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JP2007191578A - 表面改質組成物 - Google Patents

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JP2007191578A JP2006011084A JP2006011084A JP2007191578A JP 2007191578 A JP2007191578 A JP 2007191578A JP 2006011084 A JP2006011084 A JP 2006011084A JP 2006011084 A JP2006011084 A JP 2006011084A JP 2007191578 A JP2007191578 A JP 2007191578A
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silane
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昭信 平間
Junji Kato
淳司 加藤
Kiyoshi Okino
喜佳 沖野
Tamaki Wada
環 和田
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Kowa Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】コンクリート表面における樹脂光沢の発生や着色を防止し、コンクリート本来の風合いや美観が損なわれることがない表面改質組成物を提供する。
【解決手段】表面改質組成物は、水にアルキルアルコキシシラン11を混入した第1溶液と、水にアクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂の少なくとも1種類の合成樹脂12を混入した第2溶液とを混合した混合液である。混合液から固形分換算したアルキルアルコキシシラン11と混合液から固形分換算した合成樹脂12との混合比率は、アルキルアルコキシシラン100重量部に対して合成樹脂12が10重量部以上25重量部以下の範囲にある。
【選択図】図4

Description

本発明は、セメント硬化物の改質に使用する表面改質組成物に関する。
アクリル系合成樹脂エマルジョンを固形分換算で100重量部に対し、シラン系浸透性吸水防止剤を固形分換算で30〜400重量部と、有機溶剤を5〜50重量部とを含有する浸透性吸水防止剤含有組成物がある(特許文献1参照)。有機溶剤は、溶解性パラメータ(SP値)が8.5以上、かつ、水に対する溶解度が20wt%以上である。この組成物は、セメント硬化物の表面に塗布することで、硬化物内部における防水層の形成と、硬化物表面を被覆する被膜の形成とを同時に達成することができる。
特開2000−319474号公報
前記公報に開示の浸透性吸水防止剤含有組成物において、それに含まれるアクリル系合成樹脂の混合比率が高いと、セメント硬化物の表面に塗布された組成物が乾燥したときに、乾燥した合成樹脂によって硬化物の表面全域に厚みの厚い被膜が形成されるから、硬化物表面に樹脂光沢が発生し、セメント硬化物本来の風合いが損なわれる場合がある。また、乾燥した組成物が乳白色や黒色を呈すると、硬化物表面が組成物によって着色され、セメント硬化物本来の美観が損なわれる場合がある。さらに、合成樹脂が形成する被膜の厚みが厚いと、組成物の乾燥後に再び組成物を塗布したときに、被膜のぬれ性障害のために組成物が被膜に弾かれて馴染まず、組成物の乾燥後にさらに組成物を上塗りすることができない場合がある。
本発明の目的は、セメント硬化物表面における樹脂光沢の発生やセメント硬化物の着色を防止し、セメント硬化物本来の風合いや美観が損なわれることがない表面改質組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、乾燥後の2回以上の上塗りが可能な表面改質組成物を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、セメント硬化物の表面に塗布する表面改質組成物である。
前記前提における本発明の特徴は、表面改質組成物が、所定の第1溶媒にアルキルアルコキシシランを混入した第1溶液と、所定の第2溶媒にアクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂のうちから選択された少なくとも1種類の合成樹脂を混入した第2溶液とを混合した混合液であることにある。
本発明の一例として、第1溶液と第2溶液とを混合した混合液から固形分換算したアルキルアルコキシシランと混合液から固形分換算した合成樹脂との混合比率は、アルキルアルコキシシラン100重量部に対して合成樹脂が10重量部以上25重量部以下の範囲にある。
本発明の他の一例は、アルキルアルコキシシランが、炭素原子数3〜12のアルキル基を有するシランの中から選択された1種類または数種類を混合した混合物である。
本発明にかかる表面改質組成物によれば、それがセメント硬化物の表面に塗布された後に乾燥すると、組成物が無色透明を呈するとともに、組成物に含まれる合成樹脂がセメント硬化物の表面を被覆する被膜を形成する。表面改質組成物は、合成樹脂がセメント硬化物表面に被膜を形成したとしても、被膜の厚みが極めて薄いから、硬化物の表面に樹脂光沢が発生することはなく、かつ、乾燥した組成物が無色透明を呈するから、硬化物が組成物によって着色されることもない。ゆえに、この組成物を使用したとしても、セメント硬化物本来の風合いや美観が損なわれることなく、セメント硬化物本来の外観を保持することができる。表面改質組成物は、合成樹脂によって形成される被膜の厚みが極めて薄く、合成樹脂の撥水性が低減されるから、乾燥後の合成樹脂によって形成された被膜のぬれ性がよく、組成物の乾燥後に再度組成物を塗布したとしても、組成物が被膜に十分に馴染み、組成物の2回以上の上塗りが可能である。組成物は、それの主成分であるアルキルアルコキシシランがコンクリート硬化物の細隙に進入かつ硬化物の内部に浸透し、シランが硬化物の防水性を向上させつつ、硬化物に適度な透湿性を付与する。さらに、組成物に含まれる合成樹脂がセメント硬化物の表面に残存して硬化物表面を覆う被膜を形成するから、大気中に存在する炭酸ガスのセメント硬化部表面への接触が被膜によって遮断され、硬化物の中性化を防ぐことができる。
第1溶液と第2溶液とを混合した混合液から固形分換算したアルキルアルコキシシランと混合液から固形分換算した合成樹脂との混合比率がアルキルアルコキシシラン100重量部に対して合成樹脂10重量部以上25重量部以下の範囲にある表面改質組成物は、シランと合成樹脂との混合比率を前記範囲にすることで、セメント硬化物の表面に塗布された組成物が乾燥したときに、合成樹脂が硬化物表面に厚みの厚い被膜を形成することはなく、硬化物の表面における樹脂光沢の発生を確実に防ぐことができる。この表面改質組成物は、アルキルアルコキシシランが有する硬化物の防水性向上機能と合成樹脂が有する硬化物の中性化抑制機能との両機能を十分に活用することができ、セメント硬化物の劣化を確実に防ぐことができる。
アルキルアルコキシシランが炭素原子数3〜12のアルキル基を有するシランの中から選択された1種類または数種類を混合した混合物である表面改質組成物は、セメント硬化物内部への浸透性は高いが、撥水性や遮塩性、耐久性が低い炭素原子数3〜7のアルキル基を有するシランと、撥水性や遮塩性、耐久性は高いが、セメント硬化物内部への浸透性が低い炭素原子数8〜12のアルキル基を有するシランとをセメント硬化物毎に使い分けることで、浸透性を重視するか、または、撥水性や遮塩性、耐久性を重視するかをセメント硬化物に応じて選択することができる。特に、炭素原子数3〜7のアルキル基を有するシランと炭素原子数8〜12のアルキル基を有するシランとを混合した場合は、それらシランが有する有利な機能を十分に活用することができ、シランによってセメント硬化物の劣化を確実に防ぐことができる。
添付の図面を参照し、本発明に係る表面改質組成物の詳細を説明すると、以下のとおりである。図1,2は、硬化したコンクリート10(セメント硬化物)の部分拡大断面図と、アルキルアルコキシシラン11がコンクリート10の表面13からその内部14に浸透する状態を示す模式図とである。図3,4は、アルキルアルコキシシラン11がシラノール化合物を経て高分子化した状態を示す模式図と、乾燥した合成樹脂12がコンクリート10の表面13を被覆する被膜を形成した状態を示す模式図とである。なお、図2〜4では、便宜上シラン11を×で示し、合成樹脂を○で示す。また、それら図では、厚み方向を矢印Xで示す。
表面改質組成物は、硬化したコンクリート10(セメント硬化物)の表面に塗布される。組成物は、コンクリート10の改質に使用され、コンクリート10の透湿性を維持しつつ、防水性や遮塩性を向上させるとともに、コンクリート10の中性化を防止する。組成物は、コンクリート10の他に、モルタル(セメント硬化物)に使用することもできる。組成物は、所定の第1溶媒にアルキルアルコキシシラン11(その縮合物を含む)を混入した第1溶液と、所定の第2溶媒に合成樹脂12を混入した第2溶液とから形成され、第1溶液と第2溶液とを混合した混合液である。第1溶媒にはメタノールまたは水を使用し、第2溶媒には水を使用している。
アルキルアルコキシシラン11は、炭素原子数3〜7のアルキル基を有する第1シランと、炭素原子数8〜12のアルキル基を有する第2シランとから形成されている。アルキルアルコキシシラン11は、それら第1シランのうちから選択された一種類または数種類と、それら第2シランのうちから選択された一種類または数種類とを混合した混合物である。第1シランは、コンクリート10の表面13から内部14へ向かって延びる細隙15(図1参照)へ容易に進入(図2参照)し、コンクリート10の内部14へ容易に浸透するが、第2シランと比較して遮水性や遮塩性、耐久性が低い。逆に、第2シランは、遮水性や遮塩性、耐久性は高いが、第1シランと比較してコンクリート10の細隙15への進入性やコンクリート10の内部14への浸透性が低い。
ここで、アルキルアルコキシシラン11を100重量部としたときの第1シランの比率は40重量部以上60重量部以下の範囲にあり、アルキルアルコキシシラン11を100重量部としたときの第2シランの比率は60重量部以上40重量部以下の範囲にある。第1シランの比率が40重量部未満であって第2シランの比率が60重量部を超過すると、コンクリート10の細隙15への進入性やコンクリート10の内部14への浸透性が低下し、シラン11によってコンクリート10の細隙15を十分に塞ぐことができない場合があり、シラン11が有するコンクリート10の防水性向上機能を十分に活用することができない場合がある。第2シランの比率が40重量部未満であって第1シランの比率が60重量部を超過すると、シラン11がコンクリート10の細隙15へ容易に進入かつコンクリート10の内部14に容易に浸透するが、シラン11の遮水性や遮塩性、耐久性が低下し、コンクリート10の防水性や遮塩性を向上させることができず、コンクリート10の劣化を十分に防止することができない。この表面改質組成物は、アルキルアルコキシシラン11として、第1シランと第2シランとを前記比率で混合した混合物を使用することで、それらシランの長所を最大限に発揮させ、シラン11をコンクリート10の細隙15へ容易に進入させることができるとともに、シラン11をコンクリート10の内部14に容易に浸透させることができ、さらに、コンクリート10の防水性や遮塩性を向上させることができる。この組成物は、シラン11が有するコンクリート10の劣化防止機能を十分に活用することができ、コンクリート10の劣化を確実に防ぐことができる。
第1シランには、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシランを使用することができる。第2シランには、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシランを使用することができる。ただし、シランを第1および第2シランに限定するものではなく、炭素原子数1〜2のアルキル基を有するメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランを使用することもでき、炭素原子数13以上のアルキル基を有するオクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリドデシルトリメトキシシラン、トリドデシルトリエトキシシラン、テトラドデシルトリメトキシシラン、テトラドデシルトリエトキシシラン、ペンタドデシルトリメトキシシラン、ペンタドデシルトリエトキシシランを使用することもできる。
なお、アルキルアルコキシシラン11が前記第1シランと前記第2シランとから形成されていなくてもよく、アルキルアルコキシシラン11が第1シランと第2シランとのうちのいずれか一方から形成されていてもよい。この場合、セメント硬化物に応じて浸透性を重視するか、または、撥水性や遮塩性、耐久性を重視するかを決定し、それによって第1シランと第2シランとのうちのいずれか一方を選択する。
第1溶液は、メタノールまたは水にアルキルアルコキシシラン11を混入した混合液である。第1溶液を作る一例としては、エタノールにアルキルアルコキシシラン11を混入し、撹拌機を使用してエタノールにシラン11を攪拌分散させる。この場合、シラン11はエタノール中に溶解した状態で存在する。水とアルキルアルコキシシラン11とを混合する場合は、シラン11を親水化させて水中にシラン11を満遍なく分散させるため、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤を使用することができる。第1溶液を作る他の一例としては、水にアルキルアルコキシシラン11と界面活性剤とを混入し、撹拌機を使用して水中にシラン11を攪拌分散させる。この場合、シラン11は水に溶解することなく、第1溶液がエマルジョン化する。
合成樹脂12には、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂のうちから選択された1種類、または、それら合成樹脂のうちから選択された数種類を混合したものを使用している。アクリルウレタン樹脂は、アクリル樹脂とポリイソシアネートとの化合物である。アクリル樹脂に特に限定はなく、メチル(メタ)アクリレート(メチルアクリレートまたはメチル(メタ)アクリレートの双方を示す。以下同じ。)、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、パラメチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マイレン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル等のうちから選択された1種類、または、それらのうちから選択された数種類を混合したものを使用することができる。ポリイソシアネートに特に限定はなく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート等のうちから選択された1種類、または、それらのうちから選択された数種類を混合したものを使用することができる。
アクリルシリコン樹脂は、アクリル樹脂とシリコン樹脂との化合物である。アクリル樹脂には、アクリルウレタン樹脂におけるそれと同一のものを使用することができる。フッ素樹脂に特に限定はなく、フッ素原子を含有するオレフィンのうちから選択された1種類、または、それらオレフィンのうちから選択された数種類を混合したものを使用することができる。フッ素原子を含有するオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニルデンフルオライド等を例示することができる。
第2溶液は、水に合成樹脂12のポリマーを混入した混合液である。水と合成樹脂ポリマーとを混合する場合は、合成樹脂ポリマーを親水化して水に合成樹脂を満遍なく分散させるため、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、水とアルキルアルコキシシランとを混合する場合に列挙したそれらと同一のものを使用することができる。第2溶液を作る一例としては、水に合成樹脂ポリマーと界面活性剤とを混入し、撹拌機を使用して水中に合成樹脂ポリマーを攪拌分散させる。この場合、合成樹脂ポリマーは水に溶解することなく、第2溶液がエマルジョン化する。
この表面改質組成物を作るには、エタノールにアルキルアルコキシシラン11を混入した第1溶液と水に合成樹脂12を混入した第2溶液とを攪拌機を使用して混合し、それら溶液の混合液を作る場合と、水にアルキルアルコキシシラン11を混入した第1溶液と水に合成樹脂12を混入した第2溶液とを攪拌機を使用して混合し、それら溶液の混合液を作る場合とがある。
図1〜図4に基づいて、この表面改質組成物をコンクリート10の表面13に塗布したときの時系列変化を説明すると、以下のとおりである。なお、それら図における説明では、第1溶媒および第2溶媒として水を使用したものとし、合成樹脂12としてアクリルシリコン樹脂を使用したものとする。コンクリート10は、セメントと砂と骨材とを混練して作られている。コンクリート10は型枠に打設され、所定期間養生させた後にコンクリート10から型枠を外す。硬化したコンクリート10には、図1に示すように、その表面13から内部14に向かって延びる複数の細隙15が形成されている。細隙15は、その大きさが約15〜20Åである。コンクリート10が硬化した後、コンクリート10の表面13に刷毛やローラー、吹き付けによって表面改質組成物を塗布する。
表面改質組成物をコンクリート10に塗布すると、図2に示すように、コンクリート10の細隙15よりも小さい約10Åの大きさのアルキルアルコキシシラン11が水とともに細隙15に進入する。アルキルアルコキシシラン11は、表面張力および粘度が極めて小さく浸透力に優れているので、細隙15を通ってコンクリート10の内部14に容易に進入することができ、さらに、コンクリート10の内部14に容易に浸透する。一方、コンクリート10の細隙15よりも大きい約900Åの粒子径を有するアクリルシリコン樹脂ポリマーは細隙15に進入することができず、コンクリート10の表面13に残存する。コンクリート10の内部14に浸透したアルキルアルコキシシラン11は、コンクリート10に拡散し、下地水分等と反応してシラノール化合物となる。その後、シラノール化合物は、図3に示すように、骨材と反応しつつ、脱水反応によって高分子化し、コンクリート10の表層に防水層16を形成する。コンクリート10の表面13に残ったアクリルシリコン樹脂ポリマーは、図4に示すように、乾燥してコンクリート10の表面13に厚みの薄い被膜17を形成する。乾燥した組成物は無色透明を呈するとともに、アクリルシリコン樹脂ポリマーによって形成された被膜17はその厚みが極めて薄いから、樹脂光沢がなく、コンクリート10を着色することもない。以下の(化1)および(化2)に、アルキルアルコキシシラン11をコンクリート10に塗布してから防水層16を形成するまでの反応を表す化学式を示す。
Figure 2007191578
Figure 2007191578
第1溶液と第2溶液とを混合した混合液から固形分換算したアルキルアルコキシシラン11と第1溶液と第2溶液とを混合した混合液から固形分換算した合成樹脂12との混合比率は、アルキルアルコキシシラン11が100重量部に対して合成樹脂12が10重量部以上25重量部以下の範囲、好ましくは、アルキルアルコキシシラン11が100重量部に対して合成樹脂12が10重量部以上20重量部以下の範囲にある。
合成樹脂12が25重量部を超過すると、表面改質組成物が乾燥したときに、合成樹脂12がコンクリート10の表面13に厚みの厚い被膜17を形成するから、コンクリート10の表面13に樹脂光沢が発生する場合があり、コンクリート10本来の風合いが損なわれる場合がある。また、表面改質組成物の乾燥後に再び組成物を塗布したときに、被膜17のぬれ性障害のために組成物が被膜17に弾かれて馴染まず、組成物の乾燥後にさらに組成物を上塗りすることができない場合がある。合成樹脂12が10重量部未満では、コンクリート10の表面13に合成樹脂12による被膜17を形成することが困難となり、合成樹脂12が有するコンクリート10の中性化抑制機能を十分に活用することができず、コンクリート10の中性化を防止することができない場合がある。
この表面改質組成物は、それに含まれる合成樹脂12がコンクリート10
の表面13に被膜17を形成したとしても、その被膜17の厚みが極めて薄いから、コンクリート10の表面13に樹脂光沢が発生することはなく、さらに、組成物が乾燥すると無色透明を呈するから、コンクリート10が組成物によって無彩色や有彩色に着色されることもない。ゆえに、この組成物を使用したとしても、コンクリート10本来の風合いや美観が損なわれることなく、コンクリート10本来の外観を保持することができる。
この組成物は、合成樹脂12によって形成される被膜17の厚みが薄く、合成樹脂12の撥水性が低減されるから、乾燥後の合成樹脂12によって形成された被膜17のぬれ性がよく、組成物の乾燥後に再度組成物を塗布したとしても、組成物が被膜17に十分に馴染み、組成物の2回以上の上塗りが可能である。組成物は、それの主成分であるアルキルアルコキシシラン11がコンクリート10の細隙15に進入かつコンクリート10の内部14に浸透し、シラン11がコンクリート10の防水性を向上させつつ、コンクリート10に適度な透湿性を付与する。さらに、組成物に含まれる合成樹脂12がコンクリート10の表面13に残存してコンクリート10の表面13を被覆する被膜17を形成するから、大気中に存在する炭酸ガスのコンクリート10の表面13への接触が被膜17によって遮断され、コンクリート10の中性化を防ぐことができる。
表面改質組成物は、第1溶液と第2溶液とを混合した混合液から固形分換算したアルキルアルコキシシラン11と第1溶液と第2溶液とを混合した混合液から固形分換算した合成樹脂12との混合比率が前記範囲にあるから、コンクリート10の表面13に塗布した組成物が乾燥したときに、合成樹脂12がコンクリート10の表面13に厚みの厚い被膜を形成することはなく、コンクリート10の表面13における樹脂光沢の発生を防ぐことができる。この組成物は、アルキルアルコキシシラン11の防水性向上機能と合成樹脂12の中性化抑制機能との両機能を十分に活用することができ、コンクリート10の劣化を確実に防ぐことができる。
表面改質組成物は、それの主成分であるアルキルアルコキシシラン11が炭素原子数3〜7のアルキル基を有する第1シランと炭素原子数8〜12のアルキル基を有する第2シランとから形成されているから、コンクリート10の細隙15への進入性やコンクリート10の内部13への浸透性は高いが、撥水性や遮塩性、耐久性が低い炭素原子数3〜7のアルキル基を有する第1シランと、撥水性や遮塩性、耐久性は高いが、コンクリート10の細隙15への進入性やコンクリート10の内部13への浸透性が低い炭素原子数8〜12のアルキル基を有する第2シランとの互いに有利な機能を活用することができ、シラン11によってコンクリート10の劣化を確実に防ぐことができる。
表面改質組成物は、アルキルアルコキシシラン11を100重量部としたときの第1シランの比率が40重量部以上60重量部以下の範囲にあり、アルキルアルコキシシラン11を100重量部としたときの第2シランの比率が60重量部以上40重量部以下の範囲にあるから、第1シランの高浸透性を活用してシラン11をコンクリート10の内部13に容易に浸透させ、さらに、第2シランの高撥水性や高遮塩性、高耐久性を活用してコンクリート10の防水性や遮塩性を向上させることで、コンクリート10の劣化を確実に防ぐことができる。
恒和化学工業社製の製品名コンフィックスSM−7(シラン成分40%)と同社製の製品名ビフレッシュシリコンクリヤー(固形分31.5%)とを80:20の割合で調合して表面改質組成物を作った。この表面改質組成物をJISの1:3モルタル板(試料)に刷毛を用いて0.15g/m(1回)、0.3g/m(2回)塗り付け、7日間標準状態で養生し、試験品とした。試験品に対する試験項目は、透水性(透水量(g))、吸水性(吸水量(g))、促進中性化試験(中性化深さ(mm))である。試験結果は、以下のとおりである。なお、図5は、中性化深さの特性図である。
Figure 2007191578
Figure 2007191578
Figure 2007191578
上記(表1)、(表2)、(表3)に示す透水量、吸水量、中性化深さの各試験結果および図5の中性化深さの特性図が示すように、試料に表面改質組成物を塗布することで、試料の透水性や吸水性が著しく改善されたことを確認することができた。また、試料の中性化を確実に防止可能であることを確認することができた。
硬化したコンクリート(セメント硬化物)の部分拡大断面図。 アルキルアルコキシシランがコンクリートの表面からその内部に浸透する状態を示す模式図。 アルキルアルコキシシランがシラノール化合物を経て高分子化した状態を示す模式図。 乾燥した合成樹脂がコンクリート表面を被覆する被膜を形成した状態を示す模式図。 中性化深さの特性図。
符号の説明
10 コンクリート
11 アルキルアルコキシシラン
12 合成樹脂
13 表面
14 内部
15 細隙
17 被膜

Claims (3)

  1. セメント硬化物の表面に塗布する表面改質組成物であって、
    前記表面改質組成物が、所定の第1溶媒にアルキルアルコキシシランを混入した第1溶液と、所定の第2溶媒にアクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂のうちから選択された少なくとも1種類の合成樹脂を混入した第2溶液とを混合した混合液であることを特徴とする前記表面改質組成物。
  2. 前記混合液から固形分換算したアルキルアルコキシシランと前記混合液から固形分換算した前記合成樹脂との混合比率は、前記アルキルアルコキシシラン100重量部に対して前記合成樹脂が10重量部以上25重量部以下の範囲にある請求項1記載の表面改質組成物。
  3. 前記アルキルアルコキシシランが、炭素原子数3〜12のアルキル基を有するシランの中から選択された1種類または数種類を混合した混合物である請求項1または請求項2に記載の表面改質組成物。
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