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JP2007168641A - 可変舵角操舵装置及びその方法、並びにその可変舵角操舵装置を搭載した自動車 - Google Patents

可変舵角操舵装置及びその方法、並びにその可変舵角操舵装置を搭載した自動車 Download PDF

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JP2007168641A JP2005370065A JP2005370065A JP2007168641A JP 2007168641 A JP2007168641 A JP 2007168641A JP 2005370065 A JP2005370065 A JP 2005370065A JP 2005370065 A JP2005370065 A JP 2005370065A JP 2007168641 A JP2007168641 A JP 2007168641A
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壮 佐久間
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】緊急回避操作が行われた際に、回避意図に適合する舵角制御を行うこと。
【解決手段】可変舵角操舵装置は、緊急回避操作検出手段が、ステアリングホイールの操舵状態から運転者の緊急回避操作を検出し、可変舵角制御手段が緊急回避操作に対応する操舵出力に制御するので、緊急回避操作が行われた際に、運転者の回避意図に適合する舵角制御を行うことができる。また、運転者のハンドル操舵に対する操舵輪の制御内容を変更するだけで自動的に運転者の緊急回避操作を補助することになるから、運転者は、緊急回避操作時に、特別な操作や制御介入も必要とせず、しかも当該緊急回避操作時に実施している操舵輪の制御を意識することなく、その回避を達成できる。
【選択図】図5

Description

本発明は、ステアリングギヤ比を制御可能な可変舵角操舵装置及びその方法、並びにその可変舵角操舵装置を搭載した自動車に関する。
従来の可変舵角操舵装置は、減速器として歯車機構を用いたものがある(例えば特許文献1及び特許文献2等参照)。これらの可変舵角操舵装置は、ハンドル操舵角に対して走行状態が安定化するよう車両速度に応じて操舵輪の操舵角を制御している。
また、特許文献3には、前輪の操舵に加え後輪操舵装置を用いることで緊急回避を補助する技術が開示されている。この特許文献3に開示の技術では、外界センサを用いることで運転者の緊急回避操作を認識し、緊急回避操作時に後輪舵角を制御することで、車両の回頭性を向上させたり、車両の走行状態を安定化させたりするなどしている。
特許昭56−45824号公報 特開2001−200666号公報 特開平5−238403号公報
特許文献1や特許文献2に示すような従来の可変舵角操舵装置では、高速走行時に車両の直進性を高めるため、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が小さくなるよう、ステアリングギヤ比を通常より大きくしているので、高速走行時に緊急回避する場合、ハンドル操舵量が不足する可能性がある。また、低速走行時は車両の回頭性を高めるため、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が大きくなるよう、ステアリングギヤ比を通常より小さくしているが、低速走行時に緊急回避操作する場合、ハンドル操舵量が過多となる可能性がある。
また、特許文献3では、前輪の操舵角に基づいて後輪を操舵するために、前輪の操舵角と対応させて後輪の操舵角を算出しているから、運転者の緊急回避操作時など前輪の操舵角が不適切であった場合に後輪の操舵角も不適切になってしまう。
このように、従来の技術においては、運転者が緊急回避の意図をもってハンドルを回避操作した場合に、舵角制御を介して出力される操舵角が緊急回避の意図に適合したものとならない可能性があった。
本発明の課題は、緊急回避操作が行われた際に、回避意図に適合する舵角制御を行うことである。
上記課題を解決するために、本発明は、
ステアリングホイールからの操舵入力に対する操舵輪の操舵出力の舵角比が可変な可変舵角操舵装置であって、前記ステアリングホイールの操舵状態が緊急回避操作である場合に、緊急回避操作に対応する舵角制御を行う緊急時舵角制御手段を備えることを特徴としている。
また、本発明は、
ステアリングホイールからの操舵入力に対する操舵輪の操舵出力の舵角比が可変な可変舵角操舵装置における可変舵角操舵方法であって、前記ステアリングホイールの操舵状態が緊急回避操作であるか否かを検出する緊急回避操作検出ステップと、前記緊急回避操作検出ステップにおいて、緊急回避操作が検出された場合に、緊急回避操作に対応する舵角制御を行う緊急時舵角制御ステップとを含むことを特徴としている。
さらに、本発明は、
操舵入力に対する操舵輪の出力角度の舵角比が可変な可変舵角操舵装置を備えた自動車であって、運転席前部位置に設置され、前記可変舵角操舵装置の操舵入力部に接続されたステアリングホイールと、前記ステアリングホイールからの操舵入力に対する補助操舵入力を行う舵角アシストモータと、サスペンション機構を介して車体と連結され、前記可変舵角操舵装置の操舵出力部に接続された操舵輪と、前記ステアリングホイールからの操舵入力と前記舵角アシストモータからの補助操舵入力とを加算した操舵出力を前記操舵出力部に出力する舵角比可変機構と、前記舵角アシストモータを駆動制御することで前記操舵出力を制御する可変舵角制御手段と、自車速を検出する車速検出手段と、前記ステアリングホイールの操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、前記車速検出手段が検出した自車速と前記操舵状態検出手段の検出結果とに基づいて、運転者の緊急回避操作を判定する緊急回避操作判定手段と、を備え、前記可変舵角制御手段は、前記緊急回避操作判定手段が運転者の緊急回避操作であると判定した場合、当該緊急回避操作に対応する前記出力角度に制御することを特徴としている。
本発明によれば、緊急時舵角制御手段が、ステアリングホイールの操舵状態が緊急回避操作である場合に、緊急回避操作に対応する舵角制御を行うので、緊急回避操作が行われた際に、回避意図に適合する舵角制御を行う可変舵角操舵装置とすることができる。
また、本発明によれば、ステアリングホイールの操舵状態が緊急回避操作であるか否かを検出し、緊急回避操作が検出されると、緊急回避操作に対応する舵角制御を行うこととしたので、緊急回避操作が行われた際に、回避意図に適合する舵角制御を行う可変舵角操舵方法とできる。
また、本発明によれば、運転席前部位置に設置されたステアリングホイールが、可変舵角操舵装置の操舵入力部に接続されており、舵角アシストモータがステアリングホイールからの操舵入力に対する補助操舵入力を行う。また、操舵輪がサスペンション機構を介して車体と連結され、可変舵角操舵装置の操舵出力部に接続されていると共に、舵角比可変機構は、ステアリングホイールからの操舵入力と舵角アシストモータからの補助操舵入力とを加算した操舵出力を操舵出力部に出力する。さらに、可変舵角制御手段が、舵角アシストモータを駆動制御することで操舵出力を制御する。また、自車速を検出する車速検出手段と、ステアリングホイールの操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、車速検出手段が検出した自車速と操舵状態検出手段の検出結果とに基づいて、運転者の緊急回避操作を判定する緊急回避操作判定手段とを備えており、可変舵角制御手段が、緊急回避操作判定手段が運転者の緊急回避操作であると判定した場合、当該緊急回避操作に対応する出力角度に制御する。そのため、運転者がステアリングホイールに対して緊急回避操作を行った際に、運転者の回避意図に適合する舵角制御を行う自動車とすることができる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る可変舵角操舵装置を搭載した車両の構成を示す図である。
図1において、車両は、車輪速から車速を検出する車速センサ1と、車両に発生するヨーレイトを測定するヨーレイトセンサ2と、車両に発生する横加速度(横G)や前後加速度(前後G)を測定する加速度センサ3と、カメラやレーザレーダ等で構成され、自車両前方の走行環境を検出する走行環境検出部4と、アクセルペダルの操作状態を測定するアクセルペダルセンサ5と、ブレーキペダルの操作状態を測定するブレーキペダルセンサ6と、ハンドル(ステアリングホイール)7の操舵角を測定する操舵角センサ8と、遊星歯車機構20と、車速センサ1等からの入力に基づいて、遊星歯車機構20(舵角アシストモータ40)を制御する可変舵角比演算ユニット9と、操舵輪(前輪)10FL,10FRの操舵角(前輪舵角)を検出する前輪舵角センサ11とを備えている。
これらのうち、遊星歯車機構20は、遊星歯車機構により構成されている。
図2は遊星歯車機構20の略図を示す。
図2に示すように、遊星歯車機構20は、第1遊星歯車機構Aと第2遊星歯車機構Bとから構成されている。
第1遊星歯車機構Aの入力軸21には、ハンドル7に接続される図示しないコラムアッパが接続され、第2遊星歯車機構Aの出力軸32側には操舵輪に接続される図示しないコラムロアが接続されており、第1遊星歯車機構Aの出力軸22と第2遊星歯車機構Aの入力軸31とが接続されている。
第1遊星歯車機構Aは、太陽ギヤ23、遊星ギヤ24、遊星ギヤ24を支持するキャリア25及びリングギヤ26を有する遊星歯車機構である。この第1遊星歯車機構Aにおいて、リングギヤ26は固定要素になっている。また、第2遊星歯車機構Bは、第1遊星歯車機構Aと同様な要素から構成されており、太陽ギヤ33、遊星ギヤ34、遊星ギヤ34を支持するキャリア35及びリングギヤ36とを有する遊星歯車機構である。第2遊星歯車機構Bには、リングギヤ34の外周に、舵角アシストモータ40の出力軸に設けたウォームギヤ39と噛み合うウォームホイール38が設けられている。
この遊星歯車機構20は、下記(1)式に示すように、第1遊星歯車機構Aの入力軸21の入力角度θhと舵角アシストモータ40からの入力角度θmとを加算して、第2遊星歯車機構Bの出力軸32から出力角度θoutを出力する。
θout=Kh×θh+Km×θm ・・・(1)
ここで、Khは、第1遊星歯車機構Aの入力軸21と第2遊星歯車機構Bの出力軸32との間の角度伝達比であり、Kmは、舵角アシストモータ40の出力と第2遊星歯車機構Bの出力軸32との間の角度伝達比である。
この遊星歯車機構20は、舵角アシストモータ40の回転量が制御されることで、ステアリングギヤ比を任意の値にすることができる。舵角アシストモータ40の回転量は、可変舵角比演算ユニット9が制御している。
図3は、遊星歯車機構20の動作を説明する図である。
図3(b)は、図3(a)に示すハンドル操舵に対する操舵輪10FL,10FRの操舵状態に対し、舵角アシストモータ40を駆動した場合(ステアリングギヤ比を小さくした場合)のハンドル操舵に対する操舵輪10FL,10FRの操舵状態を示す。
図3(b)の状態では、図3(a)の状態と比較してわかるように、遊星歯車機構20にて、ハンドルの操舵角θin(又は第1遊星歯車機構Aの入力軸21の入力角度θh)が同一であっても、舵角アシストモータ40が駆動されることで出力角度θmが大きくなるから、操舵輪10FL,10FRの舵角(又は第2遊星歯車機構Bの出力軸32の入力角度θout)が大きくなる。
なお、図4は、遊星歯車機構20の具体的な構成を示す。
図4中、Aが第1遊星歯車機構、Bが第2遊星歯車機構、21が第1遊星歯車機構の入力軸、具体的にはコラムアッパ、32が第2遊星歯車機構の出力軸、具体的にはコラムロア、23,33が各遊星歯車機構の太陽ギヤ、24,34が各遊星歯車機構の遊星ギヤ、25,35が各遊星歯車機構のキャリア、26,36が各遊星歯車機構のリングギヤ、41が第1遊星歯車機構の出力軸と第2遊星歯車機構の入力軸として機能するシャフト、38がウォームホイール、39がウォームギヤである。
なお、図4に示す遊星歯車機構20は、各ギヤと並列にローラが配設され、トルクを伝達する構成である。
また、走行環境検出部4は、車体前部に搭載され、自車両前方の走行環境を検出するCCD(Charge Coupled Device)等により構成される撮像装置又はレーザレーダである。
このような構成の下、可変舵角比演算ユニット9は、以下のようなフローチャートに基づく制御処理を行う。
図5及び図6は、可変舵角比演算ユニット9の処理内容を示すフローチャートである。
処理が開始されると、図5のステップS1の処理が開始され、可変舵角比演算ユニット9には、車速センサ1が測定した車速と、操舵角センサ8が測定したハンドル操舵角とが入力される。
続いてステップS2において、可変舵角比演算ユニット9は、前記ステップS1で入力された車速及び操舵角に基づいて、運転者による操舵が通常操作か否かを判定する。具体的には、図7に示すような線図に基づいて、運転者によるハンドル操舵が通常操作(通常操舵)か否かを判定する。なお、この判定を操舵速度に基づいて行うことから、可変舵角比演算ユニット9は、操舵角センサ2から入力されてくるハンドルの操舵角の変化から操舵速度を算出する。
図7に示すように、線図は、横軸が車速になり、縦軸が操舵速度になる。この線図には、操舵速度が小さい領域で、車速の増加に対して操舵速度の減少割合が大きくなる通常時最大操舵速度(実線)と、操舵速度が大きい領域で、車速の増加に対して操舵速度の減少割合が小さくなる緊急回避時最大操舵速度(点線)とを示す。
ここで、図7の線図を決定する前提となる、運転者の緊急回避操作(緊急回避操舵)時の運転者の操舵特性を説明する。ここでは、自車両前方に存在する前方車両に自車両が接触するのを回避する場合の運転者の操舵特性を説明する。
図8は、運転者が緊急回避操作により自車両前方に存在する前方車両101に自車両100が接触するのを回避する場面を示す。なお、この場面は、運転者が自車両100を前方車両101の右側に回避させる場面である。また、図9は、そのような緊急回避操作時のハンドルの操舵状態を示す。図9(a)は、代表的な各車両位置でのハンドルの操舵状態を示し、図9(b)は、ハンドルの操舵速度の履歴を示す。
このような場面では、自車両100が前方車両101に近づいていくと(自車両100の走行位置が図8に示すA地点からB地点になると)、図9(a)に示すように、運転者は、ハンドルを、操舵していない状態(図9(a)のAの状態)から前方車両101との接触を回避するために右側(時計回り方向)に大きく操舵し(図9(a)のBの状態)、その後、自車両100が前方車両101の側方を通過すると(自車両100の走行位置が図8に示すC地点になると)、自車両100の車両姿勢を立て直すために、直前に回避のために操舵した分だけ、ハンドルを左側(反時計回り方向)に大きく操舵する(図9(a)のBの状態)。
この一連のハンドル操舵において、ハンドルの操舵速度の履歴は、図8(b)に実線で示すように、略0の状態から急増し、ピークを示した後、今度は、反対側に急増して、再びピークを示して、略0の状態に戻る。
また、図9(b)に示す点線は、レーンチェンジ等の通常操作時のハンドルの操舵速度の履歴を示す。この通常操作時のものと比較すると、前述したような緊急回避操作時の方が、操舵速度のピーク値(最大操舵速度)が大きくなり、さらに、前方車両101との接触を回避する緊急性から、一連のハンドル操舵操作が短時間で完了する。すなわち、ハンドルの操舵速度が立ち上がり(操舵加速度)が大きくなる。
そして、このような操舵速度の特性は、自車速に応じて異なるものであり、具体的には、自車速が大きくなるほど、操舵速度のピーク値(最大値)が小さくなる。そして、緊急回避操作時のものと比較して、通常操作時の方がその傾向が強くなり、自車速の増加に対する操舵速度のピーク値(最大値)の減少割合が大きくなる。
よって、このように緊急回避操作時には、運転者の操舵特性が特有のものになるから、その運転者の操舵特性に基づけば、検出した操舵速度が通常操作時の最大操舵速度よりも大きければ、その操舵は運転者が緊急回避操作によるものである可能性が高いといえる。
このようなことから、以上のような緊急回避操作時の運転者の操舵特性を反映させて図7の線図を決定しており、すなわち、図7に示す線図の緊急回避時最大操舵速度を、図9(b)で実線で示すような緊急回避操作時の操舵速度の最大値とし、図7に示す線図の通常時最大操舵速度を、図9(b)で点線で示すような通常操作時の操舵速度の最大値としている。そして、図7の線図において、通常時最大操舵速度の線と車速の軸及び操舵速度の軸とで囲まれる領域を通常操作領域とし、通常時最大操舵速度の線(実線)よりも操舵速度が大きい領域を緊急回避操作領域としている。
可変舵角比演算ユニット9は、このような線図を例えばテーブルとして持っており、この線図を用いて、前記ステップS1で入力された車速及び操舵速度に対応する領域(通常操作領域又は緊急回避操作領域)を選定する。そして、選定した領域が通常操作領域であれば、運転者による操舵が通常操作であると判定し、選択した領域が緊急回避操作領域であれば、運転者による操舵が緊急回避操作であると判定する。例えば、ある自車速における操舵速度が、その自車速に対応する通常時最大操舵速度(第1の所定値)よりも大きい場合、運転者による操舵が緊急回避操作であると判定する。
そして、運転者の操舵が通常操作と判定すれば、ステップS3に進み、運転者の操舵が通常操作でない、すなわち運転者の操舵が緊急回避操作であると判定すれば、ステップS4に進む。
また、ハンドルの操舵速度による判定に換えて、又はハンドルの操舵速度による判定とともに、操舵速度の立ち上がりを示す操舵加速度(操舵角加速度)により運転者の操舵が緊急回避操作か否かを判定することができる。この場合、検出したハンドルの操舵加速度が通常操作時に得られる最大操舵加速度(第2の所定値)よりも大きい場合、運転者の操舵が緊急回避操作であると判定する。
また、ハンドルの操舵状態の履歴に基づいて、運転者の操舵が緊急回避操作か否かを判定することができる。例えば、ハンドル操舵に変動があった場合、例えば、操舵速度が発生した場合(操舵速度が立ち上がった場合又は操舵加速度が発生した場合)、その発生時点から当該操舵速度を取得していき、そのようにして取得したハンドルの操舵状態の履歴としての操舵速度の履歴から運転者の操舵が緊急回避操作か否かを判定する。例えば、操舵速度の発生時から所定時間内の操舵速度の履歴と、以前に取得している通常操舵時の運転者の操舵速度の履歴とを比較して、その比較結果に基づいて、運転者の操舵が緊急回避操作か否かを判定する。例えば、操舵速度の発生時から所定時間内に得た操舵速度の履歴が、通常操舵時の操舵速度の履歴に対してある程度乖離(当該操舵速度の発生時から所定時間の間に得た操舵速度の履歴が大きくなる方向に一定量乖離)している場合、運転者の操舵が緊急回避操作であると判定する。
また、前述の説明では、前記図7の線図では、通常時最大操舵速度よりも操舵速度が大きい領域を緊急回避操作領域としているが、通常時最大操舵速度と緊急回避時最大操舵速度とで挟まれる領域を緊急回避操作領域とできる。この場合、検出した操舵速度が緊急回避時最大操舵速度よりも大きければ、その検出が誤検出である等として扱い、そのときの操舵を通常操作によるものと判定する。
ステップS3では、可変舵角比演算ユニット9は、通常の可変舵角制御を行う。例えば、高速走行時には、車両の直進性を高めるため、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が小さくなるように、ステアリングギヤ比を通常よりも大きくなるように制御する。すなわち、舵角アシストモータ40からの入力舵角θmを抑えて、出力角度θoutを抑える。また、低速走行時には、車両の回頭性を高めるため、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が大きくなるように、ステアリングギヤ比を通常より小さくなるように制御する。すなわち、舵角アシストモータ40からの入力舵角θmを大きくして、出力角度θoutを大きくする。
ステップS4では、緊急回避操作時制御を行う。図6は、その緊急回避操作時制御の内容を示すフローチャートである。
図6に示す処理が開始されると、先ずステップS11において、可変舵角比演算ユニット9には、車速センサ1が測定した車速、ヨーレイトセンサ2が測定したヨーレイト及び加速度センサ3が測定した横加速度(横G)が入力される。
続いてステップS12において、可変舵角比演算ユニット9は、前記ステップS11で入力された車速、ヨーレイト及び横加速度に基づいて、操舵輪を操舵(特に切り増し操舵)した場合、自車両の走行状態(車両挙動)が不安定化するか否かを判定する。すなわち、前記ステップS2で緊急回避操作と判定した運転者による操舵をそのまま許可し、さらに操舵輪を操舵するとした場合に、自車両の走行状態が不安定化するか否かを、自車両の走行状態の情報とされる車速、ヨーレイト及び横加速度に基づいて判定する。例えば、操舵輪を操舵すると自車両の走行状態が安定走行限界を超える場合、自車両の走行状態が不安定化すると判定する。
ここで、操舵輪を操舵した場合に自車両の走行状態が不安定化すると判定した場合、ステップS13に移行し、操舵輪を操舵しても自車両の走行状態が不安定化しないと判定した場合、ステップS15に移行する。
なお、このステップS12では、車速、ヨーレイト及び横加速度に基づいて、自車両の走行状態が不安定化するか否かを判定しているが、車速、ヨーレイト及び横加速度以外の車両状態を示す情報に基づいて、自車両の走行状態が不安定化するか否かを判定することができる。
ステップS13では、可変舵角比演算ユニット9は、自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲で操舵輪の操舵を抑制する。例えば、可変舵角比演算ユニット9は、舵角アシストモータ40を制御して、運転者がハンドル操舵をしても操舵輪を操舵しないようにする。例えば、操舵輪の操舵角を維持することが考えられるが、この場合、可変舵角比演算ユニット9は、舵角アシストモータ40からの入力舵角θmを制御して、ハンドルの操舵角(第1遊星歯車機構Aの入力軸21の入力角度θh)に関係なく、出力角度θoutを維持する。そして、ステップS14に移行する。ステップS14の処理については後で説明する。
一方、ステップS15では、可変舵角比演算ユニット9に、各種センサからデータが入力される。具体的には、各種センサからのデータ入力として、車速センサ1が測定した車速、ヨーレイトセンサ2が測定したヨーレイト、加速度センサ3が測定した横加速度(横G)及び前後加速度(前後G)、走行環境検出部4からの自車両前方の走行環境の情報、例えば撮像画像やレーダ検出結果、アクセルペダルセンサ5が測定したアクセルペダルの操作状態の情報、ブレーキペダルセンサ6が測定したブレーキペダルの操作状態の情報、前輪舵角センサ11が測定した操舵輪の操舵角が入力される。
続いてステップS16において、可変舵角比演算ユニット9は、ハンドル操舵に対する遊星歯車機構20の出力軸32の出力角度θoutの制御内容、すなわち、操舵輪の制御内容(操舵制御量)を算出する。ここでのハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角の制御内容は、通常操作時のもの(前記ステップS3の操舵輪の制御内容)と異なるものになる。具体的には、前記ステップS15で入力された車速、横加速度、前後加速度、アクセルペダルの操作状態の情報(特にその踏力)、ブレーキペダルの操作状態の情報(特にその踏力)及び操舵輪の操舵角を車両モデルに適用して、自車両の走行路の路面状態(具体的には路面μ)を推定して、その推定した路面状態の下で自車両が横滑りを起こさない操舵角の範囲になるよう、操舵輪の制御内容を算出する。すなわち、可変舵角比演算ユニット9は、自車両の現在の走行状態に基づいて、自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲で操舵輪の操舵角の範囲(制御内容)を算出する。
一方、運転者が自車両前方の障害物に対して操舵による緊急回避操作を行っている場合には、その障害物に対して操舵回避するための操舵輪の操舵角を優先して算出する。この算出は以下のような手順で行う。
先ず、前記ステップS15で入力された自車両前方の走行環境の情報に基づいて、運転者が緊急回避操作により回避しようとしている自車両前方の障害物(回避対象物)、例えば停止車両を特定する。そして、可変舵角比演算ユニット9は、その特定した障害物及び操舵角センサ8が測定したハンドルの操舵角を参照して、操舵輪の制御内容としての回避経路を算出する。
具体的には、可変舵角比演算ユニット9は、操舵角センサ8が測定したハンドルの操舵角に基づいて回避方向を決定する。すなわち、ハンドルの操舵角に基づいて運転者が右側に操舵していると判断した場合には、回避方向を右側に決定し、ハンドルの操舵角に基づいて運転者が左側に操舵していると判断した場合には、回避方向を左側に決定する。
さらに、可変舵角比演算ユニット9は、自車両と回避対象物との相対関係として、自車両と障害物との相対位置及び相対速度を算出する。そして、可変舵角比演算ユニット9は、その算出した相対位置及び相対速度並びに前記決定した回避方向に基づいて、自車両が障害物を回避するのに適切な回避経路を算出する。例えば、相対位置、相対速度、自車両の車幅等の情報に基づいて、自車両が少なくとも障害物に接触することなく回避できる回避経路を算出する。
そして、可変舵角比演算ユニット9は、そのように決定した回避経路を基準に、自車両の走行状態に基づいて、自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲で回避経路を最終的に決定する。すなわち、可変舵角比演算ユニット9は、前述のように自車両前方に障害物がない場合と同様にして、前記ステップS15で入力された車速、横加速度、前後加速度、アクセルペダルの操作状態の情報(特にその踏力)、ブレーキペダルの操作状態の情報(特にその踏力)及び操舵輪の操舵角を車両モデルに適用して、自車両の走行路の路面状態を推定して、その推定した路面状態の下で自車両が横滑りを起こさない操舵輪の操舵角の範囲を算出する。すなわち、可変舵角比演算ユニット9は、自車両の現在の走行状態に基づいて、自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲で操舵輪の操舵角の範囲を算出する。そして、前記回避経路を基準として、前記算出した操舵輪の操舵角の範囲を満たす回避経路を最終的に算出する。
なお、前述の障害物に対して運転者が緊急回避操作を行っている場合の操舵輪の制御内容は、自車両が障害物の回避を完了するまでの間の運転者の操舵を補助(いわゆる一部補助)するようなものでも良く、運転者が回避をするための操舵をしていない場合の補助(いわゆる完全補助)をするようなものでも良い。後者の場合には、少なくとも運転者が緊急回避操作を開始したことをトリガーとして、操舵輪の制御内容を算出(操舵輪の制御を開始)するようにする。この場合、少なくとも運転者が緊急回避操作を開始した操舵方向(右側又は左側)に基づいて障害物に対する回避方向を決定して、その方向を基準に回避経路を算出する。
また、自車両の走行路の路面状態を推定する技術は、四輪ブレーキ力制御や四輪操舵制御等の機能において既に実施されているから、本実施形態でも、そのように既に実施の路面状態推定技術を利用することができる。
また、自車両前方の走行環境として、障害物を検出しているが、これに限定されるものではない。例えば、自車両前方の走行環境として、道路形状(例えばカーブ路)や走行車線数を検出することができる。例えば、この場合、道路形状や走行車線数に基づいて、回避経路を算出する。
続いてステップS17において、可変舵角比演算ユニット9は、前記ステップS16で算出した操舵輪の制御内容(前記最終的に算出した回避経路を通過するための操舵輪の制御内容も含む)になるように、操舵輪を制御する。すなわち、可変舵角比演算ユニット9は、前記ステップS16で算出した制御内容になるように制御信号を出力して舵角アシストモータ40を制御する。
例えば、可変舵角比演算ユニット9は、運転者の緊急回避操作が自車両前方の障害物を対象に行っているものでない場合、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が通常操作時よりも大きくなるように、すなわち、ステアリングギヤ比が小さくなるように、舵角アシストモータ40を制御する。
また、可変舵角比演算ユニット9は、運転者が自車両前方の障害物を対象として緊急回避操作を行っている場合、高速走行時でも場合に応じて、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が通常制御時よりも大きくなるように、すなわちステアリングギヤ比が小さくなるように、舵角アシストモータ40を制御する。すなわち、可変舵角比演算ユニット9は、舵角アシストモータ40からの入力舵角θmを通常制御時よりも大きくして、出力角度θoutを大きくする。
また、可変舵角比演算ユニット9は、運転者が自車両前方の障害物を対象として緊急回避操作を行っている場合、低速走行時でも場合に応じて、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が通常制御時よりも小さくなるように、すなわち、ステアリングギヤ比が大きくなるように、舵角アシストモータ40を制御する。すなわち、可変舵角比演算ユニット9は、舵角アシストモータ40からの入力舵角θmを通常制御時よりも抑えて、出力角度θoutを抑える。このように、緊急回避操作時には、通常操舵時の操舵輪の制御内容を当該緊急回避操作に対応する制御内容に変更するものとし、高速走行時に、操舵輪を切り増しし、低速走行時に、操舵輪の切り増し量を抑える。そして、ステップS14に移行する。
ステップS14では、可変舵角比演算ユニット9は、運転者による緊急回避操作が終了したか否かを判定する。例えば、可変舵角比演算ユニット9は、一定時間、操舵速度が通常時最大操舵速度以下である場合、一定時間、走行環境検出部4が障害物を検出しなくなった場合、一定時間、ヨーレイトが0になった場合、又は一定時間、ハンドルが操舵されなくなった場合等に、運転者の緊急回避操作が終了したと判定する。
ここで、運転者の緊急回避操作が終了したと判定した場合、図4に示す処理に復帰して、ステップS1からの処理を再び実施する。また、運転者の緊急回避操作が終了していないと判定した場合、ステップS11からの処理を再び実施する。
(動作)
次に、可変舵角操舵装置の動作を説明する。
運転者のハンドル操舵が通常操作の場合には、車速に応じた通常の可変舵角制御を行う。例えば、高速走行時には、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が小さくなるように舵角アシストモータ40を制御する。これにより、車両の直進性が高められる。また、低速走行時には、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化が大きくなるように舵角アシストモータ40を制御する。これにより、車両の回頭性が高められる。
そして、運転者のハンドルの操舵速度がある程度大きくなると、すなわち、ハンドルの操舵速度が通常時最大操舵速度よりも大きくなると、その操舵が緊急回避操作であると判定する(前記ステップS2、ステップS4)。
そして、緊急回避操作であると判定した場合において、車速、ヨーレイト及び横加速度に基づいて、操舵輪をさらに操舵すれば自車両の走行状態が不安定化すると判定した場合、操舵輪の操舵を抑制する(前記ステップS11〜ステップS13)。
一方、緊急回避操作であると判定した場合において、車速、ヨーレイト及び横加速度に基づいて、操舵輪の操舵を許可しても自車両の走行状態が不安定化しないと判定した場合、各種センサ入力に基づいて、操舵輪の制御内容を算出する(前記ステップS12、ステップS14〜ステップS17)。
具体的には、運転者の緊急回避操作が自車両前方の障害物を対象として行っているものでない場合、自車両の横滑りを防止する等、自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲(安定走行できる限度)で操舵輪の制御内容を算出し、その操舵輪の制御内容になるように舵角アシストモータ40を制御する。
また、運転者が自車両前方の障害物を対象として緊急回避操作を行っている場合、その障害物に対して最適な回避経路を算出する一方で、自車両の横滑りを防止する等、自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲で操舵輪の操舵角の範囲を算出し、その算出した操舵角の範囲に基づいて、最適な回避経路を最終的に算出する。このとき、障害物に対して回避が完了するまで運転者の操舵があれば、その操舵を補助するための回避経路を算出したり、回避が完了する前に運転者の操舵がなくなれば、その後、回避を完了できるような回避経路を算出したりする。そして、その算出した回避経路(操舵輪の制御内容)になるように、舵角アシストモータ40を制御する。
(作用)
次に、可変舵角操舵装置の作用を説明する。
運転者がハンドルを操舵し、その操舵速度がその時の自車速に対応する通常時最大操舵速度よりも大きければ、そのハンドル操舵が緊急回避操作であると判定して、自車両が横滑りしない等の安定走行状態を維持する範囲で操舵輪の制御内容を算出して、ハンドル操舵に対する操舵輪の制御を行う。
また、ハンドル操舵が緊急回避操作であると判定しても、操舵輪をさらに操舵したとすれば自車両の走行状態が不安定化してしまうと予測できる場合には、操舵輪の操舵を抑制する。例えば、運転者がハンドルを操舵しても操舵輪を操舵しない。
また、高速走行時でも、必要に応じて、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化を通常制御時よりも大きくし、低速走行時でも、必要に応じて、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化を通常制御時よりも小さくする。
図10は、運転者がハンドル操舵して緊急回避操作をしているときの、自車両100と停止車両(障害物)101との相対関係を示す。図10(a)は、自車両100が低速走行している場合であり、図10(b)は、自車両100が高速走行している場合である。また、図10(a)及び(b)には、本発明を適用した車両100の走行軌跡を実線で示し、従来の車両100の走行軌跡を点線で示す。
図10(a)に点線で示すように、従来通りに低速走行時に車両100の回頭性を高めるため、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化を大きくしているから、そのまま運転者の緊急回避操作を許可すると、車両100の走行状態が不安定となり、車両100が停止車両101に接触してしまう場合がある。これに対して、本発明を適用することで、図10(a)に実線で示すように、自車両100の走行状態が安定状態を維持できるように、かつ自車両100が停止車両101に接触しないような回避経路(ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化を抑制する制御内容)に基づいて操舵輪を制御することで、低速走行時でも、車両100は、走行状態が不安定化することなく、停止車両101に接触してしまうのを回避できる。
また、図10(b)に点線で示すように、従来通りに高速走行時に車両100の直進性を高めるため、ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化を小さくしているから、運転者が緊急回避操作をしても、大きな回頭性が得られないことで、車両100が停止車両101に接触してしまう場合がある。これに対して、本発明を適用することで、図10(b)に実線で示すように、自車両の走行状態を安定状態に維持できるように、かつ自車両100が停止車両101に接触しないような回避経路(ハンドル操舵に対する操舵輪の操舵角変化を大きくする制御内容)に基づいて操舵輪を制御することで、高速走行時でも、車両100は、走行状態が不安定化することなく、停止車両101に接触してしまうのを回避できる。
なお、前記実施形態の説明において、遊星歯車機構20が舵角比可変機構を実現しており、可変舵角比演算ユニット9が可変舵角制御手段を実現しており、車速センサ1、操舵角センサ8および可変舵角比演算ユニット9のステップS2の処理が緊急回避操作検出手段を実現している。また、車速センサ1が車速検出手段を実現しており、操舵角センサ8が操舵状態検出手段を実現しており、可変舵角比演算ユニット9のステップS2の処理が緊急回避操作判定手段を実現している。また、車速センサ1、ヨーレイトセンサ2および加速度センサ3が車両走行状態検出手段を実現しており、走行環境検出部4が走行環境検出手段を実現しており、可変舵角比演算ユニット9のステップS16の処理が回避経路決定手段を実現している。さらに、車速センサ1、操舵角センサ8および可変舵角比演算ユニット9が緊急時舵角制御手段を実現している。
また、ステアリングホイールが接続される入力部は、第1遊星歯車機構Aの入力軸(コラムアッパ)21又はキャリア25であり、舵角アシストモータが接続される入力部は、ウォームホイール38であり、操舵輪に接続される出力部は、第2遊星歯車機構Bの出力軸(コラムロア)32又はキャリア35である。
(実施形態の効果)
(1)緊急回避操作検出手段が、ステアリングホイールの操舵状態から運転者の緊急回避操作を検出し、可変舵角制御手段が緊急回避操作に対応する操舵出力に制御するので、緊急回避操作が行われた際に、運転者の回避意図に適合する舵角制御を行うことができる。また、運転者のハンドル操舵に対する操舵輪の制御内容を変更するだけで自動的に運転者の緊急回避操作を補助することになるから、運転者は、緊急回避操作時に、特別な操作や制御介入も必要とせず、しかも当該緊急回避操作時に実施している操舵輪の制御を意識することなく、その回避を達成できる。
(2)車速検出手段が車速を検出し、操舵状態検出手段がステアリングホイールの操舵状態を検出し、それらの検出結果を基に、緊急回避操作判定手段が運転者の緊急回避であるか否かを判定するので、一般に自動車において検出されている情報(特に回避操作に直接関係するステアリングホイールの操舵状態および操舵状態に強い影響を与える車速)から運転者の緊急回避操作を検出して、運転者の回避意図に適合する舵角制御を行うことができる。
(3)車両走行状態検出手段が自車両の走行状態を検出し、その検出結果に基づいて、可変舵角制御手段が自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲で、緊急回避操作に対応する操舵出力に制御するので、運転者の緊急回避操作時にハンドル操舵に対する操舵輪の制御が自車両の走行状態を不安定化させることなく、適切な回避を行うことができる。
(4)可変舵角制御手段は、自車両が安定走行状態を維持できる範囲内で操舵輪の操舵角を増加させている。したがって、自車両の安定走行を確保しつつ、回避時の車両の回頭性を高めることができる。
(5)自車両の横滑り状態を指標として、自車両の走行状態が安定状態を維持できる範囲で操舵輪を制御している。これにより、回避動作において車両を不安定化させる主要因である車両の横滑り状態を参照しつつ、緊急回避操作に対応する操舵出力の制御を行うことができる。
(6)走行環境検出手段が自車両前方の走行環境(例えば、運転者の緊急回避操作の対象となる障害物)を検出しており、回避経路決定手段が運転者の緊急回避操作に応じた回避経路をその走行環境に基づいて決定し、可変舵角制御手段が、その決定された回避経路に沿うように、操舵輪を制御している。これにより、運転者が適確な緊急回避操作を行うことができない場合にも、より高い割合で障害物を回避できる。また、回避が完了する前に運転者の操舵入力がなくなっても、決定された回避経路に沿うように舵角が制御されるから、緊急回避するための心理的余裕がない等の理由で、運転者が操舵できなくなっても、より確実に障害物を回避できる。
(7)走行環境検出手段が走行環境として障害物を検出し、回避経路決定手段が、その障害物と自車両との距離や相対速度に基づいて回避経路を決定する。これにより、運転者の感覚を考慮するなど、さらに適切に回避経路を設定できる。
(8)緊急回避操作検出手段が、ステアリングホイールの操舵速度(角速度)に設定された第1の所定値を基準として緊急回避操作を検出するので、通常時との操舵速度の違いにより、明確に緊急回避操舵を検出することができる。
(9)緊急回避操作検出手段が、ステアリングホイールの操舵速度に設定された第1の所定値を基準として緊急回避操作を検出すると共に、自車速が大きくなるほどその所定値を小さくするので、自車両の走行状態に適合した基準によって、より適確に緊急回避操作を検出することができる。
(10)緊急回避操作検出手段が、ステアリングホイールの操舵角加速度に設定された第2の所定値を基準として緊急回避操作を検出するので、操舵入力の立ち上がりで緊急回避操作が検出でき、より早期に緊急回避に対応する操舵出力の制御を行うことができる。
(11)緊急時舵角制御手段が、ステアリングホイールの操舵状態が緊急回避操作である場合に、緊急回避操作に対応する舵角制御を行うので、緊急回避操作が行われた際に、回避意図に適合する舵角制御を行うことができる。
(12)ステアリングホイールの操舵状態が緊急回避操作であるか否かを検出し、緊急回避操作が検出されると、緊急回避操作に対応する舵角制御を行うこととしたので、緊急回避操作が行われた際に、回避意図に適合する舵角制御を行う可変舵角操舵方法とできる。
(13)本発明に係る自動車においては、運転席前部位置に設置されたステアリングホイールが、可変舵角操舵装置の操舵入力部に接続されており、舵角アシストモータがステアリングホイールからの操舵入力に対する補助操舵入力を行う。また、操舵輪がサスペンション機構を介して車体と連結され、可変舵角操舵装置の操舵出力部に接続されていると共に、舵角比可変機構は、ステアリングホイールからの操舵入力と舵角アシストモータからの補助操舵入力とを加算した操舵出力を操舵出力部に出力する。さらに、可変舵角制御手段が、舵角アシストモータを駆動制御することで操舵出力を制御する。また、本発明に係る自動車は、自車速を検出する車速検出手段と、ステアリングホイールの操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、車速検出手段が検出した自車速と操舵状態検出手段の検出結果とに基づいて、運転者の緊急回避操作を判定する緊急回避操作判定手段とを備えており、可変舵角制御手段が、緊急回避操作判定手段が運転者の緊急回避操作であると判定した場合、当該緊急回避操作に対応する出力角度に制御する。そのため、運転者がステアリングホイールに対して緊急回避操作を行った際に、運転者の回避意図に適合する舵角制御を行う自動車とすることができる。
本発明の実施形態の車両の構成を示す図である。 前記車両が搭載する遊星歯車機構の構成を示す図である。 前記遊星歯車機構の動作の説明に使用した図である。 前記遊星歯車機構の具体的構成を示す断面図である。 前記車両が搭載する可変舵角比演算ユニットの処理内容を示すフローチャートである。 前記可変舵角比演算ユニットによる緊急回避操作時制御の内容を示すフローチャートである。 緊急回避操作の判定で使用する図を示す。 緊急回避操作時の走行場面を示す図である。 緊急回避操作時の運転者の操舵特性等を示す図である。 可変舵角操舵装置の作用の説明に使用した図である。
符号の説明
1 車速センサ、2 ヨーレイトセンサ、3 加速度センサ、4 走行環境検出部、5 アクセルペダルセンサ、6 ブレーキペダルセンサ、7 ハンドル、8 操舵角センサ、9 可変舵角比演算ユニット、10FL,10FR 操舵輪(前輪)、11 前輪舵角センサ、20 遊星歯車機構、21 入力軸、32 出力軸、38 ウォームホイール、40 舵角アシストモータ

Claims (13)

  1. 操舵入力部にステアリングホイールが接続され、かつモータ入力部に舵角アシストモータが接続され、操舵出力部に操舵輪が接続され、前記ステアリングホイールからの操舵入力と前記舵角アシストモータからの補助操舵入力とを加算した操舵出力を前記操舵出力部に出力する舵角比可変機構と、前記舵角アシストモータを駆動制御することで前記操舵出力を制御する可変舵角制御手段と、を備えた可変舵角操舵装置であって、
    前記ステアリングホイールの操舵状態を基に、運転者の緊急回避操作を検出する緊急回避操作検出手段を備え、
    前記可変舵角制御手段は、前記緊急回避操作検出手段が運転者の緊急回避操作を検出した場合、当該緊急回避操作に対応する前記操舵出力に制御することを特徴とする可変舵角操舵装置。
  2. 前記緊急回避操作検出手段は、
    自車速を検出する車速検出手段と、
    前記ステアリングホイールの操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、
    前記車速検出手段が検出した自車速と前記操舵状態検出手段の検出結果とに基づいて、運転者の緊急回避操作であるか否かを判定する緊急回避操作判定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の可変舵角操舵装置。
  3. 自車両の走行状態を検出する車両走行状態検出手段を備え、
    前記可変舵角制御手段は、前記車両走行状態検出手段の検出結果に基づいて、自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲で、前記緊急回避操作に対応する前記操舵出力に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の可変舵角操舵装置。
  4. 前記可変舵角制御手段は、前記車両走行状態検出手段の検出結果に基づいて、前記緊急回避操作が行われている間、自車両の走行状態が安定状態を維持する範囲で、前記操舵出力を増加させることを特徴とする請求項3に記載の可変舵角操舵装置。
  5. 前記車両走行状態検出手段は、自車両の横滑り状態を検出することを特徴とする請求項3又は4に記載の可変舵角操舵装置。
  6. 自車両前方の走行環境を検出する走行環境検出手段と、前記走行環境検出手段が検出した走行環境に基づいて、前記運転者の緊急回避操作に応じた回避経路を決定する回避経路決定手段と、を備え、前記可変舵角制御手段は、前記回避経路決定手段によって決定された回避経路に自車両が沿う前記操舵出力に制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の可変舵角操舵装置。
  7. 前記走行環境検出手段は、運転者の緊急回避操作の対象となる障害物を前記走行環境として検出しており、前記回避経路決定手段は、前記障害物と自車両との相対速度あるいは距離の少なくともいずれかに基づいて、前記回避経路を決定することを特徴とする請求項6記載の可変舵角操舵装置。
  8. 前記緊急回避操作検出手段は、前記ステアリングホイールの操舵速度が第1の所定値よりも大きい場合、運転者の操舵を緊急回避操作として検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の可変舵角操舵装置。
  9. 前記緊急回避操作判定手段は、前記ステアリングホイールの操舵速度が第1の所定値よりも大きい場合、運転者の操舵が緊急回避操作であると判定すると共に、前記車速検出手段が検出した自車速が大きくなるほど該第1の所定値を小さくすることを特徴とする請求項2記載の可変舵角操舵装置。
  10. 前記緊急回避操作検出手段は、前記ステアリングホイールの操舵角加速度が第2の所定値よりも大きい場合、運転者の操舵を緊急回避操作として検出することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の可変舵角操舵装置。
  11. ステアリングホイールからの操舵入力に対する操舵輪の操舵出力の舵角比が可変な可変舵角操舵装置であって、
    前記ステアリングホイールの操舵状態が緊急回避操作である場合に、緊急回避操作に対応する舵角制御を行う緊急時舵角制御手段を備えることを特徴とする可変舵角操舵装置。
  12. ステアリングホイールからの操舵入力に対する操舵輪の操舵出力の舵角比が可変な可変舵角操舵装置における可変舵角操舵方法であって、
    前記ステアリングホイールの操舵状態が緊急回避操作であるか否かを検出する緊急回避操作検出ステップと、
    前記緊急回避操作検出ステップにおいて、緊急回避操作が検出された場合に、緊急回避操作に対応する舵角制御を行う緊急時舵角制御ステップと、
    を含むことを特徴とする可変舵角操舵方法。
  13. 操舵入力に対する操舵輪の出力角度の舵角比が可変な可変舵角操舵装置を備えた自動車であって、
    運転席前部位置に設置され、前記可変舵角操舵装置の操舵入力部に接続されたステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールからの操舵入力に対する補助操舵入力を行う舵角アシストモータと、
    サスペンション機構を介して車体と連結され、前記可変舵角操舵装置の操舵出力部に接続された操舵輪と、
    前記ステアリングホイールからの操舵入力と前記舵角アシストモータからの補助操舵入力とを加算した操舵出力を前記操舵出力部に出力する舵角比可変機構と、
    前記舵角アシストモータを駆動制御することで前記操舵出力を制御する可変舵角制御手段と、
    自車速を検出する車速検出手段と、
    前記ステアリングホイールの操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、
    前記車速検出手段が検出した自車速と前記操舵状態検出手段の検出結果とに基づいて、運転者の緊急回避操作を判定する緊急回避操作判定手段と、を備え
    前記可変舵角制御手段は、前記緊急回避操作判定手段が運転者の緊急回避操作であると判定した場合、当該緊急回避操作に対応する前記出力角度に制御することを特徴とする自動車。
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