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JP2007169330A - 透明フィルム、光学フィルム、透明フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

透明フィルム、光学フィルム、透明フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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JP2007169330A
JP2007169330A JP2005365122A JP2005365122A JP2007169330A JP 2007169330 A JP2007169330 A JP 2007169330A JP 2005365122 A JP2005365122 A JP 2005365122A JP 2005365122 A JP2005365122 A JP 2005365122A JP 2007169330 A JP2007169330 A JP 2007169330A
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Abstract

【課題】光学的に透明であり、優れた弾性率、高耐久性、高い寸度安定性、高硬度で視認性に優れるなどの少なくとも一つの性質を有する透明フィルム、又は光学フィルム、該透明又は該光学フィルムを用いて得られる偏光板、該透明又は該光学フィルム又は偏光板を用いて得られる液晶表示装置の提供。
【解決手段】8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーから形成された層を有することを特徴とする透明フィルム、又は透明支持体1上に、8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーから形成されたハードコート層2を有することを特徴とする光学フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明フィルム、光学フィルム、及びこれらのフィルムを用いた、偏光板および画像表示装置、並びに透明フィルムの製造方法に関する。
セルロースアシレートフィルムは透明で、優れた物理的、機械的性質を有し、且つ温度湿度変化に対する寸法変化が少なく、従来からハロゲン化銀感光材料フィルム用支持体、製図トレーシングフィルム、電気絶縁材料などの広い分野で使用され、最近では液晶画像表示装置の偏光板用保護フィルムとして使用されている。
近年、液晶画像表示装置は高精細化・大型化がますます進み、偏光板用保護フィルムとして優れた光透過性、光学的な無配向性、偏光素子との良好な接着性、優れた平面性、紫外線吸収性、帯電防止性等の性質、温湿度変化に傷に対する耐久性が求められている。
また、液晶表示装置に用いられる光学的に異方性を有する光学補償フィルムは、液晶表示装置を斜めから見ると表示性能が低下するという液晶表示装置特有の視野角特性を改良するために、その重要性がますます高まっている。
光学補償フィルムは、液晶表示装置の動作モードにより種々のタイプのものが考案・市販されており、例えばセルロースアシレートフィルムそのものに光学的異方性を付与したもの;セルロースアシレートフィルムを支持体として用い、その上に液晶性化合物又は、光学的に異方性をもつ高分子化合物を積層したもの;などが知られている。この分野において、セルロースアシレートフィルム等の透明フィルムの温湿度変化に対する耐久性が求められている。
また反射防止膜等の光学フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置(画像表示装置)において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、防眩効果及び/または光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようディスプレイの最表面に配置される。光学フィルムの硬度、耐擦傷性などの耐久性向上が望まれている。
従来、種々のフィルムにおいて、硬度を高めるために多官能アクリレートが用いられてきたが、通常は3官能のトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレーTP(PETA)や6官能のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)あるいはその誘導体が用いられていた。それ以上の官能基を持った化合物を用いることは、コストの上昇、官能基数の増大の割に硬度が増大しない等理由により稀であった。
上記課題に対しセルロースアシレートフィルム等の透明フィルムを改質する方法として、架橋剤により三次元架橋されているセルロースエステルフィルムを含んで構成されることを特徴とする光学フィルム(特許文献1);セルロースエステルの残留ヒドロキシル基が共有結合を介して架橋構造を形成し、且つ架橋部分に芳香族環を少なくとも1つ以上有し、面内リターデーション値Reが20〜300nmであり、延伸されていることを特徴とするセルロースエステルフィルム(特許文献2);熱架橋性有機化合物の存在下で製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルム(特許文献3);などがある。これらの文献では、架橋剤としてジビニル化合物、アルデヒド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、エチレンイミン等が記載されているが、透明フィルムの弾性率、透湿度、寸度安定性のさらなる向上が望まれている。
また、反射防止膜などの光学フィルムの耐久性、特に硬度の向上については、塗布膜厚を上げたり、硬化条件の変更による改良の試みがなされてきた。しかし、いずれもカールなど他の物性に悪影響を及ぼすため、光学フィルムのさらなる改良が望まれている。
特開2004−109307号公報 特開2004−244497号公報 特開2004−292558号公報
本発明の目的は、光学的に透明であり、優れた弾性率、高耐久性、高い寸度安定性、高硬度で視認性に優れるなどの少なくとも一つの性質を有する透明フィルムの提供にある。また他の本発明の目的は、優れた弾性率、高耐久性、高い寸度安定性の少なくとも一つの性質を有する光学フィルムの提供にある。さらに、本発明の目的は、該透明又は該光学フィルムを用いて得られる偏光板、該透明又は該光学フィルム又は偏光板を用いて得られる液晶表示装置の提供にある。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
(1)8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーから形成された層を有することを特徴とする透明フィルム。
(2)透明支持体上に、8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーから形成されたハードコート層を有することを特徴とする光学フィルム。
(3)前記ハードコート層の上に、該ハードコート層より屈折率の低い低屈折率層の2層を有することを特徴とする前記2に記載の光学フィルム。
(4)セルロースアシレートと、8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーとを含有するセルロースアシレート溶液を流延する流延工程と、該流延工程により形成されたフィルムを活性エネルギー線により硬化する硬化工程とを有することを特徴とする透明フィルムの製造方法。
(5)前記4の製造方法により製造された透明フィルム。
(6)前記1もしくは5に記載の透明フィルム、又は前記2もしくは3に記載の光学フィルムを偏光子の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
(7)前記1もしくは5に記載の透明フィルム、前記2もしくは3に記載の光学フィルム、又は前記6に記載の偏光板の少なくともいずれかを有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、光学的に透明であり、優れた弾性率、高耐久性、高い寸度安定性、高硬度で視認性に優れるなどの少なくとも一つの性質を有する本発明の透明フィルムを得ることができる。また、優れた弾性率、高耐久性、高い寸度安定性の少なくとも一つの性質を有する光学フィルムを得ることができる。さらに、該透明又は該光学フィルムを用いることで、膜強度(弾性率)、高耐久性、高硬度で視認性に優れるなどの少なくとも一つの性質を有する偏光板、該透明又は該光学フィルム又は偏光板を用いて得られる液晶表示装置を得ることができる。
本発明の透明フィルムは、用途は特に限定されないが、液晶表示装置等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野拡大フィルム、液晶表示装置・プラズマディスプレイ等に用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルム、ハロゲン化銀写真感光材料に用いられる支持体フィルム、また、有機ELディスプレイ等にも使用できる各種機能フィルム等の光学用途に好適に利用できる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明の透明フィルムは、アクリレート基を8以上30以下含む少なくとも一種のモノマーから形成された層を有することを特徴とする透明フィルムである。本発明の光学フィルムは、透明支持体上に、8以上30以下のアクリレート基を有するモノマーから形成されたハードコート層(モノマーを硬化することによって得られたハードコート層)を有することを特徴とする光学フィルムである。
液晶ディスプレイに用いられるセルロースアシレートなどの透明フィルムや、表面保護フィルムとして用いるハードコートフィルムや反射防止フィルムなどの光学フィルムに対して、1分子中に8以上30以下のアクリレート基を含むモノマーから形成された層を有することにより、得られるフィルムが、湿度によりムラが変化する現象や硬度が予想外に向上することが分かった。
本発明の、透明フィルム、又は光学フィルムにおいて、8以上30以下のアクリレート基を有するモノマーは、1分子中にアクリレート基の数を8以上30以下有する。該アクリレート基の数は、好ましくは10以上20以下であり、より好ましくは12以上20以下であり、さらに好ましくは14以上20以下である。
本発明の、透明フィルム、又は光学フィルムにおいて、アクリレート基を8以上30以下含むモノマーは、その形状は特に限定されないが、側鎖にアクリレート基を結合した主鎖構造又は(三次元)樹状構造であることが好ましく、(三次元)樹状構造であることがより好ましい。樹状構造とは、中心(コア)部分と、分岐した部分(デンドロン)と、末端部分とが各々連結した分子構造を意味する。アクリレート基の位置は特に限定されないが、樹状構造において、末端部分に位置することが好ましい。
本発明において、アクリレート基を8以上30以下含むモノマーの使用量は、セルロースアシレートのような透明フィルムに用いる場合と、支持体上に塗布して得られる光学フィルム(ハードコートフィルムや反射防止フィルム)に用いる場合とでは異なる。前者の場合、セルロースアシレートなどの基材となるフィルムに対し重量で3%以上35%以下であることが好ましく、5%以上30%以下であることがより好ましく、10%以上25%以下であることが最も好ましい。後者の場合、1つの層の使用素材全重量に対し5%以上100%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以上95%以下であり、45%以上90%以下であることが最も好ましい。
以下に化合物の具体例を記載するが、これに限るものではない。なお、実施例における例示化合物1−1とは下記に示される1−1に相当する。
1.透明フィルム
本発明の透明フィルムについて詳述する。本発明の透明フィルムは、アクリレート基を8以上30以下含む少なくとも一種のモノマーから形成された層を有するフィルムであり、アクリレート基を8以上30以下含むモノマーをセルロースアシレート中に添加した透明フィルムであることが好ましい。1分子中のアクリレート基の数を増加させると、通常フィルムのカール性が悪くなるが、本発明のアクリレート基を8以上30以下含むモノマーを用いると、本発明の透明フィルムはカールしにくいという予想外の性質を有することが分かった。以下に、本発明の透明フィルム及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明の透明フィルムは、セルロースアシレート、多官能アクリレート化合物、並びに必要に応じて硬化触媒を含有するセルロースアシレート溶液を流延する工程(流延工程)と、該流延工程により形成されたフィルムを光により架橋反応させる工程とを含む、溶液流延方法により製造される。
1−1.透明フィルム構成物
1−1−1.セルロースアシレート
セルロースアシレートの原料のセルロースとしては、綿花リンター、ケナフ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等があり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
本発明においては、セルロースをエステル化してセルロースアシレートを作製するが、特に好ましい上記のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、綿花リンター、ケナフ、パルプ等を精製して用いられる。
本発明においてセルロースアシレートとは、セルロースの総炭素数が2〜22のカルボン酸エステルのことである。
[アシル基]
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族アシル基でも芳香族アシル基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、シクロアルキルカルボニルエステル、又は芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。
これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、シクロヘキサンカルボニル、アダマンタンカルボニル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、(メタ)アクリロイル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、より好ましいアシル基は、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサンカルボニル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニルなどであり、特に好ましいアシル基としてはアセチル、プロピオニル、ブタノイルである。
セルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行 発明協会)p.9に詳細に記載されている。
本発明に好適に用いられるセルロースアシレートとしては、セルロースの水酸基への置換度が下記数式(1)及び(2)を満足するものが好ましい。
数式(1):2.3≦SA'+SB'≦3.0
数式(2):0≦SA'≦3.0
ここで、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA'+SB')は、より好ましくは2.6〜3.0であり、特に好ましくは2.8〜3.0である。また、SAの置換度(SA')はより好ましくは1.4〜3.0であり、特には2.3〜2.9である。
なお、置換度はセルロース中の水酸基に結合した脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTM D−817−91、ASTM D−817−96に準拠して測定することができる。また、水酸基へのアシル基の置換の状態は、13C NMR法によって測定される。
上記透明フィルムとしてのセルロースアシレートフィルム(以下、単にセルロースアシレートフィルムともいう)は、フィルムを構成するポリマー成分としてのセルロースアシレートが、実質的に前記の数式(1)及び(2)を満足するセルロースアシレートからなることが好ましい。
ここで「実質的に」とは、全セルロースアシレート成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。セルロースアシレートは単独もしくは2種類以上の併用であってもよい。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは230〜550、更に好ましくは230〜350であり、特に好ましくは粘度平均重合度240〜320である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
またセルロースアシレートの数平均分子量Mnは、好ましくは7〜25×104の範囲、より好ましくは、8〜15×104の範囲にあることが望ましい。また、該セルロースアシレートの質量平均分子量Mwとの比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定でき、これを用いて上記Mn及びMwを算出し、Mw/Mnを計算することができる。
1−1−2.添加剤
本発明の透明フィルムは、前記セルロースアシレートに対し、可塑剤(特に好ましくは、後述するオクタノール/水分配係数(logP値)が0〜10である可塑剤)、及び微粒子(特に好ましくは、後述する平均一次粒径3〜100nmの微粒子)を各々少なくとも1種含有してもよい。
次に、本発明において、透明フィルムに含有させることができる可塑剤及び微粒子など、各種の添加剤について説明する。
(1)可塑剤
本発明で用いられる可塑剤は、透明フィルムに対し、さらに、柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために添加される成分である。好ましい可塑剤は、沸点が200℃以上で、25℃で液体であるか、又は融点が25〜250℃である固体であることが好ましい。更に好ましくは沸点が250℃以上で、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である可塑剤が挙げられる。可塑剤が液体の場合は、その精製は通常減圧蒸留によって実施され、高真空ほど好ましく、本発明では、特に200℃における蒸気圧が1333Pa以下の可塑剤を用いることが好ましく、より好ましくは蒸気圧667Pa以下、更に好ましくは133〜1Paの化合物が好ましい。
これらの好ましく添加される可塑剤としては、上記の物性の範囲内にあるリン酸エステル、カルボン酸エステル、ポリオールエステル等が用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が含まれる。
カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート等が挙げられる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。これらの好ましい可塑剤は、25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなどがある。
また、特開平5−194788号、特開昭60−250053号、特開平4−227941号、特開平6−16869号、特開平5−271471号、特開平7−286068号、特開平5−5047号、特開平11−80381号、特開平7−20317号、特開平8−57879号、特開平10−152568号、特開平10−120824号の各公報などに記載されている可塑剤も好ましく用いられる。これらの公報によると可塑剤の例示だけでなく、その利用方法又はその特性についての好ましい記載が多数あり、本発明においても好ましく用いられるものである。
その他の可塑剤としては、特開平11−124445号公報記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号公報記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号公報記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号公報記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号公報記載の置換フェニルリン酸エステル類、特開2003−165868号公報等記載の芳香環とシクロヘキサン環を含有するエステル化合物などが好ましく用いられる。
更には本発明では、オクタノール/水分配係数(logP値)が0〜10である可塑剤が特に好ましく用いられる。化合物のlogP値が10以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性が良好で、フィルムの白濁や粉吹きなどの不具合を生じることがなく、またlogP値が0よりも大きければ、親水性が高くなりすぎることがないので透明フィルムの耐水性を悪化させるなどの弊害が生じにくいため、上記範囲内のものを用いることが好ましい。logP値として、さらに好ましい範囲は1〜8であり、特に好ましい範囲は2〜7である。
オクタノール/水分配係数(logP値)の測定は、JIS Z−7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール/水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法又は経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法[“J.Chem.Inf.Comput.Sci.”,27巻21頁(1987)]、Viswanadhan's fragmentation法[“J.Chem.Inf.Comput.Sci.”,29巻163頁(1989)]、Broto's fragmentation法[“Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.”,19巻71頁(1984)]などが好ましく用いられるが、中でもCrippen's fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が、測定方法又は計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
また、分子量1000〜10万の樹脂成分を有する高分子可塑剤も好ましく用いられる。例えば、特開2002−22956号公報に記載のポリエステル及び又はポリエーテル、特開平5−197073号公報に記載のポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン又はポリエステル、特開平2−292342号公報に記載のコポリエステルエーテル、特開2002−146044号公報等記載のエポキシ樹脂又はノボラック樹脂等が挙げられる。
これらの可塑剤は単独もしくは2種類以上を混合して用いてもよい。可塑剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して2〜30質量部、特に5〜20質量部が好ましい。
(2)微粒子
本発明の透明フィルムに好ましく用いられる微粒子は、フィルムの摩擦特性の向上、機械的強度並びにさらなる寸法安定性の向上及び耐湿性を向上させるために添加されるもので、疎水性であるのが好ましい。
微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは、1〜100nmであり、より好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは3〜80nmであり、特に好ましくは5〜60nmであり、最も好ましくは、5〜50nmである。微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡で粒子を測定し、平均粒径を求めることができる。
微粒子の見掛け比重としては、70g/L以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/Lであり、特に好ましくは、100〜200g/Lである。
微粒子の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して0.005〜2質量部、特に0.01〜1.0質量部とするのが好ましい。
微粒子の好ましい具体例は、無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは珪素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであり、透明フィルムのヘイズ上昇を抑制できるので、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
本発明の透明フィルムに好適に用いられる微粒子としては、セルロースアシレート溶液(ドープ)中及び製膜後のフィルム中での凝集が抑制されて、微粒子として安定に分散されるなどの理由から、表面処理されていることが好ましい。表面処理は、微粒子の表面を有機化合物で処理するなどして行われ、その際用いることができる有機化合物の例には、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤などを挙げることができ、例えば「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。具体的には、該微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物が挙げられる。
微粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等があげられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物{例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH(エピクロルヒドリン)変性グリセロール等}、ホスホノ基含有化合物{例えばEO(エチレンオキシド)変性リン酸等}、アルカノールアミン{エチレンジアミンEO付加体(5モル)等}等が挙げられる。
カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載のカップリング化合物が挙げられる。
表面処理に際しては、上記の化合物を2種類以上併用することもできる。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、東芝シリコーン(株)から上市されている「トスパール」の商品名を有する市販品が使用できる。
本発明で使用される微粒子の形状は、特に限定されないが米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、不定形状が好ましい。微粒子は単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
本発明に好ましく供される微粒子は、製膜後のフィルム中に均一に分散されることが好ましい。そこで微粒子は、以下のような態様等で微粒子分散物を調製した後にドープ液に導入されることが好ましい。
(1)溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、ドープ液に加えて撹拌する。
(2)溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、別に溶媒に少量のセルロースアシレートを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌して得られる微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
(3)溶媒に少量のセルロースアシレートを加えて撹拌溶解し、これに微粒子を加えて分散機で分散して微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
分散物中の微粒子の一次粒子の質量平均径は3〜200nmであることが好ましく、より好ましくは3〜150nm、さらに好ましくは3〜100nm、特に好ましくは5〜80nmである。特に、本発明における湿式分散物中の分散微粒子は、分散時において微粒子の比表面積を過度に大きくしないために、微粒子を一次粒径以上に実質的に維持することが好ましい。更には、湿式分散物中の分散微粒子中には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。更には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。このことにより、光学的欠陥のない、ヘイズ値の小さい透明性良好なフィルムであり、表面に粗大な凹凸のない、微細な凹凸形状を形成することができる。
(3)紫外線防止剤
本発明の透明フィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或いは偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線防止剤を添加することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
このような紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、前記のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロリド、ジオキソランなどの有機溶媒に溶解してから添加してもよいし、また直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶媒に溶解しないものは、有機溶媒とセルロースアシレート中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
本発明において紫外線吸収剤の使用量は、セルロースアシレート100質量部に対し0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜2.0質量部、より好ましくは0.8〜2.0質量部である。
(4)レターデーション調整剤
本発明の透明フィルムには、レターデーション調整剤を含有させることができる。レターデーション調整剤の使用によってフィルムの光学特性を所望の範囲に調節することが可能となり、液晶表示装置に用いる偏光板保護フィルムなどの光学用途に好適な透明フィルムを得ることができる。
本発明の透明フィルムは、レターデーションを上昇させる化合物(レターデーション上昇剤)を添加し延伸することで、レターデーションを発現させることが可能になり、位相差フィルムとして使用できる。レターデーション上昇剤としては、棒状の構造や平面性の構造を有する化合物が好ましく用いられる。
また、フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物(レターデーション低減剤)を含有させることで、光学異方性の小さい透明フィルムを得ることができ、偏光板保護膜や光学補償フィルムの支持体として好ましく使用できる。このためには光学異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。本発明においてレターデーション調整剤の好ましい使用量は、セルロースアシレート100質量部に対し0.01〜30質量部、好ましくは1〜25質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
(5)他の添加剤
更に、本発明に用いられるセルロースアシレート溶液(ドープ)には、各調製工程において用途に応じた他の種々の添加剤{例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等}を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。さらにまた、赤外吸収剤としては例えば特開平2001−194522号公報に記載のものが使用できる。
これらの添加剤を添加する時期は、ドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、本発明の透明フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。上記の紫外線吸収剤を含めてこれらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)16〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
これらの添加剤の使用量は、セルロースアシレート溶液(ドープ)中の全固形分に基づいて、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
1−1−3.溶媒
次に、本発明に用いられるセルロースアシレートを溶解する有機溶媒について記述する。用いられる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメータで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメータは、例えばJ.Brandrup,E.H.等の“Polymer Handbook”,第4版、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3〜12のケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報段落番号[0020]、同11−60807号公報段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
本発明においてセルロースアシレートは、有機溶媒に10〜30質量%溶解している溶液であることが好ましいが、より好ましくは13〜27質量%であり、特には15〜25質量%溶解しているセルロースアシレート溶液であることが好ましい。これらの濃度にセルロースアシレートを調製する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように調製してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれかの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
1−2−4.光硬化剤
本発明の透明フィルムは、アクリレートを硬化させるため、光開始剤や、光硬化反応を促進するための光増感剤を添加することが好ましい。
<光開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物が挙げられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組合せが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
1−2.透明フィルムの製造方法
本発明の透明フィルムは、上記の各組成物を混合したセルロースアシレート溶液(ドープを調製し、それを流延し、その後必要に応じて表面処理することができる。
1−2−1.ドープの調製
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製について、その溶解方法は、特に限定されるものではなく、室温溶解法、冷却溶解法又は高温溶解方法により実施され、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。これらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても、その範囲内であればこれらの技術を適宜適用できるものである。これらの詳細、特に非塩素系溶媒系については、前記の公技番号2001−1745号の22〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。
さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮、濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明のセルロースアシレート溶液は、その溶液の粘度と動的貯蔵弾性率が特定の範囲であることが好ましい。試料溶液1mLをレオメーター“CLS500”に直径4cm/2゜の“Steel Cone”(共にTA Instrumennts社製)を用い、測定条件はOscillation Step/Temperature Rampで40℃〜−10℃の範囲を2℃/分で可変して測定し、40℃の静的非ニュートン粘度n*(Pa・sec)及び5℃の貯蔵弾性率G'(Pa)を求める。試料溶液は、予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始する。本発明では、40℃での粘度が1〜300Pa・secであり、且つ−5℃での動的貯蔵弾性率が1万〜100万Paであることが好ましい。より好ましくは、40℃での粘度が1〜200Pa・secであり、且つ−5℃での動的貯蔵弾性率が3万〜50万Paである。
1−2−2.透明フィルムの製造方法
次に、上記セルロースアシレート溶液を用いた本発明の透明フィルムとしてのセルロースアシレートフィルムの製造方法について述べる。上記セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、セルローストリアセテートフィルム製造に供するドラム方法又はバンド方法と称される、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。
流延工程でもちいる金属支持体は、その表面が算術平均粗さ(Ra)が0.015μm以下で、十点平均粗さ(Rz)が0.05μm以下であることが好ましい。より好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.01μmで、十点平均粗さ(Rz)が0.001〜0.02μmである。更に好ましくは、(Ra)/(Rz)比が0.15以上である。このように、金属支持体の表面粗さを所定の範囲とすることで、製膜後のフィルムの表面形状を後述する好ましい範囲内に制御できる。
以下、バンド法を例として製膜の工程を説明する。
調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して、巻き取り機で所定の長さに巻き取る。乾燥工程における乾燥温度は40〜250℃、特に70〜180℃が好ましい。
更に残留溶媒を除去するために、50〜160℃で乾燥させ、その場合逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることが好ましい。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載されている。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することができる。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合わせに応じて適宜選ぶことができる。最終仕上がりフィルムの残留溶媒量は2質量%以下、更に0.4質量%以下であることが、寸度安定性良好なフィルムを得る上で好ましい。これらの乾燥工程の具体的な方法は、例えば、前述の発明協会公開技報に記載の従来公知の方法及び装置のいずれを用いてもよく、特に限定されるものではない。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。これらの各製造工程については、前記の公技番号2001−1745号25〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び/又は逐次共流延してもよい。
作製されたセルロースアシレートフィルムは、さらに延伸処理により乾燥ムラや乾燥収縮で発生する膜厚ムラ、表面凹凸を改善することができる。また、延伸処理はレターデーションを調整することにも用いられる。
巾方向延伸処理の方法に特に限定はないが、その例としてテンターによる延伸方法が挙げられる。
また、更に好ましくは、ロールの長手方向に縦延伸を行うことであり、ロールフィルムを搬送するパスロール間にて、それぞれのパスロールのドロー比(パスロール同士の回転比)を調節することにより、縦延伸が可能となる。
1−2−3.硬化工程
上記乾燥、延伸工程の後、光や電子線などの電離放射線を照射することによりアクリレートの硬化反応を進行させることが好ましい。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、電離放射線を照射しかつ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度60℃以上に加熱した状態で、酸素濃度10体積%以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。
また電離放射線照射と同時および/または連続して酸素濃度3体積%以下の雰囲気で加熱されることも好ましい。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒以下では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。また長時間低酸素条件を維持することは、設備が大型化し、多量の不活性ガスが必要であり好ましくない。
酸素濃度は6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、窒素などの多量な不活性ガスの使用が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
不活性ガスを電離放射線照射室に供給し、かつ照射室のウェッブ入口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送にともなう導搬エアーを排除し反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。照射室のウェッブ入口側での不活性ガスの流れの方向は、照射室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。
不活性ガスをウェッブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。
また前記反応室の前に前室を設け、事前にウェッブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室または前室のウェッブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室または前室の入口面とウェッブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、電離放射線反応室または前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室または前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室または前室の入口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を取ることができる。
硬化の際、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。60℃以下では加熱の硬化は少なく、170℃以上では基材の変形などの問題が生じる。更にこの好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムが前記温度になる時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。フィルム面の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できず、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、また設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。
1−2−4.表面処理
本発明の透明フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、透明フィルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。
ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などが挙げられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。
なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液を塗布することで行ことも好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。
アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。
アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、2秒以上1分以下がさらに好ましく、3秒以上30秒以下が特に好ましい。
アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗するか又は、酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。更に、本発明で得られる透明フィルムとしてのセルロースアシレートフィルムは、アルカリ処理を浸漬法で実施してもよい。すなわち、アルカリ処理浴、水洗浴、酸処理浴更に水洗浴、場合によりリンス浴などを連続的又は間歇的に配置して、表面処理を実施できる。この場合各溶液は、塗布方式で使用される対応する溶液と内容としては、同一の組成である。
フィルムと各種機能層との接着を達成するために、表面活性化処理をしたのち、直接上記透明フィルム上に機能層を塗布して接着力を得る方法と、一旦何がしかの表面処理をした後、又は表面処理なしで、下塗層(接着層)を設けこの上に機能層を塗布する方法とがある。これらの下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁に記載されている。また本発明の透明フィルムとしてのセルロースアシレートフィルムに設けることのできる機能層についても、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている各種の機能層を適用することができる。
1−3.透明フィルムの特性
本発明の透明フィルムの膜厚は、20〜150μmであることが好ましく、より好ましくは、30〜120μmである。
本発明の透明フィルムは偏光板用保護フィルムとして好適に使用され、該透明フィルムは、以下のような特性を有する。
1−3−1.フィルム表面の性状
偏光板用保護フィルムとして用いる透明フィルムは、特定の表面形状を有するのが好ましい。以下、透明フィルムの表面形状について説明する。
前記透明フィルムの反射防止膜を設ける側の表面は、JIS B−0601−1994に基づくフィルムの表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.08μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.1μm、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることがより好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.0002〜0.015μm、十点平均粗さ(Rz)が0.002〜0.05μm、且つ最大高さ(Ry)が0.05μm以下であることがさらに好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.010μm、十点平均粗さ(Rz)が0.002〜0.025μm、且つ最大高さ(Ry)が0.04μm以下であることが特に好ましい。これらの範囲内において、塗布ムラの無い均一な塗布面状で、且つ偏光板用保護フィルムとの密着性が良好な反射防止膜が設けられ、且つ偏光子の透明保護フィルムとして偏光子と貼り合せた場合に密着性が良好となり好ましい。
表面の凹と凸の形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等により評価することができる。
また、上記透明フィルムにおける大きさ100μm以上の視覚的な光学的欠陥の数は、1m2当たり1個以下であるのが、均一で鮮明なフィルムを得率よく生産できる等の点から好ましい。この光学的な欠陥は、偏光顕微鏡を用い、クロスニコル下でフィルムの遅相軸を偏光子の吸収軸と平行にして観察することができる。輝点として見える欠点を円形に面積近似し、その直径が100μm以上のものを数える。100μm以上の輝点は、肉眼で容易に観測できる。
すなわち、上記透明フィルムは、その表面が、JIS B−0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、且つ大きさが100μm以上である視覚的な光学的欠陥の数が1m2当たり1個以下であるのが好ましい。以上のような表面形状としたフィルムとすることで、光学的な欠陥や輝度ムラ等の表示画像の不均一さが著しく軽減され、このましい。
1−3−2.フィルムの力学特性
(寸度変化)
本発明の透明フィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率及び、90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、透明フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ{新東科学(株)}にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。各条件における寸度変化率は、次の数式(4)及び(5)により求めることができる。
数式(4):60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、
数式(5):90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100。
(弾性率)
透明フィルムの弾性率は、フィルム中のセルロースアシレート分子鎖の運動の自由度と相関があり、弾性率が大きいものほどセルロースアシレート分子鎖の運動の自由度が小さく、したがって、フィルム中の、水等の低分子化合物の拡散速度も小さくなる。透明フィルムの弾性率は架橋構造を導入することにより大きくすることが可能である。透明フィルムの弾性率は引っ張り試験により求めることができる。
具体的には、サンプルを25℃、60%RHの環境下で24時間調湿し、JIS K−7127に記載の方法に従って弾性率を測定する。引張試験機は(株)エー・アンド・デイ製「テンシロン」などを用いることができる。
上記透明フィルムは、幅方向又は長手方向のいずれかの方向における25℃、60%RHの弾性率が、3800N/mm2以上であることが好ましく、4410N/mm2以上5880N/mm2以下であることがより好ましい。3800N/mm2以上であれば、透湿度が大きくなりすぎることがなく、額縁ムラ等の表示特性が悪化するなどの問題が生じないので好ましい。また、5880N/mm2以下であれば、フィルムの加工適性が損なわれるという問題が起こらず、好ましい。
(カール)
本発明の透明フィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明の透明フィルムには、後述する表面処理、光学異方性層を塗設するとき、ラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、透明フィルムの幅方向のカール値がこの範囲内であれば、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きたりするなどの問題が生じない。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触することがないので、発塵しやすくなったりフィルム上への異物付着が多くなったりすることがないので、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えるなどの問題が生じない。さらに、カールをこの範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光子貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(引裂き強度)
JIS K−7128−2:1998の引裂き試験方法に基づく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)は、本発明の透明フィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。また、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に、軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
1−3−3.光学性能
(高湿度処理後のフィルムの光学性能変化)
本発明の透明フィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃、90%RHに240時間処理したフィルムのRe及びRthの変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
(高温度処理後のフィルムの光学性能変化)
また、80℃、240時間処理したフィルムのRe及びRthの変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
(フィルムのRe、Rthの湿度依存性)
本発明の透明フィルムの、面内のレターデーションRe及び膜厚方向のレターデーションRthは、ともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、下記数式(6)で示される25℃、10%RHにおけるRth値と、25℃、80%RHにおけるRth値の差ΔRthが0〜35nmであることが好ましい。より好ましくは0〜30nmであり、さらに好ましくは0〜25nmであり、特に好ましくは0〜20nmである。
数式(6):ΔRth=Rth10%RH−Rth80%RH.
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ波長λにおける面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)は、“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は、この面内リターデーションRe(λ)並びに、面内の遅相軸(“KOBRA 21ADH”により判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向及び−40°傾斜した方向から、それぞれ波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と、平均屈折率の仮定値と、入力された膜厚値とを基に“KOBRA 21ADH”が算出する。ここで平均屈折率の仮定値は「ポリマーハンドブック」(JOHN WILEY & SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。
主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、“KOBRA 21ADH”はnx、ny、nzを算出する。本明細書においては、特にことわりのない限り、レターデーション値の測定波長は590nmである。
2.光学フィルム
本発明の光学フィルムは、透明支持体上に、8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーから形成されたハードコート層を有することを特徴とする光学フィルムである。本発明の光学フィルムは、特に限定されないが、透明支持体上に、アクリレート基を8以上30以下含むモノマーを(光)硬化することによって得ることができる。(光)硬化により得られた層は、ハードコート層又は反射防止層として光学フィルム(好ましくはハードコートフィルム又は反射防止フィルム)に好適に用いることができる。上述したように、1分子中のアクリレート基の数を増加させると、通常フィルムのカール性が悪くなるが、本発明のアクリレート基を8以上30以下含むモノマーを用いると、本発明の光学フィルムは、カールしにくいという予想外の性質を有することが分かった。
また本発明の光学フィルムは、ハードコート層及び、該ハードコート層の上に該ハードコート層より屈折率の低い低屈折率層の2層を塗布することにより形成されていることを特徴とする光学フィルム(好ましくは反射防止フィルム)であることがさらに好ましい。以下に本発明の光学フィルム(好ましくはハードコートフィルム又は反射防止フィルム)の構成、組成物、および作成方法について記載する。
2−1.構成物
まず、本発明の光学フィルムに使用することのできる各種化合物について記載する。
2−1−1.バインダー
バインダーは、特に限定されないが本発明の光学フィルムにおいて、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応によりマトリックスを形成することが好ましい。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより、マトリックスを形成することができる。
本発明のアクリレート基を8以上30以下含むモノマーの他に、以下に示すバインダー(電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマー)を併用することができる。電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることができる。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
(ポリマ−バインダー)
本発明にはバインダーとして、ポリマーあるいは架橋しているポリマーを用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖はウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖はイミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組合せから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)するものであるが、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組合せから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に無機粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組合せから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
(含フッ素ポリマ−バインダー)
本発明にはポリマーのバインダーのうち、特に低屈折率層には含フッ素共重合体化合物を好ましく用いることができる。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位、(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)が挙げられる。
上記(C)の構成単位は該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
a.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
b.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
c.エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
d.カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
尚、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号に記載のものを挙げることができる。
また本発明の含フッ素ポリマーには防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできるポリマーの好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号公報および特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、前記ハードコート層で述べた多官能モノマーを挙げることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
(オルガノシラン化合物)
本発明の光学フィルムを構成する層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中に、オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物の少なくとも一種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。
とくに反射防止フィルムにおいては反射防止能と耐擦傷性を両立させるために、低屈折率層と機能層の共にゾル成分を含有することが特に好ましい。このゾル成分は、塗布液を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し上記層のバインダーの一部となる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物は、下記一般式1で表されるものが好ましい。
一般式1:(R−Si(X)4−m
上記一般式1において、R1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基か好ましく、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アルキル基の具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO(Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1〜2である。
Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
1に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
1は置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましく、中でも、下記一般式2で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
上記一般式2において、Rは水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*−COO−**、*−CONH−**または*−O−**を表し、単結合、*−COO−**および*−CONH−**が好ましく、単結合および*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
lはl=100−mの数式を満たす数を表し、mは0〜50の数を表す。mは0〜40の数がより好ましく、0〜30の数が特に好ましい。
〜Rは、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、もしくは無置換のアルキル基が好ましい。R〜Rは塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基もしくはメトキシ基が特に好ましい。
は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルキル基はメチル基、エチル基など、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。Rは前述の一般式1のRと同義であり、水酸基もしくは無置換のアルキル基がより好ましく、水酸基もしくは炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましく、水酸基もしくはメチル基が特に好ましい。
一般式1の化合物は2種類以上を併用しても良い。特に一般式2の化合物は一般式1の化合物2種類を出発原料として合成される。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の含有量は、比較的薄膜である反射防止層の場合は少なく、厚膜であるハードコート層や防眩層の場合は多いことが好ましい。含有量は効果の発現、屈折率、膜の形状・面状等を考慮すると、含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が最も好ましい。
2−1−2.開始剤
各種のエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
本発明のフィルムを作成するに当り、光開始剤あるいは熱開始剤を併用することができる。このうち光開始剤、および硬化反応を促進するための光増感剤については、前記1−1−4に記載した化合物や使用法を用いることができる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
2−1−3.架橋性化合物
本発明を構成するモノマーあるいはポリマーバインダ−が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。
例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
2−1−4.硬化触媒
本発明のフィルムには、硬化を促進する硬化触媒として電離放射線または熱の照射により発生したラジカルや酸を使用することができる。
<熱酸発生剤>
熱酸発生剤の具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、アミン塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
市販されている材料としては、キャタリスト4040、キャタリスト4050、キャタリスト600、キャタリスト602、キャタリスト500、キャタリスト296−9、以上日本サイテックインダストリーズ(株)製、やNACUREシリーズ155、1051、5076、4054JやそのブロックタイプのNACUREシリーズ2500、5225、X49−110、3525、4167以上キング社製などが挙げられる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。添加量がこの範囲であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好で塗膜の耐擦傷性も良好なものとなる。
(感光性酸発生剤、光酸発生剤)
更に光重合開始剤として用いることができる光酸発生剤について詳述する。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、またはマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。また、酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物等が挙げられ、これらのうち有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;を挙げることができる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられる。中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号記載の内容などを用いることができる。
2−1−5.透光性粒子
本発明の光学フィルム、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることができる。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100重量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組み合わせて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりするため、好ましくない。一方、10μmを超えると、添加する層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールやコスト上昇といった問題が生じる。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、添加効果が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
<透光性粒子調製、分級法>
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製または合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
(無機粒子)
本発明には硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を用いることができる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンなどが含まれる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、重量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
(高屈折率粒子)
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換されたケイ素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO、TiOが好ましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrOが、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiOの微粒子が最も好ましい。
上記TiOの粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiOを主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiOを主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
TiOを主成分とする粒子の一次粒子の重量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiOが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明のフィルムの耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明のTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
層中のモノマーや無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で二種類以上用いても良い。
(低屈折率粒子)
低屈折率層に含有させる無機粒子は、低屈折率であることが望ましく、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
ここで、無機粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
低屈折率粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
(中空シリカ粒子)
屈折率をより低下させる目的のためには、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。
中空のシリカ微粒子は屈折率が1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(VIII)で表される空隙率xは
(数式VIII)
x=(4πa/3)/(4πb/3)×100
好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.15未満の低屈折率の粒子は好ましくない。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616に記載の方法で算出することができる。
中空シリカの塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることができる。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
(導電性粒子)
本発明の光学フィルムには、導電性を付与するために、各種の導電性粒子を用いることができる。
導電性粒子は、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
帯電防止層に用いる導電性無機粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
導電性無機粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナおよびシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
二種類以上の導電性粒子を特定の層内あるいはフィルムとして併用してもよい。
帯電防止層中の導電性無機粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
導電性無機粒子は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用することができる。
(表面処理剤)
本発明で使用する無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。
表面処理は、無機化合物または有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO,Co,Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al,Al(OH)など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO,Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、のどのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
無機粒子がシリカである場合、カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤および表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、WO2004/017105号に記載のオルガノシラン化合物および触媒を挙げることができる。
(分散剤)
本発明に使用する粒子の分散には各種の分散剤を使用することができる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
無機粒子の分散、特にTiOを主成分とする無機粒子の分散にはアニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましく、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有することがより好ましく、該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1分子中に複数種類が含有されていてもよいが、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうちの10−4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよ
い。
本発明に用いる好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエンおよびポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COORまたは−CONHRのR基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R基)の例としては、−(CH)n−CR21=CR2223、−(CHO)n−CHCR21=CR2223、−(CHCHO)n−CHCR21=CR2223、−(CH)n−NH−CO−O−CHCR21=CR2223、−(CH)n−O−CO−CR21=CR2223および−(CHCHO)−X(R21〜R23はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R21とR22またはR23は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。エステル残基のRの具体例には、−CHCH=CH(特開昭64−17047号公報記載のアリル(メタ)アクリレートのポリマーに相当)、−CHCHO−CHCH=CH、−CHCHOCOCH=CH、−CHCHOCOC(CH)=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCH−NHCOO−CHCH=CHおよび−CHCHO−X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基のRの具体例には、−CHCH=CH、−CHCH−Y(Yは1−シクロヘキセニル残基)および−CHCH−OCO−CH=CH、−CHCH−OCO−C(CH)=CHが含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、または重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい重量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることが好ましくコストおよび合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
分散剤の無機粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
2−1−6.その他の添加剤
(防汚剤)
本発明の光学フィルム、特にフィルムの最上層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221 (以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
(界面活性剤)
本発明のフィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を光拡散層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とする、あるいは下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等が挙げられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなかったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼす。
(増粘剤)
本発明の光学フィルムは、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、さらに好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この他にも特開平8−325491号記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136エチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することができる。
2−1−7.塗布溶剤
本発明の各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
2−1−8.その他
本発明の光学フィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
2−2.支持体
本発明の光学フィルムの支持体としては、本発明の透明フィルム、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることがさらに好ましい。
支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることがさらに好ましい。
(セルロースアシレートフィルム)
上記各種フィルムの中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましい。
セルロースアシレートフィルムについては1−1、1−2で述べた構成物、製造法を使用することができる。ただし、1−1−4記載の開始剤や1−2−3で記載した硬化工程があることが好ましいが必須ではない。
(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
2−2.本発明の光学フィルムを構成する層
本発明の光学フィルムは、上記の各種化合物を混合、塗設することによって得られるものであるが、次に、本発明の光学フィルムを構成する層について記載する。
2−2−1.ハードコート層
本発明の光学フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、好ましくは透明支持体の一方の面にハードコート層が設けられる。
好ましくは、その上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムを構成する。
ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが5%〜15%であることが好ましく、5%〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得る為には、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.09μm以下であり、更に好ましくは0.08μm以下である。本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像
鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
2−2−2.防眩層
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の重量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるように防眩層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
防眩層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.10〜0.40μmの範囲が好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
2−2−3.高屈折率層、中屈折率層
本発明の光学フィルムは、高屈折率層、中屈折率層を設けることにより、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いるTiOを主成分とする無機粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。
無機粒子の分散において、分散剤の存在下で分散媒体中に分散する。
本発明に用いる高屈折率層および中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層および中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S、N、P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は他の層を介して構築することが好ましい。
2−2−4.低屈折率層
本発明の光学フィルムの反射率を低減するため低屈折率層を用いることが特に好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
前記低屈折率層は、(A)前記含フッ素ポリマー、(B)無機粒子、(C)オルガノシラン化合物を含有してなるのが好ましい。
低屈折率層には、本発明の微粒子を分散・固定するためにバインダーが用いられる。バインダーとしては、前記ハードコート層で述べたバインダーを用いることができるが、バインダー自身の屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
2−2−5.その他
(帯電防止層、導電性層)
本発明の光学フィルムにおいては、帯電防止層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層は、支持体に直接又は支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
(防汚層)
本発明の最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするものである。防汚層には含フッ素ポリマーや防汚剤を用いて形成することができる。防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
(干渉ムラ(虹ムラ)防止層)
透明支持体とハードコート層、または透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、または透明支持体/防眩界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(または防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(または防眩層)の間に中間の屈折率nを有し、膜厚dが下記式を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
=(2N−1)×λ/(4n
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数。
また、反射防止フィルムを画像表示等に貼合する場合、透明支持体の反射防止層を積層していない側に粘着剤層(または接着剤層)を積層する場合がある。この様な態様で、透明支持体と粘着剤層(または接着剤層)の間に実質的な屈折率差(0.03以上)がある場合、透明支持体/粘着剤層(または接着剤層)の反射光が生じ、この反射光が、反射防止層表面の反射光などと干渉し、上記と同様に支持体やハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止する目的で透明支持体の反射防止層を積層していない側に上記と同様の干渉ムラ防止層を設けることもできる。
尚、この様な干渉ムラ防止層に関しては特開2004−345333号公報に詳しく記載されており、本発明ではここで紹介されている干渉ムラ防止層を用いることもできる。
(易接着層)
本発明の光学フィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、偏光板用保護フィルムとその隣接層、あるいはハードコート層と支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
易接着処理としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等からなる易接着剤により透明プラスチックフィルム上に易接着層を設ける処理が挙げられる。
本技術にて好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子またはカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、さらに好ましい態様はフィルム基材側に−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を用いると好ましい。このような高分子化合物を単独でまたは2種以上併用して用い、好ましい重量平均分子量としては500〜500,000程度のものであるとよい。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、特開平7−333436号各公報記載のものが好ましく用いられる。
また親水性高分子化合物として好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)が挙げられ、単独或いは2種以上併用して用いられる。
易接着層の厚みとしては0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。0.05μmより薄いと十分な接着性が得られ難く、また、1.0μmより厚いと接着性の効果は飽和する。
(カール防止層)
本発明の光学フィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものであるが、この加工を施すことによって、透明樹脂フィルムの片面に何らかの表面加工をして、両面に異なる程度・種類の表面加工を施した際に、その面を内側にしてカールしようとするのを防止する働きをするものである。
カール防止層は基材の防眩層または反射防止層を有する側と反対側に設ける態様或いは、例えば透明樹脂フィルムの片面に易接着層を塗設する場合もあり、また逆面にカール防止加工を塗設するような態様が挙げられる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶剤塗布によるもの、溶剤とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。溶剤による方法とは、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いるセルロースアシレートフィルムを溶解させる溶剤または膨潤させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われる。これらのカールを防止する機能を有する層の塗布液は従ってケトン系、エステル系の有機溶剤を含有するものが好ましい。好ましいケトン系の有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−へプチルケトン等であり、好ましいエステル系の有機溶剤の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。しかしながら、用いる溶剤としては溶解させる溶剤および/または膨潤させる溶剤の混合物の他、さらに溶解させない溶剤を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物および塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
(水吸収層)
本発明の光学フィルムには水吸収剤を使用することができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、およびMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
これらの水吸収剤を含む層は前述のバリア層と同様に真空下蒸着法等を使って作成してもよいし、ナノ粒子を各種方法で作成して用いてもよい。層の厚みは1〜100nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。水吸収剤を含む層は、支持体と積層体(バリア層と有機層の積層体)の間、積層体の最上層、積層体の間、或いは、積層体中の有機層或いはバリア層中に添加されていてもよい。バリア層に添加する場合には共蒸着法を用いることが好ましい。
(プライマー層・無機薄膜層)
本発明の光学フィルムでは、支持体と積層体との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することでガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においてはこのプライマー層として有機無機ハイブリッド層を、無機薄膜層として無機蒸着層またはゾルーゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
2−3.光学フィルムの層構成
本発明の光学フィルムについては、上記のような層を用い、公知の層構成を使用することができる。たとえば、代表的な例としては以下のようなものがある。
a.支持体/ハードコート層
b.支持体/ハードコート層/低屈折率層(図1)
c.支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層(図2)
d.支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層(図3)
b(図1)のように、支持体上にハードコート層を塗布した上に、低屈折率層を積層すると、反射防止フィルムとして好適に用いることができる。低屈折率層はハードコート層の上に低屈折率層4を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
また、c(図2)のように支持体上にハードコート層を塗布した上に、高屈折率層、低屈折率層を積層しても反射防止フィルムとして好適に用いることができる。さらに、d(図3)のように支持体、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、そして低屈折率層の順序の層構成を設置することにより、反射率を1%以下とすることができる。
aないしdの構成において、ハードコート層(2)は防眩性を有する防眩層とすることができる。防眩性は図4に示されるようなマット粒子の分散によるものでも、図5に示されるようなエンボス加工などの方法による表面の賦形によって形成されてもよい。マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
また透持体とそれよりも表面側の層の間あるいは最表面に設けても良い層として、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、別のハードコート層(1層のハードコート層ないし防眩層だけで硬度が不足する場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、等が挙げられる。
本発明における反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
2−4.製造方法
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが該方法に制限されない。
2−4−1.塗布液の調製
(調製)
各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
(塗布液物性)
低屈折率層・中屈折率層・高屈折率層・防汚層などの200nm以下の乾燥膜厚となる塗布液については、液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。
粘度については2.0[mPa・sec]以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5[mPa・sec]以下、最も好ましくは1.0[mPa・sec]以下である。塗布液によってはせん断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間のせん断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高せん断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液にせん断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、液物性ではないが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0[cc/m]であることが好ましい。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布可能な上限の速度が上がるため好ましいが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適な透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36[mN/m]の範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17[mN/m]から32[mN/m]の範囲がより好まく、19[mN/m]から26[mN/m]の範囲が更に好ましい。
透光性粒子を含む防眩層においては、粒子の沈降防止の観点で4cp以上の粘度に調製することが好ましく、6cp以上の粘度に調製することが更に好ましい。
(濾過)
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜50μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜40μmであるフィルターを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物の濾過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
2−4−2.塗布前の処理
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
2−4−3.塗布
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m以下)でダイコーター法を好ましく用いることができる。
2−4−4.乾燥
本発明のフィルムは、支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。
溶剤を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号、同2001−314798号、同2003−126768号、同2003−315505号、同2004−34002号などが挙げられる。
乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
2−4−5.硬化
本発明のフィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
塗膜を硬化する際に電離放射線を用いる場合の方法については、1−2−3に記載した方法を用いることができる。
電離放射線線照射は、構成する複数の層それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度3体積%を超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。
特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線および/または熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
2−4−6.ハンドリング
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状のフィルム支持体からフィルム支持体がクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、フィルム支持体に帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液がフィルム支持体上に塗布され、塗布されたフィルム支持体は乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有するフィルム支持体は乾燥室から硬化室へ送り出され、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有するフィルム支持体は硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持体は巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−硬化部を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明のフィルムを作成するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
2−4−7.表面処理
本発明のハードコートフィルムあるいは反射防止フィルムは、塗布層設置後、1−2−4記載の方法と同様に表面処理を行うことができる。特に2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
2−5.各種特性値
以下に本発明に関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
2−5−1.反射率
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。本発明の好ましい反射率は0.1以上3以下であり、0.2以上2以下であることが好ましく、0.3以上1.4以下であることがもっとも好ましい。
2−5−2.色味
本発明の反射防止能付き偏光板は、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L色空間のL、a、b値を求めることで色味を評価することができる。
、a、b値は、それぞれ3≦L≦20、−7≦a≦7、且つ、−10≦b≦10の範囲内であることが好ましい。この範囲とすることで、従来の偏光板で問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L≦10、0≦a≦5、且つ、−7≦b≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa≦7であれば赤味が強くなりすぎることがなく、a≧−7であればシアン味が強くなりすぎることがなく好ましい。またb≧−7であれば青味が強くなりすぎることがなく、b≦0であれば黄味が強くなりすぎることがなく好ましい。
更には、反射光の色味均一性は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めたL色度図上でのaより、下記の数式に従って色味の変化率として得ることができる。
ここで、a max及びa minは、それぞれa値の最大値及び最小値;b max及びb minは、それぞれb値の最大値及び最小値;a av及びb avは、それぞれa値及びa値の平均値である。色の変化率は、それぞれ30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、8%以下であることが最も好ましい。
また、本発明のフィルムは、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば画像表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味が、ニュートラルで、表示画像の品位が良好となり、好ましい。
上記の色味の変化ΔEは、下記の数式(22)に従って求めることができる。
数式(22):ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ここで、ΔL,Δa,Δbは、耐候性試験前後のL値,a値,b値それぞれの変化量である。
2−5−3.透過画像鮮明度
透過画像鮮明度は、JIS−K7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器(ICM−2D型)にて、スリット幅が0.5mmの光学櫛を用いて測定できる。
本発明のフィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
2−5−4.ヘイズ
本発明のフィルムのヘイズはJIS−K7105に規定されたヘイズ値のことであり、JIS−K7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。
本発明のフィルムのヘイズは1.5%以下であることが好ましく、1.2%以下がさらに好ましく、1.0%以下が最も好ましい。
2−5−5.硬度
(鉛筆硬度)
本発明のフィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価することができる。
鉛筆硬度は2H以上であることが好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
(表面弾性率)
本発明における表面弾性率は微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
また、前述の微小表面硬度計を用いて表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
本発明で定義する架橋性ポリマーのユニバーサル硬度とはガラス板上に硬化形成した約20〜30μm厚の該架橋性ポリマー膜についてフィッシャーインストルメンツ(株)製の微小硬度計H100によって以下測定手順で求めたユニバーサル硬度(N/mm)によって表される。
架橋性ポリマーの他に必要な触媒や架橋剤、重合開始剤等を含んだ固形分濃度約25%の塗布液を硬化後の膜厚が約20〜30μmになるように適切なバーコーターを選択してTOSHINRIKO.CO.LTD製、(26mm×76mm×1.2mm)みがきスライドガラス板上に塗布する。架橋性ポリマーが熱硬化性の場合には膜が十分硬化される熱硬化条件をあらかじめ求めておき(一例として125℃10分)、架橋性ポリマーが電離放射線硬化性の場合にも同様に膜が十分硬化される硬化条件をあらかじめ求めておく(一例として酸素濃度12ppm、UV照射量750mJ/cm)。それぞれの膜に対して荷重を0から4mNまで連続的に増加させ、基材のガラス板硬度の影響がでない1/10膜厚を最大として円錐ダイヤモンド圧子を押し込んだ際の各荷重Fに対する窪み面積A(mm)から求めたF/AのN=6測定平均値からユニバーサル硬度を算出する。
また、特開2004−354828記載のナノインデンテーションによって表面硬度をもとめることができ、この場合の硬度としては2GPa〜4GPa、ナノインデンテーション弾性率は10GPa〜30GPaであることが好ましい。
2−5−6.防汚性試験
フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ZEBRA製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株))でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック後が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価することができる。
消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
2−5−7.表面自由エネルギー
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」,リアライズ社,1989.12.10発行に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルム
に滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
本発明のフィルムの表面自由エネルギーは25mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることが特に好ましい。
2−5−8.カール
カールの測定は、JIS―K7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。
測定条件は25℃、相対湿度60%、調湿時間10時間である。
本発明におけるフィルムは、カールを以下の数式で表したときの値が、マイナス15〜プラス15の範囲に入っていることが好ましく、マイナス12〜プラス12の範囲がより好ましく、さらに好ましくはマイナス10〜プラス10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、基材の搬送方向について測ったものである。
(数式) カール=1/R Rは曲率半径(m)
これは、フィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれを起こさないための重要な特性である。カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。
ここで、カールがプラスとはフィルムの塗設側が湾曲の内側になるカールを言い、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明におけるフィルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフィルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
2−5−9.密着性評価
フィルムの層間、あるいは支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価することができる。
塗布層を有する側の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
100個の升目中、剥がれが10升以内であることが好ましく、2升以内であることが更に好ましい。
2−5−(10)脆性試験(耐ひび割れ性)
耐ひび割れ性は、フィルムの塗布、加工、裁断、粘着剤の塗布、種々の物体への貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価することができる。
本発明のフィルムの耐ひび割れ性は、塗布層側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。
2−5−11.塵埃除去性
本発明のフィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃除去性を評価することができる。
6回の拭取りで完全に取除けることが好ましく、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けることが更に好ましい。
3.本発明の使用形態
3−1.偏光膜
本発明の透明、又は光学フィルムは、偏光膜およびその片側ないし両側に配置された保護フィルムとして使用し、偏光膜として使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用いる、他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が反射防止フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。
この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することができる。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
3−2.液晶表示装置
本発明の透明又は光学フィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
3−3.液晶表示装置以外のディスプレイ
本発明の光学フィルム、ハードコートフィルム、反射防止フィルム、透明フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う光学フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレイに用いることができる。
<PDP>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルターをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターを貼り付けることもできる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明の透明又は光学フィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<セルロースアシレートフィルムの作製>
〔セルロースアシレートフィルム001(本発明の透明フィルム)の作製〕
[セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製]
攪拌羽根を有するステンレス製溶解タンクに、下記の溶媒溶液を容れてよく攪拌しつつ、セルロースアシレート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加してドープを調製した。添加後、室温(25℃)にて1時間、35℃にて放置しセルロースアシレートを膨潤させた。実施例1−1のドープの調製に用いた各成分の成分比を下記に示す。
(セルロースアシレート溶液組成)
セルローストリアセテート 18質量部
置換度2.83、6位のアシル化の置換度0.93、2,3位のアシル化の置換度1.90、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロリド溶液中6質量%の粘度305mPa・s
メチレンクロリド 80質量部
例示化合物1−1 3.6質量部
Irg907(光開始剤) 0.18質量部
つぎに、このドープに弱い超音波照射することで泡抜きを実施した。脱泡したドープは1.5MPaに加圧した状態で、最初、公称孔径5μmの焼結金属フィルターを通過させ、次いで公称孔径2.5μmの焼結金属フィルターを通過させた。それぞれの1次圧は、1.6、1.3MPaであり、2次圧はそれぞれ0.9、0.7MPaであった。濾過後のドープの温度は35℃に調整して、ステンレス製のストックタンク内に貯蔵した。ストックタンクは中心軸にアンカー翼を有して周速0.3m/秒で常時攪拌された。
[フィルム製膜]
上記の溶解法で得られたドープを40℃にし、流延ギーサーを通して表面温度20℃とした鏡面ステンレス支持体上に流延して製膜した。バンド上に流延されたドープは、最初に平行流の乾燥風を送り乾燥した。乾燥する際の乾燥風からのドープへの総括伝熱係数は24kcal/m2・時・℃であった。乾燥風の温度はバンド上部で140℃、下部で100℃とした。
流延後5秒間は遮風装置により乾燥風が直接ドープに当らないようにし、しかる後に、多数のロールを有する乾燥ゾーンを搬送することで、厚さ80μmのセルロースアシレートフィルム001を作製した。なお乾燥ゾーンの温度は140℃、乾燥時間は20分であった。その後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量60mJ/cmの紫外線を照射し硬化させて巻き取った。
さらに表1に示すとおり、アクリレートの種類及び/もしくは量を変え、又はこれを用いなかったり、乾燥後の光照射条件を変更する以外は実施例1と同様にして、本発明の透明フィルムであるセルロースアシレートフィルム002〜004、並びに比較例のセルロースアシレートフィルム101〜103を作製した。セルロースアシレート溶液の組成を表1に示す。
〔フィルムの評価〕
得られたセルロースアシレートフィルム試料について、以下の特性評価を行った。各フィルム試料の特性値の測定結果を表1に示す。
[弾性率測定]
作製したフィルム試料を25℃、60%RHの環境下で24時間調湿し、JIS K−7127に記載の方法に従って弾性率を測定した。引っ張り試験機は(株)エー・アンド・デイ製「テンシロン」を用いた。
[透湿度測定]
作製したフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置“KK−709007”{東洋精機(株)製}にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めた。
[寸度変化測定]
作製したフィルム試料30mm×120mmを、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ{新東科学(株)製}にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。フィルム試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。得られた寸法(L0)及び(L1)を用い、前記数式(4)に従って、60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率を求めた。
[Rth湿度依存性測定]
作製したフィルム試料の膜厚方向レターデーション値Rthを、本文記載に従い、測定波長590nmにて“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}で測定し、前記数式(6)に従って、25℃、10%RHにおけるRth値と、25℃、80%RHにおけるRth値の差を求めた。
実施例2.偏光板の作製
〔偏光子の作製〕
PVAフィルムを、ヨウ素2.0g/L、ヨウ化カリウム4.0g/Lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、以降、幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱して巻き取った。
延伸開始前のPVAフィルムの含水率は31%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であった。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
得られた偏光子の550nmにおける透過率43.7%、偏光度は99.97%であった。
〔偏光板P001の作製〕
上記で製膜した本発明の透明フィルムである2枚のセルロースアシレートフィルム001を、55℃の1.5mol/L NaOH水溶液に1分間浸漬してそれぞれ両面を鹸化した後、希硫酸及び水で十分洗浄し、乾燥後それぞれのセルロースアシレートの片側にポリビニルアルコール系接着剤を約30μmの厚みに塗布し、上記偏光子の両側に貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して偏光板P001を作製した。
さらにセルロースアシレートフィルム001を用いる代わりに、セルロースアシレートフィルム002〜004、並びに101〜102を用いて偏光板P002〜P004、並びにP101〜P103を作製した。
〔液晶表示装置への実装評価〕
TN型液晶セルを使用した20インチの液晶表示装置“LC−20V1”{シャープ(株)製}に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記実施例1で作製した偏光板P001〜P004、並びにP101〜P102を、粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に1枚ずつ貼り付けることで液晶表示装置を作製した。この際、観察者側の偏光板の透過軸とバックライト側の偏光板の透過軸が直交するように配置した。
作製した液晶表示装置を、温度60℃、湿度90%RHの環境下で48時間処理した後、温度25℃、湿度60%RHの環境条件において、バックライトを24時間連続点灯し、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを、下記の基準に従って評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:光漏れが全く観察されない。
△:光漏れが少し観察されるが実用上問題ではない。
×:光漏れがあり実用上問題となる場合がある。
表2に示すように、比較例の偏光板では液晶表示装置の表示画面において額縁状の光漏れが観測されたのに対して、本発明の偏光板では観測されないか又は極わずかであった。
本発明の透明フィルムであるセルロースアシレートフィルムの膜の強度(弾性率)、透湿度及び寸度変化は良好であり、それらを用いて作製した偏光板からなる液晶表示装置も耐久性は良好であった。本発明の透明フィルムの弾性率が大きいこと、透湿度及び寸度変化が小さいことが光漏れの向上に寄与したものと考えられる。
一方、比較例のセルロースアシレートフィルムは、本発明のセルロースアシレートフィルムと比較して、弾性率、透湿度、寸度変化が劣っていた。また、液晶表示装置とした場合にも耐久性が不充分であり、本発明の透明フィルム及びそれを用いた液晶表示装置は、優れた性能を示した。
実施例3.ハードコートフィルムの作製
(防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−1)の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)280.5質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を13.7質量部、架橋アクリルスチレン粒子(平均粒径3.5μm、屈折率1.55、綜研化学(株)製、30質量%MiBK分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用)を239.9質量部、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を60.5質量部、MiBKを210.0質量部、MEKを112.5質量部、プロピレングリコールを28.1質量部、CAB−531−1(セルロースアセテートブチレート、分子量40,000、イーストマンケミカル(株)製、20質量%MiBK溶液)を55.0質量部加えて混合撹拌し、完成液とした。上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−1)を調製した。
この他、表3記載の通り、架橋アクリルスチレン粒子の有無、アクリレート化合物の種類と混合比を変更した塗布液(HCL−2〜11)を作成した。
(防眩性ハードコートフィルムの作製)
超音波除塵器で、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)の塗布側表面を除電処理した上に、前記ダイコーターを用いてハードコート層用塗布液(HCL−1〜8)を21.0cc/mの塗布液を30m/minの塗布速度で塗布した。減圧チャンバーの減圧度は0.4kPaとした。(HCL−1)の塗布に於いては、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間GLを100μmにして塗布を行った。塗布されたウェブはその後80℃で乾燥した後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量60mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて巻き取り、厚さ7μmの防眩性ハードコートフィルム(HC−1〜11)を形成した。
〔ハードコートフィルムの評価〕
得られたハードコートフィルムについて、本発明の方法により鉛筆硬度およびカールを測定した。その結果を表3に示す。
表3より、本発明の化合物を用いたハードコートフィルムは鉛筆硬度およびカールが優れていることが判る。
実施例4 反射防止フィルムの作製
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器内において、メチルエチルケトン119部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103、信越化学工業(株)製)101部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60°Cで4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。
ゾル液aの質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(低屈折率層用塗布液の調製)
含フッ素ポリマ−溶液A(特開平11−189621、実施例1に記載の含フッ素熱硬化ポリマー80gと、硬化剤としてサイメル303 20g(日本サイテックインダストリーズ株式会社製)と硬化触媒としてキャタリスト4050 2.0g(日本サイテックインダストリーズ株式会社製)をMEKに溶解して6%にしたもの、屈折率1.44)13.1質量部、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、MEK溶液、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.31質量部、前記ゾル液a0.59質量部、及びメチルエチルケトン5.7質量部を添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LL−1)を調製した。
また、LL−1に対しMEK−ST−Lを「中空シリカ」(触媒化成(株)製、粒子サイズ50nm)に変更した低屈折率層用塗布液LL−2を作製した。
実施例3で得られた防眩性ハードコート層1〜11の上に、前記ダイコーターを用いて低屈折率層用塗布液(LL−1〜2)を30m/minで塗布した。減圧チャンバーの減圧度は0.8kPaとした。塗布されたウェブはその後90℃で30秒間乾燥した後、酸素濃度が0.05体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量400mJ/cmの紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.45、膜厚95nm)を形成した。このようにして、表4記載の反射防止フィルムを作製した。
上記工程において、塗布、乾燥工程は0.5μm以上の粒子として30個/(立方メートル)以下の空気清浄度の空気雰囲気下で行われ、塗布直前に特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法で除塵を行いながら塗布を行った。除塵前のベースの帯電圧は、200V以下であった。上記の塗布は1層毎に、送り出し−除塵−塗布−乾燥−(UVおよび熱)硬化−巻き取りの各工程で行った。
〔反射防止フィルムの評価〕
得られた反射防止フィルムについて、本文記載の方法により鉛筆硬度とカールを測定した。その結果を表4に示す。
表4より本発明の反射防止フィルムにおいては硬度、カールが良好であることが分かる。
実施例5.偏光板および液晶表示装置の作製
実施例3で得られたハードコートフィルム、および実施例4で反射防止フィルムを、2.0規定、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬してフィルムの裏面のトリアセチルセルロース面を鹸化処理し、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フィルム(株)製)を同条件で鹸化処理したフィルムとでポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作成した偏光子の両面を接着、保護して偏光板を作成した。このようにして作成した偏光板を、反射防止膜側が最表面となるようにTN型液晶セルを使用した液晶表示装置(TH−15TA2、松下電器産業(株)製)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、背景の映りこみが極めて少なく、更に表示面内の均一性が確保された表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
(1)支持体
(2)ハードコート層
(3)中屈折率層
(4)高屈折率層
(5)低屈折率層

Claims (7)

  1. 8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーから形成された層を有することを特徴とする透明フィルム。
  2. 透明支持体上に、8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーから形成されたハードコート層を有することを特徴とする光学フィルム。
  3. 前記ハードコート層の上に、該ハードコート層より屈折率の低い低屈折率層の2層を有することを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム。
  4. セルロースアシレートと、8以上30以下のアクリレート基を有する少なくとも一種のモノマーとを含有するセルロースアシレート溶液を流延する流延工程と、該流延工程により形成されたフィルムを活性エネルギー線により硬化する硬化工程とを有することを特徴とする透明フィルムの製造方法。
  5. 請求項4の製造方法により製造された透明フィルム。
  6. 請求項1もしくは5に記載の透明フィルム、又は請求項2もしくは3に記載の光学フィルムを偏光子の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
  7. 請求項1もしくは5に記載の透明フィルム、請求項2もしくは3に記載の光学フィルム、又は請求項6に記載の偏光板の少なくともいずれかを有することを特徴とする液晶表示装置。
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