JP2007192903A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐久性が高く、繰り返し使用時に優れた安定性を有し、かつゴーストによる画像劣化がなく、安定して高画質な画像を得られる電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】 導電性支持体上に電荷発生層、正孔輸送層を有する電子写真感光体において、該正孔輸送層が特定の構造単位を含有するポリアリレート樹脂および正孔輸送物質を含有し、かつ該電荷発生層が電子輸送物質を含有する構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 導電性支持体上に電荷発生層、正孔輸送層を有する電子写真感光体において、該正孔輸送層が特定の構造単位を含有するポリアリレート樹脂および正孔輸送物質を含有し、かつ該電荷発生層が電子輸送物質を含有する構成とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子写真感光体ならびに電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真装置に搭載される電子写真感光体に用いられる光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)としては、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機光導電性物質があるが、近年では、無公害性、高生産性および材料設計の容易性などの観点から有機光導電性物質の開発が盛んに行われている。
有機光導電性物質を用いた電子写真感光体(有機電子写真感光体)は、有機光導電性物質や結着樹脂を溶媒に溶解・分散させて得られる塗布液を支持体上に塗布し、これを乾燥させることによって形成された感光層を有するものが通常である。また、感光層の層構成については、支持体側から電荷発生層、正孔輸送層の順に積層してなる積層型(順層型)のものが一般的である。
しかしながら、今日の電子写真技術の発展は著しく、電子写真感光体に求められる特性に対しても非常に高度な技術が要求されており、電子写真感光体として必要とされる特性のすべてを高い次元で満足しているわけではない。特に、出力画像の画質や耐久性のさらなる向上が望まれている。
耐久性の向上については、電子写真感光体の正孔輸送層用の結着樹脂として、従来、ポリカーボネート樹脂がよく使用されてきたが、近年、正孔輸送層用の結着樹脂として、ポリカーボネート樹脂よりも機械的強度が高いポリアリレート樹脂を使用することで、電子写真感光体の耐久性のさらに向上させる提案がなされている(特許文献1、特許文献2など)。ポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸ポリエステル樹脂の1種である。
高画質化については、近年、カラー化により、写真に代表されるハーフトーン画像やベタ画像が多くなっており、それらの画像品質は年々高まる一方である。特に、画像1枚の中で光が照射された部分が次回転目にハーフトーン画像において前記光照射部分のみの濃度が濃くなる現象、所謂ポジゴースト画像、逆に前記部分の濃度が薄くなる、所謂ネガゴーストなどに対する許容範囲が、白黒プリンターや白黒複写機の許容範囲に比べると格段に厳しくなってきている。これらのゴースト画像は、高感度な電荷発生材料を用いることにより、キャリアーの絶対数が多く、ホールが電荷輸送層中に注入した後の電子が電荷発生層中に残りやすく、メモリーとなるためと考えられ、近年の高感度電荷発生材料に特に顕著な現象と考えられている。一方、低コスト化や小型化も年々進化していき、クリーナーレスや前露光レスなどのレス化技術も要求されることが多くなってきている。特に、ゴースト画像に効果のある前露光に関しては、白黒レーザープリンターや白黒複写機においては、現在でも既に搭載されていないことが多く、カラープリンターやカラー複写機においても前露光を搭載しないものが増えてくることは容易に想像できることである。したがって、前露光のないカラー機におけるゴースト画像の良化は、非常に難易度の高い技術が必要となる。
特許文献3にはオキシチタニウムフタロシアニンを用いた電荷発生層にアクセプター化合物を含有することによって残留電位の減少とゴーストの低減することが開示されている。その他、電荷発生層に電子輸送材料を添加することが、特許文献4、特許文献5などに開示されている。
特開平10−39521号公報
特開平10−20514号公報
特開平7−104495号公報
特開平2−136860号公報
特開平2−146048号公報
特許文献1に開示されているポリアリレート樹脂、あるいは特許文献2で開示されているポリアリレート樹脂は、ポリカーボネート樹脂に比べ機械的強度が高く、これらを電子写真感光体の表面層に用いた場合には、耐久性の高い電子写真感光体とすることができるものの、電子写真感光体の耐久性の更なる向上のために、さらに高強度な正孔輸送層を作製可能な樹脂が望まれている。
特許文献3では感光体を+500Vに帯電した状態で5時間放置し、現象を顕著にした後、前露光のある条件においてゴースト評価を行っており、どちらかというと+帯電メモリーによるゴーストの効果を示しており、通常のゴーストとは異なる。
特許文献4や特許文献5では、正孔輸送層にポリアリレート樹脂を含有し、電荷発生層に電子輸送材料を含有している例を開示しているが、ゴースト抑制には十分ではなく、機械的強度の点でも電子写真感光体に対する要求を満たすには、十分ではなかった。
本発明の目的は、耐久性が高く、繰り返し使用時に優れた安定性を有し、かつゴーストによる画像劣化がなく、安定して高画質な画像を得られる電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
導電性支持体上に電荷発生層、正孔輸送層を有する電子写真感光体において、該正孔輸送層が少なくとも下記式(1)で示される構造単位を含有するポリアリレート樹脂、及び正孔輸送物質を含有し、かつ該電荷発生層が電子輸送物質を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
本発明によれば、長期にわたる繰り返し使用時においても優れた安定性を有し、かつゴーストによる画像劣化もなく、安定的に良好な画像を提供できる電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体は、上述のとおり、導電性支持体上に電荷発生層、正孔輸送層を有する電子写真感光体において、該正孔輸送層が少なくとも下記式(1)で示される構造単位を含有するポリアリレート樹脂、及び正孔輸送物質を含有し、かつ該電荷発生層が電子輸送物質、および電荷発生物質を含有することを特徴とする。
上記式(1)中のR11〜R28のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基が好ましい。
上記式(2)中のR31およびR32のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、フッ化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
また、上記式(2)中のR31とR32とが結合して形成されるシクロアルキリデン基としては、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基などが挙げられるが、これらの中でも、シクロヘキシリデン基が好ましい。
以下に、上記式(1)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
また、本発明の電子写真感光体の感光層に用いられる上記式(1)で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂は、上記式(1)で示される繰り返し構造式と、上記式(1)の中で選択された繰り返し構造式と異なる上記式(1)で示される繰り返し構造単位、あるいは他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位との共重合としても使用可能である。その際、重合形態はブロック共重合、ランダム共重合といった重合形態でもよく任意であるが、好ましくはランダム共重合形態である。
また、本発明中での、上記式(1)で示される繰り返し構造単位と、上記式(1)のなかで選択された繰り返し構造単位と異なる上記式(1)で示される繰り返し構造単位、あるいは他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位を有する共重合ポリアリレート樹脂のモル比換算での共重合比がA:Bという記載は、上記式(1)に示されるジカルボン酸エステル部位を(1−C)、ビスフェノール部位を(1−B)、上記式(1)のなかで選択された繰り返し構造式と異なる上記式(1)で示される繰り返し構造単位、あるいは他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位に示されるジカルボン酸エステル部位を(3−C)、ビスフェノール部位を(3−B)とした場合、モル比換算でのジカルボン酸エステル部位(1−C):(3−C)がモル比換算A:Bであり、モル比換算でのビスフェノール部位(1−B):(3−B)がモル比A:Bであることを示している。
前記の他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位に用いられる2価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルエーテルジカルボン酸といった芳香族二価カルボン酸類、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカニ酸といった直鎖脂肪族二価カルボン酸類、シクロへキシレンジカルボン酸といった環状脂肪族二価カルボン酸類などが挙げられるが、なかでもテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましい。2価の有機残基としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)や2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)といったビスフェノール類、4,4’ヒドロキシビフェニルといったビフェノール類などが挙げられる。他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位の構造例を示す。
一方、上記式(1)で示される繰り返し構造式で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂の分子量が大きすぎると、これを含有する塗布液の塗工性が悪くなる場合があるため、上記式(1)で示される繰り返し構造式で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂の重量平均分子量は300000以下であることが好ましく、特には200000以下であることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層、または電子写真感光体用塗布液に用いられる上記式(1)で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂は、ジカルボン酸エステルと水酸基を有する化合物とのエステル交換法によって合成することが可能であり、また、ジカルボン酸ハライドなどの2価の酸ハロゲン化物とビスフェノールなどの水酸基を有する化合物との重合反応によっても合成することも可能であるが、重量平均分子量が上記範囲のものを製造するには、後者の合成方法によって合成することが好ましい。
(合成例1)
以下に、合成例として、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で100%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であるポリアリレート樹脂の合成方法を示す。
以下に、合成例として、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で100%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であるポリアリレート樹脂の合成方法を示す。
下記式(1−2−1)
また、上記酸クロライド溶液とは別に、下記式(1−2−2)
次に、酸クロライド溶液を2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン溶液に攪拌しながら加え、重合を開始した。重合は、反応温度を25℃以下に保ち、攪拌しながら、3時間行った。
その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水での洗浄を繰り返した。
洗浄後、攪拌下のメタノールに滴下して、重合物を沈殿させ、この重合物を真空乾燥させて、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であるポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂の重量平均分子量は、130000であった。
(合成例2)
以下に、合成例として、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で80%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であり、20%が上記式(3−9)で示される繰り返し単位であるポリアリレート樹脂の合成方法を示す。
以下に、合成例として、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で80%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であり、20%が上記式(3−9)で示される繰り返し単位であるポリアリレート樹脂の合成方法を示す。
下記式(1−2−1)
また、上記酸クロライド溶液とは別に、下記式(1−2−2)
次に、酸クロライド溶液を2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンとテトラメチルビフェノール混合溶液に攪拌しながら加え、重合を開始した。重合は、反応温度を25℃以下に保ち、攪拌しながら、3時間行った。
その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水での洗浄を繰り返した。
洗浄後、攪拌下のメタノールに滴下して、重合物を沈殿させ、この重合物を真空乾燥させて、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で80%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であり、20%が上記式(3−9)で示される繰り返し単位であるポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂の重量平均分子量は、130000であった。
本発明において、樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定されたものである。
すなわち、測定対象樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとよく混合し(測定対象樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。
その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルターマイショリディスクH−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)用試料とした。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、GPC用試料を10μl注入して、測定対象樹脂の重量平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel(登録商標) SuperHM−Mを用いた。
測定対象樹脂の重量平均分子量の測定にあたっては、測定対象樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が800〜2000000のものを10点用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
電荷発生層に含有させる電子輸送物質としては、ジフェノキノン類、多環キノン類などのキノン類、カルバゾール類、フルオレン系化合物類、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミダゾール誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、などが使用できるが、これらに限定されるものではない。その中でも、下記式(4)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物、下記式(5)で示される構造を有するフェナントレン化合物、下記式(6)で示される構造を有するフェナントロリン化合物、または、下記式(7)で示される構造を有するアセナフテン化合物の中より選択されることがゴースト抑制効果の点で好ましい。
上記式(4)〜(7)のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などの鎖状のアルキル基や、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などの環状のアルキル基が挙げられる。上記のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。上記のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基などが挙げられる。上記式(4)〜(7)のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。上記式(4)〜(7)の1価の複素環基としては、ヒリジル基、フラル基などが挙げられる。上記のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。上記式(4)〜(7)のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記式(4)〜(7)各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのアルキル基や、ビニル基、アリル基などのアルケニル基や、ニトロ基や、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、パーフルオロアルキル基などのハロゲン化アルキル基や、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基などのアリール基や、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基や、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基などが挙げられる。
上記式(4)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物の中でも、溶剤への溶解性の観点から、構造が非対称形の化合物が好ましい(例えばR101≠R104)。また、上記式(4)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物の中でも、R101やR104がカルボン酸基やエステル基を有さない基であることが好ましい。
以下に、上記式(4)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物の具体例を示す。
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体、該支持体上に設けられた電荷発生物質および結着樹脂を含有する電荷発生層、ならびに、正孔輸送物質を含有する正孔輸送層を有する電子写真感光体である。
支持体としては、導電性を有していればよく(導電性支持体)、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製支持体やプラスチック(ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂やポリイミド樹脂など)製支持体やガラス製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体などを用いることもできる。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状などが挙げられるが、円筒状が好ましい。
また、支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
支持体と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)または後述の中間層との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、金属粒子、金属酸化物粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。
また、支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理(ホーニング処理やブラスト処理など)、アルマイト処理などを施してもよいし、アルカリリン酸塩やリン酸やタンニン酸を主成分とする酸性水溶液に金属塩の化合物またはフッ素化合物の金属塩を溶解してなる溶液で化学処理を施してもよい。
導電層の膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には2〜20μmであることがより好ましい。
また、支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。
中間層は、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂などの樹脂や、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。
中間層の膜厚は0.05〜5μmであることが好ましく、特には0.3〜1μmであることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩、チアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記の各種電荷発生物質の中でも、高感度である反面、ゴースト現象が発生しやすく、本発明がより有効に作用するという点で、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましく、特にはフタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料とその他の電荷発生物質とを併用する場合は、フタロシアニン顔料が電荷発生物質全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
フタロシアニン顔料の中でも、金属フタロシアニン顔料が好ましく、特には、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンがより好ましく、その中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが特に好ましい。
オキシチタニウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶が好ましい。
クロロガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の6.8°、17.3°、23.6°および26.9°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.7〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°および28.8°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
ジクロロスズフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.3°、12.2°、13.7°、15.9°、18.9°および28.2°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.5、11.2°、14.5°および27.2°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.7°、9.9°、10.9°、13.1°、15.2°、16.3°、17.4°、21.9°および25.5°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.2°、12.2°、13.4°、14.6°、17.0°および25.3°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶が好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
電荷発生物質の粒径は0.5μm以下であることが好ましく、特には0.3μm以下であることがより好ましく、さらには0.01〜0.2μmであることがより一層好ましい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、セルロース樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、メラミン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルメタクリレート樹脂、ポリビニルアクリレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ブチラール樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
本発明においては、電子写真感光体の電荷発生層に電子輸送物質を含有させることを特徴としている。
このような電荷発生層は、あらかじめ電荷発生物質、結着樹脂および溶剤を含有させた溶液に電子輸送物質(好ましくは該結着樹脂に対して15〜120質量%、さらに好ましくは51〜80質量%)添加することによって電荷発生層用塗布液を調製し、この電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷発生物質、結着樹脂および溶剤を含有する溶液は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質や電子輸送物質の溶解性や分散安定性の観点から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
本発明の電子写真感光体に用いられる正孔輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。これら正孔輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
正孔輸送層には、少なくとも本発明のポリアリレート樹脂を含有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、以下に例示する他の樹脂を併用することもできる。
その場合は、正孔輸送層における本発明のポリアリレート樹脂の割合は、正孔輸送層に含有される結着樹脂の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。さらには70重量%以上であることが好ましい。併用可能な樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
正孔輸送層は、正孔輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる正孔輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。正孔輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:3(質量比)の範囲が好ましい。
正孔輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶剤、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、クロロホルムなどのハロゲン原子で置換された炭化水素溶剤などが用いられる。これら溶剤は、単独で使用しても良いが、2種類以上を混合して使用しても良い。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤や芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性などの観点から好ましい。
正孔輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜35μmであることがより好ましい。
また、正孔輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
図1に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図1において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図2に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、「Mw」は「重量平均分子量」を意味する。
(実施例1)
熱間押し出しにより得たA3003(JIS)の外径30.5mm、内径28.5mm、長さ260.5mmアルミニウム素管(ED管)を支持体とした。
熱間押し出しにより得たA3003(JIS)の外径30.5mm、内径28.5mm、長さ260.5mmアルミニウム素管(ED管)を支持体とした。
次に、酸化スズで形成された被覆層を有する硫酸バリウム粒子(被覆率:50質量%、粉体比抵抗:700Ω・cm)120部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:ブライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)70部、および、2−メトキシ−1−プロパノール100部を、ボールミル装置で20時間分散することによって、導電層用塗布液を調製した(塗布液中の硫酸バリウム粒子の平均粒径は0.22μm)。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを30分間140℃で硬化(熱硬化)させることによって、膜厚が10μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.6μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン(電荷発生物質)20部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業(株)製)10部、ならびに、シクロヘキサノン350部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で3時間分散し、酢酸エチル1200部を加え(このときの電荷発生物質のCAPA−700(堀場製作所(株)製)で測定した分散粒径は0.15μm。CAPAは登録商標)、これに上記式(4−36)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を6部溶解させることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(8)で示される構造を有する化合物(正孔輸送物質)7部、
この正孔輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを1時間120℃で乾燥させることによって、膜厚が18μmの正孔輸送層を形成した。
このようにして、支持体、導電層、中間層、電荷発生層および正孔輸送層をこの順に有し、該正孔輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
評価は、ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンター「カラーレーザージェット4600」の改造機(プロセススピード:100mm/s、暗部電位:−700Vに設定)で行なった。このレーザービームプリンターの帯電手段は、帯電ローラーを備えた接触帯電手段であり、帯電ローラーには直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される方式である。露光光(画像露光光)の光量が可変となるようにした。前露光はOFFにした。まず、初期電位を測定した。感光体の表面電位は、LBP用カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック社製)を装着し、表面電位計(model344:トレック社製)を使用して測定した。暗部電位Vd=−700Vとしたときの明部電位Vlを測定した。また、耐久性の評価として、A4サイズの普通紙を1枚複写ごとに1度停止する間欠モードにて5000枚の複写を行い、5000枚の画像出力後、電子写真感光体の表面の初期からの削れ量、および5000枚の画像出力後の明部電位Vlについて測定し、5000枚の画像出力前と出力後の明部電位Vlの変化量ΔVlの評価を行った。その際の膜厚の測定は、フィッシャー(株)製膜厚測定機 フィッシャーMMS 渦電流法プローブEAW3.3で行った。
ゴーストの評価は画像濃度4%画像を3000枚出力直後、ゴースト用パターンを用いて評価を行った。
・評価用の画像パターン
評価用の画像パターンとして、図2に示すゴースト用パターンを用意した。図2中、201の部分(黒塗り長方形)はベタ黒、202の部分はベタ白、203の部分はベタ黒201に起因するゴーストが出現し得る部分、204はハーフトーン(図3に示す1ドット桂馬パターン)の部分である。マゼンタ、シアン、イエロー、黒のそれぞれ単色で作製した。
評価用の画像パターンとして、図2に示すゴースト用パターンを用意した。図2中、201の部分(黒塗り長方形)はベタ黒、202の部分はベタ白、203の部分はベタ黒201に起因するゴーストが出現し得る部分、204はハーフトーン(図3に示す1ドット桂馬パターン)の部分である。マゼンタ、シアン、イエロー、黒のそれぞれ単色で作製した。
まず、1枚目にベタ白画像を出力し、次に、上記のゴースト用パターンを連続5枚出力し、次に、ベタ黒画像を1枚出力した後、再度、上記のゴースト用パターンを連続5枚出力した。このように、ゴースト用パターンは計10枚である。
ゴースト画像の評価は、1ドットを桂馬パターンで印字した画像濃度とゴースト部の画像濃度との濃度差を、分光濃度計X−Rite(登録商標)504/508(X−Rite(株)製)で、1枚のゴースト画像で10点測定し、それら10点の平均をとり1枚の結果とし、前述の10枚のゴースト画像すべてを同様に測定した。それらの平均値を求めた。この方法で、他の3色も同様に行い、それらの値の平均値で評価を行った。各色の測定結果は、分光濃度計X−Riteのマゼンタ、シアン、イエロー、黒のそれぞれの色の結果が表示されるが、画像の色と同じ色の値を測定値としている。また、この濃度差は、値が小さいほど、良好であることを意味する。電荷発生層に使用した電子輸送物質および本発明のポリアリレート樹脂の構造を表1に、評価結果を表2に示す。
(実施例2〜5)
実施例1において、電荷発生層に含有する電子輸送材料6部を表1に示すとおりの化合物6部にし、正孔輸送層に含有されるポリアリレート樹脂を表1に示すとおりにした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、電荷発生層に含有する電子輸送材料6部を表1に示すとおりの化合物6部にし、正孔輸送層に含有されるポリアリレート樹脂を表1に示すとおりにした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例1において、正孔輸送層に含有されるポリアリレート樹脂を合成例2の手法で作製した樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、正孔輸送層に含有されるポリアリレート樹脂を合成例2の手法で作製した樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
(実施例7〜13)
実施例1において、電荷発生層に含有する電子輸送材料6部を表1に示すとおりの化合物6部にし、正孔輸送層に含有されるポリアリレート樹脂を合成例2の手法で繰り返し構造単位を表1に示すとおりにして作製した樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、電荷発生層に含有する電子輸送材料6部を表1に示すとおりの化合物6部にし、正孔輸送層に含有されるポリアリレート樹脂を合成例2の手法で繰り返し構造単位を表1に示すとおりにして作製した樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
表1に示される化合物(E−1)、(E−2)、(E−3)は下記式で示される。
実施例1において、電荷発生層に用いた上記式(4−36)で示される構造を有する化合物6部を上記式(4−34)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物6部に変更し、正孔輸送層に含有される樹脂を上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(Mw:130000)8部および下記構造式(10)で示されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)2部を混合して用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、電荷発生層に用いた上記式(4−36)で示される構造を有する化合物6部を上記式(5−8)で示される構造を有するフェナントレン化合物6部に変更し、正孔輸送層に含有される樹脂を上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(Mw:130000)8部および上記構造式(3−2)および(3−13)の5:5の共重合ポリアリレート2部を混合して用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、電荷発生層に用いた上記式(4−36)で示される構造を有する化合物6部を上記式(E−1)で示される構造を有する化合物6部に変更し、樹脂を(3−1)で示されるポリアリレート樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、電荷発生層に用いた上記式(4−36)で示される構造を有する化合物6部を上記式(E−1)で示される構造を有する化合物6部に変更し、樹脂を(3−1)で示されるポリアリレート樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例9において、ポリアリレート樹脂を構成する繰り返し構造単位を(1−1)で示される構造を用いる代わりに、(3−1)で示される繰り返し構造単位を用いた以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例9において、ポリアリレート樹脂を構成する繰り返し構造単位を(1−1)で示される構造を用いる代わりに、(3−1)で示される繰り返し構造単位を用いた以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例11において、電荷発生層に上記式(E−1)で示される構造を有する化合物を用いなかった以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例11において、電荷発生層に上記式(E−1)で示される構造を有する化合物を用いなかった以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例11において、中間層用塗布液中に上記式(E−1)で示される化合物を1部含有させ、この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、電荷発生層に上記式(E−1)で示される構造を有する化合物を用いなかった以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例11において、中間層用塗布液中に上記式(E−1)で示される化合物を1部含有させ、この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、電荷発生層に上記式(E−1)で示される構造を有する化合物を用いなかった以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
本発明により、耐久性が高く、繰り返し使用時においても優れた安定性を有し、かつゴーストによる画像劣化もなく、安定的に良好な画像を提供できる電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することが可能となった。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材
201 ベタ黒
202 ベタ白
203 ベタ黒201に起因するゴーストが出現し得る部分
204 ハーフトーン(1ドット桂馬パターン)
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材
201 ベタ黒
202 ベタ白
203 ベタ黒201に起因するゴーストが出現し得る部分
204 ハーフトーン(1ドット桂馬パターン)
Claims (9)
- 導電性支持体上に電荷発生層、正孔輸送層を有する電子写真感光体において、該正孔輸送層が少なくとも下記式(1)で示される構造単位を含有するポリアリレート樹脂、および、正孔輸送物質を含有し、かつ該電荷発生層が電子輸送物質、および電荷発生物質を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 前記ポリアリレート樹脂を構成する一般式(1)で示される構造単位が全ポリアリレート樹脂の全構成単位中、モル比換算で80−100%であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1に記載の電子輸送物質が、下記構造式(4)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物である請求項1または請求項2のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体の感光層が導電性支持体側から電子輸送物質と電荷発生物質を含有する電荷発生層、前記式(1)で示される構造単位を含有するポリアリレート樹脂および正孔輸送物質を含有する正孔輸送層の順に積層された、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電子写真感光体、および、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも1つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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JP2006008888A JP2007192903A (ja) | 2006-01-17 | 2006-01-17 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および電子写真装置 |
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2006
- 2006-01-17 JP JP2006008888A patent/JP2007192903A/ja not_active Withdrawn
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