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JP2007256761A - 楕円偏光板、その製造方法およびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

楕円偏光板、その製造方法およびそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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JP2007256761A
JP2007256761A JP2006082698A JP2006082698A JP2007256761A JP 2007256761 A JP2007256761 A JP 2007256761A JP 2006082698 A JP2006082698 A JP 2006082698A JP 2006082698 A JP2006082698 A JP 2006082698A JP 2007256761 A JP2007256761 A JP 2007256761A
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Tetsuya Kamisaka
哲也 上坂
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Abstract

【課題】薄膜で耐湿熱性が良好な楕円偏光板とその製造方法を提供する。
さらに偏光素子との貼り合わせ工程においても、長尺フィルム形態で貼合することができるために、従来法より貼合工程が合理化できる利点がある。
【解決手段】光学的に等方性の基板上に配向した液晶層からなる光学異方素子と透光性保護フィルムとの間に偏光素子が挟持される楕円偏光板であって、該光学異方素子が少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向させた後、該配向を固定化したホメオトロピック配向液晶層を含むことを特徴とする楕円偏光板。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホメオトロピック配向構造を固定化した液晶層からなる楕円偏光板およびその製造方法に関し、さらには該楕円偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
位相差フィルムは、液晶表示装置の画質向上に用いられるなど工業的に重要な役割を担っている。位相差フィルムとしては、プラスチックフィルムの延伸によるものと、液晶を配向させたものとに大別できる。後者は、多様な屈折率構造を実現できるポテンシャルをもっているため、より注目に値する。
例えば、膜厚方向により大きな屈折率を有するフィルムは、液晶表示装置の視野角改善に有効と考えられるが、このようなフィルムは液晶のホメオトロピック配向(垂直配向)を利用するのが近道と考えられる。液晶分子のホメオトロピック配向は、液晶の長軸分子方向が基板に対して実質的に垂直方向に整列することである。ホメオトロピック配向は、液晶表示装置のように、2枚のガラス基板の中に液晶を入れて電界をかけることで得られることは良く知られているが、この配向状態をフィルムにすることは非常に難しく、また従来報告されている方法には課題がある。例えば主鎖型高分子液晶をホメオトロピック配向させた後、ガラス固定化によりフィルムを得ている(特許文献1〜3)。しかしホメオトロピック配向においては、高分子が膜厚方向に並ぶため面内方向にクラックが入りやすいという問題があると推察されるが、これらの報告では架橋による材料の強化などの対策は講じられていない。特許文献4では側鎖型液晶のホメオトロピック配向をガラス化により固定化しているが、前記主鎖型高分子液晶以上に強度的には問題があると考えられる。
一方、側鎖型液晶に重合性の低分子液晶を加えている報告もあるが(特許文献5〜6)、低分子液晶は単独で重合するため側鎖型液晶の強度の補強には限界がある。特許文献7では、側鎖型の液晶にラジカル重合性の基や、ビニルエーテル、エポキシといったカチオン重合性の基を導入した材料を用いている。しかし、ラジカル重合は一般に酸素阻害を受けるため、重合が不十分になる恐れがあり、設備的に酸素を取り除こうとすると装置が大掛かりになる。ビニルエーテル基やエポキシ基は酸素阻害の影響を受けないためこの点では有利であるが、ビニルエーテル基のエーテル結合は不安定で開裂しやすいという問題があり、エポキシ基は液晶材料中への導入が煩雑であり、また架橋処理を施したとき高い重合度を得ることが難しい。さらにはホメオトロピック配向を得るために、液晶材料中に多量の非液晶性の構造単位を導入しており、安定した液晶性の発現に疑問が残る。このように従来のホメオトロピック配向性フィルムの製造には課題が残されていた。
また、位相差フィルムは偏光素子と貼り合せた楕円偏光板として液晶表示装置に使用されるが、位相差フィルムと偏光素子を粘・接着層で貼り合わせる場合、粘・接着層の分だけ厚みが増し、楕円偏光板の製造工程でロールに巻き取る際に、1ロールあたりの巻き取り量が少なくなり生産性が悪くなるという問題や、最終製品の液晶パネルの厚みが増すという問題がある。また、異種の複数の層から構成されるため各層の熱や湿度に対する伸縮挙動の違いにより、偏光板と位相差フィルムの界面が剥がれる等の不具合が生じる場合があった。
特許第2853064号公報 特許第3018120号公報 特許第3078948号公報 特開2002−174725号公報 特開2002−333524号公報 特開2002−333642号公報 特開2003−2927号公報
本発明の目的は、楕円偏光板の層構造を簡略化することによって、厚みが抑えられ、高温、高湿条件下においても剥がれなどの不具合が生じることがなく、さらにはホメオトロピック配向構造を固定化した液晶層からなる光学異方素子と偏光素子とを、長尺フィルム形態から連続的に貼り合わせ可能な楕円偏光板と、その製造方法およびそれを使用した液晶表示装置を提供することを目的とする。
すなわち本発明の第1は、光学的に等方性の基板上に配向した液晶層からなる光学異方素子と透光性保護フィルムとの間に偏光素子が挟持される楕円偏光板であって、該光学異方素子が少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向させた後、該配向を固定化したホメオトロピック配向液晶層を含むことを特徴とする楕円偏光板、に関する。
本発明の第2は、楕円偏光板が、長尺フィルム形態の光学異方素子、透光性保護フィルムおよび偏光素子から得られることを特徴とする本発明の第1に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第3は、該光学異方素子が、オキセタニル基を有する側鎖型の液晶性高分子化合物を含有する液晶性組成物を、液晶状態でホメオトロピック配向させた後、前記オキセタニル基を反応せしめて前記ホメオトロピック配向を固定化したホメオトロピック配向液晶層であることを特徴とする本発明の第1に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第4は、該光学異方素子が、以下の[1]および[2]を満たすホメオトロピック配向液晶層からなることを特徴とする本発明の第1に記載の楕円偏光板、に関する。
[1]0≦Re≦200
[2]−500≦Rth≦−30
(ここで、Reは液晶層の面内のリターデーション値を意味し、Rthは液晶層の厚さ方向のリターデーション値を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth=(Nx−Nz)×d[nm]である。また、dは液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは液晶層面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nz>Nx≧Nyである。)
本発明の第5は、光学的に等方性の基板が、トリアセチルセルロースであることを特徴とする本発明の第1に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第6は、光学的に等方性の基板が、シクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする本発明の第1に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第7は、光学異方素子が表面処理されていることを特徴とする本発明の第1〜6のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第8は、表面処理が、鹸化処理であることを特徴とする本発明の第7に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第9は、表面処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする本発明の第7に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第10は、該楕円偏光板の厚みが250μm以下であることを特徴とする本発明の第1〜9のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第11は、 液晶層の表面に透光性オーバーコート層が設けられていることを特徴とする本発明の第1〜10のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第12は、 透光性オーバーコート層がアクリル系樹脂からなることを特徴とする本発明の第11に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第13は、本発明の第1〜12のいずれかに記載の楕円偏光板に、さらに少なくとも1つの光学フィルムが積層されていることを特徴とする楕円偏光板、に関する。
本発明の第14は、 光学的に等方性の基板上に液晶層を形成したのち、該液晶層の表面に透光性オーバーコート層を設けることによって光学異方素子を製造し、次いで該光学異方素子に表面処理を施し、しかる後に偏光素子を粘・接着剤層を介して該光学異方素子と透光性保護フィルムに挟持されるように貼り合わせることを特徴とする楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第15は、液晶セルの少なくとも片側の面に、本発明の第1〜13のいずれかに記載の楕円偏光板を配置した液晶表示装置、に関する。
本発明では、光学異方素子を偏光素子の保護フィルムとして用いることにより楕円偏光板を製造する。そうすることによって、従来のような偏光素子の両側がトリアセチルセルロースフィルムで保護された偏光板に光学異方素子を貼合した楕円偏光板よりも層数を減らすことができる。その結果として、熱あるいは湿度による各層の収縮ひずみの影響が小さくなり、貼り合わせた界面での剥がれ等の不具合をなくすことが可能である。
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明において、液晶材料のホメオトロピック配向を固定化した液晶層を得るに当たっては、液晶性組成物と配向基板の選択が極めて重要である。
まず液晶性組成物について説明する。
本発明に用いられる液晶性組成物は、少なくともポリ(メタ)アクリレートやポリシロキサンなどの側鎖型の液晶性高分子を主たる構成成分として含むものが好ましい。特に側鎖型の液晶性高分子の末端に重合可能なオキセタニル基を有するものが好ましい。より具体的には、式(1)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル部位を単独重合もしくは、他の(メタ)アクリル化合物と共重合して得られる側鎖型液晶性高分子物質を好ましく用いる。
Figure 2007256761
上記式(1)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(2)、(3)または式(4)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (2)
−P−L−P− (3)
−P− (4)
式(2)、(3)および(4)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(5)から選ばれる基を表し、Pは式(6)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
Figure 2007256761
Figure 2007256761
これらオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物の合成法は特に制限されるものではなく、通常の有機化学合成法で用いられる方法を適用することによって合成することができる。例えば、ウィリアムソンのエーテル合成や、縮合剤を用いたエステル合成などの手段でオキセタニル基を持つ部位と(メタ)アクリル基を持つ部位を結合することで、オキセタニル基と(メタ)アクリル基の2つの反応性官能基を持つオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物を合成することができる。
式(1)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル基を単独重合もしくは他の(メタ)アクリル化合物と共重合することにより下記式(7)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子が得られる。重合条件は特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合やアニオン重合の条件を採用することができる。
Figure 2007256761
ラジカル重合の例としては、(メタ)アクリル化合物をジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒に溶かし、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や過酸化ベンゾイル(BPO)などを開始剤として、60〜120℃で数時間反応させる方法が挙げられる。また、液晶相を安定に出現させるために、臭化銅(I)/2,2’−ビピリジル系や2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ・フリーラジカル(TEMPO)系などを開始剤としたリビングラジカル重合を行い、分子量分布を制御する方法も有効である。これらのラジカル重合は脱酸素条件で行うことが好ましい。
アニオン重合の例としては、(メタ)アクリル化合物をテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒に溶かし、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、グリニャール試薬などの強塩基を開始剤として、反応させる方法が挙げられる。また、開始剤や反応温度を最適化することでリビングアニオン重合とし、分子量分布を制御することもできる。これらのアニオン重合は、厳密に脱水かつ脱酸素条件で行う必要がある。
また、このとき共重合する(メタ)アクリル化合物は特に限定されるものではなく、合成される高分子化合物が液晶性を示せば何でもよいが、合成される高分子化合物の液晶性を高めるため、メソゲン基を有する(メタ)アクリル化合物が好ましい。例えば下記式で示されるような(メタ)アクリル化合物を好ましい化合物として例示することができる。
Figure 2007256761
ここでRは、水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、またはCN基を表す。
側鎖型液晶性高分子化合物は、式(7)で表されるユニットを5〜100モル%含むものが好ましく、10〜100モル%含むものが特に好ましい。また、側鎖型液晶性高分子化合物は、重量平均分子量が2,000〜100,000であるものが好ましく、5,000〜50,000のものが特に好ましい。
本発明で用いる液晶性組成物においては、前記側鎖型液晶性高分子化合物の他に、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、オキセタニル基、エポキシ基、ビニルエーテル基などのカチオン重合性官能基を有する化合物、フィルム形成能を有する各種の高分子物質、液晶性を示す各種の低分子液晶性化合物や高分子液晶性化合物などが挙げられる。前記の側鎖型液晶性高分子化合物を組成物として用いる場合、組成物全体に占める前記の側鎖型液晶性高分子化合物の割合は、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。側鎖型液晶性高分子化合物の含有量が10質量%未満では組成物中に占める重合性基濃度が低くなり、重合後の機械的強度が不十分となるため好ましくない。
また前記液晶性組成物は配向処理された後、オキセタニル基をカチオン重合させて架橋することにより、当該液晶状態を固定化するという工程をとるため、液晶性組成物中に、光や熱などの外部刺激でカチオンを発生する光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含有させておくことが好ましい。また必要によっては各種の増感剤を併用してもよい。
光カチオン発生剤とは、適当な波長の光を照射することによりカチオンを発生できる化合物を意味し、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどが好ましく用いられる。具体的な化合物としては、ArSbF 、ArBF 、ArPF (ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
熱カチオン発生剤とは、適当な温度に加熱されることによりカチオンを発生できる化合物であり、例えば、ベンジルスルホニウム塩類、ベンジルアンモニウム塩類、ベンジルピリジニウム塩類、ベンジルホスホニウム塩類、ヒドラジニウム塩類、カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、アミンイミド類、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、ジアリールヨードニウム塩−ジベンジルオキシ銅、ハロゲン化ホウ素−三級アミン付加物などを挙げることができる。
これらのカチオン発生剤の液晶性組成物中への添加量は、用いる側鎖型液晶性高分子化合物を構成するメソゲン部分やスペーサ部分の構造や、オキセタニル基当量、液晶の配向条件などにより異なるため一概には言えないが、側鎖型液晶性高分子に対し、通常100質量ppm〜20質量%、好ましくは1000質量ppm〜10質量%、化合物より好ましくは0.2質量%〜7質量%、最も好ましくは0.5質量%〜5質量%の範囲である。100質量ppmよりも少ない場合には、発生するカチオンの量が十分でなく重合が進行しないおそれがあり、また20質量%よりも多い場合には、液晶層中に残存するカチオン発生剤の分解残存物等が多くなり耐光性などが悪化するおそれがあるため好ましくない。
次に配向基板について説明する。
配向基板としては、まず平滑な平面を有するものが好ましく、有機高分子材料からなるフィルムやシート、ガラス板、金属板などを挙げることができる。コストや連続生産性の観点からは有機高分子からなるフィルムやシートが好ましい。当該フィルムやシートを構成する有機高分子材料の例としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン系ポリマー等が例示できる。前述の液晶性組成物を用い、安定してホメオトロピック配向を得るためには、これらの基板を構成する材料が長鎖(通常炭素数4以上、好ましくは8以上)のアルキル基を有しているか、または前記フィルムやシートの表面に当該アルキル基を有する化合物層を形成したものがより好ましい。前記の長鎖アルキル基を有する化合物としては長鎖アルキル基を有するポリビニルアルコールが好ましい。
液晶の分野においては、基板に対して布等でこするラビング処理を行うことが一般的であるが、本発明のホメオトロピック配向液晶層は、面内の異方性が基本的に生じない配向構造であるため、必ずしもラビング処理を必要としない。しかしながら、液晶性組成物を塗布したときのはじき抑制の観点からは弱いラビング処理を施すことがより好ましい。ラビング条件を規定する重要な設定値としては周速比がある。これはラビング布をロールに巻きつけて回転させつつ基板を擦る場合の、布の移動速度と基板の移動速度の比を表す。本発明においては弱いラビング処理とは、通常周速比が50以下、より好ましくは25以下、特に好ましくは10以下である。周速比が50より大きい場合、ラビングの効果が強すぎて液晶性組成物が完全に垂直に配向しきれず、垂直方向より面内方向に倒れた配向となる恐れがある。
次に、本発明に用いられる光学異方素子の製造工程について説明する。
光学異方素子の製造方法としてはこれらに限定されるものではないが、前述の液晶性組成物を前述の配向基板上に展開し、当該液晶性組成物を配向させた後、光照射および/または加熱処理することにより当該配向状態を固定化することにより製造することができる。
液晶性組成物を配向基板上に展開して液晶性組成物層を形成する方法としては、液晶性組成物を溶融状態で直接配向基板上に塗布する方法や、液晶性組成物の溶液を配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。
溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明の液晶性組成物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、配向基板上に均一な塗膜を形成するために、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などを溶液に添加してもよい。
液晶性組成物を直接塗布する方法でも、溶液を塗布する方法でも、塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ロールコート法などが挙げられる。
液晶性組成物の溶液を塗布する方法では、塗布後に溶媒を除去するための乾燥工程を入れることが好ましい。この乾燥工程は、塗膜の均一性が維持される方法であれば、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。例えば、ヒーター(炉)、温風吹きつけなどの方法が挙げられる。
続いて、配向基板上に形成された液晶性組成物層を、熱処理などの方法で液晶配向を形成し、光照射および/または加熱処理で硬化を行い配向を固定化する。最初の熱処理では、使用した液晶性組成物の液晶相発現温度範囲に加熱することで、該液晶性組成物が本来有する自己配向能により液晶を配向させる。熱処理の条件としては、用いる液晶性組成物の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜250℃、好ましくは30℃〜160℃の範囲であり、該液晶性組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度、さらに好ましくはTgより10℃以上高い温度で熱処理するのが好ましい。あまり低温では、液晶配向が充分に進行しないおそれがあり、また高温では液晶性組成物中のカチオン重合性反応基や配向基板に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜30分、好ましくは10秒〜10分の範囲である。3秒より短い熱処理時間では、液晶配向が充分に完成しないおそれがあり、また30分を超える熱処理時間では、生産性が悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。
該液晶性組成物層を熱処理などの方法で液晶配向を形成したのち、液晶配向状態を保ったまま液晶性組成物を組成物中のオキセタニル基の重合反応により硬化させる。硬化工程は、完成した液晶配向を硬化(架橋)反応により液晶配向状態を固定化し、より強固な膜に変性することを目的にしている。
本発明の液晶性組成物は重合性のオキセタニル基を持つため、その反応基の重合(架橋)には、カチオン重合開始剤(光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤)を用いるのが好ましいことは前述のとおりである。また、重合開始剤としては、熱カチオン発生剤より光カチオン発生剤の使用が好ましい。
光カチオン発生剤を用いた場合、光カチオン発生剤の添加後、液晶配向のための熱処理までの工程を暗条件(光カチオン発生剤が解離しない程度の光遮断条件)で行えば、液晶性組成物は配向段階までは硬化することなく、充分な流動性をもって液晶配向することができる。この後、適当な波長の光を発する光源からの光を照射することによりカチオンを発生させ、液晶性組成物層を硬化させる。
光照射の方法としては、用いる光カチオン発生剤の吸収波長領域にスペクトルを有するようなメタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどの光源からの光を照射し、光カチオン発生剤を開裂させる。1平方センチメートルあたりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光カチオン発生剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、液晶性組成物を構成する液晶性高分子に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、吸収波長の異なる2種以上の光カチオン発生剤を混合して用いるなどの方法を採ることもできる。
光照射時の温度は、該液晶性組成物が液晶配向をとる温度範囲である必要がある。また、硬化の効果を充分にあげるためには、該液晶性組成物のTg以上の温度で光照射を行うのが好ましい。
以上のような工程により製造した光学異方素子の液晶性組成物層は、充分強固な膜となっている。具体的には、硬化反応によりメソゲンが3次元的に結合され、硬化前と比べて耐熱性(液晶配向保持の上限温度)が向上するのみでなく、耐スクラッチ性、耐磨耗性、耐クラック性などの機械的強度に関しても大幅に向上する。
なお、配向基板として、光学的に等方でない、あるいは得られる光学異方素子が最終的に目的とする使用波長領域において不透明である、もしくは配向基板の膜厚が厚すぎて実際の使用に支障を生じるなどの問題がある場合、配向基板上で形成された形態から、光学的に等方な、あるいは得られる光学異方素子が最終的に目的とする使用波長領域において透明なフィルム、もしくは光学異方素子を液晶セルなどに貼合するまでの間、仮に支持しておくためのフィルムに転写した形態も使用しうる。転写方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、特開平4−57017号公報や特開平5−333313号公報に記載されているように液晶層を粘着剤もしくは接着剤を介して、配向基板とは異なる光学的に等方な基板を積層した後に、必要により粘着剤もしくは接着剤をつかって表面の硬化処理を施し、該積層体から配向基板を剥離することで液晶層のみを転写する方法等を挙げることができる。
本発明に使用される光学的に等方な基板とは、面内のリターデーション値(Re1)が、10nm以下、好ましくは0〜5nmである。
また、厚さ方向のリターデーション値(Rth1)は、60nm以下、好ましくは0〜10nmである。
この範囲外では得られる楕円偏光板の性能に悪影響を及ぼすことがあり好ましくない。なお、Re1は、当該基板の面内の主屈折率をnxおよびny(nx≧ny)、フィルム厚みをd[nm]としたとき、Re1=(nx−ny)×d で表される値である。Rth1は、当該基板の厚さ方向の屈折率をnz、フィルム厚みをd[nm]としたとき、Rth1=(nx−nz)×d で表される値である。
また膜厚も適宜選定でき、通常は5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
光学的に等方な基板としては、例えば、フジタック(富士写真フイルム社製品)やコニカタック(コニカ社製品)などのトリアセチルセルロースフィルム、アートンフィルム(JSR社製品)やゼオノアフィルム、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン社製品)などのシクロオレフィン系ポリマー、TPXフィルム(三井化学社製品)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社製品)などが挙げられるが、楕円偏光板とした場合の耐熱性や耐湿性などからトリアセチルセルロース、シクロオレフィン系ポリマーが好ましい。なお、前記の仮に支持しておくためのフィルムを用いる場合は必ずしも前記のRe1の値に拘る必要はなく、例えば、シリコーン処理を施したり、表面に易剥離層を設けたりしたポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。
光学異方素子の液晶層上に設けられるオーバーコート層を形成する材料としては、液晶層および等方な基板に対して十分な接着力を有し、液晶層の光学的特性を損なわないものであれば、特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂系、メタクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系、ポリビニルエーテル系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができる。これらのオーバーコート層は、液晶層を保護する透明保護層の機能を兼ね備えたものも含まれる。なお、上記オーバーコート層として接着剤や粘着剤を用いることもできる。
前記反応性のものの反応(硬化)条件は、オーバーコート層を構成する成分、粘度や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよい。例えば、光硬化型の場合は、好ましくは各種の公知の光開始剤を添加し、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザー、シンクロトロン放射光源などの光源からの光を照射し、反応を行わせればよい。単位面積(1平方センチメートル)当たりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光開始剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、あるいは反応性の化合物自身に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、あるいは吸収波長の異なる2種以上の光開始剤を混合して用いるなどの方法を採ることも出来る。電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは50kV〜100kVである。
オーバーコート層の厚みは、前述のように当該層を構成する成分、当該層の強度や使用温度などにより異なるが、通常1〜50μm、好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは3〜10μmである。この範囲外では最終製品の膜厚が厚くなりすぎたり、目的とする機能が不足したりして好ましくない。
また、これらのオーバーコート層はその特性を損なわない範囲で、光学特性の制御あるいは基板の剥離性や浸食性を制御する目的として、各種微粒子等や表面改質剤を添加することもできる。
前記微粒子としては、オーバーコート層を構成する化合物とは屈折率の異なる微粒子、透明性を損なわず帯電防止性能向上のための導電性微粒子、耐摩耗性向上のための微粒子等が例示でき、より具体的には、微細シリカ、微細アルミナ、ITO(Indium Tin Oxide)微粒子、銀微粒子、各種合成樹脂微粒子などが挙げられる。
また、前記表面改質剤としては、接着剤との相溶性がよく接着剤の硬化性や硬化後の光学性能に影響を及ぼさない限り特に限定されず、イオン性、非イオン性の水溶性界面活性剤、油溶性界面活性剤、高分子界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン等の有機金属系界面活性剤、反応性界面活性剤等が使用できる。とりわけ、パーフルオロアルキル化合物、パーフルオロポリエーテル化合物などのフッ素系界面活性剤、あるいはシリコーン等の有機金属系界面活性剤は表面改質効果が大きいため、特に望ましい。表面改質剤の添加量は、接着剤に対し0.01〜10質量%の範囲が望ましく、より望ましくは0.05〜5質量%、さらに望ましくは0.1〜3質量%である。この範囲よりも添加量が少なすぎると添加効果が不十分となり、一方多すぎると接着強度が下がりすぎるなどの弊害を生じる恐れがある。なお、表面改質剤は、単独で用いても良いし、必要に応じて複数種類を併用しても良い。
さらに本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を配合しても良い。
なお、オーバーコート層は、後述する各種の表面処理に耐性を有することがさらに好ましい。
本発明に用いられる光学素子の液晶層は、液晶層の厚さをd、液晶層面内の主屈折率をNx,Ny、厚さ方向の主屈折率をNz、かつ、Nx≧Nyとした場合に、面内のリターデーション値(Re)を、Re=(Nx−Ny)×d[nm]、厚さ方向のリターデーション値(Rth)を、Rth=(Nx−Nz)×d[nm]としたとき、液晶層の光学パラメータであるRe、Rthは、輝度向上フィルムとして使用する場合や液晶表示装置の視角改良フィルムとして使用する場合等用途の違いにより、また視角改良フィルムで使用する場合においても液晶表示装置の方式や種々の光学パラメーターに依存することから一概には言えないが、550nmの単色光に対して、液晶層Reは、通常0nm〜200nm、好ましくは0nm〜100nm、さらに好ましくは0nm〜50nmの範囲であり、かつ、Rthは、通常−500〜−30nm、好ましくは−400〜−50nm、さらに好ましくは−400〜−100nmに制御されたものである。
前記Re及びRthを上記範囲にすることにより、液晶表示装置の視角改良フィルムとしては、液晶表示の色調補正を行いながら視野角を広げることが可能となる。Reが200nmより大きい場合、大きい正面位相差値の影響で、液晶表示素子の正面特性を悪化させる恐れがある。また、Rthが−30nmより大きいあるいは−500nmより小さい場合には、十分な視角改良効果が得られないかあるいは、斜めから見たときに不必要な色付きが生じる恐れがある。
前記液晶層の膜厚は、用いる液晶性組成物の光学異方性(複屈折)や液晶表示装置の方式や種々の光学パラメーターに依存することから一概には言えないが、通常0.2μm〜10μm、好ましくは0.3μm〜5μm、さらに好ましくは0.5μm〜2μmである。膜厚が0.2μmより薄い場合、十分な視角改良効果を得ることができない恐れがある。また10μmを越えると、液晶表示装置が不必要に色付く恐れがある。
以上のようにして得られる液晶層は、当該液晶層の光学位相差を垂直入射から傾けた角度で測定することによって定量化することができる。ホメオトロピック配向液晶層の場合、この位相差値は垂直入射について対称的である。光学位相差の測定には数種の方法を利用することができ、例えば自動複屈折測定装置(王子計測機器(株)製)および偏光顕微鏡を利用することができる。このホメオトロピック配向液晶層はクロスニコル偏光子間で黒色に見える。このようにしてホメオトロピック配向性を評価した。
本発明に使用できる偏光素子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光素子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光素子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光素子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
偏光素子の一方の面に設けられる透光性保護フィルムとしては、前述の光学的に等方な基板から適宜選定して用いることができるが、透光性保護フィルムの厚さは、一般には200μm以下であり、1〜100μmが好ましい。特に5〜50μmとするのが好ましい。また、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えば、アクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層等は、光学的に等方な基板そのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルム層とは別体のものとして設けることもできる。
次いで、上記の光学異方素子は偏光素子と貼合されるが、貼合する前に光学異方素子に表面処理を施しておくのが好ましい。
表面処理は、光学異方素子を構成する光学的に透明な基板に適した方法を用いればよく、かかる方法としては、鹸化処理、コロナ放電処理、火炎処理等を挙げることができ、例えば、トリアセチルセルロースを用いた場合は鹸化処理が、またシクロオレフィン系ポリマーを用いた場合はコロナ放電処理がそれぞれ好ましい。
前記の鹸化処理は、通常アルカリ水溶液に接触させることによって行われる。アルカリ水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが用いられ、アルカリ濃度としては、約0.1〜10質量%、好ましくは約0.5〜5質量%、さらに好ましくは約1〜3質量%程度の希薄溶液で十分である。処理条件としては、室温で1〜60分、好ましくは30分以下、さらに好ましくは15分以下の温和な条件で十分である。処理後は十分に水洗することが必要なことはいうまでもない。液晶層にオーバーコート層が設けられていれば、鹸化処理工程において液晶層が浸食されたり、損傷を受けたりすることはない。
コロナ放電処理も通常の条件でよく、例えば、粘着剤層と接する等方な基板面に施す。処理条件としては、使用する基板およびコロナ処理装置の種類により異なるが、例えばエネルギー密度として1〜300W・min/mが好適である。コロナ放電処理を施すことによって表面張力は増大するが、40dyn/cm以上に高くしておくことが望ましい。
光学異方素子と偏光素子との貼合は、適宜の粘・接着剤を用いて行うことができる。粘・接着剤としては、透光性であって光学的に等方であれば任意のものが使用でき、アクリル系、エポキシ系、エチレン−酢酸ビニル系、ゴム系などを挙げることができ、これらは光重合性基等の反応性基を有してもよく、その場合は貼合後、反応性基を反応させるに適した硬化工程を行わせることが必要である。前記の粘・接着剤の中でも、特にアクリル系粘・接着剤が好適に用いられる。
粘・接着剤層の形成は公知の方法で行うことができ、例えば前記の液晶層の形成と同様に行ってもよい。光学異方素子と偏光素子との貼合は、貼合強度を向上させる、貼合界面に空気の残存による泡の発生を防止する、などのためにラミネーター、ロール、加圧器等を用いて加圧、加熱等を加えてもよい。なお、貼合には、シリコーン等の易剥離処理を設けた適当な基板上に前記の粘・接着剤層を形成したいわゆるノンキャリア粘・接着剤を用いてもよい。
ついで、光学異方素子が貼合された偏光素子の当該貼合面と反対側の面に、透光性保護フィルムを貼合することにより、本発明の楕円偏光板を得ることができる。
透光性保護フィルムの貼合は光学異方素子と偏光素子との貼合と同様の方法や装置を用いて行えばよい。
上記の光学異方素子、偏光素子、透光性保護フィルムは、長尺フィルム形態でそれぞれMD方向に揃えた状態で、連続的に重ね合わせて積層することができる。
また、これらの3者は偏光素子の両側へ同時に光学異方素子および透光性保護フィルムを貼合しても、偏光素子へ光学異方素子、透光性保護フィルムの順に、または透光性保護フィルム、光学異方素子の順に貼合してもよい。
さらに本発明の楕円偏光板は、反射防止層、防眩処理層、ハードコート層、接着層、粘着層、光拡散層、光拡散性接着層等を1層または複数層含んでいても良い。
次に、本発明の楕円偏光板を適用する液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、前記楕円偏光板を少なくとも有する。本発明の楕円偏光板を液晶セルに配置する場合には、楕円偏光板の液晶高分子層を偏光素子層と液晶セルの間に配置することが必要である。
液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、および必要に応じて位相差補償板、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート等の部材から構成されるが、本発明においては前記楕円偏光板を使用する点を除いて特に制限は無い。また前記楕円偏光板の使用位置は特に制限はなく、また、1カ所でも複数カ所でも良い。
前記液晶表示装置に用いる偏光板は特に制限されず、前述した楕円偏光板に使用するものと同様の偏光素子から得られるものを使用することができる。
液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。
液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。
前記液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶物質、高分子液晶物質およびこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性物質等を添加することもできる。
前記液晶セルは、前記電極基板および液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていても良い。
前記液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式,STN(Super Twisted Nematic)方式,ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式,IPS(In-Plane Switching)方式,VA(Vertical Alignment)方式,OCB(Optically Compensated Birefringence)方式,HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)方式,ハーフトーングレイスケール方式,ドメイン分割方式,あるいは強誘電性液晶,反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。
また、液晶セルの駆動方式も特に制限はなく、STN−LCD等に用いられるパッシブマトリクス方式、並びにTFT(Thin Film Transistor)電極、TFD(Thin Film Diode)電極等の能動電極を用いるアクティブマトリクス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であっても良い。
前記液晶表示装置に用いる位相差補償板としては、透明性と均一性に優れたものであれば特に制限されないが、高分子延伸フィルムや、液晶からなる光学補償フィルムが好ましく使用できる。高分子延伸フィルムとしては、セルロース系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリスルフォン系、ポリアクリル系、ポリエーテルスルフォン系、シクロオレフィン系ポリマー等からなる1軸又は2軸位相差フィルムを例示することができる。中でもポリカーボネート系がコスト面およびフィルムの均一性から好ましい。
また、ここで言う液晶からなる光学補償フィルムとは、液晶を配向させてその配向状態から生じる光学異方性を利用できるフィルムであれば特に制限されるものではない。例えばネマチック液晶やディスコチック液晶、スメクチック液晶等を利用した各種光学機能性フィルム等、公知のものを使用することができる。
ここに例示した位相差補償板は、液晶表示装置を構成するにあたり、1枚のみの使用でも良いし、複数枚使用しても良い。また、高分子延伸フィルムと、液晶からなる光学補償フィルムの両方を使用することもできる。
前記反射層としては、特に制限されず、アルミニウム、銀、金、クロム、白金等の金属やそれらを含む合金、酸化マグネシウム等の酸化物、誘電体の多層膜、選択反射を示す液晶又は、これらの組み合わせ等を例示することができる。これら反射層は平面であっても良く、また曲面であっても良い。さらに反射層は、凹凸形状など表面形状に加工を施して拡散反射性を持たせたもの、液晶セルの観察者側と反対側の前記電極基板上の電極を兼備させたもの、反射層の厚みを薄くしたり、穴をあける等の加工を施すことで光を一部透過させるようにした半透過反射層であっても良く、またそれらを組み合わせたものであっても良い。
前記光拡散層は、入射光を等方的あるいは異方的に拡散させる性質を有するものであれば、特に制限はない。例えば2種以上の領域からなり、その領域間に屈折率差を持つものや、表面形状に凹凸を付けたものが挙げられる。前記2種以上の領域からなり、その領域間に屈折率差を持つものとしては、マトリックス中にマトリックスとは異なる屈折率を有する粒子を分散させたものが例示される。前記拡散層はそれ自身が粘接着性を有するものであっても良い。
前記光拡散層の膜厚は、特に制限されるものではないが、通常10μm以上500μm以下であることが望ましい。
また光拡散層の全光線透過率は、50%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましい。さらに当該光拡散層のヘイズ値は、通常10〜95%であり、好ましくは40〜90%であり、さらに好ましくは60〜90%であることが望ましい。
前記バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシートとしては、特に制限されず公知のものを使用することができる。
本発明の液晶表示装置は、前記した構成部材以外にも他の構成部材を付設することができる。例えば、カラーフィルターを本発明の液晶表示装置に付設することにより、色純度の高いマルチカラー又はフルカラー表示を行うことができるカラー液晶表示装置を作製することができる。
本発明の楕円偏光板は、オキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物を重合して得られる側鎖型液晶性高分子を含有する液晶性組成物を用い、当該液晶性組成物の配向状態を固定化することにより耐熱性に優れ、硬度が高く、機械的強度に優れたホメオトロピック配向した液晶層から少なくとも構成される光学異方素子と、光学異方素子と偏光素子との接着性に優れ、貼り合わせ工程において液晶層に損傷が起こり難く、耐湿熱性の良好な液晶表示装置用の楕円偏光板として有用である。さらに偏光素子との貼り合わせ工程においても、長尺フィルム形態で貼合することができるために、従来法より貼合工程が合理化できる利点がある。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例で用いた各分析方法は以下の通りである。
(1)GPCの測定
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、SuperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定した。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(2)顕微鏡観察
オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で液晶の配向状態を観察した。
(3)液晶フィルムのパラメータ測定
王子計測機器(株)製自動複屈折計KOBRA21ADHを用いた。
(4)膜厚測定法
SLOAN製SURFACE TEXTURE ANALYSIS SYSTEM Dektak 3030STを用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。
<実施例1>
(1)液晶層Aの作製
ラジカル共重合により、下記式(8)の液晶性高分子化合物を合成した。GPCによる分子量はポリスチレン換算で、数平均分子量Mn=8000、重量平均分子量Mw=15000であった。なお、式(8)はブロック共重合体の構造で表記しているがモノマーの構成比を表すものである。
式(8)の液晶性高分子化合物1.0gを、9mLのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.1gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して液晶性組成物の溶液を調製した。
配向基板は以下のようにして調製した。650mm幅、厚さ38μmの長尺のポリエチレンテレフタレートフィルム(PET,東レ(株)製)上に搬送しながら、アルキル変性ポリビニルアルコール(PVA,(株)クラレ製、MP−203)の5質量%溶液(溶媒は、水とイソプロピルアルコールの質量比1:1の混合溶媒)をダイコーターを用いて連続的に塗布・乾燥し、130℃で加熱処理して配向基板フィルムを得た。
次いで、レーヨンのラビング布でラビングした。得られたPVA層の膜厚は1.2μmであった。ラビング時の周速比(ラビング布の移動速度/基板フィルムの移動速度)は4とした。
このようにして得られた配向基板に、液晶高分子溶液を、ダイコーターを用いて連続的に塗布・乾燥し、未配向の液晶高分子層を形成した後、130℃×10分間加熱処理をして液晶組成物を配向させた。次いで、60℃に加熱した金属ドラムに密着させながら、その上から、高圧水銀灯ランプにより600mJ/cmの紫外光(ただし365nmで測定した光量)を照射して、液晶性組成物層を硬化させて、液晶層Aを得た。
(2)光学異方素子Bの作製
基板として用いたPETフィルムは大きな複屈折を持ち光学用フィルムとして好ましくないため、得られた配向基板上の液晶層Aを、紫外線硬化型接着剤を介して、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(膜厚40μm)に転写した。すなわち、PETフィルム上の硬化した液晶層Aの上に、接着剤を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートして、TACフィルム側から紫外線を照射して接着剤を硬化させた後、PETフィルムを剥離し、光学異方素子Bを得た。
得られた光学異方素子B(液晶層/接着剤層/TACフィルム)を偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションがなくモノドメインの均一な配向で、コノスコープ観察から正の一軸性屈折率構造を有するホメオトロピック配向であることがわかった。KOBRA21ADHを用いて測定したTACフィルムと液晶層を合わせた面内方向のリターデーション値(Re)は0.5nm、厚さ方向のリターデーション値(Rth)は−150nmであった。なお、TACフィルム単体は負の一軸性でReが−0.5nm、Rthは+40nmであったことから、液晶層単独のReは0nm、Rthは−190nmと見積もられた。
さらに光学異方素子Bの液晶層部分のみをかきとり、DSCを用いてガラス転移点を測定したところ、Tgは100℃であった。また液晶層表面の鉛筆硬度は2H程度で、充分に強固な膜が得られた。
Figure 2007256761
(3)楕円偏光板Cの作製
光学異方素子Bを室温で、2質量%水酸化カリウム水溶液中に5分間浸漬して鹸化処理を行い、流水中で洗浄した後乾燥させた。延伸したポリビニルアルコールに沃素を吸着させた偏光素子の一方の面に、アクリル系接着剤を用いて、鹸化した光学異方素子Bを液晶層が外側となるように連続的に貼り合わせた。
ついで、偏光素子の他方の面には鹸化したTACフィルムを貼り合わせ、本発明の楕円偏光板Cを作製した。総膜厚は約130μmであり、通常のもの(厚み160μm)よりも薄くすることが出来た。この楕円偏光板Cを光学検査したところ液晶層にシミや傷などの損傷は見られなかった。この楕円偏光板Cの光学異方素子B側をアクリル系粘着剤を介してガラス板に貼り付け、60℃90%RHの恒温恒湿槽に入れ、500時間経過後に取り出して観察したところ、剥がれや泡の発生などの異常は一切認められなかった。
<実施例2>
(1)光学異方素子Dの作製方法
実施例1で作製したPET配向基板上の液晶層を、紫外線硬化型接着剤を介して、ゼオノアフィルム(膜厚40μm、日本ゼオン社製)に転写した。すなわち、PETフィルム上の硬化した液晶層の上に、接着剤を5μm厚となるように塗布し、ゼオノアフィルムでラミネートして、ゼオノアフィルム側から紫外線を照射して接着剤を硬化させた後、PETフィルムを剥離し、光学異方素子Dを得た。
得られた光学異方素子D(液晶層/接着剤層/ゼオノアフィルム)を偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションがなくモノドメインの均一な配向で、コノスコープ観察から正の一軸性屈折率構造を有するホメオトロピック配向であることがわかった。KOBRA21ADHを用いて測定したゼオノアフィルムと液晶層をあわせた面内方向のリターデーション値(Re)は0.1nm、厚さ方向のリターデーション値(Rth)は−110nmであった。なお、ゼオノアフィルム単体は等方性でReが0.1nm、Rthは+1nmであったことから、液晶層単独でのReが0nm、Rthが−110nmと見積もられた。
(2)接着剤の調製
ウレタン系接着剤として、主剤となるポリエステルポリオールプレポリマーである東洋モートン(株)製のEL−436A(固形分濃度35質量%の水溶液)100部に、イソシアネート系硬化剤である東洋モートン(株)製のEL−436B(有効成分100%品)30部を配合し、さらに水を加えて固形分濃度が20質量%となるように希釈した。一方、ポリビニルアルコール系接着剤として、(株)クラレ製のカルボキシル基変性ポリビニルアルコール「クラレポバール KL318」(酢酸ビニルとイタコン酸ナトリウムのモル比約98:2の共重合体のケン化物、ケン化度85〜90モル%、分子量約85,000)の3質量%水溶液を調製した。得られたウレタン系接着剤とポリビニルアルコール系水溶液とを、重量比1:1(固形分重量比では20:3)で混合し、混合接着剤とした。
(3)楕円偏光板Eの作製
延伸したポリビニルアルコールに沃素を吸着させた偏光素子の両面に、調製した混合接着剤を混合後1分以内に塗布し、その一方の面には、光学異方素子Dのゼオノア面側に250W・min/mの条件でコロナ処理を施し、そのコロナ処理後30秒以内にそのコロナ処理面で貼り合わせた。
ついで、偏光素子の他方の面には鹸化したTACフィルムを貼り合わせ、本発明の楕円偏光板Eを作製した。総膜厚は約130μmであり、通常のもの(160μm)よりも薄くすることが出来た。この楕円偏光板Eを光学検査したところ液晶層にシミや傷などの損傷は見られなかった。この楕円偏光板Eの光学異方素子D側をアクリル系粘着剤を介してガラス板に貼り付け、60℃90%RHの恒温恒湿槽に入れ、500時間経過後に取り出して観察したところ、剥がれや泡の発生などの異常は一切認められなかった。
<比較例1>
(1)楕円偏光板Fの作製
延伸したポリビニルアルコールに沃素を吸着させた偏光素子の両側に、アクリル系接着剤を用いて、鹸化したTACフィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。光学異方素子Bを鹸化処理することなく、その液晶側をアクリル系粘着剤を介してこの偏光素子に貼合して楕円偏光板Fを作製した。この楕円偏光板Fは厚さ約200μmと厚く、巻き厚が大きくなるために一回の操作での処理長さは実施例1の楕円偏光板の作製に比べて短くならざるを得なかった。
楕円偏光板Fの光学異方素子B側にアクリル系粘着剤を塗布しガラス板に貼りつけて、実施例1と同様の試験を行ったところ、500時間経過後に端部に0.5mmの剥がれが認められた。
<比較例2>
(楕円偏光板Gの作製)
延伸したポリビニルアルコールに沃素を吸着させた偏光素子の両側に、アクリル系接着剤を用いて、鹸化したTACフィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。光学異方素子Dをコロナ処理することなく、その液晶側をアクリル系粘着剤を介してこの偏光素子に貼合して楕円偏光板Gを作製した。この楕円偏光板Gは厚さ約200μmと厚く、巻き厚が大きくなるために一回の操作での処理長さは実施例2の楕円偏光板の作製に比べて短くならざるを得なかった。
楕円偏光板Gの光学異方素子D側にアクリル系粘着剤を塗布しガラス板に貼りつけて、実施例1と同様の試験を行ったところ、500時間経過後に端部に0.5mmの剥がれが認められた。
<実施例3>
実施例1で作製した楕円偏光板Cを用いて、図2に示すように、バックライト、下偏光板、IPS型液晶セル、上偏光板の順で配置された市販のIPS型の液晶テレビの上偏光板の代わりに、楕円偏光板Cを配置した。その結果、偏光板のみの場合に比べ、視野角が拡大し、斜めから見ても良好な画像が得られることが分かった。
<実施例4>
実施例2で作製した楕円偏光板Eを用いて、図2に示すように、バックライト、下偏光板、IPS型液晶セル、上偏光板の順で配置された市販のIPS型の液晶テレビの上偏光板の代わりに、楕円偏光板Eを配置した。その結果、偏光板のみの場合に比べ、視野角が拡大し、斜めから見ても良好な画像が得られることが分かった。
本発明の楕円偏光板を模式的に示す立面断面図である。 実施例3で用いた液晶ディスプレイの概念図である。
符号の説明
1 楕円偏光板
2 透光性保護フィルム
3 偏光素子
4 光学的に等方性の基板
5 ホメオトロピック配向液晶層
6 IPS液晶パネル
7 偏光板
8 バックライト

Claims (15)

  1. 光学的に等方性の基板上に配向した液晶層からなる光学異方素子と透光性保護フィルムとの間に偏光素子が挟持される楕円偏光板であって、該光学異方素子が少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向させた後、該配向を固定化したホメオトロピック配向液晶層を含むことを特徴とする楕円偏光板。
  2. 楕円偏光板が、長尺フィルム形態の光学異方素子、透光性保護フィルムおよび偏光素子から得られることを特徴とする請求項1に記載の楕円偏光板。
  3. 該光学異方素子が、オキセタニル基を有する側鎖型の液晶性高分子化合物を含有する液晶性組成物を、液晶状態でホメオトロピック配向させた後、前記オキセタニル基を反応せしめて前記ホメオトロピック配向を固定化したホメオトロピック配向液晶層であることを特徴とする請求項1に記載の楕円偏光板。
  4. 該光学異方素子が、以下の[1]および[2]を満たすホメオトロピック配向液晶層からなることを特徴とする請求項1に記載の楕円偏光板。
    [1]0≦Re≦200
    [2]−500≦Rth≦−30
    (ここで、Reは液晶層の面内のリターデーション値を意味し、Rthは液晶層の厚さ方向のリターデーション値を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth=(Nx−Nz)×d[nm]である。また、dは液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは液晶層面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nz>Nx≧Nyである。)
  5. 光学的に等方性の基板が、トリアセチルセルロースであることを特徴とする請求項1に記載の楕円偏光板。
  6. 光学的に等方性の基板が、シクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の楕円偏光板。
  7. 光学異方素子が表面処理されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の楕円偏光板。
  8. 表面処理が、鹸化処理であることを特徴とする請求項7に記載の楕円偏光板。
  9. 表面処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする請求項7に記載の楕円偏光板。
  10. 該楕円偏光板の厚みが250μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の楕円偏光板。
  11. 液晶層の表面に透光性オーバーコート層が設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の楕円偏光板。
  12. 透光性オーバーコート層がアクリル系樹脂からなることを特徴とする請求項11に記載の楕円偏光板。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の楕円偏光板に、さらに少なくとも1つの光学フィルムが積層されていることを特徴とする楕円偏光板。
  14. 光学的に等方性の基板上に液晶層を形成したのち、該液晶層の表面に透光性オーバーコート層を設けることによって光学異方素子を製造し、次いで該光学異方素子に表面処理を施し、しかる後に偏光素子を粘・接着剤層を介して該光学異方素子と透光性保護フィルムに挟持されるように貼り合わせることを特徴とする楕円偏光板の製造方法。
  15. 液晶セルの少なくとも片側の面に、請求項1〜13のいずれかに記載の楕円偏光板を配置した液晶表示装置。
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