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JP2008019309A - 導電性樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

導電性樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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JP2008019309A JP2006190421A JP2006190421A JP2008019309A JP 2008019309 A JP2008019309 A JP 2008019309A JP 2006190421 A JP2006190421 A JP 2006190421A JP 2006190421 A JP2006190421 A JP 2006190421A JP 2008019309 A JP2008019309 A JP 2008019309A
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Takashi Yamashita
俊 山下
Yoichi Sakakibara
陽一 榊原
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Abstract

【課題】多量の有機溶媒を用いなくても繊維状炭素物質を良好に分散させることが可能であり、また物性の制御が容易な導電性樹脂成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂中に繊維状炭素物質を含有する樹脂成形体であって、前記繊維状炭素物質を0.5質量%から4.0質量%含有し、前記繊維状炭素物質の含有量A(質量%)が、前記樹脂成形体の表面抵抗値B(Ω/□)と、下記(1)式の関係で示されるものとした。
−4A+18≦B≦−9A+38・・・・(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂中に、繊維状炭素物質を含有する導電性樹脂成形体及びその製造方法に関する。より詳しくは、樹脂の前駆体として水溶性の高分子前駆体を用い、この高分子前駆体と、繊維状炭素物質の水分散液より得られる、導電性樹脂成形体及びその製造方法に関する。
従来から樹脂中に繊維状炭素物質を含有する樹脂成形体、所謂ポリマー系ナノコンポジットは、樹脂が有する耐熱性、絶縁性、強度、弾性等に加え、繊維状炭素物質が有する導電性を備えるため、様々な用途に用いられている。
優れた特性を有する樹脂成形体を得るためには、製造工程において、樹脂中の繊維状炭素物質の分散状態を制御することが重要である。そのため、様々な方法が検討されていた(特許文献1,2参照)。特許文献1には、繊維状炭素物質(カーボンナノチューブ)と、非イオン性界面活性剤を含有する分散液を、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸と混合して樹脂成形体を得る方法が開示されている。
また、特許文献2には、表面処理された繊維状炭素物質を含有する分散液を、ポリイミド樹脂中に分散させて樹脂成形体を得る方法が開示されている。
特開2006−124613号公報 特開2003−246927号公報
しかしながらいずれの特許文献に記載の方法も、繊維状炭素物質の分散液を樹脂と混合する際に、多量の有機溶剤を用いる必要があり、環境への影響が懸念される。また、樹脂を溶解可能な有機溶剤の種類は限定されるため、作業性がよくない。また、得られる樹脂成形体中の繊維状炭素物の分散状態は改善されるものの、わずかな添加量の変化で、樹脂成形体の物性が大幅に変化してしまう可能性があり、物性の制御が困難である。
以上の課題に鑑み、本発明では、多量の有機溶媒を用いなくても繊維状炭素物質を良好に分散させることが可能であり、また物性の制御が容易な導電性樹脂成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、樹脂の前駆体として、水溶性の高分子前駆体を用い、この高分子前駆体の水溶液と、繊維状炭素物質の水分散液と、が混合可能であること、また、これらの液体を脱水反応させて得られる導電性樹脂成形体は、繊維状炭素物質の含有量を変化させることにより、容易に物性を制御することが可能であること、を見出し、本発明を完成するに至った。本発明は具体的には以下の発明である。
(1) 樹脂中に繊維状炭素物質を含有する樹脂成形体であって、
前記繊維状炭素物質を0.5質量%から4.0質量%含有し、前記繊維状炭素物質の含有量A(質量%)が、前記樹脂成形体の表面抵抗値B(logΩ/□)と、下記(1)式の関係にある導電性樹脂成形体。
−4A+18≦B≦−9A+38・・・・(1)
(2) 前記樹脂は、水溶性の高分子前駆体を経て得られる、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールからなる群から選ばれる一種である(1)に記載の導電性樹脂成形体。
(3)前記高分子前駆体は、ポリアミド酸と、アルキルアルコールアミンと、の反応生成物である(1)又は(2)に記載の導電性樹脂成形体。
(4)前記高分子前駆体の質量平均分子量は、10000以上である(1)から(3)いずれかに記載の導電性樹脂成形体。
(5) 前記繊維状炭素物質は、カーボンナノチューブである(1)から(4)いずれかに記載の導電性樹脂成形体。
(6)樹脂中に、繊維状炭素物質を含有する導電性樹脂成形体の製造方法であって、前記樹脂の前駆体として、水溶性の高分子前駆体を用い、この高分子前駆体の水溶液と、前記繊維状炭素物質の水分散液と、を混合して脱水反応を行う工程を有する導電性樹脂成形体の製造方法。
(7)前記樹脂は、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールからなる群から選ばれる一種である(6)に記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
(8)前記高分子前駆体は、ポリアミド酸と、アルキルアルコールアミンと、の反応生成物を含む(6)又は(7)に記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
(9)前記繊維状炭素物質は、カーボンナノチューブである(6)から(8)いずれかに記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
(10)前記水分散液は、超音波処理が施されたものである(6)から(9)いずれかに記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
本発明によれば、樹脂の前駆体として、水溶性高分子前駆体を用いることにより、多量の有機溶媒を用いなくても、繊維状炭素物質を良好に分散させることが可能となる。また、繊維状炭素物質の含有量を変化させることにより、容易に物性を制御することが可能となった。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明は、樹脂中に繊維状炭素物質を含有する樹脂成形体であって、前記繊維状炭素物質を0.5質量%から4.0質量%含有し、前記繊維状炭素物質の含有量A(質量%)が、前記樹脂成形体の表面抵抗値B(logΩ/□)と、下記(1)式の関係にある導電性樹脂成形体である。
−4A+18≦B≦−9A+38・・・・(1)
この導電性樹脂成形体は、水溶性の高分子前駆体の水溶液(以下、樹脂成分ともいう)と、前記繊維状炭素物質の水分散液(以下、無機成分ともいう)と、を混合して脱水反応を行う工程を経ることにより得られる。以下、詳細に説明する。
[樹脂成分]
樹脂成分は、本発明における樹脂成形体のマトリックス層になる樹脂を構成するものであり、水溶性の高分子前駆体を含有する。マトリックス層の樹脂は、この高分子前駆体を経て得られる。
ここで、「高分子前駆体」とは、樹脂を構成するポリマーの一部が、塩構造となっているものをいう。塩構造を採ることにより、水溶性になるため、従来は特定の有機溶媒にのみ溶解可能な樹脂であっても、水系での混合が可能となる。また、後述する繊維状炭素物質の水分散液と混合することが可能となる。これによって多量の有機溶媒を用いなくても繊維状炭素物質を良好に分散させることが可能となる。
高分子前駆体は、樹脂の前駆体に、アミンを反応させることにより得られる。樹脂の前駆体としては、ポリアミド酸が挙げられる。なお、このポリアミド酸は下記に示すように、置換アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基等を有していてもよい。
Figure 2008019309
マトリックス層の樹脂としては、耐熱性、絶縁性、強度に優れ、電子材料として通常用いられている樹脂であれば、特に限定されるものではない。具体的には、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールからなる群から選ばれる一種であることが好ましく、ポリイミドであることがより好ましい。
本発明におけるポリイミドとは、その構造中にイミド結合を有する樹脂全般を示し、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミドや、他の樹脂との共重合系やブレンド物も含まれる。中でも、主鎖に芳香環や複素環を主鎖に有し、脂肪族部分が少なく高極性のヘテロ原子を含む芳香族ポリイミドを用いることが好ましい。具体的には、下記の構造を有するポリイミド等が挙げられる。
Figure 2008019309
樹脂がポリイミドである場合、高分子前駆体は、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸に、アルキルアルコールアミンを反応させることにより得られる。
ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物と等モルのジアミンを極性溶媒中で反応させることにより得られる。
テトラカルボン酸二無水物としては、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−無水フタル酸)プロパン、オキシ−ビス(4−無水フタル酸)、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)フタル酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3″,4,4″−p−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物等が挙げられる。中でもピロメリット酸二無水物を用いることが好ましい。
ジアミンとしては、o−トリジン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルファイド、4,4′−ジアミノターフェニル、4,4″−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(m−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−(p−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,7−ジアミノフルオレン、アセトグアナミン、3,3′−ジメトキシベンジジン、m−フェニレンジミン、2,2−ビス(4−(p−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,6−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノデュレン、2,6−アミノトルエン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノトルエン、2,3−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ベンゾグアナミン、2,7−ジアミノナフタレン、3,4−ジアミノトルエン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、4,4′−ジチオジアニリン、o−フェニレンジアミン、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)n等が挙げられる。中でも4,4′−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが好ましい。
極性溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
アルキルアルコールアミンとしては、炭素数2から10のアルキルアルコールアミンが挙げられる。例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等が挙げられる。中でも、トリエタノールアミンを用いることが好ましい。
具体的には下記の合成スキームで示されるような工程を経て製造される。この合成スキームでは、ポリアミド酸として、ピロメリット酸(PMDA)を、ジアミンとして、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を、アルキルアルコールとして、トリエタノールアミンを用いている。
Figure 2008019309
得られた高分子前駆体の質量平均分子量は、10000以上であることが好ましく、15000から1000000であることがより好ましく、30000から50000であることが更に好ましい。分子量が10000よりも小さい場合には、フィルム状に形成することが困難となってしまう。また、分子量が1000000を超える場合には高分子前駆体の粘度が高くなり作業性に欠ける。
なお、高分子前駆体の分子量の調整は、ポリアミド酸の分子量を調整することにより行われる。なお、ポリアミド酸の質量平均分子量も同様に、15000から1000000であることが好ましく、30000から50000であることがより好ましい。
また、樹脂がポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールである場合には、高分子前駆体は、それぞれの樹脂の前駆体に、トリエタノールアミンを反応させ、所定の工程を経ることにより得られる。
このような方法により得られる高分子前駆体を、所望の濃度で水及びトリエタノールアミンに溶解させたものを樹脂成分とする。樹脂成分中の高分子前駆体の含有量は、3質量%から20質量%であることが好ましく、5質量%から10質量%であることが更に好ましい。
[無機成分]
無機成分は、本発明における樹脂成形体のフィラー層を構成するものであり、繊維状炭素物質を含有する。繊維状炭素物質としては、カーボンナノチューブを用いることが好ましい。カーボンナノチューブはアスペクト比が大きい形状であるため、互いに接触しやすく、ごくわずかな量を添加するだけで導電性を付与することが可能である。また、繊維状であるため、機械強度の向上、線膨張係数や吸湿膨張係数の低減の効果が高く、引き裂き等による断裂や張力による寸法変化を防ぎ、高耐久かつ高寸法安定性で長期の搬送特性にすぐれた成形体を得ることができる。
カーボンナノチューブとしては、多層のもの(マルチウォール・カーボンナノチューブ、「MWNT」)から、単層のもの(シングルウォール・カーボンナノチューブ、「SWNT」)等様々な種類が挙げられるが、それぞれ目的に応じて使用することが好ましい。
カーボンナノチューブの製造方法としては、特に制限されるものではなく、触媒を用いる熱分解法(気相成長法と類似の方法)、アーク放電法、レーザー蒸発法、及びHiPco法(High−pressure carbon monoxide process)等、従来公知のいずれの製造方法を採用して得られたものであっても構わない。
本発明において、繊維状炭素物質は、水に分散させたものが好ましく用いられる。水分散液を用いることにより、上述の高分子前駆体の水溶液と混合することが可能となる。上記水分散液は、所定量の繊維状炭素物質と、界面活性剤をそれぞれ水に添加することにより得られる。
界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤であることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン系、多価アルコールと脂肪酸エステル系、この両者を併せ持つ系のいずれかであってもよいが、ポリオキシエチレン系の界面活性剤を用いることが好ましい。ポリオキシエチレン系界面活性剤としては、脂肪酸のポリオキシエチレン・エーテル、高級アルコールのポリオキシエチレン・エーテル、アルキル・フェノール・ポリオキシエチレン・エーテル、ソルビタン・エステルのポリオキシエチレン・エーテル、ヒマシ油のポリオキシエチレン・エーテル、ポリオキシ・プロピレンのポリオキシエチレン・エーテル、脂肪酸のアルキロールアマイド等が挙げられる。多価アルコールと脂肪酸エステル系界面活性剤としては、モノグリセライト型界面活性剤、ソルビトール型界面活性剤、ソルタビン型界面活性剤、シュガーエステル型界面活性剤等が挙げられる。
水分散液中の繊維状炭素物質の含有量としては、0.5質量%から4.0質量%であることが好ましく、1.5質量%から3.5質量%であることがより好ましい。含有量が0.5質量%以下であると、形成された樹脂成形体に導電性を付与することが困難となってしまう。また、含有量が4.0質量%を超えると、繊維状炭素物質の良好な分散を確保することが困難となってしまう。
水に添加する界面活性剤の量は、添加する繊維状炭素物質の量に応じて適宜選択することができるが、水の表面張力を低下させ、繊維状炭素物質との濡れ性を向上できる量が必要である。具体的には、0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。
上記水分散液は、水に繊維状炭素物質と界面活性剤を添加した後に、超音波を照射して超音波処理を施すことがより好ましい。この超音波処理によって繊維状炭素物質をより良好に分散させることが可能となる。超音波の照射時間は、配合される繊維状炭素物質の量によって、適宜、定めることが可能である。例えば、20kHz,150W及び28kHz,140Wの超音波装置を用い、約30分から1時間処理することによって良好な分散効果を得ることができる。
また、上記分散液は、繊維状炭素物質の分散性を担保するために、金属塩等の分散剤を添加してもよい。金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
[導電性樹脂成形体の製造]
本発明に係る導電性樹脂成形体は、上述の樹脂成分及び無機成分を混合して、脱水反応させることにより得られる。樹脂成分として、水溶性のポリイミド前駆体を使用し、無機成分として、カーボンナノチューブ水分散液を使用して、導電性樹脂成形体(膜)を製造する場合の手順は、以下の通りである。
まず、上記の成分を混合し、5分から10分間撹拌する。次いで、所望の大きさの膜に製膜し、窒素雰囲気下のもと加熱して脱水反応(イミド化)させる。このときの加熱条件としては、150℃から300℃で2時間から10時間であることが好ましい。なお、加熱は、例えば170℃で1時間、250℃で3時間、さらに300℃で1時間、と低温側から高温側へ段階的に行ってもよい。
このような方法により得られる導電性樹脂成形体は、繊維状炭素物質の含有量A(質量%)が、前導電性樹脂成形体の表面抵抗値B(logΩ/□)と、下記(1)式の関係にある。
−4A+18≦B≦−9A+38・・・・(1)
導電性樹脂成形体の表面抵抗率B(logΩ/□)は、添加される繊維状炭素物質の含有量A(質量%)と、相関関係を有しており、添加量が増加すると表面抵抗率が低下する傾向にある。
従来検討されてきた導電性樹脂成形体は、優れた導電性を付与するために、ごくわずかな量の繊維状炭素物質を添加することにより、急激に表面抵抗値を減少させることが求められていた。しかしながら、上記のような導電性樹脂成形体は、物性の制御という観点では不向きである。
本発明に係る導電性樹脂成形体によれば、AとBの関係を上記(1)式のような関係とすることにより、物性の制御を容易にすることが可能となる。これによって所望の物性を有する導電性樹脂成形体を得ることができる。
なお、本発明において、上記(1)式は、繊維状炭素物質の含有量A(質量%)を、x軸とし、導電性樹脂成形体の表面抵抗率B(logΩ/□)をy軸として得られたプロットより、単回帰法又は直線重回帰法の少なくともどちらか一方の方法により算出した直線の式である。
[実施例1]
ポリイミドを含有する樹脂組成物を製造した。
まず、等モルのピロメリット酸二無水物と、ジアミノジフェニルエーテルを、溶媒であるジメチルアセトアミドに加え、開環重付加反応を行い、ポリアミド酸を合成した。このポリアミド酸8.8277gに、トリエタノールアミン44.1456gと、水35.7066gを加え、室温で約24時間撹拌した。これを高分子前駆体水溶液とした。
次いで、所定量のカーボンナノチューブに、界面活性剤として、商品名TRITON−X100(アルドリッチ社製)を、水に加え、30分間超音波(28kHz、260W)を照射して分散させた。これをカーボンナノチューブ分散液とした。なお、カーボンナノチューブの添加量は、それぞれ濃度が1.5質量%から3.5質量%となるように調整した。
上記の方法により得られた溶液を、混合して5分間撹拌した。その後、20μmの厚さの膜に製膜し、窒素雰囲気のもと、170℃で2.5時間加熱し、230℃で1時間、さらに300℃で1時間加熱して脱水反応させることにより、本発明に係る導電性樹脂成形体を得た。この一連の反応を、以下の合成スキームに示す。
Figure 2008019309
[比較例1]
実施例1と同様の方法でポリアミド酸を合成した。次いで、所定量のカーボンナノチューブに、界面活性剤として、商品名TRITON−X100(アルドリッチ社製)を、NMPに加え、30分間超音波(28kHz、260W)を照射して分散させた。これをカーボンナノチューブ分散液とした。ポリアミド酸とこのカーボンナノチューブ分散液を混合して、実施例1と同様の方法で導電性樹脂成形体を得た。なお、カーボンナノチューブの添加量は、それぞれ濃度が0.5質量%から2.0質量%となるように調整した。
実施例1及び比較例1で得られた導電性樹脂成形体の導電性は、それぞれの導電性樹脂成形体の表面抵抗値を測定することにより、評価した。その結果を図1に示す。実施例1の導電性樹脂成形体は、比較例1と比べ、カーボンナノチューブの添加量が多いものの、回帰直線(直線1)の傾きの絶対値は、直線2よりも小さかった。なお、2つの回帰直線は以下の通りである。
直線1:y=−7.23x+25.9
直線2:y=−11x+15.45
これらの傾きを算出するに当たり、比較例1のカーボンナノチューブの添加量が1.0質量%から2.0質量%のときの値は除外した。
カーボンナノチューブの含有量と表面抵抗率との関係を示す図である。

Claims (10)

  1. 樹脂中に繊維状炭素物質を含有する樹脂成形体であって、
    前記繊維状炭素物質を0.5質量%から4.0質量%含有し、前記繊維状炭素物質の含有量A(質量%)が、前記樹脂成形体の表面抵抗値B(logΩ/□)と、下記(1)式の関係にある導電性樹脂成形体。
    −4A+18≦B≦−9A+38・・・・(1)
  2. 前記樹脂は、水溶性の高分子前駆体を経て得られる、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールからなる群から選ばれる一種である請求項1に記載の導電性樹脂成形体。
  3. 前記高分子前駆体は、ポリアミド酸と、アルキルアルコールアミンと、の反応生成物である請求項2に記載の導電性樹脂成形体。
  4. 前記高分子前駆体の質量平均分子量は、10000以上である請求項2又は3に記載の導電性樹脂成形体。
  5. 前記繊維状炭素物質は、カーボンナノチューブである請求項1から4いずれかに記載の導電性樹脂成形体。
  6. 樹脂中に、繊維状炭素物質を含有する導電性樹脂成形体の製造方法であって、
    前記樹脂の前駆体として、水溶性の高分子前駆体を用い、
    この高分子前駆体の水溶液と、前記繊維状炭素物質の水分散液と、を混合して脱水反応を行う工程を有する導電性樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記樹脂は、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールからなる群から選ばれる一種である請求項6に記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
  8. 前記高分子前駆体は、ポリアミド酸と、アルキルアルコールアミンと、の反応生成物を含む請求項6又は7に記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
  9. 前記繊維状炭素物質は、カーボンナノチューブである請求項6から8いずれかに記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
  10. 前記水分散液は、超音波処理が施されたものである請求項6から9いずれかに記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
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