JP2007146759A - スタータ - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチ4に使用されるグリースに他のグリースが混入することを防止することにより、クラッチ性能を長期に渡り維持できるスタータを提供する。
【解決手段】クラッチアウタ20のアウタ壁部42には、インナチューブ22の内側に形成される内部空間Aとアウタ壁部42の外部とを連通する通気孔40が形成されている。また、軸方向に対向するインナチューブ22とアウタ壁部42との間には、クラッチ4のカム室と内部空間Aとの間を遮断するリング状のカラー41が設けられている。これにより、ピニオン軸5が戻る時に、内部空間Aで圧縮された空気を通気孔40からアウタ壁部42の外部に逃がすことができる。その結果、スプライン部に使用されるグリース等がクラッチ4のカム室に入り込むことを防止できるので、クラッチ4に使用されるグリースの摩擦係数の低下を抑えることができ、クラッチ4の滑りを防止できる。
【選択図】図2
【解決手段】クラッチアウタ20のアウタ壁部42には、インナチューブ22の内側に形成される内部空間Aとアウタ壁部42の外部とを連通する通気孔40が形成されている。また、軸方向に対向するインナチューブ22とアウタ壁部42との間には、クラッチ4のカム室と内部空間Aとの間を遮断するリング状のカラー41が設けられている。これにより、ピニオン軸5が戻る時に、内部空間Aで圧縮された空気を通気孔40からアウタ壁部42の外部に逃がすことができる。その結果、スプライン部に使用されるグリース等がクラッチ4のカム室に入り込むことを防止できるので、クラッチ4に使用されるグリースの摩擦係数の低下を抑えることができ、クラッチ4の滑りを防止できる。
【選択図】図2
Description
本発明は、エンジンを始動するためのスタータに関する。
近年、エンジンの高出力化及びエンジンルームの過密化等により、スタータの熱的環境は厳しくなっている。また、取付けスペースの制約上、排気管の近傍にスタータが配置されることもある。このため、スタータは、150度以上の環境に晒されることもあり、スタータの摺動部に使用される潤滑剤(グリース、潤滑被膜等)が軟化して流出し易くなっている。
更に、スタータ自体にも小型軽量化が求められており、スタータを構成する各部品間のギャップも縮小されているため、各摺動部に使用されている潤滑剤が混ざる可能性が増えてきている。特に、トルクの伝達を断続するクラッチには、一定の摩擦力と摺動部の潤滑を両立するために高い摩擦係数のシリコングリースを使用しているが、このシリコングリースの性能を維持することが困難な状況に成りつつある。
更に、スタータ自体にも小型軽量化が求められており、スタータを構成する各部品間のギャップも縮小されているため、各摺動部に使用されている潤滑剤が混ざる可能性が増えてきている。特に、トルクの伝達を断続するクラッチには、一定の摩擦力と摺動部の潤滑を両立するために高い摩擦係数のシリコングリースを使用しているが、このシリコングリースの性能を維持することが困難な状況に成りつつある。
例えば、図5に示す様に、クラッチ100の近傍には、ピニオン軸110を軸方向に移動させるための手段、つまり、モータの駆動トルクを軸方向のスラスト力に変換するヘリカルスプライン部120が設けられるが、このヘリカルスプライン部120には、低温時の摺動抵抗を増加させないために、鉱油系又は合成油系のグリースが塗布されている。このヘリカルスプライン部120に使用されるグリースが、スタータ使用時の発熱及び遠心力等でクラッチ100の内部(ローラ130が配置されるカム室)に侵入してシリコングリースに混入すると、シリコングリースの摩擦係数(力)が低下し、その状態で低温になると摩擦係数が更に低下する。その結果、トルク伝達時にクラッチ100で滑りが発生してトルク伝達ができなくなり、エンジンを始動できない不具合が発生する。
これに対し、特許文献1には、クラッチを構成するアウタとインナとの間にゴム製のリップシールを配置することで、クラッチに使用されるグリースの流出を防止すると共に、他のグリースや水等の異物がクラッチ内部へ侵入することを防止する技術が開示されている。
特許第3104810号公報
ところが、大排気量エンジンに使用されるスタータでは、伝達トルクが大きく、クラッチが大型化されるため、オーバランによる発熱が高くなり、最悪の状況では、300度以上となる。このため、上記の特許文献1に記載された公知技術では、リップシール(ゴム製)の耐熱性が低いため、大排気量エンジンに使用されるスタータには適用できない問題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、エンジンの排気量に係わらず、クラッチに使用されるグリースに他のグリース等が混入することを防止することにより、クラッチ性能を長期に渡り維持できるスタータを提供することにある。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、エンジンの排気量に係わらず、クラッチに使用されるグリースに他のグリース等が混入することを防止することにより、クラッチ性能を長期に渡り維持できるスタータを提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、回転力を発生するモータと、このモータの駆動トルクが伝達されて回転するクラッチアウタと、このクラッチアウタの内周に相対回転可能に配置される円筒形状のインナチューブとを有し、クラッチアウタからローラを介してインナチューブにトルク伝達する一方向クラッチと、軸方向の一端側がインナチューブの内周にスプライン結合されるピニオン軸と、インナチューブより反モータ方向へ突き出るピニオン軸の端部に支持されるピニオンギヤとを備え、ピニオンギヤがピニオン軸と一体に反モータ方向へ移動してエンジンのリングギヤに噛み合わされるスタータであって、クラッチアウタは、インナチューブの軸方向モータ側の端面が当接するアウタ壁部を有すると共に、このアウタ壁部には、ピニオン軸が反モータ方向へ移動した時にインナチューブの内側に形成される内部空間とアウタ壁部の外部とを連通する通気孔が形成されていることを特徴とする。
本発明は、回転力を発生するモータと、このモータの駆動トルクが伝達されて回転するクラッチアウタと、このクラッチアウタの内周に相対回転可能に配置される円筒形状のインナチューブとを有し、クラッチアウタからローラを介してインナチューブにトルク伝達する一方向クラッチと、軸方向の一端側がインナチューブの内周にスプライン結合されるピニオン軸と、インナチューブより反モータ方向へ突き出るピニオン軸の端部に支持されるピニオンギヤとを備え、ピニオンギヤがピニオン軸と一体に反モータ方向へ移動してエンジンのリングギヤに噛み合わされるスタータであって、クラッチアウタは、インナチューブの軸方向モータ側の端面が当接するアウタ壁部を有すると共に、このアウタ壁部には、ピニオン軸が反モータ方向へ移動した時にインナチューブの内側に形成される内部空間とアウタ壁部の外部とを連通する通気孔が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、反モータ方向へ移動したピニオン軸が戻る時に、インナチューブの内側に形成される内部空間で圧縮された空気を通気孔からアウタ壁部の外部に逃がすことができる。これにより、スプライン部に使用されるグリースが空気圧によってクラッチの内部に入り込むことを抑制でき、クラッチに使用されるグリースに他のグリースが混入することを抑制できる。その結果、クラッチに使用されるグリースの摩擦係数の低下を抑えることができ、クラッチの滑りを防止できる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載したスタータにおいて、軸方向に対向するインナチューブとアウタ壁部との間に、クラッチアウタの内周に形成されるカム室と内部空間との間を遮断するリング状のカラーを配置したことを特徴とする。
これにより、スプライン部に使用されるグリースが遠心力でクラッチのカム室へ侵入することを防止でき、クラッチに使用されるグリースとスプライン部に使用されるグリースとの混入を低減できる。
請求項1に記載したスタータにおいて、軸方向に対向するインナチューブとアウタ壁部との間に、クラッチアウタの内周に形成されるカム室と内部空間との間を遮断するリング状のカラーを配置したことを特徴とする。
これにより、スプライン部に使用されるグリースが遠心力でクラッチのカム室へ侵入することを防止でき、クラッチに使用されるグリースとスプライン部に使用されるグリースとの混入を低減できる。
(請求項3の発明)
請求項2に記載したスタータにおいて、カラーは、一端側がアウタ壁部に圧入固定され、他端側がアウタ壁部の端面からインナチューブ側に突出して設けられ、インナチューブには、カラーの他端側に凹凸嵌合する環状の凹部が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、反モータ方向へ移動したピニオン軸が戻る時に、スプライン部のグリースがアウタ壁部側に押し込まれて、インナチューブとアウタ壁部との当接部に入り込んだ場合に、アウタ壁部の端面からインナチューブ側へ突出するカラーにより、グリースがクラッチのカム室へ入り込むことを防止できる。
請求項2に記載したスタータにおいて、カラーは、一端側がアウタ壁部に圧入固定され、他端側がアウタ壁部の端面からインナチューブ側に突出して設けられ、インナチューブには、カラーの他端側に凹凸嵌合する環状の凹部が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、反モータ方向へ移動したピニオン軸が戻る時に、スプライン部のグリースがアウタ壁部側に押し込まれて、インナチューブとアウタ壁部との当接部に入り込んだ場合に、アウタ壁部の端面からインナチューブ側へ突出するカラーにより、グリースがクラッチのカム室へ入り込むことを防止できる。
(請求項4の発明)
請求項3に記載したスタータにおいて、アウタ壁部の軸方向反モータ側端面(内部空間側の端面)に開口する通気孔の開口部は、アウタ壁部に圧入されたカラーの内径側に形成されていることを特徴とする。
この場合、反モータ方向へ移動したピニオン軸が戻る時に、インナチューブの内側に形成される内部空間に生じる空気圧により、スプライン部のグリースをクラッチのカム室に送り込もうとするが、カラーの内径側に開口する通気孔より空気圧をアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。また、カラーによって、スプライン部のグリースを空気圧と共に通気孔に誘導することが可能である。
請求項3に記載したスタータにおいて、アウタ壁部の軸方向反モータ側端面(内部空間側の端面)に開口する通気孔の開口部は、アウタ壁部に圧入されたカラーの内径側に形成されていることを特徴とする。
この場合、反モータ方向へ移動したピニオン軸が戻る時に、インナチューブの内側に形成される内部空間に生じる空気圧により、スプライン部のグリースをクラッチのカム室に送り込もうとするが、カラーの内径側に開口する通気孔より空気圧をアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。また、カラーによって、スプライン部のグリースを空気圧と共に通気孔に誘導することが可能である。
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、アウタ壁部に形成される通気孔は、アウタ壁部を軸方向に貫通して設けられ、且つアウタ壁部の周方向に複数箇所設けられていることを特徴とする。
この場合、アウタ壁部に複数の通気孔を設けることで、ピニオン軸が戻る時に発生する圧縮空気をより速やかにアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。また、通気孔が一つの場合は、その通気孔がグリース等で塞がると、ピニオン軸が戻る時に発生する圧縮空気をアウタ壁部の外部へ逃がすことができなくなるが、本発明によれば、アウタ壁部に複数の通気孔を設けることで、一部の通気孔がグリース等で塞がっても、他の通気孔より圧縮空気をアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。
請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、アウタ壁部に形成される通気孔は、アウタ壁部を軸方向に貫通して設けられ、且つアウタ壁部の周方向に複数箇所設けられていることを特徴とする。
この場合、アウタ壁部に複数の通気孔を設けることで、ピニオン軸が戻る時に発生する圧縮空気をより速やかにアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。また、通気孔が一つの場合は、その通気孔がグリース等で塞がると、ピニオン軸が戻る時に発生する圧縮空気をアウタ壁部の外部へ逃がすことができなくなるが、本発明によれば、アウタ壁部に複数の通気孔を設けることで、一部の通気孔がグリース等で塞がっても、他の通気孔より圧縮空気をアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。
(請求項6の発明)
本発明は、回転力を発生するモータと、このモータの駆動トルクが伝達されて回転するピニオン軸と、このピニオン軸の外周にスプライン結合するクラッチアウタと、ピニオン軸上に軸受を介して嵌合する筒状のインナチューブとを有し、クラッチアウタからローラを介してインナチューブにトルク伝達する一方向クラッチと、このクラッチと一体にピニオン軸上に配置され、クラッチを介してピニオン軸の回転が伝達されるピニオンギヤとを備え、ピニオンギヤがクラッチと一体に反モータ方向へ移動してエンジンのリングギヤに噛み合わされるスタータであって、クラッチアウタは、インナチューブの軸方向モータ側の端面が当接するアウタ壁部を有すると共に、このアウタ壁部には、インナチューブの内側に形成される空間とアウタ壁部の外部とを連通する通気孔が形成されていることを特徴とする。
本発明は、回転力を発生するモータと、このモータの駆動トルクが伝達されて回転するピニオン軸と、このピニオン軸の外周にスプライン結合するクラッチアウタと、ピニオン軸上に軸受を介して嵌合する筒状のインナチューブとを有し、クラッチアウタからローラを介してインナチューブにトルク伝達する一方向クラッチと、このクラッチと一体にピニオン軸上に配置され、クラッチを介してピニオン軸の回転が伝達されるピニオンギヤとを備え、ピニオンギヤがクラッチと一体に反モータ方向へ移動してエンジンのリングギヤに噛み合わされるスタータであって、クラッチアウタは、インナチューブの軸方向モータ側の端面が当接するアウタ壁部を有すると共に、このアウタ壁部には、インナチューブの内側に形成される空間とアウタ壁部の外部とを連通する通気孔が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、クラッチがピニオンギヤと一体にピニオン軸上を往復移動する際に、インナチューブの内側に形成される空間で圧縮された空気を通気孔からアウタ壁部の外部に逃がすことができる。これにより、スプライン部に使用されるグリースが空気圧によってクラッチの内部に入り込むことを抑制でき、クラッチに使用されるグリースに他のグリースが混入することを抑制できる。その結果、クラッチに使用されるグリースの摩擦係数の低下を抑えることができ、クラッチの滑りを防止できる。
(請求項7の発明)
請求項6に記載したスタータにおいて、軸方向に対向するインナチューブとアウタ壁部との間に、クラッチアウタの内周に形成されるカム室とインナチューブの内側に形成される空間との間を遮断するリング状のカラーを配置したことを特徴とする。
これにより、スプライン部に使用されるグリースが遠心力でクラッチのカム室へ侵入することを防止でき、クラッチに使用されるグリースとスプライン部に使用されるグリースとの混入を低減できる。
請求項6に記載したスタータにおいて、軸方向に対向するインナチューブとアウタ壁部との間に、クラッチアウタの内周に形成されるカム室とインナチューブの内側に形成される空間との間を遮断するリング状のカラーを配置したことを特徴とする。
これにより、スプライン部に使用されるグリースが遠心力でクラッチのカム室へ侵入することを防止でき、クラッチに使用されるグリースとスプライン部に使用されるグリースとの混入を低減できる。
(請求項8の発明)
請求項7に記載したスタータにおいて、カラーは、一端側がアウタ壁部に圧入固定され、他端側がアウタ壁部の端面からインナチューブ側に突出して設けられ、インナチューブには、カラーの他端側に凹凸嵌合する環状の凹部が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、クラッチがピニオンギヤと一体にピニオン軸上を往復移動する際に、スプライン部のグリースがインナチューブとアウタ壁部との当接部に入り込んだ場合でも、アウタ壁部の端面からインナチューブ側へ突出するカラーにより、グリースがクラッチのカム室へ入り込むことを防止できる。
請求項7に記載したスタータにおいて、カラーは、一端側がアウタ壁部に圧入固定され、他端側がアウタ壁部の端面からインナチューブ側に突出して設けられ、インナチューブには、カラーの他端側に凹凸嵌合する環状の凹部が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、クラッチがピニオンギヤと一体にピニオン軸上を往復移動する際に、スプライン部のグリースがインナチューブとアウタ壁部との当接部に入り込んだ場合でも、アウタ壁部の端面からインナチューブ側へ突出するカラーにより、グリースがクラッチのカム室へ入り込むことを防止できる。
(請求項9の発明)
請求項6〜8に記載した何れかのスタータにおいて、アウタ壁部に形成される通気孔は、アウタ壁部の周方向に複数箇所設けられていることを特徴とする。
この場合、アウタ壁部に複数の通気孔を設けることで、クラッチがピニオンギヤと一体にピニオン軸上を往復移動する際に発生する空気圧をより速やかにアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。また、通気孔が一つの場合は、その通気孔がグリースで塞がると、前記空気圧をアウタ壁部の外部へ逃がすことができなくなるが、本発明によれば、一部の通気孔がグリースで塞がっても、他の通気孔より前記空気圧をアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。
請求項6〜8に記載した何れかのスタータにおいて、アウタ壁部に形成される通気孔は、アウタ壁部の周方向に複数箇所設けられていることを特徴とする。
この場合、アウタ壁部に複数の通気孔を設けることで、クラッチがピニオンギヤと一体にピニオン軸上を往復移動する際に発生する空気圧をより速やかにアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。また、通気孔が一つの場合は、その通気孔がグリースで塞がると、前記空気圧をアウタ壁部の外部へ逃がすことができなくなるが、本発明によれば、一部の通気孔がグリースで塞がっても、他の通気孔より前記空気圧をアウタ壁部の外部へ逃がすことができる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1は実施例1に係るスタータ1の断面図である。
本実施例のスタータ1は、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転を減速する減速機3と、この減速機3にクラッチ4を介して連結されるピニオン軸5と、このピニオン軸5に支持されるピニオンギヤ6と、モータ2の通電回路(モータ回路と呼ぶ)に設けられるメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー7を介してピニオン軸5を軸方向に移動させる働きを有する電磁スイッチ8等より構成される。なお、図1において、ピニオン軸5及び電磁スイッチ8の中心線より上側は、スタータ1の停止状態を示し、中心線より下側は、スタータ1の作動状態を示している。
本実施例のスタータ1は、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転を減速する減速機3と、この減速機3にクラッチ4を介して連結されるピニオン軸5と、このピニオン軸5に支持されるピニオンギヤ6と、モータ2の通電回路(モータ回路と呼ぶ)に設けられるメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー7を介してピニオン軸5を軸方向に移動させる働きを有する電磁スイッチ8等より構成される。なお、図1において、ピニオン軸5及び電磁スイッチ8の中心線より上側は、スタータ1の停止状態を示し、中心線より下側は、スタータ1の作動状態を示している。
モータ2は、ヨーク9の内周に複数の界磁コイル10を配置して構成される界磁と、電機子軸11に固定される電機子鉄心12に電機子コイル13を巻線して構成される電機子14とを有し、界磁コイル10と電機子コイル13がブラシ15を介して直列に接続される周知の直流直巻電動機である。
減速機3は、電機子軸11と同軸上で減速できる遊星歯車減速機である。この遊星歯車減速機は、図2に示す様に、電機子軸11に設けられる太陽歯車16と、この太陽歯車16と同心に配置され、且つセンタケース17に回転規制されたリング状の内歯歯車18(図1参照)と、両歯車16、18に噛み合う複数の遊星歯車19とで構成され、この遊星歯車19の公転運動がクラッチ4を介してピニオン軸5に伝達される。
減速機3は、電機子軸11と同軸上で減速できる遊星歯車減速機である。この遊星歯車減速機は、図2に示す様に、電機子軸11に設けられる太陽歯車16と、この太陽歯車16と同心に配置され、且つセンタケース17に回転規制されたリング状の内歯歯車18(図1参照)と、両歯車16、18に噛み合う複数の遊星歯車19とで構成され、この遊星歯車19の公転運動がクラッチ4を介してピニオン軸5に伝達される。
クラッチ4は、図2に示す様に、減速機3を介してモータ2の駆動トルクが伝達されるクラッチアウタ20と、ボールベアリング21を介してセンタケース17に回転自在に支持された筒状のインナチューブ22と、クラッチアウタ20の内周に形成されるくさび状のカム室に配置されるローラ23等より構成され、このローラ23を介してクラッチアウタ20からインナチューブ22へのトルク伝達を許容し、インナチューブ22からクラッチアウタ20へのトルク伝達を遮断する一方向クラッチとして構成されている。このクラッチ4には、潤滑剤として摩擦係数の高いシリコングリースが使用されている。
ピニオン軸5は、一端側が軸受24を介してフロントハウジング25に回転自在及び摺動自在に支持され、他端側がインナチューブ22の内周に挿入されてヘリカルスプライン結合されている。つまり、ピニオン軸5は、自身の他端側外周に形成される雄ヘリカルスプライン5aが、インナチューブ22の内周に形成される雌ヘリカルスプライン22aに噛み合わされている(図2参照)。この雄ヘリカルスプライン5aと雌ヘリカルスプライン22aとが噛み合うスプライン部の表面には、低温時の摺動抵抗を増加させないために、鉱油系又は合成油系のグリースが塗布されている。また、グリースと共に潤滑被膜を併用することもある。
ピニオンギヤ6は、軸受24より前方(図示左方向)へ突き出るピニオン軸5の前端部にスプライン結合されると共に、ピニオンギヤ6の内周に配設されたピニオンスプリング26に付勢され、ピニオン軸5の端部に取り付けられたストッパ27に当接して位置決めされている。
ピニオンギヤ6は、軸受24より前方(図示左方向)へ突き出るピニオン軸5の前端部にスプライン結合されると共に、ピニオンギヤ6の内周に配設されたピニオンスプリング26に付勢され、ピニオン軸5の端部に取り付けられたストッパ27に当接して位置決めされている。
電磁スイッチ8は、電磁コイル28への通電によって電磁石を形成し、その電磁石の吸引力でプランジャ29を駆動(吸引)するソレノイドと、このソレノイドにかしめ固定される樹脂製の接点カバー30とを有し、この接点カバー30の内部にメイン接点を配置している。ソレノイドには、電磁石の吸引力が消滅した時にプランジャ29を押し戻すためのリターンスプリング31と、ピニオンギヤ6をエンジンのリングギヤ32に噛み合わせるための反力を蓄えるドライブスプリング33と、このドライブスプリング33を介してプランジャ29の動きをシフトレバー7に伝達するためのシフト用ロッド34が設けられている。
メイン接点は、2本の外部端子35、36を介してモータ回路に接続される一組の固定接点37と、プランジャ29と一体に可動して一組の固定接点37間を断続する可動接点38とで形成され、この可動接点38を介して一組の固定接点37間が導通することでメイン接点が閉状態となり、一組の固定接点37間の導通が遮断されることでメイン接点が開状態となる。
2本の外部端子35、36は、バッテリケーブル(図示せず)を介して車載バッテリに接続されるB端子35と、モータ2から取り出されたターミナル39が接続されるM端子36であり、それぞれ接点カバー30にインサート成形され、接点カバー30の内側に固定接点37を有している。
2本の外部端子35、36は、バッテリケーブル(図示せず)を介して車載バッテリに接続されるB端子35と、モータ2から取り出されたターミナル39が接続されるM端子36であり、それぞれ接点カバー30にインサート成形され、接点カバー30の内側に固定接点37を有している。
シフトレバー7は、揺動自在に支持されるレバー支点部7aを有し、このレバー支点部7aより一端側のレバー端部7bが、前記シフト用ロッド34に連結され、レバー支点部7aより他端側のレバー端部7cがピニオン軸5に係合してプランジャ29の動きをピニオン軸5に伝達する。つまり、プランジャ29が電磁石に吸引されて図1の右方向へ移動すると、シフト用ロッド34に連結されたレバー端部7bがプランジャ29に引かれて移動することにより、レバー端部7cがレバー支点部7aを中心に揺動して、ピニオン軸5を反モータ方向(図示左方向)へ押し出す働きを有する。
続いて、本発明に係る通気孔40及びカラー41について図2を基に説明する。
前述のクラッチアウタ20は、インナチューブ22の軸方向モータ側(図示右側)の端面が当接するアウタ壁部42を有し、このアウタ壁部42の径方向中央部に貫通する中心孔の内周に軸受43が圧入され、この軸受43を介して電機子軸11の端部に回転自在に支持されると共に、遊星歯車19を支持する歯車軸44がアウタ壁部42に圧入固定されている。
アウタ壁部42には、ピニオン軸5が反モータ方向へ移動した時に、インナチューブ22の内側に形成される内部空間Aとアウタ壁部42の外部とを連通する通気孔40が形成されている。
前述のクラッチアウタ20は、インナチューブ22の軸方向モータ側(図示右側)の端面が当接するアウタ壁部42を有し、このアウタ壁部42の径方向中央部に貫通する中心孔の内周に軸受43が圧入され、この軸受43を介して電機子軸11の端部に回転自在に支持されると共に、遊星歯車19を支持する歯車軸44がアウタ壁部42に圧入固定されている。
アウタ壁部42には、ピニオン軸5が反モータ方向へ移動した時に、インナチューブ22の内側に形成される内部空間Aとアウタ壁部42の外部とを連通する通気孔40が形成されている。
この通気孔40は、アウタ壁部42を軸方向に貫通して設けられ、アウタ壁部42の反モータ側端面(図示左側端面)に開口する一端側開口部が、インナチューブ22の内径より内周側で内部空間Aに通じている。一方、通気孔40の他端側開口部は、アウタ壁部42のモータ側端面に形成される環状溝45に通じている。この環状溝45は、アウタ壁部42の中心孔と同心に位置すると共に、減速機3に使用される太陽歯車16の外径(歯先径)より若干大きい内径を有する円形に形成され、減速機3のギヤ室(遊星歯車19が配設される空間)に連通している。
また、軸方向に対向するインナチューブ22とアウタ壁部42との間には、クラッチアウタ20の内周に形成されるカム室と内部空間Aとの間を遮断するリング状のカラー41が設けられている。このカラー41は、一端側がアウタ壁部42に圧入固定され、他端側がアウタ壁部42の端面からインナチューブ22側に突出して設けられている。一方、インナチューブ22の端部には、カラー41の他端側に凹凸嵌合する環状の凹部22bが形成されている。
なお、カラー41の外径は、インナチューブ22に形成される凹部22bの内径より0.2〜0.4mm小さく設定され、カラー41の内径は、ピニオン軸5の雄ヘリカルスプライン5aの外径より0.1〜0.2mm大きく設定されている。
なお、カラー41の外径は、インナチューブ22に形成される凹部22bの内径より0.2〜0.4mm小さく設定され、カラー41の内径は、ピニオン軸5の雄ヘリカルスプライン5aの外径より0.1〜0.2mm大きく設定されている。
次に、スタータ1の作動を説明する。
始動スイッチ(図示せず)の閉操作により、電磁スイッチ8の電磁コイル28に通電されてプランジャ29が吸引されると、そのプランジャ29の動きがシフトレバー7を介してピニオン軸5に伝達される。これにより、ピニオン軸5は、インナチューブ22に対してヘリカルスプラインの作用で回転しながら反モータ方向へ移動し、ピニオンギヤ6の端面がリングギヤ32の端面に当接した後、ピニオンスプリング26を押し縮めた状態で一旦停止する。
始動スイッチ(図示せず)の閉操作により、電磁スイッチ8の電磁コイル28に通電されてプランジャ29が吸引されると、そのプランジャ29の動きがシフトレバー7を介してピニオン軸5に伝達される。これにより、ピニオン軸5は、インナチューブ22に対してヘリカルスプラインの作用で回転しながら反モータ方向へ移動し、ピニオンギヤ6の端面がリングギヤ32の端面に当接した後、ピニオンスプリング26を押し縮めた状態で一旦停止する。
その後、ドライブスプリング33に反力を蓄えながら、プランジャ29が更に移動してメイン接点を閉じると、バッテリからモータ2に給電されて電機子14に回転力が発生し、その電機子14の回転が減速機3で減速された後、クラッチ4を介してピニオン軸5に伝達される。これにより、ピニオン軸5が強制的に回されるため、ピニオンギヤ6がリングギヤ32に噛み合い可能な位置まで回転した時点で、ドライブスプリング33に蓄えられた反力を受けてピニオン軸5が前進することにより、ピニオンギヤ6がリングギヤ32に噛み合わされる。その結果、減速機3で増幅されたモータ2の駆動トルクがピニオンギヤ6からリングギヤ32に伝達されて、エンジンをクランキングする。
エンジン始動後、始動スイッチの開操作により、電磁コイル28への通電が停止して電磁石の吸引力が消滅すると、リターンスプリング31の反力でプランジャ29が押し戻されるため、メイン接点が開いてバッテリからモータ2への給電が停止されることにより、電機子14の回転が次第に減速して停止する。
一方、プランジャ29が押し戻されると、エンジン始動時とは反対方向にシフトレバー7が揺動するため、ピニオン軸5が後退してピニオンギヤ6がリングギヤ32から離脱し、ピニオン軸5の後端面がアウタ壁部42の端面に当接して停止する。
一方、プランジャ29が押し戻されると、エンジン始動時とは反対方向にシフトレバー7が揺動するため、ピニオン軸5が後退してピニオンギヤ6がリングギヤ32から離脱し、ピニオン軸5の後端面がアウタ壁部42の端面に当接して停止する。
(実施例1の効果)
上記のスタータ1によれば、反モータ方向へ移動したピニオン軸5がモータ方向へ戻る時に、インナチューブ22の内側に形成される内部空間Aで圧縮された空気を通気孔40からアウタ壁部42の外部(減速機3のギヤ室)に逃がすことができる。つまり、ピニオン軸5が戻る時に、インナチューブ22の内側に形成される内部空間Aの空気が一時的に圧縮状態となるが、アウタ壁部42には、内部空間Aとアウタ壁部42の外部とを連通する通気孔40が形成されているため、内部空間Aで圧縮された空気を通気孔40からアウタ壁部42の外部へ逃がすことができる。
上記のスタータ1によれば、反モータ方向へ移動したピニオン軸5がモータ方向へ戻る時に、インナチューブ22の内側に形成される内部空間Aで圧縮された空気を通気孔40からアウタ壁部42の外部(減速機3のギヤ室)に逃がすことができる。つまり、ピニオン軸5が戻る時に、インナチューブ22の内側に形成される内部空間Aの空気が一時的に圧縮状態となるが、アウタ壁部42には、内部空間Aとアウタ壁部42の外部とを連通する通気孔40が形成されているため、内部空間Aで圧縮された空気を通気孔40からアウタ壁部42の外部へ逃がすことができる。
また、通気孔40の外側(外径側)には、カラー41の一端側がアウタ壁部42に圧入固定され、カラー41の他端側がアウタ壁部42の端面よりインナチューブ22側に突出して、インナチューブ22に形成される凹部22bに凹凸嵌合している。これにより、軸方向に対向するインナチューブ22とアウタ壁部42との当接部では、クラッチ4のカム室と内部空間Aとの間がカラー41によって遮断されるため、内部空間Aで圧縮された空気がカム室に入り込むことを抑制できる。即ち、内部空間Aで圧縮された空気が、軸方向に対向するインナチューブ22とアウタ壁部42との当接部の隙間を通ってカム室に入り込もうとしても、カム室と内部空間Aとの間を遮るカラー41によって圧縮空気がカム室へ侵入することを防止できる。
これにより、スプライン部に使用されるグリースあるいは潤滑被膜等が空気圧によってクラッチ4のカム室に入り込むことを防止できる。特に、アウタ壁部42の反モータ側端面に開口する通気孔40の一端側開口部は、アウタ壁部42に圧入されたカラー41の内径側に形成されているので、内部空間Aで圧縮された空気と共にスプライン部のグリースをカラー41によって通気孔40に誘導することが可能である。このため、スプライン部に使用されるグリースあるいは潤滑被膜等がクラッチ4に使用されるグリースに混入することを防止でき、クラッチ4に使用されるグリースの摩擦係数の低下を抑えることができる。その結果、クラッチ4の滑りを防止でき、クラッチ性能を長期に渡り維持できる。
また、リング状のカラー41は、その外径がインナチューブ22に形成される凹部22bの内径より0.2〜0.4mm小さく設定され、カラー41の内径がピニオン軸5の雄ヘリカルスプライン5aの外径より0.1〜0.2mm大きく設定されている。この場合、例えば、インナチューブ22が高速回転してクラッチアウタ20の軸心から偏心した時に、カラー41によって偏心が増大することを防止できると共に、ピニオン軸5の傾きを防止できる効果がある。
図3は実施例2に係るスタータ1の断面図、図4はクラッチ4及びその周辺の断面図である。
実施例1に記載したスタータ1は、インナチューブ22の内周をピニオン軸5が移動する構成であるが、この実施例2に係るスタータ1は、図3に示す様に、ピニオン軸5上をピニオンギヤ6とクラッチ4が一体に移動する構成である。
ピニオン軸5は、一端側が軸受24を介してフロントハウジング25に支持され、他端側が減速機3を介して電機子軸11に連結されて、電機子14の回転が減速機3を介して伝達される。
クラッチ4は、図4に示す様に、アウタ壁部42の内周に雌ヘリカルスプライン42aが形成され、この雌ヘリカルスプライン42aがピニオン軸5の外周に形成された雄ヘリカルスプライン5aに噛み合わされている。
ピニオンギヤ6は、ピニオン軸5上でクラッチ4の反モータ側(図示左側)に配置されると共に、クラッチ4のインナチューブ22と一体化して設けられている。
実施例1に記載したスタータ1は、インナチューブ22の内周をピニオン軸5が移動する構成であるが、この実施例2に係るスタータ1は、図3に示す様に、ピニオン軸5上をピニオンギヤ6とクラッチ4が一体に移動する構成である。
ピニオン軸5は、一端側が軸受24を介してフロントハウジング25に支持され、他端側が減速機3を介して電機子軸11に連結されて、電機子14の回転が減速機3を介して伝達される。
クラッチ4は、図4に示す様に、アウタ壁部42の内周に雌ヘリカルスプライン42aが形成され、この雌ヘリカルスプライン42aがピニオン軸5の外周に形成された雄ヘリカルスプライン5aに噛み合わされている。
ピニオンギヤ6は、ピニオン軸5上でクラッチ4の反モータ側(図示左側)に配置されると共に、クラッチ4のインナチューブ22と一体化して設けられている。
このスタータ1においても、クラッチ4のアウタ壁部42に通気孔40が形成され、且つクラッチ4のカム室とインナチューブ22の内側に形成される空間との間を遮るカラー41が設けられることにより、スプライン部の表面に塗布されるグリースあるいは潤滑被膜等がクラッチ4のカム室に侵入することを抑制できる。その結果、実施例1と同様に、クラッチ4に使用されるグリースに他のグリース等が混入することを防止でき、クラッチ4に使用されるグリースの摩擦係数の低下を抑えることができるため、クラッチ4の滑りを防止でき、クラッチ性能を長期に渡り維持できる。
(変形例)
アウタ壁部42に形成される通気孔40は、アウタ壁部42の周方向に複数箇所設けることができる。この場合、アウタ壁部42に複数の通気孔40を設けることで、ピニオン軸5が戻る時に発生する圧縮空気をより速やかにアウタ壁部42の外部へ逃がすことができる。また、通気孔40が一つの場合は、その通気孔40がグリース等で塞がると、ピニオン軸5が戻る時に発生する圧縮空気をアウタ壁部42の外部へ逃がすことができなくなるが、通気孔40が複数あれば、一部の通気孔40がグリース等で塞がっても、他の通気孔40より圧縮空気をアウタ壁部42の外部へ逃がすことができる。
アウタ壁部42に形成される通気孔40は、アウタ壁部42の周方向に複数箇所設けることができる。この場合、アウタ壁部42に複数の通気孔40を設けることで、ピニオン軸5が戻る時に発生する圧縮空気をより速やかにアウタ壁部42の外部へ逃がすことができる。また、通気孔40が一つの場合は、その通気孔40がグリース等で塞がると、ピニオン軸5が戻る時に発生する圧縮空気をアウタ壁部42の外部へ逃がすことができなくなるが、通気孔40が複数あれば、一部の通気孔40がグリース等で塞がっても、他の通気孔40より圧縮空気をアウタ壁部42の外部へ逃がすことができる。
上記の実施例1、2では、通気孔40とカラー41の両方を設ける例を記載したが、カラー41を省略して通気孔40だけを設けても良い。この場合、圧縮空気を通気孔40からアウタ壁部42の外部へ逃がすことができるため、スプライン部に使用されるグリース等がクラッチ4のカム室に入り込むことを抑制できる効果を得ることはできる。
1 スタータ
2 モータ
4 クラッチ
5 ピニオン軸
5a ピニオン軸の外周に形成される雄ヘリカルスプライン
6 ピニオンギヤ
20 クラッチアウタ
22 インナチューブ
22a インナチューブの内周に形成される雌ヘリカルスプライン
22b 環状の凹部
23 ローラ
32 リングギヤ
40 通気孔
41 カラー
42 アウタ壁部
A インナチューブの内側に形成される内部空間
2 モータ
4 クラッチ
5 ピニオン軸
5a ピニオン軸の外周に形成される雄ヘリカルスプライン
6 ピニオンギヤ
20 クラッチアウタ
22 インナチューブ
22a インナチューブの内周に形成される雌ヘリカルスプライン
22b 環状の凹部
23 ローラ
32 リングギヤ
40 通気孔
41 カラー
42 アウタ壁部
A インナチューブの内側に形成される内部空間
Claims (9)
- 回転力を発生するモータと、
このモータの駆動トルクが伝達されて回転するクラッチアウタと、このクラッチアウタの内周に相対回転可能に配置される円筒形状のインナチューブとを有し、前記クラッチアウタからローラを介して前記インナチューブにトルク伝達する一方向クラッチと、
軸方向の一端側が前記インナチューブの内周にスプライン結合されるピニオン軸と、
前記インナチューブより反モータ方向へ突き出る前記ピニオン軸の端部に支持されるピニオンギヤとを備え、
前記ピニオンギヤが前記ピニオン軸と一体に反モータ方向へ移動してエンジンのリングギヤに噛み合わされるスタータであって、
前記クラッチアウタは、前記インナチューブの軸方向モータ側の端面が当接するアウタ壁部を有すると共に、このアウタ壁部には、前記ピニオン軸が反モータ方向へ移動した時に前記インナチューブの内側に形成される内部空間と前記アウタ壁部の外部とを連通する通気孔が形成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
軸方向に対向する前記インナチューブと前記アウタ壁部との間に、前記クラッチアウタの内周に形成されるカム室と前記内部空間との間を遮断するリング状のカラーを配置したことを特徴とするスタータ。 - 請求項2に記載したスタータにおいて、
前記カラーは、一端側が前記アウタ壁部に圧入固定され、他端側が前記アウタ壁部の端面から前記インナチューブ側に突出して設けられ、
前記インナチューブには、前記カラーの他端側に凹凸嵌合する環状の凹部が形成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項3に記載したスタータにおいて、
前記アウタ壁部の軸方向反モータ側端面(前記内部空間側の端面)に開口する前記通気孔の開口部は、前記アウタ壁部に圧入された前記カラーの内径側に形成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、
前記アウタ壁部に形成される通気孔は、前記アウタ壁部を軸方向に貫通して設けられ、且つ前記アウタ壁部の周方向に複数箇所設けられていることを特徴とするスタータ。 - 回転力を発生するモータと、
このモータの駆動トルクが伝達されて回転するピニオン軸と、
このピニオン軸の外周にスプライン結合するクラッチアウタと、前記ピニオン軸上に軸受を介して嵌合する筒状のインナチューブとを有し、前記クラッチアウタからローラを介して前記インナチューブにトルク伝達する一方向クラッチと、
このクラッチと一体に前記ピニオン軸上に配置され、前記クラッチを介して前記ピニオン軸の回転が伝達されるピニオンギヤとを備え、
前記ピニオンギヤが前記クラッチと一体に反モータ方向へ移動してエンジンのリングギヤに噛み合わされるスタータであって、
前記クラッチアウタは、前記インナチューブの軸方向モータ側の端面が当接するアウタ壁部を有すると共に、このアウタ壁部には、前記インナチューブの内側に形成される空間と前記アウタ壁部の外部とを連通する通気孔が形成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項6に記載したスタータにおいて、
軸方向に対向する前記インナチューブと前記アウタ壁部との間に、前記クラッチアウタの内周に形成されるカム室と前記インナチューブの内側に形成される空間との間を遮断するリング状のカラーを配置したことを特徴とするスタータ。 - 請求項7に記載したスタータにおいて、
前記カラーは、一端側が前記アウタ壁部に圧入固定され、他端側が前記アウタ壁部の端面から前記インナチューブ側に突出して設けられ、
前記インナチューブには、前記カラーの他端側に凹凸嵌合する環状の凹部が形成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項6〜8に記載した何れかのスタータにおいて、
前記アウタ壁部に形成される通気孔は、前記アウタ壁部の周方向に複数箇所設けられていることを特徴とするスタータ。
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JP2005342487A JP2007146759A (ja) | 2005-11-28 | 2005-11-28 | スタータ |
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JP2013139762A (ja) * | 2011-12-08 | 2013-07-18 | Mitsuba Corp | スタータ |
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-
2005
- 2005-11-28 JP JP2005342487A patent/JP2007146759A/ja not_active Withdrawn
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