空間を漂った。そして、目的とするタングステン酸化物ファイバーを得ることは出来なかった。
(実施例5)
実施例1で示した水:1−プロパノールの比を7:3に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.25(25原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応時間は約5分間
である。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。(比較例2)
実施例1で示した水:1−プロパノールの比を8:2に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.28(28原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応空間06は水蒸
気が大部分を占めたため、強い酸化雰囲気になり、フィラメントを通電加熱したところ、
ただちに断線した。その為、目的とするタングステン酸化物ファイバーを得ることは出来なかった。
(実施例6)
実施例1で示した酸化抑制液体1−プロパノールをメタノール(沸点65℃)に変えた。水:メタノールの比を1:9として、他は実施例1と同様の条件で反応させた。このときのO/(C+H+O)=0.18(18原子%)であった。反応時間は約60分間である。得られたタングス
テン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例7)
実施例6で示した水:メタノールの比を6:4に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.24(24原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応時間は約5分間である
。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例8)
実施例1で示した酸化抑制液体1−プロパノールをエタノール(沸点78℃)に変えた。水:エタノールの比を2:8として、他は実施例1と同様の条件で反応させた。このときのO/(C+H+O)=0.16(16原子%)であった。反応時間は約60分間である。得られたタング
ステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例9)
実施例8で示した水:エタノールの比を7:3に変えた。他は実施例1と同様の条件で反応させた。このときのO/(C+H+O)=0.26(26原子%)であった。反応時間は約5分間である
。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例10)
実施例1で示した酸化抑制液体1−プロパノールを2−ブタノール(沸点99℃)に変えた。水:2−ブタノールの比を4:6として、他は実施例1と同様の条件で反応させた。このときのO/(C+H+O)=0.16(16原子%)であった。反応時間は約60分間である。得られ
たタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。
(実施例11)
実施例10で示した水:2−ブタノールの比を8:2に変えた。このときのO/(C+H+O)=0.27(27原子%)であった。他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応時間は約5分間
である。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例2とほぼ同様のものであった。(比較例3〜5)
実施例8、10で示した水:エタノール=1:9、水:2−ブタノール=3:7に変化させ、他は実施例1と同様の条件で反応させた。フィラメントを通電加熱した直後に目視できるほどの小さな煤ではあるが、それが大量に生成され、空間を漂っていた。また、目的とするタングステン酸化物ファイバーを得ることは出来なかった。
(比較例6〜8)
また、水:メタノール=7:3、水:エタノール=8:2、水:2−ブタノール=9:1に変化させ、他は実施例1と同様の条件で反応させた。反応空間06は水蒸気が大部分を占めたため、強い酸化雰囲気になり、フィラメントを通電加熱したところ、ただちに断線した。その為、目的とするタングステン酸化物ファイバーを得ることは出来なかった。(実施例12)
図4に示す装置を使用し、ガラスの反応容器01(容量150mlのガラスの試験管)内に、コイル状のタングステン線02(タングステン酸化物ファイバーの原料)とタングステン酸化物ファイバーの集合体を堆積させ、回収するための基材03(ステンレスの金網)を設置した。さらに、反応容器01の底部に、酸化促進液体04(水10ml)を入れ、供給パイプ08から酸化抑制気体09(窒素)を入れ、反応空間内06を満たした。
酸化抑制気体(窒素)09で満たされた反応空間内06に設置されたコイル状のタングステン線02を2,000℃に通電加熱した。基材03はタングステン線02の熱で約800℃に保持されている。反応時間は5分間とした。尚、反応は常圧(大気圧)下で行った。酸化促進液体(水)04はコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続け、水蒸気
となる。上記水蒸気が反応空間内06を酸化雰囲気にするが、酸化抑制気体である窒素が酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06がマイルドな酸化雰囲気になる。
となる。上記水蒸気が反応空間内06を酸化雰囲気にするが、酸化抑制気体である窒素が酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06がマイルドな酸化雰囲気になる。
マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上にタングステン酸化物ファイバーとして堆積する。また、得られたタングステン酸化物結晶のアスペクト比は50〜80であった。
(実施例13)
実施例12で示した酸化抑制気体の窒素をアルゴンに変えた。他は実施例12と同様の条件で反応させた。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例12ほぼ同様のものであった。
(実施例14)
実施例12で示した酸化抑制気体の窒素を水素に変えた。他は実施例12と同様の条件で反応させた。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例12とほぼ同様のものであった。
(実施例15)
図5のようにガラスの反応容器01(ここでは、容量150mlのガラスの試験管)内に、コイル状のタングステン線02(タングステン酸化物ファイバーの原料)とタングステン酸化物ファイバーの集合体を堆積させ、回収するための基材03(ここではステンレスの金網)を設置した。さらに、反応容器01の底部に、酸化抑制液体04(ここでは、1−プロパノール10ml)を入れる。反応容器01の下から加熱源05で酸化抑制液体04である1−プロパノールを気化させ、反応空間内06の空気を排気パイプ07から排出させた。
(実施例13)
実施例12で示した酸化抑制気体の窒素をアルゴンに変えた。他は実施例12と同様の条件で反応させた。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例12ほぼ同様のものであった。
(実施例14)
実施例12で示した酸化抑制気体の窒素を水素に変えた。他は実施例12と同様の条件で反応させた。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例12とほぼ同様のものであった。
(実施例15)
図5のようにガラスの反応容器01(ここでは、容量150mlのガラスの試験管)内に、コイル状のタングステン線02(タングステン酸化物ファイバーの原料)とタングステン酸化物ファイバーの集合体を堆積させ、回収するための基材03(ここではステンレスの金網)を設置した。さらに、反応容器01の底部に、酸化抑制液体04(ここでは、1−プロパノール10ml)を入れる。反応容器01の下から加熱源05で酸化抑制液体04である1−プロパノールを気化させ、反応空間内06の空気を排気パイプ07から排出させた。
酸化抑制液体である1−プロパノールの蒸気で満たされた反応空間内06に設置されたコイル状のタングステン線02を2,000℃に通電加熱した。基材03はタングステン線02の熱で約800℃に保持されている。反応時間は10分間とした。尚、反応は常圧(大気圧)下で行った。
液体04の1−プロパノールはコイル状のタングステン線02の熱で蒸発し続ける。ここで、供給パイプ08から酸化促進気体10(ここでは、酸素)を微量導入すると、反応空間内06は酸化雰囲気になる。しかし、酸化抑制液体である1−プロパノールの蒸気が酸化雰囲気を抑制し、全体として反応空間内06はマイルドな酸化雰囲気になる。
マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上にタングステン酸化物ファイバーとして堆積した。また、得られたタングステン酸化物結晶の形状は実施例12と同様のものであった。
(実施例16)
実施例15で示した酸化促進気体の酸素を二酸化炭素に変えた。他は実施例15と同様の条件で反応させた。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例12とほぼ同様のものであった。
(実施例17)
図6のように、ガラスの反応容器01(容量150mlのガラスの試験管)内に、コイル状のタングステン線02(タングステン酸化物ファイバーの原料)とタングステン酸化物ファイバーの集合体を堆積させ、回収するための基材03(ここでは、ステンレスの金網)を設置した。さらに、供給パイプ08から酸化抑制気体09(窒素)を入れ、反応空間内06を満たす。窒素で満たされた反応空間内06に供給パイプ08から酸化促進気体10(酸素)を微量導入し、全体として反応空間内06をマイルドな酸化雰囲気にした。次にコイル状のタングステン線02を2,000℃に通電加熱した。基材03はタングステン線02の熱で約800℃に保持されている。反応時間は10分間とした。尚、反応は
常圧(大気圧)下で行った。
(実施例16)
実施例15で示した酸化促進気体の酸素を二酸化炭素に変えた。他は実施例15と同様の条件で反応させた。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例12とほぼ同様のものであった。
(実施例17)
図6のように、ガラスの反応容器01(容量150mlのガラスの試験管)内に、コイル状のタングステン線02(タングステン酸化物ファイバーの原料)とタングステン酸化物ファイバーの集合体を堆積させ、回収するための基材03(ここでは、ステンレスの金網)を設置した。さらに、供給パイプ08から酸化抑制気体09(窒素)を入れ、反応空間内06を満たす。窒素で満たされた反応空間内06に供給パイプ08から酸化促進気体10(酸素)を微量導入し、全体として反応空間内06をマイルドな酸化雰囲気にした。次にコイル状のタングステン線02を2,000℃に通電加熱した。基材03はタングステン線02の熱で約800℃に保持されている。反応時間は10分間とした。尚、反応は
常圧(大気圧)下で行った。
マイルドな酸化雰囲気中に置かれた高温のタングステン線02は除々に酸化され、タングステン酸化物となって蒸発し、基材03上にタングステン酸化物ファイバーとして堆積する。また、得られたタングステン酸化物結晶の形状は実施例12と同様のものであった。
(実施例18)
実施例17で示した酸化抑制気体である窒素をアルゴンに変えた。他は実施例17と同様の条件で反応させた。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例12とほぼ同様のものであった。
(実施例18)
実施例17で示した酸化抑制気体である窒素をアルゴンに変えた。他は実施例17と同様の条件で反応させた。得られたタングステン酸化物ファイバーは実施例12とほぼ同様のものであった。
01…反応容器
02…コイル状のタングステン線(原料)
03…回収基材
04…液体
05…加熱源
06…反応空間
07…排気パイプ
08…供給パイプ
09…酸化抑制気体
10…酸化促進気体
02…コイル状のタングステン線(原料)
03…回収基材
04…液体
05…加熱源
06…反応空間
07…排気パイプ
08…供給パイプ
09…酸化抑制気体
10…酸化促進気体
Claims (6)
- タングステン酸化物からなり、一辺の長さが1nm〜500μmであり、長軸方向の長さが5nm〜10000μmであり、アスペクト比が5〜300の範囲にあるタングステン酸化物ファイバーであって、原子がc軸方向に規則正しく配列していることを特徴とする、タングステン酸化物ファイバー。
- タングステン酸化物の組成がWO2.72を主たるものとすることを特徴とする請求項1に記
載のタングステン酸化物ファイバー。 - 金属タングステンまたはその合金を、酸化促進物質に酸化抑制物質を混合することによって得られた気相酸化雰囲気下で、1200〜3000℃に加熱し、生成したタングステン酸化物を基材上で成長させることを特徴とするタングステン酸化物ファイバーの製造方法。
- 前記酸化促進物質が、水、過酸化水素水、無機酸、有機酸、酸素、二酸化炭素、オゾン、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、三酸化二燐からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化促進物質であり、
前記酸化抑制物質が、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、炭素数1〜12の炭化水素類、窒素、水素、希ガス、アンモニア、一酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化抑制物質であることを特徴とする請求項3に記載
の製造方法。 - 前記気相酸化雰囲気では、酸化促進物質として水を選択し、酸化抑制物質としてアルコール類を選択してなり、それらを構成するO/(C+H+O)の比が15〜27原子%であることを特
徴とする請求項3または4に記載の製造方法。 - 基材の温度を、400〜1100℃に保つことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
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JP2007029792A JP2008195550A (ja) | 2007-02-08 | 2007-02-08 | タングステン酸化物ファイバーおよびその製造方法 |
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2007
- 2007-02-08 JP JP2007029792A patent/JP2008195550A/ja active Pending
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