JP4178869B2 - 回路基板用部材および回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精度な回路パターンを有するとともに生産性に優れた可撓性フイルムを用いた回路基板の製造方法と回路基板用部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス製品の軽量化、小型化に伴い、プリント回路基板のパターニングの高精度化が求められている。中でも可撓性フイルム基板は、その可撓性ゆえに三次元配線ができ、エレクトロニクス製品の小型化に適していることから需要が拡大している。例えば、液晶ディスプレイパネルへのIC接続に用いられるTAB(Tape Automated Bonding)技術は、35〜70mmと比較的狭幅の長尺ポリイミドフイルム基板を加工することで樹脂基板としては最高レベルの微細パターンを得ることができるが、微細化の進展に関しては限界に近づきつつある。微細化にはライン幅やライン間のスペース幅で表される指標と基板上のパターンの位置で表される指標がある。後者の指標、いわゆる累積精度は、回路基板とICなどの電子部品とを接続する際の電極パッドと回路基板パターンとの位置合わせに係わり、ICの多ピン化の進展に従い要求される精度が厳しくなってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記累積精度の点において、TAB技術を含む可撓性フイルム基板は改良が難しい状況になりつつある。回路基板加工プロセスでは、乾燥やキュアなどの熱処理プロセス、エッチングや現像などの湿式プロセスがあり、可撓性フイルムは、膨張と収縮を繰り返す。このときのヒステリシスは、基板上の回路パターンの位置ずれを引き起こす。また、アライメントが必要なプロセスが複数ある場合、これらのプロセスの間に膨張、収縮があると、形成されるパターン間で位置ずれが発生する。可撓性フイルムの膨張と収縮による変形は、比較的大面積の基板寸法で加工を進めるFPC(フレキシブルプリント基板)の場合には更に大きな影響を及ぼす。また、位置ずれは引っ張りや捻れなどの外力でも引き起こされ、柔軟性を上げるために薄い基板を使う場合は、基板のハンドリングが難しく、特に注意を要している。
【0004】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、高精度な可撓性フイルム回路基板を安定して製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的を達成するために、本発明は以下の構成からなる。
(1)少なくとも補強板、有機物層、可撓性フイルム、回路パターンをこの順に積層した回路基板用部材であって、(a)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、(b)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備えており、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の可撓性フイルム上に形成された回路パターン上に、電子部品が実装されていることを特徴とする回路基板用部材。
(2)有機物層が紫外線硬化型再剥離粘着剤からなり、その表面形状が平面であることを特徴とする請求項1記載の回路基板用部材。
(3)(a)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、(b)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備える方法が、可撓性フイルムと有機物層を貼り合わせる前に剥離力を小さくしたい部分にのみ紫外線を照射するものであることを特徴とする請求項2記載の回路基板用部材。
(4)少なくとも補強板、有機物層、可撓性フイルム、回路パターンをこの順に積層した回路基板用部材であって、(a)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、(b)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備えて回路基板用部材を形成した後、該可撓性フイルム上に回路パターンを形成し、(b)の部分の回路パターン上に電子部品を実装した後、可撓性フイルムを補強板から分離させることを特徴とした回路基板の製造方法。
(5)有機物層が紫外線硬化型再剥離粘着剤からなり、その表面形状が平面であることを特徴とする請求項4記載の回路基板の製造方法。
(6)(a)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、(b)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備える方法が、可撓性フイルムと有機物層を貼り合わせる前に剥離力を小さくしたい部分にのみ紫外線を照射するものであることを特徴とする請求項5記載の回路基板の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の回路基板用部材は、補強板上に、有機物層、可撓性フィルム、金属からなる回路パターンがこの順で積層されたものである。また可撓性フィルムの両面に回路パターンが形成されていてもよい。また、回路パターン上に電子部品が実装されていても良い。
【0007】
本発明において可撓性フイルムとしては、プラスチックフイルムであって、回路パターン製造工程および電子部品実装での熱プロセスに耐えるだけの耐熱性を備えていることが望ましく、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどのフイルムを採用することができる。中でもポリイミドフイルムは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性が優れている点で、液晶ポリマーが好適に採用される。可撓性のガラス繊維補強樹脂板を採用することも可能である。ガラス繊維補強樹脂板の樹脂としては、エポキシ、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、マレイミド、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。
【0008】
可撓性フイルムの厚さは、電子機器の軽量化、小型化、あるいは微細なビアホール形成のためには薄い方が好ましく、一方、機械的強度を確保するためや平坦性を維持するためには厚い方が好ましい点から、7.5μmから125μmの範囲が好ましい。
【0009】
本発明において、回路パターンを形成する方法は特に限定されず、例えば、銅箔などの金属箔を接着剤層で貼り付けて形成することができる他、スパッタやめっき、あるいはこれらの組合せで形成することができる。また、銅などの金属箔の上に可撓性フイルムの原料樹脂あるいはその前駆体を塗布、乾燥、キュアすることで、金属層付き可撓性フイルムを得ることもできる。
【0010】
本発明において補強板として用いられる基板は、ソーダライムガラス、ホウケイ酸系ガラス、石英ガラスなどのガラス類、ステンレススチール、インバー合金、チタンなどの金属、アルミナ、ジルコニア、窒化シリコンなどのセラミックスやガラス繊維補強樹脂板などが採用できる。いずれも線膨張係数や吸湿膨張係数が小さい点で好ましいが、回路パターン製造工程の耐熱性、耐薬品性に優れている点や大面積で表面平滑性が高い基板が安価に入手しやすい点や塑性変形しにくい点でガラス類からなる基板が好ましい。中でもアルミノホウケイ酸塩ガラスに代表されるホウケイ酸系ガラスは、高弾性率でかつ線膨張係数が小さいため特に好ましい。また、有機物層が紫外線照射で接着力、粘着力が減少するタイプのものである場合は、紫外線を通す基板であることが好ましい。特に、具体例は後述するが、プロセス中にフイルム両面に補強板が貼り合わせられた構成をとり、片側の補強板だけを剥離したいときには有機物層が紫外線照射で接着力、粘着力が減少するタイプであり、かつ補強板が紫外線を通す基板であることが好ましい。
【0011】
金属やガラス繊維補強樹脂を補強板に採用する場合は、長尺連続体での製造もできるが、位置精度を確保しやすい点で、本発明の回路基板の製造方法は枚葉式で行うことが好ましい。枚葉とは、長尺連続体でなく、個別のシート状でハンドリングされる状態を言う。
【0012】
補強板に用いられるガラス基板は、ヤング率が小さかったり、厚みが小さいと可撓性フイルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着したときにガラス基板が割れることがある。また、真空吸着・脱着で可撓性フイルムが変形することになり位置精度の確保が難しくなる傾向がある。一方、ガラス基板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる傾向がある。また、ロボット等によるハンドリング時に負荷が大きくなり、素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する傾向がある。この点から、補強板に用いられるガラス基板のヤング率(kg/mm2)と厚さ(mm)の3乗の積が、850kg・mm以上860000kg・mm以下の範囲であることが好ましく、1500kg・mm以上190000kg・mm以下の範囲であることがさらに好ましく、2400kg・mm以上110000kg・mm以下の範囲が特に好ましい。なおガラス基板のヤング率は、JIS R1602によって求められる値とする。
【0013】
補強板に金属基板を用いる場合、金属基板のヤング率が小さかったり、厚みが薄いと可撓性フイルムの膨張力や収縮力で金属基板の反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着できなくなったり、また、金属基板の反りやねじれの分、可撓性フイルムが変形することにより、位置精度の保持が難しくなる。また、金属基板に折れがあると、その時点で不良品になる。一方、金属基板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる。また、ロボット等によるハンドリング時に負荷が大きくなり、素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する。この点から、補強板として用いられる金属基板のヤング率(kg/mm2)と厚さ(mm)の3乗の積は、2kg・mm以上162560kg・mm以下の範囲であることが好ましく、10kg・mm以上30000kg・mm以下の範囲であることがさらに好ましく、15kg・mm以上20500kg・mm以下の範囲であることが特に好ましい。
【0014】
本発明に用いられる有機物層は接着剤または粘着剤からなるものであって、可撓性フイルムを該有機物層を介して補強板に貼り付けて加工後、可撓性フイルムを剥離しうるものであれば特に限定されない。このような接着剤または粘着剤としては、アクリル系またはウレタン系の再剥離粘着剤と呼ばれる粘着剤を挙げることができる。また、分子設計が容易に行えることや耐溶剤性が優れることから、接着剤または粘着剤の主剤と硬化剤を混合する架橋型と呼ばれるものが好ましい。可撓性フイルム加工中は十分な接着力があり、剥離時は容易に剥離でき、可撓性フイルム基板に歪みを生じさせないために、弱粘着と呼ばれる領域の粘着力のものが好ましい。シリコーン樹脂層は離型剤として用いられることがあるが、タック性があるものは本発明において有機物層として使用することができる。その他、タック性があるエポキシ系樹脂層を有機物層として使用することも可能である。
【0015】
本発明は、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備えていることが重要である。さらに、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の可撓性フイルム上に形成された金属からなる回路パターン上に、電子部品が実装されていることが好ましい。有機物層から可撓性フイルムを剥離するとき、可撓性フイルムの端部から徐々に剥離していくと剥離部分は線状となり、可撓性フイルムを有機物層から容易に剥離することができる。一方、電子部品が接続されていると電子部品に可撓性がないため剥離部分は面状となって大きな力が加わり、回路パターンの屈曲や断線等の原因となる可能性がある。したがって有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備えており、電子部品が接続されている回路パターン部分全てに可撓性フイルムとの剥離力が小さい有機物層が形成されていることが好ましい。また、帯の長手方向が可撓性フイルム剥離方向と直角に配置されていることが本発明の効果を高めるために好ましい。一方、電子部品が複数種類搭載されている場合、幅が3mm以下の電子部品であれば可撓性フイルムとの剥離力が大きい有機物層上に搭載されていてもよい。
【0016】
さらに本発明の好ましい態様は、補強板上に有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分が所定の幅をもって帯状に交互に配置されていてもよいし、補強板上の全面に可撓性フイルムとの間の剥離力が大きい有機物層が形成された上に可撓性フイルムとの間の剥離力が小さい有機物層が帯状に所定の間隔を開けて配置されていてもよいし、補強板上の全面に可撓性フイルムとの間の剥離力が小さい有機物層が形成された上に可撓性フイルムとの間の剥離力が大きい有機物層が帯状に所定の間隔を開けて配置されていてもよい。あるいは、補強板上の全面に紫外線硬化型再剥離粘着剤を塗布した後、可撓性フイルムとの間の剥離力を小さくしたい部分にのみに紫外線を照射することにより、該紫外線硬化型再剥離粘着剤の紫外線硬化を行うことで、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい有機物層が帯状に所定の間隔を開けて配置されていてもよい。すなわち、回路パターンを形成する可撓性フイルムと貼り合わされている側の有機物層の表面が、該可撓性フイルムと貼り合わされる時点で、帯状に交互に剥離力の大きい部分と小さい部分で構成されていることが重要である。補強板上に有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分が所定の幅を持って帯状に交互に配置されている場合、二種の帯部分が端部で重なり合っていてもよいし、可撓性フイルムの保持に支障がない範囲で二種の帯部分の間に有機物層がない間隙があってもよい。
【0017】
上記の回路パターンを形成する可撓性フイルムと貼り合わされている側の有機物層の表面形状は平面であることが好ましい。すなわち有機物層の断面形状に有機物層の凹凸による急なテーパーがある場合、有機物層を介して補強板に可撓性フイルムを貼り合わせるときに有機物層のテーパー部で気泡が残留することがある。また、有機物層を介して補強板と可撓性フイルムを貼り合わせる際に、有機物層のテーパー部で可撓性フイルムが伸ばされ、変形が固定されることがある。有機物層の端部のテーパー角は60°以下であることが好ましく、45°以下であることがより好ましい。また、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分が有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分に乗り上げている場合、あるいは、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分が有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分に乗り上げている場合には、乗り上げている側の有機物層の端部のテーパー角は60°以下であることが好ましく、45°以下であることがより好ましい。
【0018】
上記の有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分の幅は限定されない。有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の幅は、該有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の回路パターン上に搭載する電子部品の幅+30mmから電子部品の幅−5mmの幅であることが好ましく、電子部品の幅+20mmから電子部品の幅−3mmの幅であることがより好ましく、電子部品の幅+10mmから電子部品の幅−2mmの幅であることが最も好ましい。搭載する電子部品の幅に対して、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の幅が広すぎると、可撓性フイルムを補強板に固定する力の弱い部分が広くなり、可撓性フイルムの累積精度維持が難しくなる。また、搭載する電子部品の幅に対して、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の幅が狭すぎると、電子部品搭載位置と有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の位置合わせが難しくなるほか、電子部品を搭載した可撓性フイルムを補強板から剥離する際の力を低減できないことがある。
【0019】
また請求項3および4に記載された発明における、有機物層と可撓性フィルムの間の剥離力が小さい部分を形成する具体的なものとしては、回路パターン製造工程および電子部品実装での熱プロセスに耐えるだけの耐熱性を備えていることが望ましく、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどのプラスチックフイルム、あるいは、SUS、アルミニウム、銅などの金属フイルムを採用することができる。中でもポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリフェニレンサルファイドフイルム、ポリイミドフイルム、SUSフイルム、アルミニウムフイルム、銅フイルムは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、フイルムの厚みとしては、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。また、シリコーン樹脂を用いてもよく、好ましい形態の一つである。シリコーン樹脂は離型剤として用いられることがあるが、耐熱性に優れているので好適に採用される。本発明で用いられるシリコーン樹脂としては、Si(OR1)4、R2Si(OR1)3、R2 2Si(OR1)2などで表される珪素化合物が好適に採用される。(ここでR1、R2は炭化水素基を示す。)より具体的には、テトラオキシムシラン、ビニルトリオキシムシランなどが好適に用いられる。また、シリコーン樹脂の厚みとしては、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0020】
本発明において剥離力は、有機物層を介して補強板と貼り合わせた1cm幅の可撓性フイルムを剥離するときの180°方向ピール強度で測定される。剥離力測定用のサンプルには、実際に作製する回路基板用部材と同じ材料を用いて、補強板/有機物層/可撓性フイルムの3層構成で1cm幅のものを作製した。ここで、剥離力を測定するときの剥離速度は300mm/分とした。また、剥離力を測定するときの剥離力測定用のサンプルの温度は、実際の工程中で可撓性フイルムを補強板から剥離するときの回路基板用部材の温度と同じにした。剥離力の測定装置は特に限定されず、強度や伸度の測定などで一般に使用される”テンシロン”が好適に採用できる。本発明における弱粘着領域とは、上記の条件で測定したときの剥離力が0.1g/cmから100g/cmの範囲を言う。
【0021】
接着剤または粘着剤の粘着力を弱粘着と呼ばれる領域に制御するためには、接着剤または粘着剤の主剤と硬化剤の一方あるいは両方を高分子量化することにより、架橋後の流動性を小さくし、接着剤または粘着剤の可撓性フイルムへの投錨性を制御することができる。一方、接着剤または粘着剤の耐熱性を向上するためにも、接着剤または粘着剤の主剤と硬化剤の一方あるいは両方を高分子量化することが好ましい。また、接着剤または粘着剤の主剤の分子鎖に導入する官能基数を増やすことにより硬化剤との架橋部位を増やすことも有効であり、さらに、主剤と硬化剤の混合比を変えることで、剥離力を調整することができ好ましい。さらに、接着剤または粘着剤の可撓性フイルムへの投錨性を制御する方法として、接着剤または粘着剤の厚みを適性化することがあり、これは比較的容易に行え、接着剤または粘着剤の粘着力を弱粘着領域へ制御する点においても有効である。
【0022】
本発明において、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分の剥離力は2g/cm以上100g/cm以下の範囲であることが好ましく、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の剥離力は2g/cm未満であることが好ましい。有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分がともに2g/cm未満であると、回路パターン形成中に可撓性フイルムが有機物層から剥離する可能性がある。また、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分の剥離力が100g/cmを越えると、剥離するときの応力により該可撓性フイルムが変形したり、回路パターンの断線等の原因となる可能性がある。また、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の剥離力が2g/cm以上であると、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の回路パターン上に電子部品を接続した後に、該可撓性フイルムを剥離するときに電子部品の接続部分で大きな力が加わり、可撓性フイルムの折れや破れ、また、回路パターンの屈曲や断線等の原因となる可能性がある。
【0023】
有機物層の厚みは、薄すぎると平面性が悪くなる他、剥離力が大きく低下するために層厚のムラによる剥離力の強度ムラが発生する。一方、厚すぎると接着剤または粘着剤の可撓性フイルムへの投錨性が良くなるために粘着力が強くなりすぎる。有機物層端部での可撓性フイルムの変形を抑制するためには有機物層厚みは薄い方が好ましい。この点から有機物層の厚みは、0.1μmから30μmまでの範囲であることが好ましく、0.3μmから20μmまでの範囲であることがさらに好ましい。有機物層は単一層であっても良いし、異なる組成の有機物層が厚み方向に積層されていても良い。
【0024】
剥離の界面は、補強板と有機物層との界面でも有機物層と可撓性フイルムとの界面でも異なる組成の有機物層の積層界面でも良いが、可撓性フイルムから有機物層を除去する工程が省略できるので、有機物層と可撓性フイルムとの界面で剥離する方が好ましい。
【0025】
補強板と有機物層との接着力を向上させるために、補強板にシランカップリング剤塗布などのプライマー処理を行っても良い。プライマー処理以外に紫外線処理、紫外線オゾン処理などによる洗浄や、ケミカルエッチング処理、サンドブラスト処理あるいは微粒子分散層形成などの表面粗化処理なども好適に用いられる。
【0026】
その他、低温領域で接着力、粘着力が減少するもの、紫外線照射で接着力、粘着力が減少するものや加熱処理で接着力、粘着力が減少するものも好適に用いられる。これらの中でも紫外線照射によるものは、接着力、粘着力の変化が大きく好ましい。紫外線照射で接着力、粘着力が減少するものの例としては、2液架橋型のアクリル系粘着剤が挙げられる。また、低温領域で接着力、粘着力が減少するものの例としては、結晶状態と非結晶状態間を可逆的に変化するアクリル系粘着剤が挙げられる。
【0027】
帯状に配置された有機物層以外に可撓性フイルムの周縁部には、帯状の有機物層と同材料または異種材料の有機物層が形成されていても良い。また、可撓性フイルムの周縁部と補強板とを粘着テープ等で貼り合わせていても良い。
【0028】
本発明に使用する可撓性フイルムには、補強板との貼り付けに先立って、貼り付け面である一方の面に回路パターンが形成されていても良い。この場合、該パターン形成と同時に、もう一方の面に形成される回路パターンとの位置合わせ用マークを形成することが好ましい。貼り合わせ面とは反対側の面に形成する高精細パターンの高精細さを活かすために位置合わせマークを設けて位置合わせすることは高精細パターンの作製に非常に有効である。位置合わせマーク読みとり方法は特に限定されず、例えば、光学的な方法、電気的な方法等を用いることができる。位置合わせマークは、可撓性フイルムを補強板と貼り合わせる際の位置合わせにも利用することができる。位置合わせマークの形状は特に限定されず、露光機などで一般に使用される形状が好適に採用できる。
【0029】
可撓性フイルムを補強板に貼り付けた後に、可撓性フイルムの該貼り付け面とは反対面に形成される回路パターンは、補強板により加工時に生じる可撓性フイルムの変形を防止できるため、特に高精度なパターンを形成することができる。
【0030】
両面配線であることのメリットとしては、スルーホールを介しての配線交差ができ、配線設計の自由度が増すこと、太い配線で接地電位を必要な場所の近傍まで伝搬することで高速動作するLSIのノイズ低減ができること、同様に太い配線で電源電位を必要な場所の近傍まで伝搬することにより、高速スイッチングでも電位の低下を防ぎ、LSIの動作を安定化できること、電磁波シールドとして外部ノイズを遮断することなどが挙げられ、LSIが高速化し、また、多機能化による多ピン化が進む中で非常に重要である。
【0031】
さらに本発明では、可撓性フイルムの両面の加工時に共に補強板を使用し、両面とも特に高精度なパターンを形成することも可能である。例えば、第1の補強板と可撓性フイルムの第2の面とを有機物層を介して貼り合わせて、可撓性フイルムの第1の面に回路パターンを形成してから、第1の面と第2の補強板とを有機物層を介して貼り合わせた後、可撓性フイルムを第1の補強板から剥離し、次いで可撓性フイルムの第2の面に回路パターンを形成してから、可撓性フイルムを第2の補強板から剥離する方法が挙げられ、両面共に高精度の回路パターン加工を実現することができる。
【0032】
本発明により製造した回路基板とICなどの電子部品とを接続する工程は、補強板から回路基板を剥離する工程よりも前にあることが重要である。補強板から回路基板を剥離した後に、回路基板とICなどの電子部品とを接続する場合に比べて、接続時の温度や湿度の条件による可撓性フイルムの寸法変化の影響を受けず良好な接続精度を得ることが容易になる。ただし、複数の電子部品が搭載され、その中で接続端子ピッチが大きい電子部品は補強板から回路基板を剥離した後に、回路基板と該電子部品とを接続しても良い。
【0033】
本発明の回路基板の製造方法の一例を以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
厚さ0.7mmのアルミノホウケイ酸塩ガラスにスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで、シランカップリング剤を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に比較的低粘度のシランカップリング剤の薄層を均一に塗布するためには、スピンコーターの使用が好ましい。シランカップリング剤塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが20nmのシランカップリング剤層を得る。
【0035】
次に上記シランカップリング剤層上に、スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで、可撓性フイルムとの間の剥離力が大きい有機物層として紫外線硬化型再剥離粘着剤を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に比較的粘度が高い粘着剤を均一の厚みに塗布するためには、ダイコーターの使用が好ましい。さらに、紫外線硬化型再剥離粘着剤上にシリコーン樹脂を帯状に塗布する方法としては、ダイコーターから帯状にシリコーン樹脂を押し出して塗布する方法や間欠的にシリコーン樹脂を塗布する方法が挙げられる、また予め、紫外線硬化型再剥離粘着剤上のシリコーン樹脂を塗布しない部分をマスキングしておき、その上からシリコーン樹脂を全面塗布してからマスキングを除去することで、シリコーン樹脂を例えば帯状に形成しても良い。また、帯状に形成するシリコーン樹脂の幅方向断面形状を緩いテーパーにするためには、シリコーン樹脂を塗布するための希釈溶剤添加量を増加することで低粘度化し、塗布後から加熱乾燥や真空乾燥などによる乾燥工程までの間に塗布領域を塗れ広がらせても良し、ダイコーターによる塗布初めと塗布終わり時に、塗布速度を一定にした状態で塗布量を減らしたり、塗布量を一定にした状態で塗布速度を高速化しても良い。
【0036】
紫外線硬化型再剥離粘着剤とシリコーン樹脂を塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが5μmの紫外線硬化型再剥離粘着剤と該紫外線硬化型再剥離粘着剤上に厚みが1μmのシリコーン樹脂を得る。この紫外線硬化型再剥離粘着剤とシリコーン樹脂に、ポリエステルフイルム上にシリコーン樹脂層を設けた空気遮断用フイルムを貼り付けて1週間熟成させる。空気遮断用フイルムを貼り合わせる代わりに、窒素雰囲気中や真空中で保管することもできる。また、紫外線硬化型再剥離粘着剤を長尺フイルム基体に塗布、乾燥後、枚葉基板に転写することも可能である。形成の容易さや剥離界面を可撓性フイルムと紫外線硬化型再剥離粘着剤の間となるよう制御するためには、補強板側に形成されるのが好ましい。また、フイルムに紫外線硬化型再剥離粘着剤を塗布してから乾燥する方法は長尺フイルムに連続塗布でき生産性の点で好ましい。
【0037】
上述の空気遮断用フイルムなどのフイルムに塗布して補強板に転写することも可能である。紫外線硬化型再剥離粘着剤を形成した後に帯状にシリコーン樹脂を塗布しても良いし、紫外線硬化型再剥離粘着剤の熟成後に空気遮断用フイルムを剥離してからシリコーン樹脂を帯状に塗布しても良い。
【0038】
次に上記空気遮断用フイルムを剥がしてポリイミドフイルムを貼り付ける。ポリイミドフイルムの厚さは7.5μmから125μmの範囲が好ましい。前述のように、ポリイミドフイルムの片面または両面に金属層があらかじめ形成されていても良い。ポリイミドフイルムの補強板貼り付け面側に金属層を設けておくと、電磁波遮断用のためのグラウンド層などとして利用することができ好ましい。ポリイミドフイルムは、あらかじめ所定の大きさのカットシートにしておいて貼り付けても良いし、長尺ロールから巻きだしながら、貼り付けと切断をしてもよい。このような貼り付け作業には、ロール式ラミネーターや真空ラミネーターを使用することができる。
【0039】
ポリイミドフイルムをガラス基板に貼り付けた後、紫外線硬化型再剥離粘着剤に紫外線を照射して架橋を進行させることが好ましい。
【0040】
ポリイミドフイルムの貼り合わせ面とは反対側の面にあらかじめ金属層が設けられていない場合は、フルアディティブ法やセミアディティブ法で金属層を形成することができる。
【0041】
フルアディティブ法は、例えば、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面にパラジウム、ニッケルやクロムなどの触媒付与処理をし、乾燥する。ここで言う触媒とは、そのままではめっき成長の核としては働かないが、活性化処理をすることでめっき成長の核となるものである。次いでフォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで塗布して、乾燥する。該フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき層が不要な部分にレジスト層を形成する。この後、触媒の活性化処理をしてから、硫酸銅とホルムアルデヒドの組合せからなる無電解めっき液に、該ポリイミドフイルムを浸漬し、厚さ2μmから20μmの銅めっき層を形成して、回路パターンを得る。
【0042】
セミアディティブ法は、例えば、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面に、クロム、ニッケル、銅またはこれらの合金をスパッタリングし、下地層を形成する。下地層の厚みは、通常、1nmから1000nmの範囲である。下地層の上に銅スパッタ層をさらに50nmから3000nm積層することは、後に続く電解めっきのために十分な導通を確保したり、金属層の接着力向上やピンホール欠陥防止に効果があり好ましい。下地層形成に先立ち、ポリイミドフイルム表面に接着力向上のために、プラズマ処理、逆スパッタ処理、プライマー層塗布、接着剤層塗布が行われることは、適宜用いられる。中でもエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリイミド樹脂系、NBR系などの接着剤層塗布は接着力改善効果が大きく好ましい。これらの処理や塗布は、ガラス基板貼り付け前に実施されても良いし、ガラス基板貼り付け後に実施されても良い。ガラス基板貼り付け前に、長尺のポリイミドフイルムに対してロールツーロールで連続処理されることは、生産性向上が図れ好ましい。このようにして形成した下地層上に、フォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで塗布して、乾燥する。該フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき層が不要な部分にレジスト層を形成する。次いで該下地層を電極として電解めっきをおこなう。電解めっき液としては、硫酸銅めっき液、シアン化銅めっき液、ピロ燐酸銅めっき液などが用いられる。厚さ2μmから20μmの銅めっき層を形成後、さらに必要に応じて金、ニッケル、錫などのめっきを施し、フォトレジストを剥離し、続いてスライトエッチングにて下地層を除去して、回路パターンを得る。
【0043】
上記ガラス基板上の空気遮断用フイルムを剥がして、ポリイミドフイルムをガラス基板に貼り付けた後、上述のセミアディティブ法、フルアディティブ法、もしくはサブトラクティブ法で貼り合わせ面と反対側の面に高精細な回路パターンを形成する。
【0044】
なお、サブトラクティブ法とは、ポリイミドフイルムにベタの金属層が形成されている場合、フォトレジストとエッチング液を使って回路パターンを形成する方法であり、製造プロセスが短く、低コストな方法である。
【0045】
特に高精細な回路パターンを得るためには、セミアディティブ法、フルアディティブ法の採用が好ましい。
【0046】
さらに、ポリイミドフイルムに、接続孔を設けることができる。すなわち、ガラス基板との貼り合わせ面側に設けた金属層との電気的接続を取るビアホールを設けたり、ボールグッリドアレーのボール設置用の孔を設けたりすることができる。接続孔の設け方としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザー孔開けやケミカルエッチングを採用することができる。レーザーエッチングを採用する場合は、エッチングストッパ層として、ポリイミドフイルムのガラス基板貼り付け面側に金属層があることが好ましい。
【0047】
ポリイミドフイルムのケミカルエッチング液としては、ヒドラジン、水酸化カリウム水溶液などを採用することができる。また、ケミカルエッチング用マスクとしては、パターニングされたフォトレジストや金属層が採用できる。電気的接続を取る場合は、接続孔形成後、前述の金属層パターン形成と同時にめっき法で孔内面を導体化することが好ましい。電気的接続をとるための接続孔は、直径が15μmから200μmが好ましい。ボール設置用の孔は、直径が80μmから800μmが好ましい。
【0048】
接続孔を形成するタイミングは限定されないが、ポリイミドフイルムをガラス基板に貼り合わせた後、ポリイミドフイルムの貼り合わせ面の反対面から接続孔を形成することが好ましい。
【0049】
必要に応じて、回路パターン上にソルダーレジスト層を形成する。微細回路パターンに対しては感光性のソルダーレジストの採用が好ましい。スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで回路パターン上に感光性ソルダーレジストを塗布し、乾燥させた後、所定のフォトマスクを介して紫外線露光をし、現像して、ソルダーレジストパターンを得る。次に100℃から200℃でキュアをする。
【0050】
次に、ポリイミドフイルム上の回路パターンへ電子部品を接続する。電子部品との接続の位置精度を保つために、ポリイミドフイルム上の回路パターンへ電子部品を接続後に、該ポリイミドフイルムをガラス基板から剥離することが重要である。電子部品との接続方法としては、例えば、ハンダ接続、異方導電性フイルムによる接続、金属共晶による接続、非導電性接着剤による接続、ワイヤーボンディング接続などが採用できる。
【0051】
次に、回路パターンが形成されたポリイミドフイルムをガラス基板から剥離する。レーザー、高圧水ジェットやカッターなどを用いて、剥離前に個片または個片の集合体に該回路パターン付きポリイミドフイルムを切り分けておくことが、取り扱いが容易になることから好ましい。
【0054】
本発明の製造方法によって得られる回路基板、および補強板上に、紫外線硬化型再剥離粘着剤、少なくとも紫外線硬化型再剥離粘着剤に貼り合わせた面とは反対の面に回路パターンが形成された可撓性フイルムをこの順に積層された回路基板用部材は、電子部品接続や可撓性フイルム剥離工程を経て、電子機器の配線板、ICパッケージ用インターポーザー、ウエハレベルプロバー、ウエハレベルバーンインソケット用基板などに好ましく使用される。回路パターンに抵抗素子や容量素子を入れ込むことは、適宜好ましく用いられる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例においてヤング率は、JIS R1602によって求められる値とした。また、剥離力は、以下の方法で測定した。
【0056】
<剥離力測定方法>
ポリイミドフイルムの剥離力の測定は次の方法で行なった。補強板上に形成した再剥離剤層上にポリイミドフイルムを貼り合わせた後、ポリイミドフイルムを1cm幅に裁断した。TMI社製「テンシロン」を用いて300mm/分の剥離速度で1cm幅のポリイミドフイルムを180゜方向に剥離するときの力を剥離力とした。また、剥離力測定用のサンプルには、実際に作製する回路基板用部材と同じ材料を用いて、補強板/有機物層/可撓性フイルムの3層構成で1cm幅のものを作製した。また、剥離力を測定するときの剥離力測定用のサンプルの温度は、実際の工程中で可撓性フイルムを補強板から剥離するときの回路基板用部材の温度と同じにした。
【0057】
実施例1
金属層接着力向上のための接着剤を以下のようにして用意した。フラスコ内を窒素雰囲気に置換し、N,N−ジメチルアセトアミド228重量部を入れ、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン19.88重量部を溶解した。次いで、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物25.76重量部を加え、窒素雰囲気下で、10℃、1時間撹拌した。続いて50℃で3時間撹拌しながら反応させ、ポリイミド前駆体ワニスからなる接着剤を得た。
【0058】
コンマコーターを用いて、ヤング率930kg/mm2、厚さ25μm、幅300mmの長尺のポリイミドフイルム(”ユーピレックス”宇部興産(株)製)の片面に該接着剤を連続的に塗布した。次いで、80℃で10分間、130℃で10分間、150℃で15分間乾燥し、250℃で5分間キュアした。キュア後の接着剤層の層厚は1μmであった。ポリイミドフイルムはロット違いのもの5点を用意した。
【0059】
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスに、ダイコーターで、紫外線硬化型再剥離粘着剤として紫外線硬化型アクリル系の粘着剤”SKダイン”SW−22(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を50:1で混合したものを、ガラス基板上の全面に塗布し、80℃で2分乾燥した。乾燥後の紫外線硬化型再剥離粘着剤厚みを1μmとした。次いで、紫外線硬化型再剥離粘着剤に、ポリエステルフイルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフイルムからなる空気遮断用フイルムを貼り付けて(アルミノホウケイ酸塩ガラス/紫外線硬化型再剥離粘着剤/シリコーン樹脂層/ポリエステルフイルムの構成)1週間、常温で静置した。
【0060】
次に、空気遮断用フイルムを幅5mmの帯状にそれぞれ55mmの間隔を空けて切断し、幅5mmの帯状に切断された4ヶ所の空気遮断用フイルムを剥離した。さらに、テトラオキシムシランを全面に塗布し、80℃で2分間乾燥した。乾燥後のテトラオキシムシラン厚みを1μmとした。
【0061】
次に、空気遮断用フイルムを剥がしつつ、ガラス基板の紫外線硬化型再剥離粘着剤が形成されている側にロール式ラミネーターでポリイミドフイルムを貼り付けた。その後、ガラス基板側から紫外線を1000mJ/cm2照射し、紫外線硬化型再剥離粘着剤を硬化させた。
【0062】
スパッタにて厚さ5nmのクロム:ニッケル=20:80の合金膜と厚さ200nmの銅膜をこの順に、貼り合わせ面とは反対側の面に設けられた接着剤層上に積層した。続いて、銅膜上にポジ型フォトレジストをスピンコーターで塗布して80℃で10分間乾燥した。次に、フォトレジストをフォトマスクを介して露光後、該フォトレジストを現像して、めっき膜が不要な部分に厚さ10μmのレジスト層を形成した。テスト用フォトマスクパターンは、50μmピッチで240個の接続パッド(幅25μm、長さ80μm)を紫外線硬化型再剥離粘着剤とテトラオキシムシランが形成されている部分に60個を一列として正方形に配置し、それぞれの接続パッドの幅25μmの中心から20μm幅で長さ5mmの配線が正方形の外側に向かって伸びたものを、300mm角内に4行4列に均等配置した。更に、測長用に基板の中心から対角方向に約141mm離して配置した4点(辺に平行方向には互いに200mmずつ離して配置)のマーカーをフォトマスクパターンに設けた。
【0063】
フォトマスクを現像後、120℃で10分間ポストベークした。次いで、銅膜を電極として厚さ5μmの銅層を電解めっきで形成した。電解めっき液は、硫酸銅めっき液とした。その後、フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて過酸化水素−硫酸系水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅膜およびクロム−ニッケル合金膜を除去した。引き続き、銅めっき膜上に、電解めっきで厚さ1μmのニッケル層と厚さ0.2μmの金層をこの順に積層した。ニッケル電解めっきはワット浴にて実施した。金電解めっき液はシアノ金(I)酸カリウムを用いた中性金めっき液とした。かくして金属膜パターンを得た。
【0064】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0065】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
【0066】
ポリイミドフイルムと紫外線硬化型再剥離粘着剤との間の剥離力は5g/cmであった。また、ポリイミドフイルムとテトラオキシムシランとの間の剥離力は1g/cmであった。回路パターン形成中にポリイミドフイルムが紫外線硬化型再剥離粘着剤から剥離することはなかった。次に、端部から徐々にポリイミドフイルムをガラス基板から剥離した。ポリイミドフイルムは、紫外線硬化型再剥離粘着剤との界面で剥離し、カールすることはなかった。また、ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができて、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。
【0067】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、剥離したポリイミドフイルム上の前述した対角方向に本来約283mm離れた2点間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。また、基板から剥離したポリイミドフイルムの平坦性を目視で観察したところ、非常に良好であった。
【0068】
実施例2
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスにダイコーターで、紫外線硬化型再剥離粘着剤に代えてアクリル系の耐熱マスキング用粘着剤EXK02−081(東洋インキ製造(株)製)と硬化剤BHS8515(東洋インキ製造(株)製)を100:15で混合したものを、ガラス基板上の全面に塗布し、100℃で30秒間乾燥し、乾燥後の厚みが1μmの再剥離剤としたこと以外は実施例1と同様にして金属層パターンを得た。
【0069】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0070】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
【0071】
ポリイミドフイルムと耐熱マスキング用粘着剤との間の剥離力は5g/cmであった。また、ポリイミドフイルムとテトラオキシムシランとの間の剥離力は1g/cmであった。回路パターン形成中にポリイミドフイルムがアクリル系の耐熱マスキング用粘着剤から剥離することはなかった。次に、端部から徐々にポリイミドフイルムをガラス基板から剥離した。ポリイミドフイルムは、アクリル系の耐熱マスキング用粘着剤との界面で剥離し、カールすることはなかった。また、ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができて、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。
【0072】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、剥離したポリイミドフイルム上の前述した対角方向に本来約283mm離れた2点間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。また、基板から剥離したポリイミドフイルムの平坦性を目視で観察したところ、非常に良好であった。
【0073】
実施例3
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスに、ダイコーターで、紫外線硬化型再剥離粘着剤として紫外線硬化型アクリル系の粘着剤”SKダイン”SW−22(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を50:1で混合したものを、ガラス基板上の全面に塗布し、80℃で2分乾燥した。乾燥後の厚みが0.5μmの紫外線硬化型再剥離粘着剤としたこと以外は実施例1と同様にして金属層パターンを得た。
【0074】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0075】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
【0076】
ポリイミドフイルムと紫外線硬化型再剥離粘着剤との間の剥離力は5g/cmであった。また、ポリイミドフイルムとテトラオキシムシランとの間の剥離力は1g/cmであった。回路パターン形成中にポリイミドフイルムが紫外線硬化型再剥離粘着剤から剥離することはなかった。次に、端部から徐々にポリイミドフイルムをガラス基板から剥離した。ポリイミドフイルムは、紫外線硬化型再剥離粘着剤との界面で剥離し、カールすることはなかった。また、ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができて、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。
【0077】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、剥離したポリイミドフイルム上の前述した対角方向に本来約283mm離れた2点間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。また、基板から剥離したポリイミドフイルムの平坦性を目視で観察したところ、非常に良好であった。
【0078】
実施例4
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスに、ダイコーターで、紫外線硬化型再剥離粘着剤として紫外線硬化型アクリル系の粘着剤”SKダイン”SW−22(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を50:1で混合したものを、ガラス基板上の全面に塗布し、80℃で2分乾燥した。乾燥後の紫外線硬化型再剥離粘着剤厚みを1μmとした。次いで、紫外線硬化型再剥離粘着剤に、厚みが1μmのポリエステルフイルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフイルムからなる空気遮断用フイルムを貼り付けて(アルミノホウケイ酸塩ガラス/紫外線硬化型再剥離粘着剤/シリコーン樹脂層/ポリエステルフイルムまたはアルミノホウケイ酸塩ガラス/シリコーン樹脂層/ポリエステルフイルムの構成)1週間、常温で静置した。
【0079】
次に、空気遮断用フイルムを幅5mmの帯状にそれぞれ55mmの間隔を空けて切断し、幅5mmの帯状に切断された4ヶ所の空気遮断用フイルムを残し、5mmの帯状以外の空気遮断用フイルムを剥離した。その後、テトラオキシムシランを塗布せず、ガラス基板の紫外線硬化型再剥離粘着剤が形成されている側にロール式ラミネーターでポリイミドフイルムを貼り付けたこと以外は実施例1と同様にして金属層パターンを得た。
【0080】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0081】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
【0082】
ポリイミドフイルムと紫外線硬化型再剥離粘着剤との間の剥離力は5g/cmであった。また、ポリイミドフイルムとポリエステルフイルムとの間の剥離力は0.1g/cm以下であった。回路パターン形成中にポリイミドフイルムが紫外線硬化型再剥離粘着剤から剥離することはなかった。次に、端部から徐々にポリイミドフイルムをガラス基板から剥離した。ポリイミドフイルムは、紫外線硬化型再剥離粘着剤との界面で剥離し、カールすることはなかった。また、ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができて、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。
【0083】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、剥離したポリイミドフイルム上の前述した対角方向に本来約283mm離れた2点間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。また、基板から剥離したポリイミドフイルムの平坦性を目視で観察したところ、非常に良好であった。
【0084】
実施例5
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスに、ダイコーターで、紫外線硬化型再剥離粘着剤として紫外線硬化型アクリル系の粘着剤”SKダイン”SW−22(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を50:1で混合したものを、ガラス基板上の全面に塗布し、80℃で2分乾燥した。乾燥後の紫外線硬化型再剥離粘着剤厚みを1μmとした。次いで、紫外線硬化型再剥離粘着剤に、ポリエステルフイルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフイルムからなる空気遮断用フイルムを貼り付けて(アルミノホウケイ酸塩ガラス/紫外線硬化型再剥離粘着剤/シリコーン樹脂層/ポリエステルフイルムの構成)1週間、常温で静置した。
【0085】
次に、55mmの間隔を空けた幅5mmの帯状の4ヶ所の領域だけに、ガラス基板側から紫外線を1000mJ/cm2照射し、紫外線硬化型再剥離粘着剤を硬化させた。次に、空気遮断用フイルムを剥がしつつ、ガラス基板の紫外線硬化型再剥離粘着剤が形成されている側にロール式ラミネーターでポリイミドフイルムを貼り付けた。その後、ガラス基板側から紫外線を1000mJ/cm2照射し、紫外線硬化型再剥離粘着剤を硬化させ、実施例1と同様にして金属層パターンを得た。
【0086】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0087】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
【0088】
ポリイミドフイルムと貼り合わせ後に紫外線硬化した紫外線硬化型再剥離粘着剤との間の剥離力は5g/cmであった。また、ポリイミドフイルムと貼り合わせ前に紫外線硬化した紫外線硬化型再剥離粘着剤との間の剥離力は1g/cmであった。回路パターン形成中にポリイミドフイルムが紫外線硬化型再剥離粘着剤から剥離することはなかった。次に、端部から徐々にポリイミドフイルムをガラス基板から剥離した。ポリイミドフイルムは、紫外線硬化型再剥離粘着剤との界面で剥離し、カールすることはなかった。また、ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができて、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。
【0089】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、剥離したポリイミドフイルム上の前述した対角方向に本来約283mm離れた2点間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。また、基板から剥離したポリイミドフイルムの平坦性を目視で観察したところ、非常に良好であった。
【0090】
実施例6
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスにダイコーターで、紫外線硬化型再剥離粘着剤に代えてアクリル系の弱粘着性再剥離剤”オリバイン”BPS5227−1(東洋インキ製造(株)製)と硬化剤BXX8134(東洋インキ製造(株)製)を100:2で混合したものを、ガラス基板上の全面に塗布し、100℃で30秒間乾燥し、乾燥後の厚みが1μmの再剥離剤としたこと以外は実施例1と同様にして金属層パターンを得た。
【0091】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0092】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
【0093】
ポリイミドフイルムと弱粘着性再剥離剤との間の剥離力は60g/cmであった。また、ポリイミドフイルムとテトラオキシムシランとの間の剥離力は1g/cmであった。回路パターン形成中にポリイミドフイルムがアクリル系の弱粘着性再剥離剤から剥離することはなかった。次に、端部から徐々にポリイミドフイルムをガラス基板から剥離した。ポリイミドフイルムは、アクリル系の弱粘着性再剥離剤との界面で剥離し、カールすることはなかった。また、ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができて、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。
【0094】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、剥離したポリイミドフイルム上の前述した対角方向に本来約283mm離れた2点間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。また、基板から剥離したポリイミドフイルムの平坦性を目視で観察したところ、非常に良好であった。
【0095】
比較例1
ガラス基板上の全面に紫外線硬化型再剥離粘着剤を形成し、該紫外線硬化型再剥離粘着剤上にはテトラオキシムシランを塗布しなかったこと以外は実施例1と同様の方法でポリイミドフイルム上に金属層パターンを得た。
【0096】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0097】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。モデルICチップのバンプと回路パターン上の接続パッドの位置合わせは良好であった。
【0098】
ICチップが搭載されていない部分では、基板からのポリイミドフイルムの剥離力は5g/cmであった。しかし、ICチップが搭載されている部分では、ガラスからのポリイミドフイルムの剥離力が大きくなり、ポリイミド上の回路パターンの一部に折が見られ信頼性の点で問題があった。
【0099】
比較例2
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスに、ダイコーターで、紫外線硬化型再剥離粘着剤として紫外線硬化型アクリル系の粘着剤”SKダイン”SW−22(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を50:1で混合したものを、ガラス基板上へ、粘着剤が幅55mmの帯状になるよう、5mmの間隔を空けて5ヶ所に塗布し、80℃で2分乾燥した。乾燥後の紫外線硬化型再剥離粘着剤厚みを1μmとした。次いで、紫外線硬化型再剥離粘着剤に、ポリエステルフイルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフイルムからなる空気遮断用フイルムを貼り付けて(アルミノホウケイ酸塩ガラス/紫外線硬化型再剥離粘着剤/シリコーン樹脂層/ポリエステルフイルムの部分とアルミノホウケイ酸塩ガラス/シリコーン樹脂層/ポリエステルフイルムの部分を有する構成)1週間、常温で静置した。
【0100】
次に、空気遮断用フイルムを剥がしつつ、ガラス基板の紫外線硬化型再剥離粘着剤が形成されている側にロール式ラミネーターでポリイミドフイルムを貼り付けた。その後、ガラス基板側から紫外線を1000mJ/cm2照射し、紫外線硬化型再剥離粘着剤を硬化させたこと以外は実施例1と同様にして金属層パターンを得た。
【0101】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は保持されていた。
【0102】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
【0103】
ポリイミドフイルムと紫外線硬化型再剥離粘着剤との間の剥離力は5g/cmであった。また、ポリイミドフイルムとガラス基板との間の剥離力は0.1g/cm以下であった。回路パターン形成中にポリイミドフイルムが紫外線硬化型再剥離粘着剤から剥離することはなかった。次に、端部から徐々にポリイミドフイルムをガラス基板から剥離した。ポリイミドフイルムは、紫外線硬化型再剥離粘着剤との界面で剥離し、カールすることはなかった。また、ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができて、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。しかし、ガラス基板とポリイミドフイルムの2種類のみが存在している部分において、ウエット工程でガラス基板とポリイミドフイルムの間に薬液が入り込み、後の工程への不純物の持ち込みによるめっき品質の不具合や加熱時のふくれが発生することがあった。また、基板から剥離したポリイミドフイルムの平坦性を目視で観察したところ、加熱時のふくれが発生したためにポリイミドフイルムが変形し、永久歪みが残ったものがあった。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、加工工程での熱処理プロセス、湿式プロセスによる膨張と収縮、あるいは引っ張りや捻れなどの外力による可撓性フイルムの変形を抑制して、より設計値に近い微細加工を可能とし、片面に特に高精度な回路パターンを形成した回路基板を製造することができる。さらに、ICなどの電子部品を接続する際の電極パッドと回路基板パターンとの位置合わせ精度に係わる累積精度を改善し、その後電子部品を搭載した可撓性フイルムを補強板から剥離するときの可撓性フイルムの変形を容易に防止することができる。
Claims (6)
- 少なくとも補強板、有機物層、可撓性フイルム、回路パターンをこの順に積層した回路基板用部材であって、(a)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、(b)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備えており、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の可撓性フイルム上に形成された回路パターン上に、電子部品が実装されていることを特徴とする回路基板用部材。
- 有機物層が紫外線硬化型再剥離粘着剤からなり、その表面形状が平面であることを特徴とする請求項1記載の回路基板用部材。
- (a)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、(b)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備える方法が、可撓性フイルムと有機物層を貼り合わせる前に剥離力を小さくしたい部分にのみ紫外線を照射するものであることを特徴とする請求項2記載の回路基板用部材。
- 少なくとも補強板、有機物層、可撓性フイルム、回路パターンをこの順に積層した回路基板用部材であって、(a)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、(b)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備えて回路基板用部材を形成した後、該可撓性フイルム上に回路パターンを形成し、(b)の部分の回路パターン上に電子部品を実装した後、可撓性フイルムを補強板から分離させることを特徴とした回路基板の製造方法。
- 有機物層が紫外線硬化型再剥離粘着剤からなり、その表面形状が平面であることを特徴とする請求項4記載の回路基板の製造方法。
- (a)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と、(b)有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分とを交互に備える方法が、可撓性フイルムと有機物層を貼り合わせる前に剥離力を小さくしたい部分にのみ紫外線を照射するものであることを特徴とする請求項5記載の回路基板の製造方法。
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