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JP2007255672A - 自動変速機 - Google Patents

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JP2007255672A
JP2007255672A JP2006083960A JP2006083960A JP2007255672A JP 2007255672 A JP2007255672 A JP 2007255672A JP 2006083960 A JP2006083960 A JP 2006083960A JP 2006083960 A JP2006083960 A JP 2006083960A JP 2007255672 A JP2007255672 A JP 2007255672A
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JP2006083960A
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Masayuki Ushiki
昌幸 宇敷
Noritoshi Kuji
徳寿 久慈
Kazuhiko Shimonaka
一彦 下中
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Subaru Corp
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】主変速装置と副変速装置とによる変速比を予め異常時にも対応可能に最適化し、コスト低減を図りつつ異常時にも最低限の走行性を確保する。
【解決手段】主変速装置による1速の変速比から5速の変速比に対して、副変速装置によって5段階の総変速比を追加し、追加された5段階の総変速比のうち、低速側の範囲を、主変速装置を1速、2速に固定して副変速比で増速させた総変速比に設定し、3速,4速の変速範囲と重複させた変速範囲に設定する。そして、異常発生時には、重複変速範囲を用いて正常時に近い変速比での走行を可能とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、主変速装置と該主変速装置に連結された副変速装置とを有する自動変速機に関する。
近年、自動車等の車両においては、エンジン出力を有効活用しつつ燃費低減を図るため、変速機に要求される変速レンジ幅が広くなる傾向にあり、変速段の多段化が進んでいる。このため、主変速機に副変速機を連結し、主変速機で変速した変速出力を更に副変速機で変速することにより、更なる多段化を可能とした自動変速機が開発されている。
このような自動変速機においては、故障時のバックアップが重要となり、従来から、異常時に対処するための技術が各種提案されている。
例えば、特許文献1には、複数の摩擦要素に対する作動圧の給排を制御する油圧回路に、第1電磁弁手段により切り換えられる作動圧制御回路と、第2電磁弁手段により作動圧を調圧する調圧回路とを並列に設け、第1電磁弁手段の制御不能時には第2電磁弁手段により調圧回路を介して変速制御を行い、第2電磁弁手段の制御不能時には第1電磁弁手段により作動圧制御回路を介して変速制御を行なう技術が開示されている。
また、特許文献2には、複数の変速機を組み合わせて多段変速を可能に構成し、各変速機には変速のためのアクチュエータを取り付け、これらアクチュエータを駆動してギア段切替えを行う際に、いずれかのアクチュエータについて作動不良が検出されたときには、現在のギア段から当該不良アクチュエータの作動を伴うギア段への切替えを禁止することで、アクチュエータ故障時の変速制御をバックアップする技術が開示されている。
特許第3165259号公報 特開2001−304401号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、通常時と故障時との2系統の回路が必要となり、装置が複雑となってコストの上昇となる。同様に、特許文献2に開示の技術では、変速比の小さいスプリッタと変速比の大きいレンジとの2種類の副変速機を必要としており、装置が複雑となってコスト上昇を招いてしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、主変速装置と副変速装置とによる変速比を予め異常時にも対応可能に最適化し、コスト低減を図りつつ異常時にも最低限の走行性を確保することのできる自動変速機を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による自動変速機は、主変速装置に副変速装置を連結して多数の変速段を達成する自動変速機において、上記副変速装置において第1の変速比を設定した場合に出力される上記自動変速機全体の第1変速比範囲と、上記副変速装置において第2の変速比を設定した場合に出力される上記自動変速全体の第2変速比範囲とが一部重複するように設定し、上記副変速装置が上記第1の変速比又は上記第2の変速比の何れか一方を設定することができない異常のとき、上記副変速装置は上記第1の変速比又は上記第2の変速比の何れか他方を設定することを特徴とする。
また、本発明による自動変速機は、主変速装置に副変速装置を連結して多数の変速段を達成する自動変速機において、上記副変速装置は、第1の摩擦係合要素と第2の摩擦係合要素とを有し、上記第1の摩擦係合要素を締結し且つ上記第2の摩擦係合要素を解放することにより、第1の変速比を設定し、上記第1の摩擦係合要素を解放し且つ上記第2の摩擦係合要素を締結することにより、第2の変速比を設定し、上記副変速装置において上記第1の変速比を設定した場合に出力される上記自動変速機全体の第1変速比範囲と、上記副変速装置において上記第2の変速比を設定した場合に出力される上記自動変速機全体の第2変速比範囲とが一部重複するように設定し、上記副変速装置が上記第1の変速比又は上記第2の変速比の何れか一方を設定することができない異常のとき、上記副変速装置は上記第1の変速比又は上記第2の変速比の何れか他方を設定することを特徴とする。
本発明によれば、主変速装置と副変速装置とによる変速比を予め異常時にも対応可能に最適化するため、コスト低減を図りつつ、異常が発生した場合においても最低限の走行が可能となり、安全を確保することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図5は本発明の実施の一形態に係り、図1は自動変速機の各要素のレイアウトを示す模式図、図2は副変速装置のスケルトン図、図3は変速位置と摩擦係合要素の係合関係を示す説明図、図4は副変速装置の油圧系統を示す説明図、図5は故障時変速バックアップ処理のフローチャートである。
図1において、符号10はエンジン1に連結される自動変速機であり、本形態においては、四輪駆動車に搭載される駆動力配分機構を備えた自動変速機を例に取って説明する。この自動変速機10は、ロックアップクラッチ15を備えたトルクコンバータ16と、トルクコンバータ16の後部に配設される主変速装置20と、主変速装置20からの出力を駆動力配分するセンターディファレンシャル装置50と、このセンターディファレンシャル装置50に連結される副変速切換装置60とを備えている。
主変速装置20は、多段階の変速段を自動的に切換える変速機であり、既存の変速機を用いることができるが、実用上、3速以上の変速機であることが望ましい。また、副変速切換装置60は、本形態においては、センターディファレンシャル装置50を併用することにより2段階の変速比を選択可能としており、主変速装置20の変速比範囲に対して自動変速機全体としての変速範囲を拡大する副変速装置を形成するものである。
後述するように、センターディファレンシャル装置50及び副変速切換装置60による副変速装置は、第1の変速比としてのロー側の副変速比と、より高速側の第2の変速比としてのハイ側の副変速比とを選択的に使用することができ、自動変速機10全体の総変速比として、主変速装置20の主変速比にロー側の副変速比を適用した第1変速比範囲と、主変速比にハイ側の副変速比を適用した第2の変速比範囲とを得ることができる。これらの第1,第2の変速比範囲は、一部重複するように設定されており、通常は、重複部分の一方を使用し、他方は異常が発生した際のバックアップとして用いる。
このような副変速装置を備えた自動変速機10は、エンジン1の出力軸(クランク軸)に入力軸2を介してトルクコンバータ16が連結され、更に、入力軸2が主変速装置20に連結されている。主変速装置20の出力軸3は、入力軸2と同軸上に配置され、センターディファレンシャル装置50を介して前輪伝達軸としてのフロントドライブ軸4と副変速切換装置60とに分岐接続されている。尚、符号5は、トルクコンバータ16にオイルを供給するオイルポンプである。
フロントドライブ軸4は、入力軸2及び出力軸3に対して平行に配置され、このフロントドライブ軸4の後端がセンターディファレンシャル装置50にリダクションギヤ6を介して連結されている。更に、フロントドライブ軸4の前端は、図示しないフロントディファレンシャル装置に連設され、このフロントディファレンシャル装置に、前輪を軸支する出力軸が連設されている。
一方、副変速切換装置60の出力側は、後輪伝達軸としてのリヤドライブ軸7に接続されている。リヤドライブ軸7は、出力軸3の後方に、出力軸3と同軸上に配置されており、図示しないプロペラ軸やリヤディファレンシャル装置等を介して、後輪を軸支する後輪出力軸に連設されている。
本形態においては、主変速装置20は、フロントプラネタリギヤ21とミッドプラネタリギヤ22とリヤプラネタリギヤ23との3組のプラネタリギヤを直列的に繋げたスケルトンを主として構成され、その他、ブレーキやクラッチ等の摩擦係合要素を備えた前進5段後退1段の自動変速機である。
主変速装置20の摩擦係合要素としては、フロントプラネタリギヤ21に対して、フロントブレーキ(FR/B)24、ワンウェイクラッチ(3rdOWC)25が備えられている。また、ミッドプラネタリギヤ22、リヤプラネタリギヤ23に対して、インプットクラッチ(I/C)26、ハイ&ローリバースクラッチ(H&LR/C)27、ワンウェイクラッチ(1stOWC)28、ダイレクトクラッチ(D/C)29、リバースブレーキ(REV/B)30、フォワードブレーキ(FWD/B)31が備えられている。
具体的には、フロントプラネタリギヤ21のサンギヤ21aと固定部材であるケース側との間に、フロントブレーキ24とワンウェイクラッチ25とが並列的に介装され、フロントプラネタリギヤ21のキャリヤ21bがリヤプラネタリギヤ23のインターナルギヤ23cに連結されている。また、フロントプラネタリギヤ21のインターナルギヤ21cが入力軸2に連結され、更に、インプットクラッチ26を介してミッドプラネタリギヤ22のインターナルギヤ22cに連結されている。
ミッドプラネタリギヤ22は、サンギヤ22aとケース側との間に、フォワードブレーキ31が介装されており、インターナルギヤ22cがリヤプラネタリギヤ23のキャリヤ23bに連結されている。ミッドプラネタリギヤ22のキャリヤ22bは出力軸3に連結され、このキャリヤ22bから主変速出力がセンターディファレンシャル装置50に伝動される。
リヤプラネタリギヤ23は、サンギヤ23aとキャリヤ23bとの間にダイレクトクラッチ29が介装され、キャリヤ23bとケース側との間に、リバースブレーキ30が介装されている。また、リヤプラネタリギヤ23のサンギヤ23aとミッドプラネタリギヤ22のサンギヤ22aとの間には、ハイ&ローリバースクラッチ27とワンウェイクラッチ28とが並列的に介装されている。
これらの各摩擦係合要素は、オイルパンに収容されたコントロールバルブボデー70により給排油されて個別的に係脱され、図3に示すように、前進5段後退1段の変速段を得ることができる(但し、後述するように、本形態においては、主変速装置20による前進5段後退1段の変速段を、自動変速機10における前進5段後退1段の変速段として用いている)。
尚、図3においては、○印は締結を示し、◎印はパワーオン時はトルク伝達に関与、◇印はコースト時はトルク伝達に関与することを示す。また、△印は油圧は供給するが出力に影響する作用はないことを示し、△*印は所定車速領域で締結することを示している。
概略的には、ドライブ(D)レンジの1速では、フォワードブレーキ32が係合してミッドプラネタリギヤ22のサンギヤ22aをロックし、入力軸2からフロントプラネタリギヤ21のインターナルギヤ22c,キャリヤ22b、リヤプラネタリギヤ23のインターナルギヤ23c,キャリヤ23bを経てミッドプラネタリギヤ22のインターナルギヤ22c,キャリヤ22bを介して出力軸3に動力が伝達される。
Dレンジの2速では、フォワードブレーキ31に加えてダイレクトクラッチ29が係合し、リヤプラネタリギヤ23のサンギヤ23aとキャリヤ23bとが一体回転し、1速時よりも増速した動力が出力される。
Dレンジの3速では、2速に対してフォワードブレーキ32が解放されてミッドプラネタリギヤ22のサンギヤ22aのロックを解除し、代わりにハイ&ローリバースクラッチ27が係合し、ミッドプラネタリギヤ22のサンギヤ22aがリヤプラネタリギヤ23のサンギヤ23a及びキャリヤ23bと一体回転することで、2速よりも増速される。
Dレンジの4速では、3速に対して更にインプットクラッチ26が係合してミッドプラネタリギヤ22のインターナルギヤ22cがサンギヤ22aと一体回転し、入力軸2と出力軸3とが直結する。更に、Dレンジの5速では、4速に対してフロントブレーキ24が係合し、フロントプラネタリギヤ21のサンギヤ22aがロックされ、入力軸2の回転が増速されて出力軸3に伝達される。
リバース(R)レンジでは、フロントブレーキ24の締結でフロントプラネタリギヤ21のサンギヤ21aがロックされると共に、リバースブレーキ30の締結でミッドプラネタリギヤ22のインターナルギヤ22c及びリヤプラネタリギヤ23のキャリヤ23bがロックされる。更に、ハイ&ローリバースクラッチ27が締結してミッドプラネタリギヤ22のサンギヤ22aとリヤプラネタリギヤ23のサンギヤ22aとが連結されるため、フロントプラネタリギヤ21に対してリヤプラネタリギヤ23が逆転し、ミッドプラネタリギヤ22のキャリヤ22bを介してギヤ比の大きい逆転動力が出力され、出力軸3に伝達される。
一方、センターディファレンシャル装置50は、複合プラネタリギヤ式のディファレンシャル装置であり、出力軸3に連設される第1のサンギヤ51と、中間軸8を介して副変速切換装置60に連設される第2のサンギヤ52と、第1のサンギヤ51に噛合する第1のピニオン53と、第2のサンギヤ52に噛合する第2のピニオン54と、これら第1,第2のピニオン53,54を回転可能に軸支するキャリヤ55とを備えている。第1,第2のピニオン53,54は一体的に連結されており、また、キャリヤ55がフロントドライブ軸4のリダクションギヤ6に連設されると共に、中間軸9を介して副変速切換装置60に連設されている。
これにより、出力軸3から出力される駆動力が第1のサンギヤ51を介して第1のピニオン53に伝達されると、この第1のピニオン53と一体の第2のピニオン54、及びキャリヤ55を介して、第2のサンギヤ52とリダクションギヤ6とに所定の配分比でトルクが伝達される。このとき、第1,第2のピニオン53,54の自転と公転とにより、第2のサンギヤ52とリダクションギヤ6との回転差が吸収される。
また、副変速切換装置60は、本形態においては、3組の油圧多板クラッチ、すなわち、固定部材であるケース側とセンターディファレンシャル装置50の第2のサンギヤ52との間に設けられたマルチステップブレーキ(MS/B)61、センターディファレンシャル装置50とリヤドライブ軸7との間で差動制限等を行うトランスファークラッチ62、マルチステップブレーキ61とトランスファークラッチ62との間に設けられたダイレクトクラッチ(D/C_2)63を備えている。これらのクラッチのうち、変速に関与するクラッチは、マルチステップブレーキ61とダイレクトクラッチ63であり、互いに逆の関係で締結/解放状態とすることにより、副変速比をハイ/ローの2段階に切換えることができる。
より詳細には、副変速装置としてのセンターディファレンシャル装置50及び副変速切換装置60は、図2に示される結合関係にある。すなわち、センターディファレンシャル装置50の第2のサンギヤ52は、中間軸8に形成されてトルク配分した動力を中間軸8に出力するよう構成されており、中間軸8の内部に中間軸9が遊嵌され、この中間軸9が第1,第2のサンギヤ51,52の間隙で連結部材56を介してキャリヤ55に一体結合されている。更に、キャリヤ55の前端にはリダクションギヤ6が結合され、キャリヤ55の動力を出力するように構成されている。
また、副変速切換装置60は、中間軸8とリヤドライブ軸7とにそれぞれドラム部材64,65が設けられ、両ドラム部材64,65の間にダイレクトクラッチ63が介設されている。また、中間軸8とドラム部材65との間にトランスファークラッチ62が介設されると共に、ドラム部材64とケース側との間にマルチステップブレーキ61が介設され、ダイレクトクラッチ63とトランスファークラッチ62とマルチステップブレーキ61とが3重に重合して同軸上に配置されている。
これらのマルチステップブレーキ61、トランスファークラッチ62、ダイレクトクラッチ63は、コントロールバルブボデー70により油圧制御され、前進5段後退1段の主変速装置20に対して副変速切換装置60で副変速比を2段階に切り換えることにより、自動変速機10全体として前進5段の変速段を新たに加えることが可能となるが、以下に説明するように、10段の変速比範囲のうち、一部の範囲を重複させて前進8段後退1段としている。そして、異常発生時に、重複させた変速段を用いることで、正常時に接近した変速比でのバックアップ走行を可能としている。
すなわち、マルチステップブレーキ61を解放してダイレクトクラッチ63を締結し、副変速比をロー側にすると、センターディファレンシャル装置50からトルク配分した駆動力を出力する中間軸8とリヤドライブ軸7とがドラム部材64,65を介して結合され、副変速比が1の直結状態となる。その結果、主変速装置20の変速比が自動変速機10の総変速比となって出力され、1速〜5速で3.540〜0.834の変速比を得ることができる。尚、このとき、後輪スリップ等に応じてトランスファークラッチ62に差動制限トルクを生じる。
一方、ダイレクトクラッチ63を解放してマルチステップブレーキ61を締結し、副変速比をハイ側にすると、センターディファレンシャル装置50のキャリヤ55に結合される中間軸9とトランスファークラッチ62を介してリヤドライブ軸7とが連結される一方、中間軸8及び第2のサンギヤ52がロックされてセンターディファレンシャル装置50の差動機能が阻止され、キャリヤ55が増速回転される。このときの副変速比は、センターディファレンシャル装置50の歯車諸元によって定まる変速比となり、主変速装置20による主変速比に副変速比を乗算した値が自動変速機10全体の総変速比となって出力される。
例えば、センターディファレンシャル装置50の増速の変速比ipを、ip=0.457とすると、図3に示すように、主変速装置20による1速の変速比3.540から5速の変速比0.834に対して、1.617〜0.381の5段階の総変速比を追加することができる。追加された5段階の総変速比のうち、図3に示す6速より低速側の範囲は、主変速装置20を1速、2速に固定して副変速比ipで増速させた総変速比1.617,1.057に設定され、3速(1.417),4速(1.00)の変速範囲と重複させた変速範囲に設定されている。
この重複変速範囲は、通常時、副変速比をロー側或いはハイ側の何れか一方に設定して用いられるが、異常発生時には、正常な側の副変速比に切換えることにより、重複変速範囲で通常時(正常時)に近い変速比を得ることができる。上述したように、本形態においては、通常時は、重複変速範囲の変速比は、副変速比をロー側とした主変速装置20の3速,4速を用いている。
これにより、自動変速機10の総変速比として、副変速比をロー側とした1〜5速(すなわち、主変速比1〜5速)に加えて、主変速比を3速〜5速に設定してハイ側の副変速比ipで増速させた変速比0,673、0.457、0.381を、それぞれ、6速、7速、8速とすることにより、1速から8速までの適正間隔の変速段を得ることができると共に、異常発生時にも、重複変速範囲を用いて通常時(正常時)に近い変速比を得ることができる。
異常時の変速バックアップ制御は、自動変速機10の各摩擦係合要素をコントロールバルブボデー70を介して制御する図4の電子制御装置(TCU)80によって行われる。TCU80は、通常時、予め記憶した変速スケジュールに従って、コントロールバルブボデー70を介して自動変速機10の変速段を制御し、同時に、異常の有無を自己診断している。
この自己診断においては、特に、副変速切換装置60のマルチステップブレーキ61及びダイレクトクラッチ63の異常を検出することが重要であり、双方が共に締結した状態で故障してインターロックする事態を確実に回避するようにしている。具体的には、TCU80は、副変速切換装置60の油圧系統を常時モニタし、マルチステップブレーキ61及びダイレクトクラッチ63の何れかが故障した場合であっても最低限の走行を確保するようにしている。
副変速切換装置60の油圧系統は、図4に示され、マルチステップブレーキ61及びダイレクトクラッチ63のそれぞれに、コントロールバルブボデー70に設けられた電磁切換バルブ71,72、リニアソレノイドバルブ73,74等を介して油圧が供給される。また、マルチステップブレーキ61の油圧ライン75、ダイレクトクラッチ63の油圧ライン76には、それぞれ、規定の制御圧でONする油圧スイッチ77,78が介装されており、これらの油圧スイッチ77,78の信号がTCU80に入力され、リニアソレノイドバルブ73,74のバルブ固着等によるマルチステップブレーキ61やダイレクトクラッチ63の異常が診断される。
このマルチステップブレーキ61やダイレクトクラッチ63の異常診断は、主として、油圧を出力させる制御指示に対してブレーキ或いはクラッチが解放状態で固着して締結できないOFF故障と、油圧を解放させる制御指示に対してブレーキ或いはクラッチが締結状態で固着して解放できないON故障とが対象となる。これらの故障は、油圧系統の異常、電磁切換バルブ71,72やリニアソレノイドバルブ73,74の故障、更には、マルチステップブレーキ61やダイレクトクラッチ63自体のオイル漏れや固着等といったように各種の原因が考えられるが、最終的には、制御指示に対する油圧スイッチ77,78のON,OFF状態で判別することができ、副変速切換装置60による副変速比がロー側或いはハイ側で異常を検出した場合、正常な側の副変速比に切換えると共に、主変速装置20を所定の変速段に固定して安全を確保する。
主変速装置20の変速段の固定は、副変速のハイ側での故障かロー側での故障かに応じて決定する。副変速をハイ側に設定できない異常が発生した場合、すなわち、ダイレクトクラッチ63がON故障した場合或いはマルチステップブレーキ61がOFF故障した場合には、更なる故障発生のリスクを回避するため、例えば、主変速装置20の要素間の相対回転が最も小さい組み合わせとなる変速段に固定する。
本形態においては、副変速をハイ側に設定できない異常が発生した場合(ロー故障;ロー側に固定されてしまう故障)、副変速切換装置60をロー側に設定し、主変速装置20を直結段である4速に固定する。主変速比を4速に固定した状態は、インプットクラッチ26、ハイ&ローリバースクラッチ27、ダイレクトクラッチ63が共に締結し、3つのプラネタリギヤ21,22,23の各ギヤが一体となって回転する状態であり、最も安全な状態であると言える。
一方、副変速をロー側に設定できない異常が発生した場合(ハイ故障;ハイ側に固定されてしまう故障)、すなわち、ダイレクトクラッチ63がOFF故障した場合或いはマルチステップブレーキ61がON故障した場合には、主変速装置20の変速比を最も大きい変速比すなわち1速に固定し、確実な走行を可能とする。但し、本形態のように、ロー側の副変速比がハイ側の副変速比よりも大きいことが条件となる。
尚、ハイ故障での主変速比を、相対回転が最も小さい変速比としての4速に固定すると、副変速比の設定によっては変速機全体の総変速比が小さくなり過ぎ、走行を維持することが困難となる虞がある。しかしながら、ハイ故障時に4速固定の走行が可能な否かは、エンジンの出力特性や主変速装置の構成にも依存するため、4速(相対回転が最も小さい変速比)への固定は、必ずしもロー故障時に限定されるものではなく、条件によってはハイ故障時に適用することも可能である。
次に、TCU80によるダイレクトクラッチ63及びマルチステップブレーキ61のON故障、OFF故障に対応した故障時変速バックアップ処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
この故障時変速バックアップ処理では、先ず、ステップS1において、ダイレクトクラッチ(D/C_2)63の油圧を制御するリニアソレノイドバルブ73を駆動して油圧を出力する指示が出力されているか否かを調べる。その結果、油圧出力指示が出されているときには、ステップS2へ進み、ダイレクトクラッチ63の油圧ライン75の圧力を検出する油圧スイッチ(C油圧SW)77からの信号を読込み、スイッチがONされているか否かを調べる。
その結果、油圧スイッチ77がONの場合には、ダイレクトクラッチ63に規定の油圧が供給されており、ダイレクトクラッチ63は正常に作動していると判断してステップS8へ進み、マルチステップブレーキ(MS/B)61の故障判定を行う。一方、油圧スイッチ77がOFFの場合には、ダイレクトクラッチ63に規定の油圧が供給されず、クラッチ締結が不可の異常(ダイレクトクラッチOFF故障)であると判断し、ステップS2からステップS3へ進む。
ステップS3では、マルチステップブレーキ61をONさせて副変速比をハイ側に設定し、ステップS4で主変速装置20の主変速比を1速に固定する。そして、異常発生を運転者に警告すると共にフェールセーフ制御に移行し、リンプホームのための走行を確保する。
一方、ステップS1において、ダイレクトクラッチ63への油圧出力指示が出力されていない場合には、ステップS1からステップS5へ進み、油圧スイッチ77の信号がOFFであるか否かを調べる。その結果、油圧スイッチ77がONである場合には、クラッチ締結状態のまま解放されない異常(ダイレクトクラッチON故障)であると判断し、ステップS5からステップS6へ進む。
ステップS6では、マルチステップブレーキ61をOFFさせて副変速比をロー側に設定し、ステップS7で主変速装置20の主変速比を4速に固定する。そして、同様に、異常発生を運転者に警告すると共にフェールセーフ制御に移行し、リンプホームのための走行を確保する。
また、ステップS5において油圧スイッチ77がOFFである場合、ステップS5からステップS8以降へ進み、マルチステップブレーキ61の診断を行う。このマルチステップブレーキ61の診断では、先ず、ステップS8でマルチステップブレーキ61の油圧を制御するリニアソレノイドバルブ74を駆動して油圧を出力する指示が出力されているか否かを調べる。
そして、油圧出力指示が出されているときには、ステップS9へ進み、マルチステップブレーキ61の油圧ライン76の圧力を検出する油圧スイッチ(B油圧SW)78からの信号を読込み、スイッチがONされているか否かを調べる。その結果、油圧スイッチ78がONの場合には、ダイレクトクラッチ63に規定の油圧が供給されており、正常に作動していると判断して処理を抜ける。
一方、油圧スイッチ78がOFFの場合には、マルチステップブレーキ61に規定の油圧が供給されず、締結が不可の異常(マルチステップOFF故障)であると判断し、ステップS10で、ダイレクトクラッチ63をONさせて副変速比をロー側に設定した後、前述のステップS7で主変速装置20の主変速比を4速に固定する。
また、ステップS8において、マルチステップブレーキ61への油圧出力指示が出力されていない場合には、ステップS8からステップS11へ進み、油圧スイッチ78の信号がOFFであるか否かを調べる。そして、油圧スイッチ78がOFFである場合には、ダイレクトクラッチ63とマルチステップブレーキ61の両方に油圧を出力しない指示、つまりダイレクトクラッチ63とマルチステップブレーキ61の両方を解放する指示がTCU80により出力されていることとなる。ダイレクトクラッチ63とマルチステップブレーキ61の両方を解放すると、副変速切換装置60は主変速装置20の出力軸3から入力された駆動力をフロントドライブ軸4及びリヤドライブ軸7に伝達できない。従って、TCU80からこのような指示が出力された場合には、何らかの異常があると判断し、ステップS7へ進み相対回転が最も少ない変速比としての4速に固定すると共に異常発生を運転者に警告する。一方、油圧スイッチ78がONである場合、ブレーキ締結状態のまま解放されない異常(マルチステップON故障)であると判断し、ステップS12でダイレクトクラッチ63をOFFさせて副変速比をハイ側に設定した後、前述のステップS4で主変速装置20の主変速比を1速に固定する。
以上のように、本実施の形態においては、2段階に切換えられる副変速装置の変速比を主変速装置に適用して得られる第1,第2の変速比範囲が一部重複するように設定し、通常は、重複部分の一方を使用し、他方は異常が発生した際のバックアップとして用いているため、変速比を予め異常時にも対応可能に最適化し、コスト低減を図りつつ異常時にも最低限の走行性を確保することができる。しかも、異常発生時に、重複させた変速比を用いることで、正常時に接近した変速比でのバックアップ走行が可能である。
自動変速機の各要素のレイアウトを示す模式図 副変速装置のスケルトン図 変速位置と摩擦係合要素の係合状態を示す説明図 副変速装置の油圧系統を示す説明図 故障時変速バックアップ処理のフローチャート
符号の説明
10 自動変速機
20 主変速装置
50 センターディファレンシャル装置
60 副変速切換装置
61 マルチステップブレーキ
63 ダイレクトクラッチ

Claims (9)

  1. 主変速装置に副変速装置を連結して多数の変速段を達成する自動変速機において、
    上記副変速装置において第1の変速比を設定した場合に出力される上記自動変速機全体の第1変速比範囲と、上記副変速装置において第2の変速比を設定した場合に出力される上記自動変速全体の第2変速比範囲とが一部重複するように設定し、
    上記副変速装置が上記第1の変速比又は上記第2の変速比の何れか一方を設定することができない異常のとき、上記副変速装置は上記第1の変速比又は上記第2の変速比の何れか他方を設定することを特徴とする自動変速機。
  2. 通常時には、上記第1変速比範囲と上記第2変速比範囲とが重複する範囲において、上記第1の変速比又は上記第2の変速比のいずれか一方を選択した上で使用することを特徴とする請求項1記載の自動変速機。
  3. 上記副変速装置が上記第1の変速比又は上記第2の変速比のいずれか一方を設定することができない異常のとき、上記主変速装置は相対回転が最も少ない組み合わせとなる変速段に設定することを特徴とする請求項1又は2記載の自動変速機。
  4. 上記第1の変速比が上記第2の変速比より大きく設定されている場合であって、上記第1の変速比を設定することができない異常のとき、上記主変速装置は最も大きな変速比となるように設定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動変速機。
  5. 主変速装置に副変速装置を連結して多数の変速段を達成する自動変速機において、
    上記副変速装置は、第1の摩擦係合要素と第2の摩擦係合要素とを有し、
    上記第1の摩擦係合要素を締結し且つ上記第2の摩擦係合要素を解放することにより、第1の変速比を設定し、
    上記第1の摩擦係合要素を解放し且つ上記第2の摩擦係合要素を締結することにより、第2の変速比を設定し、
    上記副変速装置において上記第1の変速比を設定した場合に出力される上記自動変速機全体の第1変速比範囲と、上記副変速装置において上記第2の変速比を設定した場合に出力される上記自動変速機全体の第2変速比範囲とが一部重複するように設定し、
    上記副変速装置が上記第1の変速比又は上記第2の変速比の何れか一方を設定することができない異常のとき、上記副変速装置は上記第1の変速比又は上記第2の変速比の何れか他方を設定することを特徴とする自動変速機。
  6. 上記第1の摩擦係合要素を締結できない異常のとき、上記第2の摩擦係合要素を締結すると共に、上記主変速装置は最も大きな変速比となるように設定することを特徴とする請求項5記載の自動変速機。
  7. 上記第1の摩擦係合要素を解放できない異常のとき、上記第2の摩擦係合要素を解放すると共に、上記主変速装置は相対回転が最も少ない組み合わせとなる変速段に設定することを特徴とする請求項5記載の自動変速機。
  8. 上記第2の摩擦係合要素を締結できない異常のとき、上記第1の摩擦係合要素を締結すると共に、上記主変速装置は相対回転が最も少ない組み合わせとなる変速段に設定することを特徴とする請求項5記載の自動変速機。
  9. 上記第2の摩擦係合要素を解放できない異常のとき、上記第1の摩擦係合要素を解放すると共に、上記主変速装置は最も大きな変速比となるように設定することを特徴とする請求項5記載の自動変速機。
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