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JP2007231441A - 熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド - Google Patents

熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド Download PDF

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JP2007231441A JP2006053229A JP2006053229A JP2007231441A JP 2007231441 A JP2007231441 A JP 2007231441A JP 2006053229 A JP2006053229 A JP 2006053229A JP 2006053229 A JP2006053229 A JP 2006053229A JP 2007231441 A JP2007231441 A JP 2007231441A
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JP2006053229A
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Hisamitsu Murayama
尚光 村山
Koji Shiraki
浩司 白木
Shoji Makino
昭二 牧野
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Teijin Ltd
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Teijin Techno Products Ltd
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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂との接着性に優れるサイジング剤を付与した熱可塑性樹脂強化用炭素繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリウレタン樹脂を含むサイジング剤が付与されてなる炭素繊維ストランドにおいて、前記サイジング剤の乾燥被膜の破断伸度が400%以下であり、その付着量が炭素繊維に対し0.1〜5.0質量%であるものとする。当該炭素繊維ストランドを配合した炭素繊維強化熱可塑性樹脂は、フィラメントに炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性が高い樹脂が付着しているので、曲げ強度等の機械的強度に優れる。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂マトリックスとの接着性に優れるサイジング剤が付与された熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド及び当該炭素繊維ストランドによって強化された熱可塑性樹脂に関する。
炭素繊維及び炭素繊維複合材料は、引張強度・引張弾性率が高く、耐熱性、耐薬品性、疲労特性、耐摩耗性に優れる、線膨張係数が小さく寸法安定性に優れる、電磁波シールド性、X線透過性に富むなどの優れた特長を有している。このことから、スポーツ・レジャー、航空・宇宙、一般産業用途に幅広く適用されている。従来は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を複合材料のマトリックス樹脂とすることが多かったが、最近、リサイクル性・高速成型性の観点から熱可塑性樹脂が注目されている。
炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料のマトリックス樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
これら熱可塑性樹脂のうち、ポリアミド樹脂は、安価であり、耐熱性、機械的特性(強度、弾性率)、耐薬品性に優れた性質を有する。そのため、炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料のマトリックスとして、今後飛躍的な成長が期待されている。
炭素繊維は、多数本の極細フィラメントを束ねた繊維束(ストランド)形状のものとして製造されるが、その取扱時において機械的摩擦などによって毛羽が発生し易い。このため、炭素繊維の集束性を向上させて取扱性を改善し、且つ、マトリックスとの親和性・接着性を向上させるために、炭素繊維にサイジング剤を付与するのが一般的である。
熱可塑性樹脂をマトリックスとする炭素繊維複合材料は、コンパウンドペレットの射出成型、樹脂含有長繊維ストランドをカットしたもので繊維強化樹脂複合材料用中間素材(いわゆる長繊維ペレット)の射出成型、射出圧縮成型、押出成型、ランダムマットを使用したスタンピング成型などの成型材料として用いられ、これらに含まれる炭素繊維は比較的短い繊維形態で使用されることが多い。
このため、炭素繊維複合材料の強度・弾性率等の機械的特性は、炭素繊維とマトリックスである熱可塑性樹脂との親和性・接着性に大きく影響を受ける。特に、近年は炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料に対して更なる性能向上が要求されており、上記成型方法による場合は必要な強度が得られない場合がある。
サイジング剤と熱可塑性樹脂マトリックスとの親和性を考慮した炭素繊維用サイジング剤については、これまでに多くの提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1には、ポリウレタンで被覆処理された炭素繊維ストランドが提案されている。この提案によれば、炭素繊維ストランドの取扱性の向上、並びに、炭素繊維強化熱可塑性樹脂の機械的特性の向上を図ることができることが開示されている。
また、特許文献2には、常温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、常温で固形状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ステアリン酸を必須成分とするサイジング剤が提案されている。更に、特許文献2には、上記サイジング剤が炭素繊維ストランドに良好な耐擦過性を与えることが記載されている。
しかしながら、特許文献1及び2で開示されたサイジング剤では、近年の炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料に対する更なる性能向上の要求に対しては、満足すべき補強効果を確保できなかった。
特開昭58−126375号公報 (特許請求の範囲) 特開平7−197381号公報 (特許請求の範囲)
本発明の目的は、熱可塑性樹脂マトリックスとの親和性・接着性に優れた熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド、及び当該炭素繊維ストランドを配合した炭素繊維強化熱可塑性樹脂を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕 ポリウレタン樹脂を含むサイジング剤が付与されてなる炭素繊維ストランドであって、前記サイジング剤の乾燥被膜の破断伸度が400%以下であり、その付着量が炭素繊維に対し0.1〜5.0質量%である熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
〔2〕 前記サイジング剤の乾燥被膜の軟化温度が50〜150℃である〔1〕に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
〔3〕 前記ポリウレタン樹脂のポリオール成分がエステル系である〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
〔4〕 〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドを5〜70質量%配合してなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
〔5〕 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である〔4〕に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
本発明の炭素繊維ストランドにおいては、所定のポリウレタンが炭素繊維に付着し、ポリアミド樹脂に対する接着性に優れた被膜を形成している。
本発明の炭素繊維ストランドは、コンパウンドペレットの射出成型、樹脂含有長繊維ストランドをカットしたもので繊維強化樹脂複合材料用中間素材(いわゆる長繊維ペレット)の射出成型、射出圧縮成型、押出成型等の成型に好適に供される。これらの成型により得られる炭素繊維強化熱可塑性樹脂は、フィラメントを覆う被膜とポリアミド樹脂との親和性が高いので、曲げ強度等の機械的強度に優れる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の炭素繊維ストランドに付与されるサイジング剤は、乾燥被膜の破断伸度が400%以下、好ましくは350%以下である。破断伸度が400%を超える場合は、ポリアミド樹脂との接着性が低下するため、機械的強度が良好な炭素繊維強化熱可塑性樹脂が得られない。破断伸度が400%以下のサイジング剤が良好な理由は明らかではないが、炭素繊維ストランドの伸度が1.5〜2.5%に対し、ポリアミド樹脂の未延伸フィルムの伸度が400%であることから、炭素繊維とポリアミド樹脂との間に存在するサイジング剤は、破断伸度が400%以下のものが好ましいと考えられる。
本発明の炭素繊維ストランドに付与されるサイジング剤は、乾燥被膜の軟化温度が50〜150℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。軟化温度が150℃を超える場合は、ポリアミド樹脂との接着性が低下するため、機械的強度が良好な炭素繊維強化熱可塑性樹脂が得られない場合がある。軟化温度が50℃未満の場合も、軟化温度が150℃を超える場合と同様である。
本発明の炭素繊維ストランドに付着されるサイジング剤中のポリウレタン樹脂のポリオール成分はエステル系とすることが好ましい。即ち、ポリウレタン樹脂の製造原料のポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられるが、ポリアミド樹脂との接着性が良好なポリオール成分はポリエステルポリオールである。
ポリエステルポリオールとしては、下記グリコール成分と下記酸成分とを脱水縮合反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
ポリエステルポリオールを得る際に使用することができるグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量300〜6000)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン及びそれらのアルキレンオキシド付加体等が挙げられる。
ポリエステルポリオールを得る際に使用することができる酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタール酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物若しくはエステル形成性誘導体、並びに、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等が挙げられる。
また、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル及びこれらの共重合ポリエステルも使用することができる。
サイジング剤には上記ポリウレタン樹脂以外に、オレイン酸メチルやジオクチルセバケートなどの合成潤滑油、植物油、マッコーアルコールなどの高級アルコール、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤や低度硫酸化油などの乳化剤等が含まれていてもよい。
上記サイジング剤を付与する炭素繊維ストランドは、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系など、何れの炭素繊維も使用することができる。特に、PANを原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。これらは市販品として入手できる。
炭素繊維ストランドを構成するフィラメント数は特に制限はないが、通常の製造工程で得られる炭素繊維ストランドのフィラメント数は1000〜50000本程度である。
炭素繊維ストランドを構成するフィラメントの直径は4〜10μmが好ましく、6〜8μmがより好ましい。
PAN系炭素繊維は、概略以下の工程を経て製造される。
まず最初の耐炎化工程では、アクリル繊維を200〜300℃の空気雰囲気中で加熱し、ニトリル基を閉環させ、アクリルポリマー中に酸素を導入して、高温下でも安定な構造にする。
炭素化工程では、不活性ガス雰囲気中1000℃以上の高温で焼成し、炭素含有率を90質量%以上まで高めた炭素繊維とする。
表面処理工程では、炭素繊維表面にマトリックス樹脂との接着性を高めるための含酸素官能基を導入する。
炭素繊維の表面処理としては、液相における薬液酸化・電解酸化、気相酸化などが挙げられる。これら表面処理のうちでも、生産性、処理の均一性の観点から、液相における電解酸化処理が好ましい。電解酸化処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機水酸化物、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩類などが挙げられる。
炭素繊維ストランドに対するサイジング剤の付着量は、炭素繊維に対し0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%とする。付着量が0.1質量%未満では成型加工時における炭素繊維ストランドの取扱性が劣る。一方、5.0質量%を超えると、炭素繊維ストランドの風合が低下し、ボビンに巻き取ったときの巻き密度が低下するので運送時に巻き崩れなどの問題が生じやすい。
以下、本発明の炭素繊維ストランドの製造方法の一例について説明する。
[サイジング液]
ポリウレタン樹脂を水に分散させた形態で使用するのが一般的である。ポリウレタン樹脂は、分子中に親水基を導入して自己乳化させてもよいし、公知の界面活性剤を用いて強制乳化させてもよい。
[サイジング剤]
本発明でサイジング剤とは、炭素繊維表面に付着したサイジング液中の組成物をいう。
[サイジング工程]
炭素繊維ストランドへのサイジング法は、スプレー法、ローラー浸漬法、ローラー転写法などがある。これらサイジング法のうちでも、生産性、均一性に優れるローラー浸漬法が好ましい。炭素繊維ストランドをサイジング液に浸漬する際には、サイジング浴中に設けられた浸漬ローラーを介して、開繊と絞りを繰り返し、ストランドの中までサイジング液を含浸させることが肝要である。
サイジング液を炭素繊維ストランドに含浸させた後、続く乾燥処理によって水分又は溶剤を除去して、目的とするサイジング剤を付与した炭素繊維ストランドを得る。炭素繊維に対するサイジング剤の付着量の調整は、サイジング液の濃度調整や、絞りローラーの調整などによって行う。
炭素繊維ストランドの乾燥は、例えば、熱風、熱板、ローラー、赤外線ヒーターなどを使用することができ、120〜150℃の温度に1〜10分保持させることが好ましい。
上記方法により製造した本発明の炭素繊維ストランドは、コンパウンドペレット、樹脂含有長繊維ストランドをカットした中間素材(いわゆる長繊維ペレット)、ランダムマット、一方向強化プリプレグなどに加工し、これを成型して成型品(炭素繊維強化熱可塑性樹脂)とすることができる。本発明の炭素繊維ストランドは、コンパウンドペレット、長繊維ペレットに加工して行う射出成型、射出圧縮成型、押出成型等の成型品を製造する場合に特に好適である。
炭素繊維強化熱可塑性樹脂に配合する本発明の炭素繊維ストランドの配合量は、炭素繊維の形態や成型方法、用途等によって異なるが、コストパフォーマンスの観点から5〜70質量%の範囲が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
以下の実施例1〜3及び比較例1〜4に記載した条件によりサイジング剤の付着した炭素繊維ストランドを作製した。得られた炭素繊維ストランドの諸物性値について、以下の方法により測定した。
〔界面接着強度の測定〕
界面接着強度は、複合材界面特性評価装置(東栄産業社製)を用いたマイクロドロップレット試験により評価した。
はじめに、炭素繊維ストランドから炭素繊維モノフィラメントを取り出した。図1に示すように、コ字状の台紙13の両端側に設けた突出部13a、13bに炭素繊維モノフィラメント11の両端をそれぞれ接着剤12で固定し、炭素繊維モノフィラメント11を台紙13に張設した。この台紙を装置の台紙ホルダーにセットした。台紙ホルダーはロードセルを備えた試料移動装置と連結されており、炭素繊維モノフィラメント11の繊維軸方向に台紙13を一定の速度で移動させることが可能となっている。250℃に加熱し溶融させたポリアミド樹脂(宇部興産製、宇部ナイロン 1011FB)を、装置に備えられた試料容器の網目から液滴状に懸垂して台紙13に張設した炭素繊維モノフィラメント11に接触させた。この操作により、炭素繊維モノフィラメント11にマイクロドロップレット14を付着させ、測定用試料を得た。マイクロドロップレットを室温で十分に冷却した後、炭素繊維モノフィラメント11をSUS製ブレード15a、15bで挟んだ。その後、台紙13を0.06mm/minの速度で炭素繊維モノフィラメント11の繊維軸方向に移動させ、マイクロドロップレット14から炭素繊維モノフィラメント11を引き抜くとともに、ロードセルで引き抜き時の最大荷重Fを測定した。10個以上の測定用試料を作製して測定を行い、直径30〜100μmのマイクロドロップレットについて最大荷重Fの平均値を求めた。なお、測定は、窒素雰囲気下、雰囲気温度23℃で行い、1個の測定用試料で測定するサンプル数は5個とした。
次式(iii)により界面剪断強度τを算出し、炭素繊維フィラメントとポリプロピレン樹脂の接着強度を評価した。
τ=F/πdl……(iii)
なお、式(iii)中、Fは引き抜き時の最大荷重、dは炭素繊維フィラメント径、lはマイクロドロップレットの引き抜き方向の粒子径を示す。
〔一方向積層板の曲げ試験〕
図2に示す装置を用いてサイジング剤を付与した炭素繊維にポリアミド樹脂(宇部興産製、宇部ナイロン 1022B)を含浸させて炭素繊維強化ストランドプリプレグを製造した。
サイジング剤を付与した炭素繊維31を、270℃に保持された恒温槽38中にセットしたポリアミド樹脂浴39(幅10cm×長さ30cm)に30cm/分で連続的に浸漬し、樹脂浴の出側で絞りローラー34により余剰の樹脂を絞り取った後、ワインダー37で巻き取った。得られた炭素繊維強化ストランドプリプレグにおける炭素繊維の体積含有率は30%であった。なお、図2中、32はガイドローラー、33は浸漬ローラー、35は炭素繊維ストランドのパッケージを示す。
得られた炭素繊維強化ストランドプリプレグを、炭素繊維の配向方向を一方向に揃えてシート状に形成し、炭素繊維の配向方向をシート間で同一にして金型内に7枚積層した。金型内に積層した炭素繊維強化ストランドプリプレグを、270℃中6kgf/cm2(0.59MPa)で加圧下4分間加熱し、幅10mm×厚さ2mm×長さ12mmの炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)試験片を作製した。CFRTP試験片の炭素繊維の体積含有率は30%であった。試験片5本について、JIS K 7074に準拠して曲げ試験(スパン/厚さ比=32、試験速度5.0mm/分)を実施した。
〔破断伸度の測定〕
フィルム上にサイジング剤溶液を塗布し、乾燥後の膜厚が100〜200μmとなるように、室温で20時間乾燥させた後、更に140℃で5分間乾燥させてフィルムから剥離することにより試料を作製した。次に、この試料を用いて、引張試験機〔オリエンテック社製〕にて、25℃の雰囲気下で、クロスヘッドスピード50mm/分で引張試験を実施した時の破断点伸度を測定した。
〔軟化温度の測定〕
フィルム上にサイジング剤溶液を塗布し、乾燥後の膜厚が100〜200μmとなるように、室温で20時間乾燥した後、更に140℃で5分間乾燥させてフィルムから剥離することにより試料を作製した。次に、この試料を使用し、高化式フローテスター[島津製作所(株)製 CFT−500D]にて、荷重98N、内径1mm且つ長さ1mmのオリフィスで流動開始温度を測定した。前述、後述の軟化温度はこの流動開始温度のことを指す。
実施例1
(1) 炭素繊維ストランドの製造
サイジング液として、水系ポリウレタン樹脂[大日本インキ化学工業(株)製ハイドランAP−40、破断伸度:30%、軟化温度:106℃]を純水で希釈し、樹脂濃度が25g/Lとなるように調整した。このサイジング液に未サイジングの炭素繊維ストランド[東邦テナックス社製「ベスファイトSTS−24K N00」、直径7μm×24000フィラメント、繊度1.6g/m、引張強度4000MPa(408kgf/mm2)、引張弾性率238GPa(24.3tonf/mm2)]を連続的に浸漬させ、フィラメント間に前記サイジング液を含浸させた。続いて、140℃の乾燥機に3分間通して水分を蒸発させ、サイジング剤が1.0質量%付着した炭素繊維ストランドを得た。
(2) 炭素繊維ストランドの界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度
得られた炭素繊維ストランドについて測定した界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度は表1に示すように、それぞれ63MPa及び733MPaと高いものであった。
実施例2
(1) 炭素繊維ストランドの製造
サイジング液を水系ポリウレタン樹脂[大日本インキ化学工業(株)製ハイドランAP−30F、破断伸度:30%、軟化温度:105℃]にした以外は実施例1と同様に操作してサイジング剤が1.0質量%付着した炭素繊維ストランドを得た。
(2) 炭素繊維ストランドの界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度
得られた炭素繊維ストランドについて測定した界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度は表1に示すように、それぞれ59MPa及び740MPaと高いものであった。
実施例3
(1) 炭素繊維ストランドの製造
サイジング液を水系ポリウレタン樹脂[大日本インキ化学工業(株)製ハイドランAP−20、破断伸度:340%、軟化温度:90℃]にした以外は実施例1と同様に操作してサイジング剤が1.0質量%付着した炭素繊維ストランドを得た。
(2) 炭素繊維ストランドの界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度
得られた炭素繊維ストランドについて測定した界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度は表1に示すように、それぞれ58MPa及び741MPaと高いものであった。
実施例4
(1) 炭素繊維ストランドの製造
サイジング液を水系ポリウレタン樹脂[大日本インキ化学工業(株)製ハイドランHW140SF、破断伸度:350%、軟化温度:75℃]にした以外は実施例1と同様に操作してサイジング剤が1.0質量%付着した炭素繊維ストランドを得た。
(2) 炭素繊維ストランドの界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度
得られた炭素繊維ストランドについて測定した界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度は表1に示すように、それぞれ59MPa及び730MPaと高いものであった。
比較例1
(1) 炭素繊維ストランドの製造
サイジング液を水系ポリウレタン樹脂[大日本インキ化学工業(株)製ハイドランHW930、破断伸度:600%、軟化温度:170℃]にした以外は実施例1と同様に操作してサイジング剤が1.0質量%付着した炭素繊維ストランドを得た。
(2) 炭素繊維ストランドの界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度
得られた炭素繊維ストランドについて測定した界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度は表1に示すように、それぞれ50MPa及び655MPaと低いものであった。
比較例2
(1) 炭素繊維ストランドの製造
サイジング液を水系ポリウレタン樹脂[大日本インキ化学工業(株)製ハイドランHW940、破断伸度:700%、軟化温度:180℃]にした以外は実施例1と同様に操作してサイジング剤が1.0質量%付着した炭素繊維ストランドを得た。
(2) 炭素繊維ストランドの界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度
得られた炭素繊維ストランドについて測定した界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度は表1に示すように、それぞれ48MPa及び654MPaと低いものであった。
比較例3
(1) 炭素繊維ストランドの製造
サイジング液を水系ポリウレタン樹脂[大日本インキ化学工業(株)製ボンディック1310NE、破断伸度:450%、軟化温度:173℃]にした以外は実施例1と同様に操作してサイジング剤が1.0質量%付着した炭素繊維ストランドを得た。
(2) 炭素繊維ストランドの界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度
得られた炭素繊維ストランドについて測定した界面接着強度及び一方向積層板の曲げ強度は表1に示すように、それぞれ52MPa及び650MPaと低いものであった。
Figure 2007231441
界面接着強度の測定方法を示す概略説明図である。 実施例において炭素繊維強化ストランドプリプレグの製造に使用した装置を示す概略説明図である。
符号の説明
11 炭素繊維モノフィラメント
12 接着剤
13 台紙
13a、13b 突出部
14 マイクロドロップレット
15a、15b ブレード
31 炭素繊維ストランド
32 ガイドローラー
33 浸漬ローラー
34 絞りローラー
35 パッケージ
37 ワインダー
38 恒温槽
39 樹脂浴

Claims (5)

  1. ポリウレタン樹脂を含むサイジング剤が付与されてなる炭素繊維ストランドであって、前記サイジング剤の乾燥被膜の破断伸度が400%以下であり、その付着量が炭素繊維に対し0.1〜5.0質量%である熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
  2. 前記サイジング剤の乾燥被膜の軟化温度が50〜150℃である請求項1に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
  3. 前記ポリウレタン樹脂のポリオール成分がエステル系である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドを5〜70質量%配合してなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
  5. 前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である請求項4に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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