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JP2007178496A - 液晶表示素子 - Google Patents

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JP2007178496A
JP2007178496A JP2005373935A JP2005373935A JP2007178496A JP 2007178496 A JP2007178496 A JP 2007178496A JP 2005373935 A JP2005373935 A JP 2005373935A JP 2005373935 A JP2005373935 A JP 2005373935A JP 2007178496 A JP2007178496 A JP 2007178496A
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Toru Tsukamoto
徹 塚本
Satoshi Ihara
聡 渭原
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Kyocera Display Corp
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Abstract

【課題】高デューティ駆動しても視野角度特性に優れた高コントラスト比の画像表示を可能とする反射型の液晶表示素子を提供する。
【解決手段】液晶表示素子1は、垂直配向処理された一対の基板に挟持された負の誘電異方性の液晶層を有する液晶セル2と、液晶セル2を挟持し、互いにクロスニコル配置された一対の偏光板3,4と、偏光板3と液晶セル2との間に設けられた位相差補償層5と、偏光板4の上に配置された反射板6とを有する。位相差補償層5の進相軸と電圧印加時の液晶層の配向方向とのなす角度は、偏光板の吸収軸と電圧印加時の液晶層の配向方向とのなす角度より小さく且つ0度を超え50度未満となるように設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示素子に関し、特に、車載用途にも使用可能な反射型のVAモード液晶表示素子に関する。
一般に、透過型の液晶表示素子は、所定の方向に配向した数μm程度の極薄い液晶層と、この液晶層を挟持する透明な一対の薄い基板と、さらに、この基板を挟持して偏光子および検光子を構成する一対の偏光板とを有する。ここで、液晶層が設けられる側の基板面には、所定の形状にパターニングされた電極が形成されている。そして、この電極を介して液晶層に電圧を印加すると、液晶の配向が変化して、液晶表示素子を透過する光の量または波長が変わる。これにより、所望の表示を行うことが可能となる。
一方、反射型の液晶表示素子は、上記の透過型の液晶表示素子と同様の構成を有するが、液晶表示装置の一方の側(例えば、反視認者側である裏側)に反射板が設けられている。特に、いわゆる「偏光板1枚タイプ」と称される反射型の液晶表示素子では、上記の透過型の液晶パネルと同様の構成を有する液晶パネルの視認者側に円偏光板が配設され、反視認者側に反射板が配設されている。この場合、視認者側である前面側から入射する外光をこの反射板で反射させて視認者側に戻すことになるが、電極を介した電圧印加による液晶の配向変化にしたがって、液晶表示素子を通って視認者側に戻る光の量または波長が変わるので、所望の表示を行うことが可能となる。
このように、液晶表示素子は、比較的単純な構造からなっている。また、構成部材の選択によって薄型化および軽量化が容易であり、低電圧での駆動も可能であることから、近年では、民生用のみならず車載用の表示素子としても盛んに利用されている。
ところで、液晶表示素子は、液晶層の初期配向状態並びに電圧印加時の動作状態および配向状態などから、いくつかのモードに分類される。例えば、液晶テレビや、自動車などの車両のインストルメントパネルなどいわゆる車載用に利用される液晶表示素子には、VA(Vertical Alignment)モードが用いられる(例えば、特許文献1および2参照。)。VAモードは、正面から見たときのコントラスト比が高く、また、視野角度が広いことから、視認性に優れたモードである。
VAモードは、一対の基板間に、初期配向状態が基板と概ね垂直(垂直配向)な負の誘電率異方性(Δε)を有する液晶層を挟持し、さらに、この基板を、通常はクロスニコルを構成するように配置した一対の偏光板で挟持することによって構成される。そして、基板面に形成された電極を介して液晶層に電圧を印加すると、液晶の配向が変化して、液晶層が電界に対して垂直、すなわち、液晶の配向方向が基板と平行になる。これにより、電圧を印加した部分と印加していない部分とで、液晶の屈折率異方性(Δn)と液晶層厚(d)との積(Δn・d)によって定まる光の透過特性、特に、色味に違いが生じる。この違いを利用することによって、所望の表示を行うことができる。
特開平11−133413号公報 特開2000−19518号公報
上述したように、VAモードでは、電圧無印加時に、液晶層がそれを挟持する一対の基板に対し略垂直な配向をしている。そのため、電圧無印加時においては、液晶表示素子を透過する光は具備するクロスニコル配置された偏光板の作用により遮光される。
例えば、バックライトを併用する透過型モードにおいては、バックライトからの光が液晶表示素子により遮光されることによって、良好な黒表示としてのOFF表示が得られる。そして、電圧を印加すると、液晶に配向変化が起こることによって偏光板の間を光が透過するようになり、液晶表示素子においてON表示が得られるようになる。
すなわち、VAモードにおいては、高いコントラスト比のネガ表示(ノーマリーブラック表示)による画像表示が実現できる。このため、VAモードは、TFT(Thin Firm Transistor)などの能動素子を表示画素毎に設けたアクティブマトリクス型液晶表示素子として盛んに利用されている。
また、VAモードは、その高いコントラスト比と広い視野角度特性が着目され、キャラクター表示なども行うパッシブマトリクス型の液晶表示素子への適用が盛んに検討されている。
しかし、VAモードをパッシブマトリクス型に応用しようとする場合、印加電圧(V)に対する液晶表示素子の透過率(T)変化の緩慢さ(所謂V−T特性の緩慢さ)が問題となることがある。すなわち、視野角度が狭いもののV−T特性の優れた急峻性によって、パッシブマトリクス型液晶表示素子として多用されているSTN(Super Twist Nematic)モードなどの液晶モードに比べると、V−T変化の急峻さの不足が問題となることがある。
パッシブマトリクス型液晶表示素子を駆動して画像表示を行う場合、その駆動のデューティ(Duty)比に対応してOFF電圧の設定とON電圧の設定を行う必要がある。この場合、OFF電圧として電圧無印加である0Vを、ON電圧として液晶表示素子の最高透過率を示す電圧を同時に設定することが必ずしも可能となるわけではない。
よって、液晶表示素子が、電圧無印加時に非常に低い透過率のOFF表示(優れた黒表示)を示し、可能な限りの高い電圧印加により非常に高い透過率を示して優れたON表示が可能であるとしても、電圧印加による透過率の変化が緩慢な液晶表示素子、すなわち、電圧印加にしたがってだらだらと透過率が上昇し続けるようなV−T特性を持つ液晶表示素子では、デューティ駆動によるパッシブマトリクス型液晶表示素子として使用することが困難となることがある。
つまり、液晶表示素子をデューティ駆動のパッシブマトリクス型に応用しようとする場合、デューティ比にしたがって確保できるON電圧の設定値とOFF電圧の設定値との差が自ずと決まってしまう。このため、ON表示を重視してON電圧を高い値に設定した場合には、OFF電圧が比較的高い値に設定されてしまうことがある。
特に、VAモードではV−T変化が緩慢であるので、ON表示時の透過率を重視してON電圧が設定された場合、十分に低い透過率を示すOFF電圧の設定ができなくなってしまう。その結果、設定されたOFF電圧を印加した時の透過率が高くなることによって、OFF時の黒表示において、いわゆる「浮き」が生じ、表示画像のコントラスト比が低下してしまうことがある。一方、OFF表示の黒さを重視した場合には、ON透過率が低下することによって、暗い表示となってしまうこともある。
したがって、VAモードをデューティ駆動のパッシブマトリクス型に応用しようとする場合には、V−T特性の急峻性の改善が必要となる。
VAモードにおいて、こうした問題を解決し、かかるV−T特性の急峻性を向上させようとする場合、液晶表示素子のリタデーション(Δnd)を比較的高めに設定する方法が考えられる。
図10は、VAモードにおいて、Δndを高く設定した場合のV−T特性に与える影響を模式的に示すV−T曲線である。図10において、Δndを高めに設定すると、破線で示す曲線から実線で示す曲線へと変化する。すなわち、図10より、Δndを高くすることによって、V−T特性の急峻性は、特に透過率が大きく変化する印加電圧領域において向上することがわかる。しかしながら、そのような大きく透過率が変化する印加電圧領域より小さな値の電圧印加領域においては、電圧の印加に従い透過率がだらだらと高くなる現象が同時に発現していることもわかる。
したがって、Δndを比較的高い値に設定することによってV−T特性の急峻性を向上させたVAモードを、デューティ駆動のパッシブマトリクス型に応用しようとすると、設定したOFF電圧を印加した時の透過率が高くなって、いわゆる黒表示時の浮きが生じ、画像のコントラスト比が低下してしまうという問題があった。
また、液晶表示素子のΔndを大きくしようとする場合には、液晶の屈折率異方性であるΔnを大きくするか、または、液晶層の厚みであるdを大きくする必要がある。しかしながら、こうした液晶表示素子のパラメータ変化は、いずれも液晶の応答速度を低下させる方向の変化であり、VAモードにおける応答速度特性の低下を招いてしまう。したがって、このような手法のみで問題を解決しようとすることは好ましくない。
したがって、VAモードにおいて、液晶層のΔnと厚みに依存するリタデーションの値を増大させる方法以外の方法、または、この方法と組み合わせることによってV−T特性を向上させる方法が求められている。
本発明は、こうした問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、急峻なV−T特性を備えており、パッシブマトリクス型への応用が可能であって、優れたコントラスト比の表示と視野角度特性を実現できる反射型の液晶表示素子を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、対向するそれぞれの表面に電極層が形成された、少なくとも一方が透明である一対の基板で負の誘電異方性を有する液晶層を挟持することにより構成される液晶セルと、前記液晶セルを挟持する一対の偏光板と、前記一対の偏光板における前記基板との対向面とは反対側であって、前記一対の偏光板のうちの反視認者側の偏光板上に配置された反射板とを備え、前記液晶セルの基板の電極層を介して前記液晶層に電圧を印加することによって、表示部で画像を表示する液晶表示素子において、前記一対の基板の少なくとも一方の基板について、他方の基板との対向面に垂直配向性の配向膜が設けられ、この配向膜は電圧印加時の前記液晶層の配向方向を規定するよう配向処理が施されており、前記一対の偏光板は、一方の偏光板の吸収軸と他方の偏光板の吸収軸との交差角度が90度±5度になるように配置されており、前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間には、リタデーションを有する位相差補償層が備えられ、この位相差補償層の進相軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度は、偏光板の吸収軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度より小さく且つ0度を超え50度未満となるように設定されており、前記表示部の開口率は70%以下であることを特徴とするものである。
本発明の第2の態様は、対向するそれぞれの表面に電極層が形成された、少なくとも一方が透明である一対の基板で負の誘電異方性を有する液晶層を挟持することにより構成される液晶セルと、前記一対の基板における前記液晶層との対向面とは反対側であって、前記一対の基板の視認者側に配置された円偏光板と、前記一対の基板のうちの反視認者側の基板に配置された反射板とを備え、前記液晶セルの基板の電極層を介して前記液晶層に電圧を印加することによって、表示部で画像を表示する液晶表示素子において、前記一対の基板の少なくとも一方の基板について、他方の基板との対向面に垂直配向性の配向膜が設けられ、該配向膜は電圧印加時の前記液晶層の配向方向を規定するよう配向処理が施されており、前記円偏光板と前記液晶セルとの間には、リタデーションを有する位相差補償層が備えられ、該位相差補償層の進相軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度は、偏光板の吸収軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度より小さく且つ0度を超え50度未満となるように設定されており、前記表示部の開口率は70%以下であることを特徴とするものである。
本発明の第1の態様において、前記位相差補償層のリタデーションの値は、前記液晶層のリタデーションの値の0%より大きく且つ10%以下であることが好ましい。また、本発明の第2の態様において、前記位相差補償層のリタデーションの値は、前記液晶層のリタデーションの値の0%より大きく且つ1.5%以下であることが好ましい。
また、本発明の第1の態様および第2の態様における液晶表示素子は、パッシブマトリクス型の液晶表示素子とすることができる。
本発明によれば、VAモードにおいて液晶セルと偏光板の間に位相差補償層を設け、そのリタデーションの値と、その進相軸と電圧印加時の液晶層配向方向とのなす角度を調整することにより、V−T特性の急峻性が改善され、その結果、デューティ駆動しても視野角度特性に優れた高コントラスト比の画像表示を可能とすることができる。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態における液晶表示素子1の部分断面図である。尚、液晶表示素子1は、VAモード液晶表示素子であるとする。
図1において、液晶表示素子1は、対向するそれぞれの表面に電極層(図示せず)が形成された一対のガラス基板(図示せず)と、この一対の基板に挟持された負の誘電異方性の液晶層とを備えた液晶セル2を有する。そして、液晶セル2を構成する一対の基板における液晶層との対向面とは反対側の面上に配置され、液晶セル2を挟持し、互いにクロスニコル配置された一対の視認者側偏光板(以下、F偏光板と称する。)3および反視認者側偏光板(以下、R偏光板と称する。)4を有する。尚、クロスニコル配置とは、一方の偏光板の吸収軸と他方の偏光板の吸収軸との交差角度が90度±5度になるような配置を言う(以下、本明細書において同じ。)。
F偏光板3と液晶セル2との間には、リタデーションを有する位相差補償層5が設けられている。また、反視認者側の偏光板4の上には、反射板6が配置されている。尚、本実施の形態においては、液晶セル2の反視認者側の面、すなわち、R偏光板4と液晶セル2との間に位相差補償層5を配置してもよい。さらに、視認者側および反視認者側の双方の面に、位相差補償層5を配置してもよい。
液晶セル2を構成する、表面に電極層が形成された一対の基板においては、それぞれ他方の基板との対向面に垂直配向処理が施されている。また、電圧印加時の液晶層の配向方向を規定するための配向処理が、併せて施されている。これにより、液晶層では、液晶が初期配向状態として、配向方向に僅かに傾いた状態であって実質的に垂直な配向をする。電圧印加時においては、液晶層はそこから一定の方向に倒れて、液晶セル2を構成する基板と平行になるように動作する。
また、液晶層を構成する液晶は負の誘電率異方性を有しており、液晶セル2の基板表面の電極層を介して液晶層に電圧を印加し、液晶を基板と平行になるように動作させると、上記した配向処理方向に規定される液晶層の配向変化が生じ、液晶層の光学異方性が変化して液晶表示素子の表示部に画像が表示される。
このとき、偏光板3と液晶セル2との間に設けられたリタデーションを有する位相差補償層5の配置については、この位相差補償層の進相軸と電圧印加時の液晶層の配向方向とのなす角度が、偏光板の吸収軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度より小さく且つ0度を超え50度未満となるように設定されていることが望ましい。位相差補償層を設け、このような設定を行うことにより、下記に説明するように、液晶表示素子1において高コントラスト比の表示画像が得られる。
位相差補償層5のリタデーションの大きさは、液晶層のリタデーションの値の0%より大きく且つ10%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0%より大きく且つ8%以下に設定する。上記の位相差補償層の配置角度設定と併せてこのような設定を行うことにより、下記でも説明するように、液晶表示素子1のOFF時において、表示部内の電極層領域である画素部分と、その周辺領域との見栄えの差異が少なくなり、OFF時も自然な見栄えの優れた表示画像が得られる。特に、8%以下に設定すると、差異が視認できなくなり、見栄えをさらに向上させることができる。
液晶セル2を構成する基板の表面に形成された電極層の構造は、キャラクター表示を含む画像の表示が可能なように設計されており、表示部の開口率は70%以下である。したがって、表示部において画素部分ではない周辺領域が大きく、上記したような位相差補償層5の設定により、液晶表示素子1においてOFF時において表示部内の画素部分と周辺領域との見栄えの差異が少なくなり、自然な見栄えが得られることはより重要となる。
次に、液晶表示素子1の製造方法の一例について説明する。
まず、一対のガラス基板の上に、所望の画像表示ができるようにパターニングされた電極層を設ける。電極層は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)電極とすることができる。
次いで、ガラス基板の上に、電極層を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO−TiOからなる膜とすることができる。
次に、液晶層において、液晶が初期配向状態として垂直に配向するように配向膜を形成する。例えば、JSR株式会社製の配向膜材料(商品名:JALS−2021)をフレキソ印刷法にて成膜し、基板を180℃で焼成することによって、厚さ60nm程度の配向膜を形成することができる。次いで、配向膜の表面にラビング処理を施して、上記した電界印加時の液晶の動作方向を定める。
次に、配向膜の形成工程までを終えた基板によって、液晶層を挟み込む。この際、例えば、樹脂スペーサを用いることによって、基板の間の距離(d)を一定に保つことができる。また、液晶層としては、例えば、屈折率異方性(Δn)が0.1325であるものを用いることができる。この場合、d=4.0μmとすると、液晶セル2のリタデーション(Δn・d)は530nmとなる。
次に位相差補償層5を設ける。具体的には、液晶セル2の視認者側の面に一軸フィルムを配置する。このとき、一軸フィルムにおいて設定するリタデーション値の表現は、液晶表示素子1の構成において発現するリタデーションの値を用いて行いうことができ、液晶セル2のリタデーション値である530nmの7.55%の値となるように設定する。そして、配置の方向は、その一軸フィルムの進相軸の方向と電圧印加時の液晶層の配向方向とのなす角度が5度となるように設定する。尚、本発明においては、位相差補償層を液晶セルの反視認者側の面に配置してもよく、視認者側および反視認者側の双方の面に配置してもよい。
次に、F偏光板3およびR偏光板4の設置を行う。具体的には、位相差補償層5が表面に配設された液晶セル2を挟持して、F偏光板3およびR偏光板4がクロスニコル配置となるように貼り付ける。このとき、F偏光板3またはR偏光板4の吸収軸が、電圧印加時の液晶層の配向方向と45度の角度をなすように設定する。
尚、詳細は図示されないが、本実施の形態における液晶表示素子1は、パッシブマトリクス構造である。すなわち、画像表示を構成する各画素部分には、TFT等のスイッチング素子は設けられておらず、電極層を用いたパッシブ駆動によって目的の画像が表示される。液晶表示素子1について1/16デューティー(1/16Duty)駆動し、特性を調べたところ、ON透過率は6.97%であった。なお、このとき液晶表示素子1の最低透過率は5.7×10−6%であり、この最低透過率を示す電圧をOFF電圧に設定した。
次に、本実施の形態の液晶表示素子1において、V−T特性を評価した結果の一例について述べる。
図2は、液晶表示素子1のV−T特性の特徴を模式的に示すV−T曲線の一例である。図2に示すように、液晶表示素子1のV−T曲線は、電圧を印加していくと、所定の印加電圧領域において、透過率が電圧無印加時の透過率Tより小さくなる。そして、最低透過率値Tを示した後、更なる電圧の印加によって透過率は急上昇する。このため、液晶表示素子1は、非常に急峻なV−T特性を示す。したがって、液晶表示素子1は、高デューティ駆動のパッシブマトリクス駆動においても、高コントラスト比の画像表示が可能となる。尚、液晶表示素子1のT/Tの値は6.73×10−5である。
そして、液晶表示素子1をパッシブマトリクス駆動しようとする場合、最低透過率Tを示す電圧値付近を駆動時におけるOFF電圧として設定することが好ましい。そうすることにより、OFF時の遮光度が高まって透過率が格段に低くなり、高レベルの沈んだ黒表示が得られる。一方、ON時には、高い透過率の表示が得られるので、高いコントラスト比の画像表示を実現することができる。
しかし、図2に示すように、電圧無印加時の透過率Tと最低透過率Tが異なることから、OFF時の表示画像において問題が生じることもわかった。
その問題とは、液晶表示素子1において、最低透過率Tを示す電圧値付近をOFF電圧として設定した場合に、OFF表示時において、表示部内の電極層が形成されている領域であってOFF電圧が印加されている画素部分と、電極層が配設されていないために、電圧印加の有無にかかわらず液晶層が垂直配向の状態のまま動作をしない周辺部分の透過率とが異なってしまう問題である。
すなわち、OFF時においては、液晶表示素子1の表示部全体が、均一な沈んだ黒を表示している状態が好ましいが、画素部分の透過率と周辺部分の透過率が異なるために、電極層の配設された画素部分が目立ってしまって、不均一なOFF画像表示状態が発生する恐れがある。
このような問題は、例えば、開口率70%以下の表示画像構造、特に、キャラクター表示を目的とするような開口率の小さな表示画像構造において、特に問題となる。これは、表示部内の電極層の形成されている領域であって、電圧印加に伴って光が透過する画素部分に対して、電圧印加の有無にかかわらず、液晶層が垂直配向のままで動作をしない周辺領域の面積が大きいことによるものである。
そこで、位相差補償層5である一軸フィルムのリタデーションのみを変え、その他の構造は液晶表示素子1と全く同様とした液晶表示素子を、上述した製造方法にしたがって多数製造した。そして、まず、電圧無印加時の透過率と最低透過率との差と、一軸フィルムのリタデーションとの関係を調べた。
図3は、この液晶表示素子の構成において発現するリタデーションに対する、電圧無印加時の透過率と最低透過率との違いの関係を示す図である。図3において、x軸は、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を、液晶セルのリタデーションの値(図3では、パネルΔndとして示される。以下、本明細書において同じ。)、すなわち530nmで除した値を示す。ここで、図3のフィルムΔndとは、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を示す(以下、本明細書において同じ。)。一方、y軸は、各液晶表示素子の最低透過率を電圧無印加時の透過率で除した値を示す。
図3より、本発明の液晶表示素子の構成において発現するリタデーション、すなわち使用する一軸フィルムのリタデーションが大きくなるほど、最低透過率の値は電圧無印加時の透過率の値より小さくなることがわかる。したがって、使用する一軸フィルムのリタデーションが大きくなるほど、最低透過率は小さくなる可能性があるものの、電極層の配設された画素部分が目立ってしまって、不均一なOFF画像表示状態が発生する恐れがある。
次に、最低透過率を示す電圧をOFF電圧に設定し、OFF電圧を印加した状態であるOFF時において、周辺部分に対して、OFF電圧の印加された画素部分が目立つか否か、そして、それによって不均一なOFF画面の印象を視認者に与えるか否かを調べた。
OFF時において、周辺部分に対してOFF電圧の印加された画素部分が、透過率の違いにより目立つか否かの印象は、視認者にとって色差として認識される。そして、ΔE***表示において、画素部分と周辺部分における色差が3を超えると、OFF表示において画素部分の存在が感じられて不均一な画像の印象を視認者に与える。ここで、液晶表示素子1では、画素部分と周辺部分における色差が1.09であった。
次に、使用する一軸フィルムのリタデーションに対する、画素部分とその周辺部分の色差の関係を調べた。
図4は、図3の液晶表示素子の構成において発現するリタデーションと色差との関係を示す図である。図4において、x軸は、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を、液晶セルのリタデーションの値、すなわち530nmで除した値を示す。一方、y軸は、ΔE***表現による各液晶表示素子の色差を示す。
図4より、本発明の液晶表示素子の構成において発現するリタデーション、すなわち使用する一軸フィルムのリタデーションが大きくなるほど、OFF電圧が印加された状態であるOFF時において、画素部分とその周辺部分とのΔE***表現における色差が大きくなることがわかる。
また、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を液晶セルのリタデーションの値で除した値が10%以下である場合に、ΔE***表現における色差が3以下となることもわかる。
すなわち、OFF表示において画素部分の存在が感じられることが無く、不均一な画像の印象を与えないようにするためには、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を液晶セルのリタデーションの値で除した値が10%以下となるように、一軸フィルムのリタデーション等を設定することが望ましい。8%以下にすると、色差が1.5以下となって差異を視認できなくなることから、特に好ましい。
次に、液晶表示素子1と、位相差補償層5である一軸フィルムのリタデーションのみを変えた他は液晶表示素子1と全く同様の構造とした液晶表示素子とを用いて、1/16デューティ駆動による画質評価を行った。具体的には、最低透過率を示す電圧をOFF電圧に設定し、1/16デューティ駆動によるON時の透過率を評価した。
図5は、本液晶表示素子の構成において発現するリタデーションと、1/16デューティ駆動によるON時の透過率との関係を示す図である。図5において、x軸は、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を、液晶セルのリタデーションの値、すなわち530nmで除した値を示す。一方、y軸は、1/16デューティ駆動によるON時の透過率を示す。
図5より、本発明の液晶表示素子の構成において発現するリタデーション、すなわち使用する一軸フィルムのリタデーションが大きくなるほど、1/16デューティ駆動によるON時の透過率が大きくなることがわかる。そして、液晶表示素子の構成において発現するリタデーション値を液晶セルのリタデーションの値で除した値が約4%を超える値になると、1/16デューティ駆動によるON時の透過率が6%を超えるので、明るい高画質の画像表示を提供できる。
以上述べたように、本実施の形態によれば、VAモードにおいて液晶セルと偏光板の間に位相差補償層を設け、そのリタデーションの値と、進相軸と電圧印加時の液晶層配向方向とのなす角度とを調整することによって、OFF透過率を上昇させることなしに、V−T特性の急峻性を改善することができる。したがって、デューティ駆動を行った場合に、視野角度特性に優れた高コントラスト比の画像表示と、OFF時でも均一性を損なわない画像表示とを同時に実現することが可能となる。
実施の形態2.
図6は、本実施の形態における液晶表示素子11の部分断面図である。尚、液晶表示素子11は、VAモード液晶表示素子であるとする。
図6において、液晶表示素子11は、対向するそれぞれの表面に電極層(図示せず)が形成された一対のガラス基板(図示せず)と、この一対の基板に挟持された負の誘電異方性の液晶層とを備えた液晶セル12を有する。そして、液晶セル12の視認者側には円偏光板13が配置され、円偏光板13と液晶セル12との間には、リタデーションを有する位相差補償層14が設けられている。さらに、液晶セル12の反視認者側には反射板15が配置されている。
このように、使用する偏光板を円偏光板1枚とする本実施の形態の構成によれば、実施の形態1で説明した偏光板を液晶セルの前後に2枚配置する構成に比べて、より小さなΔn値を示す液晶組成物を選択して液晶層を構成したり、液晶層厚をより薄くしたりすることができる。これらの方法は、いずれも液晶の応答速度を速くする要因となるので、応答に優れた良好な見栄えの画像表示が可能となる。さらに、必要な偏光板が1枚で済むので、低コストで液晶表示素子を提供することができる。
液晶セル12を構成する、表面に電極層が形成された一対の基板においては、それぞれ他方の基板との対向面に垂直配向処理が施されている。そしてさらに、電圧印加時の液晶層の配向方向を規定するための配向処理が、併せて施されている。よって、液晶層では、液晶が初期配向状態として、配向方向に僅かに傾いた状態であって実質的に垂直な配向をする。電圧印加時においては、液晶層はそこから一定の方向に倒れて、液晶セル2を構成する基板と平行になるように動作する。
また、液晶層を構成する液晶は負の誘電率異方性を有しており、液晶セル12の基板表面の電極層を介して液晶層に電圧を印加し、液晶を基板と平行になるように動作させると、上記した配向処理方向に規定される液晶層の配向変化が生じ、液晶層の光学異方性が変化して液晶表示素子の表示部に画像が表示される。
このとき、円偏光板13と液晶セル12との間に設けられたリタデーションを有する位相差補償層14の配置については、この位相差補償層の進相軸と電圧印加時の液晶層の配向方向とのなす角度が、偏光板の吸収軸と電圧印加時の液晶層の配向方向とのなす角度より小さく且つ0度を超え50度未満となるように設定されていることが望ましい。位相差補償層を設け、このような設定を行うことにより、下記に説明するように、液晶表示素子11において高コントラスト比の表示画像が得られる。
位相差補償層14のリタデーションの大きさは、液晶層のリタデーションの値の0%より大きく且つ1.5%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0%より大きく且つ1.0%以下に設定する。上記の位相差補償層の配置角度設定と併せてこのような設定を行うことにより、下記でも説明するように、液晶表示素子1のOFF時において、表示部内の電極層領域である画素部分と、その周辺領域との見栄えの差異が少なくなり、OFF時も自然な見栄えの優れた表示画像が得られる。特に、1.0%以下に設定すると、差異が視認できなくなり、見栄えをさらに向上させることができる。
液晶セル12を構成する基板の表面に形成された電極層の構造は、キャラクター表示を含む画像の表示が可能なように設計されており、表示部の開口率は70%以下である。したがって、表示部において画素部分ではない周辺領域が大きく、上記したような位相差補償層14の設定により、液晶表示素子11においてOFF時において表示部内の画素部分と周辺領域との見栄えの差異が少なくなり、自然な見栄えが得られることはより重要となる。
次に、液晶表示素子11の製造方法の一例について説明する。
まず、一対のガラス基板の上に、所望の画像表示ができるようにパターニングされた電極層を設ける。電極層は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)電極とすることができる。
次いで、ガラス基板の上に、電極層を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO−TiOからなる膜とすることができる。
次に、液晶層において、液晶が初期配向状態として垂直に配向するように配向膜を形成する。例えば、JSR株式会社製の配向膜材料(商品名:JALS−2021)をフレキソ印刷法にて成膜し、基板を180℃で焼成することによって、厚さ60nm程度の配向膜を形成することができる。次いで、配向膜の表面にラビング処理を施して、上記した電界印加時の液晶の動作方向を定める。
次に、配向膜の形成工程までを終えた基板によって、液晶層を挟み込む。この際、例えば、樹脂スペーサを用いることによって、基板の間の距離(d)を一定に保つことができる。また、液晶層としては、例えば、屈折率異方性(Δn)が0.06625であるものを用いることができる。この場合、d=4.0μmとすると、液晶セル2のリタデーション(Δn・d)は265nmとなる。
次に位相差補償層14を設ける。具体的には、液晶セル12の視認者側の面に一軸フィルムを配置する。このとき、一軸フィルムにおいて設定するリタデーション値の表現は、液晶表示素子11の構成において発現するリタデーションの値を用いて行いうことができ、液晶セル12のリタデーション値である265nmの1.13%の値となるように設定する。そして、配置の方向は、その一軸フィルムの進相軸の方向と電圧印加時の液晶層の配向方向とのなす角度が5度となるように設定する。
次に、位相差補償層14の上に円偏光板13を設ける。また、液晶セル12の反視認者側の面に反射板15を設ける。
尚、詳細は図示されないが、本実施の形態における液晶表示素子1は、パッシブマトリクス構造である。すなわち、画像表示を構成する各画素部分には、TFT等のスイッチング素子は設けられておらず、電極層を用いたパッシブ駆動によって目的の画像が表示される。液晶表示素子11について1/16デューティー(1/16Duty)駆動し、特性を調べたところ、ON透過率は13.81%であった。なお、このとき液晶表示素子11の最低透過率は0.387%であり、この最低透過率を示す電圧をOFF電圧に設定した。
本実施の形態の液晶表示素子11においても、実施の形態1で説明した液晶表示素子1と同様のV−T特性を示す。すなわち、電圧を印加していくと、図2と同様に、所定の印加電圧領域において、透過率が電圧無印加時の透過率Tより小さくなる。そして、最低透過率値Tを示した後、更なる電圧の印加によって透過率は急上昇する。したがって、V−T特性は、非常に急峻なものとなる。それ故、液晶表示素子11は、デューティ駆動のパッシブマトリクス駆動において、高コントラスト比の画像表示が可能となる。尚、液晶表示素子11におけるT/Tの値は0.915である。
液晶表示素子11をパッシブマトリクス駆動しようとする場合、最低透過率Tを示す電圧値付近を駆動時におけるOFF電圧として設定することが好ましい。そうすることにより、OFF時の遮光度が高まって透過率が格段に低くなり、高レベルの沈んだ黒表示が得られる。一方、ON時には、高い透過率の表示が得られるので、高いコントラスト比の画像表示を実現することができる。
一方、電圧無印加時の透過率Tと最低透過率Tが異なることから、OFF時の表示画像において生じる問題については、次の通りである。すなわち、液晶表示素子11においては、最低透過率Tを示す電圧値付近をOFF電圧として設定した場合に、OFF表示時において、表示部内の電極層が形成されている領域であってOFF電圧が印加されている画素部分と、電極層が配設されていないために、電圧印加の有無にかかわらず液晶層が垂直配向の状態のまま動作をしない周辺部分の透過率とが異なってしまう。OFF時においては、液晶表示素子11の表示部全体が、均一な沈んだ黒を表示している状態が好ましいが、画素部分の透過率と周辺部分の透過率が異なるために、電極層の配設された画素部分が目立ってしまって、不均一なOFF画像表示状態が発生する恐れがある。
このような問題は、例えば、開口率70%以下の表示画像構造、特に、キャラクター表示を目的とするような開口率の小さな表示画像構造において、特に顕著となる。これは、表示部内の電極層の形成されている領域であって、電圧印加に伴って光が透過する画素部分に対して、電圧印加の有無にかかわらず、液晶層が垂直配向のままで動作をしない周辺領域の面積が大きいことによるものである。
そこで、位相差補償層14である一軸フィルムのリタデーションのみを変え、その他の構造は液晶表示素子11と全く同様とした液晶表示素子を、上述した製造方法にしたがって多数製造した。そして、まず、電圧無印加時の透過率と最低透過率との差と、一軸フィルムのリタデーションとの関係を調べた。
図7は、この液晶表示素子の構成において発現するリタデーションに対する、電圧無印加時の透過率と最低透過率との違いの関係を示す図である。図7において、x軸は、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を、液晶セルのリタデーションの値(図7では、パネルΔndとして示される。)、すなわち265nmで除した値を示す。ここで、図7のフィルムΔndとは、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を示す(以下、本明細書において同じ。)。一方、y軸は、各液晶表示素子の最低透過率を電圧無印加時の透過率で除した値を示す。
図7より、本発明の液晶表示素子の構成において発現するリタデーション、すなわち使用する一軸フィルムのリタデーションが大きくなるほど、最低透過率の値は電圧無印加時の透過率の値より小さくなることがわかる。したがって、使用する一軸フィルムのリタデーションが大きくなるほど、最低透過率は小さくなる可能性があるものの、電極層の配設された画素部分が目立ってしまって、不均一なOFF画像表示状態が発生する恐れがある。
次に、最低透過率を示す電圧をOFF電圧に設定し、OFF電圧を印加した状態であるOFF時において、周辺部分に対して、OFF電圧の印加された画素部分が目立つか否か、そして、それによって不均一なOFF画面の印象を視認者に与えるか否かを調べた。
OFF時において、周辺部分に対してOFF電圧の印加された画素部分が、透過率の違いにより目立つか否かの印象は、視認者にとって色差として認識される。そして、ΔE***表示において、画素部分と周辺部分における色差が3を超えると、OFF表示において画素部分の存在が感じられて不均一な画像の印象を視認者に与える。ここで、液晶表示素子11では、画素部分と周辺部分における色差が2.15であった。
次に、使用する一軸フィルムのリタデーションに対する、画素部分とその周辺部分の色差の関係を調べた。
図8は、図7の液晶表示素子の構成において発現するリタデーションと色差との関係を示す図である。図8において、x軸は、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を、液晶セルのリタデーションの値、すなわち265nmで除した値を示す。一方、y軸は、ΔE***表現による各液晶表示素子の色差を示す。
図8より、本発明の液晶表示素子の構成において発現するリタデーション、すなわち使用する一軸フィルムのリタデーションが大きくなるほど、OFF電圧が印加された状態であるOFF時において、画素部分とその周辺部分とのΔE***表現における色差が大きくなることがわかる。
また、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を液晶セルのリタデーションの値で除した値が1.5%以下である場合に、ΔE***表現における色差が3以下となることもわかる。
すなわち、OFF表示において画素部分の存在が感じられることが無く、不均一な画像の印象を与えないようにするためには、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を液晶セルのリタデーションの値で除した値が1.5%以下となるように、一軸フィルムのリタデーション等を設定することが望ましい。1.0%以下にすると、色差がさらに小さくなって差異を視認できなくなることから、特に好ましい。
次に、液晶表示素子11と、位相差補償層14である一軸フィルムのリタデーションのみを変えた他は液晶表示素子11と全く同様の構造とした液晶表示素子とを用いて、1/16デューティ駆動による画質評価を行った。具体的には、最低透過率を示す電圧をOFF電圧に設定し、1/16デューティ駆動によるON時の透過率を評価した。
図9は、本液晶表示素子の構成において発現するリタデーションと、1/16デューティ駆動によるON時の透過率との関係を示す図である。図9において、x軸は、各液晶表示素子の構成において発現するリタデーションの値を、液晶セルのリタデーションの値、すなわち265nmで除した値を示す。一方、y軸は、1/16デューティ駆動によるON時の透過率を示す。
図9より、本発明の液晶表示素子の構成において発現するリタデーション、すなわち使用する一軸フィルムのリタデーションが大きくなるほど、1/16デューティ駆動によるON時の透過率が大きくなることがわかる。そして、液晶表示素子の構成において発現するリタデーション値を液晶セルのリタデーションの値で除した値が約1%を超える値になると、1/16デューティ駆動によるON時の透過率が13%を超えるので、非常に明るい高画質の画像表示を提供できる。
以上述べたように、本発明によれば、VAモードにおいて液晶セルと円偏光板の間に位相差補償層を設け、そのリタデーションの値と、進相軸と電圧印加時の液晶層配向方向とのなす角度とを調整することによって、OFF透過率を上昇させることなしに、V−T特性の急峻性を改善することができる。したがって、デューティ駆動を行った場合に、視野角度特性に優れた高コントラスト比の画像表示と、OFF時でも均一性を損なわない画像表示とを同時に実現することが可能となる。
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
例えば、本発明は、半透過反射板を使用した半透過型の液晶表示素子にも適用することができる。具体的には、実施の形態1で反射板6を半透過型反射板とする他は、液晶表示素子1と同様の構成とすればよい。この場合、バックライトを併用することによって、外光が乏しい環境下においても画像表示を可能とすることができる。
また、半透過型液晶表示素子の別の構成例としては、実施の形態1で液晶表示素子1を構成する液晶セル2と同様の構成の液晶セルであって、さらに、表示部に透過領域と反射領域とを有し、反射領域の電極層上に、反射領域の液晶層の厚さを透過領域の液晶層の厚さの約半分とする反射段差層が設けられている液晶セルを使用し、その液晶セルを一対の円偏光板で挟持したものを挙げることができる。
実施の形態1における液晶表示素子の部分断面図である。 実施の形態1における液晶表示素子のV−T曲線である。 実施の形態1における液晶表示素子の構成で発現するリタデーションと、電圧無印加時の透過率および最低透過率との関係を示す図である。 実施の形態1における液晶表示素子の構成で発現するリタデーションと色差との関係を示す図である。 実施の形態1における本液晶表示素子の構成で発現するリタデーションと1/16デューティ駆動によるON時の透過率との関係を示す図である。 実施の形態2における液晶表示素子の部分断面図である。 実施の形態2における液晶表示素子の構成で発現するリタデーションと、電圧無印加時の透過率および最低透過率との関係を示す図である。 実施の形態2における液晶表示素子の構成で発現するリタデーションと色差との関係を示す図である。 実施の形態2における本液晶表示素子の構成で発現するリタデーションと1/16デューティ駆動によるON時の透過率との関係を示す図である。 VAモードの液晶表示素子で、Δndを高く設定したときのV−T特性の変化を示す図である。
符号の説明
1,11 液晶表示素子
2,12 液晶セル
3,4 偏光板
5,14 位相差補償層
6,15 反射板
13 円偏光板

Claims (5)

  1. 対向するそれぞれの表面に電極層が形成された、少なくとも一方が透明である一対の基板で負の誘電異方性を有する液晶層を挟持することにより構成される液晶セルと、前記液晶セルを挟持する一対の偏光板と、前記一対の偏光板における前記基板との対向面とは反対側であって、前記一対の偏光板のうちの反視認者側の偏光板上に配置された反射板とを備え、前記液晶セルの基板の電極層を介して前記液晶層に電圧を印加することによって、表示部で画像を表示する液晶表示素子において、
    前記一対の基板の少なくとも一方の基板について、他方の基板との対向面に垂直配向性の配向膜が設けられ、該配向膜は電圧印加時の前記液晶層の配向方向を規定するよう配向処理が施されており、
    前記一対の偏光板は、一方の偏光板の吸収軸と他方の偏光板の吸収軸との交差角度が90度±5度になるように配置されており、
    前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間には、リタデーションを有する位相差補償層が備えられ、該位相差補償層の進相軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度は、偏光板の吸収軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度より小さく且つ0度を超え50度未満となるように設定されており、
    前記表示部の開口率は70%以下であることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 対向するそれぞれの表面に電極層が形成された、少なくとも一方が透明である一対の基板で負の誘電異方性を有する液晶層を挟持することにより構成される液晶セルと、前記一対の基板における前記液晶層との対向面とは反対側であって、前記一対の基板の視認者側に配置された円偏光板と、前記一対の基板のうちの反視認者側の基板に配置された反射板とを備え、前記液晶セルの基板の電極層を介して前記液晶層に電圧を印加することによって、表示部で画像を表示する液晶表示素子において、
    前記一対の基板の少なくとも一方の基板について、他方の基板との対向面に垂直配向性の配向膜が設けられ、該配向膜は電圧印加時の前記液晶層の配向方向を規定するよう配向処理が施されており、
    前記円偏光板と前記液晶セルとの間には、リタデーションを有する位相差補償層が備えられ、該位相差補償層の進相軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度は、偏光板の吸収軸と電圧印加時の前記液晶層の配向方向とのなす角度より小さく且つ0度を超え50度未満となるように設定されており、
    前記表示部の開口率は70%以下であることを特徴とする液晶表示素子。
  3. 前記位相差補償層のリタデーションの値は、前記液晶層のリタデーションの値の0%より大きく且つ10%以下である請求項1に記載の液晶表示素子。
  4. 前記位相差補償層のリタデーションの値は、前記液晶層のリタデーションの値の0%より大きく且つ1.5%以下である請求項2に記載の液晶表示素子。
  5. 前記液晶表示素子は、パッシブマトリクス型の液晶表示素子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
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