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JP2008018924A - サスペンション装置 - Google Patents

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JP2008018924A
JP2008018924A JP2007097908A JP2007097908A JP2008018924A JP 2008018924 A JP2008018924 A JP 2008018924A JP 2007097908 A JP2007097908 A JP 2007097908A JP 2007097908 A JP2007097908 A JP 2007097908A JP 2008018924 A JP2008018924 A JP 2008018924A
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wheel
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JP2007097908A
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Yusuke Kageyama
雄介 影山
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】 操縦安定性能と乗心地性能および騒音・振動性能とをより高いレベルで両立できるサスペンション装置を提供すること。
【解決手段】 車軸を回転自在に支持するアクスルキャリアと、車体側取付部から延在し前記アクスルキャリアに連結される複数のリンクと、を備えたサスペンション装置において、前記複数のリンクは、車軸に対して車両上下方向上側または下側に、車両上面視で交差する第1リンクおよび第2リンクを有し、前記第1および第2リンクが設けられている側と車軸に関して反対側の前記上側または下側に、第3リンクを有することとした。
【選択図】 図4

Description

本発明は、車輪を複数のリンクにより支持するサスペンション装置に関する。
従来、車輪を複数のリンクにより支持する独立懸架式サスペンション装置として、例えば特許文献1に開示されているように、車軸を回転自在に支持するアクスルキャリアを、車両前後方向に延在する1本のリンク(トレーリングアーム)と車両幅方向(以下、車幅方向)に延在する複数のリンクと、により支えたサスペンション装置が知られている。このサスペンション装置では、車輪に加わる車両前後方向の荷重(以下、前後力)を主にトレーリングアームで支え、車輪に加わる車幅方向の荷重(以下、横力)を主に複数のリンクで支えている。
特開平5−104921号公報
一般に、サスペンションの操縦安定性能を向上するためには、前後力に対する剛性である前後剛性、横力に対する剛性である横剛性、および車両上面視において車輪に加わる回転方向(トー方向)の荷重に対する剛性であるトー剛性、を高くする必要がある。上記形式の従来技術でも、ある程度までは上記3つの剛性を高くすることは可能である。しかし、そのためには、トレーリングアームやリンクの車体側取付部またはアクスルキャリア側取付部のブッシュ剛性を高くする必要がある。しかし、これら取付部のブッシュ剛性を高くすると、路面から車輪に入力される衝撃・振動が車体に伝わりやすくなって、乗心地や騒音・振動が悪化する。乗心地性能確保との兼ね合いから、ブッシュ剛性を高くできる上限が制限されるため、現実的には、操縦安定性を満足できるレベルまでブッシュ剛性を高くすることができない、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、車輪を複数のリンクにより支持する独立懸架式サスペンション装置において、操縦安定性能と乗心地・騒音・振動性能とを高いレベルで両立できるサスペンション装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のサスペンション装置では、車軸を回転自在に支持するアクスルキャリアと、車体側取付部から延在し前記アクスルキャリアに連結される複数のリンクと、を備えたサスペンション装置において、前記複数のリンクは、車軸に対して車両上下方向上側または下側に、車両上面視で交差する第1リンクおよび第2リンクを有し、前記第1および第2リンクが設けられている側と車軸に関して反対側の前記上側または下側に、第3リンクを有することとした。
よって、車両上面視で交差させたリンク配置の作用のみによって操縦安定性を向上し、リンク取付部のブッシュ剛性は乗心地と騒音・振動性能に最適にチューニングすることができるため、操縦安定性能と乗心地・騒音・振動性能とを高いレベルで両立することができる。
以下、本発明のサスペンション装置を実現する最良の形態を、図面に基づいて説明する。
[実施例1の構成]
図1〜図4は、本発明を車両後輪側のリアサスペンションに適用した、実施例1に係るサスペンション装置1を示す。図1はサスペンション装置1の全体斜視図であり、図2〜図4はサスペンション装置1の左輪側を示す。図2は側面図、図3は正面図、図4は平面図である。いずれも、サスペンションストローク量がゼロである中立状態を示す。右輪側は左輪側と同様の構成であるため、説明を省略する。
図1に示すように、サスペンション装置1は、車軸Aを回転自在に支持するアクスルキャリア2と、車両上下方向の荷重を弾性支持し、衝撃を吸収するストラット3と、アクスルキャリア2を車両上下方向でのみ揺動可能に車体に固定する複数のリンク41〜43およびトレーリングアーム5と、を有している。複数のリンク41〜43は、車体側取付部から車幅方向に延在し、アクスルキャリア2に取り付けられている。
図2に示すように、アクスルキャリア2は、車軸Aから放射状に延びる複数の支持部材、すなわち第1ロアリンク支持部材21と、第2ロアリンク支持部材22と、アッパリンク支持部材23と、ストラット支持部材24と、を有している。
(ストラット)
ストラット支持部材24は、車軸Aから車両下方かつ車両後方かつ車幅方向内側に延在し、その車輪W外径側の端のストラット車輪側取付部24aには、ストラット3が連結されている。ストラット3は車両上下方向に設置されており、その上端はストラット車体側取付部3aで車体に連結されている。ストラット3は、車両上下方向の荷重を支え、また衝撃を吸収するコイルスプリング31と、振動を減衰させるショックアブソーバ32と、を同軸に有している。
(アッパリンク)
アッパリンク支持部材23は、車軸Aから車両後方かつ車両上方かつ僅かに車幅方向内側に延在し、その車輪W外径側の端には、アッパリンク車輪側取付部23aが設けられている。アッパリンク43の車体側への取付部であるアッパリンク車体側取付部43aは、アッパリンク車輪側取付部23aに対して車両後方かつ略同じ高さに設けられている(図2参照)。アッパリンク43は、アッパリンク車体側取付部43aから車幅方向外側かつ車両前方に延在し、アッパリンク車輪側取付部23aに連結されている。
アッパリンク43は、後述する第1、第2ロアリンク41,42とともに、キャンバ剛性その他の剛性を担っており、第1、第2ロアリンク41,42による後述するトー剛性等その他の剛性を補完する作用を有している。
(ロアリンク)
第1ロアリンク支持部材21は、車軸Aから車両前方かつ車両下方かつ車幅方向内側に延在し、その車輪W外径側の端には、第1ロアリンク車輪側取付部21aが設けられている。第2ロアリンク支持部材22は、車軸Aから車両前方かつ車両下方かつ僅かに車幅方向内側に延在し、その車輪W外径側の端には、第2ロアリンク車輪側取付部22aが設けられている。第1ロアリンク車輪側取付部21aは、第2ロアリンク車輪側取付部22aに対して車両後方かつ車両下方かつ車幅方向内側に設けられている(図2、図3参照)。
第1、第2ロアリンク41,42の車体側への取付部である第1、第2ロアリンク車体側取付部41a、42aは、ともに車軸Aに対して車両前方かつ車両下方に設けられており、リアサスペンションメンバ6に連結されている。リアサスペンションメンバ6は、図外のラバーインシュレータを介して車体に固定されている。第1ロアリンク車体側取付部41aは、第2ロアリンク車体側取付部42aに対して、車両前方かつ車両上方かつ車幅方向外側に設けられている(図2、図3参照)。
第1ロアリンク車体側取付部41aは、第1ロアリンク車輪側取付部21aに対し車両前方かつ車両上方に設けられている。第2ロアリンク車体側取付部42aは、第2ロアリンク車輪側取付部22aに対し車両後方かつ車両下方に設けられている(図2、図3参照)。
第1ロアリンク41は、第1ロアリンク車体側取付部41aから車幅方向外側かつ車両下方かつ車両後方に延在し、第1ロアリンク車輪側取付部21aに連結されている。第2ロアリンク42は、第2ロアリンク車体側取付部42aから車幅方向外側かつ車両上方かつ車両前方に延在し、第2ロアリンク車輪側取付部22aに連結されている。よって、第1ロアリンク41および第2ロアリンク42は一点では交わらず、互いに平行でもない、いわゆる捩れの位置にあり、車両上面視において交差(以下、クロス)するように設けられている(図4参照)。
(トレーリングアーム)
トレーリングアーム5は、アクスルキャリア2を、車両上下方向に揺動可能に、車両前後方向で支持する。トレーリングアーム5は、車体側の取付部であるトレーリングアーム車体側取付部5aから車両後方かつ若干車両下方に延在し、アクスルキャリア2に連結されている。
トレーリングアーム車体側取付部5aは、車幅方向に軸が設けられた円筒形ラバーブッシュであり、トレーリングアーム5は、このブッシュ軸を中心に車両上下方向に回動可能である。本実施例1のトレーリングアーム車体側取付部5aのブッシュは、その軸方向(スラスト方向)だけでなく軸直角方向(ラジアル方向)においても剛性が低く設定されており、衝撃・振動の吸収機能が高い。
なお、トレーリングアーム5に限らず、アクスルキャリア2を車両前後方向で支持するものあれば、車両上面視で車幅方向に対して大きな角度を有して設けられたラジアスロッドやセミトレーリングアームであってもよい。
(リンク取付部)
第1、第2ロアリンク41,42の車輪側取付部21a、22aと車体側取付部41a、42a、およびアッパリンク43の車輪側取付部23aと車体側取付部43aは、それぞれ車両前後方向に軸が設けられた円筒形(内筒外筒タイプ)ラバーブッシュである。詳細には、図4に示すように、各リンク41〜43のリンク部材の軸に対して車両上面視で直角方向に、各リンク両端取付部21a,41a等のブッシュ軸が設けられている。これらのブッシュは、サスペンションリンクの取付部に用いられる一般的なものであり、その軸周り方向の捩れによりリンク揺動軸として機能すると同時に、その弾性変形および減衰作用により路面からの衝撃や振動を吸収する。
一般に、サスペンションリンク取付部のブッシュは、その軸方向(スラスト方向)よりも軸直角方向(ラジアル方向)に剛性が高い特性を有している。本実施例1のブッシュは全て、ラジアル方向においても剛性が低く設定されており、衝撃・振動の吸収機能が高い。
[実施例1の作用]
(前後剛性)
車輪Wへの車両前後方向の入力(以下、前後入力)に対する剛性である前後剛性は、制動時の車輪Wの姿勢を意図どおりに保持することにより、車両の挙動を安定させる。よって、操縦安定性能を向上するためには、前後剛性を高くすることが要求される。なお、突起乗り越し時等に車輪Wに入力される微小な前後力に対しては、略車両前後方向に軸が設けられた各リンク取付部ブッシュの軸方向撓みによって、前後コンプライアンスが確保される。
図5に、本実施例1のサスペンション装置1の車両上面視模式図を示す。車輪の回転中心であるホイルセンタ、すなわち車軸Aに前後入力F1があったときの車輪Wの変位を破線(入力前)と実線(入力後)で示す。また、前後入力F1によりサスペンション装置1に発生する力を矢印で示す。
本実施例1において、トレーリングアーム車体側取付部5aのブッシュは、乗心地性能向上のため、ラジアル方向においても剛性が低く設定されている。そのため、車輪Wに前後入力F1があると、このブッシュの撓みにより、トレーリングアーム5に連結されている車輪Wは車両前後方向に変位しうる。しかし、第1、第2ロアリンク41,42は車両上面視において交差(クロス)するように配置されているため、以下のように、上記変位が抑制される。
車輪Wに前後入力F1があると、第1、第2ロアリンク41,42の車両上面視変位により、第1、第2ロアリンク41,42の車輪側取付部21a、22aおよび車体側取付部41a、42aのブッシュが、ブッシュ軸曲げ方向に捩じられる。同時に、これらの取付部21a,22a,41a,42aにおいて、ブッシュ軸曲げ方向の剛性により、前後入力F1による上記捩り力に対する反力f1〜f4が発生する。
第1、第2ロアリンク41,42は車両上面視においてクロスしている。よって、車輪Wに前後入力F1があると、これらのリンク41,42の一方には圧縮力、他方には引張力が作用する。例えば車両前方向の入力F1があると、第1ロアリンク41には、リンク部材の軸方向(以下、リンク軸方向)に圧縮しようとする力の成分が作用する。一方、第2ロアリンク42には、リンク部材をリンク軸方向に引っ張ろうとする力の成分が作用する。同時に、第1、第2ロアリンク41、42には、そのリンク軸方向の剛性により、前後入力F1による上記力の成分に対する反力f5、f6が発生する。
前後入力F1は、上記反力f1〜f6の全体により支えられる。その中でも、リンク軸方向の剛性による反力f5、f6が支配的となるため、この反力f5、f6の分だけブッシュ剛性による反力f1〜f4が小さくなる。よって、前後入力F1に対する剛性全体に占めるブッシュ剛性の寄与分が小さくなる。言い換えると、前後入力F1の大部分は、リンク剛性による反力f5、f6により受け止められ、その結果、ブッシュの捩り力およびその反力f1〜f4が小さくなる。したがって、ブッシュの弾性変形量が小さくなり、車輪Wの車両前後方向の変位量が少ない。
このように、第1、第2ロアリンク41,42が車両上面視においてクロスしていることにより、前後剛性は、ブッシュ剛性によってではなく、リンク部材の軸方向の圧縮・引張に対するリンク軸方向剛性によって確保される。
(横剛性およびトー剛性)
横力に対する剛性である横剛性、およびトー方向荷重に対するトー剛性は、旋回時の車輪の姿勢を意図どおりに保持することにより、車両の挙動を安定させる。よって、操縦安定性能を向上するためには、横剛性およびトー剛性を高くすることが要求される。本実施例1のように、車両前後方向に延在するトレーリングアームと車幅方向に延在する複数のリンクと、により車輪を支える形式のサスペンション装置においては、横剛性およびトー剛性を主に複数のリンクで担当している。
トレーリングアームを有する本形式のサスペンション装置においては、後述するように、横力入力時にも車輪回転中心に車両前後方向の入力が発生し、横力に対して車両前後方向およびトー方向の変位を生じる。
本実施例1のサスペンション装置1は、第1、第2ロアリンク41,42を車両上面視でクロスさせているため、上記のように前後剛性が高い。横力により発生する車両前後方向およびトー方向の変位に対して、ブッシュ剛性に加えてリンク軸方向剛性が反力を発生することになる。このように、上記形式のサスペンション装置においては、前後剛性が、横力に対する剛性(具体的には横剛性、トー剛性)に対しても影響を及ぼすことになるところ、本実施例1では前後剛性が高いため、結果的に、横剛性およびトー剛性も高くなる。
なお、車輪Wの接地点に入力される前後力および横力の大部分は、車軸Aに対して車両下方に設けられた第1、第2ロアリンク41,42に作用する。本実施例1では、第1、第2ロアリンク41,42をクロスさせているため、ブッシュ剛性によらずリンク軸方向剛性によって前後剛性および横剛性・トー剛性を向上させる上記作用が、より効果的に得られる。
[従来技術との対比における本実施例1の作用効果]
サスペンション装置に要求される性能として、操縦安定性能と騒音・振動性能がある。操縦安定性能を向上するためには、前後剛性、横剛性およびトー剛性を高くすることが要求される。一方、騒音・振動性能といった乗心地性能を向上するためには、サスペンション装置において、車輪に加わる路面入力を、車体側部材へ伝達しにくい特性とすることが要求される。具体的には、サスペンションリンクと、アクスルキャリアまたは車体側部材との連結部のブッシュの剛性を小さくすることが要求される。
例えば、特許文献1に記載のような、1本のアッパリンクと2本の平行なロアリンクを有するトレーリングアーム式サスペンション装置(以下、従来技術)では、操縦安定性能と乗心地性能をともに上記ブッシュ剛性の調整により達成しようとしているため、これらの性能を充分に両立できない。すなわち、操縦安定性能を左右する前後剛性、横剛性、トー剛性を高くするためには、ブッシュの剛性を高くすることになるが、ブッシュ剛性を高くすると、騒音・振動性能は悪化する。したがって、操縦安定性能と騒音・振動性能とが共にブッシュ剛性で左右される従来技術では、上記2つの性能を両立することができない。
以下、従来技術において、ロアリンク両端取付部のブッシュ剛性およびトレーリングアーム車体側取付部のブッシュ剛性を、本実施例1と同様に低く設定した場合を考える。
(従来技術における前後剛性)
図6に、従来技術のサスペンション装置の車両上面視模式図を示す。ホイルセンタに本実施例1と同じ大きさの前後入力F1(図5参照)があったときの車輪の変位を破線(入力前)と実線(入力後)で示す。また、前後入力F1によりサスペンション装置1に発生する力を矢印で示す。
車輪に前後入力F1があると、ロアリンクの車両上面視での変位により、ロアリンクの車輪側および車体側取付部のブッシュが、ブッシュ軸曲げ方向に捩じられる。同時に、これらの取付部において、ブッシュ軸曲げ方向の剛性により、前後入力F1による上記捩り力に対する反力f1'〜f4'が発生する。
従来技術では、2本のロアリンクが車両上面視でクロスせずに、車幅方向に並んで配列されている。このため、これらのロアリンクには、前後入力F1によってリンク軸方向に圧縮力および引張力が発生することがない。2本のロアリンクは、互いに略平行な位置関係を保ったまま車体側取付部を中心に回転移動しうる。
よって、ロアリンクには、リンク部材の軸方向剛性による反力は発生しない。前後入力F1はすべて、ブッシュ剛性による反力f1'〜f4'により受け止められる。すなわち、前後入力F1に対する反力は、ブッシュ剛性が発生する。その結果、ブッシュの捩り力およびその反力f1'〜f4'が大きくなる。したがって、ブッシュの弾性変形量、すなわちロアリンクの変位量が大きく、車輪の車両前後方向の変位量が大きい。
このように、従来技術では、本実施例1と同様に低い剛性のブッシュを用いた場合において、本実施例1と同じ大きさの前後入力F1があったとき、車輪の車両前後方向の変位量が本実施例1よりも大きく、したがって前後剛性が低い。本実施例1のサスペンション装置1が同様の場合に発生させるリンク反力f5、f6の分だけ、本実施例1よりも低い前後剛性しか得ることができない。言い換えると、車輪の車両前後方向の変位量を本実施例1と同様に小さくして前後剛性を高めるためには、本実施例1よりも高い剛性のブッシュを用いる必要がある。
(従来技術における横剛性およびトー剛性)
図7に、従来技術のサスペンション装置の車両上面視模式図を示す。車輪に横力F2が入力されたときの車輪の変位を破線(入力前)と実線(入力後)で示す。
トレーリングアームと複数のリンクとを有する本形式のサスペンション装置においては、車輪に横力F2が入力されると、構造的に車両前後方向およびトー方向の車輪の変位が生じうる。車輪接地点に横力が入力されると、トレーリングアーム車体側取付部のブッシュの撓み(およびトレーリングアームそれ自体の曲げ変形)により、トレーリングアームが上記取付部を中心に車両上面視で円弧を描くように若干回転移動する。
トレーリングアームの上記回転移動に伴い、トレーリングアームに連結されている車輪はトー方向に、言い換えると、車幅方向に加えて、車両前後方向にも変位する。さらに、リンク取付部やトレーリングアーム取付部のブッシュの撓みも加わることにより、その変位の傾向はより大きくなる。
このように、上記形式のサスペンション装置においては、横力F2に対して、車幅方向だけでなく、トー方向および車両前後方向の変位を生じる。従来技術では、2本のロアリンクが車両上面視でクロスせずに、車幅方向に並んで配列されている。このため、これらのロアリンクには、横力F2により生じる前後方向の変位によってリンク軸方向に圧縮力および引張力が発生することがない。
よって、ロアリンクには、上記圧縮力および引張力に対応する、リンク部材の軸方向剛性による反力は発生しない。したがって、ブッシュの弾性変形量、すなわちロアリンクの変位量が大きく、横力F2の入力によるトー方向および車両前後方向の車輪の変位量が大きい。その結果として、横剛性およびトー剛性が低くなる。
このように、従来技術では、本実施例1と同様に低い剛性のブッシュを用いた場合において、本実施例1と同じ大きさの横力F2が入力されたとき、車輪の車両前後方向の変位量が本実施例1よりも大きく、したがって横剛性およびトー剛性が低い。本実施例1のサスペンション装置1が同様の場合に発生させるリンク反力の分だけ、本実施例1よりも低い上記剛性しか得ることができない。言い換えると、車輪のトー方向および車両前後方向の変位量を本実施例1と同様に小さくして横剛性を高めるためには、本実施例1よりも高い剛性のブッシュを用いる必要がある。
(本実施例1における剛性)
従来技術が、前後剛性、横剛性、トー剛性すべてにおいて、ブッシュ剛性だけで反力を発生しているのに対して、本実施例1は、上記のように、前後入力F1および横力F2に対して、ブッシュ剛性による反力f1〜f4に加えて、リンク軸方向剛性による反力f5,f6を発生させる。上記3つの剛性すべてにおいて、リンク軸方向剛性による分担があるため、ブッシュ剛性が分担する割合が小さくなり、ブッシュの変形量が小さくなる。すなわち、柔らかいブッシュを用いた場合でも、高い前後剛性等を確保できる。
(実験結果)
図8は、本実施例1および従来技術における、ブッシュ剛性と横剛性(トー剛性を含む。以下、同様)との関係を示す実験結果のグラフである。縦軸は、横剛性を示す。横軸は、路面から車輪に入力され、車体に伝えられる衝撃や振動の代表値であるロードノイズの大きさを示す。リンク取付部のブッシュ剛性を高くすると、ロードノイズが大きくなって乗心地や騒音・振動が悪化する。ブッシュ剛性を低くすると、ロードノイズが小さくなって乗心地や騒音・振動が向上する。
従来技術および本実施例1のグラフは、ともに右下がりであり、ブッシュ剛性を低くしてロードノイズを小さくするほど、横剛性が低くなって操縦安定性が悪化する。一方、横剛性を高くして操縦安定性を向上させるようとすると、ブッシュ剛性を高くする必要があり、ロードノイズが大きくなる。すなわち、これらのグラフはトレードオフの関係を示している。
本実施例1のグラフは、従来技術のグラフよりも上側に位置している。すなわち、ロードノイズ(ブッシュ剛性)が同一の場合、横剛性は、本実施例1のほうが従来技術よりも高い。また、横剛性が同一の場合、ロードノイズ(ブッシュ剛性)は、本実施例1のほうが従来技術よりも小さい(低い)。言い換えると、本実施例1のサスペンション装置1は、操縦安定性能と乗心地性能とのトレードオフ関係を解消し、両性能を高いレベルで同時に実現している。
(リンク配置による作用効果)
一般的にトー剛性を高くするためには、車両上面視において、車軸に対して車両前方に配置したリンクと、車軸に対して車両後方に配置したリンクとの間の距離を幅広くとり、それぞれのリンク取付部のブッシュ剛性を高くすることが行われている。本実施例1の場合、クロスさせた第1、第2ロアリンク41,42を車軸Aに対して車両前方に配置することで従来機能を実現し、さらにアッパリンク43で補うという方法をとっている。
すなわち、第1、第2ロアリンク41,42をクロスさせることにより、リンク取付部21a,22a,41a,42aに柔らかいブッシュを用いつつ、トー剛性を確保している。このようにクロスさせた場合には、第1ロアリンク車体側取付部41aと第2ロアリンク車体側取付部42aとの間の距離、または第1ロアリンク車輪側取付部21aと第2ロアリンク車輪側取付部22aとの間の距離は、トー剛性に関与しない。
よって、クロスさせた第1、第2ロアリンク41,42を1つのコンポーネントとして扱うことが可能である。すなわち、単独でトー剛性その他の剛性を確保する機能を有する1つの単位として両リンク41,42をまとめて扱い、これを車軸Aに対して車両前方に配置しつつ、トー剛性を確保している。また、上記コンポーネントのみではトー剛性を十分に確保できない場合に備えて、車軸Aに対して車両後方に配置したアッパリンク43で補っている。この場合、アッパリンク43の車体側および車輪側取付部23a,43aのブッシュ剛性を高くする必要がないことは言うまでもない。
なお、クロスさせた第1、第2ロアリンク41,42を車軸Aに対して車両後方に配置し、かつアッパリンク43を車軸Aに対して車両前方に配置することとしてもよい。
このように、トー剛性を高くするために第1、第2ロアリンク41,42を車両前後方向に車軸Aを跨いで幅広く配置する必要がない。すなわち、トー剛性その他の剛性を確保する機能を有する1つの単位、すなわちコンポーネントとして、第1、第2ロアリンク41,42をまとめて扱うことができる。よって、剛性に必要なリンク(またはコンポーネント)の数を少なくしつつ、レイアウト自由度を向上できる。
また、第1、第2ロアリンク41,42をクロスさせているため、車幅方向の寸法を短くコンパクトにすることができる。通常、リンクの車幅方向の寸法を短くした場合には、サスペンションストローク時のホイルアライメント(車輪の姿勢や位置)が悪化し、例えば車輪接地点の車幅方向の変位(スカッフ変化)が大きくなる。しかし、第1、第2ロアリンク41,42をクロスさせているため、車幅方向の寸法を短くした場合であっても、第1、第2ロアリンク41,42の実際の寸法を長く確保できる。このため、サスペンションストローク時に、第1、第2ロアリンク車輪側取付部21a、22aの車幅方向の変位が抑制される。これにより、サスペンションストローク時のスカッフ変化等が抑制される。
したがって、操縦安定性を確保しつつ、第1、第2ロアリンク41,42の車幅方向の寸法を短くコンパクトにすることでスペースを節約し、レイアウト自由度を向上できる。これにより、低床化が可能となり、また荷台スペースが確保される。
[実施例1の効果]
以下、実施例1から把握される、本発明のサスペンション装置1が有する効果を列挙する。
(1)車軸Aを回転自在に支持するアクスルキャリア2と、車体側取付部から延在しアクスルキャリア2に連結される複数のリンクと、を備えたサスペンション装置1において、上記複数のリンクは、車軸Aに対して車両上下方向上側または下側に、車両上面視で交差する第1および第2リンク(第1、第2ロアリンク41,42)を有し、上記第1および第2リンクが設けられている側と車軸Aに関して反対側の上記上側または下側に、第3リンク(アッパリンク43)を有することとした。
よって、従来技術が、前後剛性、横剛性、トー剛性すべてにおいて、ブッシュ剛性だけで反力を発生しているのに対して、本発明では、上記3つの剛性すべてにおいて、車両上面視でクロスさせた第1および第2リンク(第1、第2ロアリンク41,42)のリンク軸方向剛性による分担があるので、その分だけリンク取付部のブッシュ剛性の分担を小さくすることができる。よって、上記3つの剛性を確保しつつ、ブッシュ剛性を低くすることができ、その分だけ騒音・振動性能を向上することができる。したがって、従来技術に比べて、操縦安定性能と騒音・振動性能とをより高いレベルで両立することができる、という効果を有する。
また、操縦安定性能を確保しつつ、第1および第2リンク(第1、第2ロアリンク41,42)を1つのコンポーネントとしてまとめ、その車幅方向の寸法を短くコンパクトにすることでスペースを節約し、レイアウト自由度を向上できる、という効果を有する。
(2)上記第1および第2リンクは、車軸Aに対して車両上下方向下側に配置される第1、第2ロアリンク41,42であることとした。
車輪Wの接地点に入力される前後力および横力の大部分は、車軸Aに対して車両上下方向下側に設けられた第1、第2ロアリンク41,42に作用する。入力の大部分がある第1、第2ロアリンク41,42をクロスさせることにより、上記(1)の効果をより効率よく発揮できる、という効果を有する。
(3)上記第1および第2リンク(第1、第2ロアリンク41,42)は、車軸Aに対して車両前後方向前側または後側に配置されることとした。
よって、剛性を確保するために必要なリンク(またはコンポーネント)の数を少なくしつつ、レイアウト自由度を向上できる、という効果を有する。
(4)上記第3リンク(アッパリンク43)は、上記第1および第2リンク(第1、第2ロアリンク41,42)が設けられている側と車軸Aに関して反対側の車両前後方向前側または後側に配置されることとした。
このように、アッパリンク43を、第1、第2ロアリンク41,42が設けられている車両前後方向前側と車軸Aに関して反対側である(車軸Aに対して)車両前後方向後側に配置することにより、トー剛性を充分に確保できる、という効果を有する。
(5)上記複数のリンクは、車体側取付部5aから車両後方に延在し前記アクスルキャリア2に連結されるトレーリングアーム5を有することとした。
よって、トレーリングアームを有するリアサスペンションにリンクをクロスさせる構成を適用した場合、上記(1)〜(4)の効果が得られる。
実施例2のサスペンション装置は、実施例1と同様、リンクを車両上面視でクロスさせることで、サスペンションの前後剛性等を確保しつつ、ブッシュ剛性を低くして騒音・振動性能を向上する。しかし、実施例1と異なり、リアサスペンションではなく前輪側のフロントサスペンションに適用され、特にサスペンションストローク時のホイルアライメント変化を抑制する。
すなわち、フロントサスペンションは、一般に、操舵する機構を併せ持っているが、操舵感はその時々のキャンバ角やキャスタ角等のホイルアライメント変化で敏感に変化する。これまで、ホイルアライメント変化を少なくするジオメトリ(サスペンションリンクの幾何学的配置)を予め設計することが行われてきたが、様々な走行シチュエーションに対応することが困難だった。本実施例2では、リンクをクロスさせる構成をフロントサスペンションに適用することで、車輪のバウンド・リバウンドのどの領域にあってもホイルアライメント変化を最小にする、いわば走行シチュエーション・ロバストなサスペンション装置を説明する。
[実施例2の構成]
図9〜図12は、本発明をフロントサスペンションに適用した、実施例2に係るサスペンション装置1を示す。図9はサスペンション装置1の全体斜視図であり、図10〜図12はサスペンション装置1の左輪側を示す。図10は正面図、図11は側面図、図12は平面図である。いずれも、サスペンションストローク量がゼロである中立状態を示す。右輪側は左輪側と同様の構成であるため、説明を省略する。
図9に示すように、サスペンション装置1は、車軸Aを回転自在に支持するアクスルキャリア2と、車両上下方向の荷重を弾性支持し、衝撃を吸収するストラット3と、アクスルキャリア2を車両上下方向でのみ揺動可能に車体に固定する複数のリンク45〜48と、を有している。複数のリンク45〜48は、車体側取付部から延在し、アクスルキャリア2に取り付けられている。
(ストラット)
ストラット3は車両上下方向に設置されており、その上端はストラット車体側取付部3aで車体に連結される一方、その下端は後述する第1、第2ロアリンク45,46のいずれか又は両方に設置されることでアクスルキャリア2に連結されている。ストラット3は、車両上下方向の荷重を支え、また衝撃を吸収するコイルスプリング31と、振動を減衰させるショックアブソーバ32と、を同軸に有している。図10、図11に示すように、ストラット3は上端側が車幅方向内側および車両後方に傾いており、図外の荷重入力軸と略平行に設置されている。
図10、図11に示すように、アクスルキャリア2は、車軸Aから放射状に延びる複数の支持部材、すなわちロアリンク支持部材25と、ナックルアーム26と、第1アッパリンク支持部材27と、第2アッパリンク支持部材28と、を有している。
(ロアリンク)
ロアリンク支持部材25は、車軸Aから車両下方かつ僅かに車幅方向内側に延在し、その車輪W外径側の端には、全方向回転可能なボールジョイントであるロアリンク車輪側取付部25aが設けられている。
第1、第2ロアリンク45,46の車体側への取付部である第1、第2ロアリンク車体側取付部45a、46aは、実施例1と同様の円筒形ラバーブッシュであり、それぞれ車両前後方向に軸が設けられている。第1、第2ロアリンク車体側取付部45a、46aは、図外のサスペンションメンバに連結されており、このサスペンションメンバは、図外のラバーインシュレータを介して車体に固定されている。
第1ロアリンク車体側取付部45aは、車軸Aに対して車両下方、かつ車軸Aに対して僅かに車両前方に設けられている。第2ロアリンク車体側取付部46aは、車軸Aに対して車両下方、かつ車軸Aに対して車両後方に設けられている。第1ロアリンク車体側取付部45aは、第2ロアリンク車体側取付部46aに対し車両上下方向および車幅方向で略同じ位置に設けられている(図11、図12参照)。
第1、第2ロアリンク車体側取付部45a、46aは、ロアリンク車輪側取付部25aと車両上下方向で略同じ位置に設けられている。第1ロアリンク車体側取付部45aは、ロアリンク車輪側取付部25aに対し僅かに車両前方に設けられている。第2ロアリンク車体側取付部46aは、ロアリンク車輪側取付部25aに対し車両後方に設けられている(図10、図11参照)。
第1ロアリンク45は、第1ロアリンク車体側取付部45aから車幅方向外側に延在し、ロアリンク車輪側取付部25aに連結されている。第2ロアリンク46は、第2ロアリンク車体側取付部46aから車幅方向外側かつ車両前方に延在し、ロアリンク車輪側取付部25aに連結されている。(図12参照)。
(アッパリンク)
第1アッパリンク支持部材27は、車軸Aから車両後方かつ車両上方かつ車幅方向内側に延在し、その車輪W外径側の端には、ボールジョイントである第1アッパリンク車輪側取付部27aが設けられている。第2アッパリンク支持部材28は、車軸Aから車両前方かつ車両上方かつ車幅方向内側に延在し、その車輪W外径側の端には、ボールジョイントである第2アッパリンク車輪側取付部28aが設けられている。第1アッパリンク車輪側取付部27aは、第2アッパリンク車輪側取付部28aに対して車両後方、かつ車両上下方向で略同じ位置、かつ車幅方向で若干内側に設けられている(図11、図12参照)。また、第1、第2アッパリンク車輪側取付部27a、28aは、車両上下方向で車輪Wの内側に設けられている。
第1、第2アッパリンク47,48の車体側への取付部である第1、第2アッパリンク車体側取付部47a、48aは、実施例1と同様の円筒形ラバーブッシュであり、それぞれ略車両前後方向に軸が設けられている。詳細には、第1、第2アッパリンク車体側取付部47a、48aのブッシュ軸は、車両上面視ではリンク軸方向に対して直角に設けられ(図12参照)、車両側面視では第1アッパリンク車体側取付部47aについては僅かに左下がり、第2アッパリンク車体側取付部48aについては僅かに右下がりに設けられている(図11参照)。
第1アッパリンク車体側取付部47aは、車軸Aに対して僅かに車両上方かつ車両前方に設けられている。第2アッパリンク車体側取付部48aは、車軸Aに対して車両上方かつ車両後方に設けられている。第1アッパリンク車体側取付部47aは、第2アッパリンク車体側取付部48aに対して車両下方かつ僅かに車幅方向内側に設けられている(図10、図11参照)。
第1アッパリンク車体側取付部47aは、第1アッパリンク車輪側取付部27aに対して車両前方かつ車両下方に設けられている。第2アッパリンク車体側取付部48aは、第2アッパリンク車輪側取付部28aに対し車両後方かつ僅かに車両下方に設けられている(図10、図11参照)。
第1アッパリンク47は、第1アッパリンク車体側取付部47aから車幅方向外側かつ車両上方かつ車両後方に延在し、第1アッパリンク車輪側取付部27aに連結されている。第2アッパリンク48は、第2アッパリンク車体側取付部48aから車幅方向外側かつ僅かに車両上方かつ車両前方に延在し、第2アッパリンク車輪側取付部28aに連結されている。よって、第1アッパリンク47および第2アッパリンク48は、車両上面視において互いに交差(クロス)するように設けられている(図12参照)。
(ステアリング・リンク機構)
ナックルアーム26は、車軸Aから車両後方かつ車両下方かつ車幅方向内側に延在し、その車輪W外径側の端には、ボールジョイントであるタイロッド取付部26aが設けられている。タイロッド取付部26aは、ロアリンク車輪側取付部25aに対して僅かに車両下方、かつ僅かに車幅方向内側に設けられている(図10参照)。タイロッド取付部26aには、ステアリング装置7のリンク機構の一部を構成するタイロッド44が連結されている。
ステアリング装置7は、ラック・ピニオン型であり、ステアリングホイールSWが操舵されると、その回転がラック7aの車幅方向の移動に変換される周知のものである(図9参照)。ラック7aの端には連結部44aが設けられており、連結部44aにはタイロッド44の車幅方向内側の端が連結されている。よって、ラック7aの移動とともにタイロッド44が車幅方向に移動する。また、タイロッド44は、連結部44aを中心として車両上下方向に揺動可能に設けられている。タイロッド44の車幅方向外側の端は、タイロッド取付部26aを介してナックルアーム26に連結されている。
連結部44aは、タイロッド取付部26aに対して僅かに車両前方、かつ車両上下方向で略同じ位置に設けられている。また、連結部44aは、第1ロアリンク車体側取付部45aに対して僅かに車両下方かつ車幅方向で略同じ位置に設けられている(図10、図11参照)。よって、タイロッド44は、第1ロアリンク45よりも若干短く、かつ第1ロアリンク45と略平行に設けられている。タイロッド44は、その車幅方向の移動により後述のキングピン軸を中心に車輪W(アクスルキャリア2)をトー方向に回転させる。
なお、車輪W(アクスルキャリア2)がトー方向に回転する際、第1、第2アッパリンク車体側取付部47a、48aのブッシュ撓みや、アクスルキャリア2の車軸周り方向の微小回転等により、第1、第2アッパリンク47,48が適宜変位し、第1、第2アッパリンク車輪側取付部27a、28aの微小な車幅方向変位が許容される。このため、第1、第2アッパリンク車輪側取付部27a、28aの車両前後方向の幅を適宜設定すれば、第1、第2アッパリンク47,48をクロスさせることによる転舵の支障はない。
[実施例2の作用]
サスペンションストローク時のキャンバ角やキャスタ角等のホイルアライメントの変化は、主にサスペンションリンクやアームのジオメトリにより条件付けられる。すなわち、ジオメトリが、転舵時の車輪のトー方向回転軸、すなわちキングピン軸(仮想のキングピン軸を含む。以下、同様。)を決定する。そして、サスペンションストローク中、キングピン軸の位置や傾きが変化すると、ホイルアライメントの変化をもたらし、これが操縦安定性能に影響を及ぼす。
以下、アッパリンク側およびロアリンク側でそれぞれ転舵時の車輪のトー方向回転中心となる点をアッパ側およびロア側のピボット点という。従来、キングピン軸を設定する方法として、A型アーム部材をアッパ側およびロア側に用いた場合では、ピボット点となるアッパ側およびロア側の車輪側取付部を結ぶ直線をキングピン軸とする方法がある。また、A型アーム部材を分割した2つのリンク部材をアッパ側又はロア側に用いた場合では、この2つのリンク部材の延長線上の交点を仮想ピボット点とし、この車幅方向外側に作成された仮想ピボット点と他のピボット点を結ぶ直線をキングピン軸とする方法がある。後者の方法は、転舵時に車輪がトー方向に回転する際、上記延長線上の交点がアッパ側又はロア側での車輪の瞬間回転中心となることを利用したものである。
上記いずれの方法でも、アッパ側およびロア側の各ピボット点は、車体側のリンク(アームを含む。以下、同様。)揺動軸を中心として円弧を描くように回転する。アッパ側およびロア側のそれぞれで、リンク揺動軸(またはリンクの弾性中心。以下、同様)とピボット点とを最短距離で結ぶ線分により仮想のアッパ側およびロア側リンクを考えると、上記仮想リンクの長さや傾きや揺動方向等がアッパ側とロア側とで異なる。さらに、後者の方法では、仮想ピボット点となるリンク延長線交点は、サスペンションストローク時に車両前後方向に動きやすくなる。これらに起因して、サスペンションストローク中、キングピン軸の位置や傾きに変化が生じる。このキングピン軸の変化により、スクラブ半径やキャスタ角等が変化する。
通常は、こうしたホイルアライメント変化の最適化を図るため、アッパ側およびロア側の(実際の)リンクの長さや傾き等のジオメトリを工夫する。しかし、サスペンションストローク中のアッパ側またはロア側のピボット点の軌跡をコントロールすることはしない。すなわち、ピボット点の軌跡自体を調整することなく、リンクの長さや傾き等を調整することで、上記諸特性の最適化を図る。このため、限られたスペース等の様々な制約条件の下、何らかの性能を犠牲にすることなしに上記諸特性を同時に最適化することは困難だった。
上記問題に対し、本実施例2のサスペンション装置は、車両上面視でリンクを交差させて車幅方向内側に作った仮想ピボット点の軌跡を、他のピボット点の軌跡に追従させるように予め調整する。これにより、サスペンションストローク時のキングピン軸の変化を抑制し、ホイルアライメント変化を少なくする。以下、具体的に説明する。
(キングピン軸とホイルアライメント)
ステアリングホイールSWが操舵され、タイロッド44が車幅方向に移動すると、アクスルキャリア2(車輪W)がトー方向に回転する。ロア側では、アクスルキャリア2がロアリンク車輪側取付部25aを中心に回転する。よって、ロアリンク車輪側取付部25aがロア側のピボット点Bとなる。
一方、第1、第2アッパリンク47、48は、車両上面視でクロスしている。よって、第1、第2アッパリンク47、48は一点では交わらず、互いに平行でもない、いわゆる捩れの位置にある。第1、第2アッパリンク47、48の間の距離が最短である線分の中点Cが、アッパ側のピボット点である。すなわち、アッパ側では、点Cがアクスルキャリア2の車両上面視における瞬間回転中心となる。したがって、ロア側ピボット点Bとアッパ側ピボット点Cを結ぶ直線が、キングピン軸Lとなる。
図10に示すように、車両正面視でキングピン軸Lと垂直線Vにより形成される角がキングピン傾角αであり、垂直線Vと車輪中心線Mにより形成される角が(対地面)キャンバ角βである。また、キングピン軸Lの延長線と地面が交わる点Qと、車輪Wの接地点Pとの間の車幅方向距離がスクラブ半径Sであり、キングピン軸LとホイルセンタOとの間の車幅方向距離がキングピン・オフセットRである。
また、図11に示すように、車両側面視でキングピン軸Lと垂直線Vにより形成される角がキャスタ角γである。そして、点Pと点Qとの間の車両前後方向距離が、キャスタトレールTである。なお、垂直線Vは、ホイルセンタOと接地点Pとを結ぶ直線で与えられる。
以下、転舵量がゼロのときを例にとって、サスペンションストローク時の作用を説明する。
(アッパ側ピボット点の設定)
図10〜12に示すように、第1、第2アッパリンク47、48は捩れの位置にあり、第1、第2アッパリンク47、48の長さや傾きは相違する。よって、サスペンションストローク時、第1、第2アッパリンク47、48の回転位相は相違し、回転差が生じることになる。すなわち、サスペンションストローク時、車体側および車輪側への取付位置に応じて第1、第2アッパリンク47、48の相対位置関係(捩れ関係)は刻々と異なってくる。よって、第1、第2アッパリンク47、48の間の距離が最短となる線分の中点(アッパ側ピボット点C)も刻々と変化する。
言い換えれば、アッパ側ピボット点Cがサスペンションストロークの各時点で描く軌跡は、第1、第2アッパリンク車体側取付部47a、48aを結んで形成されるリンク揺動軸を中心とした円弧状とはならない。その代わりに、第1、第2アッパリンク47、48のクロスのさせ方に応じた所定の軌跡を描く。本実施例2では、アッパ側ピボット点Cの軌跡が、ロア側ピボット点Bの軌跡に追従するように、第1、第2アッパリンク47、48のクロス配置(リンク長や傾き、取付位置)を設定する。
なお、ロア側ではタイロッド44がアクスルキャリア2に連結されており、サスペンションストローク時に、タイロッド44も第1、第2ロアリンク45、46と一緒に車両上下方向に揺動する。よって、ロア側ピボット点B(ロアリンク車輪側取付部25a)の軌跡は、第1、第2ロアリンク車体側取付部45a、46aを結んで形成されるリンク揺動軸を中心とした円弧を忠実に描くわけではなく、タイロッド44の配置や、その他第1、第2ロアリンク車体側取付部45a、46aのブッシュ剛性等とのバランスで決定される。
よって、このようなロア側ピボット点Bの軌跡をあらかじめ考慮した上で、この軌跡に追従するように、すなわちアッパ側およびロア側のピボット点B,Cを結んで形成されるキングピン軸Lがホイルアライメントの変化を最小とするように、アッパ側ピボット点Cの軌跡(第1、第2アッパリンク47、48のクロス配置)を設定する。なお、この設定はシミュレーション等により行うことができる。以下、このように設定されたときのホイルアライメント変化抑制作用を、キングピン傾角α、キャンバ角β、キャスタ角γ、およびキャスタトレールTを例にとって説明する。
(キングピン傾角変化の抑制)
図13は図10と同様の図であり、サスペンションストローク時(バウンド時)のリンク位置を破線で示す。図13に示すように、バウンド時、アッパ側ピボット点Cの車幅方向変位量とロア側ピボット点Bの車幅方向変位量は略等しい。よって、アッパ側ピボット点C'とロア側ピボット点B'とを結んで形成されるキングピン軸L'は、サスペンションストローク量がゼロの時のキングピン軸Lと略平行である。言い換えると、バウンド時のキングピン傾角α'と、サスペンションストローク量がゼロの時のキングピン傾角αとの差は小さく、キングピン傾角αの変化が抑制される。よって、キングピン軸Lの延長線と地面が交わる点Qと、車輪Wの接地点Pとの間の車幅方向距離(スクラブ半径S)や、キングピン軸LとホイルセンタOとの車幅方向距離(キングピン・オフセットR)の変化も抑制される。
(キャンバ角変化の抑制)
一般に、フロントサスペンションでは、レイアウトの観点から、アッパリンクの長さはロアリンクよりも短く設定される。本実施例2では、第1、第2アッパリンク47,48をクロスさせることで、第1、第2アッパリンク47,48の車幅方向寸法を短く維持すると同時に、その実際の長さを十分に確保している。よって、サスペンションストローク時にアッパ側のほうがロア側よりも車幅方向内側に引き込まれてキャンバ角がネガティブ側に大きく変化する問題を回避しつつ、所望の(対地面)キャンバ特性を確保できる。すなわち、サスペンションストローク中、キャンバ角βの変化を抑制しつつ、第1、第2アッパリンク47,48の車幅方向の寸法を短くコンパクトにすることでスペースを節約でき、レイアウト自由度を向上できる。
図14は、本実施例2および従来例の、サスペンションストローク時のキャンバ角変化を示すグラフである。従来例は、本実施例2と同様、ロア側およびアッパ側にそれぞれリンク(又はアーム)を有するフロントサスペンション装置である。しかし、本実施例2とは異なり、ロア側又はアッパ側で、2本のリンクをクロスさせて配置していない。
図14の縦軸はサスペンションストローク量を示し、バウンド時を正、リバウンド時を負の値で表す。横軸はキャンバ角変化量を示す。図14に示すように、従来例ではサスペンションストローク量に対するキャンバ角変化量が大きいのに対し、本実施例2では、サスペンションストローク量に対するキャンバ角変化量が小さい。
(キャスタ角およびキャスタトレール変化の抑制)
図15は図11と同様の図であり、サスペンションストローク時(バウンド時)のリンク位置および地面を破線で示す。図15に示すように、バウンド時、アッパ側ピボット点Cの車両前後方向変位量とロア側ピボット点Bの車両前後方向変位量は略等しい。よって、アッパ側ピボット点C'とロア側ピボット点B'とを結んで形成されるキングピン軸L'は、サスペンションストローク量がゼロの時のキングピン軸Lと略平行である。言い換えると、サスペンションストローク時のキャスタ角γ'と、サスペンションストローク量がゼロの時のキャスタ角γとの差は微小である。よって、サスペンションストローク中、キャスタ角γの変化は抑制される。
また、サスペンションストローク時に、キングピン軸L'の延長線と地面が交わる点Q'と、車輪の接地点P'との間の距離であるキャスタトレールT'は、サスペンションストローク量がゼロの時のキャスタトレールTと略同じであり、その差は微小である。よって、サスペンションストローク中、キャスタトレールTの変化は抑制される。
図16は、本実施例2および従来例の、サスペンションストローク時のキャスタトレール変化を示すグラフである。図16の従来例は、図14の従来例と同様である。図16の縦軸はキャスタトレールを示し、車輪の接地点よりも車両前方にキングピン軸と地面との交点が位置するときを正の値とする。横軸はサスペンションストローク量を示し、バウンド時を正、リバウンド時を負の値で表す。図16に示すように、従来例ではサスペンションストローク量が変化するのに応じてキャスタトレールが変化するのに対し、本実施例2では、サスペンションストロークの全領域にわたってキャスタトレールが略一定であり、その変化量が小さい。
(スカッフ変化抑制)
一般に、フロントサスペンションでは、レイアウトの観点から、アッパリンクの長さはロアリンクよりも短く設定される。本実施例2では、第1、第2アッパリンク47,48をクロスさせてアッパリンクの車幅方向寸法を短く維持すると同時に、クロスさせて作成したアッパ側ピボット点Cのサスペンションストローク時の車幅方向変位量が少ない。よって、第1、第2ロアリンク45、46の車幅方向寸法を長くしてサスペンションストローク時のスカッフ変化を抑制しつつ、アッパ側ピボット点Cをロア側ピボット点Bに追従させてキングピン軸Lの傾きを一定とすることができる。よって、操縦安定性を確保しつつ、第1、第2アッパリンク47,48の車幅方向の寸法を短くコンパクトにすることでスペースを節約でき、レイアウト自由度を向上できる。
(クロスさせることの利点)
なお、アッパリンクをクロスさせずにその延長線の交点を仮想ピボット点とし、その軌跡をロア側の(仮想)ピボット点の軌跡と近似させるように制御することも考えられる。しかし、本実施例2のようにリンクをクロスさせたポイントを仮想ピボット点としたほうが、サスペンションストロークに対する仮想ピボット点の変位が小さくなる。したがって、仮想ピボット点の位置に起因する上記諸性能(キングピン傾角、キャスタトレール等)を安定して発揮することができる。
また、リンクをクロスさせずにその延長線の交点を仮想ピボット点とした場合、仮想ピボット点は車幅方向外側に形成されることとなる。このときキングピン軸も車幅方向外側に形成されることとなり、キングピン軸とホイルセンタとの車幅方向距離(キングピン・オフセット)が大きくなるおそれがある。一般に、この距離(キングピン・オフセット)が大きいほどサスペンションの振動が大きくなることが知られている。これに対し、本実施例2のようにリンクをクロスさせた場合、キングピン軸を車幅方向内側に形成できるため、上記のような問題を解消できる。
さらに、仮にリンクをクロスさせずに仮想ピボット点を(車輪の中心線よりも)車幅方向内側に形成できたときでも、その仮想ピボット点は必ずリンクの車輪側取付部よりも車幅方向外側に形成されることとなる。このため、キングピン・オフセットを小さく設定しつつ、キングピン軸の上部を十分に車幅方向内側に傾かせることが困難となる。一般に、キングピン軸の上部を車幅方向内側に傾かせることで転舵時の車輪持ち上げトルクを発生させ、ハンドルの復元トルク(操舵応答性)を確保している。よって、リンクをクロスさせずに仮想ピボット点を形成し、この仮想ピボット点によりキングピン軸を制御しようとした場合、キングピン・オフセット量(サスペンション振動の抑制)とキングピン軸の傾き(操舵応答性)とを最適に両立させることが困難となる。
これに対し、本実施例2のようにリンクをクロスさせた場合、キングピン軸Lを車幅方向内側に形成できるため、キングピン軸Lの上部を車幅方向内側に傾かせつつキングピン・オフセットRを適当な値に設定する自由度があり、上記のような問題を解消できる。
[実施例2の効果]
以下、実施例2から把握される、本発明のサスペンション装置1が有する効果を列挙する。
(6)車両上面視で交差する第1および第2リンクは、車軸Aに対して車両上下方向上側に配置される第1、第2アッパリンク47,48であることとした。
このように第1、第2アッパリンク47,48をクロスさせているため、車幅方向の寸法を短くコンパクトにすると同時に、サスペンションストローク時のキャンバ変化やスカッフ変化を抑制できる。よって、操縦安定性を確保しつつアッパ側のスペースを節約でき、レイアウト自由度を向上できる、という効果を有する。
(7)車体側の操舵装置と前記アクスルキャリアとを連結する転舵用リンクを備えていることとした。
よって、転舵機能を有するフロントサスペンションにリンクをクロスさせる構成を適用した場合に上記(1)〜(4)、(6)の効果が得られる。
また、第1および第2リンク(第1、第2アッパリンク47,48)を車両上面視でクロスさせることで仮想のアッパピボット点を設定でき、サスペンションストローク中の第1および第2リンク(第1、第2アッパリンク47,48)の幾何学的変化によりあらゆる側面視での上記アッパピボット点の変化を制御できる。よって、サスペンションストローク時のキングピン傾角αやキャスタ角γ等のホイルアライメント変化を抑制できる。したがって、様々な走行シチュエーションに対応して操縦安定性能を向上でき、操舵感を向上できる。
また、リンクをクロスさせて形成した仮想ピボット点の変位は小さいため、仮想ピボット点の位置に起因する上記諸性能(キングピン傾角α等)を安定して発揮することができる。さらに、リンクをクロスさせて車幅方向内側に仮想ピボット点を形成することで、キングピン・オフセット量の設定とキングピン傾角の設定を両立させ、サスペンション振動の抑制と操舵応答性の向上とを容易に両立できる、という効果を有する。
(8)第1および第2リンク(第1、第2アッパリンク47,48)の間の距離が最短である線分の中点を第1および第2リンク(第1、第2アッパリンク47,48)が設けられている(アッパ)側での車輪Wの転舵時回転中心(アッパ側ピボット点C)として設定し、この(アッパ)側と車軸Aに関して反対側(ロア側)での車輪Wの転舵時回転中心(ロア側ピボット点B)と上記設定した転舵時回転中心(アッパ側ピボット点C)とを結んで形成される車輪Wの転舵時回転軸(キングピン軸L)の傾きがサスペンションストローク中に一定となるように、第1および第2リンク(第1、第2アッパリンク47,48)を配置した。
すなわち、タイロッド44の配置等とのバランスで決定されるロア側ピボット点B(ロアリンク車輪側取付部25a)の軌跡を予め考慮した上で、この軌跡に追従するように、アッパ側ピボット点Cの軌跡をシミュレーション等により設定する。そして、アッパ側およびロア側のピボット点B,Cを結んで形成されるキングピン軸Lの傾きがサスペンションストローク中に一定となり、ホイルアライメントの変化を最小とするように、第1、第2アッパリンク47,48のクロス配置を調整することとした。よって、上記(7)の効果をより効率的に得ることができる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1および2に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1および2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1に係るサスペンション装置1では、トレーリングアームを有するリアサスペンションにおいて、第1、第2ロアリンク41,42を車両上面視でクロスさせたが、クロスさせる2本のリンクを車軸に対して車両上下方向上側に設けることとしてもよい。すなわち、ロアリンクを1本とし、アッパリンクを2本とした上で、この2本のアッパリンクを車両上面視でクロスさせることとしてもよい。この場合、クロスさせた2本のアッパリンクを車軸に対して車両前後方向前側に配置してもよく、車両前後方向後側に配置してもよい。
また、実施例2に係るサスペンション装置1では、転舵輪を支持するフロントサスペンションにおいて、第1、第2アッパリンク47,48を車両上面視でクロスさせたが、クロスさせる2本のリンクを車軸に対して車両上下方向下側に設けることとしてもよい。すなわち、第1、第2ロアリンク45,46を車両上面視でクロスさせることとしてもよい。この場合、サスペンションストローク時、クロスさせた第1、第2ロアリンク45,46により作成されるロア側ピボット点の軌跡が、アッパ側ピボット点に追従するように第1、第2ロアリンク45,46の配置を設定することで、ホイルアライメント変化を抑制できる。
また、実施例2に係るサスペンション装置1では、車両上面視で第1、第2アッパリンク47,48が車両前後方向で車軸Aを跨ぐように、第1、第2アッパリンク47,48をクロスさせたが、実施例1と同様に、第1、第2アッパリンク47,48を、車軸Aに対して車両前後方向前側または後側に配置することとしてもよい。この場合、第1、第2ロアリンク45,46を、第1、第2アッパリンク47,48が設けられている側と車軸Aに関して反対側の上記前側または後側に配置することとしてもよい。上記のように第1、第2ロアリンク45,46を車両上面視でクロスさせた場合も同様である。
実施例1に係るサスペンション装置の全体斜視図である。 実施例1に係るサスペンション装置の側面図である。 実施例1に係るサスペンション装置の正面図である。 実施例1に係るサスペンション装置の平面図である。 実施例1に係るサスペンション装置の平面模式図である。 従来技術のサスペンション装置の平面模式図である(前後入力時)。 従来技術のサスペンション装置の平面模式図である(横入力時)。 実施例1と従来技術におけるロードノイズと横剛性との関係を示すグラフである。 実施例2に係るサスペンション装置の全体斜視図である。 実施例2に係るサスペンション装置の正面図である。 実施例2に係るサスペンション装置の側面図である。 実施例2に係るサスペンション装置の平面図である。 実施例2に係るサスペンション装置の正面図である(バウンド時)。 実施例2と従来例におけるサスペンションストローク量とキャンバ角変化との関係を示すグラフである。 実施例2に係るサスペンション装置の側面図である(バウンド時)。 実施例2と従来例におけるサスペンションストローク量とキャスタトレールとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 サスペンション装置
2 アクスルキャリア
3 ストラット
5 トレーリングアーム
5a トレーリングアーム車体側取付部
7 ステアリング装置
7a ラック
21a 第1ロアリンク車輪側取付部
22a 第2ロアリンク車輪側取付部
23a アッパリンク車輪側取付部
25a ロアリンク車輪側取付部
26 ナックルアーム
27a 第1アッパリンク車輪側取付部
28a 第2アッパリンク車輪側取付部
41 第1ロアリンク
41a 第1ロアリンク車体側取付部
42 第2ロアリンク
42a 第2ロアリンク車体側取付部
43 アッパリンク
43a アッパリンク車体側取付部
44 タイロッド
45 第1ロアリンク
45a 第1ロアリンク車体側取付部
46 第2ロアリンク
46a 第2ロアリンク車体側取付部
47 第1アッパリンク
47a 第1アッパリンク車体側取付部
48 第2アッパリンク
48a 第2アッパリンク車体側取付部
A 車軸
W 車輪
B ロア側ピボット点
C アッパ側ピボット点
L キングピン軸
S スクラブ半径
T キャスタトレール
α キングピン傾角
β キャンバ角
γ キャスタ角

Claims (8)

  1. 車軸を回転自在に支持するアクスルキャリアと、
    車体側取付部から延在し前記アクスルキャリアに連結される複数のリンクと、
    を備えたサスペンション装置において、
    前記複数のリンクは、
    車軸に対して車両上下方向上側または下側に、車両上面視で交差する第1リンクおよび第2リンクを有し、
    前記第1および第2リンクが設けられている側と車軸に関して反対側の前記上側または下側に、第3リンクを有すること
    を特徴とするサスペンション装置。
  2. 請求項1に記載のサスペンション装置において、
    前記第1および第2リンクは、車軸に対して車両上下方向下側に配置されるロアリンクであることを特徴とするサスペンション装置。
  3. 請求項1に記載のサスペンション装置において、
    前記第1および第2リンクは、車軸に対して車両上下方向上側に配置されるアッパリンクであることを特徴とするサスペンション装置。
  4. 請求項2または3に記載のサスペンション装置において、前記第1および第2リンクは、車軸に対して車両前後方向前側または後側に配置されることを特徴とするサスペンション装置。
  5. 請求項4に記載のサスペンション装置において、前記第3リンクは、前記第1および第2リンクが設けられている側と車軸に関して反対側の前記前側または後側に配置されることを特徴とするサスペンション装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載のサスペンション装置において、
    前記複数のリンクは、
    車体側取付部から車両後方に延在し前記アクスルキャリアに連結されるトレーリングアームを有することを特徴とするサスペンション装置。
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載のサスペンション装置において、
    車体側の操舵装置と前記アクスルキャリアとを連結する転舵用リンクを備えていることを特徴とするサスペンション装置。
  8. 請求項7に記載のサスペンション装置において、
    前記第1および第2リンクの間の距離が最短である線分の中点を前記第1および第2リンクが設けられている側での車輪の転舵時回転中心として設定し、
    前記第1および第2リンクが設けられている側と車軸に関して反対側の前記上側または下側での車輪の転舵時回転中心と前記設定した転舵時回転中心とを結んで形成される車輪の転舵時回転軸の傾きがサスペンションストローク中に一定となるように、前記第1および第2リンクを配置したことを特徴とするサスペンション装置。
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