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JP2008088704A - 落石防護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな石の落下による大エネルギーの吸収から小さな落石の制止まで広範囲な落石エネルギーの吸収を的確に行うことのできるカーテン式の落石防護装置を得ること。
【解決手段】法面に配置され、谷側に回動可能な状態で地山に固定された複数の支柱12を有する支柱列と、各支柱12と地山の山側との間に懸架され各支柱12の起立状態を維持する支持ロープ13と、支柱列に懸架された主策ロープ18と、主策ロープ18に吊り下げられ、法面の最下部位置で地盤に固定された網状体と、を含み、網状体は、複数のリング状部材を隣り合う複数のリング状部材と互いに交差させて連結して網状に構成されたリング式ネット20と、リング式ネット20に重なるように吊り下げられたリング式ネット20よりも細かい編み目を有する金網19と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、落石防護装置、特に、網状体の下端縁が斜面の最下部位置まで達するように吊り下げられて設置されるいわゆるカーテン式の落石防護装置に関するものである。
従来から法面の落石防護装置として、複数の支柱を設置し、形成された支柱列にて帯状の網状体を保持し、この網状体によって上方からの落石を受け止める構成が知られている。すなわち、各支柱の上下端部にそれぞれ網状体の上縁部、下縁部が固定されてなり、各支柱はワイヤロープなどで山側から支えられており、網状体の部分で落成を受け止める構成である。
また、支柱列に懸架されたロープに、網状体がその上縁部にて取り付けられ、吊り下げられた下縁部が法面の最下部位置の水平地盤領域まで達し、その下縁部が法面の最下部位置に固定された、いわゆるカーテン式の落石防護装置も知られている。この様なカーテン式の落石防護装置では、落石を法面の途中位置でキャッチし落下を食い止めるのではなく、落下してきた石は法面表面と網状体との間を落下し、法面の最下部位置の水平地盤まで到達して網状体内に集められた状態となる。したがって、法面の最下部位置に落石を集めるスペースを取ることができる場合には、落石の後処理の容易なカーテン式の落石防護装置が好適に用いられている。
この様なカーテン式の落石防護装置としては、特許第3258994号(特許文献1)や特許第2916633号(特許文献2)等が存する。これらの特許文献には、カーテン式の落石防護装置が開示されており、例えば、大スパンの法面領域において、全域に張架される金網に対して複数の縦ロープ、横ロープを組み込んで補強された構造が開示されている。
また、落石を制止し、そのエネルギーを吸収するために用いられる網状体としていわゆるリング式ネットが知られている。例えば、特許第3131566号では、支柱の上下端間にネットを張る柵型の防護装置が開示され、ネットとしてリング状部材を組み合わせて構成した網体であるリング式ネットが開示されている。このリング式ネットは、1個のリング状部材がそれぞれ周囲の4個のリング状部材と交差して連結された状態にあり、所定の広がりを持つように網状に形成されている。また、通常、1個のリング状部材は直径15cm〜50cm程度の大きさを有し、鋼線材にて形成されている。後述するように、素線径が直径3mmから4mmの線材を複数回、巻回して形成され、引っ張り強度が500〜2000N/mm2となっている。
この様なリング式ネットは、大形の落石における大きなエネルギーの吸収に極めて優れており、それは、落石の衝撃を受けた際の以下のようなネットの変位挙動に基づくものである。
(1)互いに交差するように連結されたリング状部材同士の交点に荷重が掛かるまでの時期(ネットのなじみ時期)
(2)リング状部材が円形を保持しながら変形する弾性変位時期
(3)リング状部材が円形から四角形(各リング状部材がそれぞれ4個のリング状部材と連結されている場合)乃至六角形(それぞれ6個のリング状部材と連結されている場合)へ変形する形状上の塑性変位時期
(4)上記交点に作用する荷重による素線の伸長方向への弾性変位時期
(5)上記交点に作用する荷重による素線の伸長方向への塑性変位時期
(6)素線の破断
以上のように、リング式ネットは上記(1)や(2)や(3)の変形により、極めて大きな落石エネルギーの吸収を行うことができるものである。
特許第3258994号 特許第2916633号 特許第3131566号
上記特許文献1や2に開示されたカーテン式の落石防護装置の場合、金網に組み込まれた補強用の縦・横ロープは、その伸長方向への伸縮性は期待できない。したがって、落石の衝撃が加わった時に縦・横ロープを固定するアンカーへの応力の集中が起こりやすい。そして、落石の衝撃は縦・横ロープによっては吸収、減衰されないので、その応力は、瞬時に金網、支柱、アンカーロープに伝達され、その衝撃力によって、アンカーロープの破断を生じさせるおそれもある。この状況は、群発性の落石や大形の落石に対しての落石エネルギーの吸収機能を十分に発揮できないおそれが存することを意味する。
また、上記特許文献3に開示されたリング式ネットを用いた落石防護装置(柵型の設置形態)は、リング式ネットの機能を有効に活用するものであるが、カーテン式の落石防護装置の場合にもリング式ネットの利点を生かした構成の提案が期待されているところである。
本発明の目的は、大きな石の落下による大エネルギーの吸収から小さな落石の制止まで広範囲な落石エネルギーの吸収を的確に行うことのできるカーテン式の落石防護装置を提供することにある。
上記課題を解決するための、請求項1に記載の落石防護装置は、
法面のほぼ等しい高さ位置に所定間隔を置いて配置され、少なくとも谷側に回動可能な状態で地山に固定された複数の支柱を有する支柱列と、前記各支柱と前記地山の山側との間に懸架され前記各支柱の起立状態を維持する支持ロープと、前記支柱列に懸架された主策ロープと、上縁部が前記主策ロープにて吊り下げられ、前記法面の最下部位置で地盤に固定された網状体と、を含む落石防護装置において、
前記網状体は、複数のリング状部材を隣り合う複数のリング状部材と互いに交差させて連結して網状に構成された第1の網体と、前記主策ロープに前記第1の網体に重なるように吊り下げられた前記第1の網体よりも細かい編み目を有する第2の網体と、を備えたことを特徴とする。
これにより、網状体を法面に吊り下げて設置する、いわゆるカーテン式の落石防護装置において、優れた落石エネルギーの吸収性を有するいわゆるリング式ネットである第1の網体を活用することができ、大きな落石や群発的な落石にも対応することができる。一方で、第2の網体も一緒に吊り下げられるので、第1の網体では制止することのできない小さいサイズの落石も制止することができる。
請求項2に記載の落石防護装置は、
前記網状体が、前記第2の網体を前記主策ロープと前記斜面の下側最終位置までの全域に設け、前記第1の網体は、前記全域ではなく前記主策ロープから下方へ所定の長さ範囲まで部分的に設けられたことを特徴とする。
この様に、第1の網体であるリング式ネットは上部領域のみに設置されていることにより、主策ロープに掛かる重量負担は軽減され、同時に支柱及びその起立状態を維持する支持ロープに掛かる負担も軽減される。更に、第1の網体の設置費用の軽減も達成される。一方、法面を落下する石の軌道は、法面に平行なルートではなく、法面の起伏状況によって、途中で大きく飛び跳ねることがある。その様な落石が法面から大きく飛び出そうとする場所を第1の網体でカバーすることができれば、カーテン式の落石防護装置における網状体の機能を適切に発揮することが可能である。すなわち、法面の起伏に対応して支柱の設置位置を適宜設置することにより、落石の大きな衝撃を第1の網体で吸収し、法面の下方領域では第2の網体が落石を収集する様に調整することができる。
請求項3に記載の落石防護装置は、
前記第2の網体は、複数の山形が連続する形状を有する線材を組み合わせて網状に構成した網体であることを特徴とする。すなわち、第2の網体は、例えば金網で構成され、第1の網体であるリング式ネットよりも細かい編み目の網体として簡単に構成することができ、リング式ネットの組合せとして好適である。
請求項4に記載の落石防護装置は、
前記第1の網体を山側、前記第2の網体を谷側に配置したことを特徴とする。これにより、第1の網体とそれより目の細かい第2の網体のそれぞれの機能を共に有効に発揮させることができる。例えば、金網のような第2の網体は線材を山形に曲げた列線同士を組み合わせて網として仕上げたものであり、上述の第1の網体であるリング式ネットの衝撃吸収時の変位挙動の(1)、(2)及び(3)の様な変位は有さず、第1の網体より変形性に劣り、且つ単位当たりの強度も低い。
したがって、変形性能の高い第1の網体を山側、変形性能の低い第2の網体を谷側に設置した場合、落石による第2の網体の変位は、第1の網体の変位面を介して変位する為、直接石に接するより広い範囲で変位していく。これにより、第2の網体は変位開始後すぐに素線強度に応じた荷重増加率で変形して行くが、単位面積当たりの荷重の増加率は押さえられる。したがって、落石による第2の網体の破断の可能性を抑制することが可能となり、結果として、第1の網体の性能と背面の第2の網体の性能のより効果的な発揮を確保することができる。
請求項5に記載の落石防護装置は、
前記第1の網体は、吊り下げられた状態における上側領域が、下側領域よりも強度の強い構成とされたことを特徴とする。この構成によれば、第2の網体に対してその全域ではなく、上部領域にのみ設置される第1の網体を更にその中で強度を調整することで、施行費用において比較的高価な第1の網体の有効な施工費の軽減と、設置される第1の網体の総重量を軽減することができる。すなわち、支柱の設置位置を法面の起伏に合わせて調整し、大きな落成機の衝撃が第1の網体の上部領域に掛かる様に設置することで、網状体全体の性能を低下させることなく上記施行費用及び重量の軽減を図ることができる。
請求項6に記載の落石防護装置は、
前記第1の網体の各リング状部材は、鋼線を巻回して形成し、
前記強度の調整は、前記鋼線の巻回数、素線太さ又はリング径によって調整することを特徴とする。上記請求項5の強度の調整を鋼線の巻回数、素線太さ又はリング径によって行うもので、巻回数を多くすること、素線太さを太くすること、リング径を小さくすることで強度を増加することができる。
請求項7に記載の落石防護装置は、
前記支持ロープにブレーキ部材が取り付けられたことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の落石防護装置。これにより、支持ロープに強い引っぱり力が掛かったような場合に、その衝撃の緩和を行うことができる。すなわち、上記網状体の衝撃吸収機能をより効果的なものとするために、支柱は谷側に回動可能な状態で地山に設けられているので、落石発生時には、この支柱が谷側に回動し、支持ロープに急激な負荷が掛かる。そこで、支持ロープにブレーキ部材を取り付けることにより、衝撃を緩和したものである。
上記構成の落石防護装置によれば、大きな石の落下による大エネルギーの吸収から小さな落石の制止まで広範囲な落石エネルギーの吸収を的確に行うことができる。すなわち、いわゆるカーテン式の落石防護装置において、優れた落石エネルギーの吸収性を有する第1の網体を活用することができ、大きな落石や群発的な落石にも対応することができ、一方で、一緒に吊り下げられた編み目の小さい第2の網体により、小さいサイズの落石も制止することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は実施の形態に係る落石防護装置10の全体構成を示しており、図2は、落石防護装置10が法面に設置された状態を横方向から見た形状で示している。図示のように、複数設置される支柱12は、法面のほぼ等しい高さ位置に所定間隔を置いて配置され支柱列を構成している。図2に示されているように、法面の地盤に埋め込まれた土台14にヒンジ16を介して取り付けられており、ヒンジ16によって支柱12は少なくとも谷側へ回動可能な状態となっている。
支柱12の上端部には、支柱列全体に主策ロープ18が懸架されている。そして、その主策ロープ18には、網状体が吊り下げられており、本発明において特徴的なことは、網状体として2つの種類の網体を同時に用いていることである。本実施の形態では、第1の網体として、いわゆるリング式ネットを用い、第2の網体として金網を用いている。図示のように、金網19とリング式ネット20は、それぞれ、主策ロープ18に吊り下げられている。
また、各支柱12には、これらの起立状態を補助するために、支持ロープ13が設けられている。本実施の形態では、各支柱12に2本ずつの保持ロープ13が、所定の角度を為すように支柱12の上端部から支柱12の山側の所定位置まで張架されている。支持ロープ13の山側端部は、アンカーにより法面の地盤に安定的に固定されている。
主策ロープ18に吊られるリング式ネット20は、複数のリング状部材21の連結によって構成されるが、各リング状部材は、図3に示したように、鋼線である線材を複数(5回から12回)巻回し、周方向の数箇所を締結手段21aによって締め付けて形成されている。締結手段21aは、例えば断面C形の略筒状の金具であって、その開放部を通して線材束に嵌めた後に、締め付け工具によって線材束に固定される。なお、線材の巻数を加減することにより、或いは線材の太さを選定することにより、リング状部材21の強度やエネルギー吸収力を調整することが可能である。リング状部材21は、種々の材料で製作することが可能であり、例えば、スチールの他、炭素繊維やアラミド繊維などを用いることができる。
なお、このリング状部材21は、上記構成に限られず、種々の構成を取ることができる。例えば、線材を巻回する時に寄り合わせつつ、編んだ構成とすることも可能であり、また、材質として樹脂を用いることも可能である。
本実施の形態では、1個のリング状部材21はそれぞれ周囲の4個のリング状部材と連結される構成を取っている。したがって、上記「背景技術」の欄で述べたように、衝撃を吸収する際の変位挙動は、互いに交差するように連結されたリング状部材同士の交点に荷重が掛かるまでのネットのなじみ時期(上記(1))、リング状部材が円形を保持しながら変形する弾性変位時期(上記(2))を超えると、図4に示したように、略四角形に変形する塑性変位時期(上記(3))が存する。なお、1個のリング状部材21の周囲の6個のリング状部材と連結することも可能である。図5(A)及び(B)は、6個連結型のリング式ネットの一部を示しており、同図(A)が変形前、同図(B)が変形語の概念図である。図示のように、変形後の形状は略6角形となる。
リング式ネット20は、上記のような特有の変位挙動を有することから高い強度と、大きな変形範囲を有しており、落石に対する衝撃吸収力は極めて優れており、数々の実験によってこのことが証明されている。
一方、第2の網体としての金網19は、図からも理解されるように、リング式ネット20よりも細かい編み目を有しており、鋼線などの線材を山形が連続するように屈曲し、これを互いに係止させて所望の範囲の広がりを有する網体に形成している。また、その衝撃を受けた際の変位挙動は、(1)山形に曲げられた列線同士の交点に荷重がかかるまでの時期(金網のなじみ時期)、(2)交点に作用する荷重による列線の弾性変位時期、(3)交点に作用する荷重による列線の塑性変位時期、(4)列線の破断、である。この様に、上述したリング式ネット20の(1)〜(3)の様な変位は起こらず、変形性能はリング式ネット20より劣るものである。
また、本実施の形態において特徴的なことは、金網19は、主策ロープ19から法面の最下部である水平地盤部100まで伸長しているが、リング式ネット20は、途中位置までしかカバーしていないことである。すなわち、リング式ネット20は金網19よりも上下方向に短い構成とされている。これにより、比較的施工費の高いリング式ネット20の施工費を抑制することができ、また、金網19に対して重量の重いリング式ネット20の重量を軽減することができ、支柱12に掛かる重量負担を最低限のものにすることができる。
この様に、リング式ネット20の上下方向のカバー範囲を上部のみに限定しても落石に対する衝撃吸収の作用に関しては、大きな低下原因とはならない。すなわち、落石の落下軌道は、法面の表面の凹凸形状や落石の起点によっても異なるが、網状体内に落石が入ってきた場合、まず、リング式ネット20の存在する部分、すなわち、上部領域に衝突することとなる。そして、このリング式ネット20の設置された上部領域で落石エネルギーは大きく減衰され、法面の下方へ落下していく。従って、下方領域では、網状体にそれ程大きな衝撃は加わらず、落石は最終的に法面の最下部の水平地盤部100に集まることとなる。
また、例えば、図2に示したような法面の凹凸状態では、水平地盤部100の近傍位置では比較的凹凸のないなだらかな斜面形状となっているが、支柱12の設置されている領域にはポイントP1やポイントP2の部分のように突出部が存在している状況がある。この様な状況では、落石はポイントP1やポイントP2の部分で落石が弾んで法面上を勢いよく飛びはねる場合があり、その様な場合でも、上部領域のリング式ネット20で飛び跳ねた石を受け、その大きなエネルギーを吸収する。
図6は、飛び跳ねた石をリング式ネット20で受け止めている状況が示されている。図示のように、石200はリング式ネット20に対して真正面からほぼ直角に近い角度で衝突し、リング式ネット20はこの落石エネルギーを的確に吸収する。
図7は、落石を受けたリング式ネットが、上述した変位挙動を行って大きく変形している状態が更に具体的に示されている(金網19については図示を省略している)。図示のように、リング式ネット20は、強度、変形性に優れ、大きな落石エネルギーも吸収しすることができ、落石の速度も大きく減速する。図示されたような状態から、落石20は更に下方へ落下するが、一端落石エネルギーは減衰されているので、下方に存在する金網19によって確実に制止され、法面の最下部である水平地盤部100に集められる。
次に、本実施の形態の更に他の特徴的事項について説明する。上述のように本実施の形態では、網状体の上部領域のみが、金網19とリング式ネット20の二重構造となっているが、その金網19とリング式ネット20の配置は、谷側に金網19、山側にリング式ネット20とされている。すなわち、落石に対して背面側に金網19が存する配置である。この配置によれば、リング式ネット20とこれより目の細かい金網19のそれぞれの機能を共に有効に発揮させることができる。
図8は谷側に金網19、山側にリング式ネット20を配置した場合の落石衝撃時における両者の変位挙動を示しており、図示のように、落石はまずリング式ネット20に衝突するので(同図(A))、落石による金網19の変位は、リング式ネット20の変位面(図上、変位範囲L11)を介して変位する。したがって、金網19の変位の範囲(L12)は直に石が衝突した場合より広い範囲で変位していく。これにより、金網19は変位開始後すぐに素線強度に応じた荷重増加率で変形して行くが、単位面積当たりの荷重の増加率は押さえられる。したがって、落石による金網の破断の可能性を抑制することが可能となり、結果として、リング式ネット20の性能と背面側の金網19の性能のより効果的な発揮を確保することができる。
次に、図上は表示されていないが、他の実施の形態として、図1に示したようなリング式ネット20の設置状態において、その領域毎に強度の調整を行うことも可能である。例えば、吊り下げ状態における上側領域を下側領域よりも強度の強い構成とすることができる。強度の調整は、例えば、図3に示したようなリング状部材21の構成においては、鋼線の巻回数を多くして強度を上げることができ、また、素線太さを太くし、あるいはリング径を小さくすることによって強度を上げることが可能である。
この様に、網状体の上部領域にのみ設置されるリング式ネット20に対して、更にその中で強度を調整することで、比較的高価なリング式ネット20の施工費の軽減と、リング式ネット20の総重量の軽減を図ることができる。すなわち、法面の表面凹凸形状から、落石の落下軌道が予測される場合に、大きな衝撃を受けるであろう部分の強度をアップすることが好適である。また、支柱12の設置位置を法面の起伏に合わせて調整し、大きな落石の衝撃がリング式ネット20の上部領域に加わるように調整ができる状態であれば、その上部領域を下部領域に対して強度を強くする設定が可能である。これにより、金網19とリング式ネット20の二重構造による網状体全体の性能を低下させることなく施工費用や重量の軽減を図ることができる。
なお、金網19とリング式ネット20とからなる網状体を支える部分の補強構造として、支持ロープ13にブレーキ装置を取り付けることが好適である。このブレーキ装置は、公知の技術で足り、例えば、巻回されてなるループ状管に支持ロープを挿通させ、ループ状管の両端を緊締することにより、支持ロープ13に強い引っぱり力が加わった時に、このループ状管が収縮することによって、その引っぱりエネルギーを吸収するものである。なお、ループ状管は鋼性管であることが好ましいが、他の金属材料、プラスチック材料で製作することもできる。
この構成により、谷側に回動可能な支柱12の起立状態の支持を行う支持ロープ13に加えられる衝撃を緩和し、その支柱支持作用を補完することができ、網状体による衝撃吸収機能をより的確なものとすることができる。
本発明は、上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、網状体の上部のみを金網とリング式ネットの二重構造とする場合、全体に対する二重構造部分の面積比率等は、適宜変更調整することが可能である。また、金網は線材を山形に屈曲したものを係合させる例を示したが、これに限られず、リング式ネットよりも編み目の細かい金網であれば他の構造を有するものでも適用可能である。
本発明の実施の形態に係る落石防護装置の全体構成を示す説明図である。 図1に示した落石防護装置を法面に設置した状態の横方向から見た形状説明図である。 リング式ネットを構成するリング状部材の構成を示す概略斜視図である。 リング式ネットに衝撃が加わった時のリング状部材の変形状体を示す説明図である。 (A)及び(B)は、1個のリング状部材に6個のリング状部材が連結される形態のリング式ネット構成図、及び衝撃が加わった時のリング状部材の変形状体を示す説明図である。 網状体に落石が衝突した時の状態説明図である。 網状体に落石が衝突した時のリング式ネットの具体的挙動を示す説明図である。 金網(谷側)とリング式ネット(山側)の二重構造部分の衝撃吸収時の変位挙動を示す説明図である。
符号の説明
10 落石防護装置
12 支柱
13 支持ロープ
14 土台
18 主策ロープ
19 金網
20 リング式ネット
21 リング状部材

Claims (7)

  1. 法面に所定間隔を置いて配置され、少なくとも谷側に回動可能な状態で地山に固定された複数の支柱を有する支柱列と、前記各支柱と前記地山の山側との間に懸架され前記各支柱の起立状態を維持する支持ロープと、前記支柱列に懸架された主策ロープと、上縁部が前記主策ロープにて吊り下げられ、前記法面の最下部位置で地盤に固定された網状体と、を含む落石防護装置において、
    前記網状体は、
    複数のリング状部材を隣り合う複数のリング状部材と互いに交差させて連結して網状に構成した第1の網体と、
    前記主策ロープに前記第1の網体に重なるように吊り下げられた前記第1の網体よりも細かい編み目を有する第2の網体と、
    を備えたことを特徴とする落石防護装置。
  2. 前記網状体は、
    前記第2の網体を前記主策ロープと前記斜面の下側最終位置までの全域に設け、
    前記第1の網体は、前記全域ではなく前記主策ロープから下方へ所定の長さ範囲まで部分的に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の落石防護装置。
  3. 前記第2の網体は、山形の連続する形状を有する線材を組み合わせて網状に構成した網体であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の落石防護装置。
  4. 前記第1の網体は谷側、前記第2の網体は山側に配置されたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の落石防護装置。
  5. 前記第1の網体は、吊り下げられた状態における上側領域が、下側領域よりも強度の強い構成とされたことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の落石防護装置。
  6. 前記第1の網体の各リング状部材は、鋼線を巻回して形成し、
    前記強度の調整は、前記鋼線の巻回数、素線太さ又はリング径によって調整することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の落石防護装置。
  7. 前記支持ロープにブレーキ部材が取り付けられたことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の落石防護装置。
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