JP2007149796A - 光電変換装置、光発電装置、及び光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】球状の光電変換体に入射する光の反射を抑制し、光電変換効率を高くすることができる光電変換装置、光発電装置、及び光電変換装置の製造方法を提供する。
【解決手段】光電変換装置1の結晶シリコン粒子12の受光面に形成される反射防止膜18は、結晶シリコン粒子12が接合される基板11の一主面から最も突出した結晶シリコン粒子12の頂上部12aに向かって膜厚が漸増するように形成される。これにより、結晶シリコン粒子12に入射する光の反射を抑制して、光電変換装置1の光電変換効率を向上させる。
【選択図】図1
【解決手段】光電変換装置1の結晶シリコン粒子12の受光面に形成される反射防止膜18は、結晶シリコン粒子12が接合される基板11の一主面から最も突出した結晶シリコン粒子12の頂上部12aに向かって膜厚が漸増するように形成される。これにより、結晶シリコン粒子12に入射する光の反射を抑制して、光電変換装置1の光電変換効率を向上させる。
【選択図】図1
Description
本発明は太陽光発電に使用される光電変換装置に関し、特に球状光電変換素子を用いた光電変換装置及び光発電装置に関する。
太陽電池等の光電変換装置は、光電変換効率等の性能面での効率の良さ、資源の有限性への配慮、あるいは製造コストの低さ等といった市場ニーズを捉えて開発が進められている。光電変換装置の代表的なものとしては、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンの大きなバルクを切断して作製されたものが知られている。しかしながら、このような光電変換装置の作製手法では、切断ロスが多く高価なシリコン材料が無駄となってしまい、省資源の点及び製造コストの点で問題がある。
そこで、これらの問題点を解決すべく、結晶シリコン粒子等の球状の光電変換体を用いた光電変換装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。こうした光電変換装置は、一方の電極となる基板の一主面上に多数個の結晶シリコン粒子を接合し、他方の電極となる導電部が前記光電変換体に接続されて電力を取り出すように構成されている。このように光電変換装置に球状の光電変換体を用いることで、光電変換部の厚みを薄くし、シリコンの使用量を軽減するようにしている。
また、光電変換装置においては、光電変換効率を向上させるために、入射光をできるだけ多く光電変換体に吸収させることが必要となる。このため、光電変換体の受光面側に反射防止膜を形成して、受光面における光の反射を抑制するようにしている。上記のような球状の光電変換体を用いた光電変換装置においても、特許文献2に示されるように、光電変換体の受光面側に反射防止膜を形成し、球状の光電変換体に入射する光の反射を抑えるような構成がとられている。
特開平6−13633号公報
特開2005−142371号公報
ところで、球状の光電変換体の受光面に反射防止膜を形成する場合は、平板であるウエハの表面に反射防止膜を形成する場合と比べて、以下のような不都合が生じ得る。ウエハの表面に反射防止膜を形成する場合は、反射防止膜の表面で反射する光とウエハと反射防止膜との界面で反射する光とが互いに干渉して、入射した光を逃がさないような反射防止膜の膜厚が設定される。例えば、反射防止膜に窒化ケイ素を用いた場合に、太陽光がウエハの表面に対して垂直に入射するときは、入射光のスペクトルのうち最も入射量が多い波長から計算すると、反射防止に効果的な最適膜厚が約85nmとなる。ところが、球状の光電変換体の受光面に反射防止膜を形成する場合は、反射防止膜の厚み方向が同一方向にならないことから、平板上に形成される反射防止膜の最適膜厚を用いても、効率よく入射光の反射を抑えることができないという問題がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、球状の光電変換体に入射する光の反射を抑制し、光電変換効率を高くすることができる光電変換装置、光発電装置、及び光電変換装置の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る光電変換装置は、一方の電極となる基板の一主面上に多数個の球状の光電変換体が接合され、他方の電極となる導電部が前記光電変換体に接続されるとともに、前記光電変換体の受光面に反射防止膜が形成されてなる光電変換装置であって、前記反射防止膜は、前記光電変換体の頂上部に向かって膜厚が漸増するように形成されることを特徴とする。
基板の一主面に対して垂直に光が入射する場合、球状の光電変換体に入射する光は、各光電変換体における基板の一主面から最も突出した頂上部においては、反射防止膜の厚み方向と入射方向とが同一となるが、頂上部から遠ざかるに従って、反射防止膜の厚み方向に対する入射角が大きくなる。このため、反射防止膜が均一の厚さで形成されていると、受光面上で頂上部から離れた位置においては、反射防止膜を通過する光路長が長くなるため、光の干渉効果が小さくなり入射光の反射率が大きくなる。この点、同構成によれば、反射防止膜は頂上部に向かって膜厚が漸増するように形成されるため、入射光が反射防止膜を通過するときの光路長が光の入射位置によって変化することを抑えるように構成することができる。これにより、頂上部から離れた位置においても、光の干渉効果を利用して入射した光を極力逃がさないようにすることができ、球状の光電変換体に入射する光の反射を抑制して光電変換効率の高い光電変換装置とすることができる。
また、前記導電部は、前記光電変換体の受光面を被覆する透明導電膜からなり、前記反射防止膜は、前記透明導電膜の表面に形成されるようにしてもよい。同構成によれば、光電変換装置の電極を構成する透明導電膜も、反射防止機能を有するように構成できるため、光電変換体に入射する光の反射をさらに抑制し、光電変換装置の光電変換効率をより向上させることができる。
また、前記反射防止膜は、屈折率が1.6〜1.8の材料で形成されるようにしてもよい。屈折率n0の材料Aから屈折率n2の材料Bに光が入射する場合、材料Aと材料Bとの間に設けられる反射防止膜の屈折率n1が、(n0×n2)1/2に近づくほど入射光の反射率を小さくできることが知られている。光電変換装置をモジュールにするときには、一般的に光電変換装置の外側にEVA(エチレンビニルアセテート)等のように屈折率が約1.5の材料が充填される。一方、透明導電膜には、ITO(インジウム錫酸化物)等のように屈折率が約2.0の材料が使用される。このため、同構成のように、反射防止膜を屈折率が1.6〜1.8の材料で形成することにより、透明導電膜に入射する光の反射率を極力小さくすることができる。屈折率が1.6〜1.8の材料で形成された反射防止膜の具体例としては、In2S3膜(以下において、水酸化In2S3膜を含むものとする。)、ZnO膜、SiO膜,MgO膜,Y2O3膜及びTiO膜等が挙げられる。
また、前記反射防止膜は、In2S3膜、ZnO膜、SiO膜,MgO膜,Y2O3膜及びTiO膜のうちの少なくとも1種を含む多層膜で構成されるようにしてもよい。同構成によれば、反射防止膜を多層膜で構成するため、広い範囲の波長において大きな反射防止効果を得るように構成することができ、より一層光電変換装置の光電変換効率を向上させることができる。
また、本発明に係る光発電装置は、上記の光電変換装置を用いて発電した発電電力を負荷へ供給するようにしたことを特徴とする。同構成によれば、光発電装置は上記のような光電変換効率の高い光電変換装置を用いたものであるため、光電変換装置から光発電装置に供与される電力が増加し、高い能力の光発電装置とすることができる。
また、本発明に係る光電変換装置の製造方法は、一方の電極となる基板の一主面上に多数個の球状の光電変換体が接合され、他方の電極となる導電部が前記光電変換体に接続されるとともに、前記光電変換体の受光面に反射防止膜が形成されてなる光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換体が前記基板に接合された状態で前記受光面に反射防止膜をCBD法により形成する工程を少なくとも含むことを特徴とする。
CBD(Chemical Bath Deposition)法とは、形成しようとする薄膜の構成元素を含む溶液に被形成面を接触させ、その溶液の少なくとも被形成面近傍の温度及びph値を制御することにより、薄膜の材料となる化合物を生成させ、生成した化合物を被形成面に析出させて薄膜を形成する方法である。
同構成によれば、反射防止膜は、光電変換体が基板に接合された状態でCBD法により光電変換体の受光面に形成されるため、光電変換体の基板近傍の表面においては化合物が回り込み難く化合物の堆積量が減少する一方、光電変換体の一主面から最も突出した光電変換体の頂上部近傍の表面においては堆積量が増加する。このため、反射防止膜は前記頂上部に向かって膜厚が漸増するように形成される。その結果、入射光が反射防止膜を通過するときの光路長が光の入射位置によって変化することを抑えるように構成することができ、球状の光電変換体に入射する光の反射を抑制して光電変換効率の高い光電変換装置を製造することができる。
本発明に係る光電変換装置、光発電装置、及び光電変換装置の製造方法によれば、球状光電変換素子の表面における光の反射を抑制し、光電変換効率を高くすることができる。
以下、図1,2を参照して、本発明を具体化した光電変換装置の一実施形態について説明する。
図1は光電変換装置1の構成を示す断面図である。光電変換装置1は、導電性を有する基板11と、基板11の一主面に接合された多数個の球状の光電変換体としての結晶シリコン粒子12とを有している。それぞれの結晶シリコン粒子12は、接合層16によって基板11に接合されている。基板11の一主面上で結晶シリコン粒子12の隣接するもの同士の間には、絶縁物質14が設けられる。結晶シリコン粒子12の上部側(図1の上側)は、絶縁物質14から露出されるように配置されて太陽光等が入射する受光面となる。その受光面となる結晶シリコン粒子12の外周面には、透明導電膜15が形成されている。透明導電膜15の更に外周面には、入射光の反射を防止するための反射防止膜18が形成されている。
基板11は、結晶シリコン粒子12が接合される一主面に導電層を有している。基板11は金属基板でも良いし、ガラス,セラミック等から成る絶縁基板の一主面に導電層を形成したものでも良い。基板11の一主面に形成される導電層は、導電率が高いものであるとともに、結晶シリコン粒子12に導かれる光量が多くなるように光の反射率が大きい材料が好ましい。導電層は、例えば、銀,銅,錫等から成る金属層が好ましく、アルミニウムから成る金属層がさらに好ましい。基板11がアルミニウムから成る金属基板である場合は、結晶シリコン粒子12の接合により、その接合部にアルミニウムとシリコンの共晶部が形成され、結晶シリコン粒子12と基板11との間に強い接着強度が発生する。
結晶シリコン粒子12は、第1の導電型の半導体を主体として形成されるとともに、受光面側の表面には第2の導電型の半導体層13が形成されている。本実施形態では、第1の導電型をp型とし、第2の導電型をn型とする。結晶シリコン粒子12は、容器内においてシリコン原料全体を溶融させ、シリコン融液の上部をアルゴンガスなどで加圧して容器下部のノズル孔から押し出すことにより、多数のシリコンの液滴を噴出させて、自由落下中に凝固する球状の単結晶シリコンまたは多結晶シリコンの粒子を用いている。この他にも、シリコン粉末を溶融炉を通すことによって単結晶シリコン化した球状の結晶シリコン粒子を用いてもよい。この結晶シリコン粒子12は、所望の抵抗値を有するとともにp型の半導体とするために、p型ドーパントがドーピングされている。p型ドーパントとしてはホウ素,アルミニウム,ガリウム,インジウムがあるが、シリコンに対する偏析係数が大きい点やシリコン溶融時の蒸発係数が小さい点からは、ホウ素を用いることが好ましい。
n型の半導体層13は、工程コストの低い熱拡散法により結晶シリコン粒子12の表面に形成される。n型のドーパントとしては、元素周期律表のV族元素のP,As,Sb等を用い、石英からなる拡散炉にドーパントを導入しながら結晶シリコン粒子12の表面にn型の半導体層13を形成する。なお、熱拡散法によりn型の半導体層13を形成する以外にも、結晶シリコン粒子12を基板11に接合した後、結晶シリコン粒子12の受光面側に半導体層13としてn型の非晶質シリコン層を積層するようにしてもよい。
結晶シリコン粒子12は、基板11上に最密六方状を成すように配置され、高温加圧法により接合される。すなわち、基板11の一主面上に多数個の結晶シリコン粒子12を配置し、結晶シリコン粒子12に荷重をかけながら、共晶点(577℃)以上の温度で窒素あるいは窒素水素の還元雰囲気の加熱炉内において熱板で加熱させることによって、結晶シリコン粒子12と基板11とを接合する。これにより、基板11と結晶シリコン粒子12との接合界面に、アルミニウムとシリコンとの共晶から成る接合層16が形成される。またこのときに、アルミニウム−シリコン共晶から成長したp+層17がシリコン粒子との界面に形成され、接合部におけるオーミック特性を得るとともに、p+層17によるBSF効果を得ることができる。
結晶シリコン粒子12と基板11とを接合したときは、n型の半導体層13を基板11から分離しておく必要がある。このため、結晶シリコン粒子12を基板11に接合した後に、結晶シリコン粒子12の受光面側に耐エッチング液のレジストを転写法にて粒子の半分以上を塗布し、エッチング液に浸漬して基板11と接触している結晶シリコン粒子12表面のn型の半導体層13を除去する。
絶縁物質14は、基板11と透明導電膜15とを絶縁するために設けられ、例えばポリイミドを主成分とした材料からなる。ポリイミドは、処理温度を低く抑えることが可能で、弾性係数も小さく、基板11と絶縁物質14との熱膨張係数の差を吸収する点で好ましい材料である。
絶縁物質14は、基板11と透明導電膜15とを絶縁するために設けられ、例えばポリイミドを主成分とした材料からなる。ポリイミドは、処理温度を低く抑えることが可能で、弾性係数も小さく、基板11と絶縁物質14との熱膨張係数の差を吸収する点で好ましい材料である。
透明導電膜15は、各結晶シリコン粒子12で発生した光電流を収電するために設けられ、錫ドープ酸化インジウム膜,酸化スズ膜,酸化亜鉛膜等からなる。透明導電膜15の膜厚は、約85nmになるように形成され、結晶シリコン粒子12に入射する光の反射防止効果をも有している。
透明導電膜15は、量産に適した信頼性の高い均質な膜質を得るために、スパッタリング法で形成するのが好ましいが、CVD法、ディップ法、電析法により形成することもできる。透明導電膜15は、絶縁物質14上にも延設して形成されるとともに、各結晶シリコン粒子12の表面の半導体層13同士を電気的に接続している。このように透明導電膜15を形成することにより、透明導電膜15と基板11とは、個々の結晶シリコン粒子12を並列に接続している。また、透明導電膜15上には、透明導電膜15の直列抵抗値を低くするために銀ペースト等をくし状に塗布形成したグリット電極(不図示)が設けられる。基板11を一方の電極とし、透明導電膜15およびグリット電極を他方の電極とすることにより、光電変換装置1の出力が得られる。
反射防止膜18は、結晶シリコン粒子12の受光面に沿って形成され、入射光の反射を防止するために設けられる。反射防止膜18は、反射防止膜18の表面で反射する光と、反射防止膜18と透明導電膜15との界面で反射する光とが互いに干渉して、入射した光を逃がさないように構成される。反射防止膜が平板であるシリコンウエハ上に形成される場合は、シリコンウエハに対する光の入射角が全面に亘って同一となるため、上記のように光の干渉が起こるような最適膜厚を算出して、反射防止膜が均一の最適膜厚になるように形成すればよい。しかし、結晶シリコン粒子12は球状をしているため、ある位置では効果的な反射防止膜の膜厚も、そこから外れると光の入射角が変化するため最適膜厚が異なってくる。つまり、反射防止膜を均一の膜厚で形成すると、有効に反射防止効果を得ることができない。そこで、本実施形態においては、結晶シリコン粒子12の受光面に設けられる反射防止膜18が、各位置において最適膜厚となるように形成されている。
反射防止膜18の最適膜厚について、図2を参照して説明する。反射防止膜18と透明導電膜15との界面で反射する光は、反射防止膜18の屈折率と光路長との積となる光学厚さが波長の1/2である場合に、光の干渉によって反射防止効果を高めることができる。具体的に説明すると、光が基板11の垂直方向から入射する場合、基板11の一主面から最も突出した結晶シリコン粒子12の頂上部12aに形成される反射防止膜18においては、入射した光が反射防止膜18を通過するときの波長の1/2が、頂上部12aに形成される膜厚の2倍になるときに、効果的に光の反射を抑えることができる。また、結晶シリコン粒子12表面のα°の傾斜角部12bに形成される反射防止膜18においては、反射防止膜18の表面における光の屈折を無視すると、光が反射防止膜18を通過するときの波長の1/2が、傾斜角部12bに形成される膜厚の2/cosα倍になるときに、効果的に光の反射を抑えることができる。このように最適膜厚を算出すると、図2に示すように、頂上部12aに形成される膜厚が最も厚く、頂上部12aから遠ざかるほど膜厚が薄くなるように形成されるとき、すなわち結晶シリコン粒子12の頂上部12aに向かって膜厚が漸増するように反射防止膜18が形成されるときに、効率よく反射防止効果を得ることができる。
上記の例においては、入射光が単一の波長であると仮定し、且つ反射防止膜18の表面における光の屈折を無視したときの演算値であるが、実際に反射防止膜18の最適膜厚を求めるにあたっては、結晶シリコン粒子12に対する入射光のスペクトルのうち有効範囲となる波長、光の屈折を加味して最適膜厚を算出する。また、透明導電膜15も反射防止膜として機能するため、透明導電膜15と半導体層13との界面で反射する光の干渉の影響も考慮する必要がある。
また、反射防止膜18は、入射光の反射率が低くなるような屈折率を有した材料で形成される。屈折率n0の材料Aから屈折率n2の材料Bに光が入射する場合、材料Aと材料Bとの間に設けられる反射防止膜の屈折率n1が、(n0×n2)1/2に近づくほど入射光の反射率を小さくできることが知られている。光電変換装置をモジュールにするときには、一般的に光電変換装置の外側にEVA(エチレンビニルアセテート)等のように屈折率が約1.5の材料が充填される。一方、透明導電膜には、ITO(インジウム錫酸化物)等のように屈折率が約2.0の材料が使用される。このため、反射防止膜18を屈折率が1.6〜1.8の材料で形成することにより、透明導電膜15に入射する光の反射率を極力小さくすることができる。屈折率が1.6〜1.8の薄膜としては、In2S3膜、ZnO膜、SiO膜,MgO膜,Y2O3膜,TiO膜等が挙げられ、いずれかの薄膜を反射防止膜18に使用することで、効率よく反射防止効果を得ることができる。
反射防止膜18は、図2のように単層の薄膜で形成されるようにしてもよいが、複層の薄膜で形成されるようにしてもよい。反射防止膜18が複層の薄膜で形成される場合は、広い範囲の波長において好適に反射防止効果が得られるような構成を設計することができる。
上記のような反射防止膜18の製造方法としては、CBD法で成膜することが好ましい。この方法は高価な真空装置を用いずに大面積を一挙に成膜するため、低コストで反射防止膜18を形成することができる。CBD法によって反射防止膜18を形成するときは、結晶シリコン粒子12を基板11に接合した状態で行う。このような状態で反射防止膜18を形成すると、結晶シリコン粒子12の基板11近傍の表面においては反射防止膜18を形成する物質が回り込み難く堆積量が減少する一方、結晶シリコン粒子12の頂上部12a近傍の表面においては堆積量が増加する。このため、頂上部12aに向かって膜厚が漸増するような態様で反射防止膜18を容易に形成することができる。また、CBD法により反射防止膜18を形成すると、膜厚の厚みに起因して屈折率が異方性を示すことが知られている。こうした屈折率の異方性を利用することで、結晶シリコン粒子12の各位置に入射する光の光路長を制御し、反射防止効果を得るようにすることもできる。なお、CBD法以外にも、例えばスパッタリングされたイオンを基板11に垂直に制御することで、結晶シリコン粒子12の頂上部12aに向かって膜厚が漸増するように反射防止膜18を形成してもよい。
以上のようにして、結晶シリコン粒子12の頂上部12aに向かって膜厚が漸増するように反射防止膜18を形成することで、反射防止膜18による反射防止効果を高め、光電変換装置1の光電変換効率を向上させることができる。また、光電変換装置1をモジュールにするときに、表面を耐候性フィルムでラミネートする等によりクラックが入り難くすると、耐候性に優れた信頼性の高いモジュールとすることができる。
また、上記の光電変換装置1を用いて発電した発電電力を、発光装置や照明装置等の各種の負荷へ供給するように光発電装置を構成することもできる。図3に、光電変換装置1を用いて構成した光発電装置2を、住宅用の光発電装置に適用した例を示す。住宅の屋根には、光電変換装置1を有するモジュールを並べて配線したアレイ21が設置されている。光電変換装置1の発電によりアレイ21から取り出された直流電力は、直流開閉器22からインバータ装置23に与えられ、このインバータ装置23にて直流電力が交流に変換される。変換された交流電力は、分電盤24から照明装置等の家庭内負荷25に供給される。また、家庭内の電気系統には、分電盤24を介して商用の電力系統26からも電力が供給され、夜間など光電変換装置1から供給される電力が不足した場合には、電力系統26からの電力が利用できるように構成される。
このように光発電装置2を構成すると、光電変換効率が高い本実施形態の光電変換装置1によって発電能力が向上し、長期間にわたって高い発電効率が得られる光発電装置2とすることができる。また、この光発電装置2では、光電変換装置1にて効率よく発電した電力が家庭内負荷25の使用量以上の場合には、余った電力を分電盤24から電力系統26に逆潮流させ、余剰電力を電力会社に売電することもできる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態では、反射防止膜18は球状の結晶シリコン粒子12の頂上部12aに向かって膜厚が漸増するように形成されるため、入射光が反射防止膜18を通過するときの光路長が光の入射位置によって変化することを抑えるように構成することができる。このため、頂上部12aから離れた位置においても、光の干渉効果を利用して入射した光を極力逃がさないようにすることができ、球状の結晶シリコン粒子12に入射する光の反射を抑制して光電変換効率の高い光電変換装置1とすることができる。
(2)本実施形態では、反射防止膜18は球状の結晶シリコン粒子12の受光面を被覆する透明導電膜15の表面に形成されるため、透明導電膜15も反射防止機能を有するように構成でき、結晶シリコン粒子12に入射する光の反射をさらに抑制し、光電変換装置1の光電変換効率をより向上させることができる。
(3)本実施形態では、反射防止膜18は屈折率が1.6〜1.8の材料で形成されるため、モジュールにするときに光電変換装置1の外側に設けられる一般的な材料(屈折率が約1.5)と透明導電膜15に使用される一般的な材料(屈折率が約2.0)とに対して、透明導電膜15に入射する光の反射率を極力小さくする設定ことができる。
(4)本実施形態では、反射防止膜18は、結晶シリコン粒子12が基板11に接合された状態でCBD法により結晶シリコン粒子12の受光面に沿って形成される。このため、結晶シリコン粒子12の基板11近傍の表面においては反射防止膜18を形成する物質が回り込み難く堆積量が減少する一方、結晶シリコン粒子12の頂上部12a近傍の表面においては堆積量が増加する。このため、頂上部12aに向かって膜厚が漸増するような態様で反射防止膜18を容易に形成することができる。
なお、上記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・上記実施形態では、光電変換装置1の光電変換体として結晶シリコン粒子12を用いているが、シリコン以外の化合物からなる球状の半導体を用いてもよい。
・上記実施形態では、反射防止膜18を透明導電膜15の表面に形成するようにしているが、反射防止膜18を形成せずに、透明導電膜15の膜厚が結晶シリコン粒子12の頂上部12aに向かって漸増するように形成されるようにしてもよい。このように構成しても、反射防止膜18を設けた場合と同様に光電変換装置1の変換効率を向上させることができる。
・上記実施形態では、電極となる透明導電膜15を結晶シリコン粒子12の受光面に形成しているが、電極が受光面以外の位置でn型の半導体層13と接続されるように構成してもよい。また、透明導電膜15は受光面の全面に亘って形成されていなくてもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態をさらに具体的に説明する。
結晶シリコン粒子12を、シリコン融液の液滴を容器のノズルから噴出させ自由落下させて固化させることにより製造する、いわゆるジェット法によって製造した。すなわち、ArまたはHeの不活性ガスの雰囲気中で、坩堝へシリコン原料を充填して昇温し溶解したシリコン融液を、坩堝下端に形成されたノズルより噴出させて自由落下させ、固化させることにより、球状の結晶シリコン粒子12を作製した。
次に、この結晶シリコン粒子12を石英ボート上に載置して熱処理することにより、結晶シリコン粒子12の表面にリン不純物を熱拡散させて、結晶シリコン粒子12表面におよそ1μmの厚さのn型の半導体層13を形成した。
多数の直径約300μmの結晶シリコン粒子12を、500μmの厚みの高純度アルミニウムからなる導電性を有した基板11上に、最密六方状に配設した。5%水素を含む窒素ガスの還元雰囲気の加熱炉に導入し、まず、加熱炉で有機分を飛ばすためにゆっくりと昇温した後、急速に540℃まで上げた。そして、共晶点より2℃高い579℃の熱板を基板11に押し付けると、アルミシリコン共晶部からなる接合層16及びp+層17が形成された。このように形成された接合部は、充分な接着強度を有するとともに、オーミック特性が得られ、BSF層として好ましいものとなった。
次に、結晶シリコン粒子12が配設された基板11上の結晶シリコン粒子12同士の間に、ポリイミドからなる絶縁物質14を約100μmの厚みになるように充填塗布し乾燥させた。
次に、多数の結晶シリコン粒子12上及び絶縁物質14上の全面に、上部電極膜としての透明導電膜15(ITO膜)を、スパッタリング法により、80nmの厚みで形成した。そして、透明導電膜15上に銀ペーストをディスペンサーでグリッド状にパターン形成して、フィンガー電極およびバスバー電極となる銀ペーストパターンを形成し、焼成を行ってフィンガー電極およびバスバー電極を形成した。
最後に、CBD法にて、透明導電膜15の表面に反射防止膜18となる水酸化In2S3膜を形成した。水酸化In2S3膜は、0.025Mの塩化インジウム、0.1Mの酢酸、0.1Mのチオアセタミドを含む液(pH=2.3)を70℃にした中に結晶シリコン粒子12を浸漬し、頂上部12a側から水酸化In2S3を沈積させて成膜した。
周知のエリプソメータにより、膜表面での光の入射光と反射光との偏光状態の変化を測定し、得られたデータにより反射防止膜18の膜厚と屈折率とを算出した。その結果、反射防止膜18は、結晶シリコン粒子12の頂上部12aにおいて厚みが70nmとなり、頂上部12aから遠ざかるほど膜厚が薄くなるように形成された。また、反射防止膜18の屈折率は1.7となった。
この光電変換装置1について、電気特性をAM1.5のソーラーシミュレーターで評価した結果、開放電圧580mV、短絡電流31mA/cm2、13.7%の変換効率を得ることができた。
上記実施例において反射防止膜18を形成しなかった場合の光電変換装置について、その電気特性をAM1.5のソーラーシミュレーターで評価した結果、開放電圧580mV、短絡電流30mA/cm2、13.2%の変換効率を得ることができた。
また、反射防止膜を均一の厚みで形成した場合の光電変換装置について、その電気特性をシミュレーションにより算出した結果、短絡電流30.6mA/cm2、13.5%の変換効率となった。
実施例において短絡電流が比較例よりも高くなっているのは、反射防止膜18により反射防止効果が向上し、反射防止膜18の膜厚が頂上部12aに向かって漸増するように形成されたことにより反射防止効果がより一層向上したことによる。
1…光電変換装置、2…光発電装置、11…基板、12…結晶シリコン粒子、13…n型(第2の導電型)の半導体層、14…絶縁物質、15…透明導電膜、16…接合層、17…p+層、18…反射防止膜、21…アレイ、22…直流開閉器、23…インバータ装置、24…分電盤、25…家庭内負荷、26…電力系統。
Claims (7)
- 一方の電極となる基板の一主面上に多数個の球状の光電変換体が接合され、他方の電極となる導電部が前記光電変換体に接続されるとともに、前記光電変換体の受光面に反射防止膜が形成されてなる光電変換装置であって、前記反射防止膜は、前記光電変換体の頂上部に向かって膜厚が漸増するように形成される
ことを特徴とする光電変換装置。 - 前記導電部は、前記光電変換体の受光面を被覆する透明導電膜からなり、前記反射防止膜は、前記透明導電膜の表面に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。 - 前記反射防止膜は、屈折率が1.6〜1.8の材料で形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。 - 前記反射防止膜は、In2S3膜、ZnO膜、SiO膜、MgO膜、Y2O3膜及びTiO膜のいずれかである
ことを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。 - 前記反射防止膜は、In2S3膜、ZnO膜、SiO膜、MgO膜、Y2O3膜及びTiO膜のうちの少なくとも1種を含む多層膜で構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光電変換装置を用いて発電した発電電力を負荷へ供給するようにした
ことを特徴とする光発電装置。 - 一方の電極となる基板の一主面上に多数個の球状の光電変換体が接合され、他方の電極となる導電部が前記光電変換体に接続されるとともに、前記光電変換体の受光面に反射防止膜が形成されてなる光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換体が前記基板に接合された状態で前記受光面に反射防止膜をCBD法により形成する工程を少なくとも含む
ことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
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