JP2008106871A - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】少なくとも二つの遊星機構31,32および複数の油圧式係合要素C1〜C4,B1,B2を有する変速機構部3と、各油圧式係合要素を係合または解放させるための油圧制御装置4とを含む車両用自動変速機1の制御装置5において、アップシフト時における変速時間の短縮と前記油圧式係合要素の係合ショックの軽減とをバランスよく両立し、スムーズな変速を可能とする。
【解決手段】制御装置5は、油圧制御装置4を制御するもので、変速時のイナーシャ相制御において必要な油圧式係合要素を前回の油圧指令パターンに基づいて係合または解放させる変速処理と、アップシフト時のイナーシャ相制御において変速指令を受けてからイナーシャ相が終了するまでの複数区間の経過時間(T1〜T3)を計測し、この計測結果に基づき前回の油圧指令パターン(P)を変形して新たな油圧指令パターン(図17参照)とする補正処理とを実行する。
【選択図】図16
【解決手段】制御装置5は、油圧制御装置4を制御するもので、変速時のイナーシャ相制御において必要な油圧式係合要素を前回の油圧指令パターンに基づいて係合または解放させる変速処理と、アップシフト時のイナーシャ相制御において変速指令を受けてからイナーシャ相が終了するまでの複数区間の経過時間(T1〜T3)を計測し、この計測結果に基づき前回の油圧指令パターン(P)を変形して新たな油圧指令パターン(図17参照)とする補正処理とを実行する。
【選択図】図16
Description
本発明は、車両用自動変速機の制御装置に関する。特に、車両用自動変速機は、入力軸から出力軸までに設置される少なくとも二つの遊星機構および要求される変速段に対応する前記各遊星機構の動力伝達経路を成立させるための複数の油圧式係合要素を有する変速機構部と、必要に応じて各油圧式係合要素を係合または解放させる油圧制御装置とを含んで構成される。
従来から複数のギア式遊星機構を組み合わせて多数段の変速を行うようにした車両用自動変速機がある(例えば特許文献1参照。)。
この車両用自動変速機における変速機構部は、三つのギア式遊星機構と、要求される変速段に対応する前記各遊星機構の動力伝達経路を成立させるための複数の油圧式係合要素とを含んで構成されている。
油圧式係合要素とは、三つのギア式遊星機構における適宜の構成要素を回転可能な係合状態あるいは回転不可能な解放状態にするための湿式摩擦ブレーキや、各要素間を一体回転可能な係合状態や相対回転可能な解放状態にするための湿式摩擦クラッチ等が挙げられる。
このブレーキやクラッチからなる複数の油圧式係合要素は、それと同数のリニアソレノイドバルブを備える油圧制御装置でもって個別に駆動されるようになっている。
ここで、リニアソレノイドバルブをノーマリークローズタイプとする場合、リニアソレノイドバルブのソレノイドを非励磁(オフ)として閉弁状態にすれば、油圧式係合要素が解放状態となる一方、ソレノイドの励磁によってバルブ開度を制御することにより油圧式係合要素に適宜の油圧を付与すれば、係合状態となる。
この種の車両用自動変速機において、車両走行中には、いわゆるアップシフトやダウンシフトと呼ばれる変速処理が行われるが、いずれの場合にも、変速前の変速段から目標の変速段に変更するために、不要な油圧式係合要素の係合を解放させたり、必要な油圧式係合要素を係合させたりする必要がある。
そして、油圧式係合要素の係合時には、リニアソレノイドバルブの開度つまり油圧式係合要素に付与する作動油圧を細かく制御する、いわゆるイナーシャ相制御が行われるようになっている。
なお、イナーシャ相とは、自動変速機の入力軸回転数(タービン回転数)が変速前の変速段の同期回転数と要求される変速段の同期回転数との偏差に応じて変化する区間のことである。イナーシャ相での入力軸回転数は、アップシフト時に低下し、ダウンシフト時に増加する。また、同期回転数とは、変速段の変速比に見合った入力軸回転数のことである。
このイナーシャ相制御における油圧式係合要素に付与する係合油圧は、変速に要する時間(変速時間)の短縮と油圧式係合要素の係合ショックの軽減とを図るように、経験的に決定した油圧指令パターンに基づき行われるようになっている。
ちなみに、変速時間を短くすると、係合ショックが大きくなって、自動変速機の入力軸回転数ならびに出力軸トルクが急激に変化することになるために、運転者に変速ショックを認識させやすくなってしまう。かといって、変速時間を長くすると、係合ショックが小さくなって変速ショックを軽減できるものの、運転者に変速の間延び感を与えてしまう。
特開2003−287122号公報
上記従来例のように、前記油圧指令パターンを固定している場合、変速時間の短縮と油圧式係合要素の係合ショックの軽減とをバランスよく両立することが困難である。
そこで、本願発明者らは、前記油圧指令パターンを固定せずに、例えば運転者の運転や走行状況に応じた前回のイナーシャ相制御での入力軸回転数の変化を調べ、その結果に基づいて前記油圧指令パターンを補正することを考えている。
但し、現状における前記補正は、油圧指令パターンを変形するものではなく、単に定圧待機圧のレベルを高低変更するだけにしており、不十分である。ここで、前記補正の形態について工夫する余地があると考え、本発明を出願するに至った。
本発明は、車両用自動変速機の制御装置において、アップシフト時における変速時間の短縮と油圧式係合要素の係合ショックの軽減とをバランスよく両立し、スムーズな変速を可能とすることを目的としている。
本発明は、入力軸から出力軸までに設置される少なくとも二つの遊星機構および要求される変速段に対応する前記各遊星機構の動力伝達経路を成立させるための複数の油圧式係合要素を有する変速機構部と、必要に応じて各油圧式係合要素を係合または解放させる油圧制御装置とを含む車両用自動変速機の制御装置であって、変速時のイナーシャ相制御において必要な油圧式係合要素を前回の油圧指令パターンに基づいて係合または解放させる変速処理と、アップシフト時のイナーシャ相制御において変速指令を受けてからイナーシャ相が終了するまでの複数区間の経過時間を計測し、この計測結果に基づき前回の油圧指令パターンを変形して新たな油圧指令パターンとする補正処理とを実行する、ことを特徴としている。
この構成では、アップシフト毎に、イナーシャ相制御における油圧指令パターンを実際のタービン回転数(入力軸回転数)に応じて変形して更新するようにしているから、運転の経過に伴い運転者それぞれの運転や走行状況に適応した油圧指令パターンを作成することが可能になって、理想的なイナーシャ相制御が可能になる。
これにより、変速時間の短縮と油圧式係合要素の係合ショックの軽減とをバランスよく両立することが可能になり、運転者にアップシフト時の間延び感や変速ショックを与えずに済むようになる。
好ましくは、前記油圧式係合要素は、前記各遊星機構における適宜の構成要素を回転可能な状態あるいは回転不可能な状態とする湿式摩擦ブレーキと、前記各遊星機構の二つの構成要素を一体回転可能な状態あるいは相対回転可能な状態とする湿式摩擦クラッチとを有する構成にすることができる。
この構成では、油圧式係合要素について作動油を介して摩擦係合させるものに特定している。
好ましくは、前記補正処理では、イナーシャ相制御において変速指令を受けてからイナーシャ相を開始するまでの第1区間の経過時間の計測値と目標値との偏差を算出し、この算出結果に基づき前記油圧指令パターンにおける定圧待機圧を高くまたは低くする方向に補正する構成にすることができる。
この構成において、まず、油圧指令パターンにおける定圧待機圧を高める方向に補正すると、前記第1区間の経過時間が短くなるとともに、イナーシャ相の開始時における入力軸回転数の上昇が抑制される傾向となる。
一方、油圧指令パターンにおける定圧待機圧を低くする方向に補正すると、前記第1区間の経過時間が長くなるとともに、イナーシャ相の開始時における入力軸回転数が上昇する傾向となる。
好ましくは、前記補正処理では、イナーシャ相制御においてイナーシャ相の開始から入力軸回転数が所定回転数に到達するまでの第2区間の経過時間の計測値と目標値との偏差を算出し、この算出結果に基づき前記油圧指令パターンにおける定圧待機圧をイナーシャ相の開始時点から漸増させるとともにその増圧勾配を大きくまたは小さくする方向に補正する構成にすることができる。
この構成のように、油圧指令パターンにおける定圧待機圧をイナーシャ相の開始から漸増させるように補正すると、前記第2区間の経過時間が短くなる。
そして、前記増圧勾配を大きくすると、前記第2区間の経過時間が短くなる一方、増圧勾配を小さくすると、前記第2区間の経過時間が長くなる傾向となる。いずれにしても、前記補正により、変速指令後において入力軸回転数の低下を促進することが可能になるとともに、変速時間を短縮するうえで有利となる。
好ましくは、前記補正処理では、イナーシャ相制御においてイナーシャ相の開始から要求の変速段が成立されるまでの第3区間の経過時間の計測値と目標値との偏差を算出し、この算出結果に基づき前記油圧指令パターンにおける定圧待機圧の終了段階で漸減させるとともにその減圧勾配を大きくまたは小さくする方向に補正する構成にすることができる。
この構成のように、油圧指令パターンにおける定圧待機圧の終了段階で漸減させるように補正すると、イナーシャ相の終了時における出力軸トルクが漸減されるようになる。
そして、前記減圧勾配を大きくすると、前記第3区間の経過時間が長くなる一方、減圧勾配を小さくすると、前記第3区間の経過時間が短くなる傾向となる。いずれにしても、前記補正により、必要な油圧式係合要素を係合させるときに油圧が低下するので、係合ショックを軽減するうえで有利となる。
本発明は、入力軸から出力軸までに設置される少なくとも二つの遊星機構および要求される変速段に対応する前記各遊星機構の動力伝達経路を成立させるための複数の油圧式係合要素を有する変速機構部と、必要に応じて各油圧式係合要素を係合または解放させる油圧制御装置とを含む車両用自動変速機の制御装置であって、変速段毎の油圧指令パターンや適宜の目標値が格納される記憶手段と、入力軸の回転数を検出する入力軸回転数検出手段と、変速指令を受けてからイナーシャ相が終了するまでの複数区間の経過時間を計測する計測手段と、各区間毎に計測値と目標値との偏差を算出し、この算出結果に基づき前回の油圧指令パターンの所定部位を変形する補正手段と、この変形した新たな油圧指令パターンを次回の油圧指令パターンとして前記記憶手段内の油圧指令パターンを更新する学習手段とを含む、ことを特徴としている。
ここでは、本発明に係る制御装置の構成を上述した課題解決構成よりも詳しく特定している。
好ましくは、前記計測手段としては、イナーシャ相制御において変速指令を受けてからイナーシャ相を開始するまでの第1区間の経過時間を計測する第1計測手段と、イナーシャ相制御においてイナーシャ相の開始から入力軸回転数が所定回転数に到達するまでの第2区間の経過時間を計測する第2計測手段と、イナーシャ相制御においてイナーシャ相の開始から要求の変速段が成立されるまでの第3区間の経過時間の計測する第3計測手段とを含み、前記補正手段としては、前記第1計測手段での計測値とそれに対応する第1目標値との偏差を算出するとともに、この算出した偏差に適宜のゲインを掛けた結果に基づき前回の油圧指令パターンにおける定圧待機圧を高低補正する第1補正手段と、前記第2計測手段での計測値とそれに対応する第2目標値との偏差を算出するとともに、この算出した偏差に適宜のゲインを掛けた結果に基づき前回の油圧指令パターンにおける定圧待機圧をイナーシャ相の開始時点から漸増させるとともにその増圧勾配を大小補正する第2補正手段と、前記第3計測手段での計測値とそれに対応する第3目標値との偏差を算出するとともに、この算出した偏差に適宜のゲインを掛けた結果に基づき前回の油圧指令パターンにおける定圧待機圧の終了段階で漸減させるとともにその減圧勾配を大小補正する第3補正手段とを含む構成とすることができる。
この構成では、本発明に係る制御装置を構成する前記計測手段や補正手段を細かく特定することにより、油圧指令パターンを変形する形態を明確にしている。
本発明によれば、運転の経過に伴うアップシフト毎に、運転者それぞれの運転や走行状況に適応したイナーシャ相制御が可能になり、変速時間の短縮と油圧式係合要素の係合ショックの軽減とをバランスよく両立することが可能になる。そのため、運転者にアップシフト時の間延び感や変速ショックを与えずに済むようになる等、スムーズな変速が可能になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1から図17に本発明の一実施形態を示している。
まず、本発明の特徴部分の説明に先立ち、本発明の特徴を適用する車両用自動変速機1の構成を説明する。
図1は、本発明の適用対象となる車両用自動変速機1を用いた車両のパワートレインの概略構成を示す図、図2は、図1の車両用自動変速機1の一例を示すスケルトン図、図3は、図1および図2の変速機構部3を模式的に示す斜視図である。
図1に示す車両用自動変速機1は、主として、流体伝動装置としてのトルクコンバータ2、変速機構部3、油圧制御装置4、トランスミッション制御装置5、オイルポンプ6を含み、前進8段、後進2段の変速が可能な構成とされている。
なお、図1において、7はエンジン(内燃機関)、8はエンジン7の動作を制御するエンジン制御装置である。エンジン制御装置8は、トランスミッション制御装置5に対し、互いに送受信可能に接続されている。車両用自動変速機1とエンジン7とを含んでパワートレインが構成される。
トルクコンバータ2は、エンジン7に回転連結されるもので、ポンプインペラ21、タービンランナ22、ステータ23、ワンウェイクラッチ24、ステータシャフト25、ロックアップクラッチ26を含む。
ワンウェイクラッチ24は、ステータ23を変速機構部3のケース1aに一方向の回転のみ許容して支承するものである。ステータシャフト25は、ワンウェイクラッチ24のインナレースをケース1aに固定するものである。ロックアップクラッチ26は、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを直結するものである。
変速機構部3は、トルクコンバータ2から入力軸9に入力される回転動力を変速して出力軸10に出力するもので、図2および図3に示すように、フロントプラネタリ31と、リアプラネタリ32と、中間ドラム33と、第1〜第4クラッチC1〜C4と、第1,第2ブレーキB1,B2とを含む構成である。
フロントプラネタリ31は、ダブルピニオンタイプと呼ばれるギア式遊星機構とされており、第1サンギアS1と、第1リングギアR1と、複数個のインナーピニオンギアP1と、複数個のアウターピニオンギアP2と、第1キャリアCA1とを含む構成である。
なお、第1サンギアS1は、ケース1aに固定されて回転不可能とされ、第1リングギアR1は、中間ドラム33に第3クラッチC3を介して一体回転可能な状態または相対回転可能な状態に支持され、第1リングギアR1の内径側に第1サンギアS1が同心状に挿入されている。
複数個のインナーピニオンギアP1および複数個のアウターピニオンギアP2は、第1サンギアS1と第1リングギアR1との対向環状空間の円周数ヶ所に介装されており、複数個のインナーピニオンギアP1は第1サンギアS1に噛合され、また、複数個のアウターピニオンギアP2はインナーピニオンギアP1と第1リングギアR1とに噛合されている。
第1キャリアCA1は、両ピニオンギアP1,P2を回転可能に支持するもので、この第1キャリアCA1の中心軸部が入力軸9に一体的に連結され、第1キャリアCA1において両ピニオンギアP1,P2を支持する各支持軸部が第4クラッチC4を介して中間ドラム33に一体回転可能な状態または相対回転可能な状態に支持されている。
また、中間ドラム33は、第1リングギアR1の外径側に回転可能に配置されており、第1ブレーキB1を介してケース1aに回転不可能な状態または相対回転可能な状態に支持されている。
リアプラネタリ32は、ラビニオタイプと呼ばれるギア式遊星機構とされており、大径の第2サンギアS2と、小径の第3サンギアS3と、第2リングギアR2と、複数個のショートピニオンギアP3と、複数個のロングピニオンギアP4と、第2キャリアCA2とを含む構成である。
なお、第2サンギアS2は、中間ドラム33に連結され、第3サンギアS3は、第1クラッチC1を介してフロントプラネタリ31の第1リングギアR1に一体回転可能または相対回転可能に連結され、第2リングギアR2は、出力軸10に一体に連結されている。
また、複数個のショートピニオンギアP3は、第3サンギアS3に噛合され、複数個のロングピニオンギアP4は、第2サンギアS2および第2リングギアR2に噛合するとともにショートピニオンギアP3を介して第3サンギアS3に噛合されている。
さらに、第2キャリヤCA2は、複数個のショートピニオンギアP3および複数個のロングピニオンギアP4を回転可能に支持するもので、その中心軸部が第2クラッチC2を介して入力軸9に連結され、この第2キャリアCA2において各ピニオンギアP3,P4を支持する各支持軸部が、第2ブレーキB2およびワンウェイクラッチF1を介してケース1aに支持されている。
そして、第1〜第4クラッチC1〜C4および第1,第2ブレーキB1,B2は、請求項に記載の油圧式係合要素に相当するものであり、ここでは、オイルの粘性を利用した湿式多板摩擦係合装置とされている。
第1クラッチC1は、リアプラネタリ32の第3サンギアS3をフロントプラネタリ31の第1リングギアR1に対して一体回転可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。
第2クラッチC2は、リアプラネタリ32の第2キャリヤCA2を入力軸9に対して一体回転可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。
第3クラッチC3は、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1を中間ドラム33に対して一体回転可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。
第4クラッチC4は、フロントプラネタリ31の第1キャリアCA1を中間ドラム33に対して一体回転可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。
第1ブレーキB1は、中間ドラム33を車両用自動変速機1のケース1aに対して一体化して回転不可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。
第2ブレーキB2は、リアプラネタリ32の第2キャリアCA2をケース1aに対して一体化して回転不可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。
ワンウェイクラッチF1は、リアプラネタリ32の第2キャリアCA2の一方向のみの回転を許容するものである。
油圧制御装置4は、変速機構部3の変速動作を制御するもので、図4に示すように、主として、圧力制御弁41、マニュアルバルブ42、複数のリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLC4,SLB1、B2コントロールバルブ44、フェールセーフバルブとしてのカットオフバルブ45,46,47、切換弁48,49等を含む構成になっている。
圧力制御弁41は、オイルポンプ6からの油圧を所定のライン圧に制御してマニュアルバルブ42のポートPLに供給するものである。
マニュアルバルブ42は、運転者によるシフトレバーの操作に対応したニュートラルレンジN、前進走行レンジDまたは後進走行レンジRを確保するために、適宜、ポートDからリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLC4,SLB1に、またポートRからB2コントロールバルブ44にそれぞれ作動油圧を供給するものである。
複数のリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLC4,SLB1は、変速機構部3における第1〜第4クラッチC1〜C4ならびに第1ブレーキB1を個別に駆動するもので、その基本構成は公知の構成とされるので、ここでは詳細な図示や説明を割愛する。
なお、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLC4,SLB1の符号の意味は、それぞれ対応する各油圧式係合要素(第1〜第4クラッチC1〜C4ならびに第1ブレーキB1)を示す参照符号をSLの後に付加して表示している。
この各リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLC4,SLB1のソレノイド(符号省略)が、トランスミッション制御装置5から供給される制御信号(デューティ制御パルス)に応じて作動して、図示していない弁体を圧縮バネのバネ力とバランスする位置まで移動させ、必要なポートを開閉、または開度を増減調整する。
B2コントロールバルブ44は、第2ブレーキB2を駆動するものである。
第1のカットオフバルブ45は、第1クラッチC1とリニアソレノイドバルブSLC1との間に介装されており、二つの入力ポートに共に油圧が供給されたときにリニアソレノイドバルブSLC1から出力ポートを経由して第1クラッチC1へ供給する油圧を遮断して、ドレンポートからケース1a内に排出するフェールセーフバルブとして構成されている。
第2のカットオフバルブ46は、第4クラッチC4とリニアソレノイドバルブSLC4との間に介装されており、単一の入力ポートにリニアソレノイドバルブSLC3から油圧が供給されたときにリニアソレノイドバルブSLC4から出力ポートを経由して第4クラッチC4へ供給する油圧を遮断して、ドレンポートからケース1a内に排出するフェールセーフバルブとして構成されている。
第3のカットオフバルブ47は、第1ブレーキB1とリニアソレノイドバルブSLB1との間に介装されており、二つの入力ポートのいずれか一方にリニアソレノイドバルブSLC3またはSLC4から油圧が供給されたときにリニアソレノイドバルブSLB1から出力ポートを経由して第1ブレーキB1へ供給する油圧を遮断して、ドレンポートからケース1a内に排出するフェールセーフバルブとして構成されている。
切換弁48,49は、リニアソレノイドバルブSLB1と第1カットオフバルブ45の一方入力ポートとの間に直列に配置されている。
第1切換弁48の二つの入力ポートには、リニアソレノイドバルブSLB1の油圧配管とリニアソレノイドバルブSLC4の油圧配管とが並列に接続されている。また、第2切換弁49の二つの入力ポートには、第1切換弁48の出力配管とリニアソレノイドバルブSLC3の油圧配管とが並列に接続されている。これら第1、第2切換弁48,49は、そのいずれか一方の入力ポートに油圧が供給されたときに、当該供給された油圧を出力ポートから出力するものである。
トランスミッション制御装置5は、油圧制御装置4を制御することにより変速機構部3における適宜の変速段つまり動力伝達経路を成立させるもので、一般的に公知のECU(Electronic Control Unit)とされている。
つまり、トランスミッション制御装置5は、図5に示すように、中央処理装置(CPU)51と、読出し専用メモリ(ROM)52と、ランダムアクセスメモリ(RAM)53と、バックアップRAM54と、入力インタフェース55と、出力インタフェース56とを双方向性バス57によって相互に接続した構成になっている。
なお、エンジン制御装置8もトランスミッション制御装置5と同様のハードウエア構成である。
CPU51は、ROM52に記憶された各種制御プログラムや制御マップに基づいて演算処理を実行する。ROM52には、変速機構部3の変速動作や本発明の特徴を適用したフェールセーフ動作を制御するための各種制御プログラムが記憶されている。前記フェールセーフ動作は、後で詳細に説明する。RAM53は、CPU51での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM54は、各種の保存すべきデータを記憶する不揮発性のメモリである。
入力インタフェース55には、少なくとも、エンジン回転数センサ11、入力軸回転数センサ12、出力軸回転数センサ13、レンジ位置センサ14、スロットル開度センサ15、出力軸トルクセンサ16等が接続されている。また、出力インタフェース56には、少なくとも、油圧制御装置4の構成要素(圧力制御弁41、マニュアルバルブ42、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLC4,SLB1、B2コントロールバルブ44)が接続されている。
なお、エンジン回転数センサ11は、エンジンの回転が伝達されるトルクコンバータ2のエンジン回転数NEを検出するものである。入力軸回転数センサ12は、入力軸9の回転数NTを検出するものである。出力軸回転数センサ13は、出力軸10の回転数NOを検出するものである。レンジ位置センサ14は、マニュアルバルブ42が前進走行レンジD、ニュートラルレンジNにシフトされているときに検出信号を送出するものである。スロットル開度センサ15は、アクセルの踏み込み量を検出するものである。出力軸トルクセンサ16は、出力軸10のトルクを検出するものである。
ここで、上述した変速機構部3における各変速段を成立させる条件について、図6から図14を参照して説明する。
図6は、第1〜第4クラッチC1〜C4、第1,第2ブレーキB1,B2およびワンウェイクラッチF1における係合状態または解放状態と各変速段との関係を示す係合表である。この係合表において、○印は「係合状態」、×印は「解放状態」、◎印は「エンジンブレーキ時に係合状態」、△印は「駆動時のみ係合状態」を示す。
図7から図14には、油圧制御装置4において第1速段から第8速段を成立するための油圧経路をそれぞれ示している。なお、これらの図において、リニアソレノイドバルブからクラッチまたはブレーキへ油圧供給しているものに、ドット模様を付している。
(第1速段:1st)
第1速段1stは、第1クラッチC1の係合と、ワンウェイクラッチF1の自動係合によって成立される。
第1速段1stは、第1クラッチC1の係合と、ワンウェイクラッチF1の自動係合によって成立される。
つまり、図7に示すように、リニアソレノイドバルブSLC1から第1クラッチC1への油圧経路のみを確保して、第1クラッチC1を係合する。
この場合、第1クラッチC1の係合によって、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1とリアプラネタリ32の第3サンギアS3とが一体回転可能な状態となり、また、ワンウェイクラッチF1の自動係合によってリアプラネタリ32の第2キャリアCA2が回転停止される。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1から第1リングギアR1を経て回転される第3サンギアS3と、ワンウェイクラッチF1によって逆回転を阻止された第2キャリアCA2と、フリー回転可能な第2サンギアS2との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が第1速段のギア比で回転される。
(第2速段:2nd)
第2速段2ndは、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合によって成立される。
第2速段2ndは、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合によって成立される。
つまり、図8に示すように、リニアソレノイドバルブSLC1から第1クラッチC1への油圧経路を確保して第1クラッチC1を係合するとともに、リニアソレノイドバルブSLB1から第1ブレーキB1への油圧経路を確保して第1ブレーキB1を係合する。
この場合、まず、第1クラッチC1の係合によって、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1とリアプラネタリ32の第3サンギアS3とが一体回転可能な状態となり、また、第1ブレーキB1の係合によって中間ドラム33およびリアプラネタリ32の第2サンギアS2がケース1aに固定されて回転不可能な状態になる。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1から第1リングギアR1を経て回転される第3サンギアS3と、回転不可能とされた第2サンギアS2と、フリー回転可能な第2キャリアCA2との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が第2速段のギア比で回転される。
(第3速段:3rd)
第3速段3rdは、第1クラッチC1および第3クラッチC3の係合によって成立される。
第3速段3rdは、第1クラッチC1および第3クラッチC3の係合によって成立される。
つまり、図9に示すように、リニアソレノイドバルブSLC1から第1クラッチC1への油圧経路を確保して第1クラッチC1を係合するとともに、リニアソレノイドバルブSLC3から第3クラッチC3への油圧経路を確保して第3クラッチC3を係合する。
この場合、まず、第1クラッチC1の係合によって、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1とリアプラネタリ32の第3サンギアS3とが一体回転可能な状態となり、また、第3クラッチC3の係合によって、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1と中間ドラム33およびリアプラネタリ32の第2サンギアS2とが一体回転可能な状態になる。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1から第1リングギアR1および中間ドラム33を経て回転される第2サンギアS2および第3サンギアS3と、フリー回転可能な第2キャリアCA2との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が第3速段のギア比で回転される。
(第4速段:4th)
第4速段4thは、第1クラッチC1および第4クラッチC4の係合によって成立される。
第4速段4thは、第1クラッチC1および第4クラッチC4の係合によって成立される。
つまり、図10に示すように、リニアソレノイドバルブSLC1から第1クラッチC1への油圧経路を確保して第1クラッチC1を係合するとともに、リニアソレノイドバルブSLC4から第4クラッチC4への油圧経路を確保して第4クラッチC4を係合する。
この場合、まず、第1クラッチC1の係合によって、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1とリアプラネタリ32の第3サンギアS3とが一体回転可能な状態となり、また、第4クラッチC4の係合によって、フロントプラネタリ31の第1キャリアCA1と中間ドラム33およびリアプラネタリ32の第2サンギアS2とが一体回転可能な状態になる。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1および中間ドラム33を経て回転される第2サンギアS2と、入力軸9と直結された第1キャリアCA1から第1リングギアR1を経て回転される第3サンギアS3と、フリー回転可能な第2キャリアCA2との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が第4速段のギア比で回転される。
(第5速段:5th)
第5速段5thは、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合によって成立される。
第5速段5thは、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合によって成立される。
つまり、図11に示すように、リニアソレノイドバルブSLC1から第1クラッチC1への油圧経路を確保して第1クラッチC1を係合するとともに、リニアソレノイドバルブSLC2から第2クラッチC2への油圧経路を確保して第2クラッチC2を係合する。
この場合、まず、第1クラッチC1の係合によって、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1とリアプラネタリ32の第3サンギアS3とが一体回転可能な状態となり、また、第2クラッチC2の係合によって、入力軸9とリアプラネタリ32の第2キャリアCA2とが一体回転可能な状態になる。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1から第1リングギアR1を経て回転される第3サンギアS3と、フリー回転可能な第2サンギアS2と、入力軸9と一体回転する第2キャリアCA2との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が第5速段のギア比で回転される。
(第6速段:6th)
第6速段6thは、第2クラッチC2および第4クラッチC4の係合によって成立される。
第6速段6thは、第2クラッチC2および第4クラッチC4の係合によって成立される。
つまり、図12に示すように、リニアソレノイドバルブSLC2から第2クラッチC2への油圧経路を確保して第2クラッチC2を係合するとともに、リニアソレノイドバルブSLC4から第4クラッチC4への油圧経路を確保して第4クラッチC4を係合する。
この場合、まず、第2クラッチC2の係合によって、入力軸9とリアプラネタリ32の第2キャリアCA2とが一体回転可能な状態になり、また、第4クラッチC4の係合によって、フロントプラネタリ31の第1キャリアCA1と中間ドラム33およびリアプラネタリ32の第2サンギアS2とが一体回転可能な状態になる。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1および中間ドラム33を経て回転される第2サンギアS2と、入力軸9と一体回転する第2キャリアCA2と、フリー回転可能な第3サンギアS3との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が第6速段のギア比で回転される。
(第7速段:7th)
第7速段7thは、第2クラッチC2および第3クラッチC3の係合によって成立される。
第7速段7thは、第2クラッチC2および第3クラッチC3の係合によって成立される。
つまり、図13に示すように、リニアソレノイドバルブSLC2から第2クラッチC2への油圧経路を確保して第2クラッチC2を係合するとともに、リニアソレノイドバルブSLC3から第3クラッチC3への油圧経路を確保して第3クラッチC3を係合する。
この場合、まず、第2クラッチC2の係合によって、入力軸9とリアプラネタリ32の第2キャリアCA2とが一体回転可能な状態になり、また、第3クラッチC3の係合によって、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1と中間ドラム33およびリアプラネタリ32の第2サンギアS2とが一体回転可能な状態になる。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1から第1リングギアR1および中間ドラム33を経て回転される第2サンギアS2と、入力軸9と一体回転される第2キャリアCA2と、フリー回転となる第3サンギアS3との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が第7速段のギア比で回転される。
(第8速段:8th)
第8速段8thは、第2クラッチC2および第1ブレーキB1との係合によって成立される。
第8速段8thは、第2クラッチC2および第1ブレーキB1との係合によって成立される。
つまり、図14に示すように、リニアソレノイドバルブSLC2から第2クラッチC2への油圧経路を確保して第2クラッチC2を係合するとともに、リニアソレノイドバルブSLB1から第1ブレーキB1への油圧経路を確保して第1ブレーキB1を係合する。
この場合、まず、第2クラッチC2の係合によって、入力軸9とリアプラネタリ32の第2キャリアCA2とが一体回転可能な状態になり、また、第1ブレーキB1の係合によって中間ドラム33およびリアプラネタリ32の第2サンギアS2がケース1aに固定されて回転不可能な状態になる。
これにより、入力軸9と一体回転される第2キャリアCA2と、回転不可能とされた中間ドラム33および第2サンギアS2と、フリー回転となる第3サンギアS3との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が第8速段のギア比で回転される。
(後進第1速段:R1)
後進第1速段R1は、第3クラッチC3および第2ブレーキB2の係合によって成立される。
後進第1速段R1は、第3クラッチC3および第2ブレーキB2の係合によって成立される。
つまり、図示していないが、リニアソレノイドバルブSLC3から第3クラッチC3への油圧経路を確保して第3クラッチC3を係合するとともに、B2コントロールバルブ44から第2ブレーキB2への油圧経路を確保して第2ブレーキB2を係合する。
この場合、まず、第3クラッチC3の係合によって、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1と中間ドラム33およびリアプラネタリ32の第2サンギアS2とが一体回転可能な状態になり、また、第2ブレーキB2の係合によってリアプラネタリ32の第2キャリアCA2がケース1aに固定されて回転不可能な状態になる。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1から第1リングギアR1および中間ドラム33を経て回転される第2サンギアS2と、回転不可能とされた第2キャリアCA2と、フリー回転となる第3サンギアS3との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が後進第1速段のギア比で逆回転される。
(後進第2速段:R2)
後進第2速段R2は、第4クラッチC4および第2ブレーキB2の係合によって成立される。
後進第2速段R2は、第4クラッチC4および第2ブレーキB2の係合によって成立される。
つまり、図示していないが、リニアソレノイドバルブSLC4から第4クラッチC4への油圧経路を確保して第4クラッチC4を係合するとともに、B2コントロールバルブ44から第2ブレーキB2への油圧経路を確保して第2ブレーキB2を係合する。
この場合、まず、第4クラッチC4の係合によって、フロントプラネタリ31の第1キャリアCA1と中間ドラム33およびリアプラネタリ32の第2サンギアS2とが一体回転可能な状態になり、また、第2ブレーキB2の係合によってリアプラネタリ32の第2キャリアCA2がケース1aに固定されて回転不可能な状態になる。
これにより、入力軸9と直結された第1キャリアCA1および中間ドラム33を経て回転される第2サンギアS2と、回転不可能とされた第2キャリアCA2と、フリー回転となる第3サンギアS3との噛合に伴い、第2リングギアR2および出力軸10が後進第2速段のギア比で逆回転される。
次に、本発明の特徴を適用した部分について、図15および図16を参照して詳細に説明する。
そもそも、一般的に、アップシフトやダウンシフト等の変速時に必要なクラッチC1〜C4やブレーキB1を係合または解放させる際に、係合または解放時のショックを軽減するために、各クラッチC1〜C4やブレーキB1を駆動するためのリニアソレノイドバルブSLC1〜SLC4,SLB1の開度つまり各クラッチC1〜C4やブレーキB1に付与する作動油圧を適宜のパターンで漸増または漸減させるように変化させることにより、イナーシャ相を制御するようにしている。
なお、イナーシャ相とは、例えば図16(a)に示すように、入力軸9(タービン軸)の回転数NTが変速前の変速段(第1速段)の同期回転数と要求される変速段(第2速段)の同期回転数との偏差に応じて変化する区間BLのことである。イナーシャ相での入力軸9の回転数は、アップシフト時に低下し、ダウンシフト時に増加する。また、同期回転数とは、変速段の変速比に見合った入力軸9の回転数NTのことである。さらに、入力軸9の回転数NTは、入力軸回転数センサ12で直接的に検出され、この検出値がトランスミッション制御装置5に入力される。
ここで、この実施形態では、前記作動油圧の指令値の変化パターン、つまり油圧指令パターンの初期値を予め経験的に規定しておき、車両走行に伴うアップシフト毎に、その変速指令を受けてからイナーシャ相が終了するまでの適宜区間の経過時間を計測し、この計測結果に基づいて前回の油圧指令パターンを変形して新たな油圧指令パターンとする補正処理を実行するように工夫している。
この実施形態では、油圧指令パターンの補正処理を3段階に分けて行うものとする。
第1段階としては、油圧指令パターンにおける定圧待機圧を高低補正する。第2段階としては、油圧指令パターンにおける定圧待機圧をイナーシャ相の開始時点から漸増させるとともにその増圧勾配を大小補正する。第3段階としては、油圧指令パターンにおける定圧待機圧の終了段階で漸減させるとともにその減圧勾配を大小補正する。
以下、具体的に、本発明の特徴を適用したトランスミッション制御装置5によるアップシフト時の油圧指令パターンの学習動作について、図15に示すフローチャートと図16および図17に示すタイムチャートを参照して詳細に説明する。
ここでは、アップシフトの一例として、第1速段1stから第2速段2ndへの変速処理を行う場合を例に挙げる。
そもそも、第1速段1stの成立条件は、図7に示すように、第1クラッチC1を係合させてワンウェイクラッチF1を自動係合させることであり、また、第2速段2ndの成立条件は、図8に示すように、第1クラッチC1および第1ブレーキB1を係合させることである。
したがって、第1速段1stから第2速段2ndへアップシフトする際の手順としては、まず、第1クラッチC1を係合したままにしておいて、第1ブレーキB1を係合させるようにすればよい。
そして、前記第1ブレーキB1の係合時におけるリニアソレノイドバルブSLB1に対する油圧指令パターンの初期値Pとして、例えば図16(c)の実線で示すようなパターンとする。この油圧指令パターンの初期値Pは予め経験的に規定しており、バックアップRAM54(請求項に記載の記憶手段に相当)に格納されている。
ここで、図16における時間t1にアップシフトの変速指令を受けると、図15に示すフローチャートにエントリーする。
図15のフローチャートにおいて、ステップS11〜S15が第1段階であり、ステップS21〜S25が第2段階であり、ステップS31〜S35が第3段階である。
まず、変速指令を受けると、変速指令を受けた時点t1から所定時間経過後の時間t2においてクイックアプライ制御を行い、リニアソレノイドバルブSLB1を所定開度として第1ブレーキB1に所定レベルの油圧を付与し、応答性を高めるようにする。この後、イナーシャ相の制御を行うことによって、全閉状態のリニアソレノイドバルブSLB1から第1ブレーキB1に対する油圧供給が適宜に行われることになって、第1ブレーキB1が係合することになる。これで、結果的に、図8においてドット模様および斜線を付しているように、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合した状態になって、第2速段2ndが成立することになる。
ここで、油圧指令パターンの補正については、まず、ステップS11において、トランスミッション制御装置5の内部の第1タイマによって、図16において変速指令を受けた時点t1からイナーシャ相を開始する時点t4までの第1区間の経過時間T1を計測する。
なお、イナーシャ相の開始時点t4は、入力軸9の回転数NTが実際に低下し始める位置t3とせずに、制御上、入力軸9の回転数NTが実際に低下し始める位置t3から所定回転数Δrが低下した時点としている。
続くステップS12において、前記ステップS11で計測した計測値T1と第1目標値Aとの偏差Δtaを算出し、この算出結果Δtaが所定の誤差±αの範囲内に収まっているか否かを判定する。ここで、肯定判定した場合には、当該第1段階をキャンセルして下記ステップS21〜S25の第2段階へと移行するが、否定判定した場合には、ステップS13〜S15において当該第1段階に関する処理、つまり図16(c)の実線で示す基準(または前回)の油圧指令パターンを変形する処理へと移行する。
ここで、まず、ステップS13では、前記ステップS12で算出した偏差Δtaから前記誤差±αの絶対値αを減じて実質的な偏差を算出し、続くステップS14において前記ステップS13で算出した実質的な偏差に適宜のゲインG1を掛け、続くステップS15において前記ステップS14で算出した結果を、基準(または前回)の油圧指令パターンPにおける定圧待機圧PLに加算または減算して図16(c)の二点鎖線で示すように高低補正し、その後、この変形した新たな油圧指令パターンを次回の油圧指令パターンとしてバックアップRAM54内の油圧指令パターンを更新する。
参考までに、例えば図17の(a)に示すように、図16の(c)実線で示した基準の油圧指令パターンPにおける定圧待機圧PLのレベルのみを高めることができ、新たな油圧指令パターンP1が確保される。
ここで、仮に、基準(または前回)の油圧指令パターンPにおける定圧待機圧PLを高める方向に補正した場合には、変速指令を受けた時点t1からイナーシャ相を開始する時点t4までの第1区間の経過時間T1が短くなるとともに、イナーシャ相の開始時点t4における入力軸9の回転数NTの上昇が抑制される傾向となる。このようにイナーシャ相の開始時点t4における入力軸9の回転数NTの上昇を抑制できれば、図16の(b)に示す出力軸10のトルクが落ち込む開始位置を早めることが可能になり、変速開始までの時間を短くすることができる。
一方、基準(または前回)の油圧指令パターンPにおける定圧待機圧PLを低くする方向に補正した場合には、前記第1区間の経過時間T1が長くなるとともに、イナーシャ相の開始時点t4における入力軸9の回転数NTが上昇する傾向となる。
この後、第2段階に移行する。この第2段階では、まず、ステップS21において、トランスミッション制御装置5の内部の第2タイマによって、図16においてイナーシャ相の開始時点t4から入力軸9の回転数NTが所定回転数NT1に到達した時点t5までの第2区間の経過時間T2を計測する。なお、所定回転数NT1は、任意に設定される。
続くステップS22において、前記ステップS21で計測した計測値T2と第2目標値Bとの偏差Δtbを算出し、この算出結果Δtbが所定の誤差±αの範囲内に収まっているか否かを判定する。ここで、肯定判定した場合には、当該第2段階をキャンセルして下記ステップS31〜S35の第3段階へと移行するが、否定判定した場合には、ステップS23〜S25において当該第2段階に関する油圧指令パターンの変形処理へと移行する。
ここで、まず、ステップS23では、前記ステップS22で算出した偏差Δtbから前記誤差±αの絶対値αを減じて実質的な偏差を算出し、続くステップS24において前記ステップS23で算出した実質的な偏差に適宜のゲインG2を掛け、続くステップS25において前記ステップS24で算出した結果に基づいて、図16(c)の二点鎖線で示すように、基準(または前回)の油圧指令パターンPにおける定圧待機圧PLのイナーシャ相の開始時点t4に対応する位置PL1から漸増させるとともにその増圧勾配βを大小補正し、その後、この変形した新たな油圧指令パターンを次回の油圧指令パターンとしてバックアップRAM54内の油圧指令パターンを更新する。
参考までに、例えば図17の(b)に示すように、前記第1段階で補正した図17(a)に示す油圧指令パターンP1について、その定圧待機圧PLのイナーシャ相の開始時点t4に対応する位置PL1から漸増させることができ、新たな油圧指令パターンP2を確保できる。なお、この新たな油圧指令パターンP2の減圧勾配γ2は、図17(a)に示す油圧指令パターンP1の減圧勾配γ1と同じままである。
ここで、仮に、基準(または前回)の油圧指令パターンPにおける定圧待機圧PLをイナーシャ相の開始時点t4に対応する位置PL1から漸増させるように補正すると、イナーシャ相の開始時点t4から入力軸9の回転数NTが所定回転数NT1に到達するまでの第2区間の経過時間T2が短縮される。ちなみに、前記増圧勾配βを大きくすると、前記第2区間の経過時間T2が短くなる傾向となる一方、増圧勾配βを小さくすると、前記第2区間の経過時間T2が長くなる傾向となる。
いずれにしても、この第2段階での補正により、変速指令後でイナーシャ相の開始時点t4からの入力軸9の回転数NTの低下を促進することが可能になるとともに、変速時間を短縮するうえで有利となる。
この後、第3段階に移行する。この第3段階では、まず、ステップS31において、トランスミッション制御装置5の内部の第3タイマによって、図16においてイナーシャ相の開始時点t4から終了時点t6つまり入力軸9の回転数NTが要求の変速段の同期回転数に到達するまでの第3区間の経過時間T3を計測する。
なお、イナーシャ相の終了時点t6は、入力軸9の回転数NTが要求の変速段の同期回転数に実際に到達した位置t6とせずに、制御上、入力軸9の回転数NTが要求の変速段の同期回転数に実際に到達する時点t7より所定回転数Δrだけ高い時点としている。
続くステップS32において、前記ステップS31で計測した計測値T3と第3目標値Cとの偏差Δtcを算出し、この算出結果Δtcが所定の誤差±αの範囲内に収まっているか否かを判定する。ここで、肯定判定した場合には、当該第3段階をキャンセルして変速処理のメインのフローチャートに戻るが、否定判定した場合には、ステップS33〜S35において当該第3段階に関する油圧指令パターンの変形処理へと移行する。
ここで、まず、ステップS33では、前記ステップS32で算出した偏差Δtcから前記誤差±αの絶対値αを減じて実質的な偏差を算出し、続くステップS34において前記ステップS33で算出した実質的な偏差に適宜のゲインG3を掛け、続くステップS35において前記ステップS34で算出した結果に基づいて、図16(c)の二点鎖線で示すように、基準(または前回)の油圧指令パターンPにおける定圧待機圧PLの終了時点t6から漸減させるとともにその減圧勾配γを大小補正し、その後、この変形した新たな油圧指令パターンを次回の油圧指令パターンとしてバックアップRAM54内の油圧指令パターンを更新する。
参考までに、例えば図17の(c)に示すように、前記第2段階で補正した図17(b)に示す油圧指令パターンP2について、その定圧待機圧PLの終了時点t6に対応する位置から漸減させることができ、新たな油圧指令パターンP3を確保できる。この新たな油圧指令パターンP3の減圧勾配γ3は、図17(b)に示す油圧指令パターンP2の減圧勾配γ2より小さくされている。
ここで、仮に、基準(または前回)の油圧指令パターンPにおける定圧待機圧PLの終了時点t6から漸減させるように補正すると、図16(b)に示すように、イナーシャ相の終了時点t6における出力軸トルクが漸減される。この出力軸トルクは、出力軸トルクセンサ16からの検出出力に基づいて認識できる。
ちなみに、前記減圧勾配γを大きくすると、イナーシャ相の開始時点t4から終了時点t6までの第3区間の経過時間T3が長くなる傾向となる一方、減圧勾配γを小さくすると、前記第3区間の経過時間T3が短くなる傾向となる。
いずれにしても、この第3段階での補正により、必要なブレーキB1(またはクラッチ)を係合させるときに油圧が低下するので、当該ブレーキB1の係合ショックを軽減するうえで有利となる。
ところで、上記各段階で用いるゲインG1〜G3は、変速時間Tを可及的に速く収束させるのに必要な特定値であり、実験により把握した値に特定される。
そして、上記ステップS11,S21,S31が請求項6に記載の計測手段、詳しくはステップS11が請求項7に記載の第1計測手段に、ステップS21が請求項7に記載の第2計測手段に、さらに,ステップS31が請求項7に記載の第3計測手段にそれぞれ相当する。また、上記ステップS13〜S15が、請求項7に記載の第1補正手段に相当し、上記ステップS23〜S25が請求項7に記載の第2補正手段に相当し、上記ステップS33〜S35が請求項7に記載の第3補正手段に相当する。なお、ステップS15,S25,S35は、請求項6に記載の学習手段も兼ねている。
このような第1段階〜第3段階の補正は、前記同一のアップシフトが行われる度に、繰り返し行われる。
以上説明したように、本発明の特徴を適用した実施形態によれば、アップシフト毎に、イナーシャ相制御における油圧指令パターンを実際の入力軸9の回転数NTの変化パターンを学習して、学習結果をフィードバックして前回の油圧指令パターンを変形して更新するようにしているから、運転の経過に伴い運転者それぞれの運転や走行状況に適応した油圧指令パターンを作成することが可能になって、理想的なイナーシャ相制御が可能になる。
これにより、変速時間Tの短縮と油圧式係合要素の係合ショックの軽減とをバランスよく両立することが可能になり、運転者にアップシフト時の間延び感や変速ショックを与えずに済むようになる。
ところで、上述した実施形態では、第1速段1stから第2速段2ndへ変速する場合を例に挙げているが、それ以外の変速段へアップシフトする場合であっても、詳細な説明を割愛するが、上記同様に対処することが可能である。
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、いろいろな応用や変形が考えられる。
上記実施形態では、前進8段、後進2段に設定した車両用自動変速機1に本発明を適用した例を挙げているが、それ以外の車両用自動変速機においても本発明を適用することができる。
例えば、変速機構部3について、少なくとも二つのプラネタリ31,32と、各プラネタリ31,32の構成要素間を動力伝達可能に連結する中間ドラム33(中間回転要素)と、油圧式係合要素としての第1〜第4クラッチC1〜C4と、第1,第2ブレーキB1,B2とを備える構成にしているが、この変速機構部3の構成は適宜に変更できる。
この変速機構部3の構成変更に合わせて、各油圧式係合要素の動作を油圧制御する油圧制御装置4の構成についても適宜に変更できる。
1 車両用自動変速機
3 変速機構部
31 フロントプラネタリ
32 リアプラネタリ
33 中間ドラム
C1 第1クラッチ(油圧式係合要素)
C2 第2クラッチ(油圧式係合要素)
C3 第3クラッチ(油圧式係合要素)
C4 第4クラッチ(油圧式係合要素)
B1 第1ブレーキ(油圧式係合要素)
B2 第2ブレーキ(油圧式係合要素)
F1 ワンウェイクラッチ
4 油圧制御装置
41 圧力制御弁
42 マニュアルバルブ
SLC1〜SLC4 第1〜第4クラッチ用のリニアソレノイドバルブ
SLB1 第1ブレーキ用のリニアソレノイドバルブ
44 B2コントロールバルブ
5 トランスミッション制御装置
6 オイルポンプ
7 エンジン
9 入力軸
10 出力軸
11 エンジン回転数センサ
12 入力軸回転数センサ
13 出力軸回転数センサ
14 レンジ位置センサ
15 スロットル開度センサ
16 出力軸トルクセンサ
3 変速機構部
31 フロントプラネタリ
32 リアプラネタリ
33 中間ドラム
C1 第1クラッチ(油圧式係合要素)
C2 第2クラッチ(油圧式係合要素)
C3 第3クラッチ(油圧式係合要素)
C4 第4クラッチ(油圧式係合要素)
B1 第1ブレーキ(油圧式係合要素)
B2 第2ブレーキ(油圧式係合要素)
F1 ワンウェイクラッチ
4 油圧制御装置
41 圧力制御弁
42 マニュアルバルブ
SLC1〜SLC4 第1〜第4クラッチ用のリニアソレノイドバルブ
SLB1 第1ブレーキ用のリニアソレノイドバルブ
44 B2コントロールバルブ
5 トランスミッション制御装置
6 オイルポンプ
7 エンジン
9 入力軸
10 出力軸
11 エンジン回転数センサ
12 入力軸回転数センサ
13 出力軸回転数センサ
14 レンジ位置センサ
15 スロットル開度センサ
16 出力軸トルクセンサ
Claims (7)
- 入力軸から出力軸までに設置される少なくとも二つの遊星機構および要求される変速段に対応する前記各遊星機構の動力伝達経路を成立させるための複数の油圧式係合要素を有する変速機構部と、必要に応じて各油圧式係合要素を係合または解放させる油圧制御装置とを含む車両用自動変速機の制御装置であって、
変速時のイナーシャ相制御において必要な油圧式係合要素を前回の油圧指令パターンに基づいて係合または解放させる変速処理と、
アップシフト時のイナーシャ相制御において変速指令を受けてからイナーシャ相が終了するまでの複数区間の経過時間を計測し、この計測結果に基づき前回の油圧指令パターンを変形して新たな油圧指令パターンとする補正処理とを実行する、ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 請求項1に記載の車両用自動変速機の制御装置において、
前記油圧式係合要素は、前記各遊星機構における適宜の構成要素を回転可能な状態あるいは回転不可能な状態とする湿式摩擦ブレーキと、前記各遊星機構の二つの構成要素を一体回転可能な状態あるいは相対回転可能な状態とする湿式摩擦クラッチとを有する、ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制御装置において、
前記補正処理では、イナーシャ相制御において変速指令を受けてからイナーシャ相を開始するまでの第1区間の経過時間の計測値と目標値との偏差を算出し、この算出結果に基づき前記油圧指令パターンにおける定圧待機圧を高くまたは低くする方向に補正する、ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制御装置において、
前記補正処理では、イナーシャ相制御においてイナーシャ相の開始から入力軸回転数が所定回転数に到達するまでの第2区間の経過時間の計測値と目標値との偏差を算出し、この算出結果に基づき前記油圧指令パターンにおける定圧待機圧をイナーシャ相の開始時点から漸増させるとともにその増圧勾配を大きくまたは小さくする方向に補正する、ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制御装置において、
前記補正処理では、イナーシャ相制御においてイナーシャ相の開始から要求の変速段が成立されるまでの第3区間の経過時間の計測値と目標値との偏差を算出し、この算出結果に基づき前記油圧指令パターンにおける定圧待機圧の終了段階で漸減させるとともにその減圧勾配を大きくまたは小さくする方向に補正する、ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 入力軸から出力軸までに設置される少なくとも二つの遊星機構および要求される変速段に対応する前記各遊星機構の動力伝達経路を成立させるための複数の油圧式係合要素を有する変速機構部と、必要に応じて各油圧式係合要素を係合または解放させる油圧制御装置とを含む車両用自動変速機の制御装置であって、
変速段毎の油圧指令パターンや適宜の目標値が格納される記憶手段と、
入力軸の回転数を検出する入力軸回転数検出手段と、
変速指令を受けてからイナーシャ相が終了するまでの複数区間の経過時間を計測する計測手段と、
各区間毎に計測値と目標値との偏差を算出し、この算出結果に基づき前回の油圧指令パターンの所定部位を変形する補正手段と、
この変形した新たな油圧指令パターンを次回の油圧指令パターンとして前記記憶手段内の油圧指令パターンを更新する学習手段とを含む、ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 請求項6に記載の車両用自動変速機の制御装置において、
前記計測手段としては、イナーシャ相制御において変速指令を受けてからイナーシャ相を開始するまでの第1区間の経過時間を計測する第1計測手段と、
イナーシャ相制御においてイナーシャ相の開始から入力軸回転数が所定回転数に到達するまでの第2区間の経過時間を計測する第2計測手段と、
イナーシャ相制御においてイナーシャ相の開始から要求の変速段が成立されるまでの第3区間の経過時間の計測する第3計測手段とを含み、
前記補正手段としては、前記第1計測手段での計測値とそれに対応する第1目標値との偏差を算出するとともに、この算出した偏差に適宜のゲインを掛けた結果に基づき前回の油圧指令パターンにおける定圧待機圧を高低補正する第1補正手段と、
前記第2計測手段での計測値とそれに対応する第2目標値との偏差を算出するとともに、この算出した偏差に適宜のゲインを掛けた結果に基づき前回の油圧指令パターンにおける定圧待機圧をイナーシャ相の開始時点から漸増させるとともにその増圧勾配を大小補正する第2補正手段と、
前記第3計測手段での計測値とそれに対応する第3目標値との偏差を算出するとともに、この算出した偏差に適宜のゲインを掛けた結果に基づき前回の油圧指令パターンにおける定圧待機圧の終了段階で漸減させるとともにその減圧勾配を大小補正する第3補正手段とを含む、ことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
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CN102840322A (zh) * | 2011-06-20 | 2012-12-26 | 现代自动车株式会社 | 自动变速器的换档控制方法 |
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