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JP2007256479A - 光学素子、光学素子を用いた投影スクリーンおよび光学素子を用いた投影システム - Google Patents

光学素子、光学素子を用いた投影スクリーンおよび光学素子を用いた投影システム Download PDF

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JP2007256479A
JP2007256479A JP2006078996A JP2006078996A JP2007256479A JP 2007256479 A JP2007256479 A JP 2007256479A JP 2006078996 A JP2006078996 A JP 2006078996A JP 2006078996 A JP2006078996 A JP 2006078996A JP 2007256479 A JP2007256479 A JP 2007256479A
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light
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Masaki Umetani
谷 雅 規 梅
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】特定の波長を有する光を入射側と反対方向に透過させ、明確な透過光として視認でき、かつ透明性の高い光学素子を提供する。
【解決手段】光学素子10は、複数の単位干渉構造11を含むとともに、入射光15に対する波長選択性を有する干渉膜13を備えている。各単位干渉構造11に設けられた界面12の法線14方向は、光学素子10の法線17方向に対して45°乃至90°の範囲内となっている。これにより、光学素子10は、裏面10bからの入射光15を各単位干渉構造11で反射して表面10cに透過させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、波長選択性を有する干渉膜を備えた光学素子、この光学素子を用いた投影スクリーン、およびこの光学素子を用いた投影システムに関する。
従来より干渉膜を備えた光学素子またはこのような光学素子を用いる製品として、干渉フィルター、バンドパスフィルター等、特定の色の光を反射光または透過光として取り出す光学部品、カラーフィルターや偏光分離素子、輝度向上フィルム等のディスプレイ部材、およびこれらの光学部品やディスプレイ部材を利用する投影スクリーン等が提案されている。
また、コレステリック配向性を有する光学素子として反射素子が知られている。具体的には、このような反射素子は、液晶ディスプレイ部材の偏光分離反射素子等として利用されたり、またカラーフィルターやネガティブCプレート等においても利用されている。
また、上述した投影スクリーンとしては、コレステリック液晶を用いる偏光スクリーンが知られており、さらに、近年、光の拡散性を制御するコレステリック液晶層を用いるスクリーンやLCD用反射板が知られるようになっている。
このような背景の下で、本発明者は、反射する光の拡散角が互いに異なる2層以上の干渉膜を有し、観察者側から投射された映像光をこの干渉膜に反射させることにより映像を表示する投影スクリーンを提案している(特許文献1および2参照)。
特開2005−107296号公報 特開2006−17930号公報
しかしながら、上述した光学素子は、干渉膜内部のピッチ構造の積層方向が干渉膜の表面方向に対して垂直となっており、このため、このような干渉膜は、干渉膜へ入射する入射光が反射してしまい、入射光を十分に透過させかつ拡散させることができない。
また、コレステリック液晶からなる干渉膜内部に不均一方向を向く多数の螺旋軸構造を形成することにより、光の拡散性を付与する光学素子も知られている。しかしながら、これらの光学素子は光を反射する反射素子からなっており、光拡散透過性は乏しい。
さらに、特許文献1および2において、光の拡散角が異なる複数の拡散層を積層させる投影スクリーンが開示されているが、これらの投影スクリーンは光の入射方向と光の主反射方向とが正反射の関係にあり、また、入射する光を透過させる光拡散透過性も有しない。
一方で、透過スクリーンとしては、一般にマット状のフィルムやレンズシートなどを用いたリアスクリーンが存在する。しかしながら、このようなリアスクリーンは、透過光を効率的に光拡散することができるが、透明性を得ることは困難である。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、入射した光のうち特定の波長を有する光を内部において選択的に反射させ、この光を入射側と反対方向に透過させることができる光学素子を提供することを目的とする。
本発明は、各々が複数の単位干渉構造を含むとともに、入射光に対する波長選択性を有する複数の干渉膜を備えた光学素子において、各干渉膜に設けられた各単位干渉構造の界面の法線方向が、光学素子の法線方向に対して45°乃至90°の範囲内となり、光学素子裏面からの入射光を各単位干渉構造で反射して光学素子表面に透過させることを特徴とする光学素子である。
本発明は、各々が複数の単位干渉構造を含むとともに、入射光に対する波長選択性を有する複数の干渉膜を備えた光学素子において、各干渉膜に設けられた各単位干渉構造の界面の法線方向が、光学素子の法線方向に対して45°乃至90°の範囲内となり、光学素子裏面からの入射光を各単位干渉構造で反射して光学素子表面に透過させることを特徴とする光学素子である。
本発明は、各単位干渉構造の光学的距離の1ピッチの長さが、300nm乃至86000nmの範囲内となることを特徴とする光学素子である。
本発明は、各単位干渉構造の界面の法線方向が、光学素子の法線方向に対して45°乃至90°の範囲内においてばらつきを持つことを特徴とする光学素子である。
本発明は、各単位干渉構造の界面間の距離が一定となることを特徴とする光学素子である。
本発明は、各単位干渉構造の界面間の距離が連続的に変化することを特徴とする光学素子である。
本発明は、干渉膜が偏光分離特性を有することを特徴とする光学素子である。
本発明は、干渉膜がコレステリック液晶からなることを特徴とする光学素子である。
本発明は、光学素子からなる投影スクリーンである。
本発明は、光学素子からなる投影スクリーンと、投影スクリーンの外方に設けられ、投影スクリーンに光を入射する投影装置と、を備え、投影装置から投影スクリーンに入射する光は、投影スクリーンの光学素子に設けられた干渉膜が選択的に反射する偏光成分からなることを特徴とする投影システムである。
本発明は、投影スクリーンと、投影スクリーンの外方に設けられ、投影スクリーンに光を入射する投影装置と、を備えたことを特徴とする投影システムである。
本発明によれば、光学素子の干渉膜は、入射した光のうち特定の波長を有する光を、干渉膜内部に設けられた単位干渉構造において選択的に反射させ、この光を入射側と反対方向に透過させることができる。
また、本発明によれば、各単位干渉構造の界面の光軸方向を光学素子の法線方向に対して45°乃至90°の範囲内でばらつかせ、これにより、光学素子の入射側と反対方向に透過された光が拡散性を有するものとすることができる。
さらに、本発明によれば、複数の干渉膜を備えた光学素子の各干渉膜をそれぞれ青、緑、赤の3色の光からなる光の反射帯域を有するものとすることができる。また、光学素子の背後からの光を効率的に透過させることができる。また、光学素子の透明性を向上させることができる。
さらにまた、本発明によれば、2以上の干渉膜を備えた光学素子において、各干渉膜の光の反射帯域を互いに異なるものとすることができる。
さらにまた、本発明によれば、干渉膜内部にコレステリック構造を有し、この干渉膜に特定の偏光成分からなる偏光のみを反射させる偏光選択性を付与することができる。これにより、光学素子の裏面からの光を効率的に透過させることができ、また、光学素子の透明性を向上させることができる。
さらにまた、本発明によれば、干渉膜内部にコレステリック構造を有し、偏光選択性を有する場合、コレステリック構造を有する干渉膜は、それ自体の構造により反射光の拡散角を制御できる。これにより、干渉膜が選択的に反射する特定の偏光成分からなる偏光のみに拡散性を付与することができ、光学素子から反射される映像、および光学素子を透過する映像を鮮明なものとすることができる。一方、干渉膜が選択的に反射しない偏光成分からなる偏光は、干渉膜により拡散されないため、光学素子を透過する背景を鮮明に視認することができる。
さらにまた、本発明によれば、投影装置からの入射光を投影スクリーンに入射した場合に、この入射光が投影スクリーンを透過し、これにより投影装置の反対側から映像光を明確に視認することができる。
第1の実施の形態
以下、本発明による光学素子の第1の実施の形態について、図1乃至図3、図5乃至図10、および図12を参照して説明する。
ここで、図1は本発明による光学素子の第1の実施の形態を示す概略断面図であり、図2は単位干渉構造の界面の法線方向が図1と異なる場合における光学素子の概略断面図である。また、図3は、各単位干渉構造の界面の法線方向がばらつきを持つ光学素子の概略断面図であり、図5は、偏光分離機能を有する光学素子の概略断面図である。さらに、図6は、コレステリック液晶からなる干渉膜の概略断面図であり、図7は、コレステリック液晶の一の螺旋構造を示す概略図である。さらにまた、図8は、内部に凹凸形状を有する干渉膜の概略断面図であり、図9は、内部に多数のフレーク状の反射体を有する干渉膜の概略断面図であり、図10は、コレステリック液晶からなる干渉膜の概略断面図であり、図12は、コレステリック液晶層と基材との間に配向膜を有する光学素子の概略断面図である。
まず、図1により本発明による光学素子の概略について説明する。
図1に示すように、光学素子10は、入射光15に対する波長選択性を有する干渉膜13を備え、この干渉膜13は、複数の単位干渉構造11を含んでいる。
このうち、干渉膜13の各単位干渉構造11の界面12の法線14方向と、光学素子10の法線17方向とがなす角θは、45°乃至90°の範囲内となり、光学素子裏面10bからの入射光15を各単位干渉構造11で反射して光学素子表面10cに透過させるようになっている。この干渉膜13は、いわゆるブラッグ反射を発現するものであり、一般的には干渉フィルター、バンドパスフィルター等からなり、特定の波長の光のみを選択的に反射する性質を有している。なお、各単位干渉構造11の界面12の法線14は、後述のように界面12の光軸14に一致する。
ここで、単位干渉構造11は、後述するように干渉膜13が透明体にフレーク状の反射体を練り込んで形成された場合のように、その構造が外観上明確に視認できる場合に限らず、例えば干渉膜13がコレステリック液晶である場合のように、干渉膜13が連続的な構造となっている場合においても内部に構成されている。すなわち、干渉膜13が連続的な構造であっても、内部に入射する光の反射方向が実質的に一定であると見なすことができ、界面12が実質的に平面であると見なせる領域の単位が単位干渉構造11となる。
また、各単位干渉構造11の界面12間の距離dは一定であってもよく、各単位干渉構造11の界面12間の距離dが連続的に変化するものであっても良い。
(光軸の傾き)
次に、単位干渉構造11に設けられた界面12の法線14に一致する光軸14について説明する。
本実施の形態において、光軸14の傾きは、界面12の法線14と、光学素子10の法線17とがなす角度θに一致する。この角度θは、45°乃至90°の範囲となるのが好ましい。すなわち、原理的にはθが45度以下であると、単位干渉構造11で反射した光16’を光学素子10の表面10c側に透過させることができない。したがって、光学素子10に対して斜めに入射する入射光15を光学素子10の略正面方向に透過させるにはθが60°乃至90°の範囲が好ましく、θが70°乃至90°の範囲となるのが最も好ましい。
例えば後述する条件、すなわち単位干渉構造11の界面12へ光が垂直に入射したときの反射波長λを1200nmとし、光学素子10の平均屈折率を1.58とする条件の下において、入射角θが80°かつ出射角θが0°となる光軸14の傾きθは、θ=70.7°となる。
なお、光学素子10の干渉膜13内に設けられた全ての単位干渉構造11の光軸14の傾きθが45°乃至90°の範囲に含まれている必要はない。原理的に、または製造工程上の理由により、干渉膜13内部において光軸14の傾きθが0°乃至45°となる領域が含まれる場合もある。しかしながら、各光軸14の傾きθは、概ね45°乃至90°となるのが好ましい。
一方、わずかな透過光を得るのであれば、光軸14の傾きθが45°乃至90°となる干渉膜13の領域(以下有効ドメイン領域という)が干渉膜13の全体に占める割合は0%に近くても良い。すなわち、干渉膜13の有効ドメイン領域がわずかでも光学素子10内に存在すれば、透過光16を得ることができる。ただし、入射光15の強度に対する透過光16の強度を高めたい場合には、有効ドメイン領域が干渉膜13全体に占める割合は、体積率にして50%乃至100%となることが好ましい。これは、有効ドメイン領域の体積率が50%未満となると、単位干渉構造11で選択反射された光16’のうち、透過側(表面10c側)へ透過する透過光16の光量より、入射側(裏面10b側)へ戻る光の光量が多くなるためである。したがって、透過光16の光量を多くするためには、有効ドメイン領域が干渉膜13全体に占める体積率が、70%乃至100%となるのが好ましい。
(光学的距離およびピッチ)
次に、光学的距離およびピッチについて説明する。
光学的距離とは、光が実空間を伝播する距離に媒質の屈折率を乗じた値と定義され、ピッチとは、単位干渉構造11の繰り返しピッチのことをいう。単位干渉構造11は、入射した光15’の光学的距離の1ピッチの長さと等しい長さの波長の光16’を選択的に反射する性質を有する。後述するブラッグの反射条件により、入射角θが大きくなると反射波長λが小さくなって短波長側ヘシフトする、いわゆるブルーシフトが生じる。
ここで、入射角θとは、単位干渉構造11の界面12の光軸14と単位干渉構造11に入射する光15’とがなす角をいい、例えば、界面12と垂直に光15’が入射する場合にθ=0°となり、界面12と平行に光15’が入射する場合にθ=90°となる。
このブルーシフトを勘案すれば、光学的距離の1ピッチの長さは限定されない。しかしながら、干渉膜13を形成する物質には光吸収が存在する。これにより、入射光15の波長が300nm以下の場合、実際上干渉膜13が有機物を吸収するため、透過光16を得るのが難しい。また、入射光15’の波長が長波長となると、単層結合の赤外吸収により1500nm付近の光は透過されにくい。
このことにより、ブルーシフトの作用を考慮すると、干渉膜13の単位干渉構造11への入射角θの最小値はθ=0°となる。ただし、θ=0°とすると透過光16が得られないので、θ=1°とすると、光学的距離の1ピッチは300nm÷cos1°=300nmとなり、これが光学的距離の1ピッチの最小値となる。一方、入射角θの最大値は90°であるが、θ=90°とすると単位干渉構造11で光が反射しないため、θ=89°とすると、光学的距離の1ピッチの最大値は、1500nm÷cos89°=85948nmとなる。したがって、光学的距離の1ピッチは300nm乃至86000nmの範囲となるのが好ましい。
ところで、可視光の波長領域は380nm乃至780nmであるため、透過光16を可視光の波長領域で得るためには、上述した場合と同様に算出すると、光学的距離の1ピッチは約380nm乃至45000nmの範囲となるのが好ましい。
なお、干渉膜13は任意に選択することができ、干渉膜13の屈折率により光学素子10への入射角θおよび単位干渉構造11への入射角θを変化させることができるため、上述した光学的距離の1ピッチの算出にあたっては、入射角の数値として入射角θで示した。
具体的には、光学素子10として樹脂材料を用いた場合、光学素子10の屈折率はおよそ1.4となるので、光学素子10にθ=89°で入射した光15は、光学素子10内で屈折してθ=46°となって光学素子10内部を進む。したがって、このようにして光学素子10内部を進む光15’が単位干渉構造11へ入射する入射角θの範囲は、実質的にθ=1°乃至46°となる。このため、光学素子10の光学的距離の1ピッチは約300nm乃至2100nmの範囲となり、さらに透過光16を可視光とするためには、光学的距離の1ピッチが380nm乃至1100nmの範囲とする必要がある。
(透明性)
次に、光学素子10の透明性について説明する。
光学素子10において、単位干渉構造11の反射帯域に含まれない波長の光(入射角のブルーシフトにより波長が変化した光も含む)は、光学素子10と光学的に作用しないため、そのまま光学素子10を透過する。後述する光学素子10の光拡散機能も、実質的には光学素子内部の光の透過には影響を与えない。すなわち、背景からの外光等のうち光学素子10により作用されない波長の光は、光学素子10により拡散されずに光学素子10内部を透過する。これにより、光学素子10の透明性が維持されることになる。
なお、上述した透明性とは、光学素子10により入射した光15’が拡散されず、その大部分が光学素子10内を透過することを意味する。したがって、すりガラス等のマット上の物質とは明確に異なる。また、LCD等で使用されるAGフィルムは透明性がなく、一方、車のダークガラス等、透過強度は落ちるが拡散効果を有さない物質は透明性があることになる。
さらに、光学素子10の透明性を実現する手段としては、例えば干渉膜13の光の反射率を制限する手段が挙げられる。すなわち、例えば光学素子10をいわゆるハーフミラーとすることにより、干渉膜13の反射帯域に属する光であっても一部の光を透過させることができ、上述した透明性を実現することができる。
(光拡散性)
また、図3に示すように、光学素子10の干渉膜13は光拡散性を持っても良い。すなわち、各単位干渉構造11の界面12の光軸14方向が、光学素子10の法線17方向に対して45°乃至90°の範囲内においてばらつきを持っていても良い。この場合、入射光15が一定の入射角θで入射しても、透過光16は所定の角度範囲をもって光学素子10を拡散透過する。例えば、映像光からなる入射光15を光学素子10に入射した場合に、映像を透過光16として視認することが可能となる。
光学素子10の干渉膜13の光拡散性は、光学素子10内部に設けられた反射面をランダムに配置することによって実現できる。すなわち、光学素子10内部の微小領域における光の反射方向を異ならせることにより、光学素子10の面全体として光を拡散反射させることができる。
例えば図8に示すように、このような拡散性を有する光学素子10として、凹凸形状21aを有する反射体21と、反射体21に接触して設けられた透明体22とを備えた光学素子10が用いられる。ここで、反射体21に接触する透明体22が設けられているのは、反射体21の凹凸形状21aが外方に露出していると、光学素子10の偏光選択性や波長選択性に関わらず光学素子10が透明性を失う場合があるためである。したがって、このような光学素子10の透明体22は、表面22aが平滑であることが必要である。
また、図9に示すように、光学素子10の干渉膜13の光の拡散性は、フレーク状の反射体26を層状に形成することによっても実現できる。この場合、光学素子10は、バインダー樹脂等の透明体25に多数のフレーク状の反射体26を練り込むことにより構成される。
さらに、図10に示すように、光学素子10の干渉膜13の光の拡散性は、コレステリック液晶層を利用することによっても実現できる。すなわち、光学素子10の干渉膜13がコレステリック液晶層からなる場合、光学素子10の干渉膜13内部の螺旋構造27を不均一に配置することにより光の拡散性を実現できる。また、コレステリック液晶の構造は分子レベルでの構造であり、このため、内部における界面反射等の迷光を少なくすることができ、良好な光の拡散反射特性および光の透過特性を得ることができる。このようなコレステリック液晶を用いた拡散制御については、特開2005−10432号公報、特開2005−17751号公報、特開2005−17405号公報、特開2005−37807号公報、および特開2005−37735号公報に開示されている。なお、図10において、螺旋構造27が模式的に記載されているが、実際は、光学素子10の干渉膜13内全てがコレステリック液晶から構成されている。
(偏光分離機能)
図5に示すように、光学素子10の干渉膜13は、互いに共通する特定の偏光成分からなる偏光を分離して反射する偏光分離機能を有していてもよい。ここで、偏光分離機能とは、特定の偏光を反射し、残りの偏光を透過する機能であり、直線偏光分離機能や円偏光分離機能が知られている。
図5に示す光学素子10において、光学素子10内部を透過した透過光16a、16bの波長は図1に示す場合と同様であるが、入射光15a、15bが偏光成分を有する点が図1に示す実施の形態と異なっている。この場合、光学素子10はいわゆるハーフミラーとなり、入射光15a、15bの偏光成分により光の反射や透過を制御する。例えば、入射光15aが、光学素子10の干渉膜13が選択的に反射する偏光成分からなる光であるとき、入射光15aのうち、特定の波長の光が光学素子10内部において効率良く反射され、輝度の高い透過光16aを得ることができる。
一方、図5に示すように、入射光15bが、光学素子10の干渉膜13が選択的に反射する偏光成分と逆の偏光成分からなる光であるとき、光学素子10の干渉膜13は入射光15bを反射することなく透過光16bとして透過させる。
(偏光選択性)
また、干渉膜13は偏光選択性を備えても良い。このような偏光選択性を有する干渉膜13は、内部に多層に積層された薄膜が屈折率異方性を有しており、これにより、干渉膜13は特定の偏光成分からなる光を選択的に反射することができる。このような干渉膜13として、具体的には、LCDに用いられる偏光分離フィルムまたは輝度向上フィルムが挙げられる。また、このような干渉膜13は、図6に示すようなコレステリック液晶の螺旋構造27を有する薄膜であっても良い。すなわち、内部の螺旋構造27により、このようなコレステリック液晶層は、特定の円偏光からなる入射光のうち特定の波長の光を選択的に反射する性質を有している。
(波長選択性)
次に、波長選択性について説明する。干渉膜13の波長選択性は単位干渉構造11の光学的距離の1ピッチの長さ(ピッチ長)によって定まる。すなわち、反射波長は単位干渉構造11のピッチ間隔とその屈折率とにより決定される。屈折率の異なる薄膜を交互に積層し、かつ各々の膜厚を適切に設定することにより、所望の反射特性が得られる。
この具体的な例は、特開2003−270725等に詳細に開示されている。また、光学素子10が偏光分離機能を有するためには、干渉膜13を構成する層に複屈折を持たせることが必要となる。これは、特表2002−540445等に開示されている。干渉膜13がコレステリック液晶からなる場合、単位干渉構造11のピッチは分子の自己組織化により形成される。このピッチ長の制御は、材料のもつヘリカルツイスティングパワー(HTP)に依存する。HTPは材料の分子構造により様々な値をもち、また、光学活性部位をもつカイラル剤をネマチック液晶などに添加することによって、任意のピッチ長を得ることができる。それ以外にもUV露光、温度などのプロセス制御により所望のピッチ長を得ることができる。コレステリック液晶に関しては、特開平10−54905、特開2001−100045等に開示されている。
図6および図7を用いて、コレステリック液晶による螺旋軸24、すなわち螺旋構造27の軸方向制御について説明する。
本発明において、干渉膜13としてコレステリック液晶を使用する場合、コレステリック構造の螺旋軸24を光学素子10平面の法線17に対して45°乃至90°に傾ける必要がある。螺旋軸24の方向は、電気印加によって制御できる場合もあるが、コレステリック構造自体が壊れてしまう可能性があり、好ましくない。また、プロセス上、配向後に高分子化すること、層状として実用的なものに加工することが難しい。
最適な方法としては、材料自体で軸方向が傾くものがよい。材料設計により、基材に塗布し配向処理を行えば、自発的に所望の構造をとることが望ましい。ただし、一般的に螺旋軸24は基板平面に対して垂直となる材料が多いので、その場合は、垂直配向液晶をコレステリック液晶に混合する手法が望ましい。垂直配向液晶は基板平面に対してその棒状分子が垂直に立つ性質があり、これを利用してコレステリック構造も形成される。
コレステリック構造は模式的には横になった棒状分子が螺旋を作りながら積み重なったもので、その分子の長手方向に対する垂直方向が螺旋軸24方向となる。よって、基板に垂直に立った棒状分子を基点に螺旋構造27が作られると、結果的に螺旋軸24が基板平面と平行に、すなわち、コレステリック構造の螺旋軸24方向が、光学素子10の法線17に垂直となる。
また、これとは別に、配向膜により螺旋軸24の方向を制御することも可能である。液晶構造は界面を基点に構造を構築するので、図12に示すように、コレステリック液晶層41と基材43との間にコレステリック液晶層41内の液晶を垂直に立たせる配向膜42を予め形成することにより、所望の構造を有する光学素子10が得られる。
さらに、添加剤により、同様の効果を得ることもできる。界面活性剤などの添加剤に界面改質の作用がある場合、液晶分子自体が垂直配向性を有していなくても、垂直配向材料と同様の効果を得ることができる。
これら液晶材料、配向膜、添加剤等を用いて光学素子10を構成する手法については、特開平10−319408、特開2005−165240、特開平9−281502、特開2002−174724、特表2002−530720、特開2004−83810、特表2004−524385、特開平7−258638、特表平10−508882に開示されている。
(機能性保持層)
なお、図1に示すように、光学素子10の表面には機能性保持層10aが設けられていても良い。
この機能性保持層10aとしては、例えば、反射防止層(AR層)、ハードコート層(HC層)、紫外線吸収層(UV吸収層)および帯電防止層(AS層)などを用いることができる。
ここで、反射防止層(AR層)は、光学素子10の表面での光の反射を抑えるための層である。このような反射防止層としては、ARフィルム等、光学素子10に入射する光の界面反射強度を抑制する反射防止層が好ましい。また、ARフィルムは拡散性を有しないため、光学素子10の透明性を維持することもできる。
なお、マット形状からなる反射防止層は拡散性を有するため好ましくない。
また、ハードコート層(HC層)は、光学素子10の表面を保護して傷付きや汚れの付着などを防止するための層である。紫外線吸収層(UV吸収層)は、光学素子10に入射する光のうち液晶性組成物を黄色へ変化させる原因となる紫外線成分を吸収するための層である。帯電防止層(AS層)は、光学素子10で生じる静電気を除去するための層である。このような機能性保持層10aは、ヘイズが小さく透明性が高いものが好ましい。また、複屈折が小さく、通過する光の偏光状態を変化させないものが好ましい。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
まず光学素子10の干渉膜13に斜めから入射光15が入射される。この入射光15は、干渉膜13内を進む光15’となって、干渉膜13の単位干渉構造11に到達する。この単位干渉構造11に到達した光15’は、単位干渉構造11によりブラッグ反射される。次に、単位干渉構造11により反射された光16’は、光15’の入射角θと単位干渉構造11に設けられた界面12の光軸14の角度との関係から、干渉膜13内を光学素子表面10cに向けて進み、光学素子表面10cから光学素子10の外方に出射角θで出射される。このように光学素子10は、入射光15のうち特定の波長を有する光16を光学素子の表面10c側へ透過する作用を有する。
(本実施の形態の原理)
次に、図1を参照して本発明の原理を説明する。
本発明は光の波長選択性を利用して透過光を得ることを目的とするものであり、光学原理上は光の反射作用を利用するものである。
図1において、光学素子10の干渉膜13が選択反射する光の波長域は、干渉膜13の単位干渉構造11が形成する光学的距離および単位干渉構造11の光軸14への入射角θにより決定される。
まず、ブラッグの反射条件から、界面12で反射する光16’の波長λは、
λ=λ×cosθ・・・(1)
で与えられる。
ここで、λは、界面12へ光が垂直に入射するときの反射波長であり、角θは、単位干渉構造11の光軸14(界面の法線方向)を0°としたときの光15’の入射角である。また、λは光学的距離の1ピッチと等しい長さの波長である。
また、反射波長λはある程度の幅を有する。この反射帯域は多層からなる単位干渉構造11間の屈折率の差により決定される。すなわち、交互積層される単位干渉構造11の屈折率の差が大きいと反射帯域が広くなる。この反射帯域は、反射波長λを中心に△λの幅をもつ。
次に、具体的な数値を用いて、本発明の原理を更に詳細に説明する。
図1において、光学素子10の干渉膜13に複数の単位干渉構造11が設けられている。この単位干渉構造11の界面12へ光が垂直に入射したときの反射波長λを1200nmとし、光学素子10の平均屈折率を1.58とする。また、干渉膜13に設けられた単位干渉構造11の光軸14が、光学素子10の法線17に対して85°の角をなしているとする(すなわち、θ=85°)。さらに、入射光15は、光学素子10の法線17に対して45°の角となるよう入射するものとする(すなわち、θ=45°)。
まず、光学素子10の裏面10b側に入射光15が入射角θで入射する。この入射光15は空気と光学素子10の裏面10bとの間で屈折し、入射角θ=27°で光学素子10内を通過する光15’となる。
入射角θ=27°で光学素子10内に入射した光15’が、光学素子10の法線17に対して85°傾いている単位干渉構造11の界面12に入射すると(入射角θ=68°)、光15’は界面12に対して正反射し、単位干渉構造11の光軸14を基準として反射角θ=68°で反射する光16’となる。ここで、反射角θとは、単位干渉構造11の界面12の光軸14と単位干渉構造11で反射する光16’とがなす角をいう。
この反射した光16’は、光学素子10の表面10cから空気界面へ出るときに再度屈折し、光学素子10の法線17に対して出射角θ=27°で出射し、透過光16となる。
この透過光16の中心波長は、界面12へ光が垂直に入射したときの反射波長λと入射角θの余弦との積、すなわち、1200nm×cos68°=450nmとなる。
なお、図2に示すように、単位干渉構造11の光軸14が光学素子10の法線17に対して約77°傾いていて、かつ、光学素子10に入射する入射光15の入射角が45°であるとき、透過光16は略法線17と同一方向へ出射し、このとき透過光16の波長は理論上270nmとなる。ただし、上述したように、入射光15の波長が300nm以下となる場合、干渉膜13が有機物を吸収するため、実際上は透過光16を得るのが難しい。
単位干渉構造11で反射する光16’の波長帯域は、単位干渉構造11内の屈折率差△nに依存する。また反射幅△λは、△λ=△n×P(Pはピッチ長)で与えられる。上述の具体例で、入射角θ=45°であるが、本原理を満たすのであれば入射角θ、出射角θ、および干渉膜13の構造は限定されない。
このように、本実施の形態によれば、光学素子10の干渉膜13は、入射した入射光15のうち特定の波長を有する透過光16を、干渉膜13内部に設けられた単位干渉構造11において選択的に反射させ、この透過光16を入射側と反対方向に透過させることができる。
また、本実施の形態によれば、光学素子11の入射側と反対方向に透過された透過光16が拡散性を有するものとすることができる。
さらに、本実施の形態によれば、干渉膜13内部にコレステリック構造を有し、この干渉膜13に特定の偏光成分からなる偏光のみを反射させる偏光選択性を付与することができる。これにより、光学素子10の裏面10b側からの光を効率的に透過させることができ、また、光学素子10の透明性を向上させることができる。
さらにまた、本実施の形態によれば、干渉膜13内部にコレステリック構造を有し、偏光選択性を有する場合、コレステリック構造を有する干渉膜13は、それ自体の構造により透過光16の拡散角を制御できる。これにより、この干渉膜13が選択的に反射する特定の偏光成分からなる偏光のみに拡散性を付与することができ、光学素子10から反射される映像、および光学素子10を透過する映像を鮮明なものとすることができる。一方、当該干渉膜13が選択的に反射しない偏光成分からなる偏光は、干渉膜13により拡散されないため、光学素子10を透過する背景を鮮明に視認することができる。
第2の実施の形態
次に、図4により本発明による光学素子の第2の実施の形態について説明する。ここで、図4は、本発明による光学素子の第2の実施の形態を示す概略断面図である。
図4による第2の実施の形態は、光学素子が複数の干渉膜からなる点が異なるものであり、他の構成は図1乃至図3、図5乃至図10、および図12に示す第1の実施の形態と略同一である。
まず、図4により本発明による光学素子の概略について述べる。
図4に示す第3の実施の形態において、光学素子10は、入射光15に対する波長選択性を有する複数の干渉膜13a、13b、13cを備え、各干渉膜13a、13b、13cが複数の単位干渉構造11を含んでいる。
光学素子10は、各干渉膜13a、13b、13cに設けられた各単位干渉構造11の界面12の法線14方向が、光学素子10の法線14方向に対して45°乃至90°の範囲内となっており、光学素子裏面10bからの入射光15を各単位干渉構造12で反射して光学素子表面10cに透過させるようになっている。
干渉膜13a、13b、13cは、各干渉膜13a、13b、13cに設けられた単位干渉構造11による光の反射方向により、反射光の波長が異なるという性質を有する。この反射光の反射帯域には幅があるため、ある程度の広さからなる視野角の範囲内において、緑など略同一の色の透過光16を視認することができる。
本実施の形態において、光学素子10の各干渉膜13a、13b、13cは、その反射帯域がずれており、光学素子10は、このような干渉膜13a、13b、13cを積層して形成されたものである。ここで、干渉膜13a、13b、13cの光学的距離の1ピッチをそれぞれ1200nm、1468nm、1682nmとし、このような干渉膜13a、13b、13cを互いに積層して光学素子10を形成する。この場合、これら干渉膜13a、13b、13cは、それぞれ450nm、550nm、630nm付近の波長の光を透過する。このようにして、光学素子10は、フルカラーの光を透過して表示することが可能となる。
(中間層)
ところで、各干渉膜13a、13b、13cの間に空気界面が存在すると、空気界面において反射する光の屈折率の差が大きくなり、光学特性が悪化する。このため、各干渉膜13a、13b、13cの間に空気界面が存在しないことが好ましく、各干渉膜13a、13b、13cが互いに直接積層されるか、各干渉膜13a、13b、13c間に接着層や粘着フィルム等を設けて密着されることが好ましい。また、各干渉膜13a、13b、13cが上述のような偏光分離機能を有している場合において、各干渉膜13a、13b、13cの間に接着層や粘着フィルムなどの中間層を配置する場合は、このような中間層が位相差を持たないことが好ましい。
このように、本実施の形態によれば、複数の干渉膜13a、13b、13cを備えた光学素子10の各干渉膜13a、13b、13cをそれぞれ青、緑、赤の光の反射帯域を有するものとすることにより、光学素子10がフルカラーの光を透過して表示することができ、また、光学素子10の裏面10bからの光15を効率的に透過させるとともに、光学素子10の透明性を向上させることができる。
第3の実施の形態
次に、図11により本発明の第3の実施の形態における投影システムについて説明する。
ここで、図11は、本発明の第3の実施の形態における投影システムを示す正面図である。
図11に示す投影システム30は、以下に示すように光学素子10からなる投影スクリーン31と、投影装置32とからなっており、投影スクリーン31の光学素子10は、図1乃至図3、図5、図6、図8乃至図10、または図12のいずれかに示す光学素子10と同様の構成を有している。なお、投影システム30の光学素子10が図4に示す光学素子10と同様の構成を有していても良い。
まず、図11により本発明による投影システムの概略について述べる。
図11に示すように、投影システム30は、光学素子10からなる投影スクリーン31と、投影スクリーン31の外方に設けられ、投影スクリーン31に入射光33を入射させる投影装置32とを備えている。
このうち投影スクリーン31は、投影スクリーン31に入射した入射光33のうち、特定の波長からなる光を選択的に反射して透過光34として出射するものであり、入射面と反対側の面で映像を見ることができるリアスクリーンである。また、投影スクリーン31に拡散性を付与することもでき、これにより広い視野角で映像光を視認することができる。一方、背景などの外光のうち、投影スクリーン31の光学素子10と作用しない入射角θで入射した波長の入射光33は、光学的作用を受けずにそのまま投影スクリーン31を透過するため、投影スクリーン31は透明性を有するものとなる。このようにして、投影スクリーン31は透過光と背景が融合したシースルースクリーンとなる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
図11に示すように、投影スクリーン31に対して、図11の裏面(右)方向から入射光33を入射角θで入射する。投影スクリーン31は、投影スクリーン31へ入射した入射光33のうち、特定の波長、偏光成分を有する光を投影スクリーン31の表面(左)方向に透過させ、透過光34として出射させる。
図11において、透過光34の出射角θは、入射角θおよび光学素子10の内部構造により決定される。例えば、投影スクリーン31の光学素子10内部において、光軸14と光学素子10の法線17とのなす角が約90°であれば、どのような入射角θで入射光33が入射しても、表面(左)側へ透過光34を透過させることができる。一方、光軸14と光学素子10の法線17とのなす角が約45°であれば、投影スクリーン31の表面とほぼ平行な方向から入射光33を入射させて透過光34を得ることができる。このように、投影スクリーン31は、入射角θや出射角θの変化により任意の波長からなる透過光34を分離して透過することができる。
なお、この入射角θは投影スクリーン31の光学素子10の構造に依存するが、具体的には、10°乃至80°のいずれかの角度が好適である。
ここで、投影スクリーン31の光学素子10が偏光分離機能を有し、かつ入射光33が偏光成分を有する光である場合は、偏光成分を有しない光の場合より明るく鮮明な透過光34を視認することができる。例えば、光学素子10が偏光分離機能を有している場合において、投影装置32がLCDプロジェクターの場合、投影装置32から特定の偏光成分を有する入射光33を出射することができる。この場合、投影装置32からの光の偏光成分と光学素子10において偏光分離される偏光成分とを一致させることにより、光学素子10の出射側において明るく鮮明な透過光34を視認することができる。また例えば、光学素子10が偏光分離機能を有している場合において、投影装置32がCRT方式のプロジェクターまたはDMD素子を用いたプロジェクターの場合、偏光板をプロジェクターの出射口に設置し、プロジェクターからの光の偏光成分と光学素子10において偏光分離される偏光成分とを一致させることにより、光学素子10の出射側において明るく鮮明な透過光34を視認することができる。
このように、本発明によれば、投影装置32からの入射光33を投影スクリーン31に入射した場合に、この入射光33が投影スクリーン31を透過し、これにより投影装置32の反対側から透過光34を明確に視認することができる。
次に、上述した実施の形態についての具体的実施例を説明する。
アルキル側鎖を有する棒状液晶構造において、その両末端にアクリル基を有する紫外線硬化型ネマチック液晶からなる主剤に、この主剤と同様に両末端にアクリル基を有し、キラル中心を有するカイラル剤を添加して、モノマー混合液晶を作製した。
このモノマー混合液晶をシクロヘキサノンに溶解し、チバガイギー社製のアセトフェノン系光重合開始剤を上記混合液晶100重量部に対して5重量部で添加した。
得られた溶液にアクリル共重合系レベリング剤を上記混合液晶100重量部に対して6重量部添加した。
このようにして形成された重合性液晶インキを、配向後に螺旋ピッチが800nmとなるように調整した。
この調整された重合性液晶インキをガラス上に塗布し、80℃に加熱して溶剤を除去し、厚さ6ミクロンのコレステリック液晶膜を作製した。
さらに80℃で1分保持し、配向させた後、室温にてUV光を100mJ/cm照射し、ポリマー膜を得た。このようにして作製されたポリマー膜を含む光学素子は、外光下で正面から見ると無色透明であった。
この光学素子に斜め50°から白色光を入射すると、入射側と反対の面における出射角が30°となる位置で、波長が500nm付近の緑色の透過光を確認した。
さらに、プロジェクターを用いて青緑と黒のチェッカーパタンを投影したところ、透過方向のほぼ正面で、青緑のチェッカー画像を得ることができた。このうち、画像の黒表示部分は、光学素子を通して背景が透けて見えることを確認できた。
本発明による光学素子の第1の実施の形態を示す概略断面図。 単位干渉構造の界面の法線方向が図1と異なる場合における光学素子の概略断面図。 各単位干渉構造の界面の法線方向がばらつきを持つ光学素子の概略断面図。 本発明による光学素子の第2の実施の形態を示す概略断面図。 偏光分離機能を有する光学素子の概略断面図。 コレステリック液晶からなる干渉膜の概略断面図。 コレステリック液晶の一の螺旋構造を示す概略図。 内部に凹凸形状を有する干渉膜の概略断面図。 内部に多数のフレーク状の反射体を有する干渉膜の概略断面図。 コレステリック液晶からなる干渉膜の概略断面図。 本発明の第3の実施の形態における投影システムを示す正面図。 コレステリック液晶層と基材との間に配向膜を有する光学素子の概略断面図。
符号の説明
10 光学素子
10a 機能性保持層
10b 裏面
10c 表面
11 単位干渉構造
12 界面
13、13a、13b、13c 干渉膜
14 光軸
15 入射光
16 透過光
17 法線
24 螺旋軸
27 螺旋構造
30 投影システム
31 投影スクリーン
32 投影機
33 入射光
34 透過光

Claims (11)

  1. 複数の単位干渉構造を含むとともに、入射光に対する波長選択性を有する干渉膜を備えた光学素子において、
    各単位干渉構造の界面の法線方向が、光学素子の法線方向に対して45°乃至90°の範囲内となり、光学素子裏面からの入射光を各単位干渉構造で反射して光学素子表面に透過させることを特徴とする光学素子。
  2. 各々が複数の単位干渉構造を含むとともに、入射光に対する波長選択性を有する複数の干渉膜を備えた光学素子において、
    各干渉膜に設けられた各単位干渉構造の界面の法線方向が、光学素子の法線方向に対して45°乃至90°の範囲内となり、光学素子裏面からの入射光を各単位干渉構造で反射して光学素子表面に透過させることを特徴とする光学素子。
  3. 各単位干渉構造の光学的距離の1ピッチの長さが、300nm乃至86000nmの範囲内となることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 各単位干渉構造の界面の法線方向が、光学素子の法線方向に対して45°乃至90°の範囲内においてばらつきを持つことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子。
  5. 各単位干渉構造の界面間の距離が一定となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
  6. 各単位干渉構造の界面間の距離が連続的に変化することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
  7. 干渉膜が偏光分離特性を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光学素子。
  8. 干渉膜がコレステリック液晶からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学素子。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の光学素子からなる投影スクリーン。
  10. 請求項7に記載の光学素子からなる投影スクリーンと、
    投影スクリーンの外方に設けられ、投影スクリーンに光を入射する投影装置と、を備え、
    投影装置から投影スクリーンに入射する光は、投影スクリーンの光学素子に設けられた干渉膜が選択的に反射する偏光成分からなることを特徴とする投影システム。
  11. 請求項9に記載の投影スクリーンと、
    投影スクリーンの外方に設けられ、投影スクリーンに光を入射する投影装置と、を備えたことを特徴とする投影システム。
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