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JP2008016724A - 有機el装置とその製造方法、及び電子機器 - Google Patents

有機el装置とその製造方法、及び電子機器 Download PDF

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JP2008016724A JP2006188119A JP2006188119A JP2008016724A JP 2008016724 A JP2008016724 A JP 2008016724A JP 2006188119 A JP2006188119 A JP 2006188119A JP 2006188119 A JP2006188119 A JP 2006188119A JP 2008016724 A JP2008016724 A JP 2008016724A
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Hirokazu Yanagihara
弘和 柳原
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】簡易な手法で発光寿命の向上を図った、有機EL装置とその製造方法、さらにこの有機EL装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】一対の電極111、12間に、正孔注入層60と発光層70とを配設してなる有機EL装置の製造方法である。正孔注入層60を形成する工程と、正孔注入層60上に金属を配置して金属膜50を形成し、この金属膜60を電気化学的反応によって正孔注入層60中に拡散させる工程と、を備えている。
【選択図】図5

Description

本発明は、有機EL装置とその製造方法、及び電子機器に関する。
近年、有機蛍光材料等の発光材料を電極間に挟持してなる有機EL装置が注目されている。このような有機EL装置としては、発光材料からなる発光層の発光効率を高めるため、この発光層の陽極側に正孔注入層を配置しておくのが一般的である。また、正孔注入層としては、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルフォン酸[PEDOT(Polyethylene Dioxythiophene)−PSS(Polystyrene Sulphonate)]がよく用いられている(例えば特許文献1参照)。
特開2005−123083号公報
ところで、一般に有機EL装置は、例えば輝度を高めると発光寿命が短くなるなど、発光特性、特に発光寿命が短いことが大きな課題となっている。このような課題を解決するため、従来では、発光層に対してその陰極側に電子注入層を設けたり、発光層の形成材料を種々選択することで長寿命化を図ったりしている。しかし、発光寿命は当然ながらより長いことが要求されており、さらなる改善が望まれている。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡易な手法で発光寿命の向上を図った、有機EL装置とその製造方法、さらにこの有機EL装置を備えた電子機器を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の有機EL装置は、一対の電極間に正孔注入層と発光層とを配設してなる有機EL装置において、前記正孔注入層が、金属元素を1原子%以上含有していることを特徴としている。
この有機EL装置によれば、金属元素が例えば酸化物として正孔注入層中に存在することにより、正孔注入層が安定化し、該正孔注入層中での正孔の流れ方が一定になることで発光効率の低下が抑えられ、結果として発光寿命の向上が図られる。また、例えば正孔注入層の形成材料である3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルフォン酸には、不純物として0.5原子%以下の金属が含まれるが、このような量では正孔の流れ方を安定化する効果が認められない。一方、本発明では金属元素を1原子%以上含有させていることにより、正孔注入層を安定化させる改善効果が顕著になる。
また、前記有機EL装置においては、前記金属元素が、Li、Cs、Rb、K、Sr、Na、La、Ti、Zr、Be、Mn、V、Zn、Cr、Ga、Mo、Fe、Cd、Ta、Co、Ni、Sn、Pb、Te、Sb、As、Bi、Cu、In、Al、Mg、Ca、Baのうちの少なくとも一種であるのが好ましい。
このような金属元素を含有していれば、正孔注入層がより良好に安定化し、これにより発光寿命の向上が一層顕著になる。
本発明の有機EL装置の製造方法は、一対の電極間に、正孔注入層と発光層とを配設してなる有機EL装置の製造方法において、前記正孔注入層を形成する工程と、前記正孔注入層上に金属を配し、該金属を電気化学的反応によって正孔注入層中に拡散させる工程と、を備えたことを特徴としている。
この有機EL装置の製造方法によれば、正孔注入層を形成した後、これの上に金属を配して該金属を正孔注入層中に拡散させるので、正孔注入層中に金属元素を1原子%以上含ませることができ、したがってこの正孔注入層を安定化させ、該正孔注入層中での正孔の流れ方を一定にすることで発光効率の低下を抑え、発光寿命の向上を図ることができる。
また、前記有機EL装置の製造方法においては、前記正孔注入層上への金属の配置を、該金属を厚さ5nm以下に成膜することで行うのが好ましい。
このようにすれば、配置した金属を、比較的短時間で全て正孔注入層中に拡散させることができる。
また、前記有機EL装置の製造方法においては、前記正孔注入層上に金属を配置した後、大気中に放置することにより、該金属を電気化学的反応によって正孔注入層中に拡散させるのが好ましい。
このようにすれば、正孔注入層上に配置した金属が、大気中に放置されることで酸化して金属酸化物となり、これによって正孔注入層中により拡散し易くなる。したがって、複雑でなく簡易な手法により、正孔注入層を安定化し、発光寿命をより向上することができる。
本発明の電子機器は、前記の有機EL装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、前記したように長寿命化が図られた有機EL装置を備えているので、この電子機器自体も、前記有機EL装置からなる表示部が長寿命化したものとなる。
以下、本発明を詳しく説明する。
(有機EL装置)
図1は、本発明の有機EL装置の一実施形態の配線構造を示す説明図、図2は、図1に示した有機EL装置の平面模式図、図3は、図1に示した有機EL装置の要部の断面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101及び信号線102の各交点付近に、画素領域Aを形成したものである。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。また、画素領域Aの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ113と、この駆動用薄膜トランジスタ113を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む陽極(画素電極)111と、この画素電極111と陰極(対向電極)12との間に挟み込まれた発光機能層110とが設けられている。
なお、陽極(画素電極)111と陰極(対向電極)12と発光機能層110とを備えてなることにより、有機EL素子が構成されている。
このような構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ113のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ113のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、さらに発光機能層110を介して陰極12に電流が流れる。すると、発光機能層110はこれを流れる電流量に応じて発光する。
また、図2及び図3に示すように本実施形態の有機EL装置1は、ガラス等からなる透明な基板2と、マトリックス状に配置された有機EL素子とを具備して構成されている。図3に示すように基板2上に形成される有機EL素子3は、画素電極111と、正孔注入層60及び発光層70からなる発光機能層110と、陰極12とによって構成されている。また、基板2の厚さ方向において、前記有機EL素子3を含むEL素子部10と基板2との間には、回路素子部14が形成されている。この回路素子部14には、前述の走査線、信号線、保持容量、スイッチング用の薄膜トランジスタ、駆動用の薄膜トランジスタ123等が形成されている。
また、陰極12は、その一端が基板2上に形成された陰極用配線(図示略)に接続されており、図2に示すように、この配線の一端部12aがフレキシブル基板5上の配線5aに接続されている。なお、この配線5aは、フレキシブル基板5上に備えられた駆動IC6(駆動回路)に接続されている。
また、本実施形態の有機EL装置1は、発光機能層110から基板2側に発した光が、回路素子部14及び基板2を透過して基板2の外側(観測者側)に出射されるとともに、発光機能層110から基板2と反対の側に発した光も、陰極12に反射されて回路素子部14及び基板2を透過し、基板2の外側(観測者側)に出射される、いわゆるボトムエミッション型となっている。
図3に示すように回路素子部14には、基板2上にSiOを主体とする下地保護層281が下地として形成され、その上にはシリコン層241が形成されている。このシリコン層241の表面には、SiO及び/又はSiNを主体とするゲート絶縁層282が形成されている。
また、前記シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域が、チャネル領域241aとされている。なお、このゲート電極242は、図示しない走査線の一部である。一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242を形成したゲート絶縁層282の表面には、SiOを主体とする第1層間絶縁層283が形成されている。
また、シリコン層241のうち、チャネル領域241aのソース側には、低濃度ソース領域241bおよび高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain )構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域241Sは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソース電極243に接続されている。このソース電極243は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域241Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。
ソース電極243およびドレイン電極244が形成された第1層間絶縁層283の上層には、平坦化膜284が形成されている。この平坦化膜284は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、駆動用TFT123やソース電極243、ドレイン電極244などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
そして、この平坦化膜284の表面上には画素電極(陽極)111が形成されており、この画素電極111は、前記平坦化膜284に設けられたコンタクトホール111aを介してドレイン電極244に接続されている。すなわち、画素電極111は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続されている。なお、画素電極111は、ボトムエミッション型である本実施形態では、透明導電材料によって形成され、具体的にはITOが好適に用いられている。
画素電極111が形成された平坦化膜284の表面上には、画素電極111と、これの周縁部を覆う無機隔壁25とが形成されており、さらにこの無機隔壁25上には、有機隔壁221が形成されている。ここで、無機隔壁25はSiOからなっており、有機隔壁221はアクリル系やポリイミド系等の耐熱性絶縁性樹脂からなっている。
そして、画素電極111上には、無機隔壁25に形成された開口25aと、有機隔壁221に形成された開口221aとの内部、すなわち画素領域に、前記した正孔注入層60と発光層70とが、画素電極(陽極)111側からこの順で積層され、これによって発光機能層110が形成されている。
正孔注入層60は、その形成材料として、特に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT−PSS)の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられている。
また、この正孔注入層60には、本発明では金属元素が1原子%以上含有させられている。この金属元素は、後述するように、主に金属酸化物として正孔注入層60中に拡散させられたもので、Li、Cs、Rb、K、Sr、Na、La、Ti、Zr、Be、Mn、V、Zn、Cr、Ga、Mo、Fe、Cd、Ta、Co、Ni、Sn、Pb、Te、Sb、As、Bi、Cu、In、Al、Mg、Ca、Baのうちの少なくとも一種からなるものである。中でも、In(インジウム)が好適とされる。Inは、正孔注入層60の下地である、ITO製の画素電極111中に含有される金属であり、したがって正孔注入層60中には、もともと、僅かながらもInが含まれるようになっているからである。
すなわち、正孔注入層60は画素電極111に直接接して形成されることで、例えばその製造時などにおいて、画素電極111から正孔注入層60へのInの拡散(あるいは酸化物として溶出)が僅かながら起こっている。このように、僅かながらもInを含有している正孔注入層60に、後述するような処理によってさらにInを加えることにより、異なる金属元素が複数種含まれる場合に比べ、同一の金属が含有されることで正孔注入層60がより安定し、該正孔注入層中60での正孔の流れ方がより一定になるからである。
また、このような金属元素の濃度としては、1原子%以上であれば、その上限は特に限定されないものの、特に酸化物として正孔注入層60中に含有される場合には、この酸化物が正孔注入層60の電気抵抗上昇、導電性の低下をもたらすため、数原子%以下(例えば5原子%以下)にしておくのが好ましい。
正孔注入層60の上には、発光層70が形成されている。この発光層70を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。発光層70の形成材料として具体的には、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
なお、このような発光層70を形成する材料としては、特にフルカラー表示をなす場合、赤色、緑色、青色の各波長域に対応する光を発光する材料が用いられ、それぞれが予め設定された状態に形成配置される。
陰極12は、前記発光層70を覆って形成されたもので、例えばCaが厚さ5nm程度に形成され、その上にAlが厚さ300nm程度に形成されて構成されたものである。このような積層構造の電極とされたことにより、特にAlは反射層としても機能するものとなっている。なお、陰極12についても透明な材料を用いれば、発光した光を陰極側からも出射させることができる。透明な材料としては、ITO、Pt、Ir、Ni、もしくはPdを用いることができる。膜厚としては、透明性を確保するうえで、75nm程度とするのが好ましく、さらにこの膜厚より薄くするのがより好ましい。
また、この陰極12上には、接着層51を介して封止基板(図示せず)が貼着されている。
なお、前記発光機能層110において正孔注入層60は、正孔を発光層70に注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入層60内部において輸送する機能をも有している。このような正孔注入層60を画素電極111と発光層70の間に設けることにより、発光層70の発光効率、寿命等の素子特性を向上させることができる。発光層70では、正孔注入層60から注入された正孔と、陰極12から注入される電子とが再結合し、発光をなすようになっている。
(有機EL装置の製造方法)
このような構成の有機EL装置1を製造するには、従来と同様にして基板2上に回路素子部14を形成する。そして、基板2の全面を覆うように画素電極111となる透明導電膜を、ITOによって形成する。次いで、この導電膜をパターニングすることにより、図4(a)に示すように平坦化膜284のコンタクトホール111aを介してドレイン電極244と導通する画素電極111を形成する。
次いで、画素電極111上および平坦化膜284上に、SiO等の無機絶縁材料をCVD法等で成膜して隔壁層(図示せず)を形成し、続いて、公知のホトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて隔壁層をパターニングする。これにより、図4(b)に示すように、形成する各有機EL素子3の画素領域毎に開口25a(図示略)を形成すると同時に、無機隔壁25を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、無機隔壁25の所定位置、詳しくは画素領域を囲む位置に樹脂等によって有機隔壁221を形成する。
次いで、このようにして画素電極111と無機隔壁25と有機隔壁221とを形成した側の面を酸素プラズマ処理し、その表面に付着した有機物等の汚染物を除去して濡れ性を向上させる。具体的には、基板2を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、続いて大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(Oプラズマ処理)を行う。
次いで、撥液化処理を行うことにより、特に有機隔壁221の上面及び側面の濡れ性を低下させる。具体的には、大気圧下で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CFプラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基板2を室温まで冷却することで、有機隔壁221の上面及び側面を撥液化し、その濡れ性を低下させる。
なお、このCFプラズマ処理においては、画素電極111の露出面および無機隔壁25についても多少の影響を受けるが、画素電極111の材料であるITOおよび無機隔壁25の構成材料であるSiOなどはフッ素に対する親和性に乏しいため、酸素プラズマ処理で濡れ性が向上した面は濡れ性がそのままに保持される。
次いで、前記有機隔壁221に囲まれた領域内に正孔注入層60を形成する。この正孔注入層60の形成工程では、スピンコート法や液滴吐出法が採用されるが、本実施形態では、有機隔壁221に囲まれた領域に正孔注入層60の形成材料を選択的に配する必要上、特に液滴吐出法であるインクジェット法が好適に採用される。このインクジェット法により、正孔注入層60の形成材料であるPEDOT−PSSの分散液を前記画素電極111の露出面上に配し、その後、熱処理(乾燥処理)を行うことにより、厚さ50nmの正孔注入層60を形成する。なお、PEDOT−PSSの分散液としては、例えばPEDOT:PSSが1:10(重量比)であり、固形分濃度が0.5重量%、ジエチレングリコール50重量%、残量が純水であるものが用いられる。
次いで、この正孔注入層60上に、金属、本実施形態ではInを、例えば蒸着法で堆積し、図5(a)に示すように厚さ5nm以下程度の金属膜50を形成する。そして、このように金属膜50を形成した後、基板2を大気中に例えば1時間程度放置する。すると、金属膜50を構成するInは大気中の酸素によって酸化され、酸化物となって正孔注入層60中に拡散する。すなわち、このIn酸化物(In)は、電気化学的反応(電池反応)によって正孔注入層60中にほぼ均一に拡散する。このようにして金属膜50を拡散させると、この金属膜50は5nm以下程度の薄膜であることから、その全量が酸化物となって正孔注入層60中に容易に拡散し、図5(b)に示すように正孔注入層60上から金属膜50がなくなる。
なお、金属(In)を蒸着させて金属膜50を形成した際、部分的には有機隔壁221上にも金属が付着するものの、前記したように有機隔壁221は濡れ性が低下していることから、ここに付着する金属は十分に少なく、またこのように付着した金属も例えば有機隔壁22中に拡散することなどにより、有機隔壁221上には金属が実質的に残らなくなる。また、有機隔壁221中に拡散した金属も酸化物として拡散することなどにより、有機隔壁221の絶縁性が損なわれることもない。
このようにして正孔注入層60中に金属(In)を拡散させたら、これ以降では、各種の形成材料や形成した要素の酸化・吸湿を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
次いで、図5(c)に示すように、前記正孔注入層60の上に発光層70を形成する。この発光層70の形成工程では、前記の正孔注入層60の形成と同様に、液滴吐出法であるインクジェット法が好適に採用される。すなわち、インクジェット法により、発光層の形成材料を正孔注入層60上に吐出し、その後、窒素雰囲気中にて100℃で1時間程度熱処理を行い、有機隔壁221に形成された開口221a内、すなわち画素領域上に発光層70を形成する。なお、発光層の形成材料中に用いる溶媒としては、前記正孔注入層60を再溶解させないもの、例えばキシレンなどが好適に用いられる。また、この発光層70の形成方法については、特に無機隔壁25や有機隔壁221によって画素領域を区画しない場合、正孔注入層60の形成の場合と同様に、スピンコート法を採用することもできる。
次いで、図5(d)に示すように、前記発光層70及び有機隔壁221を覆って例えばカルシウムを厚さ5nm程度、アルミニウムを厚さ300nm程度に積層し、陰極12を形成する。この陰極12の形成に際しては、有機EL素子3を効率よく発光させるため、例えば電子注入層としてフッ化リチウムを発光層70側に形成してもよい。また、この陰極12の形成では、前記正孔注入層60や発光層70の形成とは異なり、蒸着法やスパッタ法等で行うことにより、画素領域にのみ選択的に形成するのでなく、基板2のほぼ全面に陰極12を形成する。
その後、前記陰極12上に接着層51を形成し、さらにこの接着層51によって封止基板30を接着し、封止を行う。これにより、本実施形態の有機EL装置1を得る。
このような有機EL装置1にあっては、In(金属)が酸化物(In)として正孔注入層60中に存在することにより、正孔注入層60が安定化し、該正孔注入層60での正孔の流れ方が一定になる。その結果、発光効率の低下が抑えられ、発光寿命が向上する。また、特にInを1原子%以上含有させていることにより、単に金属を不純物として含有している場合に比べ、正孔注入層60を安定化させる改善効果を顕著にすることができる。
また、この有機EL装置1の製造方法によれば、正孔注入層60を形成した後、これの上に金属膜50(In膜)を形成し、該金属を酸化物として正孔注入層60中に拡散させるので、簡易な手法によって正孔注入層60中に金属元素を1原子%以上含ませることができる。そして、これにより正孔注入層60を安定化させ、該正孔注入層60中での正孔の流れ方を一定にすることによって発光効率の低下を抑え、発光寿命の向上を図ることができる。
(実験例)
正孔注入層60の成膜方法としてスピンコート法を用い、さらに発光層70の形成材料として蛍光材料を用いてこれをスピンコート法で成膜した。これ以外は、前記した製造方法とほぼ同様にして、本発明品としての有機EL装置を作製した。
また、比較品として、スピンコート法で形成した正孔注入層60上に金属膜(In膜)を形成することなく、この正孔注入層60上にスピンコート法で直接発光層70を形成し、これ以外は前記した本発明品としての有機EL装置と同様にして、比較品としての有機EL装置を作製した。
このようにして作製した有機EL装置をそれぞれ発光させ、発光特性を調べたところ、本発明品の有機EL装置は、比較品の有機EL装置に比べ、定電流発光による輝度の発光寿命が約2倍になっていた。したがって、本発明品は、従来品(比較品)に比べ発光寿命が向上していることが確認された。
(電子機器)
次に、本実施形態の有機EL装置1を備えた電子機器の具体例について説明する。
図6(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図6(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は前記有機EL装置1からなる表示部を示している。
図6(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図6(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は前記有機EL装置1からなる表示部を示している。
図6(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図6(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は前記有機EL装置1からなる表示部を示している。
図6(d)は、薄型大画面テレビの一例を示した斜視図である。図6(d)において、薄型大画面テレビ1300は、薄型大画面テレビ本体(筐体)1302、スピーカーなどの音声出力部1304、前記有機EL装置1からなる表示部1306を備える。
図6(a)〜(d)に示す電子機器1000,1100,1200,1300は、前記有機EL装置1を備えているので、この有機EL装置1からなる表示部1001,1101,1206,1306の発光効率の低下が防止され、長寿命化していることにより、これら電子機器1000,1100,1200,1300自体も、表示部1001,1101,1206,1306が長寿命化したものとなる。
なお、本発明は前記実施形態に限られることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前記実施形態では、発光層70で発光した光を基板2側から出射させる、いわゆるボトムエミッション型の有機EL装置に本発明を適用した例を示したが、基板2と反対側の、封止基板側から光を出射させる、いわゆるトップエミッション型の有機EL装置にも本発明を適用することができる。
実施形態の有機EL装置の配線構造を示す説明図である。 図1の有機EL装置の平面模式図である。 図1の有機EL装置の要部断面模式図である。 (a)〜(c)は図1の有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。 (a)〜(d)は図4に続く製造方法を説明する工程図である。 (a)〜(d)は本発明の電子機器の実施形態を示す斜視図である。
符号の説明
1…有機EL装置、2…基板、12…陰極、50…金属膜、60…正孔注入層、70…発光層、110…発光機能層、111…画素電極(陽極)

Claims (6)

  1. 一対の電極間に正孔注入層と発光層とを配設してなる有機EL装置において、
    前記正孔注入層が、金属元素を1原子%以上含有していることを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記金属元素が、Li、Cs、Rb、K、Sr、Na、La、Ti、Zr、Be、Mn、V、Zn、Cr、Ga、Mo、Fe、Cd、Ta、Co、Ni、Sn、Pb、Te、Sb、As、Bi、Cu、In、Al、Mg、Ca、Baのうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置。
  3. 一対の電極間に、正孔注入層と発光層とを配設してなる有機EL装置の製造方法において、
    前記正孔注入層を形成する工程と、
    前記正孔注入層上に金属を配置し、該金属を電気化学的反応によって正孔注入層中に拡散させる工程と、を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  4. 前記正孔注入層上への金属の配置を、該金属を厚さ5nm以下に成膜することで行うことを特徴とする請求項3記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 前記正孔注入層上に金属を配置した後、大気中に放置することにより、該金属を電気化学的反応によって正孔注入層中に拡散させることを特徴とする請求項3又は4に記載の有機EL装置の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。

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