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JP2007194324A - 回路基板用部材およびその製造方法 - Google Patents

回路基板用部材およびその製造方法 Download PDF

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JP2007194324A JP2006009668A JP2006009668A JP2007194324A JP 2007194324 A JP2007194324 A JP 2007194324A JP 2006009668 A JP2006009668 A JP 2006009668A JP 2006009668 A JP2006009668 A JP 2006009668A JP 2007194324 A JP2007194324 A JP 2007194324A
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Shigenao Tomabechi
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Abstract

【課題】回路基板と補強板が剥離せずに半導体素子と回路パターンを高精度に接合できる回路基板用部材を提供する。
【解決手段】両面に回路パターン102,124を有する可撓性フィルム103の第一面の段差部から5mm以内に第一の面と第二の面との間に貫通口108が形成されている回路基板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高精度な回路パターンを有する回路基板および回路基板の製造方法に関する。
エレクトロニクス製品の軽量化、小型化に伴い、プリント回路基板のパターニングの高精度化が求められている。中でも可撓性フィルム基板は、その可撓性ゆえに三次元配線ができ、エレクトロニクス製品の小型化に適していることから需要が拡大している。例えば、液晶ディスプレイパネルへのIC(Integrated Curcuit)接続に用いられるTAB(Tape Automated Bonding)技術は、比較的狭幅の長尺ポリイミドフィルム基板を加工することで樹脂基板としては最高レベルの微細パターンを得ることができるが、微細化の進展に関しては限界に近づきつつある。微細化にはライン幅やライン間のスペース幅で表される指標と基板上のパターンの位置で表される指標がある。後者の指標、いわゆる位置精度は、回路基板とICなどの電子部品とを接続する際の電極パッドと回路基板パターンとの位置合わせに係わり、ICの多ピン化の進展に従い要求される精度が厳しくなってきている。
上記位置精度の点において、特に可撓性フィルム基板加工は改良が難しい状況になりつつある。回路基板の加工プロセスでは、乾燥やキュアなどの熱処理プロセス、エッチングや現像などの湿式プロセスがあり、可撓性フィルムは、膨張と収縮を繰り返す。このときのヒステリシスは、基板上の回路パターンの位置ずれを引き起こす。また、アライメントが必要なプロセスが複数ある場合、これらのプロセス間に膨張、収縮があると、形成されるパターン間で位置ずれが発生する。可撓性フィルムの膨張と収縮による変形は、比較的大面積の基板寸法で加工を進めるFPC(Flexible Printing Circuit)の場合には更に大きな影響を及ぼす。また、位置ずれは引っ張りや捻れなどの外力でも引き起こされ、柔軟性を上げるために薄い基板を使う場合は特に注意を必要とする。
これに対して、回路パターンを形成しようとする可撓性フィルムに剥離可能な有機物層を介して補強板を貼り合わせ、可撓性フィルムの膨張と収縮を制御し、かつ、全体の強度を増すことで外力による変形を抑えつつ、回路パターンを形成し、回路パターン付き可撓性フィルムを補強板から剥離する提案がある(特許文献1参照)。
半導体素子の高性能化や複数の素子を搭載してモジュール化する要求が増えており、可撓性フィルムの片面のみに回路パターンを形成した回路基板から、両面もしくはそれ以上の複数層の回路パターンを有する多層回路基板が求められている。多層配線であることのメリットとしては、スルーホールやビアホールを介しての配線交差が可能となり、配線設計の自由度が増すこと、太い配線と接地電位を必要な場所の近傍まで伝搬することで高速動作する半導体素子のノイズが低減できること、同様に太い配線で電源電位を必要な場所の近傍まで伝搬することで高速スイッチングでも電位の低下を防ぎ、半導体素子の動作を安定化できること等が挙げられる。多層回路基板の一般的な製造方法としては、ビルドアップ法が挙げられる。このビルドアップ法をもちいた高精度の回路基板用部材の製造方法として、いろいろな製造方法が提案されている(特許文献2参照)。これによれば、(A)回路パターンを形成しようとする可撓性フィルムに剥離可能な有機物層を介して補強板とを貼り合わせた後、レジスト工程やめっき工程を用いて回路パターンを形成し、必要に応じて回路パターン上にソルダーレジスト膜を形成する。(B)回路パターン付き可撓性フィルムを、剥離可能な有機物層を介して別の補強板に転写させ、(C)もう一方の面に回路パターンを形成し、(D)回路パターン付き可撓性フィルムを剥離する。
液晶ドライバICを実装する回路パターンにおいては、半導体素子と接続される部分をインナーリードと呼ぶが、インナーリードの表面仕上げとしては、通常金めっきや錫めっきが用いられる。半導体素子の電極パッドの表面は通常金めっきであり、インナーリードの金めっきや錫めっきと接続させ、圧力と温度を加えて金−金接合や金−錫接合により信頼性の高い接合が行われる。この時の圧力でインナーリードが可撓性フィルム側に大きく沈み込まないようにすることが重要である。インナーリードの沈み込みが大きい場合は、インナーリードの一部が可撓性フィルムから剥がれたり折れたりして、信頼性が著しく低下する。通常ポリイミドに代表される可撓性フィルム上にインナーリードが設けられた単純な構成では問題ないが、ソルダーレジストなどの硬度が比較的小さい有機物層がインナーリード下部にあたる可撓性フィルムと補強板の間にある場合は、インナーリードの沈み込みが大きくなるおそれがある。
半導体素子の接合工程でインナーリードの可撓性フィルム側への沈み込みを抑制するために、半導体素子を接合する領域付近には可撓性フィルム以外の有機物層を形成しないことが好ましいが、可撓性フィルムの補強板との貼り合わせ面に有機物層が形成された部分と形成されていない部分があることによる段差が生じる。つまり、一方の面に回路パターンが形成された可撓性フィルムを回路パターンが形成された面を剥離可能な有機物層を介して補強板に貼り合わせると、ソルダーレジストなどの有機物層が形成された部分と形成されていない部分との段差部において可撓性フィルムと補強板との間に空隙ができる。ソルダーレジストを設けず金属からなる回路パターンのみが形成された状態で、この面を補強板に貼り合わせる場合も回路パターンの有無による段差部において空隙ができる。
半導体素子と回路基板との高精度な接合を得るためには、回路基板を寸法安定性に優れた補強板に貼り合わせた状態で半導体素子の接合することが好ましい。しかしながら、貼り合わせ面に空隙があると、半導体素子の接合時の急激な加熱により、空隙中の気体の膨張、吸着水の気化や可撓性フィルムに含まれる水の気化などにより、急激な体積膨張が発生し、補強板と回路基板が空隙部を中心にして剥離することがあり、半導体素子の電極パッドと回路基板のインナーリードとの位置ずれが起き、高精度な接合ができないことがあった。
特開2003−298194号公報 特開2004−140254号公報
本発明の目的は、上述の課題に鑑み、高精度な回路パターンを有し、かつ高精度に半導体素子を接合することができる回路基板および回路基板の製造方法を提供する。
すなわち本発明は、以内の構成からなる。
(1)両面に回路パターンを有する可撓性フィルムの第一面の段差部から5mm以内に第一の面と第二の面との間に貫通口が形成されている回路基板。
(2)両面に回路パターンを有する可撓性フィルムの少なくとも片面に段差を有する回路基板であって、その段差を有する第一の面を剥離可能な有機物層を介して補強板に固定し、当該段差により補強板と回路基板の間に発生した段差部より5mm以内に第一の面と第二の面との間に貫通口を形成されている回路基板用部材。
(3)貫通口の少なくとも一部が段差にかかるように形成されている上記(2)記載の回路基板用部材。
(4)両面に回路パターンを有する可撓性フィルムの少なくとも片面に段差を有する回路基板のその段差を有する第一の面を剥離可能な有機物層を介して補強板に固定する工程と、固定した面とは逆の第二の面に回路パターンを形成する工程と、当該段差から5mm以内に第二の面から可撓性フィルムに貫通口を形成する工程を有する回路基板用部材の製造方法。
(5)貫通口の少なくとも一部が段差にかかるように形成されている上記(4)記載の回路基板用部材の製造方法。
本発明によれば、段差を有する面を補強板に貼り合わせた状態で半導体素子を接合したとき、接合部分付近に当該段差による空隙があっても、回路基板と補強板が剥離せずに半導体素子と回路パターンとを高精度に接合できる。
本発明において可撓性フィルムとしては、プラスチックフィルムであって、回路パターン形成工程および電子部品実装での熱プロセスに耐えるだけの耐熱性を備えていることが好ましく、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどのフィルムを採用することができる。中でもポリイミドフィルムは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性が優れている点で、液晶ポリマーが好適に採用される。可撓性のガラス繊維補強樹脂板を採用することも可能である。ガラス繊維補強樹脂板の樹脂としては、エポキシ、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、マレイミド、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。
可撓性フィルムの厚さは、電子機器の軽量化、小型化、あるいは微細なビアホール形成のためには薄い方が好ましく、一方、機械的強度を確保するためや平坦性を維持するためには厚い方が好ましい点から、4μmから125μmの範囲が好ましい。
本発明において、回路パターンを形成する方法は特に限定されず、例えば、銅箔などの金属箔を接着剤層で貼り付けてサブトラクティブ法にて回路パターンを形成することができる他、スパッタやめっき、あるいはこれらの組合せでサブトラクティブ法、セミアディティブ法やフルアディティブ法にて回路パターンを形成することができる。また、銅などの金属箔の上に可撓性フィルムの原料樹脂あるいはその前駆体を塗布、乾燥、キュアすることで、金属層付き可撓性フィルムを得て、サブトラクティブ法でパターンを形成することもできる。
本発明において補強板として用いられる基板は、ソーダライムガラス、ホウケイ酸系ガラス、石英ガラスなどの無機ガラス類、インバー合金、ステンレススチール、チタンなどの金属、アルミナ、ジルコニア、窒化シリコンなどのセラミックスやガラス繊維補強樹脂板などが採用できる。いずれも線膨張係数や吸湿膨張係数が小さい点で好ましいが、回路パターン製造工程の耐熱性、耐薬品性に優れている点や大面積で表面平滑性が高い基板が安価に入手しやすい点や塑性変形しにくい点で無機ガラス類からなる基板が好ましい。中でもソーダライムガラスは、熱膨張係数がガラスの中では大きく、樹脂フィルムの線膨張係数に近いので好ましい。
金属やガラス繊維補強樹脂を補強板に採用する場合は、長尺連続体での製造もできるが、位置精度を確保しやすい点で、本発明の回路基板の製造方法は枚葉式で行うことが好ましい。枚葉とは、長尺連続体でなく、個別のシート状でハンドリングされる状態を言う。
本発明に用いられる剥離可能な有機物層は接着剤または粘着剤からなるものであって、可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して補強板に貼り付けて加工後、可撓性フィルムを剥離しうるものである。このような接着剤または粘着剤としては、アクリル系またはウレタン系の再剥離粘着剤と呼ばれる粘着剤を挙げることができる。また、分子設計が容易に行えることや耐溶剤性が優れることから、接着剤または粘着剤の主剤と硬化剤を混合する架橋型と呼ばれるものが好ましい。回路基板を補強板に貼り合わせた状態で半導体素子を加熱、加圧して接合するために、剥離可能な有機物層は紫外線硬化型であって、半導体素子接合前に硬化されていることが好ましい。
剥離可能な有機物層の厚みは小さすぎると、均一性が低下する傾向があるため、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。一方、剥離可能な有機物層の厚みが大きすぎると、可撓性フィルムへの投錨性が良くなるために剥離力が大きくなりすぎる傾向があるため、20μm以内であることが好ましく、10μm以内であることがさらに好ましい。補強板上に剥離可能な有機物層を介して固定された可撓性フィルム上の回路パターンに電子部品を接合する場合は、回路パターンの厚み方向の変化を抑制するため剥離可能な有機物層の厚みが5μm以下であることが好ましい。
剥離可能な有機物層が厚いと電子部品を加熱圧接する際に、剥離可能な有機物層の変化量が大きく、接合部の回路パターンが沈み込み、配線回路の信頼性に問題が生じることがある。沈み込みが大きいときには、電機部品のエッジに回路パターンが接触して短絡を生じることがある。沈み込みは、配線回路の信頼性を確保するために6μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。
剥離の界面は、補強板と剥離可能な有機物層との界面でも剥離可能な有機物層と可撓性フィルムとの界面でもどちらでも良いが、可撓性フィルムから剥離可能な有機物層を除去する工程が省略できるので、剥離可能な有機物層と可撓性フィルムとの界面で剥離する方が好ましい。
補強板と剥離可能な有機物層との剥離力を向上させるために、補強板にシランカップリング剤塗布などのプライマー処理を行っても良い。プライマー処理以外に紫外線処理、紫外線オゾン処理などによる洗浄や、ケミカルエッチング処理、サンドブラスト処理あるいは微粒子分散層形成などの表面粗化処理なども好適に用いられる。
本発明の回路基板の製造方法の一例を図1を用いて以下に説明する。補強板である厚さ1.1mmのソーダライムガラス101(図1の(1))にスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで、シランカップリング剤を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に比較的低粘度のシランカップリング剤の薄膜を均一に塗布するためには、スピンコーターの使用が好ましい。シランカップリング剤塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが20nmのシランカップリング剤層を得る。
次に上記シランカップリング剤層上に、スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで、紫外線硬化型再剥離粘着剤を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に比較的粘度が高い粘着剤を均一に塗布するためには、ダイコーターの使用が好ましい。紫外線硬化型再剥離粘着剤を塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが3μmの紫外線硬化型有機物層122を得る(図1の(1))。この紫外線硬化型有機物層に、ポリエステルフィルム上にシリコーン樹脂層を設けた空気遮断用フィルムを貼り付けて1週間熟成させる。空気遮断用フィルムを貼り合わせる代わりに、窒素雰囲気中や真空中で保管することもできる。また、紫外線硬化型有機物層を長尺フィルム基体に塗布、乾燥後、枚葉基板に転写することも可能である。
本発明において、紫外線硬化型有機物層は、最初に可撓性フィルム側に形成されていても良いし、補強板側に形成されていても良く、両方に形成されていても良い。形成の容易さや剥離界面を可撓性フィルムと紫外線硬化型有機物層となるよう制御するためには、補強板側に形成されるのが好ましい。
可撓性フィルムである厚さ38μmのポリイミドフィルムを準備する。ガラス上の空気遮断用フィルムを剥がして、プラスチックフィルムをガラスに貼り合わせる。ポリイミドフィルムの片面または両面に回路パターン層があらかじめ形成されていても良い。
本発明では、貼り合わせ側にポリイミドフィルム103のガラスとの貼り合わせ側に回路パターン104と保護膜としてソルダーレジスト膜151とバリアメタル層152があらかじめ形成されている(図1の(2))。ポリイミドフィルムのガラスとの貼り合わせ面側の回路パターンは配線交差の目的である場合や低インピーダンスの太い配線が使われる場合は、特にファインピッチではなく、長尺ポリイミドフィルムをリールツーリール方式で形成することができる。一方、両面にファインピッチの回路パターンが求められる場合は、補強板にポリイミドフィルムを貼り合わせて回路パターンを形成する本発明で採用している手法を用いて一方の面の回路パターンを形成したのち、この面をガラスとの貼り合わせ面として転写する方法を採用することができる。
長尺ポリイミドフィルムに一方の回路パターンを形成した場合、ポリイミドフィルムをあらかじめ所定の大きさのカットシートにしておいて貼り付けても良いし、長尺ポリイミドフィルムから巻きだしながら、貼り付けと切断をしてもよい。このような貼り付け作業には、可撓面状体の面にポリイミドフィルムを保持してから、ガラスに押圧することで、低応力、高精度にポリイミドフィルムをガラス側にラミネートする方法が好適に採用できる。
上記の方法に用いられるラミネート装置について図2を用いて説明する。図2はラミネート装置の概略正面図である。静電気帯電装置201で可撓性面状体202を帯電させ、ポリイミドフィルム203を吸着させる。可撓性面状体202には可撓性の織物や薄膜状物が採用でき、枠体204に固定されている。また、静電気帯電装置201は基台205上の支柱206に支持されており、上下動機構(図示しない)によって、支柱206は、左右に移動する枠体204や載置台207と静電気帯電装置201が干渉しないように動く。次に、紫外線硬化型有機物層208が塗布されたガラス209を真空吸着等で載置台207に保持する。スキージ210でポリイミドフィルム203を可撓性面状体202ごと剥離可能な有機物層208に押しつけ、ポリイミドフィルム203をガラス209側に移し取る。スキージ210はスキージ保持体211に保持されており、移動や上下動が可能である。載置台207は、レール212、ガイド213、ナット214、ブラケット215、ボールねじ217、モーター218によって図の左右に移動できる。
回路パターン上にはソルダーレジスト等の保護膜が形成されるが、半導体素子の接合工程でインナーリードの可撓性フィルム側への沈み込みを抑制するために、半導体素子を接合する領域付近には可撓性フィルム以外の有機物層を形成しないため、半導体素子を接合する領域にはソルダーレジストが形成された部分と形成されていない部分があることによる段差が生じ、ガラス101に貼り付けた後、その段差の周辺には空隙部107ができる(図1の(2))。
ポリイミドフィルムをガラス101に貼り付けた後、ポリイミドフィルムに形成された紫外線硬化型有機物層122に紫外線を照射して架橋を進行させる(図1の(2))。
ポリイミドフィルムの貼り合わせ面とは反対側の面にあらかじめ金属からなる回路パターンが設けられていない場合は、フルアディティブ法やセミアディティブ法で回路パターンを形成することができる。
フルアディティブ法は、例えば、以下のようなプロセスである。回路パターンを形成する面にパラジウム、ニッケルやクロムなどの触媒付与処理をし、乾燥する。ここで言う触媒とは、そのままではめっき成長の核としては働かないが、活性化処理をすることでめっき成長の核となるものである。次いでフォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで塗布して、乾燥する。フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分にレジスト層を形成する。この後、触媒の活性化処理をしてから、硫酸銅とホルムアルデヒドの組合せからなる無電解めっき液に、ポリイミドフィルムを浸漬し、厚さ2μmから20μmの銅めっき膜を形成して、回路パターンを得る。
セミアディティブ法は、例えば、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面に、クロム、ニッケル、銅またはこれらの合金をスパッタリングし、下地層を形成する。下地層の厚みは、通常、1nmから1000nmの範囲である。下地層の上に銅スパッタ膜をさらに50nmから3000nm積層することは、後に続く電解めっきのために十分な導通を確保したり、金属層の接着力向上やピンホール欠陥防止に効果があり好ましい。下地層形成に先立ち、ポリイミドフィルム表面に接着力向上のために、プラズマ処理、逆スパッタ処理、プライマー層塗布、接着剤層塗布が適宜用いられる。中でもエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリイミド樹脂系、NBR系などの接着剤層塗布は接着力改善効果が大きく好ましい。これらの処理や塗布は、ガラスへの貼り付け前に実施されても良いし、ガラスへの貼り付け後に実施されても良い。ガラス貼り付け前に、長尺のポリイミドフィルムに対してリールツーリール方式で連続処理されることは、生産性向上が図れ、好ましい。このようにして形成した下地層上に、フォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで塗布して、乾燥する。フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分にレジスト層を形成する。次いで下地層を電極として電解めっきをおこなう。電解めっき液としては、硫酸銅めっき液、シアン化銅めっき液、ピロ燐酸銅めっき液などが用いられる。厚さ2μmから20μmの銅めっき膜を形成後、フォトレジストを剥離し、続いてスライトエッチングにて下地層を除去して、さらに必要に応じて金、ニッケル、錫などのめっきを施し、回路パターンを得る。上述のセミアディティブ法、フルアディティブ法の他に、サブトラクティブ法で貼り合わせ面と反対側の面に回路パターンを形成することもできる。サブトラクティブ法とは、ポリイミドフィルムに金属層を形成し、フォトレジストとエッチング液を使って回路パターンを形成する方法である。特に高精細な回路パターンを得るためには、セミアディティブ法、フルアディティブ法の採用が好ましい。
さらに、ポリイミドフィルムに、接続孔105を設けることができる(図1の(3))。すなわち、ガラスとの貼り合わせ面側に設けた回路パターンとその反対面の回路パターンとの電気的接続を取るビアホールを設けたり、ボールグッリドアレイのボール設置用の孔を設けたりすることができる。接続孔の設け方としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザー孔開けやケミカルエッチングを採用することができる。レーザー孔開けを採用する場合は、エッチングストッパ層として、ポリイミドフィルムのガラス貼り付け面側に金属層があることが好ましい。
ポリイミドフィルムのケミカルエッチング液としては、ヒドラジン、水酸化カリウム水溶液などを採用することができる。また、ケミカルエッチング用マスクとしては、パターニングされたフォトレジストや金属層が採用できる。電気的接続を取る場合は、接続孔形成後、前述の回路パターン形成と同時にめっき法で孔内面を導体化することが好ましい。電気的接続をとるための接続孔は、直径が15μmから200μmが好ましい。ボール設置用の孔は、直径が80μmから800μmが好ましい。
接続孔を形成するタイミングは限定されないが、多層回路基板の場合はポリイミドフィルムの片面に回路パターンを形成し、別のガラスにポリイミドフィルムの回路形成面側を貼り合わせたのちに、ポリイミドフィルムの貼り合わせ面の反対面から接続孔を形成することが好ましい。
つぎに、ポリイミドフィルムの貼り付け面の反対面に、セミアディティブ法、フルアディティブ法、セミアディティブ法で回路パターン124を形成する(図1の(4))。必要に応じて、回路パターン上にソルダーレジスト膜153とバリアメタル層154を形成する(図1の(5))。感光性ソルダーレジストの場合は、スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで回路パターン上に感光性ソルダーレジストを塗布し、乾燥させた後、所定のフォトマスクを介して紫外線露光をし、現像して、ソルダーレジストパターンを得る。次に100℃から200℃でキュアをする。また、非感光性ソルダーレジストを用いて、スクリーン印刷機でパターン印刷してキュアすることもできる。
半導体素子109接合時のインナーリードの沈み込みを抑制するために、半導体素子109の接合する領域にはソルダーレジストを形成しないため、ソルダーレジストを形成した部分と段差が形成される。ここでいう、段差とは、ソルダーレジストが形成された部分ではソルダーレジストの塗り端を、ソルダーレジストを形成していない金皮膜や錫皮膜で表面被覆された回路パターンではその回路パターンの端を意味する。回路パターンの厚さは6μm以上であることが多く、その回路パターン上に形成されるソルダーレジストの厚さはポリイミドフィルム上で10μm程度、回路パターン上で6μm程度となるので、段差は12μm以上となることが多い。
半導体素子109の接合工程では、回路基板温度50〜200℃、半導体素子温度200〜400℃、接合圧力として半導体素子の電極パッドあたり5〜15gの条件が採用される。ポリイミドフィルムの両面に高精細な回路パターンを形成する場合は、最初に回路パターンが形成される面の加工に関しても、半導体素子の接合工程でもガラスに貼り合わせられていることが好ましい。ここで、回路基板とガラスに貼り合わされた面にできる段差周辺にある空隙107で、接合工程の急激な温度上昇により空隙中の気体の膨張、吸着水の気化やポリイミドフィルムに含まれる水の気化などによる膨れが生じ、回路基板とガラスが剥離することがある。また、接合する直前に回路用基板をステージにのせて予備加熱を行うことが多いが、数秒で150〜180℃に達する予備加熱中で回路基板がガラスから剥離することもある。本発明ではこれを防止するために段差部の周辺にガラスとの貼り合わせ面の反対の側から貫通口108を設けることが重要となる(図1の(6))。
貫通口108を形成することにより、段差によりできた空隙が半導体素子109の接合工程での急激な温度上昇で空隙が貫通口までしか進展せず、貫通口より外側にある半導体素子の接合領域ではポリイミドフィルムがガラスに貼り付けられている状態であるので高精度に接合できる。貫通口の設定位置が段差部より5mmより離れている場合は、空隙部の進展によるポリイミドフィルムがガラスから剥離する力より、剥離可能な有機物層によるポリイミドフィルムとガラスの粘着力を上回り、貫通口形成位置を越えて半導体素子の接合領域のポリイミドフィルムがガラスから剥離することがある。これより、貫通口の設定位置は段差部より5mm以内に設けることが重要である。また、空隙107の進展を最小限に抑えるために貫通口の少なくとも一部が段差部にかかる様に設けることがより好ましい。
貫通口の形状は、ポリイミドフィルムの両面の回路パターンの接続孔と同様に孔とするのが好ましい。この場合の貫通口は直径が15μmから200μmが好ましい。また、より大きな効果を得るためには、その段差または空隙部に垂直の方向にのびる線状の貫通口を形成するのが良い。貫通口ののびる向きは特に垂直方向に限定されるものではなく、貫通口を配置できる領域で自由に設定できる。
貫通口の設け方としては、前述の接続孔と同様に、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザー孔開けやケミカルエッチングを採用することができる。貫通口の形状が孔である場合は、直径が15μmから200μmが好ましい。また線状の貫通口を形成する場合、ケミカルエッチングではエッチングマスクで線状のパターニングをすれば良く、レーザー孔開けでは、複数個のレーザー孔をそれぞれの一部が重なり合う様に配置すれば良い。
ガラスに貼り合わせた面のポリイミドフィルム上の配線パターンの段差が小さい場合は、ポリイミドフィルムとガラスの間にできる空隙の幅は小さくなり、空隙部の体積も小さくなる。6μmより小さい段差の場合は、空隙部の幅が小さく、空隙中の体積も小さいため、回路基板とガラスの間に剥離が発生しにくく、半導体素子と回路基板の接合ずれは生じることは少ないが、本発明は有効である。
回路基板とガラスにできた段差付近に形成する貫通口108を形成するタイミングは特に限定されないが、前述したポリイミドフィルムの両側の回路パターンを接続するための接続孔と同時に形成することで孔を形成する工程を減らすことができる。但し、貫通口を形成した後にある回路パターン形成工程やソルダーレジスト印刷工程では貫通口内に金属層や有機物層が形成されないようにすることが必要となる。貫通口内にそれらが形成されると空隙部からの気体除去の効果が大きく低下する。回路パターンを形成する工程では、たとえば銅めっきで銅が貫通口内に形成しないようにフォトレジスト等であらかじめ被覆する必要があるし、形成した場合は選択的にエッチングして除去する必要がある。また、ソルダーレジスト印刷工程においては、感光性を有するレジストを使用する場合は露光マスクでの貫通口周辺部のレジストを除去するパターンの追加が必要となるし、非感光性レジストを使用する場合はスクリーン印刷版で貫通口周辺部を印刷しないようなパターンを持つ印刷版を準備する必要がある。貫通口を形成するタイミングは、半導体素子を搭載する接合工程直前に設けることが好ましく、すべての回路パターンを形成した後に行うソルダーレジスト印刷後に形成することがより好ましい。
貫通口の設定する数については、半導体素子の接合領域の端部に一番近いソルダーレジストの有り無しによる段差部に少なくとも1つ以上の貫通口を設けることが好ましいが、出来るだけより多くの貫通口を設けるのがよい。
半導体素子を接合したあとに、回路パターンが形成されたポリイミドフィルムをガラスから剥離する。
図3は、好ましい剥離方法を説明するための剥離装置の概略正面図である。図3に示した装置を用い、ポリイミドフィルムを円筒形の一部を切り取った湾曲面に沿わせつつ剥離し、補強板とポリイミドフィルムのなす角である剥離角を鋭角に保持した状態でポリイミドフィルムを端部から剥離する方法を挙げることができる。
まず、ステージ305に補強板301側が来るように被剥離物をセットする(図示せず)。エアシリンダー(図示せず)によりステージ305を上昇させ、補強板301と紫外線硬化型有機物層302を介して貼り合わされたポリイミドフィルム303の剥離開始位置と湾曲面304の所定位置(図3中Sで表示)を接触させる。ポリイミドフィルム303の一端を湾曲面304に内蔵された真空チャック等で把持し、次いで、湾曲面を保持する可動体306を回転させてポリイミドフィルムを湾曲面304に沿わせて剥離する。このとき、可動体306の回転と同期してステージ305がレール308上を右方向に移動し、剥離点を基板上の左方向に移動させる。電子部品が接続されたポリイミドフィルムを剥離する場合には、湾曲面304に電子部品の厚みを吸収するために、電子部品の位置に合わせて溝を設けたり、湾曲面304の表面をクッション性があるプラスチック発泡体シートで覆うのが好ましい。剥離完了後、保持体307をレール308に沿って右方向に移動させ、ステージ309上に剥離したポリイミドフィルムを取り出す。
レーザー、高圧水ジェットやカッターなどを用いて、剥離前に個片または個片の集合体に回路パターン付きポリイミドフィルムを切り分けておくことが、取り扱いが容易になることから好ましい。さらに、電子部品との接続の位置精度を保つために、ポリイミドフィルム上の回路パターンへ電子部品を接続後に、ポリイミドフィルムをガラスから剥離することが好ましい。電子部品との接続方法としては、例えば、ハンダ接続、異方導電性フィルムによる接続、金属共晶による接続、非導電性接着剤による接続、ワイヤー接合接続などが採用できる。また、ポリイミドフィルムの全面をガラスから剥離する場合は、回路パターン形成後に紫外線硬化型有機物層へ再度紫外線を照射してから剥離すると、ポリイミドフィルムの周縁部の剥離力が低下するので、剥離し易くなる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
両面回路基板の回路パターンは以下に示す設計とした。半導体素子を接合する面(図4の(1)、すなわち補強板としてのガラスに貼り合わせる面と反対の面)には、インナーリードとして15mm×2mmの長方形の二つの長辺上に、25μmピッチで、1辺あたり600個ずつ、10μm×50μmの長方形の接合パッド411を並べた。また、同じ15mm×2mmの長方形の一つの短辺上に、25μmピッチで、一辺あたり20個、10μm×50μmの長方形の接合パッド401を並べた。接合パッドの50μmの辺の中心を長方形の長辺および短辺上にそれぞれ配置した。また、アウターリードとして、インナーリード接合パッド配置の長方形と中心と同じくする、30mm×25mmの長方形の2つの長辺上に、50μmピッチで、1辺あたり600個ずつ、24μm×50μmの長方形の接合パッド412を並べた。また、同じ30mm×25mmでインナーリードとして20個接合パッドを配置した短辺とは反対の短辺上に、24μm×50μmの長方形の接合パッド407を並べた。インナーリード接合パッド411とアウターリード接合パッド412は、幅10μmの配線(図示せず)で結んだ。またガラスと貼り合わせる面(図4の(2))には、100μmピッチで回路パターン幅を50μmとした配線20本を一長辺方向のインナーリードとアウターリード間に各配線が平行になるように並べた。この配線404の両端には、直径100μmのそれぞれ20個の導通孔403と405により、半導体素子を接合する面に配置された幅10μmの配線403と406に接続されている。また、配線402はインナーリード401と、配線406はアウターリード407に電気的に接続されているため、インナーリード401はアウターリード406が電気的に接続される。配線404は全てソルダーレジストで被覆され、長方形の半導体素子の接合領域端部413よりアウターリード側10mmの位置にソルダーレジストの端部408が形成されるように設計した。これらを1ユニットとして、このユニットをガラスが300mm長さの方向に中心から等配、48mmピッチで5列を隣接させ配置した。ガラスが350mm長さの方向には中心から等配、23.75mmピッチで14個を配置した。ガラスが350mm長さの方向ではユニット間の距離は0.75mmである。
可撓性フィルムとして、厚さ38μm、300mm幅のポリイミドフィルム(商品名“カプトン”150EN 東レデュポン(株)製)を準備した。リールツーリール方式のスパッタ装置に長尺のポリイミドフィルムを装着し、厚さ10nmのクロム:ニッケル=20:80(重量比)の合金膜と厚さ1000nmの銅膜を、この順にポリイミドフィルム上に積層した。厚さ1.1mm、300×350mmのソーダライムガラスに、ダイコーターで、紫外線硬化型粘着剤、商品名“SKダイン”SW−22(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を100:3(重量比)で混合したものを塗布し、80℃で2分間乾燥し紫外線硬化型粘着剤層を設けた。乾燥後の紫外線硬化型粘着剤層厚さを3μmとした。次いで、紫外線硬化型粘着剤層に、ポリエステルフィルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフィルムからなる空気遮断用フィルムを貼り合わせて、1週間放置した。
金属層を設けたポリイミドフィルムを300×350mmに切り出した。上記空気遮断用フィルムを剥がしてから、ラミネーター装置で剥離可能な有機物層に金属層を設けたポリイミドフィルムを貼り合わせた。その後、紫外線硬化型粘着剤層にソーダライムガラス側から紫外線を1000mJ/cm照射し、紫外線硬化型粘着剤層を光硬化した。
銅層上にポジ型フォトレジストをスピンコーターで塗布して80℃で10分間乾燥した。フォトレジストをフォトマスクを介して露光、現像して、めっき層が不要な部分に厚さ15μmのフォトレジスト層を形成した。
次いで、上記銅層を電極として厚さ8μmの銅層を硫酸銅めっき液中での電解めっきで形成した。フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて、過酸化水素−硫酸系水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅層およびクロム−ニッケル合金層を除去して回路パターンを形成した。その後、スクリーン印刷機にて回路パターンを保護するための保護膜を回路パターン上に形成した。保護膜にはソルダーレジストFS−510T(宇部興産(株)製)を用いた。オーブンで120℃、90分間キュアし、10μm厚の保護膜を得た。その後、ソルダーレジストの開口部に電解金めっきによりバリアメタル層152を形成した。回路パターン形成工程中にポリイミドフィルムの端部がガラスの端部から剥離することは無かった。
次いで、紫外線硬化型粘着剤122が塗布された別のソーダライムガラス101に、ポリイミドフィルムに先に形成した回路パターン面をラミネート装置(図2参照)で貼り合わせた。この時、ソルダーレジストによる段差は約12μmであった。これにより段差部周辺にポリイミドフィルムとソーダライムガラスの間に空隙部が発生した。続いて、両面の回路パターンを接続するための接続孔をUV−YAGレーザーで加工した。接続孔の開口径は100μmであった。
その後、クロム−ニッケル合金と銅を枚葉式スパッタリング装置にてスパッタリングし、下地層を形成する。下地層の厚みは、10nmのクロム:ニッケル=20:80(重量比)の合金膜、銅1000nmとした。続いて下地層上にポジ型フォトレジストをスピンコーターで塗布して80℃で10分間乾燥した。フォトレジストをフォトマスクを介して露光、現像して、めっき層が不要な部分に厚さ15μmのフォトレジスト層を形成した。
上記銅層を電極として厚さ8μmの銅層を硫酸銅めっき液中での電解めっきで形成した。フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて、過酸化水素−硫酸系水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅層およびクロム−ニッケル合金層を除去して回路パターン124を形成した。その後、スクリーン印刷機にて回路パターンを保護するため、ソルダーレジストFS−510T(宇部興産(株)製)を回路パターン上に形成した。オーブンで120℃、90分間キュアし、10μm厚のソルダーレジスト層を得た。その後、インナーリード部に電解金めっきによりバリアメタル層154を形成した。
ここで、UV−YAGレーザーを用いて、空隙部107にかかるように貫通口108を形成した。貫通口の開口径は接続孔径と同様で100μmとした。貫通口は、ガラスに貼り合わせた面のポリイミドフィルム上に形成したソルダーレジストの4辺の段差に対して、10個/辺の計40個を半導体素子を実装する面に配置された配線を避けるように配置した。
補強板を貼り合わせた状態で紫外線硬化型粘着剤層にガラス側から紫外線を1000mJ/cm照射した後、半導体素子を接合装置(FC−2000、東レエンジニアリング(株)製)で回路基板に接合させた。温度400℃、インナーリード当たり10g、接合時間が1秒の接合条件で接合を行ったが、ポリイミドフィルムがガラスから剥離することは無かった。
続いて、ポリイミドフィルムの端部を図3の装置を使って徐々にガラスから300×350mmのポリイミドフィルム基板を剥離した。剥離後に半導体素子の割れやかけは無く、ポリイミドフィルムの剥離によるそりや折れは発生しなかった。また、ポリイミド面から回路基板のインナーリードと半導体素子の接合パッドの接続状態を顕微鏡で観察すると、全ての接合パッドで位置ずれの無い良好な接合が行われていた。
実施例2
貫通口を形成する位置が段差部より3mm離れたところに形成したこと以外は、実施例1と同様にして回路パターンを有する両面基板を作製し、半導体素子を接合した。予備加熱および接合中で空隙が大きくなったが、貫通口に達するとそれ以上進展することは無く、半導体素子の接合領域のポリイミドフィルムはガラスから剥離することは無かった。また、ガラス側から接合パッド部を観察すると、全ての接合パッドで位置ずれの無い良好な接合が行われていた。
実施例3
貫通口を形成する位置が段差部より5mm離れたところに形成したこと以外は、実施例1と同様にして回路パターンを有する両面基板を作製し、半導体素子を接合した。予備加熱および接合中で空隙が大きくなったが、貫通口に達するとそれ以上進展することは無く、半導体素子の接合領域のポリイミドフィルムはガラスから剥離することは無かった。また、ガラス側から接合パッド部を観察すると、全ての接合パッドで位置ずれの無い良好な接合が行われていた。
比較例1
貫通口を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして回路パターンを有する両面基板を作製し、半導体素子を接合した。接合時のステージ加熱中に空隙部107が大きく進展し、半導体素子を接合する領域のポリイミドフィルムがガラスから剥離することを確認した。また、接合後の観察では、上述のポリイミドフィルムの剥離により、多くの接合パッドで接合ずれが確認された。
比較例2
貫通口を形成する位置が段差部より7mm離れたところに形成したこと以外は、実施例1と同様にして回路パターンを有する両面基板を作製し、半導体素子を接合した。接合時のステージ加熱中に空隙部107が貫通口まで進展し、その後瞬時に半導体素子を接合する領域まで進展した。また、接合後の観察では、上述のポリイミドフィルムの剥離により、多くの接合パッドで接合ずれが確認された。
本発明の両面回路基板の製造工程概略図 ラミネート装置の概略正面図 剥離装置の概略正面図 実施例1の回路パターン概略図
符号の説明
101、209、301 ガラス
122、208、302 紫外線硬化型有機物層
103、203,303 可撓性フィルム(プラスチックフィルム)
104、124 回路パターン
105、403、405 接続孔
151、153 保護膜
152、154 バリアメタル層
107 空隙部
108 貫通口
109 半導体素子
201 静電気帯電装置
202 可撓性面状体
204 枠体
207 載置台
210 スキージ
212 レール
217 ボールねじ
304 湾曲面
305、309 ステージ
306 可動体
307 保持体
308 レール
401、411 インナーリード
402、404、406 配線
407、412 アウターリード
408 ソルダーレジスト端部
413 半導体接合領域端部

Claims (5)

  1. 両面に回路パターンを有する可撓性フィルムの第一面の段差部から5mm以内に第一の面と第二の面との間に貫通口が形成されている回路基板。
  2. 両面に回路パターンを有する可撓性フィルムの少なくとも片面に段差を有する回路基板であって、その段差を有する第一の面を剥離可能な有機物層を介して補強板に固定し、当該段差により補強板と回路基板の間に発生した段差部より5mm以内に第一の面と第二の面との間に貫通口が形成されている回路基板用部材。
  3. 貫通口の少なくとも一部が段差にかかるように形成されている請求項2記載の回路基板用部材。
  4. 両面に回路パターンを有する可撓性フィルムの少なくとも片面に段差を有する回路基板のその段差を有する第一の面を剥離可能な有機物層を介して補強板に固定する工程と、固定した面とは反対面の第二の面に回路パターンを形成する工程と、当該段差から5mm以内に第二の面から可撓性フィルムに貫通口を形成する工程を有する回路基板用部材の製造方法。
  5. 貫通口の少なくとも一部が段差にかかるように形成されている請求項4記載の回路基板用部材の製造方法。
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