[go: up one dir, main page]

JP2007198510A - トロイダル型無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の油圧制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007198510A
JP2007198510A JP2006018230A JP2006018230A JP2007198510A JP 2007198510 A JP2007198510 A JP 2007198510A JP 2006018230 A JP2006018230 A JP 2006018230A JP 2006018230 A JP2006018230 A JP 2006018230A JP 2007198510 A JP2007198510 A JP 2007198510A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
command value
continuously variable
hydraulic
variable transmission
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006018230A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoto Tanaka
直人 田中
Masami Sugaya
正美 菅谷
Yuji Iwase
雄二 岩瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2006018230A priority Critical patent/JP2007198510A/ja
Publication of JP2007198510A publication Critical patent/JP2007198510A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Friction Gearing (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

【課題】 元圧が変化する場合であっても容易かつ正確に圧油を制御することのできるトロイダル型無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 所定の元圧を制御指令値に応じて制御してアクチュエータに供給するトロイダル型無段変速機の油圧制御装置において、前記制御指令値を目標値と実際値との偏差と予め定めた基準元圧とに基づいて設定する指令値設定手段と、前記元圧が前記基準元圧から変更されている場合にその変更の程度に応じて、前記指令値設定手段で設定された制御指令値を補正する補正手段(ステップS2〜S4)とを備えている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、入力ディスクと出力ディスクとの間に挟み込んだパワーローラを介して各ディスクの間でトルクを伝達するとともに、そのパワーローラを傾転させて変速比を変化させるトロイダル型無段変速機に関し、特にパワーローラを挟み付ける挟圧力の制御やパワーローラを変位させる変速制御を油圧によって行うトロイダル型無段変速機に関するものである。
トロイダル型無段変速機は、パワーローラを入力ディスクと出力ディスクとの間に挟み付け、これらのパワーローラと各ディスクとの間でトラクションオイルを介したトルクの伝達をおこなうように構成されている。そのパワーローラと各ディスクとの接触点(もしくは接触領域)におけるパワーローラの接線方向の速度と各ディスクの接触点半径での接線方向の速度とが一致していれば、これが中立位置であって、パワーローラに対してこれを傾ける力すなわち傾転力は生じない。その中立位置からパワーローラが変位(オフセット)すると、パワーローラと各ディスクとの接触点におけるそれぞれの接線方向速度が異なるので、いわゆるサイドスリップが生じ、それに起因して、パワーローラを傾けるいわゆる傾転力が生じる。
したがって、トロイダル型無段変速機で伝達できるトルクは、各ディスクとパワーローラとの接触圧すなわち各ディスクがパワーローラを挟み付ける挟圧力によって決まる。その伝達トルク容量を設定するために特許文献1に記載された装置では、その挟圧力(当接力)を油圧式の押圧装置で発生させ、伝達するべきトルクが変化する際には押圧装置による押圧力を、トルクに対応する圧力となるように制御している。
また、特許文献1の装置では、パワーローラを中立位置からオフセットさせる制御と中立位置への復帰の制御とを、油圧シリンダに給排する圧油を電気的に制御することにより行っている。さらに、特許文献2には、パワーローラをオフセットさせるためのアクチュエータに給排する油圧をフィードバック制御するように構成したトロイダル型無段変速機が記載されており、この特許文献2に記載された装置では、フィードバックゲインを油圧、油温、車速、入力軸回転数の四次元マップから決定することとしている。なお、特許文献3には、クラッチ必要油圧と変速油圧とのうち高い方の油圧に基づいてライン圧を設定するトロイダル型無段変速機が記載されている。
特開2003−194208号公報 特開平11−141670号公報 特開2001−99292号公報
トロイダル型無段変速機における変速制御は、パワーローラを変位させることによりパワーローラを傾転させて実行するから、パワーローラの移動量や位置を正確に制御する必要がある。そこで上記の特許文献2に記載されている装置では、そのいわゆる変速油圧のフィードバック制御に使用するゲインを油圧、油温、変速比、入力回転数の4つをパラメータとした四次元マップに基づいて決定するようにしている。そのために、実験などによって求めるべきデータ量が多くなり、マップを作成するのに要する工数、労力が嵩む可能性がある。これは、上記の特許文献1に記載されている挟圧力をフィードバック制御する場合であっても同様である。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、元圧が変化する場合であっても容易かつ正確に圧油を制御することのできるトロイダル型無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、所定の元圧を制御指令値に応じて制御してアクチュエータに供給するトロイダル型無段変速機の油圧制御装置において、前記制御指令値を目標値と実際値との偏差と予め定めた基準元圧とに基づいて設定する指令値設定手段と、前記元圧が前記基準元圧から変更されている場合にその変更の程度に応じて、前記指令値設定手段で設定された制御指令値を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記トロイダル型無段変速機は、入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラを挟み付けるための挟圧力を発生する第1アクチュエータと、そのパワーローラを中立位置から変位させる第2アクチュエータとを有し、前記元圧は、前記第1アクチュエータで要求される油圧と前記第2アクチュエータで要求される油圧とのうち高い油圧に基づいて設定されるライン圧であることを特徴とするトロイダル型無段変速機の油圧制御装置である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記補正手段は、前記第2アクチュエータに給排される圧油の流量制御指令値を補正する手段を含むことを特徴とするトロイダル型無段変速機の油圧制御装置である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記補正手段は、前記いずれかのアクチュエータに給排される圧油の流量制御指令値を求めるゲインを補正する手段を含むことを特徴とするトロイダル型無段変速機の油圧制御装置である。
請求項1の発明によれば、所定の元圧を制御指令値に基づいて制御してアクチュエータに供給するにあたり、その制御指令値が、前記アクチュエータによって達成するべき目標値と実際値との偏差と予め定めた基準元圧とに基づいて設定される。したがって、制御指令値を定める要因となる元圧が固定された値となるので、制御指令値を定める際の変動要因が少なくなり、容易に制御指令値を設定することができる。一方、制御指令値に基づいて制御した結果として得られる制御値である流量もしくは油圧は、元圧の影響を受けるが、元圧が前記基準元圧から変更されている場合には、その変更の程度に応じて前記制御指令値が補正されるので、結局は元圧に応じた制御が可能になる。
請求項2の発明によれば、パワーローラを挟み付けるいわゆる挟圧力とパワーローラを変位(ストローク)させるいわゆる推力とがそれぞれ油圧によって設定され、それらの油圧のうち高い方の油圧に基づいて元圧としてのライン圧が設定される。そのため、元圧に過不足が生じることがなく、また元圧の設定が容易になる。
請求項3の発明によれば、第2アクチュエータの給排される圧油が流量制御され、その制御指令値が前述したように補正されるので、パワーローラの中立位置からの変位量(ストローク量)を正確にかつ遅れを生じることなく制御することができる。そして、パワーローラを変位させることにより変速が実行されるので、変速の遅延や変速誤差などを生じることなく、正確な変速制御が可能になる。
請求項4の発明によれば、いずれかのアクチュエータに給排する圧油の流量制御に使用されるゲインが上述したように補正されるので、元圧に即した制御を行うためのゲインの設定が容易になる。
つぎに、この発明をより具体的に説明する。この発明で対象とするトロイダル型無段変速機は、入力側のディスクと出力側のディスクとを対向させて配置するとともに、これらのディスクの間に、回転中心軸線が、各ディスクの回転中心軸線に対してほぼ直交するようにパワーローラを配置して挟み込み、そのパワーローラを介して各ディスクの間でトルクを伝達するように構成した無段変速機である。特に、各ディスクの対向面がトロイダル面を形成している無段変速機であり、対向するトロイダル面の曲率中心が各ディスクの外周縁の近辺もしくはその外側にあるいわゆるハーフトロイダル型のものや、その曲率中心が各ディスクの外周縁より内側にあるタイプのもののいずれであってもよい。さらに、一対のディスクを備えたいわゆるシングルキャビティ型の無段変速機に限らず、二対のディスクを備えたダブルキャビティ型の無段変速機であってもよい。そして、入力側のディスクと出力側のディスクとの間に挟み込むパワーローラは、ディスクの円周方向に等間隔に複数設けられていればよく、一対のパワーローラを備えた構成に限られない。
また、この発明で対象とするトロイダル型無段変速機は、パワーローラを挟み付けるいわゆる挟圧力を油圧によって発生させるように構成したものであってよい。あるいはパワーローラを中立位置から変位させ、また中立位置に復帰させる操作を油圧によって行うように構成したものであってよい。その場合、機械的なフィードバック機構を使用せずに、圧油を直接フィードバック制御するように構成する。
図2および図3には、ダブルキャビティ式のハーフトロイダル型無段変速機の一例を模式的に示してあり、トロイダル面を対向させた入力ディスク1と出力ディスク2とが、二対、同一軸線上に配置されている。これらの図に示す例では、軸線方向での左右両端部に入力ディスク1が配置され、中央部に出力ディスク2が、いわゆる背合わせに配置され、これらの出力ディスク2の間に出力部材としての出力ギヤ3が配置されている。
各ディスク1,2および出力ギヤ3の中心部を入力軸4が貫通しており、各入力ディスク1はこの入力軸4に一体となって回転し、かつ軸線方向に移動できるように取り付けられている。これに対して出力ディスク2および出力ギヤ3は、入力軸4に対して回転自在に嵌合しており、かつ各出力ディスク2と出力ギヤ3とは一体となって回転するように連結されている。入力軸4の一方の端部(図2の左側の端部)には、入力ディスク1を抜け止めするためのロック部材としてのロックナット5が取り付けられている。これとは反対側の端部(図2での右側の端部)には、この発明の第1アクチュエータに相当する油圧シリンダ6が取り付けられている。この油圧シリンダ6は、各対の入力ディスク1と出力ディスク2とを互いに接近させる方向に押圧する挟圧力を生じさせるための挟圧力発生機構であって、シリンダ7が入力軸4に固定されるとともに、そのシリンダ7の内部に軸線方向に移動可能に収容したピストン8が、入力ディスク1の背面に当接させられている。したがって、そのシリンダ7とピストン8との間に油圧を供給することにより、ピストン8が一方の入力ディスク1をこれとは反対側に配置されている入力ディスク1側に向けて押圧するように構成されている。
各対の入力ディスク1と出力ディスク2との間にそれぞれ複数のパワーローラ9が挟み込まれている。これらのパワーローラ9は、入力ディスク1と出力ディスク2との間でのトルクの伝達を媒介するいわゆる伝動部材であって、ほぼ円盤状をなし、入力ディスク1と出力ディスク2との間に、各ディスク1,2の円周方向に等間隔に配置されている。各パワーローラ9は、各ディスク1,2の回転に伴って自転し、また各ディスク1,2の間で傾く(傾転する)ように、それぞれトラニオン10によって保持されている。
各トラニオン10は、パワーローラ9を自転かつ傾転自在に保持するためのものであって、中心側を向く面を平坦面とした保持部11の上下両側にトラニオン軸12が延びて形成されている。図3での上側のトラニオン軸12が軸受を介してアッパーヨーク13に嵌合させられ、また図3での下側のトラニオン軸12が軸受を介してロアーヨーク14に嵌合させられている。したがって各トラニオン10は、それぞれトラニオン軸12を中心にして回転できるように各ヨーク13,14によって互いに連結されている。したがってトラニオン軸12の中心軸線が傾転軸となっている。
各パワーローラ9は各トラニオン10における前記保持部11に取り付けたピボットシャフト15によって回転自在に保持され、また各パワーローラ9とそれぞれのトラニオン10との間にはスラスト軸受16が介装されている。これらトラニオン10やピボットシャフト15、スラスト軸受16などが、いわゆる保持部材となっている。
各トラニオン10における図3での下側のトラニオン軸12は、直線的な前後動作を行うアクチュエータに連結されている。そのアクチュエータは、流体圧シリンダや、トルクを推力に変化させて出力する電動シリンダなどによって構成されており、図に示す例では、油圧シリンダ17が採用されている。この油圧シリンダ17がこの発明の第2アクチュエータに相当している。具体的には、前記トラニオン軸12は、各パワーローラ9に対応して設けた油圧シリンダ17のピストン18に連結されている。これらの油圧シリンダ17は、一方のパワーローラ9を図3での上側に移動させると同時に他方のパワーローラ9を図3での下側に移動させるように構成されている。例えば、図3での左側の油圧シリンダ17におけるピストン18より上側の油圧室が変速比の小さい高速側に変速させるためのハイ油室17Hであり、これとは反対の下側の油圧室が変速比の大きい低速側に変速させるためのロー油室17Lとなっている。また、図3での右側の油圧シリンダ17におけるピストン18より上側の油圧室が変速比の大きい低速側に変速させるためのロー油室17Lであり、これとは反対の下側の油圧室が変速比の小さい高速側に変速させるためのハイ油室17Hとなっている。そして、ハイ油室17H同士、およびロー油室17L同士が互いに連通されている。
上記のパワーローラ9を中立位置からアップシフト側あるいはダウンシフト側に変位(オフセット)させて変速を実行するための機構について説明すると、その機構は前記油圧シリンダ17などのアクチュエータを動作させるように構成された機構であり、図に示す例では、デューティ制御される電磁弁19によって構成されている。なお、この種の制御弁は、前述したハイ側油室17Hに対する油圧の給排を制御する弁とロー側油室17Lに対する油圧の給排を制御する弁との二本を設けてもよく、あるいは一本の制御弁で各油室17H,17Lに対する油圧の給排を同時に制御するように構成してもよい。
図に示す電磁弁19は、前記ハイ油室17Hに連通するハイ側ポート20と、前記ロー油室17Lに連通するロー側ポート21と、ライン圧が入力される入力ポート22と、二つのドレーンポート23,24と、ソレノイド25およびその反対側に配置されたスプリング26によって軸線方向に移動させられてこれらのポートの連通状態を切り替えるスプール27とを有している。そして、そのスプール27は、入力ポート22および各ドレーンポート23,24をハイ側ポート20およびロー側ポート21のいずれに対しても閉じた状態、入力ポート22をハイ側ポート20に連通させると同時にロー側ポート21をドレーンポート24に連通させたアップシフト状態、これとは反対にロー側ポート21を入力ポート22に連通させると同時にハイ側ポート20をドレーンポート23に連通させたダウンシフト状態とに切り替えるように構成されている。
上記の電磁弁19を使用した変速制御を電気的に実行するように構成されている。すなわち、各パワーローラ9の位置をトラニオン10の位置もしくは変位量として検出するためにストロークセンサ28が設けられている。このストロークセンサ28は一例として、一方のトラニオン10のトラニオン軸12に取り付けられており、その軸線方向の変位量を電気的に検出して検出信号として出力するように構成されている。ここで変位量とは、パワーローラ9に対してサイドスリップ力もしくは傾転力が作用しない中立位置からの前記傾転軸方向の移動量である。
また、いずれかのトラニオン軸12に、傾転角センサ29が設けられている。図に示す例では、前記ストロークセンサ28が取り付けられているトラニオン軸12と同一軸線上にある他のトラニオン軸12に傾転角センサ29が取り付けられている。この傾転角センサ29は、トラニオン軸12の回転角度を電気的に検出して信号を出力するものであって、例えば入力ディスク1と出力ディスク2との回転数が等しい状態すなわち変速比が“1”の状態におけるトラニオン軸12の角度を“0”とし、この状態からのトラニオン軸12の回転角度を傾転角として検出し、その傾転角に応じた電気的な信号を出力するようになっている。
さらに、いずれかの入力ディスク1の回転数を検出して電気的な信号を出力する入力回転数センサ30と、いずれかの出力ディスク2の回転数を検出して電気的な信号を出力する出力回転数センサ31とが設けられている。したがって、これらの回転数センサ30,31で検出された各回転数に基づいて、実際の変速比を求めることができる。
これら各センサ28,29,30,31は、変速比や前述した挟圧力を制御するための電子制御装置(ECU)32に電気的に接続されている。この電子制御装置32は、マイクロコンピュータを主体として構成されたものであって、入力された信号および予め記憶しているデータならびにプログラムに従って各種の演算を行い、その演算結果に基づいて制御指令信号を出力するように構成されている。上記のトロイダル型無段変速機は、車両に搭載することができ、その場合、この電子制御装置32には、上記の各センサ28,29,30,31からの信号に加えて、アクセル開度や車速、エンジン回転数などの各種の検出信号が入力される。
上記のトロイダル型無段変速機によるトルクの伝達および変速について説明する。エンジンなどの動力源から入力ディスク1にトルクが入力されると、その入力ディスク1にトラクションオイルを介して接触しているパワーローラ9にトルクが伝達され、さらにそのパワーローラ9から出力ディスク2にトラクションオイルを介してトルクが伝達される。その場合、トラクションオイルは加圧されることによりガラス転移し、それに伴う大きい剪断力によってトルクを伝達するので、各ディスク1,2は入力トルクに応じた圧力がパワーローラ9との間に生じるように押圧される。
また、パワーローラ9の周速と各ディスク1,2のトルク伝達点(パワーローラ9がトラクションオイルを介して接触している点)の周速とが実質的に同じであるから、パワーローラ9が傾転して入力ディスク1との間のトルク伝達点の回転中心軸線からの半径と、出力ディスク2との間のトルク伝達点の回転中心からの半径とに応じて各ディスク1,2の回転数(回転速度)が異なり、その回転数(回転速度)の比率が変速比となる。
このようにして変速比を設定するパワーローラ9の傾転は、パワーローラ9を図3の上下方向に移動させることにより生じる。例えば、前記電磁弁19を制御して油圧シリンダ17のハイ油室17Hに圧油を供給すると、図3の左側のパワーローラ9が下側に移動し、かつ図3の右側のパワーローラ9が上側に移動する。その結果、各パワーローラ9にはこれを傾転させる力(サイドスリップ力)がディスク1,2との間に生じ、各パワーローラ9が傾転する。パワーローラ9の変位量は、実際の傾転角と目標とする傾転角との偏差に基づいて制御され、したがってパワーローラ9が次第に傾転して目標傾転角に一致すると、パワーローラ9は中立位置に復帰させられ、その傾転が止まる。その結果、目標とする変速比が設定される。
上記の電子制御装置32は、スロットル開度などで代表される要求駆動量や車速などに基づいて目標とする変速比に対応する傾転角度を求め、その傾転角度を達成するように電磁弁19に指令信号を出力する。その目標傾転角度は、パワーローラ9をトラニオン10と共にストロークさせることにより達成できるので、パワーローラ9のストローク量を前記ストロークセンサ28によって検出し、その検出したストローク量とストローク指令量との偏差を制御偏差として電磁弁19に対する指令信号(例えばデューティ比)がフィードバック制御される。
上記の基本的な変速制御を図5にブロック図によって概念的に示してある。図5において、先ず、目標変速比に相当する目標傾転角度φoと実際の傾転角度φとの偏差が求められる。その目標変速比およびこれに対応する傾転角度の算出は、従来、トロイダル型無段変速機での変速制御で実行されているのと同様にしておこなうことができる。例えば、アクセル開度などで表される要求駆動量と車速とに基づいて要求駆動力が算出され、その要求駆動力と車速とから目標出力が求められ、その目標出力を最小の燃費で達成する内燃機関の回転数が求められ、無段変速機の入力回転数がその内燃機関の回転数に相当する回転数となるように目標変速比および目標傾転角度φoが求められる。
その偏差に所定のゲインK1による処理を施してパワーローラ9のストローク量(一例として中立点からのストローク量)X0が求められる。そのストローク量X0と実際のストローク量Xとの偏差に所定のゲインK2による処理が施されて、前記電磁弁19について指令信号(例えばデューティ比)が求められ、その電磁弁19の出力する油圧によってパワーローラ9が変位し、かつそれに伴ってパワーローラ9が傾転することにより、無段変速機(CVT)が変速動作する。
上述のようにして入力ディスク1から出力ディスク2に伝達されるトルクは、各ディスク1,2とパワーローラ9との間のトラクションオイルを介した押圧力(間接的な接触圧)で制限される。そのため、上記のトロイダル型無段変速機では、油圧シリンダ6によって入力軸4の軸線方向の推力を発生させて、各入力ディスク1と出力ディスク2とでパワーローラ9を挟み付ける挟圧力を制御している。また、変速を行う場合には、前記油圧シリンダ17に給排する圧油を流量制御してパワーローラ9を変位させている。
これらの油圧シリンダ6,17に給排される圧油は、ライン圧を元圧として制御されており、そのための油圧制御回路の一例を図5に概略的なブロック図で示してある。駆動力源であるエンジンやこれとは別に設けられたモータ(それぞれ図示せず)によって駆動されて油圧を発生させるオイルポンプ33が設けられている。そのオイルポンプ33の吐出側に、オイルポンプ33が吐出した油圧をライン圧に調圧するプライマリーレギュレータバルブ34が接続されている。このプライマリーレギュレータバルブ34としては従来の車両用自動変速機で使用されているライン圧調圧用のバルブを採用することができ、例えば弁体としてのスプール(図示せず)の一端部側に制御信号圧を印加するとともに、他端部側にスプリング力とフィードバック圧とを作用させ、その制御信号圧とスプリング力およびフィードバック圧とをバランスさせる油圧が出力ポートにライン圧として現れるように構成されている。
そのライン圧は、トロイダル型無段変速機に作用するトルクを確実に伝達できるトルク容量を設定するのに十分な油圧とする必要があり、またパワーローラ9を変位させる推力を発生するのに十分な油圧とする必要がある。そこで、この発明に係る上記のトロイダル型無段変速機では、要求されている伝達トルク容量を設定するのに必要な油圧と、変速制御に必要な油圧とのうちの高い方の油圧に基づいてライン圧が設定されている。
そのライン圧の制御は、上述した制御信号圧によって行うことができ、その制御信号圧を出力する電磁弁35が設けられている。この電磁弁35は、電流やデューティ比などの電気信号に応じた油圧を出力するバルブであって、前記電子制御装置32によって制御されるようになっている。そのライン圧は、一般的な傾向として、エンジンなどの駆動力源の出力が大きいほど高くなるように制御される。
そのライン圧が挟圧力制御バルブ36を介して前記油圧シリンダ6に供給されている。この挟圧力制御バルブ36は、ライン圧を目標とする圧力に調圧して油圧シリンダ6に供給する調圧バルブであって、前記電子制御装置32によって調圧レベルが変化するように構成され、あるいは電子制御装置32によって制御される電磁弁(図示せず)が出力する信号圧によって調圧レベルが変化するように構成されている。
さらに、ライン圧が前記電磁弁19を介して、変速用の前記油圧シリンダ17に供給されている。すなわち、油圧シリンダ17におけるハイ油室17Hおよびロー油室17Lに給排する圧油の流量を電磁弁19で制御することにより、パワーローラ9を中立位置からオフセットさせ、また中立位置に復帰移動させるようになっている。
圧油の流量制御を行う場合、供給対象箇所における油圧と供給する油圧との圧力差に応じて流量が異なり、その圧力差が大きいほど、流量が多くなる。したがって、前記電磁弁19をデューティ制御して圧油を給排する場合、その元圧であるライン圧によって電磁弁19の出力側に現れる油圧が異なる。これを図6に模式的に示してある。すなわち、入力された油圧がそのまま出力側に現れるデューティ比は入力される油圧に拘わらずほぼ一定であり、そのためにそのデューティ比に到る過程でのデューティ比に応じた出力側の油圧は、入力側の油圧(すなわちライン圧)によって異なる。言い換えれば、制御指令値が一定であれば、元圧が変化することにより、圧油の流量や油圧などの制御量が異なることになる。これに対して、元圧であるライン圧は前述したようにアクセルペダルの踏み込み量などで表される要求駆動力などによって変化する。
そこでこの発明の油圧制御装置では、予め定めたライン圧基準値について、制御指令値(例えばデューティ比)と制御量(例えば発生油圧)との関係を求めておき、実際のライン圧がライン圧基準値と異なっている場合には、ライン圧の変化量(変更量)に応じて制御指令値を補正するように構成されている。その一例を図6を参照して説明すると、設定可能な最も高いライン圧Iをライン圧基準値とし、これに基づいて変速制御用の制御ゲインを設定しておく。したがって、所定の油圧P0を得るための制御指令値であるデューティ比は、“D1”となる。一方、変速制御を行う時点の実際のライン圧がライン圧基準値Iより低いライン圧IIIであれば、所定の油圧P0を得るための制御指令値であるデューティ比は、“D4”となる。そして、図6においてライン圧Iを示す線のうち傾斜している部分の値とライン圧IIIを示す線のうち傾斜している部分の値とは比例関係などの一定の関係にあるので、上記の各デューティ比D1,D4の間にも同様の関係が成立し、したがってライン圧基準値に基づいて求まるデューティ比D1を算術的に補正することにより、実際のライン圧に応じた制御指令値であるデューティ比D4を求めることができる。
なお、制御ゲインは、ライン圧を上記のライン圧基準値に固定した状態で、油温や入力回転数、変速比などに応じて予めマップとして定めておくことができ、またその制御ゲインに基づくデューティ比は、図4に基づいて説明したようにして求められる。
上述したライン圧の設定ならびに変速制御のためのデューティ比の補正ならびに設定の一例を図1にフローチャートで示してある。先ず、ライン圧が設定される(ステップS1)。これは、アクセル開度などで表される要求駆動力に基づいて算出される必要挟圧力と、変速のためにパワーローラ9を変位させるのに要する必要変速圧とのうちの高い方の圧力に基づいて求められる。いわゆるマックスセレクトによるライン圧の設定である。なお、必要変速圧は、入力トルクと変速比とに基づいて算出することができ、あるいはマップとして予め定めておくことができる。また、ライン圧は、前記高い方向の圧力に所定の係数を掛けて求めることができる。ついで、ステップS1で設定されたライン圧と、前述したライン圧基準値とが比較される(ステップS2)。これは、両者の比あるいは差を求める操作であり、元圧もしくはライン圧の変更の程度を求める操作に相当する。
他方、パワーローラ9を中立位置に維持している状態での前記油圧シリンダ17の油圧(すなわち待機圧)と変速を実行するのに要する変速圧とが比較される(ステップS3)。具体的には、変速のための油圧の増大分あるいはその増大分に対応するデューティ比が、ライン圧基準値に基づく値として求められる。したがっそのデューティ比は、例えば図6に示す“D1”である。
そして、この油圧の増大分あるいはそれに対応するデューティ比が、元圧もしくはライン圧の変更の程度に応じて補正される(ステップS4)。具体的には、ステップS2で求められたライン圧の変化率を、変速のため油圧の増大分もしくはこれに対応するデューティ比に掛けることにより、補正が行われる。
こうして得られた油圧の増大分もしくはデューティ比は、例えば図6に示す“D4”であり、これが、待機圧もしくはそれに対応するデューティ比に加算されて、補正後の変速油圧もしくはそれに対応するデューティ比が求められる(ステップS5)。
したがって、図1に示すように変速油圧を制御することにより、ライン圧がライン圧基準値から変化している状態での変速が、ライン圧基準値での変速と同様にして実行される。すなわち、油圧シリンダ17に対する圧油の給排に遅速が生じることが抑制され、精度の良い変速が可能になる。また、ライン圧は、制御指令値であるデューティ比の補正に使用するので、変速油圧を決定するための制御ゲインあるいは制御指令値をマップ化するにあたってはライン圧をそのマップのパラメータから外すことができ、その結果、制御ゲインあるいは制御指令値のためのマップを作成するのに要する工数や労力を削減することができる。
なお、上述した図1あるいは図6に示す例は、デューティ比を補正する例であるが、この発明では、要は、制御指令値がライン圧の変更の程度に応じて補正されればよく、したがって制御ゲインを補正することにより、結果的に制御指令値を補正する構成であってもよい。また、この発明で対象とする制御指令値は、変速油圧に限られないのであって、挟圧力を設定するための油圧についての制御指令値であってもよい。
ここで上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図4に示す制御を実行する機能的手段が、この発明の指令値設定手段に相当し、また図1に示すステップS2ないしステップS4の機能的手段が、この発明の補正手段に相当する。
この発明に係る油圧制御装置で実行される変速油圧の補正の制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明で対象とするトロイダル型無段変速機の一例を模式的に示す図である。 そのトロイダル型無段変速機の一方のキャビティを、その中央部を通る平面で切断した状態を示す模式的な断面図である。 この発明に係る変速装置による基本的な変速制御の一例を説明するための制御ブロック図である。 挟圧力と変速油圧とを制御するための油圧回路の一部を模式的に示すブロック図である。 ライン圧ごとのデューティ比と油圧との関係を模式的に示す線図である。
符号の説明
1…入力ディスク、 2…出力ディスク、 3…出力ギヤ、 4…入力軸、 9…パワーローラ、 10…トラニオン、 12…トラニオン軸、 17…油圧シリンダ、 19…電磁弁、 29…傾転角センサ、 30…入力回転数センサ、 31…出力回転数センサ、 32…電子制御装置(ECU)、 33…オイルポンプ、 34…プライマリーレギュレータバルブ、 36…挟圧力制御バルブ。

Claims (4)

  1. 所定の元圧を制御指令値に応じて制御してアクチュエータに供給するトロイダル型無段変速機の油圧制御装置において、
    前記制御指令値を目標値と実際値との偏差と予め定めた基準元圧とに基づいて設定する指令値設定手段と、
    前記元圧が前記基準元圧から変更されている場合にその変更の程度に応じて、前記指令値設定手段で設定された制御指令値を補正する補正手段と
    を備えていることを特徴とするトロイダル型無段変速機の油圧制御装置。
  2. 前記トロイダル型無段変速機は、入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラを挟み付けるための挟圧力を発生する第1アクチュエータと、そのパワーローラを中立位置から変位させる第2アクチュエータとを有し、
    前記元圧は、前記第1アクチュエータで要求される油圧と前記第2アクチュエータで要求される油圧とのうち高い油圧に基づいて設定されるライン圧であること
    を特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機の油圧制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記第2アクチュエータに給排される圧油の流量制御指令値を補正する手段を含むことを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機の油圧制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記いずれかのアクチュエータに給排される圧油の流量制御指令値を求めるゲインを補正する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトロイダル型無段変速機の油圧制御装置。
JP2006018230A 2006-01-26 2006-01-26 トロイダル型無段変速機の油圧制御装置 Pending JP2007198510A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006018230A JP2007198510A (ja) 2006-01-26 2006-01-26 トロイダル型無段変速機の油圧制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006018230A JP2007198510A (ja) 2006-01-26 2006-01-26 トロイダル型無段変速機の油圧制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007198510A true JP2007198510A (ja) 2007-08-09

Family

ID=38453300

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006018230A Pending JP2007198510A (ja) 2006-01-26 2006-01-26 トロイダル型無段変速機の油圧制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007198510A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011112103A (ja) * 2009-11-25 2011-06-09 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機及び無段変速装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH023735B2 (ja) * 1980-03-24 1990-01-24 Aisin Aw Co
JPH066974B2 (ja) * 1982-10-22 1994-01-26 日産自動車株式会社 Vベルト式無段変速機の油圧制御装置
JPH08326903A (ja) * 1995-03-31 1996-12-10 Mazda Motor Corp 自動変速機の制御装置
JP2006009908A (ja) * 2004-06-24 2006-01-12 Toyota Motor Corp トロイダル型無段変速機の変速制御装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH023735B2 (ja) * 1980-03-24 1990-01-24 Aisin Aw Co
JPH066974B2 (ja) * 1982-10-22 1994-01-26 日産自動車株式会社 Vベルト式無段変速機の油圧制御装置
JPH08326903A (ja) * 1995-03-31 1996-12-10 Mazda Motor Corp 自動変速機の制御装置
JP2006009908A (ja) * 2004-06-24 2006-01-12 Toyota Motor Corp トロイダル型無段変速機の変速制御装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011112103A (ja) * 2009-11-25 2011-06-09 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機及び無段変速装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9903471B2 (en) Control system and method for continuously variable transmission with variator speed ratio closed-loop feedback
JP4048625B2 (ja) 変速比無限大無段変速機の変速制御装置
JP3460547B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
US5643132A (en) Toroidal continuous variable transmission
JP3725697B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
US5683326A (en) Toroidal continuous variable transmission
JP4967346B2 (ja) トロイダル型無段変速機の制御装置
JP2007198510A (ja) トロイダル型無段変速機の油圧制御装置
JP4586433B2 (ja) トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JP3991528B2 (ja) 無段変速機のための発進クラッチ制御装置
JP2007198509A (ja) トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JP3750177B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4923999B2 (ja) 変速制御装置
JP4148796B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP2007170497A (ja) トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JP2007170496A (ja) トロイダル型無段変速機の制御装置および調整方法
JP2006009908A (ja) トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JP2007198511A (ja) トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JPH11247984A (ja) 変速比無限大無段変速機の変速制御装置
JPH08233085A (ja) トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JPH11247983A (ja) 変速比無限大無段変速機の変速御装置
JPH11223257A (ja) 変速比無限大無段変速機のトルク伝達力制御装置
JP5077683B2 (ja) 車両の駆動制御装置
JPH1194062A (ja) トロイダル型無段変速機の油圧制御装置
JP3303795B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110927

A521 Written amendment

Effective date: 20111118

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20120605

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02