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JP2008063412A - 熱伝導性樹脂組成物およびシート - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物およびシート Download PDF

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JP2008063412A
JP2008063412A JP2006241599A JP2006241599A JP2008063412A JP 2008063412 A JP2008063412 A JP 2008063412A JP 2006241599 A JP2006241599 A JP 2006241599A JP 2006241599 A JP2006241599 A JP 2006241599A JP 2008063412 A JP2008063412 A JP 2008063412A
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JP2006241599A
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Nobuo Uotani
信夫 魚谷
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

【課題】少量のフィラー粉末の混合で高熱伝導性を発現する熱伝導性組成物を提供すること。
【解決手段】フィラー粉末及び熱可塑性樹脂を含む熱伝導性樹脂組成物であって、そのフィラー粉末として熱伝導率が0.4W/m・K以上の高分子化合物で表面処理されたフィラー粉末を用いる。
この 高分子化合物は、金属イオンと、該金属イオンと結合可能な有機化合物と、該金属イオンと結合可能なピラーリガンドを含有する多孔性配位高分子であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子、電気機器等に用いる放熱性の良い熱伝導性樹脂組成物およびそのシートに関する。
近年、電子部品の高集積化、高密度化に伴って、電力消費量も増大の一途にあり、発生した熱を効率良く放熱し、電子部品素子の温度上昇を少なくすることが重要な課題になっている。例えば、電子部品(例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話等の中央演算素子等の各種デバイス、パワートランジスタなど)、表示装置(例えばプラズマディスプレイパネルや有機ELを用いた表示装置等)では、発熱する電子部品や表示装置は温度が上昇するにつれて部品の劣化、誤動作、故障などにつながったり、温度の不均化により破損することがあるため、熱を取り除いたり、均熱化することが重要な課題となっている。
これらの発熱する部品や装置から熱を取り除いたり、あるいは同一部品内や装置内での温度差をなくす均熱化することを目的として、各種ヒートシンクや放熱板、あるいはハウジング等に熱を伝える熱伝導性組成物がシート状に加工され使用されている。この熱伝導性組成物には高い熱伝導性の他に柔軟性、密着性、耐久性などが求められている。
このような熱伝導性組成物として、熱伝導性の高いフィラー粉末を混合した樹脂組成物があるが、少量のフィラー粉末を混合した材料ではそれほど熱伝導率が向上しないため、多量のフィラー粉末を混合する必要がある。樹脂に多量のフィラー粉末を混合すると、樹脂の粘度が著しく増大するため作業性が極めて悪くなり、またフィラー粉末が樹脂を吸収するため樹脂組成物自体が脆くなりシートを作成することができなくなる。
単にシランカップリング剤のみをフィラー粉末に表面処理したものが提案されているが、シランカップリング剤自体の熱伝導性が低いため、少量のフィラー粉末でより高い熱伝導性を示す熱伝導性組成物は得られていない(特許文献1参照)。
特開平11−134944号公報
本発明は、上記に示した従来の問題点を解決して、少量のフィラー粉末の混合で高熱伝導性を発現する熱伝導性組成物を提供することを課題とする。
本発明者は上記の現状に鑑み鋭意研究した結果、少量のフィラー粉末の混合で高熱伝導性を発現する熱伝導性組成物を見い出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下からなる。
(1) 熱伝導率が0.4W/m・K以上の高分子化合物で表面処理されたフィラー粉末及び熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする伝導性樹脂組成物。
(2)高分子化合物が、金属イオンと、該金属イオンと結合可能な有機化合物と、該金属イオンと結合可能なピラーリガンドを含有する多孔性配位高分子であることを特徴とする上記(1)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(3) 多孔性配位高分子が細孔内に有機ポリマーを含むことを特徴とする上記(2)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(4) フィラー粉末が無機セラミックスのフィラー粉末であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(5)熱伝導性樹脂組成物中のフィラー粉末の量が30〜90体積%であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱伝導性組成物を用いることを特徴とする熱伝導性シート。
本発明によれば、フィラー粉末を多孔性配位高分子あるいは有機ポリマーを含む多孔性配位高分子等の熱伝導率が0.4W/m・K以上の高分子化合物で表面処理をすることにより、少量のフィラー粉末配合量で熱伝導性に優れた樹脂組成物およびシートが提供される。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は熱伝導率が0.4W/m・K以上の高分子化合物で表面処理されたフィラー粉末及び熱可塑性樹脂を含む。
本発明において、フィラー粉末を表面処理する高分子化合物としては熱伝導率が0.4W/m・K以上のものであればいずれも使用できるが、好ましくは以下に述べる多孔性配位高分子を挙げることができる。
この多孔性配位高分子は金属イオンと、該金属イオンと結合可能な有機化合物と、該金属イオンと結合可能なピラーリガンドを含有してなる多孔質構造を有するものである。この多孔性配位高分子は特開2005−255651号公報及びS.Kitagawa,R.Kitaura,S.Noro,Angew.Chem.Int.Ed.,43,2334(2004)に詳しく記載されている。なお、この文献では有機金属錯体構造体となっているが、多孔性配位高分子はその中の一種である。
本発明者の研究によると、この多孔性配位高分子は0.4W/m・Kという高い熱伝導率が容易に得られることがわかった。
以下熱伝導率が0.4W/m・K以上の高分子化合物として上記の多孔性配位高分子の場合を例にとり本発明を詳しく説明する。
多孔性配位高分子においては、金属イオンと有機化合物とピラーリガンドとのモル比(金属イオン:有機化合物:ピラーリガンド)が、ほぼ2:2:1であるのが好ましい。モル比がほぼ2:2:1であると、多孔質構造において、金属イオンと有機化合物とで形成される有機金属層の層面に対して交差方向あるいは直交方向にピラーリガンドが結合し、その結果、ほぼ均一な大きさ、形状等を有しかつ規則的に配列した多数の細孔を有機金属層とピラーリガントとにより形成することができる。
多孔性配位高分子としては、式:{[M22L]2・xH2O}n、で表される結晶水和物を含むのが好ましい。ただし、前記式において、Mは金属イオンを表し、Yは有機化合物を表し、Lはピラーリガンドを表し、x及びnは、整数を表す。例えば、金属イオンとして銅(Cu)を用い(原料としては、例えばCu(ClO42・6H2Oを用いる)、有機化合物としてピラジン−2,3−ジカルボキシレート(pydc)を用い(原料としては、例えばピラジン−2,3−ジカルボン酸ナトリウムを用いる)、ピラーリガンドとしてピラジン(pyz)を用いた場合には、該多孔性配位高分子は、式{[Cu2(pydc)2(pyz)]2・xH2O}n、で表される。
本発明の熱伝導はフォノンを媒体としているため、分子が並んだ秩序性の高い結晶構造であることが必要である。本発明の多孔性配位高分子は結晶として得ることができ、結晶としてはワイヤー状、板状あるいは粒状などが挙げられる。結晶の大きさは、板状の場合には、例えば、その厚みが、0.1〜5μm程度であり、その板面の最大径が、2〜100μm程度で、粒状の場合には、例えば、その平均粒径(電子顕微鏡により測定)が0.1〜1μm程度で、ワイヤー状の場合には、例えば、その長さが、2〜100μm程度であり、その直径が、0.1〜1μm程度である。
金属イオンとしては、特に制限はいが、長周期型周期表における6族元素から12族元素の中から選択される元素のイオン(原子)を選ぶことができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、金属イオン二量体ユニットを形成可能とする観点からは、2価以上の金属イオンが好ましく、規則的な有機金属層を形成する観点からは、2価の金属イオンがより好ましく、銅イオン、ロジウムイオン、クロムイオン、モリブデンイオン、パラジウムイオン及び亜鉛イオンから選択される金属イオンが更に好ましく、入手が容易で、銅イオンが特に好ましい。金属イオンは、多孔性配位高分子の製造の際の原料としては、該金属イオンを含む塩等の化合物を使用してもよい。
多孔性配位高分子に含まれる有機化合物としては、特に制限はないが、金属イオンに架橋可能な架橋配位子が好適に挙げられる。有機化合物が架橋配位子である場合には、金属イオンと有機化合物とで金属錯体層を形成することができる。有機化合物の具体例としては、比較的安定で高強度な有機金属層を形成する観点からは、環状構造を有する化合物が好適に挙げられる。前記環状構造を有する化合物としては、例えば、脂環式化合物及びその誘導体、芳香族化合物及びその誘導体、ヘテロ芳香族化合物及びその誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機化合物が、芳香族化合物及びその誘導体である場合、その具体例としては、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボキシレート(2,6ndc)、へテロ環式化合物及びその誘導体である場合、その具体例としては、ピラジン、4,4’−ビピリジン−2,2’−ジカルボン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、ピラジン−2,3−ジカルボキシレート(pzdc)などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ピラーリガンドとしては、特に制限はないが、有機金属層間に安定な前記細孔を形成する観点からは、ヘテロ原子を両末端に有する環状構造を有する化合物が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。環状構造を有する化合物としては、例えば、脂環式化合物及びその誘導体、芳香族化合物及びその誘導体、ヘテロ芳香族化合物及びその誘導体、などが挙げられる。へテロ原子を両末端に有してなる化合物は、一端に位置するヘテロ原子が一の金属イオンに対して相互作用あるいは架橋し、他端に位置するへテロ原子が他の金属イオンに対して相互作用あるいは架橋し、3次元構造が形成され、前記多孔質構造が構築される。
ピラーリガンドの具体例としては、ピラジン、ビピリジン、アゾピリジン、ジピリジルエチレン、ジピリジルベンゼン、ジピリジルグリコール、ジピリジルエタン、ジピリジルプロパン、ジヒドロキシ安息香酸、1,4−アザビシクロ[2,2,2]オクタン、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ピラーリガンドがこれらの場合、これらのピラーリガンドにおける、一端に位置する窒素原子が一の金属イオンに対して相互作用し、他端に位置する窒素原子が他の金属イオンに対して相互作用あるいは架橋し、3次元構造が形成され、多孔質構造が構築される。
フィラー粉末への表面処理方法としては、湿式にてステップワイズで行なうことができる。金属イオンを含む溶液に、フィラー粉末を浸積してから、フィラー粉末を取り出し、使用した溶剤で洗浄した後、次に有機化合物を含む溶液に、該処理をしたフィラー粉末を浸積する。さらにフィラー粉末を取り出し、使用した溶剤で洗浄した後、ピラーリガンドを含む溶液に、該処理をしたフィラー粉末を浸積する。この操作を繰り返して、フィラー表面に多孔性配位高分子を処理していくことができる。表面処理に用いられる溶剤は金属イオン、有機化合物およびピラーリガンドを溶解させることができるものであれば、特に制限はないが、入手の容易さと安全性の面から水を使用することが望ましい。
表面処理によりフィラー粉末上に存在する多孔性配位高分子等の熱伝導率が0.4W/m・K以上の高分子化合物の量はフィラー粉末100質量部に対し0.1〜10質量部程度がよい。
多孔性配位高分子は、その細孔内に有機ポリマーを含むことが好ましい。有機ポリマーは、生成した多孔性配位高分子の細孔に固定して用いる。有機ポリマーの固定化は該有機ポリマーのモノマーを固定化させてから、重合させることにより製造することができるため、多孔性配位高分子の細孔内に含まれる有機ポリマーとしては、ラジカル重合にて得られるものが好ましい。有機ポリマーとしては、単量体を1つ以上組み合わせて重合させたものを用いることができるため、ホモポリマーでも、コポリマーでも構わない。またリビングラジカル重合にて有機ポリマーを得ることも可能であるため、有機ポリマーがブロックポリマーであってもよい。
ラジカル重合性単量体としては、一般にラジカル重合能があるものは全て使用することができる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(炭素数1−22)(メタ)アクリレート。シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の環構造またはヘテロ原子を含む環構造や置換または非置換フェニル基含有有機基の(メタ)アクリレート。2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、等のアルキルエーテル(メタ)アクリレート。
フェノキシエチルア(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート等の環構造またはヘテロ原子を含む環構造や置換または非置換フェニル基含有有機基エーテル(メタ)アクリレート。ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、等のアルコキシポリエチレングリコールまたはアルコキシポリプロピレングリコールの(メタ)アクリレート、環構造またはヘテロ原子を含む環構造や置換または非置換フェニル基含有アルコキシポリエチレングリコールまたはアルコキシポリプロピレングリコールの(メタ)アクリレート。
また、アリル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性基を複数持つ単量体も含まれる。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜10ヒドロキシアルキルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートや、グリセロールモノ(メタ)アクリレートのように一分子中に複数の水酸基を持つ(メタ)アクリレートも含まれる。また、これら水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類にε−カプロラクトン、δ−カプロラクトン等のラクトン類を1〜5モル付加したラクトン変性(メタ)アクリルレートが挙げられる。
また、グリセロールジ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性基を複数持つ単量体も含まれる。(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリルモルホリン等の(メタ)アクリレートのアミド化合物及びその誘導体が挙げられる。また、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、ビニルシクロヘキサン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、ビニルオキサゾリン等の環構造またはヘテロ原子を含む(エポキシ基含有有機基を除く)環構造基を持つビニル化合物が挙げられる。N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体類ジエチルマレエート、ジ−2−エチルヘキシルマレエート等のマレイン酸エステル、ジエチルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレート等のフマル酸エステル、塩化ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルN−メチルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等の脂肪族ビニル化合物及びその誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪族ビニルエステルなども挙げることができる。
有機ポリマーは、ラジカル重合性単量体をラジカル重合開始剤の存在下、通常の条件に従って重合して得ることができる。また必要に応じて、所定割合の連鎖移動剤を用いてもよい。上記ラジカル重合開始剤は通常、一般のラジカル重合反応開始剤として使用されるものであればあらゆるものが使用でき、たとえばアゾ系重合開始剤[ 例えば2, 2'−アゾビス(イソブチルニトリル)、2, 2'−アゾビス(2, 4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2−シアノ−2−プロピルアゾ−フォルムアミド、ジメチル2, 2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2, 2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)等] 等が挙げられ、これらを組み合わせて使用することができる。
反応温度は特に限定しないが、ラジカル重合反応開始剤を分解する温度であればよく、通常50〜180℃が好ましく、段階的に低温から高温まで上昇させる方法をとってもよい。反応時間は特に限定されないが、通常1〜50時間が好ましい。
有機ポリマーは多孔性配位高分子に20質量%程度まで含有させることができる。
フィラー粉末はとしては、熱伝導性の無機セラミックスを用いることができ、たとえば、二酸化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸化ベリリウム,酸化スズ,窒化ホウ素,窒化アルミニウム,窒化ケイ素,炭化ケイ素,フッ化アルミニウム,フッ化カルシウムが挙げられる。特に、熱伝導性が高い酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸化スズ,窒化ホウ素,窒化アルミニウム,窒化ケイ素を主成分としたフィラー粉末が好ましい。フィラー粉末は必要に応じてこれらを組み合わせて使用することができる。また、表面に無機セラミックスがコーティングされたものでもよく、たとえば表面に酸化アルミニウム層を有する窒化アルミニウムを主成分としたフィラー粉末も使用することができる。これらの粉末は一般的にはレーザー回折粒度分布測定装置で測定して平均粒径1〜10μm程度のものが用いられる。
フィラー粉末の充填量は、使用するフィラー粉末の種類によりことなるが、一般的にフィラー粉末の表面処理をしていないものに比べ、充填量を低減させることができ、熱可塑性樹脂との混練時に樹脂粘度を下げ成形性を向上させることができる。充填量は、30vol%以上90vol%以下、好ましくは、50vol%以上80vol%以下がよい。一般に、充填量が高いほど熱伝導性は高くなるが、樹脂粘度が高くなったり、樹脂自体が脆弱になるためあまり高くはできない。
熱伝導性組成物は表面処理をしたフィラー粉末と熱可塑性樹脂を混練することにより得ることができる。本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく公知のものを用いることができるが、スチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、オレフィン系などが好ましい。スチレン系エラストマーの例としては、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体)などが挙げられる。
ポリエステル系としてはポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコール重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリカプロラクトン重合体などが挙げられ、前者はポリエーテル・エステルエラストマー、後者はポリエステル・エステルエラストマーと呼ばれている。
ポリウレタン系としてはジイソシアナート(4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水素添加4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート等)と短鎖グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールやビスフェノールA等)からなる硬質相とジイソシアナートと長鎖ポリオール(ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリアルキレンアジペートやポリカプロラクタン、ポリカーボナート等)からなる軟質相を有するポリマーなどが挙げられる。
オレフィン系としては、ブレンドタイプと架橋(重合)タイプがあり、前者は主にポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体、あるいはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体などが挙げられる。この時のジエンとしてはエチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが使用される。単純ブレンドの他に有機過酸化物等で部分架橋したもの、更に混練時に分散されたゴム相を完全架橋したもの、さらには硬質相の樹脂にポリエチレンをブンレンドしたもの、ゴムとしてNBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)やスチレン系ブロック共重合体等をブレンドしたものが挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリスチレン換算)は5,000〜1,500,00の範囲のものが好ましく、分子構造は直線状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれでもよい。またこれらの熱可塑性樹脂は単独、あるいは2種類以上混練して使用できる。
好ましい熱可塑性樹脂の例としては耐熱性や柔軟性から、スチレン系が挙げられる。
本発明の熱伝導性組成物を得るための混練方法特は特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。例えばブレード型混練機(ニーダ等)、ロール型混練機(ロールミル、テーパーロール、加圧ニーダ、バンバリーミキサ、インターナルミキサ、ラボプラストミル、ミックスラボ、エクストルーダ等)などが挙げられるが、好ましくはロールミルやエクストルーダ等が挙げられる。
本発明の熱伝導性組成物は、用途に応じて厚さ0.1〜3mmのシート状に加工することができる。加工方法としては特に限定はないが、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形などで加工することが可能であるが、連続的に成形でき且つ巻き取りが可能な押し出し成形やカレンダー成形が好ましい。この時、粘着性が強い場合、ポリテトラフルオロエチレンシートや離型紙、離型フィルムなどを用いながら加工して、ほこりが付着したり成形装置に付着しないようにすることが好ましい。シート状の熱伝導性組成物は離型紙、離型フィルムを挟んでロールにして巻き取ることが可能である。
シートの大きさに特に制限はなく、用途に応じて加工できる。より好ましい製造方法としては、エクストルーダにより各成分を混練しながらTダイに押し出しすることでシートを成形、両面離型紙あるいは両面離型フィルムとともにシート引取装置によって巻き取る方法が挙げられる。この時の押出条件としては、組成によってあるいは成形するシートの幅で異なるが、押出機の設定温度は130〜190℃、スクリュー回転数5〜80rpm、L/D(スクリューの長さと直径比)は20以上が好ましい。
以下、実施例・比較例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(フィラーの表面処理)
平均粒径が3μmの水酸化アルミニウム50グラムをピラジンジカルボン酸ナトリウム塩水溶液(0.05M)200mlに攪拌しながら5分間浸積した。この水酸化アルミニウムを水洗後、硫酸銅水溶液(0.1M)200mlに攪拌しながら5分間浸積し、さらに水洗した。次ぎにこの水酸化アルミニウムを1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン水溶液(0.1M)200mlに攪拌しながら5分間浸積し水洗を行なった。この一連の操作を、200回繰り返した後、乾燥した多孔性配位高分子([Cu2(pydc)2(ted)]2)で表面処理したアルミナを得た。乾燥した多孔性配位高分子の熱伝導率は上記と同じ条件で別途合成し、測定した結果0.4W/m・Kであった。
(有機ポリマーの固定)
表面処理を施し充分に乾燥した水酸化アルミニウム20gを、窒素雰囲気下で2, 2'−アゾビス(イソブチルニトリル)6mgを含むスチレン1mlに浸積させ、室温にて30分間攪拌した。室温、減圧下で3時間過剰のスチレンを除いた後、窒素雰囲気下にて、70℃、48時間加熱した。得られた粉末をメタノールにて洗浄した後真空乾燥を行ない、多孔性配位高分子にポリスチレンを固定したアルミナを得た。
(シートの作成)
ラボプラストミル(東洋精機製Eモデル)を用いて、熱可塑性エラストマー(リケンテクノス(株)製 超軟質アクティマーAE−2000S)および水酸化アルミニウムを表1のように配合し(数字は質量部)、170℃で5分間混練し樹脂組成物を得た。厚さ1mmのステンレス板を打ち抜いて金型とし、そこに混練した樹脂組成物を入れ両面をアルミ箔で挟み、更に3mmのステンレス板で両面を挟んだ。それを150℃に加熱したプレス機で予熱5分、加圧1分、冷却加圧5分を行った。
(熱伝導率の測定)
熱伝導率測定は、多孔性配位高分子及び樹脂組成物を直径5mm、厚さ1mmの円盤状に成型した後、レーザーフラッシュ法熱物性測定装置(京都電子工業(株)製 LFA-502)を用い、25℃で測定した。
(熱伝導率の測定結果)
実施例および比較例を表1に示す配合にて熱伝導性シートを作製し、熱伝導率(W/m・K)を測定した。
Figure 2008063412
多孔性配位高分子で表面処理をしたフィラーを用いることにより、フィラーの量を減らしても熱伝導性に優れた樹脂組成物とすることができ、放熱性のすぐれた電子部品や表示装置に用いることができる。

Claims (6)

  1. 熱伝導率が0.4W/m・K以上の高分子化合物で表面処理されたフィラー粉末及び熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
  2. 高分子化合物が、金属イオンと、該金属イオンと結合可能な有機化合物と、該金属イオンと結合可能なピラーリガンドを含有する多孔性配位高分子であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 多孔性配位高分子が細孔内に有機ポリマーを含むことを特徴とする請求項2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. フィラー粉末が無機セラミックスのフィラー粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 熱伝導性樹脂組成物中のフィラー粉末の量が30〜90体積%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性組成物を用いることを特徴とする熱伝導性シート。
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