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JP2007145998A - 水酸基含有重合体の製造方法 - Google Patents

水酸基含有重合体の製造方法 Download PDF

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JP2007145998A
JP2007145998A JP2005342608A JP2005342608A JP2007145998A JP 2007145998 A JP2007145998 A JP 2007145998A JP 2005342608 A JP2005342608 A JP 2005342608A JP 2005342608 A JP2005342608 A JP 2005342608A JP 2007145998 A JP2007145998 A JP 2007145998A
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hydroxyl group
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Chisato Urano
千里 浦野
Hiroshi Yamamoto
浩史 山本
Yoshihiro Inaba
義弘 稲葉
Takako Kobayashi
孝子 小林
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract


【課題】水性媒体中での懸濁重合によって、親水性の水酸基を含有する単量体と疎水性単量体との共重合体を、粒子同士の凝集を抑制しつつ、所望の共重合比で簡易に且つ良好な収率で得ることができる水酸基含有重合体の製造方法を提供することである。
【解決手段】水酸基を有する親水性単量体及び疎水性単量体を含むエチレン性不飽和単量体と、有機溶媒と、重合開始剤とを含有する混合物を、塩を溶解し且つ分散安定剤を加えた水性媒体中に分散して懸濁重合させる工程を含む水酸基含有重合体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水酸基含有重合体の製造方法に関し、更に詳しくは、特に診断薬及び医薬品担体、クロマトグラフィ担体、粘性調整剤、樹脂成形材料、塗料添加剤、架橋/硬化剤並びに化粧品添加剤のような用途に好適に使用可能な水酸基含有重合体の製造方法に関するものである。
従来、水酸基などを有する親水性単量体を含む単量体混合物を重合して重合体を製造する場合、該単量体が水溶性であるということから、水溶液中で溶液重合する方法、水中で乳化重合する方法、水中で懸濁重合する方法、逆相懸濁重合で製造する方法などが用いられていた。
例えば、カルボキシル基含有単量体及びポリエチレングリコール鎖を有する単量体を含む単量体混合物を、水溶性有機溶媒と水との混合溶媒中で溶液重合する製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、スチレンなどの疎水性単量体を混合する場合、相分離が起こるので共重合体を得ることは困難である。
また、カルボキシル基含有単量体及びポリエチレングリコール鎖を有する単量体を含む単量体混合物を水中で乳化重合し、重合体を得る技術が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照)。しかしながら、乳化重合で得られる粒子の粒径は1μm以下なので、残留単量体、界面活性剤等の不純物を除去するための粒子の洗浄が困難で、診断薬及び医薬品担体、クロマトグラフィ担体等の不純物を嫌う用途には適さない。
一方、水溶性のエチレン性不飽和単量体を重合させる方法の1つとして、疎水性溶媒中に単量体水溶液を懸濁・分散させて重合する、いわゆる逆相懸濁重合法が周知であり、例えば、HLB3〜6の非イオン界面活性剤を使用する方法(例えば、特許文献5参照)、α−オレフィンとα,β−不飽和多価カルボン酸無水物との共重合体又はその誘導体を用いる方法(例えば、特許文献6参照)等が知られている。しかしながら、前記逆相懸濁重合法が適用できるのは主として水溶性単量体を用いる場合で、疎水性単量体との共重合は難しい。
これに対し、疎水性単量体を共重合させる方法が開示されているが(例えば、特許文献7参照)、共重合可能な疎水性単量体の含有量は、水溶性単量体量に対し5質量%を上限としており、このように、逆層懸濁重合法では疎水性単量体を多量に用いて共重合させることは困難であった。
また、ヒドロキシエチルメタアクリレートと、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トルエン等の疎水性単量体及び溶剤とを含有する単量体混合物を、水中で懸濁重合して重合体を得る方法が開示されている(例えば、特許文献8参照)。しかし、ヒドロキシエチルメタアクリレートは水溶性なので水中で懸濁重合すると水中でも重合が起こり、重合中に粒子同士が凝集しやすいという欠点があった。また、水溶性単量体は油滴中と水中とに分配されるため、所望の共重合比で重合体を作製することは困難であった。
特開平3−239709号公報 特開昭60−122770号公報 特開平1−111769号公報 特開平7−10943号公報 特開昭61−157513号公報 特開昭62−95308号公報 特開2003−147005号公報 特開2001−318086号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、水性媒体中での懸濁重合によって、親水性の水酸基を有する単量体と疎水性単量体との共重合体を、粒子同士の凝集を抑制しつつ、所望の共重合比で簡易に且つ良好な収率で得ることができる水酸基含有重合体の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明の重合体の製造方法は、
<1> 水酸基を有する親水性単量体及び疎水性単量体を含むエチレン性不飽和単量体と、有機溶媒と、重合開始剤とを含有する混合物を、塩を溶解し且つ分散安定剤を加えた水性媒体中に分散して懸濁重合させる工程を含む水酸基含有重合体の製造方法である。
<2> 前記疎水性単量体の含有量が、全単量体成分中の20.0〜99.9質量%の範囲である<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<3> 前記疎水性単量体の含有量が、全単量体成分中の50.0〜90.0質量%の範囲である<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<4> 前記水酸基を有する親水性単量体が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一つである<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<5> 前記有機溶媒が、ジエチルベンゼン、ラウリルアルコール及びイソアミルアルコールから選ばれる少なくとも一つである<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<6> 前記エチレン性不飽和単量体に架橋剤が含まれる<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<7> 前記塩が無機塩である<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<8> 前記水性媒体中の塩濃度が、5質量%以上である<7>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<9> 前記水性媒体が、水である<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<10> 前記分散安定剤が、無機粉体である<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
<11> 前記分散安定剤の含有量が、全単量体成分100質量部に対して1〜20質量部の範囲である<1>に記載の水酸基含有重合体の製造方法である。
本発明によれば、水性媒体中での懸濁重合によって、粒子同士の凝集を抑制し、且つ所望の共重合比で水酸基含有する単量体の重合体と疎水性単量体との共重合体を、簡易に且つ良好な収率で得ることができる水酸基含有重合体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水酸基含有重合体の製造方法は、水酸基を有する親水性の単量体及び疎水性単量体を含むエチレン性不飽和単量体と、有機溶媒と、重合開始剤とを混合した混合物を、塩を溶解し且つ分散安定剤を加えた水性媒体中分散して懸濁重合する工程を含むことを特徴とする。
前記のように、疎水性単量体と水酸基を有する親水性単量体とを混合して水中で懸濁重合する場合には、重合中に粒子同士が凝集しやすく、また所望の共重合比の重合体を得ることが難しいという問題があった。その理由は、前記親水性単量体が水溶性であるために水中に単量体混合物として分散された油滴から、親水性単量体が水中にも拡散し、油滴以外の水中でも重合してしまうためであった。
本発明者等は、上記問題に対し、(1)単量体混合物を水系媒体中に安定で均一な懸濁粒子として存在させること、さらに(2)これらの粒子を重合中に凝集させないようにすること、2つの観点から改良を試みた。
まず、前記(1)に対しては、親水性単量体と疎水性単量体との混合物中に有機溶媒を加えることにより、極性の異なる親水性単量体と疎水性単量体との相溶性が良好となり、水系媒体中で安定な懸濁粒子を形成することが可能となることがわかった。さらに、上記の場合でも懸濁粒子から水性媒体中への親水性単量体の拡散を防止するため、水性媒体中に塩を溶解させ、塩析効果により親水性単量体を含む単量体混合物を懸濁重合系の油層中に優先的に配置させることができた。
一方、前記(2)に対しては、上記水性媒体中への塩の溶解が懸濁重合中に発生する乳化重合の発生を抑制するため、同時に粒子の凝集にも効果があるといえる。そしてさらに、水性媒体中に分散安定剤を加えることにより、粒子の凝集同士の凝集が抑えられることが判明した。
すなわち本発明においては、単量体混合物中への有機溶媒の添加、水性媒体中への塩の溶解及び分散安定剤の添加の3つの条件が満たされて初めて前記(1)及び(2)の作用が発揮され、親水性単量体と疎水性単量体とを含む懸濁粒子中での安定した重合反応が可能となった。そして、このようにすることにより、従来重合比を制御することが難しかった疎水性単量体と親水性単量体との共重合体を、所望の共重合比にて簡易に製造することが実現された。
以下、本発明の水酸基含有重合体の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明におけるエチレン性不飽和単量体とは、ビニル基などのエチレン性不飽和基を有する単量体をいう。そして、下記親水性単量体及び疎水性単量体ともに本発明におけるエチレン性不飽和単量体に含まれる。
<単量体等を混合する工程>
(水酸基を有する親水性単量体)
本発明で用いる水酸基を有する親水性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
尚ここで、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを表す表現であり、以下においても同様である。
これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一つを用いることが、後述する疎水性単量体との共重合比のコントロール、重合反応の制御性等の観点から好ましい。
(疎水性単量体)
疎水性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;炭素数1〜18(より好ましくは、2〜16)のアルキル基若しくはアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等);炭素数1〜12(より好ましくは、2〜10)のアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エキトシメチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アリクレート、n−ブトキシメチル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等);アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート等);アクリロニトリル、エチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
これら中でも、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましく、更には、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記親水性単量体と共重合可能な疎水性単量体の含有量としては、全単量体成分中、20.0〜99.9質量%の範囲であることが好ましく、50.0〜90.0質量%の範囲であることがより好ましい。
含有量が20.0質量%未満では、重合体中の水酸基量が多くなりすぎ、本発明の手法によっても均一な重合ができなくなる場合があり、99.9質量%を超えると、重合体として水酸基による親水性の効果が得られなくなる場合がある。
(その他の単量体)
後述する水性媒体に分散される反応性の混合物(前記エチレン性不飽和単量体等を含むもの)には、必要に応じて架橋剤を混合することができる。単量体混合液中に架橋剤を添加することにより、粒状の水酸基含有架橋ポリマー粒子を得ることができる。
用いる架橋剤としては、公知の架橋剤を適宜選択して用いることができ、好ましいものとしては例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。これらの中でも、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、更には、ジビニルベンゼンが特に好ましい。
架橋剤の添加量としては、全単量体成分100質量部に対して0.1〜80質量部であることが好ましく、更には0.5〜50質量部であることがより好ましい。
また、その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリルアミド類、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらも必要に応じて、前記親水性単量体及び疎水性単量体に加えて用いることができる。
(有機溶媒)
本発明に用いる有機溶媒としては、水に難溶性で、沸点が重合時の反応温度よりも高く、重合を阻害しない有機溶媒であれば全ての有機溶媒が原理的には使用可能である。例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類などが挙げられるがこれらに制限されない。
炭化水素類としては、脂肪族炭化水素類や芳香族炭化水素類が挙げられる。脂肪族炭化水素類としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、石油系炭化水素、ナフテン系炭化水素などが挙げられ、芳香族炭化水素類としては、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどが挙げられる。
前記アルコール類としては、炭素数8〜24(好ましくは12〜22)の脂肪族アルコール等が使用でき、非環式脂肪族アルコール及び脂環式アルコールの何れでもよい。また、天然アルコール及び合成アルコール(チーグラーアルコール及びオキソアルコール等)の何れでもよい。また、アルキル基部分は直鎖状でも分岐状でもよい。
非環式脂肪族アルコールとしては、飽和脂肪族アルコール及び不飽和脂肪族アルコール等が用いられる。非環式の飽和脂肪族アルコールとしては、例えば、イソアミルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール(ラウリルアルコール)、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール及びテトラコセニルアルコール等が挙げられる。また、非環式の不飽和脂肪族アルコールとしては、例えば、オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、オレイルアルコール、テトラコセニルアルコール、ガドレイルアルコール及びリノレイルアルコール等が挙げられる。
脂環式アルコールとしては、単環式脂肪族アルコール及び複環式脂肪族アルコール等が用いられる。単環式脂肪族アルコールとしては、例えば、エチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、オクチルシクロヘキシルアルコール、ノニルシクロヘキシルアルコール及びステアリルシクロヘキシルアルコール等が挙げられる。また、複環式脂肪族アルコールとしては、例えば、アダマンチルアルコール及びジシクロヘキシルアルコール等が挙げられる。
前記ケトン類としては、炭素数6〜22(好ましくは7〜12)の脂肪族ケトン、芳香族ケトン等が使用でき、脂肪族ケトンでは非環式脂肪族ケトン及び脂環式ケトンの何れでもよい。また、アルキル基部分は直鎖状でも分岐状でもよい。例えば、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。
前記エーテル類としては、炭素数6〜22(好ましくは7〜12)の脂肪族エーテル、芳香族エーテル等が使用でき、脂肪族エーテルでは非環式脂肪族エーテル及び脂環式エーテルの何れでもよい。また、アルキル基部分は直鎖状でも分岐状でもよい。例えば、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは数種類を混合して使用することができる。
これらの溶媒は単独あるいは数種類を混合して使用することができる。
本発明に用いられる有機溶媒は、前述のような理由から、前記親水性単量体にも疎水性単量体にも親和性を有するものであることが望ましい。具体的な有機溶媒の選択法としては、用いるエチレン性不飽和単量体の沸点よりも高く、水に難溶性で重合を阻害せず、相溶性の高い溶媒を選択することが好ましく、選択された有機溶媒と単量体との組み合わせにより、最終的に得られる重合体の収率が変動する場合がある。また、溶媒は単量体を溶解し、その重合体をも溶解する溶媒でも良いし、単量体は溶解するがその重合体は溶解しない溶媒でも良い。
このような観点から、有機溶媒としては、ジエチルベンゼン、ラウリルアルコール及びイソアミルアルコールから選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。
また、有機溶媒としては、用いるエチレン性不飽和単量体に合わせて溶解性(溶解性パラメータ)や表面張力を調整することが望ましく、その手法として2種以上の有機溶媒を混合して用いることも好ましい。
本発明における有機溶媒の前記混合物中の含有量は、5〜80質量%の範囲であることが好ましく、10〜60質量%の範囲であることがより好ましい。
(重合開始剤)
本発明で使用する重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤等が好適なものとして挙げられるが、中でも油溶性開始剤が好ましい。
油溶性アゾ開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル等が挙げられる。油溶性過酸化物系開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、o−メトキシ過酸化ベンゾイル、過酸化p−クロロベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化炭酸ジイソプロピル、過酸化ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシル、過酸化アセチルシクロヘキシルスルフォニル、過イソ酪酸t−ブチル、過ビバリン酸t−ブチル、過2−エチルヘキサン酸t−ブチル、過酸化t−ブチル、過酸化t−ブチルクミル、過酸化ジクミル、過酸化メチルエチルケトン、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどが挙げられる。
上記重合開始剤は任意の量で使用することができるが、全単量体成分100質量部に対して0.05〜10質量部の範囲であることが好ましく、更には0.1〜5質量部であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の水酸基含有重合体には、更にポリマーの着色を目的とした染料、顔料、カーボンブラックや、その他磁性粉などを含有させることができ、その場合には前記単量体等の混合物に前記各添加剤を含ませることができる。
前記単量体等を含む混合物は、前記エチレン性不飽和単量体、有機溶媒及び重合開始剤と、その他の必要な成分とを混合して作製される。混合の方法は特に制限されないが、親水性単量体と疎水性単量体とを含むエチレン性不飽和単量体に有機溶媒を添加し、上記両単量体の相溶性を高めるために10分程度攪拌することが好ましい。
<混合物を水性媒体中に懸濁する工程>
(水性媒体)
本発明における水性媒体としては、水、若しくは水にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を加えたものが好適に用いられ、この中でも水単独が特に好ましい。水溶性有機溶媒を添加する場合の添加量は、懸濁させる単量体の性状にもよるが、全溶媒に対し30質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましい。添加量を30質量%以下とすることにより、分散安定性を良好に保つことができる場合がある。
(塩)
本発明においては、上記水性媒体に塩を溶解することを必須の要件とする。塩析効果によって乳化重合の反応が抑制され、懸濁粒子の分散安定性が得られ、良好な収率を実現することができる。
溶解させる塩としては、水溶性の無機或いは有機塩類とも用いることができるが、特に無機塩類が前記塩析効果を有効に発揮できるため好ましい。該無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられ、これらの中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、塩化カルシウムがより好ましく、更には塩化ナトリウムが特に好ましい。
塩の添加量としては、分散安定性の観点から、水性媒体に対し5質量%以上溶解させることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。
溶解量が5質量%未満では、前記塩析効果が十分に得られず、乳化重合が起こりやすくなる場合がある。
(分散安定剤)
本発明においては、さらに前記水性媒体中に分散安定剤を存在させることを必須の要件とする。上記分散安定剤としては、公知の分散安定剤が使用できるが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の無機粉体を用いることが、本発明における懸濁粒子の分散性を高める上で有効であり、粒子同士の凝集を抑えることができるため好ましい。また、上記無機粉体表面に表面改質剤がコーティングされていることが懸濁粒子の分散安定性と無機粉体の水性媒体中での分散安定性の点で好ましい。さらに、前記無機紛体に加え、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤等の界面活性剤を併用することも好ましい。
上記分散安定剤は任意の量で使用することができるが、全単量体成分と有機溶媒成分との混合物100質量部に対して1〜30質量部の範囲であることが好ましく、5〜20質量部の範囲であることがより好ましい。1質量部以上であることにより、良好な分散状態とすることができ、一方、30質量部以下であることにより微細粒子の派生を抑制し、懸濁粒子の粒度分布をシャープにすることができるという利点がある。
前記単量体等を含む混合物の前記塩等を含む水性媒体(以下、「分散媒体」という場合がある)への懸濁は、以下のようにして行うことができる。
すなわち、前記塩を溶解し且つ分散安定剤を存在させた水性媒体中に、親水性単量体、疎水性単量体、重合開始剤、架橋剤等を加えた混合物を投入し、懸濁させる。懸濁の方法としては、公知の懸濁方法が利用できる。例えば、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ水性媒体中に単量体等を懸濁させる方法、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で懸濁する方法、超音波によって懸濁する方法等の機械的な懸濁方法が挙げられる。
その他、上記の単量体等を添加した液体を準備し、それを多孔質膜から水性媒体中に押し出す、膜乳化法として知られる乳化方法を使って懸濁することもできる。
なお、懸濁される混合物と分散媒体との混合質量比(混合物/分散媒体)は、1/10〜3/1の範囲とすることが好ましく、また、懸濁された粒子の個数平均粒径は1〜200μmの範囲とすることが好ましい。
<懸濁粒子を重合する工程>
本発明においては、前記懸濁させた単量体等の粒子を懸濁重合させることにより重合体を得る。重合反応は、大気下のみならず、加圧下においても行うことができるが、これらその他の反応条件は、必要に応じて適用されるもので、特に限定されるものではない。
反応条件としては、例えば、大気圧下で、前記懸濁粒子が分散した懸濁液を攪拌しながら、40〜100℃の反応温度で1〜24時間反応させることが、高い収率で重合体を得る等の観点から好ましい。
こうして得られた重合体は、メタノール等の溶媒に希釈分散させ、濾別し、更に水洗及び/または溶剤洗浄の後、噴霧乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等の通常の手段によって粉体として単離することができる。
<水酸基含有重合体の物性>
(水酸基量)
前記各工程により得られた水酸基含有重合体における水酸基量は、一般的な滴定法により求めることができる。例えば、上記ポリマーに無水酢酸のピリジン溶液等の試薬を一定量加え、加熱して、水を加えて加水分解し、遠心分離機により粒子と上澄みとに分け、該上澄みをフェノールフタレイン等の指示薬を用いて、エタノール性水酸化カリウム溶液等で滴定することにより、その水酸基量を求めることができる。
本発明における水酸基含有重合体の水酸基量としては、その用途によって異なるものの、0.01〜7mmol/gの範囲が好ましく、0.1〜5mmol/gの範囲がより好ましい。
(分子量)
また、本発明における水酸基含有重合体の分子量(数平均分子量)は、その用途によって異なるものの、前記重合工程において架橋剤を加えていない場合には、5000〜1000000の範囲が好ましく、10000〜500000の範囲がより好ましい。
なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定した。
(個数平均粒径)
さらに、本発明における水酸基含有重合体の個数平均粒径は、0.5〜150μmの範囲であることが好ましく、1〜80μmの範囲であることがより好ましい。なお、上記個数平均粒径は、乾燥粒子を光学顕微鏡または電子顕微鏡にて写真撮影し、その中から無作為に選んだ100個から200個の粒子の粒子径を各々測定し、それらの合計を個数で除した値である。また、この測定において、凝集粒子(複数の粒子が凝集したもの、あるいは1つの粒子に微粒子が付着して変形した状態となったもの)がまったくないことが好ましい。
(その他の特性)
本発明により得られる水酸基含有重合体の粒子は、重合後に粒子から前記有機溶媒を除くことにより、微小な孔を有する多孔質粒子となる場合がある。該微小な孔は、粒子表面、粒子中に存在するものであり、例えば走査型電子顕微鏡観察により粒子表面を観察すると、平均径が50〜500nmの範囲の孔の存在を確認することができる。一方、条件によっては粒子表面は多孔質とならない場合もある。
以上、本発明の水酸基含有重合体の製造方法について詳細に説明したが、本発明の製造方法により得られた水酸基含有重合体は、診断薬及び医薬品担体、クロマトグラフィ担体、粘性調整剤、樹脂成形材料、塗料添加剤、架橋/硬化剤及び化粧品添加剤のような用途に好適に使用可能である。特に前記水酸基含有重合体は、粒子としての均一性に優れ、また親水性単量体及び疎水性単量体の組成コントロールにより表面の吸脱着特性を容易に制御することができるため、前記クロマトグラフィ単体として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中に示した「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
<実施例1>
(水酸基含有重合体の製造)
ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬(株)製)11部、スチレン単量体(和光純薬(株)製)35部及びジビニルベンゼン(和光純薬(株)製)7部を混合し、これに有機溶媒としてジエチルベンゼン(和光純薬(株)製)25部及びイソアミルアルコール(和光純薬(株)製)50部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)2.5部とを加え、単量体混合液(混合物)を作製した。
塩化ナトリウム29部をイオン交換水120部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名:ルミナス)10部を加え、ボールミルで24時間分散し分散媒体とした。この分散媒体に前記単量体混合液を加え、乳化装置(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZER)にて8000rpmで3分間乳化し、懸濁液を得た。このときの懸濁粒子の個数平均粒径は約68μmであった。
一方、撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記懸濁液を入れ、65℃で3時間反応させ、更に70℃で10時間加熱して冷却した。反応液は良好な分散液となっており、目視では重合中に凝集塊は確認できなかった。反応液に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。得られた粒子を1Lのイオン交換水で洗浄後、500mlのエタノールで超音波を30分かけて洗浄を3回繰り返し行い、重合体粒子Aを得た。この重合体粒子Aを60℃でオーブン乾燥した後、重合体の収量を測定したところ50部で、収率は94%であった。
(水酸基含有重合体の特性評価)
−水酸基量−
重合体を秤量してキャップ付き試験管に入れ、あらかじめ調製した無水酢酸(和光純薬(株)製)のピリジン(和光純薬(株)製)溶液を一定量加え、95℃の温度条件で24時間加熱した。
更に、蒸留水を加えて試験管中の無水酢酸を加水分解させた後、3000rpmで5分間遠心分離して粒子と上澄みに分けた。ポリマーを更にエタノール(和光純薬(株)製)で超音波分散と遠心分離を繰り返し洗浄し、上澄みと洗浄液とをコニカルビーカーに集め、指示薬にフェノールフタレイン(和光純薬(株)製)を用いて0.1Mのエタノール性水酸化カリウム溶液(和光純薬(株)製)で滴定した。
ポリマーを用いないブランク実験も行い、その差分から下式(1)に従って水酸基量(mmol/g)を算出した。
水酸基量=((B−C)×0.1×f)/w ・・・ 式(1)
上記式(1)中、Bはブランク実験での滴下量(ml)、Cはサンプルの滴下量(ml)、fは水酸化カリウム溶液のファクター、wは粒子の重量(g)である。
その結果、重合体粒子Aの水酸基量は1.21mmol/gであった。
−個数平均粒径及び粒子形状−
前述のように、乾燥粒子の電子顕微鏡観察による写真から重合体粒子の個数平均粒径を求めたところ、52μmであった。また、前記写真において、凝集粒子は全く見られなかった。
<実施例2>
(水酸基含有重合体の製造)
ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬(株)製)19部、スチレン単量体(和光純薬(株)製)28部及びジビニルベンゼン(和光純薬(株)製)7部を混合し、これに有機溶媒としてジエチルベンゼン(和光純薬(株)製)25部及びイソアミルアルコール(和光純薬(株)製)50部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬製、商品名:V−60)2.5部とを加え、単量体混合液を作製した。
塩化ナトリウム29部をイオン交換水120部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名:ルミナス)10部を加え、ボールミルで24時間分散し分散媒体とした。この分散媒体に前記単量体混合液を加え、乳化装置(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZER)にて8000rpmで3分間乳化し、懸濁液を得た。このときの懸濁粒子の個数平均粒径は約71μmであった。
一方、撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記懸濁液を入れ、65℃で3時間反応させ、更に70℃で10時間加熱して冷却した。反応液は良好な分散液となっており、目視では重合中に凝集塊は確認できなかった。反応液に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。得られた粒子を1Lのイオン交換水で洗浄後、500mlのエタノールで超音波を30分かけて洗浄を3回繰り返し行い、重合体粒子Bを得た。この重合体粒子Bを60℃でオーブン乾燥した後、重合体の収量を測定したところ49部で、収率は91%であった。
(水酸基含有重合体の特性評価)
重合体粒子Bの水酸基量を実施例1と同じ方法で測定したところ、この粒子の水酸基量は1.95mmol/gであった。
また、同様にして個数平均粒径を求めたところ51μmであり、凝集粒子も全く見られなかった。
<実施例3>
ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬(株)製)21部、スチレン単量体(和光純薬(株)製)26部及びジビニルベンゼン(和光純薬(株)製)7部を混合し、これに有機溶媒としてジエチルベンゼン(和光純薬(株)製)25部、イソアミルアルコール(和光純薬(株)製)50部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)2.5部とを加え、単量体混合液を作製した。
塩化ナトリウム29部をイオン交換水120部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名:ルミナス)10部を加え、ボールミルで24時間分散し分散媒体とした。この分散媒体に前記単量体混合液を加え、乳化装置(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZER)にて8000rpmで3分間乳化し、懸濁液を得た。このときの懸濁粒子の個数平均粒径は約72μmであった。
一方、撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記懸濁液を入れ、65℃で3時間反応させ、更に70℃で10時間加熱して冷却した。反応液は良好な分散液となっており、目視では重合中に凝集塊は確認できなかった。反応液に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。得られた粒子を1Lのイオン交換水で洗浄後、500mlのエタノールで超音波を30分かけて洗浄を3回繰り返し行い、重合体粒子Cを得た。この重合体粒子Cを60℃でオーブン乾燥した後、重合体の収量を測定したところ48部で、収率は89%であった。
(水酸基含有重合体の特性評価)
重合体粒子Cの水酸基量を実施例1と同じ方法で測定したところ、この粒子の水酸基量は2.67mmol/gであった。
また、同様にして個数平均粒径を求めたところ50μmであり、凝集粒子も全く見られなかった。
<実施例4>
ポリエチレングリコールメタクリレート(数平均分子量Mn:360、Aldrich製)15部、スチレン単量体(和光純薬(株)製)32部及びジビニルベンゼン(和光純薬(株)製)7部を混合し、これに有機溶媒としてラウリルアルコール(和光純薬(株)製)50部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)2.5部とを加え、単量体混合液を作製した。
塩化ナトリウム29部をイオン交換水120部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名:ルミナス)10部を加え、ボールミルで24時間分散し分散媒体とした。この分散媒体に前記モノマー混合液を加え、乳化装置(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZER)にて8000rpmで3分間乳化し、懸濁液を得た。このときの懸濁粒子の個数平均粒径は約71μmであった。
一方、撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記懸濁液を入れ、65℃で3時間反応させ、更に70℃で10時間加熱して冷却した。反応液は良好な分散液となっており、目視では重合中に凝集塊は確認できなかった。反応液に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。得られた粒子を1Lのイオン交換水で洗浄後、500mlのエタノールで超音波を30分かけて洗浄を3回繰り返し行い、重合体粒子Dを得た。この重合体粒子Dを60℃でオーブン乾燥した後、重合体の収量を測定したところ47部で、収率は91%であった。
(水酸基含有重合体の特性評価)
重合体粒子Dの水酸基量を実施例1と同じ方法で測定したところ、この粒子の水酸基量は0.70mmol/gであった。
また、同様にして個数平均粒径を求めたところ56μmであり、凝集粒子も全く見られなかった。
<比較例1>
実施例3において、有機溶剤であるジエチルベンゼンとイソアミルアルコールとを使用しない以外は同様の処方で懸濁重合を行った。この場合、重合中に凝集塊が見られた。得られた重合体の収量を測定したところ33部で、収率は61%に低下した。
得られた重合体粒子の水酸基量を実施例1と同じ方法で測定したところ、この重合体粒子の水酸基量は0.06mmol/gと低かった。
また、これらの重合体粒子を顕微鏡観察したところ、粒径のばらつきが大きかったが個数平均粒径は39μmであった。なお、凝集粒子が相当数観察された。
<比較例2>
実施例1において、分散媒体調製時に塩化ナトリウムを加えなかった以外は、実施例1と同様の処理を行って単量体混合液を懸濁し重合したところ、イオン交換水による洗浄工程で、濾紙(ADVANTEC社製No.5C:保留粒子径1μm)を通過する白色の微小粒子が認められたことにより分散媒体中で乳化重合が派生していることが確認された。得られた重合体の収量を測定したところ43部で、収率は79%に低下した。
得られた重合体粒子の水酸基量を実施例1と同じ方法で測定したところ、この重合体粒子の水酸基量は0.03mmol/gと低かった。
また、これらの重合体粒子を顕微鏡観察したところ、粒径のばらつきが大きかったが個数平均粒径は45μmであった。なお、凝集粒子が相当数観察された。
<比較例3>
実施例3において、分散安定剤である炭酸カルシウムを使用しない以外は同様の処方で懸濁重合を行った。この場合、懸濁粒子が安定に分散しておらず、重合中に凝集塊となり目的とする粒子形状にはならなかった。
以上のように、実施例の本発明の水酸基含有重合体の製造方法によれば、重合時の懸濁粒子が安定しているため凝集を生じることがなく、仕込み組成に応じた組成でありつつ均一粒径の重合体粒子として得ることができる。これに対し、前記本発明における製造条件のうち、1つでも不足する比較例では、収率、粒子状態等に何らかの問題が発生した。

Claims (6)

  1. 水酸基を有する親水性単量体及び疎水性単量体を含むエチレン性不飽和単量体と、有機溶媒と、重合開始剤とを含有する混合物を、塩を溶解し且つ分散安定剤を加えた水性媒体中に分散して懸濁重合させる工程を含むことを特徴とする水酸基含有重合体の製造方法。
  2. 前記疎水性単量体の含有量が、全単量体成分中の20.0〜99.9質量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の水酸基含有重合体の製造方法。
  3. 前記疎水性単量体の含有量が、全単量体成分中の50.0〜90.0質量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の水酸基含有重合体の製造方法。
  4. 前記水酸基を有する親水性単量体が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の水酸基含有重合体の製造方法。
  5. 前記有機溶媒が、ジエチルベンゼン、ラウリルアルコール及びイソアミルアルコールから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の水酸基含有重合体の製造方法。
  6. 前記分散安定剤が、無機粉体であることを特徴とする請求項1に記載の水酸基含有重合体の製造方法。
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