JP2008115886A - 斜歯歯車 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成樹脂製の斜歯歯車を対象とし、動力の伝達を正確に行い得るようにし得るとともに、騒音の発生を抑えることができる斜歯歯車を提供する。
【解決手段】合成樹脂を原料として形成され、かつ、歯筋方向が軸心方向に対しして傾斜してなる斜歯20を有する斜歯歯車10において、斜歯20の端部に当該斜歯20の端面側から凹没されることによって形成された凹部21が設けられ、この凹部21の周りに薄肉部22が形成されている。斜歯20の端面に凹設された凹部21の深さをb、斜歯20のピッチをP、斜歯20の歯筋方向に延びる歯筋線L2と軸心L1との間に形成された捻れ角をβとしたとき、「b≦3Ptanβ」を満足するように凹部21の深さbが設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】合成樹脂を原料として形成され、かつ、歯筋方向が軸心方向に対しして傾斜してなる斜歯20を有する斜歯歯車10において、斜歯20の端部に当該斜歯20の端面側から凹没されることによって形成された凹部21が設けられ、この凹部21の周りに薄肉部22が形成されている。斜歯20の端面に凹設された凹部21の深さをb、斜歯20のピッチをP、斜歯20の歯筋方向に延びる歯筋線L2と軸心L1との間に形成された捻れ角をβとしたとき、「b≦3Ptanβ」を満足するように凹部21の深さbが設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、歯の歯筋方向が軸心方向に対しして傾斜してなる合成樹脂製の斜歯(はすば)歯車に関するものである。
斜歯歯車は、各歯の歯筋方向が軸心方向に対しして傾斜している(すなわち斜(はす)になっている)歯車である。かかる斜歯歯車は、歯の傾斜方向が互いに逆になっているもの同士を噛合させることでそれぞれが一体的に同心で外嵌された平行な2軸間での動力伝達に使用されるのが一般的であり、高速回転での動力伝達に適している。かかる斜歯歯車は、軽量であることや大量生産に適していること等の理由で硬質の合成樹脂材料を原料として製造されていることが多く、その用途としては、例えば、画像形成装置などの精密機器における駆動力伝達用の部品として使用されている場合が多い。
ところで、上記のような斜歯歯車にあっては、2つの斜歯歯車同士の噛合において、動力伝達側である一方の斜歯歯車の歯の一端部と、動力被伝達側である他方の斜歯歯車の歯の同端部とがまず噛合し、一方の斜歯歯車の駆動回転に応じて噛合位置が順次各歯の他端部側へ向けて移動していくようになっている。
そして、一方の歯車の歯と、他方の歯車の歯との噛合開始時点では、それぞれの歯の歯筋方向の端部同士が互いにぶつかり合うことから、その衝撃で騒音が発生するとともに、衝撃が歯車全体に影響を及ぼすことによって一方の斜歯歯車から他方の斜時歯車への駆動力の伝達が正確に伝達され得なくなる場合がある。特に斜歯歯車が射出成型法によって製造された合成樹脂製のものである場合には、その傾向は顕著であり、これによって当該斜歯歯車が適用された画像形成装置などの精密機器の精密駆動が確保し得なくなるという不都合が生じることがある。
なお、斜歯歯車の歯の歯面は、通常の平歯車と同様に、インボリュート曲線やサイクロイド曲線のような所定の歯形曲線に沿うように形成されているため、互いに当接した各歯の歯面同士で滑りが生じることはなく、従って、歯の歯筋方向の端部同士が衝突した後の各歯の歯筋方向へ移動する噛合位置における噛み合いについては特に問題が生じることはない。
因みに、合成樹脂製の歯車として、特許文献1〜3に記載のものが知られている。まず、特許文献1に記載のものは、合成樹脂製の歯車において、ハブと環状の歯の基部との間に複数本のスポークが設けられている。そして、特許文献1には、こうすることで歯車が噛合するときに発生する振動がスポークに撓みを与え、これによって歯車の噛合騒音を減衰させることができると記載されている。
また、特許文献2に記載のものは、型のキャビティ内に溶融樹脂を注入した後、当該キャビティ内へ中空部形成流体を圧入する、いわゆるブロー成形法によって樹脂製の歯車を製造するようになされている。そして、特許文献2には、かかる製法で得られた歯車は、内部が中空であるため軽量であるとともに、中実品に比べて製造時の熱収縮量を少なくすることができ、寸法精度が高くなると記載されている。
さらに、特許文献3に記載のものは、金型を用いて射出成型法で製造される歯車のリム部の厚み寸法をウエブ部の厚み寸法より薄くするというものである。そして、特許文献3には、歯車をこのように構成することで金型による射出成形時に、リム部にヒケ(成型時に金型内の溶融樹脂の温度の不均一により形成される空隙)が生じなくなり、これによってリム部の形成精度の低下が防止されると記載されている。
特開平8−121574号公報
特開平8−156053号公報
特開2002−210782号公報
しかしながら、上記の特許文献1〜3に記載のものは、いずれも、合成樹脂製の斜歯歯車の特有の問題点である、一方の歯車の歯と、他方の歯車の歯との噛合開始時点では、それぞれの歯の歯筋方向の端部同士が互いにぶつかり合うことから、そのショックが歯車全体に影響を及ぼすことによって一方の斜歯歯車から他方の斜時歯車への駆動力の伝達が正確に伝達され得なくなる場合があるという点については解決課題として問題提起されておらず、かかる斜歯歯車特有の問題点を解決し得るものではない。
本発明は、従来のかかる状況に鑑みなされたものであって、合成樹脂製の斜歯歯車を対象とし、動力の伝達を正確に行い得るようにし得るとともに、騒音の発生を抑えることができる斜歯歯車を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、合成樹脂を原料として形成され、かつ、歯筋方向が軸心方向に対して傾斜した斜歯が形成されてなる斜歯歯車において、前記斜歯の端部には、当該斜歯の端面側から凹没されることによって形成された凹部の周りに薄肉部が設けられていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、2つの斜歯歯車を使用し、一方の斜歯歯車の駆動力を他方の斜歯歯車に伝達するに際し、一方の斜歯歯車の歯が他方の斜歯歯車の歯への噛合開始時点で両歯の歯筋方向の各端部同士が衝突することになるが、このとき少なくとも一方の歯車の歯の端面側から凹没されることによって形成された薄肉部が容易に弾性変形するため、この薄肉部の弾性変形によって歯の端部同士が衝突したことによる衝撃が吸収される。
従って、斜歯の端部同士の衝突による騒音を抑えることができるとともに、衝撃が各斜歯歯車全体に及ぶことが有効に防止され、これによって一方の斜歯歯車から他方の斜歯歯車への駆動力の伝達にばらつきが生じることはなく、一方の斜歯歯車から他方の斜歯歯車へ向けて常に正確な駆動力の伝達が行われる。
このように、一方の斜歯歯車から他方の斜歯歯車へ向けて常に正確な駆動力の伝達が行われるため、当該斜歯歯車が画像形成装置などの精密機器の駆動力伝達用に使用された場合、駆動力の伝達が不正確であることに起因して精密機器が適正に動作しなくなるような不都合の発生が有効に防止される。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記凹部の深さをb、前記斜歯のピッチをP、前記斜歯の歯筋方向に延びる歯筋線と軸心との間に形成された捻れ角をβとしたとき、「b≦3Ptanβ」を満足するように凹部の深さbが設定されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、斜歯歯車は、騒音発生の防止および駆動力伝達の正確性を確保した上で斜歯の必要な剛性が維持される。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記凹部は、前記斜歯の端面視で左右対称に形成されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、斜歯の端部における一対の噛合面の内のいずれの噛合面に他の歯車の歯が当接しても、薄肉部の弾性変形量は同一になるため、噛合方向により薄肉部の弾性変形量が相違して衝撃吸収作用に差がでるような不都合の発生が防止され、これによって斜歯歯車の適用性が向上する。特に、凹部の形状を、斜歯の端面視で当該斜歯の端面形状と略相似形に形成すれば、薄肉部の厚み寸法が当該薄肉部の全ての部位で略同一になるため、斜歯歯車が他の歯車と噛合する場合において、斜歯歯車の端部の薄肉部が他の歯車の歯と当接したとき、当接部位により薄肉部の弾性変形量で大きなバラツキが生じるようなことはなく、常に安定した状態で一方の歯車から他方の歯車へ駆動力が伝達される。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記薄肉部には、一対の噛合面の一方側が切り欠かれることによって形成した切欠き部が設けられていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、切欠き部を他の歯車の歯が押圧当接する側の噛合面と反対側の噛合面の薄肉部に形成することにより、他の歯車の歯が斜歯歯車に噛合するに際し薄肉部を押圧した状態で、当該薄肉部は、切欠き部の存在でより柔軟に弾性変形することができるため、斜歯歯車と他の歯車との噛合開始時点における衝突の衝撃がより効果的に吸収される。
請求項1記載の発明によれば、斜歯の端部に薄肉部が設けられているため、騒音の発生を有効に防止した上で、一方の斜歯歯車から他方の斜歯歯車へ向けて常に正確な駆動力の伝達を行うことができる。従って、斜歯歯車が画像形成装置などの精密機器の駆動力伝達用に使用された場合、駆動力の伝達が不正確であることに起因して精密機器が適正に動作しなくなるような不都合の発生を有効に防止することができる。
請求項2記載の発明によれば、斜歯の端面に凹設された凹部の深さをb、斜歯のピッチをP、斜歯の歯筋方向に延びる歯筋線と軸心との間に形成された捻れ角をβとしたとき、「b≦3Ptanβ」を満足するように凹部の深さbが設定されているため、斜歯歯車は、騒音発生の防止および駆動力伝達の正確性を確保した上で斜歯としての必要な剛性を維持することができる。
請求項3記載の発明によれば、斜歯の端面に形成される凹部は、斜歯の端面視で左右対称に形成されているため、斜歯の端部における一対の噛合面の内のいずれの噛合面に他の歯車の歯が当接しても、薄肉部の弾性変形量は同一になり、これによって噛合方向により薄肉部の弾性変形量が相違して衝撃吸収作用に差がでるような不都合の発生を有効に防止することができ、結果として斜歯歯車の適用性を向上させることができる。
請求項4記載の発明によれば、切欠き部を他の歯車の歯が押圧当接する側の噛合面と反対側の噛合面の薄肉部に形成することにより、他の歯車の歯が斜歯歯車に噛合するに際し薄肉部を押圧した状態で、当該薄肉部は、切欠き部の存在でより柔軟に弾性変形することができるため、斜歯歯車と他の歯車との噛合開始時点における衝突の衝撃をより効果的に吸収することができる。
図1は、本発明に係る斜歯歯車の一実施形態を示す斜視図であり、図2は、その部分拡大斜視図である。また、図3は、図1のIII線視の図である。
まず、図1に示すように、斜歯歯車10は、軸心L1の位置に形成された円筒状のハブ11と、このハブ11の周面から同心で全周に亘るように径方向に向けて延設された円板状のウエブ12と、このウエブ12の外周から同心で全周に亘るように延設された環状のリム13と、このリム13の外周面から突設された周方向で等ピッチの複数の斜歯20とを備えている。
前記ハブ11には、同心で貫設された中心孔111が設けられている。この中心孔111には図略の軸が嵌入される。前記ウエブ12は、厚み寸法がハブ11およびリム13の軸心L1方向の厚み寸法より薄く設定されている。これによってハブ11とリム13との間に環状隙間が形成され、斜歯歯車10の材料の節約および軽量化に寄与している。
前記斜歯20は、図3に示すように、歯筋の延びる方向(歯筋線L2)と軸心L1との間に所定の角度(捻れ角β)が形成されるように軸心L1に対して右上がりに斜めに設けられている。かかる斜歯20の歯筋方向の各端面には、図2に示すように、所定深さの凹部21がそれぞれ凹設(肉盗み)されている。本実施形態においては、この凹部21は、斜歯20の端面視の形状と略相似形に形成され、略台形状になっている。
そして、斜歯20における凹部21が凹設された部分に、厚み寸法が略一定の薄肉部22が形成されている。この薄肉部22は、内側に凹部21が存在することにより、外力が加わると容易に弾性変形し、これによる外力の吸収で当該外力の影響が斜歯歯車10の全体に及ぶことがないようになされている。
このような斜歯歯車10は、硬質の熱可塑性合成樹脂が原料として使用され、かかる熱可塑性合成樹脂の加熱溶融物が所定の金型のキャビティ内に射出される、いわゆる射出成型法によって製造されている。
因みに、本実施形態においては、図3における右側の凹部211は、径方向から見て歯筋線L2と平行な対向縁部を有し、これによって平行四辺形に形成されているのに対し、左側の凹部212は、対向縁部の図3における下側のものが、歯筋線L2と平行にされている一方、図3における上側のものは、軸心L1と平行とされている。左側の凹部212がこのような形状にされるのは、左側の凹部212が所定の作業台上に固定された固定側の金型に対応し、右側の凹部211が固定側の金型の上面開口に蓋として被される可動側の金型に対応しているからである。
すなわち、可動側金型の場合、射出成形処理が完了した後の当該可動側金型の取り外しが若干捻り操作を加えることで容易であるのに対し、固定側金型の場合、左側の凹部212が菱形であると、当該固定側金型から斜歯歯車10を容易に型抜きすることができないからである。
そして、本実施形態においては、凹部21の深さ(肉盗み量)b(図3参照)は、歯のピッチP(斜歯歯車10の歯直角の基準ピッチ円の直径dを歯数Zで除した値)に前記捻れ角βの正接値を乗じ、これによって得られた値の3倍以下(b(mm)≦3Ptanβ)に設定されている。このようにされるのは、深さbが「3Ptanβ」を超えると、凹部21の深さが深くなり過ぎ、これによって駆動力を伝達するのに十分な強度の斜歯20が得られなくなるからである。因みに、「b≦3Ptanβ」という条件は、実際に多くの効果確認試験を重ねた結果えられたものである。
本実施形態においては、斜歯歯車10として、歯数zが40、モジュールmが1、捻れ角βが15°のものが採用されている。かかる斜歯歯車10は、ピッチ円の直径をdとした場合、当該ピッチ円の直径dは、「d=(Z×m)/cosβ」で計算されるため、この式に前記の具体的な数値を代入して計算すると、
d=(40×1)/cos15=41.41となる。
d=(40×1)/cos15=41.41となる。
従って、前記の「3Ptanβ」は、3×(d/Z)×tanβ=3×(41.41/40)×tan15=3×0.277=0.831となる。
従って、本実施形態においては、凹部21の深さbは、0.831mm以下の値に設定される。
図4および図5は、本発明に係る斜歯歯車10の作用を説明するための図であり、図4は、第1斜歯歯車101と第2斜歯歯車102との噛合状態を示す部分拡大斜視図、図5は、同側面図である。図4および図5において、第1斜歯歯車101が軸心回りに時計方向に駆動回転し、この駆動回転が第2斜歯歯車102の軸心回りの反時計方向へ向かう回転へ伝達されるとする。
そうすると、第1斜歯歯車101の所定の斜歯201が第2斜歯歯車102の対応した斜歯202に対し噛合を開始するときには、これら両斜歯201,202の歯筋方向の図4における右側の端部、すなわち薄肉部22同士がまず互いに当接し、その後、歯筋方向の左側に向けて順次噛合が進行していき、第1斜歯歯車101の斜歯202が第2斜歯歯車102の斜歯201の直上位置に到達した時点で両斜歯201,202が全長に亘って噛合した状態になる。
すなわち、第1および第2斜歯歯車101,102の各斜歯201,202が噛合を開始するに当たっては、必ずそれらの各斜歯202がまず最初に点接触で当接するため、このときの衝撃は相当大きく、特に、製造時の状況により斜歯20の歯形曲線が予め設定された曲線に対して大きな誤差を有しているような場合には、前記衝撃は大きくなる。
そして、この衝撃は第1および第2斜歯歯車101,102に全体的に影響を及ぼし、これによって第1斜歯歯車101の駆動回転が正確に第2斜歯歯車102へ伝達され難くなるのであるが、本発明においては、斜歯20の歯筋方向の端部に薄肉部22が形成されているため、第1および第2斜歯歯車101,102の各斜歯201,202の薄肉部22がそれぞれ弾性変形し、これによって各斜歯201,202の端部同士の衝突の衝撃を吸収する。すなわち、前記弾性変形によって歯形のバラツキを吸収させるべく、斜歯20にクラウンが形成されるのと同等の効果が得られる。
従って、この衝撃吸収により、第1および第2斜歯歯車101,102が全体的に衝撃の影響を受けることがなく、第1斜歯歯車101の駆動回転を第2斜歯歯車102へ正確に伝達することができる。
以上詳述したように、本発明に係る斜歯歯車10は、合成樹脂を原料として形成され、かつ、歯筋方向が軸心方向に対しして傾斜してなる斜歯20を有するものであり、斜歯20の端部に当該斜歯20の端面側から凹没されることによって形成された凹部21が設けられ、この凹部21の周りに薄肉部22が形成されている。
斜歯歯車10をこのように構成することにより、2つの斜歯歯車10を使用し、一方の斜歯歯車10の駆動力を他方の斜歯歯車10に伝達するに際し、一方の斜歯歯車10の斜歯20が他方の斜歯歯車10の斜歯20への噛合開始時点で両斜歯20の歯筋方向の各端部同士が衝突することになるが、このとき少なくとも一方の斜歯歯車10の斜歯20の端面側から凹没されることによって形成された薄肉部22が容易に弾性変形するため、この薄肉部22の弾性変形によって斜歯20の端部同士が衝突したことによる衝撃が吸収される。従って、斜歯20の端部同士の衝撃による衝撃が各斜歯歯車10全体に及ぶことが有効に防止され、これによって一方の斜歯歯車10から他方の斜歯歯車10への駆動力の伝達にばらつきが生じることはなく、一方の斜歯歯車10から他方の斜歯歯車10へ向けて常に正確に駆動力を伝達することができる。
このように、一方の斜歯歯車10から他方の斜歯歯車10へ向けて常に正確な駆動力の伝達が行われるため、当該斜歯歯車10を画像形成装置などの精密機器の駆動力伝達用に使用された場合、駆動力の伝達が不正確であることに起因して精密機器が適正に動作しなくなるような不都合の発生を有効に防止することができる。
また、斜歯20の端面に凹設された凹部21の深さをb、斜歯20のピッチをP、斜歯20の歯筋方向に延びる歯筋線L2と軸心L1との間に形成された捻れ角をβとしたとき、「b≦3Ptanβ」を満足するように凹部21の深さbが設定されているため、斜歯歯車10は、騒音発生の防止および駆動力伝達の正確性を確保した上で斜歯としての必要な剛性を維持することができる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)図6は、凹部21および薄肉部22の他の例を示す図であり、図6(A)は、凹部21が円形である円形凹部21aを示し、図6(B)は、凹部21が矩形状である矩形状凹部21bを示し、図6(C)は、凹部21が三角形状である三角凹部21cを示し、図6(D)は、凹部21が楕円状である楕円凹部21dを示し、図6(E)は、薄肉部22の一部が切り欠かれた切欠き薄肉部22aを示している。
本発明にかかる凹部21としては、上記の実施形態に係る台形状を呈した凹部21に加えて、図6(A)〜図6(D)に示すような、円形凹部21a、矩形状凹部21b、三角凹部21cおよび楕円凹部21dもその範囲に含まれる。また、これらの凹部21a,21b,21c,21dに限らず、斜歯20の端面に凹設された各種の形状のものも含まれる。
そして、これらの凹部21a,21b,21c,21dは、上記の実施形態の凹部21の場合と同様に、斜歯20の端面視で左右対称に形成されているため、斜歯20の端部における一対の噛合面の内のいずれの噛合面に他の歯車の歯が当接しても、薄肉部22の弾性変形量は同一になるため、噛合方向により薄肉部22の弾性変形量が相違して衝撃吸収作用に差がでるような不都合の発生が防止され、これによって斜歯歯車10の適用性が向上する。特に、凹部の形状を、斜歯20の端面視で当該斜歯20の端面形状と略相似形に形成すれば、薄肉部22の厚み寸法が当該薄肉部22の全ての部位で略同一になるため、斜歯歯車10が他の歯車と噛合する場合において、斜歯歯車10の端部の薄肉部22が他の歯車の歯と当接したとき、当接部位により薄肉部22の弾性変形量で大きなバラツキが生じるようなことはなく、常に安定した状態で一方の歯車から他方の歯車へ駆動力が伝達される。
また、前記切欠き薄肉部22aは、図6(E)に示すように、上記の実施形態における台形状の凹部21が採用された場合に設けられるものである。かかる切欠き薄肉部22aには、斜歯20の一対の噛合面の一方側の凹部21と対向した部分が切り欠かれることによって形成した切欠き部20cが設けられている。この切欠き部20cは、当該斜歯歯車10が他の斜歯歯車と噛合するに際し、一対の噛合面の内の駆動力を伝達する側または駆動力が伝達される側の噛合面である駆動力伝達面20aと反対側の駆動力非伝達面20bに形成されている。
かかる切欠き部20cが形成されることにより、切欠き薄肉部22aにおける駆動力伝達面20aが押圧された状態で、当該切欠き薄肉部22aは、切欠き部20cの存在でより柔軟に弾性変形することができるため、互いに噛合した斜歯歯車の斜歯20の噛合の開始時点における斜歯20の端部同士の同士の衝突の衝撃をより効果的に吸収することができる。
(2)図7は、軸心を通る歯筋方向に延びた平面により断面した凹部21の断面形状を示す斜歯20の断面図であり、図7(A)は、凹部21の断面形状が矩形状である矩形断面凹部21eを示し、図7(B)は、凹部21の断面形状が三角形状の三角断面凹部21fを示し、図7(C)は、凹部21の断面形状が台形状の台形断面凹部21gを示している。
本発明に係る凹部21は、その断面形状が図7(A)に示すように、矩形状の矩形断面凹部21eであってもよいし、図7(B)に示すように、三角形状の三角断面凹部21fであってもよいし、図7(C)に示すように、台形状の台形断面凹部21gであってもよい。さらにこれら以外の断面形状であってもよい。
(3)上記の実施形態においては、ウエブ12の厚み寸法がリム13のそれより薄く設定されているが、こうする代わりにウエブ12をハブ11およびリム13と同一厚みにしてもよい。また、ウエブ12にかえてハブ11とウエブ12との間に複数本のスポークを設けるようにしてもよい。
L1 軸心
L2 歯筋線
10 斜歯歯車
101 第1斜歯歯車
102 第2斜歯歯車
111 中心孔
11 ハブ
12 ウエブ
13 リム
20,201,202 斜歯
20a 駆動力伝達面
20b 駆動力非伝達面
20c 切欠き部
21 凹部
211 右側の凹部
212 左側の凹部
21a 円形凹部
21b 矩形状凹部
21c 三角凹部
21d 楕円凹部
21e 矩形断面凹部
21f 三角断面凹部
21g 台形断面凹部
22 薄肉部
22a 切欠き薄肉部
L2 歯筋線
10 斜歯歯車
101 第1斜歯歯車
102 第2斜歯歯車
111 中心孔
11 ハブ
12 ウエブ
13 リム
20,201,202 斜歯
20a 駆動力伝達面
20b 駆動力非伝達面
20c 切欠き部
21 凹部
211 右側の凹部
212 左側の凹部
21a 円形凹部
21b 矩形状凹部
21c 三角凹部
21d 楕円凹部
21e 矩形断面凹部
21f 三角断面凹部
21g 台形断面凹部
22 薄肉部
22a 切欠き薄肉部
Claims (4)
- 合成樹脂を原料として形成され、かつ、歯筋方向が軸心方向に対して傾斜した斜歯が形成されてなる斜歯歯車において、
前記斜歯の端部には、当該斜歯の端面側から凹没されることによって形成された凹部の周りに薄肉部が設けられていることを特徴とする斜歯歯車。 - 前記凹部の深さをb、前記斜歯のピッチをP、前記斜歯の歯筋方向に延びる歯筋線と軸心との間に形成された捻れ角をβとしたとき、「b≦3Ptanβ」を満足するように凹部の深さbが設定されていることを特徴とする請求項1記載の斜歯歯車。
- 前記凹部は、前記斜歯の端面視で左右対称に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の斜歯歯車。
- 前記薄肉部には、一対の噛合面の一方側が切り欠かれることによって形成した切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の斜歯歯車。
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- 2006-10-31 JP JP2006297012A patent/JP2008115886A/ja active Pending
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