[go: up one dir, main page]

JP2008024949A - 無鉛性カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

無鉛性カチオン電着塗料組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2008024949A
JP2008024949A JP2007260005A JP2007260005A JP2008024949A JP 2008024949 A JP2008024949 A JP 2008024949A JP 2007260005 A JP2007260005 A JP 2007260005A JP 2007260005 A JP2007260005 A JP 2007260005A JP 2008024949 A JP2008024949 A JP 2008024949A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrodeposition coating
lead
coating composition
pigment
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007260005A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Sakamoto
聡明 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP2007260005A priority Critical patent/JP2008024949A/ja
Publication of JP2008024949A publication Critical patent/JP2008024949A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】電着塗装による防錆性塗膜形成において表面平滑効果が優れた、無鉛性カチオン電着塗料組成物を提供すること。
【解決手段】多孔質であり、細孔容積が0.44〜1.8ml/gである平均粒径10μm以下のシリカ粒子を含有する無鉛性カチオン電着塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、電着塗装方法による塗膜形成の際において表面平滑効果を示す防錆性顔料を含む、無鉛性カチオン電着塗料組成物に関する。さらに本発明は、顔料分散ペーストの貯蔵安定性に優れた無鉛性カチオン電着塗料組成物に関する。
電着塗装は、複雑な形状を有する被塗物であっても細部にまで塗装を施すことができ、自動的かつ連続的に塗装することができるので、自動車車体等の大型で複雑な形状を有し、高い防錆性が要求される被塗物の下塗り塗装方法として汎用されている。また、他の塗装方法と比較して、塗料の使用効率が極めて高いことから経済的であり、工業的な塗装方法として広く普及している。カチオン電着塗装は、カチオン電着塗装中に被塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加することにより行なわれる。
これまで電着塗料には、耐食性を付与するため、鉛を含む耐食性付与剤が添加されてきた。近年、鉛は環境に対して悪影響を与えることから、使用量の削減が要求されており、そうした鉛を含む耐食性付与剤を含まない、いわゆる無鉛性カチオン電着塗料が主として利用されつつある。
カチオン電着塗膜で得られる塗膜に必要な性質は、塗膜が平滑でハジキ(cratering)と呼ばれる窪みや凹み等の表面欠陥がなく、その上に形成される塗膜との密着性が高く、平滑性や光沢等に悪影響を与えないことである。ハジキと呼ばれる欠陥被膜は、塗膜表面あるいは塗膜内の揮発成分や油に起因し、それらが焼付け時に突沸したり、揮散するときに塗膜に通過孔をつくったりすることにより起こると考えられている。
このハジキ現象を避けるには、その原因である揮発成分や油が塗膜やその内部に入らないようにするか、塗料中に配合する材料や添加剤による塗料自体の改質による方法が考えられる。しかしながら、原因物質の進入あるいは混入を避けることは、塗装までに種々の工程を経ていること、あるいは塗装物が複雑な形状を有しており油分の残存等は避けられないことから、不可能である。従って、主として、塗料自体の材料の改良や、添加剤の検討が行なわれている。
特開昭64−62496号公報、特開昭64−62497号公報、および特開昭64−66278号公報には、カチオン電着塗料に吸油量が100ml/100g以上の顔料を特定量混合することが開示されている。この吸油量100ml/100g以上の顔料の例として、二酸化ケイ素系顔料が記載されている。しかしながら、この塗料はエッジ部(端面)の防食性の向上を目指したものであって、ハジキなどの塗膜欠陥の回避を目的としたものではない。
特開昭64−62496号公報 特開昭64−62497号公報 特開昭64−66278号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、電着塗装による防錆性塗膜形成において表面平滑効果が優れた、無鉛性カチオン電着塗料組成物を提供することにある。
本発明は、多孔質であり細孔容積が0.44〜1.8ml/gである平均粒径10μm以下のシリカ粒子を含有する無鉛性カチオン電着塗料組成物を提供するものであり、そのことにより、上記目的が達成される。
また、上記シリカ粒子は吸油量が300ml/100g以下であることが好ましい。
無鉛性カチオン電着塗料組成物に特定形状のシリカ粒子を添加することにより、表面平滑効果および防錆性を付与することができ、さらに水跡性も向上する。さらに特定形態のシリカ粒子であって吸油量が300ml/100g以下のものを使用することにより、顔料分散ペーストの貯蔵安定性が向上する。
一般にカチオン電着塗料は、カチオン性のエポキシ樹脂とその樹脂の硬化剤を基本的成分としており、その他に顔料や添加剤を含み、水性媒体中に分散したものである。本発明で用いるカチオン電着塗料は「無鉛性」であることを必要とする。「無鉛性」とは、実質上鉛化合物もしくは鉛イオンを含まないことをいい、環境に悪影響を与えるような量で鉛を含まないことを意味する。具体的には、カチオン電着浴中の鉛化合物濃度が100ppm、好ましくは50ppmを超える量で含まないことをいう。
本発明の無鉛性カチオン電着塗料は、前述のように特定のシリカ粒子を含有することを特徴としている。シリカ粒子は多孔質であり、その細孔容積は0.44〜1.8ml/g、好ましくは0.8〜1.6ml/gである。0.44ml/gより少ないとその効果が少なくなるという欠点を有することとなり、より少ない場合より顕著となる。1.6ml/gを超えると分散安定不良の欠点を有することとなり、より多いとより分散不能となる。ここで細孔容積とは、多孔質部分の細孔体積を意味する。上記細孔容積は水銀圧入法によって測定される。水銀圧入法とは、粉体の細孔に水銀を注入し、それに要した圧力と圧入された水銀量を測定することにより、比表面積や細孔分布を測定する方法である。これらは水銀圧入式細孔分布測定装置を用いて測定できる。
上記シリカ粒子は、平均粒径10μm以下、好ましくは5〜0.1μmである。0.1μmより小さいと分散安定性不良の欠点を有することとなる。10μmを超えると耐食性が低下する。ここで「平均粒径」とは、一般に粒子の粒度(粒径が粗いか細かいか)を表わすために用いられるものであり、重量50%に相当するメジアン径や算術平均径、表面積平均径、体積面積平均径などが使用される。本明細書に示す平均粒径は、レーザー法によって測定された値で示している。レーザー法とは、粒子を溶媒に分散させ、その分散溶媒にレーザー光線を当て、得られた散乱光を捕捉、演算することにより、平均粒径、粒度分布等を測定する方法である。
一般にシリカは二酸化ケイ素を主成分とする固体状物質をいうが、本発明のシリカ粒子は上述のごとく多孔質であって、細孔容積が0.44〜1.8ml/g、平均粒径10μm以下でなければならない。このような特性を有するシリカ粒子は特殊なもので、一般的に知られているシリカゲルや天然シリカ粒子(例えは、カオリン等の体質顔料)とは異なっている。本発明に用いるシリカ粒子は、いわゆる湿式法を用いて、ケイ酸ソーダと酸を混合することにより得られる。本発明に用いる特殊なシリカ粒子としては、富士シリシア化学株式会社から市販されているサイリシアが挙げられる。
本発明では、シリカ粒子が多孔質であることから、シリカ粒子からケイ酸イオンが電着塗料中に多く溶出して、ケイ酸イオンが多く存在することから塗膜の平滑性が高くなり、ハジキと呼ばれる塗膜欠陥を防止するものと考えられているが、現在のところまだ確証が得られているわけではない。また、シリカ粒子の添加により、焼付け時のレオロジーが例えば増粘作用などによって変化して、塗膜の平滑性が高くなり、その結果、塗膜欠陥が防止できることも考えられる。
本発明で用いるシリカ粒子はまた、吸油量350ml/100g以下、好ましくは220〜50ml/100g、より好ましくは170〜50ml/100gを有する。吸油量が低いと、水分散性が向上し貯蔵安定性がよくなる。ここで吸油量とは、JIS K5101−91(顔料試験方法)によって測定されるものをいう。吸油量の値は、顔料を構成する物質の特性、その粒子の大きさなどを要因とする。一般に、顔料の粒子が小さいほど吸油量の値は大きくなる。小さな粒子の吸油量の値を下げる手法として、現在、粒子のコーティング(例えばワックスによる有機コーティングなど)が知られている。またシリカ粒子の添加によって水跡性も向上することが判明した。ここで「水跡性の向上」とは、塗膜表面上での水による跡残りが減少することをいう。
本発明で用いるシリカ粒子は、固体状物質で後述する顔料の一部を構成するとも考えることができる。その場合、後述する顔料の一部が本発明のシリカ粒子と置きかえられるものと考えることができる。従って、上記シリカの配合量は、顔料に対して1〜90重量%であることが好ましく、さらには3〜50重量%、特に5〜25重量%であることが好ましい。90%を超えて添加することは、塗膜隠蔽性低下の欠点を有することとなる。逆に、1重量%より少ない量の添加は、シリカ粒子の添加による効果(塗膜欠陥の防止)が不十分となる。本発明のシリカ粒子を顔料の一部と考えないで、添加剤として捉えることも可能であり、その場合電着塗料中への配合量は、塗料固形分100重量部に対し、0.2〜150重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜7重量部である。添加量の多い場合と少ない場合の欠点は前述の顔料の一部と考える場合と同じである。但し、添加剤として考える場合は、顔料の添加量が必然的に少なくなる。
本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物は、前述のように、特定のシリカ粒子以外に、カチオン性のエポキシ樹脂、硬化剤および必要に応じて顔料や添加剤を含むものである。以下、それぞれの成分について説明する。
カチオン性エポキシ樹脂
本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポキシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
特開平5−306327号公報第0004段落の式、化3に記載のような、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂として用いてもよい。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールでブロックされたブロックポリイソシアネートとポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留去することで得られる。
特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからである。
二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例えば、特開2000−128959号公報第0012〜0047段落に記載されている。
これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるように活性水素化合物で開環するのが望ましい。
カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィド及び酸混合物がある。本発明の1級、2級又は/及び3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数のものを併用して用いてもよい。
硬化剤
本発明で使用する硬化剤は、ポリイソシアネートをブロック剤でブロックして得られたブロックポリイソシアネートが好ましく、ここでポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーも硬化剤として使用してよい。
ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートであることが好ましい。形成される塗膜が耐候性に優れるからである。
脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートの好ましい具体例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添TDI、水添MDI、水添XDI、IPDI、ノルボルナンジイソシアネート、それらの二量体(ビウレット)、三量体(イソシアヌレート)等が挙げられる。
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
ブロック剤としては、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤、及びホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤を使用するのが良い。
カチオン性エポキシ樹脂と硬化剤とを含むバインダーは、一般に、電着塗料組成物の全固形分の25〜85重量%、好ましくは40〜70重量%を占める量で電着塗料組成物に含有される。
顔料
電着塗料組成物には着色剤として一般に顔料を含有させる。本発明の電着塗料組成物にも通常用いられる顔料を含有させる。かかる顔料の例としては、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等が挙げられる。
顔料は、一般に、電着塗料組成物の全固形分の1〜35重量%、好ましくは10〜30重量%を占める量で電着塗料組成物に含有される。前述のように、本発明に用いる特定のシリカ粒子は、固体成分で顔料の一部と考えることもできるので、その場合は上記顔料の配合量の一部分をシリカ粒子にする。シリカ粒子を添加剤として捉える場合には、顔料の配合量は少なくなり、塗料固形分の0.01〜15重量%、好ましくは0.2〜2重量%となる。
顔料分散ペースト
顔料を電着塗料の成分として用いる場合、一般に顔料を顔料分散樹脂と呼ばれる樹脂と共に予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。
顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂と共に水性媒体中に分散させて調製する。本発明では、顔料と共にシリカ粒子も分散ペースト化するのが好ましい。顔料分散樹脂としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分散樹脂と顔料の固形分比は1:10〜1:1の比で用いる。
電着塗料組成物
本発明の電着塗料組成物は、カチオン性エポキシ樹脂、硬化剤、及びシリカ粒子を含む顔料分散ペーストを水性媒体中に分散することによって調製される。また、通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂の分散性を向上させるために中和剤を含有させる。中和剤は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。その量は少なくとも20%、好ましくは30〜60%の中和率を達成する量である。
硬化剤の量は、硬化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級又は/及び3級アミノ基、水酸基等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチオン性エポキシ樹脂の硬化剤に対する固形分重量比で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/35の範囲である。
電着塗料は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキサイドのようなスズ化合物や、通常のウレタン開裂触媒を含むことができる。鉛を実質的に含まないため、その量はブロックポリイソシアネート化合物の0.1〜5重量%とすることが好ましい。
電着塗料は、水混和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び顔料などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。
本発明の電着塗料組成物は当業者に周知の方法で被塗物に電着塗装され、硬化塗膜を形成する。このカチオン電着塗料組成物を用いて電着塗装を行う場合の被塗物は、予め、浸漬、スプレー方法等によりリン酸亜鉛処理等の表面処理の施された導体であることが好ましいが、この表面処理が施されていないものであっても良い。また、導体とは、電着塗装を行うに当り、陰極になり得るものであれば特に制限はなく、金属基材が好ましい。
そのような金属基材としては、冷延鋼板や亜鉛ニッケル鋼板等の鋼板を挙げることができる。また、そのような鋼板は、先に述べた自動車ボディーのように、特定の用途に用いられるような構造物となっていてもよい。この構造物とは、上記金属素材を、自動車用やその他の用途に用いられるように、凹凸状等に成形加工されてできたものを言う。上記被塗物は、特に自動車用に用いられる場合には、耐食性の点から、亜鉛ニッケル鋼板を使用した構造物であることが好ましい。
電着が実施される条件は一般的に他の型の電着塗装に用いられるものと同様である。印加電圧は大きく変化してもよく、1ボルト〜数百ボルトの範囲であってよい。電流密度は通常約10アンペア/m2〜160アンペア/m2であり、電着中に減少する傾向にある。
電着後、被膜を昇温下に通常の方法、例えば焼付炉中、焼成オーブン中あるいは赤外ヒートランプで焼付ける。焼付け温度は変化してもよいが、通常約140℃〜180℃である。
以下の製造例および実施例は、限定でなく例示目的のみで与えられる。これらにおいて「部」および「%」は特記しない限り重量基準による。
製造例1(カチオン性エポキシ樹脂の合成)
攪拌機、冷却器、窒素注入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量188)752.0部、メタノール77.0部、メチルイソブチルケトン200.3部およびジラウリン酸ジブチルスズ0.3部を仕込み、室温で攪拌し均一溶液とし、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート80/20(質量比)混合物174.2部を50分間かけて滴下すると発熱により系内の温度が70℃に達した。IRスペクトルはイソシアネートに基づく2280cm-1の吸収の消失およびウレタンのカルボニル基に基づく1730cm-1の吸収の出現を示した。
N,N−ジメチルベンジルアミン2.7部を加えた後、系内を120℃まで昇温し、副生するメタノールをデカンターを用いて留去させながらエポキシ当量が463に達するまで反応を行った。IRスペクトルはウレタンのカルボニル基に基づく1730cm-1の吸収の消失およびオキサゾリドン環のカルボニル基に基づく1750cm-1の吸収の出現を示した。
オクチル酸158.3部およびメチルイソブチルケトン83.3部を加え125℃の温度を保持しながらエポキシ当量が1146に達するまで反応を行った。系内の温度が110℃になるまで冷却し、アミノエチルエタノールアミンのケチミン(79質量%のメチルイソブチルケトン溶液)47.2部、ジエタノールアミン42.0部、N−メチルエタノールアミン30.0部およびメチルイソブチルケトン17.3部を加えた後、昇温し、120℃で2時間反応させた。このようにして不揮発分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂を得た。
製造例2(ポリイソシアネート硬化剤の合成)
攪拌機、冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型三量体(コロネートHX、日本ポリウレタン社製)199部、メチルイソブチルケトン122.8部、およびジブチルスズジラウレート0.2部を秤取し、50℃まで昇温した。外部から冷却して温度を50℃に保ちながらメチルエチルケトオキシム87部を2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃に昇温し、この温度を保ちながらIR分析によりイソシアネート基が消失するまで反応させ、脂肪族ブロックポリイソシアネート硬化剤を得た。
製造例3(顔料分散樹脂の製造)
攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIという)222.0部を入れ、MIBK39.1部で希釈した後、ジブチルスズラウレート0.2部を加えた。その後、50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌しながら、乾燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却することにより、反応温度を50℃に維持した。その結果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDIが得られた。
次いで、エピコート828(油化シェルエポキシ社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量182〜194)376.0部、ビスフェノールA114.0部およびオクチル酸29.2部を、攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に仕込んだ。反応混合物を窒素雰囲気中で130℃に加熱し、ジメチルベンジルアミン0.15部を添加して、発熱反応のもと170℃で1時間反応させることにより、エポキシ当量649のビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。
次いで、140℃に冷却した後、上記で調整した2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI396.8部を加え、140℃に1時間保持して反応させた。次に、エチレングリコールモノブチルエーテル323.2部を加えて希釈した後、その反応混合物を100℃に冷却した。次いで、アミノエチルエタノールアミンのメチルイソブチルモノケチミン化物の78.3%MIBK溶液188.8部を加えた。
この混合物を110℃で1時間保温した後、90℃まで冷却し、イオン交換水360.0部を加えて、更に30分間攪拌を継続することにより、エポキシ樹脂中のケチミン化部分を1級アミノ基に転化した。この混合物から過剰の水とMIBKを減圧下で除去した後、エチレングリコールモノブチルエーテル588.1部で希釈して、1級アミノ基を有する顔料分散用樹脂を得た。(樹脂固形分50%)
製造例4(顔料分散ペーストの製造)
サンドグラインドミルに、製造例3で得られた顔料分散樹脂を固形分で60部、カーボンブラック2.0部、表1に記載の顔料を100.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸アルミニウム18.0部及びイオン交換水221.7部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストA〜Dを得た。
Figure 2008024949
シリカ粒子:富士シリシア化学株式会社製 サイリシア
実施例1
製造例1のカチオン性エポキシ樹脂と製造例2のブロックポリイソシアネート硬化剤を固形分配合比75:25で均一に混合した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルを固形分に対して3%になるように添加した。これに90%酢酸を加えて中和率43.0%となるように中和し、更にイオン交換水を加えてゆっくり希釈した。固形分が36.0%となるように減圧化でMIBKを除去することにより、メインエマルションを得た。このメインエマルション1500.0部および製造例3で得た顔料分散樹脂を用いて製造例4(表1中配合1)により得た顔料分散ペーストA541.7部をイオン交換水1949.3部及びジブチルスズオキサイド9.0部と混合して、固形分20.0%のカチオン電着塗料を調製した。シリカ粒子の含有量は3%(固形分比)であった。
実施例2
顔料分散ペーストAの代わりにペーストBを用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料を調製した。
比較例1
顔料分散ペーストAの代わりにペーストCを用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料を調製した。
比較例2
顔料分散ペーストAの代わりにペーストDを用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料を調製した。
評価
(1)ハジキ防止性評価(混入ハジキ性)
得られた電着塗料組成物に防錆用機械油(ノックスフラスト320 パーカー興産) 10ppmを混入して、48時間連続撹拌した。その後、7×15cm寸法のテストピースを垂直に配置し、乾燥塗膜が20μmとなるように電着し、ウェット膜を得た。このウェット膜を水洗いし、30分間放置した後に160℃で10分間焼き付けた。焼き付け後の塗膜表面を目視観察し、ハジキ数をカウントして、以下の評価基準に従って評価した。
評価基準
ハジキ数が5個以下であれば合格とする
(2)ハジキ防止性評価(突沸油ハジキ性)
得られた電着塗料組成物を乾燥被膜20μmが得られるように電着し、ウェット膜を有する7×15cmのテストピースを得た。このウェット膜を水洗いし、30分間放置した後、焼き付け過程で防錆用機械油(ノックスフラスト320 パーカー興産) 0.2mlを飛散付着させた。冷却後に塗膜表面を目視観察し、ハジキ数をカウントして、以下の評価基準に従って評価した。
評価基準
ハジキ数が100個以下の場合、合格とする
(3)水跡性評価
得られた電着塗料組成物を乾燥被膜20μmが得られるように電着し、ウェット膜を有する7×15cmのテストピースを得た。このウェット膜を水洗いし、30分間放置した後にテストピースを水平にし、純水 0.2mlをウェット膜に乗せた。水平状態を保持したまま、160℃で10分間焼き付けた後の塗膜表面を目視観察し、以下の評価基準に従って評価した。
評価基準
○:水跡が残っているが中塗りを塗ることで跡が分からなくなる
×:水跡が残っており、さらに中塗りを塗っても依然として水跡が判る
(4)貯蔵安定性の評価
上記で得られた顔料分散ペーストA〜Dを、40℃で1日間放置した後、粘度変化を確認した。
評価基準
○:粘度変化 10kU以下
×:粘度変化 10kU以上
評価結果を表2、3に示す。
Figure 2008024949
Figure 2008024949

Claims (3)

  1. 多孔質であり、細孔容積が0.44〜1.8ml/gである平均粒径10μm以下のシリカ粒子を含有する無鉛性カチオン電着塗料組成物。
  2. 該シリカ粒子の吸油量が300ml/100g以下である、請求項1記載の無鉛性カチオン電着塗料組成物。
  3. カチオン性エポキシ樹脂、その硬化剤および顔料を含む無鉛性カチオン電着塗料組成物において、さらに多孔質であり細孔容積が0.44〜1.8ml/gである平均粒径10μm以下のシリカ粒子を含有する無鉛性カチオン電着塗料組成物。
JP2007260005A 2007-10-03 2007-10-03 無鉛性カチオン電着塗料組成物 Pending JP2008024949A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007260005A JP2008024949A (ja) 2007-10-03 2007-10-03 無鉛性カチオン電着塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007260005A JP2008024949A (ja) 2007-10-03 2007-10-03 無鉛性カチオン電着塗料組成物

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002075865A Division JP2003268315A (ja) 2002-03-19 2002-03-19 無鉛性カチオン電着塗料組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008024949A true JP2008024949A (ja) 2008-02-07

Family

ID=39115903

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007260005A Pending JP2008024949A (ja) 2007-10-03 2007-10-03 無鉛性カチオン電着塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008024949A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014119784A1 (ja) * 2013-02-04 2017-01-26 関西ペイント株式会社 一次防錆塗料組成物、及びそれを塗装してなる塗装鋼構造物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014119784A1 (ja) * 2013-02-04 2017-01-26 関西ペイント株式会社 一次防錆塗料組成物、及びそれを塗装してなる塗装鋼構造物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4060620B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法
JP2006002001A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2006348074A (ja) アミン変性エポキシ樹脂の製造方法およびカチオン電着塗料組成物
JP4130086B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物及び塗装方法
JP2008037889A (ja) カチオン電着塗料用電導度制御剤およびそれを用いるカチオン電着塗料の電気電導度調整方法
JP2004107654A (ja) 亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物
JP2003268315A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2006137864A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2008024949A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2005194389A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2008037888A (ja) カチオン電着塗料への消泡剤の添加方法およびそれに用いる添加剤
JP2002356645A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2007039617A (ja) カチオン電着塗料組成物およびそれから得られた塗装物
JP2002285391A (ja) 電着塗装方法
JP2015193684A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP4326351B2 (ja) カチオン電着塗膜の形成方法
JP4518800B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2007246613A (ja) 水素ガスの発生を抑制するカチオン電着塗料組成物
JP2006002002A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2008214705A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2008189960A (ja) 電着塗膜形成方法
JP2002294146A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2006348316A (ja) 電着塗膜形成方法
JP2007313420A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2010043189A (ja) カチオン電着塗料用補給塗料およびそれを用いる補給方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080826

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081007

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081125