JP2007224287A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐衝撃性および流動性を良好に維持したまま、耐熱性と耐スクラッチ性に優れ、更に耐湿熱老化性にも優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物に対して、特定のマレイミド系重合体を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、かつ成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域で、電子顕微鏡で観察される相構造として、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が5容量%以上形成された構造を有する熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物に対して、特定のマレイミド系重合体を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、かつ成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域で、電子顕微鏡で観察される相構造として、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が5容量%以上形成された構造を有する熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とに対して、特定のマレイミド系重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物に関する。
スチレン系樹脂は、高剛性かつ良外観で寸法安定性がよく、吸水性が低いという特徴を有していることから、汎用熱可塑性樹脂として広く使用されている。しかし、スチレン系樹脂は、耐薬品性、耐摩耗性および耐熱性が十分ではなく、苛酷な条件下での使用が制限されていた。また、結晶性熱可塑性樹脂組成物、中でもポリアミド樹脂は、耐薬品性、耐摩耗性および耐熱性に優れていることから、エンジニアリングプラスチックとして広く使用されているが、吸水性が高く、剛性と寸法安定性が十分ではなかった。
そこで、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂のそれぞれの長所を兼備した熱可塑性樹脂組成物の検討が従来からなされており、例えば、代表的なスチレン系樹脂であるABS樹脂とポリアミド樹脂のブレンド組成物が提案されている。しかしながら、ABS樹脂とポリアミド樹脂との単なるブレンドでは、両者の相溶性が悪く、機械的物性も著しく低いという問題があった。
そこで、機械特性の改良を目的として、芳香族ビニルとα,β−不飽和カルボン酸無水物とからなる共重合体をスチレン系樹脂とポリアミド樹脂との相溶化剤として用いた三成分からなる熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この樹脂組成物は、車両用内外装部品や電気・電子機器のハウジング・部品周りへの用途展開を考えた場合に要求される特性である耐熱性、低温における耐衝撃性と流動性については不十分であった。
耐衝撃性を改善することを目的として、例えば、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とに対して、芳香族ビニルとα,β−不飽和カルボン酸および/またはα,β−不飽和カルボン酸無水物からなる低分子量の共重合体を添加した熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、ABS樹脂とポリアミド樹脂にスチレン−アクリロニトリル−無水マレイン酸共重合体を添加することにより、耐衝撃性をさらに向上させた熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)しかしながら、これらの熱可塑性樹脂組成物では、耐熱性、特に高荷重下での耐熱性と、耐スクラッチ性、および耐湿熱老化性が前記用途に対して十分なものではなかった。
そこで、耐衝撃性と流動性のバランスに優れ、かつ耐熱性にも優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることを目的として、α、β−不飽和カルボン酸含有共重合体、例えばスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体とマレイミド系単量体を含有するマレイミド系単量体を配合した熱可塑性樹脂組成物が報告されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、この熱可塑性樹脂組成物においては、耐熱性は改善するものの、耐スクラッチ性および耐湿熱老化性が前記用途に対しては未だ不十分なレベルであった。
また、α、β−不飽和カルボン酸含有共重合体またはα、β−不飽和カルボン酸無水物含有共重合体を含むゴム強化ビニル系樹脂とポリアミド樹脂からなり、特定の相構造を有する熱可塑性樹脂組成物が報告されている(例えば、特許文献5参照。)。この熱可塑性樹脂組成物は、常温、低温での耐衝撃性と流動性に優れるが、α、β−不飽和カルボン酸無水物含有共重合体と特定のマレイミド系重合体を併用していないため、耐スクラッチ性および耐湿熱老化性が前記用途に対しては未だ不十分なレベルであった。
特開昭60−195157号公報
欧州特許出願公開第0068132号明細書
米国特許第4713415号明細書
特開平11−286587
特開2005−220344号公報
本発明は、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物を得るに際し、耐衝撃性および流動性を良好に維持したまま、耐熱性と耐スクラッチ性に優れ、更に耐湿熱老化性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物に対して、特定のマレイミド系重合体を添加し、かつ特定の相構造を形成せしめることにより、かかる課題を解決し、耐衝撃性および流動性を良好に維持したまま、耐熱性と耐スクラッチ性に優れ、更には優れた耐湿熱老化性をも有する熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体100〜1重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜99重量%とからなる単量体成分をグラフト重合してなるグラフト(共)重合体(A−1)と、芳香族ビニル系単量体100〜1重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜99重量%からなるビニル系(共)重合体(A−2)のうち少なくとも1種を配合してなるスチレン系樹脂(A)1〜99重量%と、
ポリアミド樹脂(B)99〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、
マレイミド系単量体単位を含むマレイミド系重合体(C)0.05〜80重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、かつ該熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工して得られる成形体において、成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域で、電子顕微鏡で観察される相構造として、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が5容量%以上形成されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、
(2)スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との混合比率が、スチレン系樹脂(A)55〜90重量%と、ポリアミド樹脂(B)45〜10重量%の範囲であることを特徴とする(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(3)該熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工して得られる成形体において、成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域で、電子顕微鏡で観察される相構造として、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が10容量%以上形成されることを特徴とする(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(4)更に、ポリアミドとの反応性および/または親和性を有する官能基を含有する少なくとも1種のビニル系単量体単位を含む変性ビニル系共重合体(D)0.05〜80重量部を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(5)変性ビニル系共重合体(D)のメチルエチルケトン溶媒に溶解させ30℃の温度で測定した極限粘度が0.10〜2.00dl/gの範囲にあることを特徴とする(4)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(6)変性ビニル系共重合体(D)が、シアン化ビニル系単量体単位を含むことを特徴とする(4)または(5)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(7)マレイミド系重合体(C)のメチルエチルケトン溶媒に溶解させ30℃の温度で測定した極限粘度が0.05〜2.00dl/gの範囲にあることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(8)マレイミド系重合体(C)がマレイミド系単量体単位を5〜80重量%含むことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(9)マレイミド系重合体(C)のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(10)前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得た厚さ1/4インチの射出成形品について、ASTM D−648に従って、荷重1.82MPaで測定した荷重たわみ温度が90℃以上であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工してなる成形体、および前記成形体からなる車両用内外装部品を提供するものである。
ポリアミド樹脂(B)99〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、
マレイミド系単量体単位を含むマレイミド系重合体(C)0.05〜80重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、かつ該熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工して得られる成形体において、成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域で、電子顕微鏡で観察される相構造として、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が5容量%以上形成されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、
(2)スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との混合比率が、スチレン系樹脂(A)55〜90重量%と、ポリアミド樹脂(B)45〜10重量%の範囲であることを特徴とする(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(3)該熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工して得られる成形体において、成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域で、電子顕微鏡で観察される相構造として、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が10容量%以上形成されることを特徴とする(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(4)更に、ポリアミドとの反応性および/または親和性を有する官能基を含有する少なくとも1種のビニル系単量体単位を含む変性ビニル系共重合体(D)0.05〜80重量部を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(5)変性ビニル系共重合体(D)のメチルエチルケトン溶媒に溶解させ30℃の温度で測定した極限粘度が0.10〜2.00dl/gの範囲にあることを特徴とする(4)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(6)変性ビニル系共重合体(D)が、シアン化ビニル系単量体単位を含むことを特徴とする(4)または(5)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(7)マレイミド系重合体(C)のメチルエチルケトン溶媒に溶解させ30℃の温度で測定した極限粘度が0.05〜2.00dl/gの範囲にあることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(8)マレイミド系重合体(C)がマレイミド系単量体単位を5〜80重量%含むことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(9)マレイミド系重合体(C)のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(10)前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得た厚さ1/4インチの射出成形品について、ASTM D−648に従って、荷重1.82MPaで測定した荷重たわみ温度が90℃以上であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物、
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工してなる成形体、および前記成形体からなる車両用内外装部品を提供するものである。
本発明によれば、耐衝撃性および流動性を良好に維持したまま、耐熱性、特に高荷重下での耐熱性と耐スクラッチ性に優れ、更に耐湿熱老化性にも優れる熱可塑性樹脂組成物が得られる。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記特性を活かして、車両用内外装部品、機械部品および電気・電子機器のハウジング・部品周りとして好適に用いることができ、中でも特に車両用内装部品として有用に用いることができる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を実施するための最良の形態について説明する。
本発明で用いるスチレン系樹脂(A)は、グラフト(共)重合体(A−1)と、ビニル系(共)重合体(A−2)とのうち少なくとも1種を配合してなるものである。
本発明のグラフト(共)重合体(A−1)は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体100〜1重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜99重量%とからなる単量体成分をグラフト重合してなるものであり、好ましくはグラフト(共)重合体(A−1)は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体100〜5重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜95重量%とからなる単量体単位をグラフト重合してなるものであり、より好ましくはグラフト(共)重合体(A−1)は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体100〜40重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜60重量%ととからなる単量体成分をグラフト重合してなるものであり、更に好ましくはグラフト(共)重合体(A−1)は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体100〜50重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜50重量%とからなる単量体成分をグラフト重合してなるものであり、特に好ましくはグラフト(共)重合体(A−1)は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体100〜60重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜40重量%とからなる単量体成分をグラフト重合してなるものである。
グラフト(共)重合体(A−1)の具体例としては、耐衝撃性ポリスチレン、芳香族ビニル系単量体単位を含むことを特徴とするグラフト共重合体、例えば、ABS、AAS(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)、およびMBS(メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。
グラフト(共)重合体(A−1)を構成するゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適である。具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体のようなジエン系ブロック共重合体およびアクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル、アクリル酸アルキル−アクリル酸アリルエステルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体、エチレン−プロピレン共重合体およびエチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体などのエチレン−α−オレフィン系共重合ゴム、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体ラテックスなどのシリコーンゴム、ブタジエン系重合体の水素添加物、共役ジエン重合体ブロックと芳香族ビニル化合物重合体ブロックとのブロック共重合体の水素添加物およびこれらを組み合わせたブロック共重合体などの水素添加ゴムなどが挙げられ、中でも、ジエン系ゴム、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、水素添加ジエン系重合体、シリコーンゴムまたはアクリル系ゴムが好ましく用いられ、特にポリブタジエンまたはブタジエン共重合体が好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。非共役ジエン成分としては、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、およびジシクロペンタジエン等を好ましく用いることができる。
かかるゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限されないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.05〜0.7μm、特に0.10〜0.55μmのものが耐衝撃性に優れ好ましい。また、0.20〜0.25μmの重量平均粒子径のゴムと0.50〜0.65μmの重量平均粒子径のゴムとを重量比90:10〜60:40として併用したものも、耐衝撃性と薄肉成形品での落錘衝撃が著しく優れるので好ましく採用される。また、ゴム質重合体としては、凝集肥大化させたものを用いることもできる。
なお、ゴム粒子の重量平均粒子径は、「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法、すなわちアルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める方法により測定することができる。
グラフト(共)重合体(A−1)にグラフト重合する単量体単位として用いられる芳香族ビニル系単量体としては特に制限はなく、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、およびブロモスチレンなどを挙げることができるが、特にスチレンが好ましく、これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。
グラフト(共)重合体(A−1)にグラフト重合する単量体単位として用いられるその他の少なくとも1種の単量体としては、耐薬品性向上の目的で、シアン化ビニル系単量体が特に好ましく用いられる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体も好ましく用いられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルによるエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。また、これら以外の単量体としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸単量体単位およびこれらの金属塩、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、1,2−ジメチル無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アルキル置換フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリン、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、4−ジヒドロキシ−2−ブテン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、酢酸イソプロぺニル、安息香酸ビニル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリテトラメチレングリコールメタクリレートなどを使用することもできる。これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。
本発明におけるグラフト(共)重合体(A−1)は、好ましくはゴム質重合体10〜80重量部、より好ましくは40〜80重量部、さらに好ましくは50〜80重量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体100〜5重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜95重量%とからなる単量体単位を好ましくは90〜20重量部、より好ましくは60〜20重量部、さらに好ましくは50〜20重量部をグラフト(共)重合することによって得られる。ゴム質重合体の割合は特に制限はないが、10重量部未満では耐衝撃性が低下する傾向にあり、80重量部を超えると表面外観が低下する傾向にある。
本発明のグラフト(共)重合体(A−1)に用いられる芳香族ビニル系単量体量は、好ましくは40〜100重量%の範囲であり、より好ましくは40〜95重量%の範囲であり、更に好ましくは50〜80重量%の範囲であり、特に好ましくは60重量%〜75重量%の範囲である。
また、グラフト(共)重合体(A−1)に用いられるその他の少なくとも1種の単量体の量は、好ましくは60〜0重量%の範囲であり、より好ましくは60〜5重量%の範囲であり、より好ましくは50重量%〜20重量%の範囲であり、更に好ましくは40重量%〜25重量%の範囲である。
グラフト(共)重合体(A−1)は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体100〜5重量%とこれと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分0〜95重量%をグラフト(共)重合させる際に生成するグラフト化していない(共)重合体を含んでいてもよい。すなわち、単量体成分の単量体同士で結合し、グラフト化していない(共)重合体を含んでいてもよく、通常はグラフト化していない(共)重合体との混合物として得られたものを使用することができる。本発明におけるグラフト(共)重合体(A−1)には、このグラフト化していない単量体との混合物として得られたものも含まれる。ここでグラフト率については特に制限はないが、耐衝撃性の観点からグラフト率は10〜150%であることが好ましい。グラフト率は次式により算出される。
グラフト率(%)=[ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系(共)重合体量]/[グラフト(共)重合体のゴム含有量]×100
グラフト率(%)=[ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系(共)重合体量]/[グラフト(共)重合体のゴム含有量]×100
グラフト(共)重合体(A−1)をメチルエチルケトン溶媒に溶解させ、30℃で測定した極限粘度は特に制限はないが、耐衝撃性と成形加工性のバランスの観点から0.10〜2.00dl/gの範囲であることが好ましく、0.10〜1.20dl/gの範囲であることがより好ましく、更に好ましくは0.15〜0.70dl/gの範囲のものであり、特に好ましくは0.15〜0.48dl/gの範囲である。
グラフト(共)重合体(A−1)の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、沈殿重合、または塊状懸濁重合のようなこれら重合法の組み合わせが用いられ、また、回分式、連続式のいずれも好ましく用いることができる。また、別々に(グラフト)共重合したグラフト(共)重合体(A−1)の2種以上をブレンドして用いることも可能である。
ビニル系(共)重合体(A−2)に用いられる芳香族ビニル系単量体の量の下限は特に制限はないが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは45重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは55重量%以上であり、最も好ましくは60重量%以上である。芳香族ビニル系単量体の量の上限は特に制限はなく100重量%でもよいが、95重量%以下であることが好ましく、より好ましくは90重量%以下であり、更に好ましくは85重量%以下であり、特に好ましくは80重量%以下である。
また、ビニル系(共)重合体(A−2)に用いられるその他の少なくとも1種の単量体は必須ではなく、その下限は特に制限はないが、好ましくは5重量%以上であり、更に好ましくは10重量%以上であり、特に好ましくは15重量%以上であり、最も好ましくは20重量%以上である。ビニル系(共)重合体(A−2)に用いられるその他の少なくとも1種の単量体の含有量の上限は特に制限はないが、95重量%以下であることが好ましく、より好ましくは55重量%以下であり、更に好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは45重量%以下であり、最も好ましくは40重量%以下である。あることが好ましく、より好ましくは5〜55重量%であり、更に好ましくは5〜50重量%であり、特に好ましくは20〜50重量%である。すなわち、本発明のビニル系(共)重合体(A−2)の好ましい組成を範囲で表せば、芳香族ビニル系単量体100〜5重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜95重量%からなるものであり、より好ましくは芳香族ビニル系単量体100〜45重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜55重量%からなるものである。
ビニル系(共)重合体(A−2)の具体例としては、ポリスチレン、芳香族ビニル系単量体を5重量%以上含むことを特徴とする以下のビニル系共重合体、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)、MAS樹脂(メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン共重合体)などが挙げられる。
ビニル系(共)重合体(A−2)で用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、およびブロモスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
ビニル系(共)重合体(A−2)で用いられるその他の少なくとも1種の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびエタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体が耐薬品性向上の点から特に好ましく用いられ、中でもアクリロニトリルが最も好ましい。これら以外の単量体としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルによるエステル化物などの(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸単量体およびこれらの金属塩、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、1,2−ジメチル無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アルキル置換フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリン、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、4−ジヒドロキシ−2−ブテン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、酢酸イソプロぺニル、安息香酸ビニル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリテトラメチレングリコールメタクリレートなどを使用することもでき、これらの中では、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく用いることができる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。また、別々に製造したビニル系(共)重合体(A−2)の2種以上をブレンドして用いることも好ましい。
本発明におけるビニル系(共)重合体(A−2)をメチルエチルケトン溶媒に溶解させ、30℃で測定した極限粘度は特に制限はないが、耐衝撃性と成形加工性のバランスの観点から0.10〜2.00dl/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.10〜1.20dl/gの範囲であり、更に好ましくは0.15〜0.70dl/gの範囲であり、表面外観を考慮した際に特に好ましくは0.15〜0.55dl/gの範囲であり、最も好ましくは0.15〜0.50dl/gの範囲である。
ビニル系(共)重合体(A−2)の製造法に関しては特に制限がなく、例えば、芳香族ビニル系単量体あるいは芳香族ビニル系単量体を含む単量体成分を(共)重合する方法が特に好ましく用いられるほか、重合で得たビニル系(共)重合体にさらに反応器内で適切な反応を進行させ、所望のビニル系(共)重合体(A−2)を得る方法等が挙げられる。ビニル系(共)重合体(A−2)の製造には、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、乳化重合、または塊状懸濁重合等のこれら重合法の組み合わせなどの通常の方法が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、また共重合体の組成分布の生成を防止するために仕込み単量体の一部または全部を連続仕込みまたは分割仕込みしながら重合してもよい。
本発明では、スチレン系樹脂(A)は、耐衝撃性の観点から、少なくともグラフト(共)重合体(A−1)からなることが好ましく、流動性の観点から、スチレン系樹脂(A)は、グラフト(共)重合体(A−1)とビニル系(共)重合体(A−2)とからなることがより好ましい。このとき、ビニル系(共)重合体(A−2)の含有量は、流動性の観点から、スチレン系樹脂(A)中に5重量%以上であることが特に好ましい。すなわち、グラフト(共)重合体(A−1)とビニル系(共)重合体(A−2)のより好ましい混合比は、グラフト(共)重合体(A−1)5〜100重量%とビニル系(共)重合体(A−2)95〜5重量%であり、更に好ましくはグラフト(共)重合体(A−1)5〜95重量%とビニル系(共)重合体(A−2)95〜5重量%であり、特に好ましくはグラフト(共)重合体(A−1)5〜80重量%とビニル系(共)重合体(A−2)95〜20重量%であり、最も好ましくは、グラフト(共)重合体(A−1)40〜80重量%とビニル系(共)重合体(A−2)60〜20重量%である。
本発明で用いられるポリアミド樹脂(B)とは、アミノカルボン酸、ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸とを主たる原料とするポリマーである。本発明において用いるポリアミド樹脂(B)の原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、あるいはテトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミンと、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸との任意の組合せが挙げられる。
ポリアミド樹脂(B)は、これら原料から通常公知の重縮合によって得られ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
好ましいポリアミド樹脂(B)の例としては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/66/610コポリマー、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン66/ヘキサメチレンイソフタラミド(6I)/6コポリマー、およびナイロン6/66/610/12コポリマーなどの共重合体を挙げることができ、ナイロン6、ナイロン66およびこれらを主成分とする共重合体が好ましく、特に好ましくはナイロン6およびナイロン6を主成分とする共重合体であり、最も好ましくはナイロン6である。
これらポリアミド樹脂(B)の分子量は特に制限はないが、98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した溶液の相対粘度が、25℃で1.8〜7.5の範囲であることが好ましい。より好ましくは1.8〜4.0の範囲であり、更に好ましくは1.8〜2.8の範囲であり、特に好ましくは1.8〜2.4の範囲であり、最も好ましくは1.8〜2.3の範囲である。相対粘度が7.5を超える場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する傾向にある。また、相対粘度が1.8以上の場合は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が向上する傾向にある。ポリアミド樹脂(B)の融点は示差走査熱量測定器(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社製DSC−7型)を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/minで測定した結晶融解ピークトップを測定することで求めることができ、該融点が150〜280℃であることが好ましい。また、本発明で用いられるポリアミド樹脂(B)の溶融粘度は、溶融加工時の温度で、せん断速度1000秒−1のせん断速度において、15〜600Pa・sのものが好ましく、より好ましくは15〜250Pa・sのものであり、さらに好ましく15〜200Pa・sのもの、特に好ましくは15〜150Pa・sのもの、最も好ましくは15〜100Pa・sのものである。
本発明におけるマレイミド系重合体(C)に含まれるマレイミド系単量体単位の含有量は特に制限はないが、マレイミド系単量体単位5〜100重量%を含むことが好ましい。マレイミド系重合体(C)中のマレイミド系単量体単位の含有量の上限は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性の観点からより好ましくは95重量%以下であり、更に好ましくは80重量%以下であり、特に好ましくは70重量%以下であり、最も好ましくは60重量%以下である。また、マレイミド系重合体(C)中のマレイミド系単量体単位の含有量の下限は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐熱性と耐スクラッチ性の観点からより好ましくは10重量%以上であり、更に好ましくは25重量%以上、特に好ましくは30重量%以上であり、最も好ましくは40重量%以上である。ここで、マレイミド系単量体単位の種類としては特に制限はなく、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミドおよびN−tert−ブチルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、N−アルケニルマレイミド、N−アルキニルマレイミド、N−アラルキルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アルキル置換フェニルマレイミド、N−アルケニル置換フェニルマレイミドおよびN−アルキニル置換フェニルマレイミド等のN−アリールマレイミド、O−クロロ−N−フェニルマレイミド等のハロゲンで置換されたフェニル基を有するN−フェニルマレイミドなどを挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。中でも耐熱性付与の観点からN−フェニルマレイミドが好ましい。
マレイミド系重合体(C)に含まれるその他の単量体単位としては、特に制限はないが、例えば、芳香族ビニル系単量体単位、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位およびシアン化ビニル系単量体単位等から選ばれる少なくとも1種を好ましく用いることができる。
マレイミド系重合体(C)において、芳香族ビニル系単量体単位は熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の向上の観点から好ましく用いられる。マレイミド系重合体(C)中に芳香族ビニル系単量体単位は必須ではなく0重量%でもよいが、芳香族ビニル系単量体単位が含まれる場合、芳香族ビニル系単量体単位の量は特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体単位の含有量の下限は5重量%以上であることが好ましく、耐衝撃性の観点から、より好ましくは20重量%以上であり、更に好ましくは30重量%以上であり、特に好ましくは40重量%以上である。また、芳香族ビニル系単量体単位が含まれる場合、芳香族ビニル系単量体単位の含有量の上限は特に制限はないが、95重量%以下であることが好ましく、耐衝撃性の観点から、より好ましくは90重量%以下であり、更に好ましくは75重量%以下であり、特に好ましくは70重量%以下であり、最も好ましくは60重量%以下である。芳香族ビニル系単量体単位の導入法としては、特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体の重合により導入されることが好ましく、この芳香族ビニル系単量体としては、前記のビニル系(共)重合体(A−2)の頁で例示したものと同様のものを使用することができ、これらは単独ないし2種以上を用いることもでき、中でもスチレンが好ましい。また、マレイミド系重合体(C)において、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位は熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の向上の観点から好ましく用いられる。α、β−不飽和カルボン酸無水物単位の導入法としては、特に制限はないが、α、β−不飽和カルボン酸無水物の重合により導入されることが好ましく、α、β−不飽和カルボン酸無水物としては特に制限はないが、例を挙げると、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸、メチル無水マレイン酸、メチル無水フマル酸、無水メサコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、1,2−ジメチル無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられ、これらは単独ないし2種以上を用いることもでき、これらの中では無水マレイン酸が特に好ましい。また、マレイミド系重合体(C)は、α、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体単位を含有することもできる。この誘導体単位は、α、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体の共重合により導入されるものであってもよいが、例えばマレイミド系重合体(C)中に含有されるα、β−不飽和カルボン酸無水物単位が、加水分解等の反応により変換されたものであったもよい。マレイミド系重合体(C)中のα、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体単位としては、α、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体の共重合により導入されるものであってもよいが、例えばマレイミド系重合体(C)中に含有されるα、β−不飽和カルボン酸無水物単位が、加水分解等の反応により変換されたものであったもよい。これらの誘導体単位は、適切な真空乾燥処理や熱処理により再びα、β−不飽和カルボン酸無水物に変換可能な化学構造を有するものである。α、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体単位としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸、これらα、β−不飽和ジカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、クロトン酸モノメチル、クロトン酸モノエチル、メチルマレイン酸モノメチル、メチルフマル酸モノメチル、メサコン酸モノメチル、シトラコン酸モノメチル、グルタコン酸モノメチル、テトラヒドロフタル酸モノメチル等のα、β−不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルまたはこれらの金属塩、α、β−不飽和ジカルボン酸モノアルケニルエステルまたはこれらの金属塩、α、β−不飽和ジカルボン酸モノアリールエステルまたはこれらの金属塩、α、β−不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルなどを挙げることができる。本発明のマレイミド系重合体(C)にα、β−不飽和カルボン酸無水物単位が含まれる場合、その含有量は特に制限はないが、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位の含有量の上限は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性の観点から40重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは2重量%以下である。
マレイミド系重合体(C)において、シアン化ビニル系単量体単位は耐薬品性向上の観点から好ましく含むことができる。シアン化ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびエタクリロニトリルなどを挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができ、これらの中ではアクリロニトリルがより好ましい。
マレイミド系重合体(C)中に含まれるこれら以外の単量体としては特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸またはその金属塩、メタクリル酸またはその金属塩、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、マレイン酸モノエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができる。これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。
マレイミド系重合体(C)の製造においては、マレイミド系単量体を含む単量体成分を共重合することによって、所望のマレイミド系重合体(C)を製造する方法と、α、β−不飽和カルボン酸無水物、α、β−不飽和カルボン酸およびα、β−不飽和カルボン酸エステルのうち少なくとも1種を含む単量体成分を共重合した後、得られた共重合体とアンモニア又はメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミンおよびアニリン等の第1級アミンを反応させて無水マレイン酸基をイミド化することにより、所望のマレイミド系重合体(C)を製造する方法、アミド基含有ビニル系単量体と必要に応じてα、β−不飽和カルボン酸エステルを(共)重合し重合体を得て、次いで加熱処理により分子内イミド化反応せしめて製造する方法等を挙げることができ、これらは何れを採用してもよい。なお、マレイミド系単量体を含む単量体成分を重合することにより得る場合の重合法としては、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、沈殿重合、およびこれら重合法の組み合わせといった公知の重合法を好適に用いることができ、回分式、連続式の何れも好ましく用いることができる。また、無水マレイン酸基のイミド化によりマレイミド系重合体(C)を製造する場合には、例えば、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合などにより重合体を重合した後、塊状状態、溶液状態または懸濁状態でイミド化反応することより、重合体を得ることができる。また、無水マレイン酸基のイミド化反応、アミド基含有ビニル系単量体単位と必要に応じてα、β−不飽和カルボン酸エステル単位を含有する重合体の分子内イミド化反応の際には、スクリュー押出機等の溶融混練装置を用いてイミド化することもできる。
本発明において、マレイミド系重合体(C)のガラス転移温度は特に制限はないが、耐熱性の観点から100℃以上であることが好ましく、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐湿熱老化性の観点から、同ガラス転移温度はより好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは140℃以上であり、特に好ましくは170℃以上であり、最も好ましくは195℃以上である。また、ガラス転移温度の上限は本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性の観点から280℃以下であることが好ましく、より好ましくは250℃以下であり、更に好ましくは240℃以下であり、特に好ましくは230℃以下である。なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて昇温速度20℃/分で測定したガラス転移温度である。マレイミド系重合体(C)の極限粘度は特に制限はないが、メチルエチルケトン溶媒に溶解させ、30℃で測定した極限粘度は特に制限はないが、同極限粘度の上限は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐湿熱老化性の観点から2.00dl/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.90dl/g以下であり、更に好ましくは0.50dl/g以下であり、特に好ましくは0.40dl/g以下であり、最も好ましくは0.35dl/g以下である。同極限粘度の下限は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐スクラッチ性の観点から0.05dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.10dl/g以上であり、更に好ましくは0.15dl/g以上であり、特に好ましくは0.20dl/g以上である。
本発明において、必須ではないが、耐衝撃性と耐スクラッチ性の向上の観点から、マレイミド系重合体(C)に加えて、変性ビニル系共重合体(D)(以下、単に共重合体(D)と呼ぶことがある)を併用することが好ましい。共重合体(D)は、ポリアミドとの反応性および/または親和性を有する官能基を含有する少なくとも1種のビニル系単量体単位を含んでなるものである。
共重合体(D)中に含有されるポリアミドとの反応性および/または親和性を有する官能基を含有する少なくとも1種のビニル系単量体単位の含有量としては特に制限はないが、共重合体(D)中に含有されるポリアミドとの反応性および/または親和性を有する官能基を含有する少なくとも1種のビニル系単量体単位の含有量の上限は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性および耐湿熱老化性の観点から80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは20重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下であり、最も好ましくは7重量%である。同含有量の下限は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の観点から0.05重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上であり、更に好ましくは1.5重量%以上であり、特に好ましくは1.7重量%以上であり、最も好ましくは2.0重量%以上である。共重合体(D)中にはシアン化ビニル系単量体単位が含まれることが好ましく、シアン化ビニル系単量体単位の量は0.5〜60重量%であることが好ましい。より好ましくは0.5〜50重量%であり、更に好ましくは2〜50重量%である。共重合体(D)を添加して得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および耐薬品性の観点から、シアン化ビニル系単量体単位の量の下限は20重量%以上であることがより好ましく、また成形加工性を考慮すればその上限は50重量%以下であることがより好ましい。従って、これらを考慮した場合のシアン化ビニル系単量体単位の量は、20〜50重量%の範囲が好ましい。
共重合体(D)のポリアミドとの反応性および/または親和性を有する官能基を含有する少なくとも1種のビニル系単量体単位としては、特に制限はないが、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位、α、β−不飽和カルボン酸単位、エポキシ基含有ビニル系単量体単位、アミノ基含有ビニル系単量体単位、アミド基含有ビニル系単量体単位、水酸基含有ビニル系単量体単位およびオキサゾリン基含有ビニル系単量体単位から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくはα、β−不飽和カルボン酸無水物単位、α、β−不飽和カルボン酸単位およびエポキシ基含有ビニル系単量体単位から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはα、β−不飽和カルボン酸無水物単位、α、β−不飽和カルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種であり、耐湿熱老化性の観点から特に好ましくはα、β−不飽和カルボン酸無水物単位である。α、β−不飽和カルボン酸無水物単位、α、β−不飽和カルボン酸単位、エポキシ基含有ビニル系単量体単位、アミノ基含有ビニル系単量体単位、アミド基含有ビニル系単量体単位、水酸基含有ビニル系単量体単位およびオキサゾリン基含有ビニル系単量体単位から選ばれる少なくとも1種のうち、このα、β−不飽和カルボン酸無水物単位としては特に制限はなく、例を挙げると、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸、メチル無水マレイン酸、メチル無水フマル酸、無水メサコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、1,2−ジメチル無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物およびメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等が好ましく挙げられ、これらは単独ないし2種以上を用いることができ、これらの中では無水マレイン酸がより好ましい。前記α、β−不飽和カルボン酸単位としては特に制限はなく、例を挙げると、アクリル酸、メタクリル酸および2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸等のα、β−不飽和カルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸、これらα、β−不飽和ジカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、クロトン酸モノメチル、クロトン酸モノエチル、メチルマレイン酸モノメチル、メチルフマル酸モノメチル、メサコン酸モノメチル、シトラコン酸モノメチル、グルタコン酸モノメチル、テトラヒドロフタル酸モノメチル等のα、β−不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルまたはこれらの金属塩、α、β−不飽和ジカルボン酸モノアルケニルエステルまたはこれらの金属塩、α、β−不飽和ジカルボン酸モノアリールエステルまたはこれらの金属塩、α、β−不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルなどを好ましく挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができるが、これらの中ではメタクリル酸がより好ましい。前記エポキシ基含有ビニル系単量体単位としては特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等を好ましく挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができるが、これらの中ではメタクリル酸グリシジルがより好ましい。前記アミノ基含有ビニル系単量体単位としては特に制限はなく、例を挙げると、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミンおよびp−アミノスチレン等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。アミド基含有ビニル系単量体としては特に制限はないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミドおよびN−プロピルメタクリルアミド等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。前記水酸基含有ビニル系単量体単位としては特に制限はなく、例を挙げると、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。オキサゾリン基含有ビニル系単量体単位としては、特に制限はないが、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリン等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
共重合体(D)中にシアン化ビニル系単量体単位が含まれる場合、シアン化ビニル系単量体単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。
共重合体(D)は、その他の少なくとも1種の単量体単位を含んでいてもよい。その他の少なくとも1種の単量体単位としては芳香族ビニル系単量体が好ましく用いられる。この芳香族ビニル系単量体単位としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられ、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく、より好ましくはスチレンである。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。芳香族ビニル系単量体単位以外の単量体単位としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、マレイン酸モノエチルエステル、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどを挙げることができる。これらの中でもアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルがより好ましく用いられる。これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。
本発明の共重合体(D)をメチルエチルケトン溶媒に溶解させ、30℃の温度で測定した極限粘度の下限は特に制限はないが、耐衝撃性の観点から0.10dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.15dl/g以上である。同極限粘度の上限は特に制限はないが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐湿熱老化性の観点から2.00dl/g以下であることが好ましく、耐湿熱老化性および流動性の観点から好ましくは1.50dl/g以下であり、より好ましくは0.69dl/g以下であり、更に好ましくは0.50dl/g未満であり、特に好ましくは0.36dl/g以下であり、最も好ましくは0.25dl/g以下である。ここで、極限粘度は固有粘度と同義であり、還元粘度の無限希釈における極限値であり、複数の任意の濃度での還元粘度を測定することにより算出することができる。還元粘度とは、高分子物質の質量濃度cに対する相対粘度の増加分ηrの比ηr/cである。
一般に、高分子物質の極限粘度は分子量と一定の相関があることが知られており、極限粘度が上記範囲であることを特徴とする本発明の共重合体(D)は、分子量範囲によっても特徴づけることができる。分子量としては重量平均分子量で表現できるが、いずれも共重合体(D)をテトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定し、ポリスチレン換算の値として得られる。
本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は特に制限はないが、8000〜1000000の範囲であることが好ましく、具体的には、本発明の共重合体(D)のメチルエチルケトン溶液中30℃での極限粘度が0.10dl/g以上である好ましい本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は8000以上である。同極限粘度が0.15dl/g以上であるより好ましい本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は12000以上である。本発明の共重合体(D)のメチルエチルケトン溶液中30℃での極限粘度が2.00dl/g以下である好ましい本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は1000000以下であり、同極限粘度が1.50dl/g以下である好ましい本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は5000000以下である。同極限粘度が0.69dl/g以下であるより好ましい本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は155000以下である。同極限粘度が0.50dl/g未満である更に好ましい本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は110000未満である。同極限粘度が0.36dl/g以下である特に好ましい本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は36000以下である。同極限粘度が0.25dl/g以下である最も好ましい本発明の共重合体(D)の重量平均分子量は31000以下である。共重合体(D)の数平均分子量は特に制限はないが、本発明の共重合体(D)の数平均分子量の上限は950000以下であることが好ましく、より好ましくは150000以下であり、更に好ましくは50000以下であり、特に好ましくは20000以下であり、最も好ましくは17000以下である。共重合体(D)の数平均分子量の下限は3000以上であることが好ましく、より好ましくは4000以上である。
本発明の所望の極限粘度範囲を有する共重合体(D)を製造する方法については、特に制限はないが、重合において、アゾ化合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤の分解温度および添加量、メルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤の添加量、または、重合で溶媒を使用する場合においてはその溶媒量を制御すること等の公知の方法を用いることにより、所望の極限粘度範囲を有する共重合体(D)を得ることができる。中でも、重合の安定性と重合速度の維持の観点から、連鎖移動剤の添加量を制御する方法がより好ましく使用することができ、この際の連鎖移動剤としては、メルカプタン、中でも特にアルキルメルカプタンが好ましく用いられる。ここで使用されるアルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタンまたはn−オクタデシルメルカプタンなどが挙げられ、より好ましくはn−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンである。
本発明の共重合体(D)を製造する際のアルキルメルカプタンの添加量は、共重合体(D)の所望の極限粘度に応じて、ラジカル重合開始剤の分解温度および添加量、アルキルメルカプタン種、重合温度、モノマー濃度等に合わせて適宜設定することができる。
例えば、共重合体(D)を溶液重合により製造する場合には、反応系に仕込んだ単量体混合物の全量100重量部に対して、120重量部のメチルエチルケトンを使用し、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.3重量部使用し、80℃で重合を実施した場合に、メチルエチルケトン中、30℃における極限粘度が0.10〜1.50dl/gの範囲にある好ましい共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンの添加量は反応系に仕込んだ単量体混合物の全量100重量部に対して、0.005〜1.5重量部の範囲に制御する。また、極限粘度が0.10〜0.69dl/gの範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.01〜1.5重量部の範囲に制御する。また、極限粘度が0.10dl/g以上0.50dl/g未満の範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.05重量部より多く、かつ1.5重量部以下の範囲に制御する。また、極限粘度が0.10〜0.36dl/gの範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.15〜1.5重量部の範囲に制御する。さらに、同様の溶液重合にて、極限粘度が0.10〜0.30dl/gの範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.2〜1.5重量部の範囲に制御する。また、極限粘度が0.15以上の範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.8重量部以下の範囲に制御する。
また、例えば、共重合体(D)を、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.3重量部使用し、80℃で塊状重合を行い製造する場合には、メチルエチルケトン中、30℃における極限粘度が0.10〜1.50dl/gの範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタン添加量は反応系に仕込んだ単量体混合物の全量100重量部に対して、0.04〜3.5重量部の範囲に制御する。また、極限粘度が0.10〜0.69dl/gの範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.1〜3.5重量部の範囲に制御する。また、極限粘度が0.10以上0.50dl/g未満の範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.3重量部より多く、かつ3.5重量部以下の範囲に制御する。また、極限粘度が0.10〜0.36dl/gの範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.5〜3.5重量部の範囲に制御する。さらに、極限粘度が0.10〜0.30dl/gの範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.75〜3.5重量部の範囲に制御する。また、極限粘度が0.15以上の範囲にある共重合体(D)を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを2.5重量部以下の範囲に制御する。
共重合体(D)中のα、β−不飽和カルボン酸無水物単位とシアン化ビニル系単量体単位は、ランダム重合により共重合体の主鎖中に導入されることが好ましい。この場合の重合方法については、例えばラジカル重合による、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、乳化重合、または塊状懸濁重合などの重合法の組み合わせを用いることができ、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合または沈殿重合をより好ましく用いることができる。また、回分式、連続式のいずれも好ましく用いることができる。重合法によっては、共重合体(D)は、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位、α、β−不飽和カルボン酸単位、エポキシ基含有ビニル系単量体単位、アミノ基含有ビニル系単量体単位、アミド基含有ビニル系単量体単位、水酸基含有ビニル系単量体単位およびオキサゾリン基含有ビニル系単量体単位のうち少なくとも1種を含まない共重合体を含んだ混合物の形でもよい。
また、重合時の各単量体の仕込み方法に関しては、特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、また共重合体の組成分布の生成を防止するために仕込み単量体の一部または全部を連続仕込みまたは分割仕込みしながら重合してもよい。また、配合する共重合体(D)としては、別々に重合した共重合体(D)の2種以上をブレンドして用いることも可能である。
また、重合時の各単量体の仕込み方法に関しては、特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、また共重合体の組成分布の生成を防止するために仕込み単量体の一部または全部を連続仕込みまたは分割仕込みしながら重合してもよい。また、配合する共重合体(D)としては、別々に重合した共重合体(D)の2種以上をブレンドして用いることも可能である。
本発明のマレイミド系重合体(C)の各成分単位の定量には、赤外分光光度計やプロトン核磁気共鳴(1H−NMR、13C−NMR)測定機、ガスクロマトグラフィーなどを用いることができる。本発明では、主に赤外分光光度計により各成分単位の定量を行う。例えば、マレイミド系重合体(C)中に芳香族ビニル系単量体単位が含まれる場合、そのマレイミド系単量体単位の含有量は次のように行うことができる。
(i)マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、赤外吸収スペクトル測定することにより、マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成する。
(ii)次にマレイミド系重合体(C)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、マレイミド系重合体(C)中に含まれるマレイミド系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位のモル比を算出する。
(iii)次いでマレイミド系重合体(C)の他の成分単位についても同様の方法で、芳香族ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にマレイミド系単量体単位の含有量を算出する。
(i)マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、赤外吸収スペクトル測定することにより、マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成する。
(ii)次にマレイミド系重合体(C)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、マレイミド系重合体(C)中に含まれるマレイミド系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位のモル比を算出する。
(iii)次いでマレイミド系重合体(C)の他の成分単位についても同様の方法で、芳香族ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にマレイミド系単量体単位の含有量を算出する。
また、マレイミド系重合体(C)のマレイミド系単量体単位の含有量を13C−NMRで確認する際には、マレイミド系単量体単位のカルボニル基のピークは約175ppmに確認することができる。
本発明の共重合体(D)における各成分単位の定量には、赤外分光光度計やプロトン核磁気共鳴(1H−NMR、13C−NMR)測定機、ガスクロマトグラフィーなどを用いることができる。本発明では、主に赤外分光光度計により各成分単位の定量を行う。例えば、共重合体(D)中にα、β−不飽和カルボン酸無水物単位が含まれる場合、その定量は次のように行うことができる。
(i)α、β−不飽和カルボン酸無水物とシアン化ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、赤外吸収スペクトル測定することにより、α、β−不飽和カルボン酸無水物とシアン化ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成する。
(ii)次に共重合体(D)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、共重合体(D)中に含まれるα、β−不飽和カルボン酸無水物単位とシアン化ビニル系単量体のモル比を算出する。
(iii)次いで共重合体(D)の他の成分単位についても同様の方法で、シアン化ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にα、β−不飽和カルボン酸無水物単位の含有量を算出する。
(i)α、β−不飽和カルボン酸無水物とシアン化ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、赤外吸収スペクトル測定することにより、α、β−不飽和カルボン酸無水物とシアン化ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成する。
(ii)次に共重合体(D)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、共重合体(D)中に含まれるα、β−不飽和カルボン酸無水物単位とシアン化ビニル系単量体のモル比を算出する。
(iii)次いで共重合体(D)の他の成分単位についても同様の方法で、シアン化ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にα、β−不飽和カルボン酸無水物単位の含有量を算出する。
ここで、赤外吸収スペクトル検量線の作成には、α、β−不飽和カルボン酸無水物はカルボニル基の伸縮振動による特性吸収のピークを、シアン化ビニル系単量体単位を含む場合はCN基の伸縮振動による特性吸収のピークを、芳香族ビニル系単量体を含む場合は芳香族のC=C面内振動による特性吸収のピークを用いることができる。
また、共重合体(D)中にα、β−不飽和カルボン酸が含まれる場合も同様に、次のように行うことができる。
(i)α、β−不飽和カルボン酸とシアン化ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、赤外吸収スペクトル測定することにより、α、β−不飽和カルボン酸とシアン化ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成する。
(ii)次に共重合体(D)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、共重合体(D)中に含まれるα、β−不飽和カルボン酸単位とシアン化ビニル系単量体のモル比を算出する。
(iii)次いで共重合体(D)の他の成分単位についても同様の方法で、シアン化ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にα、β−不飽和カルボン酸単位の含有量を算出する。
また、共重合体(D)中にα、β−不飽和カルボン酸が含まれる場合も同様に、次のように行うことができる。
(i)α、β−不飽和カルボン酸とシアン化ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、赤外吸収スペクトル測定することにより、α、β−不飽和カルボン酸とシアン化ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成する。
(ii)次に共重合体(D)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、共重合体(D)中に含まれるα、β−不飽和カルボン酸単位とシアン化ビニル系単量体のモル比を算出する。
(iii)次いで共重合体(D)の他の成分単位についても同様の方法で、シアン化ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にα、β−不飽和カルボン酸単位の含有量を算出する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を大きく損なうことのない添加量範囲においてその他の樹脂を添加することができる。このような樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートおよびポリアリレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルフォン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン系樹脂、酸または酸無水物変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系エラストマー、酸または酸無水物変性アクリル系エラストマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、ノボラックエポキシフェノール樹脂、ポリスルフォン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルアミド、またはポリアミドイミドなどを好ましく挙げることができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物はさらに充填材を含有することにより、強度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることができる。このような充填材は繊維状であっても粒状などの非繊維状であってもよく、その具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップドストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
これらの含有量は、充填剤の種類により異なるため一概に規定はできないが、スチレン系樹脂(A)およびポリアミド樹脂(B)の合わせて100重量部に対して、0.05〜150重量部が好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、導電性を付与するために、導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーを含有することができる。導電性フィラーは、通常樹脂の導電化に用いられる導電性フィラーであれば特に制限はなく、その具体例としては、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、金属酸化物、導電性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、炭素フィブリルおよびカーボンナノチューブなどが挙げられ、これらは中空状物であってもよい。
導電性ポリマーの具体例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリチオフェン、およびポリフェニレンビニレンなどを例示することができる。これら導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーは、2種以上を併用して用いても良い。かかる導電性フィラーと導電性ポリマーの中で、特にカーボンブラックが強度と経済性の点で特に好適に用いられる。
本発明で用いられる導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーの含有量は、用いられる導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーの種類により適宜規定されるが、導電性と流動性、および機械的強度などとのバランスの点から、スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜250重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜100重量部の範囲である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の成分、例えば、含硫黄化合物系、アクリレート系、リン系有機化合物、塩化銅 、ヨウ化第1銅、酢酸銅、またはステアリン酸セリウムなどの金属塩安定剤などの酸化防止剤や耐熱安定剤が添加されてもよい。
また、その他の添加可能な成分としては、耐候剤や紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、顔料、蛍光顔料、染料、蛍光染料、着色防止剤、可塑剤、帯電防止剤(イオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤や、ポリエーテルエステルアミド、ポリアミドエーテル、オレフィン系エーテルエステルアミドまたはオレフィン系エーテルエステルアミド等のポリアミドエラストマーのランダムまたはブロックポリマーなど)、難燃剤(赤燐、金属水酸化物系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、あるいはこれらのハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせなど)、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、木材粉、もみがら粉、くるみ粉、古紙、蓄光顔料、タングステン粉末あるいはタングステン合金粉末、ホウ酸ガラスや銀系抗菌剤などの抗菌剤や抗カビ剤、マグネシウム−アルミニウムヒドロキシハイドレートに代表されるハイドロタルサイトなどの金型腐食防止剤を添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、マレイミド系重合体(C)の配合量は、スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.05〜80重量部の範囲であり、好ましくは0.05〜60重量部の範囲である。マレイミド系重合体(C)の添加量の下限は、耐熱性、耐スクラッチ性および耐湿熱老化性の観点から、スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、より好ましくは3重量部以上であり、更に好ましくは5重量部以上であり、特に好ましくは7重量部以上であり、最も好ましくは9重量部以上である。一方、マレイミド系重合体(C)の添加量の上限は、耐衝撃性および流動性の観点から、40重量部以下であることが好ましく、より好ましくは30重量部以下であり、更に好ましくは25重量部以下であり、特に好ましくは20重量部以下であり、最も好ましくは18重量部以下である。共重合体(D)の配合量は、スチレン系樹脂(A)と、ポリアミド樹脂(B)からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.05〜80重量部の範囲であれば特に制限はないが、好ましくは0.05〜60重量部の範囲であり、より好ましくは0.1〜30重量部の範囲、更に好ましくは0.1〜15重量部の範囲、特に好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。共重合体(D)が0.05重量部以上では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と耐スクラッチ性が向上する傾向にあり、共重合体(D)が80重量部以内では、熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向にある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との混合比率は、スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計を100重量%として、スチレン系樹脂(A)1〜99重量%と、ポリアミド樹脂(B)99〜1重量%の範囲であれば特に制限はないが、好ましくはスチレン系樹脂(A)45〜90重量%およびポリアミド樹脂(B)55〜10重量%である。本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐湿熱老化性および高荷重下での耐熱性(荷重1.82MPaでの荷重たわみ温度)を向上させる観点から、より好ましくはスチレン系樹脂(A)55〜85重量%およびポリアミド樹脂(B)45〜15重量%であり、更に好ましくはスチレン系樹脂(A)60〜80重量%およびポリアミド樹脂(B)40〜20重量%であり、特に好ましくはスチレン系樹脂(A)65〜80重量%およびポリアミド系樹脂(B)35〜20重量%であり、最も好ましくはスチレン系樹脂(A)67〜80重量%およびポリアミド樹脂(B)33〜20重量%である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形して得られる成形体の形状と成形体の相構造はポリアミド樹脂(B)が連続相を5容量%以上形成するものである。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これを溶融成形加工して得られる成形体中心部、すなわち成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域においてポリアミド樹脂(B)が連続相を5容量%以上形成するものである。熱可塑性樹脂組成物の低温での耐衝撃性と流動性のバランスを更に向上させる観点と耐湿熱老化性の向上の観点から好ましくは、成形体中心部の相構造において、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が10容量%以上形成されることであり、15容量%以上形成されることがより好ましく、20容量%以上形成されることが更に好ましく、23容量%以上形成されるものが特に好ましく、最も好ましくは25容量%以上含有することである。スチレン系樹脂(A)にグラフト(共)重合体(A−1)が含まれる場合、成形体中心部の相構造において、ポリアミド樹脂(B)が連続相を形成する部分の容量が大きいほど、熱可塑性樹脂組成物の湿熱処理後の引張り強度の低下を抑制できる傾向にあるが、一方で、ポリアミド樹脂(B)の混合比率が多くなれば、熱可塑性樹脂組成物の湿熱処理時の吸水量が増大し、湿熱処理後の引張り強度が低下する傾向となる。 連続相となる部分の容量%を測定する方法は以下のとおりである。ASTM 1号ダンベルの(厚さ3mm)の厚さ方向に表面より1.2〜1.8mmの部分(中心部)をリンタングステン酸で染色し、ポリアミド樹脂(B)を染色する。次にTEM(日立製作所製 H−7100形透過形電子顕微鏡)を用いて15000倍の倍率にて成形体の中心部を観察する。こうして得られる成形体の中心部の電子顕微鏡写真(写真の厚みが均一)において、任意の3箇所(10μm×10μmの範囲)を抽出し、抽出した各々の箇所(10μm×10μmの範囲)において、染色され、かつ連続相となる部分を切り取り、その総重量を測定し、該部分を切り取る前の全体(10μm×10μmの範囲)の重量に対する割合を算出する。この重量の割合は、該電子顕微鏡写真の厚みが均一であるために容量の割合と見なすことができるため、本作業を任意の3箇所で行った平均値を、成形体の中心部においてポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分の容量の割合(容量%)とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の相構造は電子顕微鏡を用いて観察することができる。電子顕微鏡としてはTEM(透過形電子顕微鏡)またはSEM(走査電子顕微鏡)が挙げられる。ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分の容量の割合は電子顕微鏡写真の全体面積に対する、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分の面積比として算出することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、このような特異な相構造を形成させるには、スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)のせん断速度1000秒−1における各々の溶融粘度に関し、溶融成形加工時の温度における、<スチレン系樹脂(A)の溶融粘度>/<ポリアミド樹脂(B)の溶融粘度>で定義される溶融粘度比を1.5以上とすることが好ましい。より好ましい溶融粘度比は2.2以上、更に好ましくは3.2以上である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、スチレン系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、マレイミド系重合体(C)および必要に応じ好ましく用いられる共重合体(D)、および必要に応じそのほか添加剤を、ペレット、粉末、あるいは細片状態などで、高速攪拌機などを用いて均一混合した後、十分な混練能力のある一軸または多軸の210〜330℃の温度に昇温したベントを有する押出機で溶融混練する方法、またはバンバリーミキサーやゴムロール機を用いて溶融混練する方法などを採用することができる。押出機のスクリューアレンジにも特に制限はない。また、スチレン系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、マレイミド系重合体(C)、必要に応じ好ましく用いられる共重合体(D)および必要に応じ用いられるそのほか添加剤の混合順序ならびにその状態には何ら制限はなく、これらの一括同時混合や、特定の二種以上の成分を予備混合した後に残る成分を混合する方法を例示することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工してなる成形体とは、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、圧縮成形またはガスアシスト成形等の従来公知の成形方法を採用することによって得ることができるものである。この場合の成形温度については、通常、210〜330℃の温度範囲から選択される。また、成形に際しては、2色成形、インサート成形などを適用し、複数の素材を組み合わせた部品を製造することも可能である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工してなる成形体は、優れた耐熱性を有しており、高荷重下での耐熱性にも優れる。本発明の熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得た厚さ1/4インチの射出成形品について、ASTM D−648に従って、荷重1.82MPaで測定した荷重たわみ温度が90℃以上のものが好ましく、前記荷重たわみ温度はより好ましくは95℃以上であり、更に好ましくは98℃以上であり、特に好ましくは100℃以上である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物はメッキして用いることができ、メッキ成形体を得る方法としては特に制限はないが、従来公知のメッキ方法を好ましく用いることができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は塗装して用いることもできる。本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる塗装成形体を得る方法には特に制限はなく、従来公知の塗装方法を好適に用いることができる。これらの塗装に際しては、従来公知のプライマーを使用することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性および流動性を良好に維持したまま、耐熱性と耐スクラッチ性に優れ、更に耐湿熱老化性にも優れるため、これらの性質を生かした種々の成形品に用いることができ、車両用内外装部品や電気・電子機器のハウジング・部品周り成形品に有用に用いることができ、中でも、例えばレバーやノブのグリップ、スイッチ等のように人手に触れる部分に好適に用いることができる。車両用内装部品としては、例えば、インスツルメントパネル、ダッシュボード、グローボックス、コンソールボックス、計器盤、ドアトリム、内部ドアパネル、ドアインナーハンドル、ドアハンドルカウル、シフトレバーブラケット、ステアリングロックブラケット、キーシリンダー、、ピラートリム、ステアリングコラムカバー、アームレスト、ハンドル、ホーンパッド、ジャンクションボックス、窓のモール、肘掛け、ペダルカバー、室内ミラーブラケット、エアコンスイッチ等のスイッチ部品、フロアマット、カーテンエアバッグ部品、シートファブリック等を挙げることができる。また、車両用外装部品としては、バンパー、フェンダー、ラジエーターグリル、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールカバー、エアロパーツ、ウインドモール、外部ドアパネル等を挙げることができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐スクラッチ性に優れるため、従来必要であった塗装工程をなくすことも可能となる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、製品包装用フィルム、各種シート、各種容器、ボトル等としても用いることができる。本発明の成形体をシートとして使用する場合には、紙又は他のポリマーシートと積層し、多層構造の積層体として使用してもよい。
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で採用した各種物性の測定方法を記載する。
(1)耐衝撃性
厚さ1/8インチの射出成形品を用いて、ノッチ付きアイゾット衝撃強度をASTM D−256に準拠し測定した。衝撃強度測定は、常温(23℃)と低温(−30℃)でそれぞれ行った。
厚さ1/8インチの射出成形品を用いて、ノッチ付きアイゾット衝撃強度をASTM D−256に準拠し測定した。衝撃強度測定は、常温(23℃)と低温(−30℃)でそれぞれ行った。
(2)流動性
JIS K7210に従って、溶融温度250℃で5分間、溶融滞留させた後に、荷重10kgfでメルトフローレートを測定した。
JIS K7210に従って、溶融温度250℃で5分間、溶融滞留させた後に、荷重10kgfでメルトフローレートを測定した。
(3)耐熱性
前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得た厚さ1/4インチの射出成形品について、ASTM D−648に従って、荷重1.82MPaで測定した荷重たわみ温度を測定した。
前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得た厚さ1/4インチの射出成形品について、ASTM D−648に従って、荷重1.82MPaで測定した荷重たわみ温度を測定した。
(4)耐スクラッチ性
射出成形により得た厚さ1mmの角板から切り出した試験片についてテーバー磨耗試験機(安田精機製作所社製、テーバー式アブレーションテスター No.101)を用いて、JIS K 7204に準拠し、摩耗輪CS−7、荷重1000g、1000回転の条件でテーバー磨耗量を測定した。テーバー磨耗量が少ないほど、耐スクラッチ性に優れることを示す。
射出成形により得た厚さ1mmの角板から切り出した試験片についてテーバー磨耗試験機(安田精機製作所社製、テーバー式アブレーションテスター No.101)を用いて、JIS K 7204に準拠し、摩耗輪CS−7、荷重1000g、1000回転の条件でテーバー磨耗量を測定した。テーバー磨耗量が少ないほど、耐スクラッチ性に優れることを示す。
(5)引張り強度
射出成形により得たASTM D−638−03 1号ダンベル(厚さ1/8インチ)をASTM D−638−03に従って、23℃の温度で引張り試験機により引張り降伏強度を測定した。引張り測定条件は10mm/minである。
射出成形により得たASTM D−638−03 1号ダンベル(厚さ1/8インチ)をASTM D−638−03に従って、23℃の温度で引張り試験機により引張り降伏強度を測定した。引張り測定条件は10mm/minである。
(6)耐湿熱老化性
射出成形により得たASTM D−638−03 1号ダンベル(厚さ1/8インチ)を80℃の温度の恒温高湿槽内で2000時間湿熱処理した後、ASTM D−638−03に従って、23℃の温度で引張り試験機により引張り降伏強度を測定し、耐熱老化性の指標として、熱処理前の引張り降伏強度に対する引張り強度保持率(%)を求めた。引張り測定条件は10mm/minである。引張り強度保持率(%)=(湿熱処理後の引張り降伏強度/湿熱処理前の引張り降伏強度)×100
射出成形により得たASTM D−638−03 1号ダンベル(厚さ1/8インチ)を80℃の温度の恒温高湿槽内で2000時間湿熱処理した後、ASTM D−638−03に従って、23℃の温度で引張り試験機により引張り降伏強度を測定し、耐熱老化性の指標として、熱処理前の引張り降伏強度に対する引張り強度保持率(%)を求めた。引張り測定条件は10mm/minである。引張り強度保持率(%)=(湿熱処理後の引張り降伏強度/湿熱処理前の引張り降伏強度)×100
(7)溶融粘度比
プランジャー式キャピラリーレオメーター(東洋精機製作所製 キャピログラフ タイプ1C)を用いて、溶融成形加工時の温度でのせん断速度1000秒−1におけるスチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)のそれぞれの溶融粘度(Pa・s)を測定し、<スチレン系樹脂(A)の溶融粘度>/<ポリアミド樹脂(B)の溶融粘度>で定義される溶融粘度比を算出した。
プランジャー式キャピラリーレオメーター(東洋精機製作所製 キャピログラフ タイプ1C)を用いて、溶融成形加工時の温度でのせん断速度1000秒−1におけるスチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)のそれぞれの溶融粘度(Pa・s)を測定し、<スチレン系樹脂(A)の溶融粘度>/<ポリアミド樹脂(B)の溶融粘度>で定義される溶融粘度比を算出した。
(8)相構造(ポリアミド樹脂(B)連続相)
ASTM 1号ダンベルの(厚さ3mm)の厚さ方向に表面より1.2〜1.8mmの部分(中心部)をリンタングステン酸で染色し、ポリアミド樹脂(B)を染色した。次にTEM(日立製作所製 H−7100形透過形電子顕微鏡)を用いて15000倍の倍率にて成形体の中心部を観察した。こうして得られる成形体の中心部の電子顕微鏡写真(写真の厚みが均一)において、任意の3箇所(10μm×10μmの範囲)を抽出し、抽出した各々の箇所(10μm×10μmの範囲)において、染色され、かつ連続相となる部分を切り取り、その総重量を測定し、該部分を切り取る前の全体(10μm×10μmの範囲)の重量に対する割合を算出した。この重量の割合は、該電子顕微鏡写真の厚みが均一であるために容量の割合と見なすことができるため、本作業を任意の3箇所で行った平均値を、成形体の中心部においてポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分の容量の割合(容量%)として採用した。中心部の相構造において、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が30容量%以上形成される場合を評価スコア4、該連続相が20容量%以上30容量%未満である場合を評価スコア3、該連続相が10容量%以上20容量%未満である場合を評価スコア2、該連続相が5容量%以上10容量%未満である場合を評価スコア1、該連続相が5容量%未満である場合を評価スコア0とした。
ASTM 1号ダンベルの(厚さ3mm)の厚さ方向に表面より1.2〜1.8mmの部分(中心部)をリンタングステン酸で染色し、ポリアミド樹脂(B)を染色した。次にTEM(日立製作所製 H−7100形透過形電子顕微鏡)を用いて15000倍の倍率にて成形体の中心部を観察した。こうして得られる成形体の中心部の電子顕微鏡写真(写真の厚みが均一)において、任意の3箇所(10μm×10μmの範囲)を抽出し、抽出した各々の箇所(10μm×10μmの範囲)において、染色され、かつ連続相となる部分を切り取り、その総重量を測定し、該部分を切り取る前の全体(10μm×10μmの範囲)の重量に対する割合を算出した。この重量の割合は、該電子顕微鏡写真の厚みが均一であるために容量の割合と見なすことができるため、本作業を任意の3箇所で行った平均値を、成形体の中心部においてポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分の容量の割合(容量%)として採用した。中心部の相構造において、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が30容量%以上形成される場合を評価スコア4、該連続相が20容量%以上30容量%未満である場合を評価スコア3、該連続相が10容量%以上20容量%未満である場合を評価スコア2、該連続相が5容量%以上10容量%未満である場合を評価スコア1、該連続相が5容量%未満である場合を評価スコア0とした。
(9)マレイミド系重合体(C)のマレイミド系単量体単位の定量
マレイミド系単量体とマレイミド系重合体(C)中に含まれるその他の単量体単位、例えば芳香族ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製 FTIR−8100A)を用いて赤外吸収スペクトル測定することにより、マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成した。次にマレイミド系重合体(C)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、マレイミド系重合体(C)中に含まれるマレイミド系単量体単位と芳香族ビニル系単量体のモル比を算出した。次いでマレイミド系重合体(C)の他の成分単位についても同様の方法で、芳香族ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にマレイミド系単量体単位の含有量を算出した。なお、マレイミド系単量体単位として、例えばN−フェニルマレイミド単位が用いられる場合、約1712cm−1に確認される特性吸収のピークを定量に用いた。
マレイミド系単量体とマレイミド系重合体(C)中に含まれるその他の単量体単位、例えば芳香族ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製 FTIR−8100A)を用いて赤外吸収スペクトル測定することにより、マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成した。次にマレイミド系重合体(C)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、マレイミド系重合体(C)中に含まれるマレイミド系単量体単位と芳香族ビニル系単量体のモル比を算出した。次いでマレイミド系重合体(C)の他の成分単位についても同様の方法で、芳香族ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にマレイミド系単量体単位の含有量を算出した。なお、マレイミド系単量体単位として、例えばN−フェニルマレイミド単位が用いられる場合、約1712cm−1に確認される特性吸収のピークを定量に用いた。
(10)共重合体(D)にα、β−不飽和カルボン酸無水物単位が含まれる場合のα、β−不飽和カルボン酸無水物単位の定量
α、β−不飽和カルボン酸無水物と共重合体(D)中に含まれるその他の単量体単位、例えばシアン化ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製 FTIR−8100A)を用いて赤外吸収スペクトル測定することにより、α、β−不飽和カルボン酸無水物とシアン化ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成した。次に共重合体(D)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、共重合体(D)中に含まれるα、β−不飽和カルボン酸無水物単位とシアン化ビニル系単量体のモル比を算出した。次いで共重合体(D)の他の成分単位についても同様の方法で、シアン化ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にα、β−不飽和カルボン酸無水物単位の含有量を算出した。なお、赤外吸収スペクトル検量線の作成には、α、β−不飽和カルボン酸無水物はカルボニル基の伸縮振動による特性吸収のピーク(約1780cm−1)を、シアン化ビニル系単量体単位ではCN基の伸縮振動による特性吸収のピーク(約2228cm−1)を、芳香族ビニル系単量体を含む場合は芳香族のC=C面内振動による特性吸収のピーク(約1495cm−1)を用いた。これらの特性吸収のピークは共重合体(D)中では、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位については約1780cm−1に、シアン化ビニル系単量体単位では約2238cm−1に、芳香族ビニル系単量体単位については約1495cm−1に確認された。また、共重合体(D)にα、β−不飽和カルボン酸単位が含まれる場合、約1700cm−1の特性吸収のピークを定量に用いた。
α、β−不飽和カルボン酸無水物と共重合体(D)中に含まれるその他の単量体単位、例えばシアン化ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製 FTIR−8100A)を用いて赤外吸収スペクトル測定することにより、α、β−不飽和カルボン酸無水物とシアン化ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成した。次に共重合体(D)の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、共重合体(D)中に含まれるα、β−不飽和カルボン酸無水物単位とシアン化ビニル系単量体のモル比を算出した。次いで共重合体(D)の他の成分単位についても同様の方法で、シアン化ビニル系単量体とのモル比を算出し、これらの結果を基にα、β−不飽和カルボン酸無水物単位の含有量を算出した。なお、赤外吸収スペクトル検量線の作成には、α、β−不飽和カルボン酸無水物はカルボニル基の伸縮振動による特性吸収のピーク(約1780cm−1)を、シアン化ビニル系単量体単位ではCN基の伸縮振動による特性吸収のピーク(約2228cm−1)を、芳香族ビニル系単量体を含む場合は芳香族のC=C面内振動による特性吸収のピーク(約1495cm−1)を用いた。これらの特性吸収のピークは共重合体(D)中では、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位については約1780cm−1に、シアン化ビニル系単量体単位では約2238cm−1に、芳香族ビニル系単量体単位については約1495cm−1に確認された。また、共重合体(D)にα、β−不飽和カルボン酸単位が含まれる場合、約1700cm−1の特性吸収のピークを定量に用いた。
(11)重量平均分子量
共重合体(D)20mgを溶媒テトラヒドロフラン10mlに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSKgel GMHHR−H(30)及びTSKgel Multipore HXL−Mを直結、東ソー社製)を用いて測定した。カラム温度40℃であり、検出器は紫外線検出器を用いた。重量平均分子量はポリスチレン換算で求めた。
共重合体(D)20mgを溶媒テトラヒドロフラン10mlに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSKgel GMHHR−H(30)及びTSKgel Multipore HXL−Mを直結、東ソー社製)を用いて測定した。カラム温度40℃であり、検出器は紫外線検出器を用いた。重量平均分子量はポリスチレン換算で求めた。
<スチレン系樹脂(A)>
(参考例1)グラフト共重合体(a−1)の調製
以下の物質を重合容器に仕込み、撹拌しながら65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、スチレン71重量部、アクリロニトリル29重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.3重量部からなる混合物40重量部を5時間かけて連続滴下した。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.2μm):60重量部(固形分換算)
オレイン酸カリウム:0.5重量部
ブドウ糖:0.5重量部
ピロリン酸ナトリウム:0.5重量部
硫酸第一鉄:0.005重量部
脱イオン水:120重量部。
(参考例1)グラフト共重合体(a−1)の調製
以下の物質を重合容器に仕込み、撹拌しながら65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、スチレン71重量部、アクリロニトリル29重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.3重量部からなる混合物40重量部を5時間かけて連続滴下した。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.2μm):60重量部(固形分換算)
オレイン酸カリウム:0.5重量部
ブドウ糖:0.5重量部
ピロリン酸ナトリウム:0.5重量部
硫酸第一鉄:0.005重量部
脱イオン水:120重量部。
並行してクメンハイドロパーオキサイド0.25重量部、オレイン酸カリウム2.5重量部および純水25重量部からなる水溶液を、7時間で連続滴下し反応を完結させた。得られたグラフト共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体(a−1)を得た。
このグラフト共重合体(a−1)の所定量(m)にアセトンを加えて4時間還流し、この溶液を8800rpm(遠心力10000G)で40分遠心分離した後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥後、重量(n)を測定し、グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100の計算式で算出したグラフト率は37%であった。ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有率である。
上記アセトン溶液の濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物(アセトン可溶分)を得た。この可溶分を、70℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.39dl/gであった。
(参考例2)ビニル系共重合体(a−2)の調製
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリ0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み、反応器中の気相を窒素ガスで置換しよくかき混ぜながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続けアクリルアミドとメタクリル酸メチル二元共重合体の水溶液として得た。イオン交換水で希釈して、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を得た。
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリ0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み、反応器中の気相を窒素ガスで置換しよくかき混ぜながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続けアクリルアミドとメタクリル酸メチル二元共重合体の水溶液として得た。イオン交換水で希釈して、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を得た。
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、得られたメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。
スチレン:71重量部
アクリロニトリル:29重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.2重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.4重量部。
スチレン:71重量部
アクリロニトリル:29重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.2重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.4重量部。
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、2時間かけて90℃まで昇温し90℃を2時間保ち重合を終了した。反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、スチレン単位を71重量%、アクリロニトリル単位を29重量%含有するビーズ状のビニル系共重合体(a−2)を得た。ポリマー収率は96%であった。この共重合体を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて測定した極限粘度は0.51dl/gであった。
<ポリアミド樹脂(B)>
(参考例3)ポリアミド樹脂(B)(b−1):98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した溶液の相対粘度が、25℃で2.3のナイロン6を使用した。
(参考例3)ポリアミド樹脂(B)(b−1):98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した溶液の相対粘度が、25℃で2.3のナイロン6を使用した。
(参考例4)ポリアミド樹脂(B)(b−2):98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した溶液の相対粘度が、25℃で2.9のナイロン6を使用した。
<マレイミド系重合体(C)>
(参考例5)マレイミド系重合体(c−1)の調整
スチレン50重量部、N−フェニルマレイミド49.9重量部、無水マレイン酸0.1重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部をメチルエチルケトン250重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した後、80℃で8時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、マレイミド系重合体(c−1)を得た。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を50.0重量%、N−フェニルマレイミド単位を49.9重量%、無水マレイン酸単位を0.1重量%含有するものであった。また、マレイミド系重合体(c−1)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.27dl/gであり、マレイミド系重合体(c−1)のガラス転移温度は205℃であった。
(参考例5)マレイミド系重合体(c−1)の調整
スチレン50重量部、N−フェニルマレイミド49.9重量部、無水マレイン酸0.1重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部をメチルエチルケトン250重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した後、80℃で8時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、マレイミド系重合体(c−1)を得た。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を50.0重量%、N−フェニルマレイミド単位を49.9重量%、無水マレイン酸単位を0.1重量%含有するものであった。また、マレイミド系重合体(c−1)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.27dl/gであり、マレイミド系重合体(c−1)のガラス転移温度は205℃であった。
(参考例6)マレイミド系重合体(c−2)の調整
スチレン55重量部、N−フェニルマレイミド45重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部をメチルエチルケトン120重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した後、80℃で8時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、マレイミド系重合体(c−2)を得た。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を55.0重量%、N−フェニルマレイミド単位を45.0重量%含有するものであった。また、マレイミド系重合体(c−2)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.68dl/gであり、マレイミド系重合体(c−2)のガラス転移温度は175℃であった。
スチレン55重量部、N−フェニルマレイミド45重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部をメチルエチルケトン120重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した後、80℃で8時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、マレイミド系重合体(c−2)を得た。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を55.0重量%、N−フェニルマレイミド単位を45.0重量%含有するものであった。また、マレイミド系重合体(c−2)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.68dl/gであり、マレイミド系重合体(c−2)のガラス転移温度は175℃であった。
(参考例7)マレイミド系重合体(c−3)の調整
撹拌機を備えた反応缶中に、スチレン60部、メチルエチルケトン200部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、80℃に昇温し、無水マレイン酸40部とベンゾイルパーオキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加終了後、さらに3時間温度を80℃に保持した。次いで、得られた共重合体溶液にアニリン36部およびトリエチルアミン0.9部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付2軸押出機にて脱揮処理してマレイミド系重合体(c−3)を得た。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を47重量%、N−フェニルマレイミド単位を51重量%、無水マレイン酸単位を2重量%含有するものであった。また、マレイミド系重合体(c−3)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.35dl/gであり、マレイミド系重合体(C−3)のガラス転移温度は208℃であった。
撹拌機を備えた反応缶中に、スチレン60部、メチルエチルケトン200部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、80℃に昇温し、無水マレイン酸40部とベンゾイルパーオキサイド0.15部をメチルエチルケトン200部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。添加終了後、さらに3時間温度を80℃に保持した。次いで、得られた共重合体溶液にアニリン36部およびトリエチルアミン0.9部を加え140℃で7時間反応させた。反応液をベント付2軸押出機にて脱揮処理してマレイミド系重合体(c−3)を得た。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を47重量%、N−フェニルマレイミド単位を51重量%、無水マレイン酸単位を2重量%含有するものであった。また、マレイミド系重合体(c−3)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.35dl/gであり、マレイミド系重合体(C−3)のガラス転移温度は208℃であった。
(参考例8)マレイミド系重合体(c−4)の調整
スチレン55重量部、N−フェニルマレイミド30重量部、アクリロニトリル15重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部をメチルエチルケトン200重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した後、80℃で8時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、マレイミド系重合体(c−4)を得た。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を55.0重量%、N−フェニルマレイミド単位を30.0重量%、アクリロニトリル単位を15.0重量%含有するものであった。また、マレイミド系重合体(c−4)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.52dl/gであり、マレイミド系重合体(c−4)のガラス転移温度は131℃であった。
スチレン55重量部、N−フェニルマレイミド30重量部、アクリロニトリル15重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部をメチルエチルケトン200重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した後、80℃で8時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を過剰量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、マレイミド系重合体(c−4)を得た。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を55.0重量%、N−フェニルマレイミド単位を30.0重量%、アクリロニトリル単位を15.0重量%含有するものであった。また、マレイミド系重合体(c−4)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.52dl/gであり、マレイミド系重合体(c−4)のガラス転移温度は131℃であった。
<共重合体(D)>
(参考例9)共重合体(d−1)の調製
スチレン33重量部、アクリロニトリル29.9重量部、無水マレイン酸0.2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.3重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン60重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。次いで、スチレン34.6重量部と無水マレイン酸2.3重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をメチルエチルケトン60重量部に溶解した溶液を5時間で連続的に添加した。添加後さらに80℃で3時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、共重合体(d−1)を得た。ポリマー収率は93%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を67.6重量%、アクリロニトリル単位を29.9重量%、無水マレイン酸単位を2.5重量%含有するものであった。また、共重合体(d−1)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.30dl/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した重量平均分子量は34000であった。
(参考例9)共重合体(d−1)の調製
スチレン33重量部、アクリロニトリル29.9重量部、無水マレイン酸0.2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.3重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン60重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。次いで、スチレン34.6重量部と無水マレイン酸2.3重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をメチルエチルケトン60重量部に溶解した溶液を5時間で連続的に添加した。添加後さらに80℃で3時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、共重合体(d−1)を得た。ポリマー収率は93%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を67.6重量%、アクリロニトリル単位を29.9重量%、無水マレイン酸単位を2.5重量%含有するものであった。また、共重合体(d−1)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.30dl/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した重量平均分子量は34000であった。
(参考例10)共重合体(d−2)の調製
スチレン30重量部、アクリロニトリル30重量部、無水マレイン酸0.3重量部、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン60重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。次いで、スチレン37重量部と無水マレイン酸2.7重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をメチルエチルケトン60重量部に溶解した溶液を5時間で連続的に添加した。添加後さらに80℃の温度で4時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、80℃にて15時間真空乾燥を行い溶媒を完全に留去し、共重合体(d−2)を得た。ポリマー収率は93%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を67.0重量%、アクリロニトリル単位を30.0重量%、無水マレイン酸単位を3.0重量%含有するものであった。また、共重合体(d−2)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃の温度で測定した極限粘度は、0.25dl/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した重量平均分子量は31000であった。
スチレン30重量部、アクリロニトリル30重量部、無水マレイン酸0.3重量部、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン60重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。次いで、スチレン37重量部と無水マレイン酸2.7重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をメチルエチルケトン60重量部に溶解した溶液を5時間で連続的に添加した。添加後さらに80℃の温度で4時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、80℃にて15時間真空乾燥を行い溶媒を完全に留去し、共重合体(d−2)を得た。ポリマー収率は93%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を67.0重量%、アクリロニトリル単位を30.0重量%、無水マレイン酸単位を3.0重量%含有するものであった。また、共重合体(d−2)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃の温度で測定した極限粘度は、0.25dl/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した重量平均分子量は31000であった。
(参考例11)共重合体(d−3)の調製
スチレン33重量部、アクリロニトリル33.5重量部、無水マレイン酸1.0重量部、t−ドデシルメルカプタン0.75重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン60重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。次いで、スチレン30重量部と無水マレイン酸2.5重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をメチルエチルケトン60重量部に溶解した溶液を5時間で連続的に添加した。80℃で9時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、80℃にて12時間真空乾燥を行い溶媒を完全に留去し、共重合体(d−3)を得た。ポリマー収率は87%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を63重量%、アクリロニトリル単位を33.5重量%、無水マレイン酸単位を3.5重量%含有するものであった。また、共重合体(d−3)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.17dl/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した重量平均分子量は18000であった。
スチレン33重量部、アクリロニトリル33.5重量部、無水マレイン酸1.0重量部、t−ドデシルメルカプタン0.75重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン60重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。次いで、スチレン30重量部と無水マレイン酸2.5重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をメチルエチルケトン60重量部に溶解した溶液を5時間で連続的に添加した。80℃で9時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、80℃にて12時間真空乾燥を行い溶媒を完全に留去し、共重合体(d−3)を得た。ポリマー収率は87%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を63重量%、アクリロニトリル単位を33.5重量%、無水マレイン酸単位を3.5重量%含有するものであった。また、共重合体(d−3)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.17dl/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した重量平均分子量は18000であった。
(参考例12)共重合体(d−4)の調製
スチレン92重量部、無水マレイン酸8重量部をメチルエチルケトン130重量部に溶解させ、t−ドデシルメルカプタン0.8重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を加え、80℃で6時間溶液重合を行った。冷却後、5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿を行って共重合体を得た。この共重合体を80℃で12時間熱風乾燥させ、スチレン単位を92重量%、無水マレイン酸単位を8重量%含む共重合体(d−4)を得た。また、共重合体(d−4)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて測定した極限粘度は0.15dl/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した重量平均分子量は12000であった。
スチレン92重量部、無水マレイン酸8重量部をメチルエチルケトン130重量部に溶解させ、t−ドデシルメルカプタン0.8重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を加え、80℃で6時間溶液重合を行った。冷却後、5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿を行って共重合体を得た。この共重合体を80℃で12時間熱風乾燥させ、スチレン単位を92重量%、無水マレイン酸単位を8重量%含む共重合体(d−4)を得た。また、共重合体(d−4)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて測定した極限粘度は0.15dl/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した重量平均分子量は12000であった。
(参考例13)共重合体(d−5)の調製
スチレン93重量部、アクリル酸4重量部、無水マレイン酸3重量部をメチルエチルケトン120重量部に溶解させ、t−ドデシルメルカプタン0.02重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を加え、80℃で6時間溶液重合を行った。冷却後、5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿を行って共重合体を得た。この共重合体を80℃で12時間熱風乾燥させ、スチレン単位を93重量%、アクリル酸単位を4重量%、無水マレイン酸単位を3重量%含む共重合体(d−5)を得た。また、共重合体(d−5)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて測定した極限粘度は0.58dl/gであった。
スチレン93重量部、アクリル酸4重量部、無水マレイン酸3重量部をメチルエチルケトン120重量部に溶解させ、t−ドデシルメルカプタン0.02重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を加え、80℃で6時間溶液重合を行った。冷却後、5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿を行って共重合体を得た。この共重合体を80℃で12時間熱風乾燥させ、スチレン単位を93重量%、アクリル酸単位を4重量%、無水マレイン酸単位を3重量%含む共重合体(d−5)を得た。また、共重合体(d−5)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて測定した極限粘度は0.58dl/gであった。
(参考例14)共重合体(d−6)の調製
スチレン70.0重量部、アクリロニトリル28.8重量部、無水マレイン酸1.2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.02重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン80重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。そのまま80℃で9時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、共重合体(d−6)を得た。ポリマー収率は97%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を70.7重量%、アクリロニトリル単位を28.1重量%、無水マレイン酸単位を1.2重量%含有するものであった。また、共重合体(d−6)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.69dl/gであった。
スチレン70.0重量部、アクリロニトリル28.8重量部、無水マレイン酸1.2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.02重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン80重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。そのまま80℃で9時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、共重合体(d−6)を得た。ポリマー収率は97%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を70.7重量%、アクリロニトリル単位を28.1重量%、無水マレイン酸単位を1.2重量%含有するものであった。また、共重合体(d−6)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.69dl/gであった。
(参考例15)共重合体(d−7)の調製
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリ0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み反応器中の気相を窒素ガスで置換しよくかき混ぜながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続けアクリルアミドとメタクリル酸メチル二元共重合体の水溶液として得た。イオン交換水で希釈して、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を得た。
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリ0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み反応器中の気相を窒素ガスで置換しよくかき混ぜながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続けアクリルアミドとメタクリル酸メチル二元共重合体の水溶液として得た。イオン交換水で希釈して、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を得た。
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、得られたメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。
スチレン:70重量部
アクリロニトリル:25重量部
メタクリル酸:5重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.4重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部。
スチレン:70重量部
アクリロニトリル:25重量部
メタクリル酸:5重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.4重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部。
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、2時間かけて90℃まで昇温し90℃を2時間保ち重合を終了した。反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビーズ状の共重合体(d−7)を得た。ポリマー収率は96%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を70重量%、アクリロニトリル単位を25重量%、メタクリル酸単位を5重量%含有するものであった。また、共重合体(d−7)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.59dl/gであった。
(実施例1〜9)
参考例で調製したスチレン系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、マレイミド系重合体(C)および共重合体(D)を表1に示した配合比で混合し、スクリュウ径30mm、L/Dが44.5の同方向回転2軸押出機(日本製鋼所製 TEX−30)の上流側の供給口から投入し、樹脂温度260℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融混練、押出を行うことにより、ペレットを製造した。各ペレットについて成形温度260℃、金型温度60℃の条件で射出成形に供し、各試験片を作製しそれについて物性の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
参考例で調製したスチレン系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、マレイミド系重合体(C)および共重合体(D)を表1に示した配合比で混合し、スクリュウ径30mm、L/Dが44.5の同方向回転2軸押出機(日本製鋼所製 TEX−30)の上流側の供給口から投入し、樹脂温度260℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融混練、押出を行うことにより、ペレットを製造した。各ペレットについて成形温度260℃、金型温度60℃の条件で射出成形に供し、各試験片を作製しそれについて物性の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
参考例で調製したスチレン系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、マレイミド系重合体(C)および共重合体(D)を表1に示した配合比で混合し、実施例1〜9と同様の製造方法にて各試験片を作製し、これらについて物性の評価を行なった。これらの結果を表1に示す。
参考例で調製したスチレン系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、マレイミド系重合体(C)および共重合体(D)を表1に示した配合比で混合し、実施例1〜9と同様の製造方法にて各試験片を作製し、これらについて物性の評価を行なった。これらの結果を表1に示す。
実施例および比較例より、次のことが明らかになった。
表1より、特定のマレイミド系重合体(C)を含み、かつ成形体の中心部でポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分を5容量%以上含む相構造を有することができる実施例1〜9の熱可塑性樹脂組成物は、比較例1〜3の熱可塑性樹脂組成物と比較して、耐衝撃性および流動性を良好に維持したまま、同等以上の耐熱性を有し、耐スクラッチ性および耐湿熱老化性に優れることがわかった。特に、実施例1〜4および実施例6〜9の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(B)がスチレン系樹脂(A)より少量成分であるにもかかわらず、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分を含むため、優れた耐スクラッチ性を有しながら、特に耐熱性に優れることがわかった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記した優れた特性を生かして、特に車両用内外装部品や電気・電子機器のハウジング・部品周り材料として有用に用いることができる。
1 ポリアミド樹脂(B)が連続相を形成した部分
2 ビニル系(共)重合体(A−2)が分散相を形成した部分
3 グラフト(共)重合体(A−1)が分散相を形成した部分
2 ビニル系(共)重合体(A−2)が分散相を形成した部分
3 グラフト(共)重合体(A−1)が分散相を形成した部分
Claims (12)
- ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体100〜1重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜99重量%とからなる単量体成分をグラフト重合してなるグラフト(共)重合体(A−1)と、芳香族ビニル系単量体100〜1重量%とその他の少なくとも1種の単量体0〜99重量%からなるビニル系(共)重合体(A−2)のうち少なくとも1種を配合してなるスチレン系樹脂(A)1〜99重量%と、
ポリアミド樹脂(B)99〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、
マレイミド系単量体単位を含むマレイミド系重合体(C)0.05〜80重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、かつ該熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工して得られる成形体において、成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域で、電子顕微鏡で観察される相構造として、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が5容量%以上形成されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との混合比率が、スチレン系樹脂(A)55〜90重量%と、ポリアミド樹脂(B)45〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 該熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工して得られる成形体において、成形体の表面に垂直な方向を厚みとした時、表面から全厚みに対し40〜60%の深さの領域で、電子顕微鏡で観察される相構造として、ポリアミド樹脂(B)が連続相となる部分が10容量%以上形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、ポリアミドとの反応性および/または親和性を有する官能基を含有する少なくとも1種のビニル系単量体単位を含む変性ビニル系共重合体(D)0.05〜80重量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 変性ビニル系共重合体(D)のメチルエチルケトン溶媒に溶解させ30℃の温度で測定した極限粘度が0.10〜2.00dl/gの範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 変性ビニル系共重合体(D)が、シアン化ビニル系単量体単位を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- マレイミド系重合体(C)のメチルエチルケトン溶媒に溶解させ30℃の温度で測定した極限粘度が0.05〜2.00dl/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- マレイミド系重合体(C)がマレイミド系単量体単位を5〜80重量%含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- マレイミド系重合体(C)のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得た厚さ1/4インチの射出成形品について、ASTM D−648に従って、荷重1.82MPaで測定した荷重たわみ温度が90℃以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工してなる成形体。
- 成形体が車両用内外装部品である請求項11記載の成形体。
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