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JP2007134133A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

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JP2007134133A
JP2007134133A JP2005325147A JP2005325147A JP2007134133A JP 2007134133 A JP2007134133 A JP 2007134133A JP 2005325147 A JP2005325147 A JP 2005325147A JP 2005325147 A JP2005325147 A JP 2005325147A JP 2007134133 A JP2007134133 A JP 2007134133A
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solid electrolyte
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thermal expansion
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JP2005325147A
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Hideki Uematsu
秀樹 上松
Masaharu Mizuno
将治 水野
Masahiro Shibata
昌宏 柴田
Hiroya Ishikawa
浩也 石川
Hitoshi Yokoi
等 横井
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

【課題】高い電極性能を有するとともに、熱膨張のマッチングに優れた空気極を備えた固体電解質型燃料電池を提供すること。
【解決手段】固体電解質型燃料電池セル1では、燃料ガスに接する燃料極3と、酸素イオン導電性を有する固体電解質体5と、空気に接触する空気極7とが、この順に積層されている。また、固体電解質体5と空気極7との間には、反応防止層9が形成されている。このうち、空気極は、下記式(1)の化学式の組成を有する。
La1-x-ySrxLnyCozFe1-z3-δ ・・・・(1)
(Ln=Sm、Gd、Pr、Nd)
0.2≦x≦0.4、0.01≦y≦0.2、0.05≦z≦0.2、x+y≦0. 5
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質の特性を利用して発電を行う固体電解質型燃料電池に関するものである。
従来より、燃料電池として、固体電解質(固体酸化物)を用いた固体酸化物燃料電池(以下SOFCとも記す)が知られている。
このSOFCは、例えば板状の固体電解質体の各面に燃料極と空気極とを備えた燃料電池セルを、多数積層してスタックを形成し、燃料極に燃料ガスを供給するとともに、空気極に空気を供給し、燃料(例えば水素)と空気中の酸素とを固体電解質体を介して化学反応させることによって電力を発生させるものである。
前記SOFCの空気極の材料としては、LSM系(La、Sr、Mn)、LSC系(La、Sr、Co)、LSF系(La、Sr、Fe)などの材料が古くから知られており、標準的に用いられている。
このうち、LSM系は、熱膨張率は固体電解質に近く、また、固体電解質との反応性も低いことから、古くより用いられているが、他の材料と比較して導電率が低く、空気極側の過電圧(電圧ロス)が高くなるという欠点がある。更に、このLSM系では、LaMnO3に異元素を添加して、空気極の焼成収縮を抑制し発電電力を安定化する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、LSC系は、酸素イオン導電性が高く、触媒活性も良好であり、高性能の空気極材料である。
更に、LSF系は、LSC系には及ばないものの、良好な電極特性を示し、熱膨張に関しても、固体電解質に近いという特性を有している。また、このLSF系に関しては、異元素を添加して、電極性能(即ち電子−酸素イオン導電性)を向上させる技術が提案されている(特許文献2参照)。
特許第3342541号公報 特許第3456436号公報
前記空気極材料には、良好な触媒活性(触媒能)だけでなく、熱膨張に関して他の部材とのマッチングが求められるが、上述した従来技術では必ずしも十分ではない。
例えば、空気極の触媒活性が高い場合でも、その熱膨張係数が固体電解質の熱膨張係数と大きく異なる場合には、製造過程や使用中などに、熱応力によってクラックが発生し易いという問題があり、両特性(高い触媒能及び熱膨張のマッチング)を兼ね備えた材料が望まれていた。
具体的には、LSM系では、熱膨張及び耐久性に関して良好な特性を持つが、電極特性が低いという問題がある。
また、LSC系は、良好な触媒活性を示すものの、特に熱膨張に関して他の部材とのミスマッチが大きく、空気極形成時や運転時のON−OFFサイクルにおいて、空気極が固体電解質から剥離し、大きく性能が低下するという問題がある。しかも、このLSC系は、焼結性が高く、長時間連続運転を行うと、焼結が進行して、ガス拡散、反応面積の低下を招き、発電特性が低下するという問題もある。
更に、LSF系は、熱膨張及び耐久性では、LSM系と同等の特性を持つが、触媒能を向上する目的で、異元素の添加を試みる場合には、一般的に触媒能の改善に有効な元素の添加は、熱膨張率の変化など特性の変化をもたらすので、問題となる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高い触媒能(従って高い電極性能)を有するとともに、熱膨張のマッチングに優れた空気極を備えた固体電解質型燃料電池を提供することにある。
(1)請求項1の発明は、空気極と燃料極と固体電解質体とを有する少なくとも1つのセルを備えた固体電解質型燃料電池において、前記空気極は、下記式(1)の化学式で表される組成を有することを特徴とする。
La1-x-ySrxLnyCozFe1-z3-δ ・・・・(1)
(Ln=Sm、Gd、Pr、Nd)
0.2≦x≦0.4、0.01≦y≦0.2、0.05≦z≦0.2、x+y≦0. 5
本発明では、空気極を構成するLSF系の材料に関して、LSFの添加元素(空気極の電極性能を高める添加元素)として知られるSrとCoの添加量(x、y)について、熱膨張係数に注目して添加量を規定した。それとともに、SrとCoの添加量によって増加する熱膨張を、希土類元素のうち特定のLnの添加量(y)を調節することにより抑制した。これによって、高い電極特性(即ち電圧ロスである過電圧が小さいという特性)とともに、熱膨張のマッチング(特に固体電解質とのマッチング)に優れた空気極を持つ固体電解質型燃料電池が得られる。
以下、詳細に説明する。
LaFeO3への添加元素は、Aサイト置換元素とBサイト置換元素に区別される。
・Aサイト置換元素としては、Srがある、このSrの添加量を増加させると導電性が向上し、その結果、電極性能は向上する(即ち過電圧は低減する)が、熱膨張率は大きくなり、固体電解質とのミスマッチが生じる。そのため、高い電極性能と熱膨張率の良好なマッチングのために、Srの添加量xは、0.2以上0.4以下とした。
・本発明では、更に、Aサイト置換元素として、希土類元素のうち、Smに代表される特定のランタノイド(Ln)を添加している。このLn(Ln=Sm、Gd、Pr、Nd)を、所定量y(0.01以上0.2以下)添加することで、電極性能を悪化させることなく、熱膨張係数を低下させることができる。
・また、Bサイト置換元素としては、Coがある。このCoの添加量zが増加すると、電極性能は向上するが、熱膨張率のミスマッチも大きくなるので、Coの添加量zは、0.05以上0.2以下とした。
(2)請求項2の発明は、前記空気極の熱膨張係数が、10.0×10-6〜13.0×10-6(1/K)であることを特徴とする。
一般に用いられているジルコニアに代表される固体電解質の熱膨張係数は、10.0×10-6〜12.0×10-6(1/K)であるが、本発明では、空気極の熱膨張係数は、10.0×10-6〜13.0×10-6(1/K)であるので、熱膨張のマッチングに優れている。
従って、空気極形成時や運転時のON−OFFサイクルにおいて、空気極が固体電解質から剥離しにくく、性能が低下しにくいという効果がある。
(3)請求項3の発明は、ろう材により金属部材を接合した構成を備えたことを特徴とする。
近年、固体酸化物型燃料電池の作動温度を中温域(750℃程度)に低下させて、金属部材を使用した燃料電池が研究されている。この様な燃料電池では、固体電解質などのセラミックス部材と金属部材とを接合する技術が必要であり、ろう付けなどにより接合が行われている。
ところが、金属部材を固体電解質等のセラミック部材にろう付けする場合には、酸化を防止するために、低酸素分圧雰囲気で行われるが、その低酸素分圧雰囲気が原因で、空気極材料が劣化することがある。
それに対して、本発明では、Coの添加量zを、0.2以下としているので、低酸素分圧下での化学的安定性が高まり、分解し難くなる。よって、低酸素分圧雰囲気下でろう付けが行われた場合でも、空気極の劣化が少ないという利点がある。
(4)請求項4の発明は、前記空気極と前記固体電解質体との間に、CeO及び希土類元素を主成分とする反応防止層を備えたことを特徴とする。
Laを含む空気極材料は、固体電解質にジルコニアを用いた場合、固体電解質に直接焼き付けるとLa2Zr27が生成して高抵抗層となり、発電性能を著しく低下させる。
この問題に対して、本発明では、固体電解質体と空気極との間に、La2Zr27の生成を防止する反応防止層を設けている。つまり、反応防止層として、空気極と固体電解質体との間に、CeO及び希土類元素(例えばサマリウムをドープしたセリア:SDC)を主成分とする反応防止層を備えているので、低い空気極過電圧を示し、発電性能を高く維持することができる。
以下、本発明の実施形態の固体電解質型燃料電池を詳細に説明する。
a)まず、固体電解質型燃料電池の基本構成である単セル(即ち固体電解質型燃料電池セル)について説明する。
例えば図1に模式的に示す様に、固体電解質型燃料電池の基本構成である固体電解質型燃料電池セル1では、燃料ガス(例えば水素)に接する燃料極3と、酸素イオン導電性を有する固体電解質体5と、酸化ガス(例えば空気中の酸素)に接触する空気極7とが、この順に積層されている。また、固体電解質体5と空気極7との間には、反応防止層9が形成されている。
尚、図1では、燃料極3が支持基体となるいわゆる支持膜式の固体電解質型燃料電池セル1を例に挙げているが、本発明は、固体電解質体が支持基体となる自立膜式の固体電解質型燃料電池セルにも適用することができる。つまり、燃料極 、固体電解質体、及び空気極のいずれも支持基体とすることができる。
b)次に、単セルを複数備えた固体電解質型燃料電池のスタック(即ち固体電解質型燃料電池スタック)について説明する。
例えば図2及び図3に示す様に、固体電解質型燃料電池スタック11は、上述した構成を有する固体電解質型燃料電池セル1が、複数個積層されたものである。
詳しくは、図3に示す様に、固体電解質型燃料電池スタック11では、固体電解質型燃料電池セル1を主要部とする発電層13が、金属製のインターコネクター15を介して、同図の上下方向に複数積層されている。尚、同図では、反応防止層9の記載は省略されてさいる。
また、各固体電解質型燃料電池セル1の燃料極3は、燃料極側集電体17によりインターコネクター15に電気的に接続されるとともに、各空気極7は、空気極側集電体19によりろう材21を介して他のインターコネクター15(上下方向の端部では蓋体23及び底体25)に電気的に接続されている。
更に、各発電層13は、燃料ガスの流路27と、酸化ガスである空気の流路29とを隔離するための隔離セパレータ31を備える。また、それぞれの発電層13間を電気的に絶縁するため、セラミック等の絶縁体からなる枠体33が、積層方向の所定部分に配設されている。
c)以下、固体電解質型燃料電池スタック11の各構成について詳細に説明する。
・「固体電解質体5」は、ZrO2、BaCeO3系酸化物、及びLaGaO3系酸化物のうち、少なくとも一つからなることが好ましい。また、これらのうち、ZrO2系酸化物を用いた固体電解質が、機械的強度、化学的安定性、高い酸素イオン伝導性をあわせ持つという点において、特に好ましい。
この固体電解質体は、固体電解質型燃料電池の動作時に燃料極に導入される燃料ガス又は空気極に導入される酸化ガスのうち一方の少なくとも一部をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。どのようなイオンを伝導することができるかは特に限定されないが、イオンとしては、例えば、酸素イオン及び水素イオン等が挙げられる。
尚、この固体電解質体の厚さは電気抵抗と強度とを勘案し、5〜100μm、特に5〜50μm、更には5〜30μmとすることができる。
・「燃料極3」は、水素源となる燃料ガスと接触し、単セルにおける負電極として機能する。
前記燃料極の形成に用いる材料としては、Ni及びYSZ(イットリア安定化ジルコニア)等が挙げられるが、それらに限定されず、固体電解質型燃料電池の使用条件等により適宜選択することができる。
この材料としては、例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Ir、Ru、Rh、Ni及びFe等の金属が挙げられる。これらの金属は1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。また、これらの金属及び/又は合金と、Y及び希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のジルコニア系セラミック、セリア系セラミック等のセラミックとの混合物(サーメットを含む。)が挙げられる。更に、Ni及びCu等の金属の酸化物と、上記セラミックのうちの少なくとも1種との混合物などが挙げられる。
・「空気極7」は、酸素源となる酸化ガスと接触し、単セルにおける正電極として機能する。
この空気極の形成に用いる材料としては、上述した様に、下記式(1)の化学式で表される組成の材料を採用する。
La1-x-ySrxLnyCozFe1-z3-δ ・・・・(1)
(Ln=Sm、Gd、Pr、Nd)
0.2≦x≦0.4、0.01≦y≦0.2、0.05≦z≦0.2、x+y≦0. 5
また、この空気極の熱膨張係数としては、10.0×10-6〜13.0×10-6(1/K)の範囲の採用が好適である。つまり、この範囲であれば、ジルコニアに代表される固体電解質の熱膨張係数に近い値となるので、熱膨張のマッチングに優れている。
・「反応防止層9」としては、CeO及び希土類元素を主成分とする材料を採用できる。尚、材料全体がCeO及び希土類元素で構成されていてもよい。この希土類元素としては、Sm、Gdを採用できる。
・「燃料極側集電体17」の材質は、金属が好ましく、例えばNi又はNi基合金等により形成することができる。この燃料極側集電体の形態は、弾性があるものが好ましく、多孔体、発泡体及び金属繊維からなるフェルト又はメッシュ等を挙げることができる。
・「空気極側集電体19」の材質は、金属及び導電性セラミックを用いることができる。この金属としては、燃料極側集電体と同様のものを用いることができるが、非弾性の緻密な板状体であってもかまわない。
空気極側集電体は一面で空気極と接触し、他面でインターコネクターと接触するように設けることができる。また、インターコネクターと接触する面の少なくとも一部において、空気極側集電体及びインターコネクターをろう材等の接合材を用いて接合することができる。
このような接合材は、空気極側集電体とインターコネクターとを密着させ、安定して接触させ、接触抵抗が増大することを防止することができる限り特に限定されない。
尚、固体電解質型燃料電池では、空気極側集電体とインターコネクターとの間等、同様に接合材等により気密にシールする必要のある部分が多くあり、これらの接合操作の際に同時に接合することができる。また、ガラス接合でも良いし、コンプレッションシールでも良い。
更に、これらの集電体は1種の材料のみからなっていてもよく、2種以上の材料からなっていてもよい。また、異なる材料からなるブロックの集合体であってもよい。
・「隔離セパレータ31」は、発電層に供給する燃料ガス及び酸化ガスが混合しないように隔離するための平板状のセパレータである。この材質としては、金属、特に、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金が挙げられる。
・「インターコネクター15」の材質としては、金属、特に、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金が挙げられる。このうち、クロム基合金は、高い電子伝導性を有しているので好適である。
・「燃料ガス」は、水素、水素源となる炭化水素、水素と炭化水素との混合ガス、及びこれらのガスを所定温度の水中を通過させ加湿した燃料ガス、これらのガスに水蒸気を混合させた燃料ガス等が挙げられる。
炭化水素は特に限定されず、例えば、天然ガス、ナフサ、石炭ガス化ガス等が挙げられる。更に、メタン、エタン、プロパン、ブタン及びペンタン等の炭素数が1〜10、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜4の飽和炭化水素、並びにエチレン及びプロピレン等の不飽和炭化水素を主成分とするものが好ましく、飽和炭化水素を主成分とするものが更に好ましい。これらの燃料ガスは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、50体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスを含有していてもよい。
・「酸化ガス」は、酸素と他の気体との混合ガス等が挙げられる。また、この混合ガスには80体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスが含有されていてもよい。これらの酸化ガスのうちでは安全であって、且つ安価であるため空気(約80体積%の窒素が含まれている。)が好ましい。
次に、本発明の効果を確認するための試験に用いた実施例及び(本発明の範囲外の)比較例について説明する。
まず、試験に用いる原料は、固相反応法に基づいて作成した。そして、原料粉末となるLaO、SrCO3、Co34、Fe23、Sm23を、下記表1の試料となるように、所定量秤量した後に、ボールミルにてメタノールを溶媒として十分に湿式混合し、メタノールを蒸発させて混合粉を得た。
次に、蓋のできるアルミナ製のるつぼに、混合粉を入れて、昇温速度4℃/minにて、1200℃で1時間仮焼した。得られた仮焼粉を解砕した後に、遊星ミルにて、平均粒径0.5μm、比表面積約5m2/gの粉砕粉とし、これを出発原料として、以下の試験に用いる熱膨張測定用試料及びテープ剥離試験用試料を作成した。
<熱膨張試験>
前記熱膨張測定用試料用の出発原料を用い、一軸金型成形によって得られた成形体を、1250℃、保持時間3時間として、焼成し、得られた焼結体を所定の寸法(例えば縦3mm×横4mm×長さ40mm)に加工して、熱膨張測定用試料(図示せず)とした。
この熱膨張測定用試料(実施例1〜6、比較例1〜9の合計15個)を用いて、熱膨張率を測定した。測定条件は、昇温速度5℃/min、最高温度1000℃、雰囲気は大気とし、TMA(Thermo Mechanical Analysis)によって、熱膨張係数の測定を行った。その結果を、下記表1に記す。
<テープ剥離試験>
テープ剥離試験に用いるために、図4に示すテープ剥離試験用試料41を作成した。
具体的には、前記出発原料の粉砕粉末とバインダー溶液と良く混合して空気極ペーストを作成した。
また、定法により円盤状の固体電解質体(8YSZ)43を作成し、この固体電解質体43の表面に、反応防止層45を形成するために、サマリアドープセリアの薄膜を積層した。
その後、この薄膜の上に、空気極ペーストをスクリーン印刷して塗布し、乾燥して溶媒を蒸発させた。次に、昇温速度5℃/min、1100℃で1時間焼成し、この焼き付けにより、固体電解質体43の上に反応防止層45及び空気極47を形成した。尚、焼成後の固体電解質体43は、φ30mm×厚み1mmであり、空気極47はφ13mmである。
そして、焼き付けた空気極47の初期の密着性を確認するため、及び温度サイクル後(耐久後)の密着性を確認するために、テープ試験を行った。
テープとしては、市販の布ガムテープを用い、電極全面を覆うようにして貼り付けて、これを剥がすことによって、電極の密着性評価した。尚、温度サイクルとしては、室温から800℃まで行い、昇温又は降温を、4℃/minで50回繰り返した。
試験数はそれぞれ10個、焼き付け後(初期)及びサイクル試験後(耐久後)で、剥離が起こらないことを合格の条件とした。その結果を下記表1に記す。
<発電試験>
次に、Smの添加が空気極性能に影響を及ぼしていないかどうかを発電試験により調べた。
具体的には、図5に示す様な発電試験用試料51を作成した。この発電試験用試料51とは、上述したテープ試験用試料51の一面(空気極と反対側の面)に、NiO−YSZ(重量比は50:50)のペーストを焼き付けて、燃料極53を形成したものである。
そして、この発電試験用試料51を用いて、図6に示す試験装置61を作成して、発電試験を行った。
この試験装置61の構造は、発電試験用試料51の空気極47と燃料極53との外側(同図上下方向)の表面に、それぞれ白金網63、65で覆った多孔質セラミックス板材67、69を配置し、この多孔質セラミックス板材67、69の上下方向外側に、内側アルミナ管71、73を押しつけたものであり、空気極47と燃料極53との白金網63、65には、電流印加用の上下一対の白金線75、77と電圧測定用の白金線79、81とが取り付けられている。また、固体電解質体43の外周部の上下方向の端部には、内側アルミナ管71、73より大径の外側アルミナ管83、85が取り付けられて、ガラス87、89によりシールされている。尚、固体電解質体51の外周には白金線91が巻かれ、この白金線91に参照電極用の白金線93が接続されている。
この発電試験では、燃料極53側の内側アルミナ管73内に水素ガスを供給するとともに、空気極47側の内側アルミナ管71内に空気を供給する状態で、上下の電流印加用の白金線75、77を用いて、発電試験用試料51に空気極47側を正極として電流を流した。そして、電流密度が1[A/cm2]の場合に、電圧測定用の上下の白金線79、81間の電圧V1、空気極47側の白金線79と参照電極用の白金線93との間の電圧V2、燃料極53側の白金線81と参照電極用の白金線93との間の電圧V3を測定した。
この電圧V1〜V3は、図7に示す様に、全体の電圧損(電圧ロス:過電圧)V1、空気極での電圧損V2、燃料極での電圧損V3を示しており。基本的には、「全体の電圧損V1=空気極での電圧損V2+燃料極での電圧損V3」の関係を有している。
ここでは、下記表1に、各発電用試料51の空気極47での電圧損V2を、比較例3の空気極47の電圧損V3と対比して(比較例3の電圧損V3を100%として)、記載してある。尚、図7は、比較例3の測定データを例示したものであり、V0は開回路電圧である。
Figure 2007134133
この表1から明かな様に、前記試験では、実施例1〜6及び比較例1〜9を、4つのグループに区分している。
このうち、第1グループ(比較例1〜4)は、Smの添加が無いものである。第2グループ(比較例5〜7、実施例1〜3)は、Coの添加量をZ=0.1に規定したものである。第3グループ(比較例8、実施例4〜6)は、Coの添加量をZ=0.2に規定したものである。第4グループ(比較例9)は、Coの添加量をZ=0.3に規定したものである。以下詳細に説明する。
・(第1グループ)
熱膨張率が固体電解質に近い比較例1及び比較例3では、テープ試験は、初期及び耐久後とも、電極の剥離が見られず良好であったが、空気極電圧損が大きく好ましくない。また、比較例2及び比較例4においては、空気極電圧損は少ないものの、熱膨張率が大きいため、初期においても電極の剥離が見られ、耐久後には一層その数が増大するので好ましくない。
・(第2グループ)
比較例5では、Smの添加が無いので、熱膨張率が13.3ppmと大きく、耐久後のテープ試験で剥離が見られた。それに対して、Smを0.01添加した実施例1では、空気極電圧損は十分に小さく、しかも、熱膨張率は低下し、その結果、剥離は見られなかった。また、Smを0.05に増加した実施例2でも、空気極電圧損は十分に小さく、熱膨張率は一層低下し、剥離は見られなかった。更に、実施例3では、Srの添加量を増加させたが、Smの添加量も増加させたので、熱膨張率を抑制できた。しかし、比較例6では、SrとSmの合計量が0.5を上回ったためか、熱膨張率が大きく変化し、電極の剥離が生じて発電試験は行えなかった。よって、各種のデータの測定ができなかった。また、比較例7では、Smの添加が無いので、熱膨張率が14.6ppmと大きく、初期及び耐久後のテープ試験で剥離が見られた。
・(第3グループ)
比較例8では、Smの添加が無いので、熱膨張率が13.5ppmと大きく、耐久後のテープ試験で剥離が見られた。それに対して、Smを0.05添加した実施例4では、Coを0.2添加しているが、空気極電圧損は十分に小さく、しかも、熱膨張率は低下し、その結果、剥離は見られなかった。また、Smを0.1添加した実施例5でも、空気極電圧損は十分に小さく、熱膨張率は低下し、剥離は見られなかった。更に、実施例3では、Srの添加量を増加させたが、Smの添加量も増加させたので、熱膨張率を抑制できた。また、実施例6では、Smは0.2添加されているが、空気極電圧損は十分に小さく、熱膨張率も小さく好適である。
・(第4グループ)
比較例9では、Coが0.3添加されているので、熱膨張率が大きく、耐久後のテープ試験で剥離が見られた。
つまり、上述した試験結果からも明かな様に、本発明では、本発明独自の構成を備えているので、空気極電圧損を低減できるとともに、熱膨張のマッチングが良く電極剥離を防止できるという顕著な効果を奏する。
尚、本発明は前記実施例等になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば本発明は、SOFCに限らず、マイクロリアクターや酸素濃縮器にも適用可能である。
固体電解質型燃料電池セルを破断して示す模式図である。 固体電解質型燃料電池スタックを示す斜視図である。 図2のA−A断面図である。 テープ試験用試料を示す説明図である。 発電試験用試料を示す説明図である。 発電試験の実験装置を示す説明図である。 全体の電圧損と空気極での電圧損と燃料極での電圧損との関係を示す説明図である。
符号の説明
1…固体電解質型燃料電池セル
3、53…燃料極
5、43…固体電解質体
7、47…空気極
9、45…反応防止層
11…固体電解質型燃料電池スタック

Claims (4)

  1. 空気極と燃料極と固体電解質体とを有する少なくとも1つのセルを備えた固体電解質型燃料電池において、
    前記空気極は、下記式(1)の化学式で表される組成を有することを特徴とする固体電解質型燃料電池。
    La1-x-ySrxLnyCozFe1-z3-δ ・・・・(1)
    (Ln=Sm、Gd、Pr、Nd)
    0.2≦x≦0.4、0.01≦y≦0.2、0.05≦z≦0.2、x+y≦0. 5
  2. 前記空気極の熱膨張係数が、10.0×10-6〜13.0×10-6(1/K)であることを特徴とする前記請求項1に記載の固体電解質型燃料電池。
  3. ろう材により金属部材を接合した構成を備えたことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の固体電解質型燃料電池。
  4. 前記空気極と前記固体電解質体との間に、CeO及び希土類元素を主成分とする反応防止層を備えたことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池。
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